(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794042
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】充放電制御回路及びバッテリ装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20201119BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20201119BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20201119BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H7/18
H02J7/02 J
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-215059(P2016-215059)
(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公開番号】特開2017-104006(P2017-104006A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】62/261,474
(32)【優先日】2015年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/241,957
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴士
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−200581(JP,A)
【文献】
特開平11−215735(JP,A)
【文献】
特開2010−172143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02H 7/00
H02H 7/10 − 7/20
H02H 3/08 − 3/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の外部端子の間に接続された第一及び第二の二次電池の充放電を制御する充放電制御回路であって、
前記第一及び第二の二次電池の第一電極が接続される第一電源端子と、
前記第一の二次電池の第二電極が接続される第一の第二電源端子と、
前記第二の二次電池の第二電極が接続される第二の第二電源端子と、
前記第一及び第二の二次電池の第二電極と夫々接続された第一及び第二の充放電制御スイッチと前記第二の外部端子の間の電圧が入力される電圧検出端子と、
前記第一の第二電源端子の電圧と前記第二の第二電源端子の電圧と前記電圧検出端子の電圧によって前記第一及び第二の充放電制御スイッチに逆方向の電流が流れたことを検出して、前記第一の二次電池又は前記第二の二次電池が内部ショートしたことを検出する電圧検出部と、
を備えことを特徴とする充放電制御回路。
【請求項2】
第一及び第二の外部端子の間に接続された第一及び第二の二次電池と、
前記第一及び第二の二次電池と並列に接続された請求項1に記載の充放電制御回路と、
前記第一及び第二の二次電池と前記第二の外部端子の間に接続された第一及び第二の充放電制御スイッチと、
を備えたことを特徴とするバッテリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性の高い充放電制御回路及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の二次電池を並列に接続した設けたバッテリ装置は、一つの二次電池が内部ショートを起こした場合に以下のような不具合が発生する。
内部ショートした二次電池は、内部抵抗及び出力電圧が低下するので、並列に接続されている他の正常な二次電池から逆方向に電流が流れる。その逆方向電流は、内部ショートした二次電池の内部抵抗が低いため、大電流になる可能性がある。
【0003】
上記課題を解決するために、従来のバッテリ装置は、各二次電池と直列に電流検出回路を備え、例えば、電流の流れる方向が正常な二次電池と逆方向であることを検出すると、その放電経路を遮断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−185228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバッテリ装置は、各二次電池と直列に電流検出回路を備えるので、電流検出回路の電流検出用の抵抗によって損失が大きくなる、という欠点があった。
本発明は、以上のような課題を解決するために考案されたものであり、二次電池の出力電圧が低下することのない安全性の高い充放電制御回路及びバッテリ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来の課題を解決するために、本発明の充放電制御回路及びバッテリ装置は以下のような構成とした。
並列に接続された二次電池の電圧の差を検出する、または並列に接続された二次電池に夫々接続され充放電を制御する充放電制御スイッチに逆方向の電流が流れたことを検出する電圧検出部を設ける構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の充放電制御回路によれば、電流検出回路の電流検出用の抵抗による損失がなく、且つ安全性の高い充放電制御回路及びバッテリ装置を提供することが出来る、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一の実施形態のバッテリ装置のブロック図である。
【
図2】第一の実施形態のバッテリ装置の電圧検出部の一例を示す回路図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態のバッテリ装置のブロック図である。
【
図4】第二の実施形態のバッテリ装置の電圧検出部の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の第一の実施形態のバッテリ装置のブロック図である。
バッテリ装置100は、二次電池1a、1bと、充放電制御スイッチ2a、2bと、充放電制御回路10を備えている。充放電制御回路10は、少なくとも、電圧検出部11と、制御部12を備えている。
【0010】
二次電池1aは、充放電制御スイッチ2aを介して外部端子EB+と外部端子EB−の間に接続される。二次電池1bは、充放電制御スイッチ2bを介して外部端子EB+と外部端子EB−の間に接続される。充放電制御回路10は、電源端子VDDが二次電池1a、1bの正極端子及び外部端子EB+と接続され、電源端子VSS1が二次電池1aの負極と接続され、電源端子VSS2が二次電池1bの負極と接続され、制御信号出力端子COaは充放電制御スイッチ2aの制御端子に接続され、制御信号出力端子CObは充放電制御スイッチ2bの制御端子に接続される。
【0011】
電圧検出部11は、電源端子VSS1と電源端子VSS2の電圧の差が所定値以上になると、二次電池が内部ショートしたことを検出し、検出信号を出力する。制御部12は、電圧検出部11の検出信号を受けて、充放電制御スイッチ2aまたは充放電制御スイッチ2bを制御して、正常な二次電池から内部ショートした二次電池に電流が流れることを防止する。
【0012】
図2は、第一の実施形態のバッテリ装置100の電圧検出部11の一例を示す回路図である。
電圧検出部11は、比較器111及び113と、電圧源112及び114を備えている。電圧源112及び114は、二次電池の内部ショートを検出するための所定値の電圧を出力する。
【0013】
比較器111は、非反転入力端子+に電源端子VSS2が接続され、反転入力端子−に電圧源112を介して電源端子VSS1が接続される。比較器113は、非反転入力端子+に電源端子VSS1が接続され、反転入力端子−に電圧源114を介して電源端子VSS2が接続される。
【0014】
電圧検出部11は、以下のようにして二次電池が内部ショートしたことを検出する。
二次電池1aと二次電池1bが正常であればほぼ等しい電圧になっているので、電源端子VSS1と電源端子VSS2は、ほぼ等しい電圧になっている。従って、比較器111及び113は、非反転入力端子+の電圧より反転入力端子−の電圧が高いので、非検出を示すLレベルの信号を出力する。
【0015】
ここで、電源端子VSS1の電圧が電源端子VSS2の電圧より電圧源112が出力する所定の電圧より低くなると、比較器111は、非反転入力端子+の電圧が反転入力端子−の電圧より高くなるので、検出を示すHレベルの信号を出力する。即ち、電圧検出部11は、二次電池1aの内部ショートを検出する。そして、制御部12は、比較器111が出力する検出信号を受けて、制御信号出力端子COaから充放電制御スイッチ2aの制御端子にスイッチをオフする信号を出力する。
【0016】
また、電源端子VSS2の電圧が電源端子VSS1の電圧より電圧源114が出力する所定の電圧より低くなると、比較器113は、非反転入力端子+の電圧が反転入力端子−の電圧より高くなるので、検出を示すHレベルの信号を出力する。即ち、電圧検出部11は、二次電池1bの内部ショートを検出する。そして、制御部12は、比較器113が出力する検出信号を受けて、制御信号出力端子CObから充放電制御スイッチ2bの制御端子にスイッチをオフする信号を出力する。
【0017】
以上説明したように、本実施形態のバッテリ装置100によれば、電源端子VSS1と電源端子VSS2の電圧を比較して二次電池が内部ショートしたことを検出する電圧検出部11を備えたので、二次電池の出力電圧が低下することなく安全性の高いバッテリ装置を提供することが出来る。
【0018】
なお、
図2に示した電圧検出部11は、電源端子VSS1と電源端子VSS2の電圧の差が所定値以上になったことを検出し、検出信号を出力できれば、この回路に限定されるものではない。
【0019】
また、電圧検出部11は、電源端子VDDと電源端子VSS1や電源端子VSS2の電圧の差が所定値以下になったことを検出しても良いし、電源端子VDDと電源端子VSS1の電圧の差と電源端子VDDと電源端子VSS2の電圧の差が所定値以上になったことを検出しても良い。
【0020】
また、充放電制御回路10は、内部ショートを検出した二次電池に接続された充放電制御スイッチをオフするように説明したが、全ての充放電制御スイッチをオフするようにしても良い。
【0021】
図3は、本発明の第二の実施形態のバッテリ装置のブロック図である。
バッテリ装置200は、少なくとも、電圧検出部21と、制御部22を有する充放電制御回路20を備えている。
【0022】
充放電制御回路20は、電源端子VDDが二次電池1a、1bの正極端子及び外部端子EB+と接続され、電源端子VSS1が二次電池1aの負極と接続され、電源端子VSS2が二次電池1bの負極と接続され、過電流検出端子VMが外部端子EB−と接続され、制御信号出力端子COaは充放電制御スイッチ2aの制御端子に接続され、制御信号出力端子CObは充放電制御スイッチ2bの制御端子に接続される。
【0023】
電圧検出部21は、電源端子VSS1と過電流検出端子VM間の電圧及び電源端子VSS2と過電流検出端子VM間の電圧から充放電制御スイッチ2aと充放電制御スイッチ2bに流れる電流の向きを検出して、その電流の向きが異なると、二次電池が内部ショートしたことを検出し、検出信号を出力する。制御部22は、電圧検出部21の検出信号を受けて、充放電制御スイッチ2aまたは充放電制御スイッチ2bを制御して、正常な二次電池から内部ショートした二次電池に電流が流れることを防止する。
【0024】
図4は、第二の実施形態のバッテリ装置200の電圧検出部21の一例を示す回路図である。
電圧検出部21は、比較器211、213、221、223と、電圧源212、214、222、224を備えている。電圧源212及び214は、二次電池1bの内部ショートを検出するための所定値の電圧を出力する。電圧源222及び224は、二次電池1aの内部ショートを検出するための所定値の電圧を出力する。
【0025】
比較器211は、非反転入力端子+に電圧源212を介して電源端子VSS2が接続され、反転入力端子−に過電流検出端子VMが接続される。比較器213は、非反転入力端子+に過電流検出端子VMが接続され、反転入力端子−に電圧源214を介して電源端子VSS1が接続される。
【0026】
比較器221は、非反転入力端子+に過電流検出端子VMが接続され、反転入力端子−に電圧源222を介して電源端子VSS2が接続される。比較器223は、非反転入力端子+に電圧源224を介して電源端子VSS1が接続され、反転入力端子−に過電流検出端子VMが接続される。
【0027】
従って、比較器211は充放電制御スイッチ2bに電流が充電方向に流れている時にHレベルの信号を出力し、比較器213は充放電制御スイッチ2aに電流が放電方向に流れている時にHレベルの信号を出力し、比較器221は充放電制御スイッチ2bに電流が放電方向に流れている時にHレベルの信号を出力し、比較器213は充放電制御スイッチ2aに電流が充電方向に流れている時にHレベルの信号を出力する。
【0028】
電圧検出部21は、以下のようにして二次電池が内部ショートしたことを検出する。
二次電池1aと二次電池1bが正常であれば、充放電制御スイッチ2aと充放電制御スイッチ2bは、同じ向きに充放電電流が流れている。従って、比較器211及び213は一方がHレベルで他方がLレベルの信号を出力し、AND回路215はLレベルの信号を出力する。また、比較器221及び223は一方がHレベルで他方がLレベルの信号を出力し、AND回路225はLレベルの信号を出力する。
【0029】
ここで、二次電池1aが内部ショートすると、二次電池1bから二次電池1a、充放電制御スイッチ2a、充放電制御スイッチ2bと電流が流れる。そして、電源端子VSS1の電圧が過電流検出端子VMの電圧より電圧源224が出力する所定の電圧より高くなると、比較器223は、非反転入力端子+の電圧が反転入力端子−の電圧より高くなるので、検出を示すHレベルの信号を出力する。また、電源端子VSS2の電圧が過電流検出端子VMの電圧より電圧源222が出力する所定の電圧より低くなると、比較器221は、非反転入力端子+の電圧が反転入力端子−の電圧より高くなるので、検出を示すHレベルの信号を出力する。即ち、電圧検出部21は、二次電池1aの内部ショートを検出する。そして、制御部22は、電圧検出部21が出力する検出信号を受けて、制御信号出力端子COaから充放電制御スイッチ2aの制御端子にスイッチをオフする信号を出力する。
【0030】
また、二次電池1bが内部ショートすると、二次電池1aから二次電池1b、充放電制御スイッチ2b、充放電制御スイッチ2aと電流が流れる。そして、電源端子VSS1の電圧が過電流検出端子VMの電圧より電圧源214が出力する所定の電圧より低くなると、比較器213は、非反転入力端子+の電圧が反転入力端子−の電圧より高くなるので、検出を示すHレベルの信号を出力する。また、電源端子VSS2の電圧が過電流検出端子VMの電圧より電圧源212が出力する所定の電圧より高くなると、比較器211は、非反転入力端子+の電圧が反転入力端子−の電圧より高くなるので、検出を示すHレベルの信号を出力する。即ち、電圧検出部21は、二次電池1bの内部ショートを検出する。そして、制御部22は、電圧検出部21が出力する検出信号を受けて、制御信号出力端子CObから充放電制御スイッチ2bの制御端子にスイッチをオフする信号を出力する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のバッテリ装置200によれば、充放電制御スイッチ2aと充放電制御スイッチ2bに流れる電流が逆方向になったことによって二次電池が内部ショートしたことを検出する電圧検出部21を備えたので、二次電池の出力電圧が低下することなく安全性の高いバッテリ装置を提供することが出来る。
【0032】
なお、
図4に示した電圧検出部21は、充放電制御スイッチ2aと充放電制御スイッチ2bに流れる電流が逆方向になったことを検出し、検出信号を出力できれば、この回路に限定されるものではない。
【0033】
また、充放電制御回路20は、内部ショートを検出した二次電池に接続された充放電制御スイッチをオフするように説明したが、全ての充放電制御スイッチをオフするようにしても良い。
【符号の説明】
【0034】
10、20 充放電制御回路
11、21 電圧検出部
12、22 制御部
111、113、211、213、221、223 比較器