(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変位検出部で検出される変位が0または略0となるときの前記コイルに流れる電流値に基づいて前記ロバーバル機構に負荷される荷重の大きさを算出する荷重算出部と、
前記ロバーバル機構の周囲温度または前記ロバーバル機構自体の温度を測定する温度センサとをさらに備え、
前記荷重算出部は、
前記温度センサによる測定温度に基づいて、前記荷重の大きさを補正するよう構成された、
請求項1または2に記載の電磁平衡式重量センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような電磁平衡式重量センサにおいて、レバーの変位を検出する変位検出手段としては、レバーの近傍に配置された発光素子及び受光素子を用いて構成されている。このような発光素子及び受光素子は発熱するので、その熱が電磁力発生装置の磁界に影響を及ぼすと計量誤差の要因となり、計量精度に悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、計量精度の向上を図ることができる電磁平衡式重量センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る電磁平衡式重量センサは、ロバーバル機構の変位を検出する変位検出部と、静磁場を発生する磁気回路中に前記ロバーバル機構の変位に連動して変位するコイルを設けてなり、前記変位検出部で検出される変位が0に近づくように前記コイルに電流が流される電磁力発生装置と、を備え、前記変位検出部は、前記ロバーバル機構の変位に連動して変位する光通過路と、発光素子と、前記発光素子から出射されて前記光通過路を通過した光が入射される受光素子と、一端が前記発光素子に接続され、前記発光素子から出射される光を伝搬して他端から前記光通過路へ出射する発光側光ファイバ、および、一端が前記受光素子に接続され、前記発光素子から出射され前記光通過路を通過した光を他端から入射して伝搬し、前記受光素子へ入射させる受光側光ファイバのいずれか一方または両方と、前記受光素子に入射する光量に基づいて前記ロバーバル機構の変位を求める変位算出部とを有している。
【0008】
この構成によれば、発光側光ファイバ及び受光側光ファイバのいずれか一方または両方を用いることにより、発光素子または受光素子、あるいはその両方を電磁力発生装置から遠ざけて配置することができる。よって、発光素子や受光素子の発熱による電磁力発生装置の磁界への影響を排除し、上記発熱に起因する計量誤差を抑制し、計量精度の向上を図ることができる。
【0009】
前記ロバーバル機構の変位が先端部分に現れる変位部材をさらに備え、前記光通過路は、前記変位部材の前記先端部分に前記先端部分が変位する方向と交わる方向に貫通して設けられた貫通穴であり、前記受光側光ファイバ及び前記受光素子がそれぞれ2つずつ対応して設けられ、2つの前記受光側光ファイバは、前記変位部材の前記先端部分が変位する方向に並んで互いに隣接配置され、前記変位算出部は、2つの前記受光素子に入射する光量の差に基づいて前記先端部分に現れる変位を求めるよう構成されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、受光側光ファイバ及び受光素子を2つずつ設けることにより、各々の受光素子に入射する光量の差に基づいて変位部材の先端部分に現れる変位を求めることができ、また、変位方向も容易に判定できるので、コイルに流す電流値及び電流の方向を求めるのが容易になる。
【0011】
前記変位検出部で検出される変位が0または略0となるときの前記コイルに流れる電流値に基づいて前記ロバーバル機構に負荷される荷重の大きさを算出する荷重算出部と、前記ロバーバル機構の周囲温度または前記ロバーバル機構自体の温度を測定する温度センサとをさらに備え、前記荷重算出部は、前記温度センサによる測定温度に基づいて、前記荷重の大きさを補正するよう構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、温度センサによる測定温度に基づいて、荷重の大きさを補正することにより、ロバーバル機構等の温度特性に起因する計量誤差を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上に説明した構成を有し、計量精度の向上を図ることができる電磁平衡式重量センサを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0016】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態の一例の電磁平衡式重量センサの正面図である。
図2(A)は、
図1の電磁平衡式重量センサの斜視図であり、
図2(B)は、同電磁平衡式重量センサの変位検出部及びその近傍部分の拡大斜視図であり、
図2(C)は、同電磁平衡式重量センサの変位検出部及びその近傍部分を上方から視た模式平面図である。
【0017】
この電磁平衡式重量センサAは、電子天秤等の計量装置Bに用いられ、後述のロバーバル機構を構成する固定部11が、静止部材(例えば計量装置Bのベース部B1に固定された取付部B2)にボルト等によって固定され、可動部12が、例えば皿等の被計量物載置部B4を支持している取付部B3にボルト等によって固定される。例えば、被計量物載置部B4に被計量物が載せられることにより、可動部12に荷重が負荷される。
【0018】
電磁平衡式重量センサAは、機構体1と、変位検出部2と、電磁力発生装置3と、ストッパ機構4と、制御器5とを備えている。
【0019】
制御器5は、機構体1から離れた計量装置Bの内部(例えばベース部B1)に設置されており、例えば、マイクロコントローラ等を有して構成され、計量装置B全体の制御を行う。この制御器5は、変位検出部2の発光素子21a及び受光素子22a、22bと接続されており、発光素子21aを駆動(発光)制御するとともに受光素子22a、22bの各々から受光する光量に対応する電流を入力する。また、制御器5は、電磁力発生装置3のコイル37と接続されており、コイル37に電流を流す。また、制御器5は、被計量物載置部B4に載置された被計量物の質量値等を表示する計量装置Bの表示部(図示せず)と接続されており、同表示部を制御する。
【0020】
機構体1は、ロバーバル機構1Rと、変位増幅機構1A(てこ機構1L及びアーム部1B)とを備えている。
【0021】
ロバーバル機構1Rは、静止固定される固定部11と、この固定部11と水平方向に離れて平行に配置され荷重が負荷される可動部12と、固定部11と可動部12とを連結し互いに平行に配置された上下のビーム部13、14とを備えている。固定部11と可動部12とは、その上部同士が薄肉部13a、13bを介して上側ビーム部13によって連結され、その下部同士が薄肉部14a、14bを介して下側ビーム部14によって連結されている。このようなロバーバル機構1Rでは、周知のように、可動部12に荷重が負荷されると、可動部12はその姿勢(固定部11と平行な状態)を維持したまま固定部11に対して下方(上下方向)に変位するようになっている。そして、ロバーバル機構1Rは、その上下方向の長さが、固定部11と可動部12とが離間する方向(ビーム部13、14の長手方向)の長さよりも長く、
図1に示すように正面から見て略矩形の上下方向に長い縦長形状になっている。
【0022】
そして、機構体1には、可動部12の上下方向の変位を増幅するために、ロバーバル機構1Rの内側に、てこ機構1L及びアーム部(変位部材)1Bを有する変位増幅機構1Aを備えている。
【0023】
変位増幅機構1A、特に、てこ機構1Lを形成するために、機構体1には、固定部11から内側に突出した突出部11a,11bと、可動部12から内側に突出した突出部12aとが設けられている。そして、てこ機構1Lを構成するために、水平方向に延びた第1,第2てこ部16,18と、上下方向に延びた連結部15,17とが設けられ、アーム部1Bを構成するためのアーム部構成部材19が設けられている。
【0024】
てこ機構1Lは、第1てこ部16及び第2てこ部18を有している。第1てこ部16の一端は、両端に狭窄部15a、15bが形成された連結部15によって可動部12側の突出部12aに連結されており、上記一端よりやや固定部11側の部分がてこの支点となる狭窄部f1を介して固定部11側の突出部11aに連結されている。これにより、第1てこ部16は、狭窄部f1を介して固定部11に対して揺動可能に接続されるとともに、一端が連結部15を介して可動部12に接続され、他端に可動部12の上下方向の変位が増幅されて現れるようになっている。
【0025】
そして、第2てこ部18が第1てこ部16の下方に配置されている。第2てこ部18の固定部11寄りの部分は、両端に狭窄部17a、17bが形成された連結部17によって第1てこ部16の他端の下部に連結されており、さらに固定部11寄りの部分がてこの支点となる狭窄部f2を介して固定部11側の突出部11bに連結されている。これにより、第2てこ部18は、狭窄部f2を介して固定部11に対して揺動可能に接続されるとともに、一端が連結部17を介して第1てこ部16の他端に接続され、他端に第1てこ部16の他端の上下方向の変位が増幅されて現れるようになっている。
【0026】
そして、第2てこ部18の可動部12寄りの部分には、下方向へ延びるアーム部構成部材19がボルトで接続されている。アーム部構成部材19は、第2てこ部18に取り付けられて第2てこ部18と平行で可動部12側へ延びるてこ取付部19xと、てこ取付部19xの可動部12側の端部から下方向へ延びるアーム本体部19vと、アーム本体部19vの下端部から固定部11の方向へ向かう水平方向に延びるアーム先端部19hとを有している。
【0027】
このアーム部構成部材19によって、てこ機構1Lで増幅された可動部12の上下方向の変位を略水平方向の変位へ変換し、かつ増幅するアーム部1Bが構成される。機構体1の中でアーム部構成部材19以外の部分は、単一部品で構成されており、
図2(A)の矢印e方向の幅(厚み)は、同一である。
【0028】
なお、アーム部構成部材19のてこ取付部19xが第2てこ部18に含まれ、アーム本体部19vとアーム先端部19hとで、アーム部1Bが構成されると考えてもよい。
【0029】
また、本例では、機構体1の中でアーム部構成部材19のみを別部品として構成しているが、アーム部構成部材19を含む機構体1全体を単一部品として構成するようにしてもよい。機構体1は、例えばアルミ合金で作製される。
【0030】
前述のように、可動部12に荷重が負荷されると、可動部12が下方向へ変位する。これによって、連結部15及び第1てこ部16の一端が、矢印aで示すように下方向へ変位し(厳密には円弧状に変位する)、第1てこ部16の他端及び連結部17が、矢印bで示すように、上方向へ大きく変位する(厳密には円弧状に変位する)。すると、第2てこ部18の可動部12寄りの部分が、矢印cで示すように上方向へより大きく変位し(厳密には円弧状に変位する)、アーム部構成部材19は、矢印dで示すように、第2てこ部18の支点となる狭窄部f2を中心に回動し、可動部12側へ振れる。このとき、アーム部1Bによって、第2てこ部18の可動部12寄りの部分に現れる変位が、変位方向が90度変更され、かつ増幅されてアーム先端部19hに現れ、アーム先端部19hは略水平方向へ変位する。なお、変位方向を示す矢印a〜dは、大きく図示されているが、実際の変位は、微小である。
【0031】
そして、アーム先端部19hの変位が変位検出部2によって検出されると、変位が0に近づくように、電磁力発生装置3のコイル37に電流が流れるようになっている。
【0032】
変位検出部2は、
図1及び
図2に示すように、例えば、発光部21と、受光部22と、発光側光ファイバ23と、受光側光ファイバ24,25と、アーム先端部19hに設けられた光通過穴(光通過路)19aと、変位算出部(制御器5の機能)とを有している。光通過穴19aはアーム先端部19hとともに、ロバーバル機構1Rの変位(可動部12の変位)に連動して変位する。そして、変位検出部2は、アーム先端部19hの変位を検出することでロバーバル機構1Rの変位を検出するようになっている。
【0033】
発光部21は、例えば、LED等からなる1つの発光素子21aを有して構成され、受光部22は、例えば、発光ダイオード等からなる2つの受光素子22a、22bを有して構成されている。発光素子21a及び受光素子22a、22bは、これらによる発熱が電磁力発生装置3の磁界に影響を及ぼさないように、少なくとも、電磁力発生装置3から離れた場所に取り付けられている。
【0034】
本実施例では、変位検出箇所であるアーム先端部19hは、電磁力発生装置3の近隣にあるので、発光素子21a及び受光素子22a、22bは、アーム先端部19hと電磁力発生装置3の両方から離れた位置に設けている。具体的には、これらは、制御器5の基板またはその近傍のベース部B1等に取り付けられる。あるいは、固定部11の上端付近に取り付けられてもよい。
【0035】
発光側光ファイバ23は、その入射端23aが発光部21の発光素子21aに接続されている。また、2つの受光側光ファイバ24,25は、それぞれの出射端24b,25bが受光素子22a、22bの各々に接続されている。そして、発光側光ファイバ23の出射端23bの端面と、2つの受光側光ファイバ24,25の入射端24a,25aの端面とが、アーム先端部19hの光通過穴19aを挟んで対向するように配置した状態となるように、発光側光ファイバ23の出射端23b側部分と受光側光ファイバ24,25の入射端24a,25a側部分とが、取付部材6の適宜の箇所に取り付けられて固定されている。なお、取付部材6はボルトで固定部11に固定されている。
【0036】
アーム先端部19hの光通過穴19aは、アーム先端部19hが変位する方向と交わる(例えば直交する)方向に貫通して設けられた小さな貫通穴である。そして、2つの受光側光ファイバ24,25の入射端24a,25aの端面は、アーム先端部19hが変位する方向に並んで互いに隣接して配置されている。
【0037】
発光部21の発光素子21aからの出射光は、発光側光ファイバ23を伝搬して、さらに光通過穴19aを通過し、さらに受光側光ファイバ24,25を伝搬した光が受光部22の2つの受光素子22a、22bで受光され、各受光素子22a、22bで受光した光量に応じた信号(以下、「受光信号」という)が制御器5に入力される。
【0038】
また、取付部材6には、ストッパ機構4を構成するための棒状(円柱状)のストッパ部材4aが固定されている。そして、アーム先端部19hには、アーム先端部19hが変位する方向と交わる(例えば直交する)方向に貫通し、ストッパ部材4aの径よりも若干大きな径の貫通穴19bが設けられている。この貫通穴19bの内面(壁面)と隙間を有して貫通穴19bにストッパ部材4aが挿通されている。このアーム先端部19hの貫通穴19bとストッパ部材4aとによってストッパ機構4が構成されている。このストッパ機構4により、アーム先端部19hの変位量が貫通穴19bの内面とストッパ部材4aとの間の隙間以下に規制されることにより、可動部12に過大な荷重が負荷されること(過負荷)等により生じる機構体1の変形等の損傷を防止できる。特に、厚みが薄く大きな力が加わる部分、例えば、てこ機構1Lの支点となる狭窄部f1,f2等の過負荷等による変形等の損傷を防止できる。なお、貫通穴19bの内面とストッパ部材4aとの間隔(隙間の大きさ)は、CAE等を用いてこ機構1Lの支点となる狭窄部f1,f2等にかかる力を適切に抑制することができる間隔となるように設定することができる。
【0039】
ストッパ機構4を、ロバーバル機構1Rの変位(可動部12の変位)に対してより大きな変位が生じる変位増幅機構1Aの先端部分のアーム先端部19hに設けることにより、ストッパ機構4を構成する貫通穴19bの内面とストッパ部材4aとの間隔を大きくとることができ、ストッパ機構4の製作が容易となる。また、ストッパ機構4は、貫通穴19bにストッパ部材4aが挿通されているので、正逆方向の変位に対してストッパ機能が働く。
【0040】
次に電磁力発生装置3について、さらに
図3も参照して説明する。
図3(A)は、電磁力発生装置3の概略断面図であり、
図3(B)は、電磁力発生装置3の外観斜視図であり、
図3(C)は、電磁力発生装置3のヨークの蓋36を外した状態を示す図である。
【0041】
電磁力発生装置3は、静磁場を形成する磁気回路31と、磁気回路31中に配置されるコイル(フォースコイル)37とを備えている。
【0042】
コイル37は、アーム本体部19vの中央部から先端(下端)寄り部分の所定位置にコイル取付金具38を介して取り付けられている。コイル取付金具38はねじ39でアーム本体部19vに固定されている。
【0043】
磁気回路31は、例えば、2つの磁石(永久磁石)32,33とポールピース34とヨーク35とヨークの蓋36とで構成されている。ヨーク35は、一端が開口された有底円筒状の底部分が固定部11に固定されている。ヨークの蓋36は、ヨーク35と同一の鉄等の金属で形成され、ヨーク35の開口側に固定されている。
【0044】
ヨーク35の内底には、磁石32、ポールピース34、磁石33がこの順に積み上げられて固定されている。そして、ヨークの蓋36には、それぞれコイル取付金具38を挿通するための貫通穴36hが2つ設けられている。また、ヨークの蓋36は、2つの半円板部36a、36bに分割されて構成されており、コイル37をヨーク35の内部に配置してから蓋36(36a、36b)を閉じることができる。
【0045】
この計量装置Bでは、被計量物が被計量物載置部B4に載せられることにより可動部12に荷重が負荷されると、可動部12が下方向へ変位し、このときのアーム先端部19hの変位が変位検出部2によって検出される。この際、制御器5は、予め発光素子21aを駆動しており、常時、2つの受光素子22a、22bで受光される光量の差(受光信号の差)に基づいてアーム先端部19hの変位(変位方向及び変位量)を求める(制御器5の変位算出部としての機能)。
【0046】
そして、コイル37の逆方向への動きにより可動部12の荷重と釣り合いがとれる電磁力を生み出すために、2つの受光素子22a、22bで受光される光量が等しくなるように(アーム先端部19hの変位が0に近づくように)、フィードバック制御(PID制御)によってコイル37に電流を流す。そして、制御器5は、上記光量が概ね等しくなったとき(変位が0に近づいたとき、または0になったとき)にコイル37を流れる電流値を、電流質量換算式を用いて被計量物の質量値(負荷荷重の大きさ)に換算する(制御器5の荷重算出部としての機能)。そして、その質量値を、計量装置Bの表示部(図示せず)へ出力して表示させる。なお、制御器5には、コイル37に流した電流値を質量値に換算するための換算式である上述の電流質量換算式が予め記憶されているが、コイル37を流れる電流を抵抗器で電圧の形で取り出し、取り出した電圧を重量に換算してもよい。
【0047】
本実施形態の電磁平衡式重量センサAは、変位検出部2に発光側光ファイバ23及び受光側光ファイバ24、25を用い、変位検出箇所であるアーム先端部19hの光通過穴19aへ、発光側光ファイバ23を介して発光素子21aからの光を出射し、光通過穴19aを通過した光を受光側光ファイバ24、25を介して受光素子22a、22bで受光するようにしているので、発光素子21a及び受光素子22a、22bを電磁力発生装置3から遠ざけて配置することができる。よって、発光素子21a及び受光素子22a、22bの発熱による電磁力発生装置3の磁界への影響を排除し、上記発熱に起因する計量誤差を抑制し、計量精度の向上を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、受光側光ファイバ24、25及び受光素子22a、22bを2つずつ設けることにより、各々の受光素子22a、22bに入射する光量の差に基づいて変位増幅機構1Aの先端部分(アーム先端部19h)に現れる変位を求めることができ、また、変位方向も容易に判定できるので、コイル37に流す電流値及び電流の方向を求めるのが容易になる。本実施形態では、受光側光ファイバ24に接続された受光素子22aで受光する光量が、受光側光ファイバ25に接続された受光素子22bで受光する光量よりも大きくなった場合には、アーム先端部19hの変位方向が可動部12へ近づく方向であり、逆の場合には、アーム先端部19hの変位方向が可動部12から遠ざかる方向である。
【0049】
なお、2つの受光側光ファイバ24、25及び受光素子22a、22bに代えて、1つの受光側光ファイバ及び受光素子を設けるようにしてもよい。この場合、例えば、1つの受光側光ファイバの入射端の端面を、アーム先端部19hを挟んで発光側光ファイバ23の出射端23bの端面と真向かいに対向させて配置する。そして、アーム先端部19hに、光通過穴19aに代えて、アーム先端部19hが変位する方向(可動部12へ近づく方向であるかその逆方向であるか)に応じて、受光側光ファイバを伝搬して受光素子に受光される光量が増減するように、光通過路が設けられるようにしてもよい。
【0050】
例えば、光通過路として、アーム先端部19hに、その変位する方向に長い矩形の貫通穴を設ける。そして、アーム先端部19hの変位が0のときには、光通過路の矩形の略半分の領域を発光側光ファイバ23の出射される光が通過し、可動部12へ近づく方向に変位するときには、光通過路も変位することで、光通過路内で光が通過する領域が増加(または減少)し、可動部12へ近づく方向に変位するときには、光通過路も変位することで、光通過路内で光が通過する領域が減少(または増加)するように、光通過路を設けるようにすればよい。
【0051】
また、ロバーバル機構1Rを含む機構体1は、その構成部材(弾性体)が温度によって特性が変化する。そのため、ロバーバル機構1Rの周囲温度またはロバーバル機構1R自体の温度を測定する温度センサ(例えばサーミスタ等)を設け、この測定温度に基づいて、制御器5が、コイル37の電流値に基づいて算出した被計量物の質量値を補正するようにしてもよい。例えば、予め定められた温度補正用の演算式を用いて補正された質量値を算出するようにしてもよい。このように補正することで、ロバーバル機構1R等の温度特性に起因する計量誤差を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、変位増幅機構1Aをてこ機構1Lとアーム部1Bとで構成し、アーム部1Bがてこ機構1Lから下方へ延びるように設けられ、電磁力発生装置3のコイル37がアーム部1Bに連動して変位するよう構成されているので、てこ機構1Lの下方にアーム部1B及び電磁力発生装置3が配置された上下方向に長い構成にでき、占有面積(設置面積)を小さくすることができ、設置スペースが小さい計量装置にも使用することができる。
【0053】
また、本実施形態では、てこ機構1Lを、2つのてこ部16,18を有する構成としたが、1つ以上のてこ部を有していればよい。例えば、てこ機構1Lとして、1つのてこ部16のみを有し、このてこ部16にアーム部1Bが接続された構成でもよい。てこ機構1Lを、2つのてこ部16,18を有する構成とした方が、1つのてこ部16のみの場合に比べて、変位の検出精度を高めることができるとともに、変位を0に近づけるためのコイル37に流す電流を小さくすることができる。
【0054】
また、ロバーバル機構1Rが上下方向に長い縦長形状であるので、例えば被計量物が被計量物載置部B4の一端部に偏って載せられること等によって、可動部12に偏荷重が負荷されたときのねじれ耐性を向上することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、ロバーバル機構1Rを縦長形状とし、ロバーバル機構1Rの内側に、変位増幅機構1A(てこ機構1L及びアーム部1B)等を設けたが、この構成に限られず、変位増幅機構1Aの全部または一部がロバーバル機構1Rの外側にあってもよい。例えば、ロバーバル機構1Rを横長形状とし、ロバーバル機構1Rの下側ビーム部14の下方に、変位増幅機構1A、変位検出部2、電磁力発生装置3及びストッパ機構4等を設けた構成としてもよい。
【0056】
また、変位増幅機構1Aは、下方に延びるアーム部1Bの代わりに、てこ機構1Lの先端部分を水平方向に延ばした延伸部分を設けた構成としてもよい。この場合、延伸部分に対して電磁力発生装置3を設け、延伸部分の先端部分の変位を検出するように変位検出部2を設け、延伸部分の先端部分に対してストッパ機構4を設けるようにすればよい。
【0057】
また、電磁力発生装置3は、他の構成でもよく、例えば、1つの磁石を用いて磁気回路を構成するようにしてもよい。
図4(A)は、他の例の電磁力発生装置3Aの斜視図であり、
図4(B)は、他の例の電磁力発生装置3Aの側面図である。
図4において、
図3と対応する部分には、同一符号を付して説明を省略する。この電磁力発生装置3Aは、先述の電磁力発生装置3から磁石33とヨークの蓋36とを除いた構成である。この場合、磁気回路は、磁石32とポールピース34とヨーク35とで構成されている。
【0058】
本実施形態における電磁平衡式重量センサAは、上述の計量装置Bのようなデジタル式の上皿秤等の計量装置に使用することができる他、例えば、複数の計量ホッパを有する組合せ秤の各計量ホッパ等にも使用することができる。例えば、計量ホッパの場合、被計量物を一時保持して排出するホッパがロバーバル機構1Rの可動部12に連結支持された構成となる。
【0059】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。