特許第6794049号(P6794049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794049
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】トラックスケール
(51)【国際特許分類】
   G01G 3/12 20060101AFI20201119BHJP
   G01G 3/18 20060101ALI20201119BHJP
   G01G 19/02 20060101ALI20201119BHJP
   G01L 1/22 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   G01G3/12
   G01G3/18
   G01G19/02 B
   G01L1/22 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-13976(P2017-13976)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-124074(P2018-124074A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】中安 佑介
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 実用新案登録第2558001(JP,Y2)
【文献】 特開平10−221183(JP,A)
【文献】 特許第5143763(JP,B2)
【文献】 特許第6052880(JP,B2)
【文献】 米国特許第4543837(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0044601(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置する載台と該載台を支持する複数のロードセルとが、ピット内に組み込まれるトラックスケールであって、
前記載台側の金属製の支持部材と前記ピット側の金属製の支持部材との間に、前記ロードセルが配置され、
前記ロードセルの起歪体は、柱状であって、該起歪体の上端部及び下端部に、前記載台側及び前記ピット側の前記支持部材から荷重を受けるものであり、
前記上端部と前記載台側の支持部材との間、及び、前記下端部と前記ピット側の支持部材との間に、金属材からなる荷重受け金具及び断熱材が、該断熱材を、前記支持部材と前記金属材からなる荷重受け金具とで挟んだ状態でそれぞれ介在する、
ことを特徴とするトラックスケール。
【請求項2】
前記起歪体、前記金属材からなる荷重受け金具、及び、前記支持部材が、同じ金属材料からなる、
請求項1に記載のトラックスケール。
【請求項3】
前記断熱材が、樹脂材である請求項1または2に記載のトラックスケール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重検出器として使用されるロードセルを用いたトラックスケールに関する。
【背景技術】
【0002】
ロードセルは、各種の荷重検出器、例えば、液体や固体等の各種の物品を貯留するタンクやホッパの荷重検出器として使用される場合があるが、かかる場合には、例えば、特許文献1に記載されているように、タンクやホッパの底面に固定された取付金具を介して、タンクやホッパの荷重が、ロードセルの荷重受け部に印加されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−163877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンクやホッパには、高温や低温の物品が貯留され、タンクやホッパの温度が、貯留される物品の温度によって変動する場合がある。
【0005】
上記のように、ロードセルの荷重受け部は、熱伝導率の高い金属製の取付金具を介してタンクやホッパ等の底面に取付けられているので、ロードセルは、タンクやホッパの温度変動の影響を受けることになる。
【0006】
ロードセルは、温度変動によって、ロードセルを構成する起歪体のヤング率や起歪体に貼着されている歪ゲージの抵抗値が変化するために、温度変動の影響を受けて計量精度が低下することになる。
【0007】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、温度変動によるロードセルの計量精度の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0009】
(1)本発明のトラックスケールは、車両を載置する載台と該載台を支持する複数のロードセルとが、ピット内に組み込まれるトラックスケールであって、
前記載台側の金属製の支持部材と前記ピット側の金属製の支持部材との間に、前記ロードセルが配置され、前記ロードセルの起歪体は、柱状であって、該起歪体の上端部及び下端部に、前記載台側及び前記ピット側の前記支持部材から荷重を受けるものであり、前記上端部と前記載台側の支持部材との間、及び、前記下端部と前記ピット側の支持部材との間に、金属材からなる荷重受け金具及び断熱材が、該断熱材を、前記支持部材と前記金属材からなる荷重受け金具とで挟んだ状態でそれぞれ介在する
【0011】
本発明のトラックスケールによると、起歪体の上端部及び下端部は、載台側及びピット側の支持部材との間に、金属材からなる荷重受け金具及び断熱材が介在されると共に、断熱材が、金属材からなる荷重受け金具と金属製の支持部材とによって挟まれた状態で介在されるので、起歪体には、金属材からなる荷重受け金具と金属製の支持部材とを介して荷重が安定して印加される一方、その間に挟まれた断熱材によって、上下の支持部材の温度差が起歪体に与える影響を、抑制することができる。例えば、載台上に進入載置された車両のエンジンからの熱によって上昇する載台側の支持部材の温度変動が起歪体に与える影響を、低減することができ、これによって、ロードセルの計量精度の低下を抑制することができる。
【0016】
)本発明のトラックスケールの他の実施態様では、前記起歪体、前記金属材からなる荷重受け金具、及び、前記支持部材が、同じ金属材料からなる。
【0017】
この実施態様によると、前記起歪体、前記金属材からなる荷重受け金具、及び、前記支持部材が、同じ金属材料からなるので、起歪体に印加される荷重によって金属材からなる荷重受け金具や支持部材が変形したりすることなく、上下の支持部材からの荷重が、安定して起歪体に印加される。
【0018】
)本発明のトラックスケールの更に他の実施態様では、前記断熱材が、樹脂材である。
【0019】
この実施態様によると、熱伝導率の低い樹脂材を断熱材とすることによって、効率的に断熱することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のトラックスケールによると、起歪体の上端部及び下端部は、載台側及びピット側の支持部材との間に、金属材からなる荷重受け金具及び断熱材が介在されると共に、断熱材が、金属材からなる荷重受け金具と金属製の支持部材とによって挟まれた状態で介在されるので、起歪体には、金属材からなる荷重受け金具と金属製の支持部材とを介して荷重が安定して印加される一方、その間に挟まれた断熱材によって、上下の支持部材の温度差が起歪体に与える影響を、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の実施形態に係るトラックスケールの設置状態の平面図である。
図2図2図1の一つの角部の縦断側面図である。
図3図3図2を拡大した一部断面図である。
図4図4図1のトラックスケールのブロック図である。
図5図5参考例としての組合せ秤の概略摸式図である。
図6図6参考例としてのロードセル取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面によって本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態に係るトラックスケールの設置状態を示す平面図であり、図2は、その一つの角部の縦断側面図である。
【0028】
この実施形態のトラックスケール1は、トラック等の車両が進入して載置される平面視矩形の載台2と、この載台2の下方の複数個所、この例では、4つ角部をそれぞれ支持する4個のロードセル3とを、地表面4を掘り下げて形成したコンクリート製のピット5に組み込んだピット式のトラックスケールである。
【0029】
コンクリート製のピット5は、載台2の上面が、地表面4と同じ高さとなるように地表面4を掘り下げて形成され、鋼鉄製の載台2とピット5との間に、圧縮型の各ロードセル3がそれぞれ設置されている。各ロードセル3は、直立した状態で載台2を支持し、載台2上に進入載置される車両の重量に応じた荷重が、各ロードセル3に分散して印加される。
【0030】
載台2の外周部である外側面2aとピット5の内壁5aとの間には、載台2の正常な揺れ動きでは、接触しないように所要の隙間が確保されている。
【0031】
この実施形態では、温度変動によるロードセル3の計量精度の低下を抑制するために、ロードセル3を、載台2とピット5との間に次のようにして取付けている。
【0032】
すなわち、各ロードセル3は、図2に示すように、載台2に取付けられた支持部材としての上側支持金具20と、ピット5の底面に取付けられた支持部材としての下側支持金具21との間に配置される。
【0033】
更に、板状の上側支持金具20とロードセル3の上端部との間には、上側断熱材22及び金属材からなる上側荷重受け金具24が介在され、板状の下側支持金具21とロードセル3の下端部との間には、下側断熱材23及び金属材からなる下側荷重受け金具25が介在される。
【0034】
図3は、図2を拡大した一部断面図である。
【0035】
この実施形態のロードセル3は、概略円柱状の起歪体30を有する圧縮型のロードセルである。起歪体30は、例えばアルミニウム合金やステンレス等の金属からなる。この起歪体30は、その長手方向における中央部分を、荷重によってひずみが発生する起歪部31としており、この起歪部31には、圧縮歪及び伸長歪をそれぞれ検出する図示しない複数の歪ゲージが貼着されている。複数の歪ゲージは、ブリッジ回路を構成し、起歪体30に印加される荷重に応じたアナログ荷重信号を出力する。
【0036】
起歪体30の上下の両端部分32,33は、起歪部31よりも太めに形成され、その両端面34,35は、曲面状に突出している。起歪体30は、上下の両端部分32,33を外部に露出させた状態で、金属製のケース36によって覆われている。
【0037】
起歪体30を含むロードセル3は、当該起歪体30が直立した状態、すなわち、起歪体30の中心軸が垂直方向に延伸するように取付けられる。このとき、起歪体30の上端面34は、ロードセル3に対応した円柱状の上側荷重受け金具24の上側荷重受け面24aに接触する。また、起歪体30の下端面35は、ロードセル3に対応した円柱状の下側荷重受け金具25の下側荷重受け面25aに接触する。具体的には、上側荷重受け金具24の上側荷重受け面24aは、水平な平面であり、この上側荷重受け面24aに、起歪体30の上端面34の中心が、点接触する。また、下側荷重受け金具25の下側荷重受け面25aもまた、水平な平面であり、この下側荷重受け面25aに、起歪体30の下端面35の中心が、点接触する。
【0038】
なお、上側荷重受け面24a及び下側荷重受け面25aの周囲には、起歪体30がずれないように、下方及び上方にそれぞれ突出する壁部24b,25bが形成されている。
【0039】
上側荷重受け金具24と上側支持金具20との間には、円板状の上側断熱材22が介在され、下側荷重受け金具25と下側支持金具21との間には、円板状の下側断熱材23が介在されている。
【0040】
上下の各断熱材22,23は、熱伝導率の低い樹脂、例えば、ベークライトからなる。
【0041】
この実施形態では、上側支持金具20とロードセル3の上端面34との間には、上側断熱材22が、上側支持金具20と上側荷重受け金具24とによって挟まれた状態で介在される一方、下側支持金具21とロードセル3の下端面35との間には、下側断熱材23が、下側支持金具21と下側荷重受け金具25とによって挟まれた状態で介在される、すなわち、ロードセル3の上端面34と載台2との間には、上側断熱材22が介在され、ロードセル3の下端面35とピット5の底面との間には、下側断熱材23が介在される。
【0042】
これによって、ロードセル3は、上下からの熱の伝達を抑制することができ、載台2とピット5底面との温度差による影響を受けることがなく、例えば、載台2上に進入載置された車両のエンジンからの熱によって、温度が上昇する載台2の温度変動の影響を受けることがなく、ロードセル3の計量精度が低下するのを抑制することができる。
【0043】
また、上側断熱材22は、金属製の上側支持金具20と上側荷重受け金具24との各平面によって挟まれた状態で、また、下側断熱材23は、金属製の下側支持金具21と下側荷重受け金具25の各平面とによって挟まれた状態であるので、上下の支持金具20,21からの荷重が、起歪体30を直立した状態でロードセル3に安定して印加される。
【0044】
更に、この実施形態では、上下の支持金具20,21と上下の荷重受け金具24,25は、ロードセル3の起歪体30と同じ金属材料で構成されており、支持金具20,21や荷重受け金具24,25が変形することなく、起歪体30に荷重が印加される。
【0045】
なお、この実施形態では、上下の荷重受け金具24,25と、上下の断熱材22,23とは、分離された個別の部材であるが、取扱い易いように、上下の荷重受け金具24,25と、上下の断熱材22,23とを、接着剤等によってそれぞれ接合して一体化してもよい。
【0046】
図4は、この実施形態のトラックスケール1のブロック図である。
【0047】
この実施形態のトラックスケール1は、上記の各ロードセル3と、各ロードセル3が接続された指示計8とを備えている。
【0048】
各ロードセル3は、上記のように、印加された荷重に応じたアナログ荷重信号を、ブリッジ回路から出力する。
【0049】
指示計8は、各ロードセル3からのアナログ荷重信号をA/D変換するA/D変換器10と、A/D変換器10からのデジタル荷重信号に基づいて、載台2上の車両の重量を演算するマイコン11と、各種の設定入力を行なうための操作キーを有する操作入力部12と、計測された重量値等を表示する表示部13とを備えている。
【0050】
以上のように本実施形態では、載台2とピット5との間に配置される圧縮型のロードセル3は、起歪体30の上下両端部32,33と、上下の支持金具20,21との間に、上下の断熱材22,23をそれぞれ介在させたので、この断熱材22,23によって、上下からの起歪体30への熱の伝達を抑制することができ、これによって、載台2とピット5底面との温度差が、起歪体に与える影響を低減することができ、ロードセル3の温度変動による計量精度の低下を抑制することができる。
【0051】
また、上下の断熱材22,23は、平板状の上下の支持金具20,21と、上下の荷重受け金具24,25の平面とによって挟まれた状態で介在しているので、上下の支持金具20,21からの荷重が、直立した状態の起歪体30に安定して印加される。
【0052】
図5は、参考例としての組合せ秤の概略模式図である。
【0053】
組合せ秤は、図5の概略模式図に示すように、上部中央には、外部の供給装置から供給される計量対象の物品を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ40が設けられ、分散フィーダ40の周囲には、分散フィーダ40から送られてきた物品を振動によって各供給ホッパ41に送りこむためのリニアフィーダ42が設けられている。リニアフィーダ42の終端下方には、複数の供給ホッパ41、計量ホッパ43がそれぞれ対応して設けられ、分散フィーダ40を中心に円状に配置されている。また、各計量ホッパ43は、計量ホッパ43内の物品の重量を計測するロードセル44に支持されており、ロードセル44によって重量が計測される。計量ホッパ43の下方には集合シュート45が配設され、計量ホッパ43から排出される物品を集めて集合ホッパ46を介して下方へ排出する。この組合せ秤の下方には、例えば包装機が配置されており、集合ホッパ46から排出された物品は包装機の投入口へ投入される。
【0054】
組合せ秤では、図示しない制御部によって組合せ演算が行われる。この組合せ演算では、複数の計量ホッパ43の物品の重量値を種々組合せた合計重量値(組合せ重量値)が、目標組合せ重量値に対して許容範囲内である最適組合せの計量ホッパ43を選択し、選択した計量ホッパ43から物品が排出され、集合ホッパ46を介して包装機へ投入されて包装される。
【0055】
図6は、この組合せ秤におけるロードセル44の取付状態を示す概略図である。
【0056】
この参考例のロードセル44は、起歪体47を備えており、この起歪体47は、上下一対の平行ビーム47a,47bの両端が連結されて、一端部が固定端部47c、他端が可動端部47dとされた平行四辺形型(ロバーバル型)のロードセルである。
【0057】
起歪体47の固定端部47cの端面は、固定側金属材48、固定側断熱材49を介してロードセル支持金具50にネジによって固定連結されている。また、起歪体47の可動端部47dの端面は、可動側金属材51、可動側断熱材52を介してL字状の計量ホッパ支持金具53にネジによって固定連結されている。計量ホッパ支持金具53には、計量ホッパ43が連結支持されている。
【0058】
これによって、計量ホッパ43の重量が、起歪体47に負荷され、その重量が計測される。
【0059】
この参考例では、起歪体47の固定端部47c側及び可動端部47d側には、それぞれ断熱材49,52が介挿されているので、起歪体47への熱伝達が抑制される。これによって、計量ホッパ43に、例えば、冷凍食品のような低温の物品や湯がいたコーンのような高温の物品が供給されて計量されるような場合に、低温あるいは高温の物品からの熱が計量ホッパ支持金具53等を介して起歪体47に伝達するのが、断熱材51によって抑制されることになる。また、組合せ秤本体側から熱、例えば、上記各ホッパ41,43の排出ゲートを開閉する駆動部や上記各フィーダ40,42を振動駆動する駆動部からの発熱が、ロードセル支持金具50等を介して起歪体47に伝達するのが、断熱材49によって抑制されることになる。
【0060】
このようにロードセル44の起歪体47の両端部47c,47dへの熱の伝達が抑制されるので、例えば、計量ホッパ43に供給される物品の温度等による温度変動の影響を受けにくくなり、温度変動によるロードセル44の計量精度の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 トラックスケール
2 載台
3,44 ロードセル
5 ピット
8 指示計
20 上側支持金具(支持部材)
21 下側支持金具(支持部材)
22 上側断熱材
23 下側断熱材
24 上側荷重受け金具
25 下側荷重受け金具
30,47 起歪体
図1
図2
図3
図4
図5
図6