特許第6794080号(P6794080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6794080
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】電磁式シャットオフノズル
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/23 20060101AFI20201119BHJP
   B22D 17/20 20060101ALI20201119BHJP
   F16K 3/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B29C45/23
   B22D17/20 M
   F16K3/00
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-184254(P2019-184254)
(22)【出願日】2019年10月7日
【審査請求日】2019年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】河口 倫範
【審査官】 松田 成正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−179766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B05B 1/00− 3/18
B05B 7/00− 9/08
B22D 17/00−17/32
F16K 3/00− 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出装置に取り付けられるシャットオフノズルであって、
前記シャットオフノズルは、磁石からなる弁体と複数本の電磁石とを備え、
前記弁体は、前記シャットオフノズルの本体に完全に収納され、前記電磁石によって少なくとも第1、2の位置に駆動されるようになっており、前記第1の位置を採ると前記シャットオフノズル内の樹脂流路が連通し、前記第2の位置を採ると前記樹脂流路が遮断されるようになっていることを特徴とするシャットオフノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のシャットオフノズルにおいて、前記電磁石と前記弁体とは前記シャットオフノズルを形成している非磁性体金属材料によって互いに遮断されていることを特徴とするシャットオフノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシャットオフノズルにおいて、前記弁体は球状に形成されていると共に直径方向に貫通孔が空けられており、シャットオフノズル内で回転して前記第1、2の位置を採るようになっていることを特徴とするシャットオフノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャットオフ弁を備えた射出成形機の射出ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来周知のように射出成形機に設けられている射出装置は、加熱シリンダ、この加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能なスクリュ、等から構成されている。加熱シリンダの先端には射出ノズルが設けられ、金型にタッチさせるようになっている。ホッパから加熱シリンダ内に樹脂ペレットを供給し、加熱シリンダを加熱すると共にスクリュを回転すると樹脂ペレットは溶融してスクリュの先端部に送られてスクリュは後退する。すなわち計量される。溶融樹脂が所定量計量されたらスクリュの回転を停止する。射出ノズルを金型にタッチさせスクリュを軸方向に駆動する。そうすると溶融樹脂が射出ノズルを介して金型に射出され、成形品が得られる。ところで射出ノズルを金型から離間させているとき、粘度の低い樹脂を使用している場合には射出ノズルから溶融樹脂が漏れる、いわゆるハナタレが発生することがある。特に溶融樹脂中に高圧の不活性ガスを混練するようにしている場合には、樹脂の粘度が低下するのでハナタレが発生し易い。このようなハナタレを防止する射出装置として、シャットオフ弁を備えた射出ノズルつまりシャットオフノズルが周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−231671号公報
【特許文献2】特開2012−213993号公報
【0004】
シャットオフノズルとして、例えば特許文献1、2等によって本出願人が提案しているように、射出ノズルにロータリー弁からなるシャットオフ弁が設けられているものが知られている。ロータリー弁は円柱状に形成されており、円柱には円柱の軸と直交する溝あるいは貫通孔が形成されている。そして射出ノズルには射出ノズル内の樹脂流路と直交するようにバルブボアが開けられている。ロータリー弁はこのバルブボアに回転自在に挿入され、バルブボアとロータリー弁とからシャットオフ弁が構成されている。所定のアクチュエータによりロータリー弁を回転すると、その回転位置によって射出ノズル内の樹脂通路が連通したり、遮断されるようになっている。このようなシャットオフノズルは、バルブボアとロータリー弁の隙間から樹脂が漏れやすくなるので、特許文献1に記載されているように樹脂漏れを防止するシールが色々提案されている。あるいは特許文献2に記載されているように、ロータリー弁に所定のテーパ部を設け、テーパ部に対して所定の隙間調整リングを押しつけるようにして、ロータリー弁とバルブボアとの隙間を可及的に少なくするような方法も提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシャットオフノズルでも、樹脂流路を遮断することができるのでハナタレを防止することはできる。すなわち樹脂流路を適切に連通させたり遮断させたりすることについては問題がない。しかしながら、シャットオフノズルは、可動部であるロータリー弁が射出ノズルを貫通しているので、必然的に樹脂漏れの問題がある。長期間の使用でロータリー弁を回転すると、摩耗してバルブボアとの隙間が大きくなってしてしまうからである。特許文献1に記載のシャットオフノズルにおいては、ロータリー弁にシールが設けられていて樹脂漏れを防止している。また、特許文献2に記載のシャットオフノズルにおいては、ロータリー弁にテーパ部を設け、このテーパ部に隙間調整リングを押しつけて可及的にこの隙間が小さくなるようになっている。従ってある程度、樹脂漏れを発生しにくくすることはできる。しかしながら、完全に樹脂漏れを防止することは難しい。従って長期間の運転を経ると、ロータリー弁とバルブボアとの隙間から漏れた樹脂がロータリー弁周りに蓄積する現象が発生する場合がある。樹脂が蓄積すると周囲環境が汚染されるし、射出ノズルに設けられているヒータに付着して発火の危険もある。
【0006】
本発明は、上記したような問題点を解決したシャットオフノズルを提供することを目的としており、具体的には樹脂漏れが発生せず、樹脂流路を適切に連通させ、遮断することができるシャットオフノズルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、射出装置のシャットオフノズルに磁石からなる弁体と複数本の電磁石とを設ける。弁体はシャットオフノズル内の樹脂流路内に設け、シャットオフノズルの本体に完全に収納するようにする。電磁石によって弁体を駆動すると、弁体は第1、2の位置を採ることができ、第1の位置を採ると樹脂流路が連通し、第2の位置を採ると樹脂流路が遮断されるように構成する。
【0008】
すなわち本発明は、射出装置に取り付けられるシャットオフノズルであって、前記シャットオフノズルは、磁石からなる弁体と複数本の電磁石とを備え、前記弁体は、前記シャットオフノズルの本体に完全に収納され、前記電磁石によって少なくとも第1、2の位置に駆動されるようになっており、前記第1の位置を採ると前記シャットオフノズル内の樹脂流路が連通し、前記第2の位置を採ると前記樹脂流路が遮断されるようになっていることを特徴とするシャットオフノズルとして構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシャットオフノズルにおいて、前記電磁石と前記弁体とは前記シャットオフノズルを形成している非磁性体金属材料によって互いに遮断されていることを特徴とするシャットオフノズルとして構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のシャットオフノズルにおいて、前記弁体は球状に形成されていると共に直径方向に貫通孔が空けられており、シャットオフノズル内で回転して前記第1、2の位置を採るようになっていることを特徴とするシャットオフノズルとして構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、射出装置に取り付けられるシャットオフノズルであって、シャットオフノズルは、磁石からなる弁体と複数本の電磁石とを備えている。そして、弁体はシャットオフノズルの本体に完全に収納され、電磁石によって少なくとも第1、2の位置に駆動されるようになっており、第1の位置を採るとシャットオフノズル内の樹脂流路が連通し、第2の位置を採ると樹脂流路が遮断されるようになっている。そうすると弁体は可動部になっていて磁石によって間接的に駆動することができる。間接的に駆動すればいいので、弁体をシャットオフノズル内に完全に収納することができる。可動部である弁体を完全にシャットオフノズル内に収納するので樹脂漏れを完全に防止できる。他の発明によると、電磁石と弁体とはシャットオフノズルを形成している非磁性体金属材料によって互いに遮断されている。従って電磁石の箇所からの樹脂漏れの虞がない。長期間シャットオフノズルを使用して弁体や、弁体を収納しているボア等が多少摩耗したとしても、樹脂漏れを完全に防止できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係るシャットオフノズルを示す正面断面図である。
図2】本実施の形態に係るシャットオフノズルの一部を示す図で、その(A)、(B)はそれぞれ弁体が第1の位置、第2の位置を採っている状態を示す、シャットオフノズルの正面断面図である。
図3】本発明の他の実施の形態に係るシャットオフノズルを示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態に係るシャットオフノズル1も、図1に示されているように射出装置2のノズルアダプタ3に設けられている。射出装置2もノズルアダプタ3も格別に特徴はなく、本実施の形態に係るシャットオフノズル1は、従来の射出装置、ノズルアダプタに取り付けることができるようになっている。
【0012】
本実施の形態に係るシャットオフノズル1は、その本体が非磁性体金属からなり後方側と前方側の2部品から構成されている。すなわち後方側のノズルベース部5と、前方側のノズル先端部6からなる。ノズルベース部5とノズル先端部6はそれぞれの端面において互いに接続されるようになっており、それぞれ樹脂流路7、8が形成されている。これらの端面には樹脂流路7、8と連通する半球状凹部10、11が形成されており、次に説明する球体の弁体13が入れられるようになっている。
【0013】
本実施の形態に係るシャットオフノズル1は、球体の磁石からなる弁体13を備えている。弁体13には直径方向の貫通孔15が空けられており、樹脂が流れる流路になっている。このような弁体13が、ノズルベース部5とノズル先端部6の半球状凹部10、11に収納され、ノズルベース部5とノズル先端部6とが接続されている。ノズルの本体がノズルベース部5とノズル先端部6の2部品から構成されているのは、このように内部に弁体13を収納するためである。ノズルベース部5とノズル先端部6の接続は液密的であり、これらの端面から樹脂が外部に漏れることはない。
【0014】
ノズルベース部5とノズル先端部6には、それぞれの外周面に有底の凹部17、18、19、20が形成され、それぞれの凹部17、18、19、20に、第1〜4の電磁石22、23、24、25が入れられている。第1〜4の電磁石22、23、24、25はそれぞれの先端部が弁体13に近接しているが、これらの凹部17、18、19、20は有底なので、第1〜4の電磁石22、23、24、25と弁体13は薄肉の金属によって完全に遮断されることになる。従って、弁体13から凹部17、18、19、20に樹脂漏れが発生することはない。なおこれらの薄肉の金属は前記したように非磁性体金属から形成されているので、第1〜4の電磁石22、23、24、25によって発生する磁界は、薄肉の金属を透過して弁体に作用させることができる。第1〜4の電磁石22、23、24、25は、個別に電流の供給を制御できるコントローラ27に接続されている。
【0015】
本実施の形態に係るシャットオフノズル1の作用を説明する。図2の(A)に示されているように、第1〜4の電磁石22、23、24、25に電流を供給し、弁体13に近接している先端部を、それぞれN極、N極、S極、S極にする。弁体13を構成している磁石は、図2の(A)に示されているように磁性を帯びている。つまりN極、S極が配置されている。従って、第1〜4の電磁石22、23、24、25によって発生する磁界により弁体13は第1の位置を採る。すなわち、貫通孔15は樹脂流路7、8と整合し、樹脂流路7、8が連通する。ノズル先端部6を図に示されていない金型にタッチして、射出装置2において予め計量していた溶融樹脂を射出する。そうすると溶融樹脂は樹脂流路7、貫通孔15、樹脂流路8を通って金型に射出される。成形品が成形される。次に第1〜4の電磁石22、23、24、25のうち、第1、4の電磁石22、25に供給する電流だけを逆向きにする。そうすると、図2の(B)に示されているように、第1〜4の電磁石22、23、24、25の弁体13に近接している先端部は、それぞれS極、N極、S極、N極になる。弁体13は磁界によって回転し、図2の(B)に示されているように第2の位置を採る。そうすると樹脂流路7、8は弁体13によって遮断される。ノズル先端部6を金型から離間して、射出装置2において溶融樹脂を計量する。計量中において樹脂流路7、8は遮断されているのでハナタレは発生しない。計量が完了したら、第1、4の電磁石22、25に供給する電流の向きを逆向きにする。そうすると、図2の(A)に示されているように、弁体13が第1の位置を採って樹脂流路7、8が連通する。ノズル先端部6を金型にタッチして射出成形する。以下同様にして成形サイクルを繰り返す。
【0016】
本実施の形態に係るシャットオフノズル1は色々な変形が可能である。例えば、電磁石の本数を変形することができる。本実施の形態においては電磁石は4本設けられているが、第1、2の電磁石22、23の2本だけでも弁体13を第1、2の位置に駆動することができる。あるいは5本以上設けるようにしてもよい。さらには弁体13を変形することもできる。図3には、第2の実施の形態に係るシャットオフノズル1’が示されているが、弁体30は円柱状に形成されている。弁体30は、ノズルベース部5’とノズル先端部6’のそれぞれに形成されている円柱状の凹部に収納されており、上下にスライド自在に構成されている。弁体30には、その一部に直径方向の貫通孔31が空けられており、一方の端部がN極、他方の端部がS極になっている。シャットオフノズル1’には、第1、2の電磁石22’、23’が設けられており、第1、2の電磁石22’、23’に電流を通電させて、弁体30側のそれぞれの先端部をN極、N極にすると、図3に示されているように弁体30が第1の位置を採る。そうすると、樹脂流路7、8、と貫通孔31が整合して樹脂流路が連通する。第1、2の電磁石22’、23’に供給する電流の向きを逆転させると、弁体30側のそれぞれの先端部はS極、S極になる。弁体30は下方にスライドし第2の位置を採る。そうすると樹脂流路7、8が弁体30によって遮断される。
【符号の説明】
【0017】
1 シャットオフノズル 2 射出装置
3 ノズルアダプタ 5 ノズルベース部
6 ノズル先端部 7 樹脂流路
8 樹脂流路 13 弁体
15 貫通孔 22 第1の電磁石
23 第2の電磁石 24 第3の電磁石
25 第4の電磁石 27 コントローラ
30 弁体
【要約】
【課題】樹脂漏れが発生せず、樹脂流路を適切に連通させ、遮断することができるシャットオフノズルを提供する。
【解決手段】射出装置(2)のシャットオフノズル(1)に磁石からなる弁体(13)と複数本の電磁石(22、23、24、25)とを設ける。弁体(13)はシャットオフノズル(1)内の樹脂流路(7、8)内に設ける。電磁石(22、23、24、25)によって弁体(13)を駆動すると、弁体(13)は第1、2の位置を採る。第1の位置を採ると樹脂流路(7、8)が連通し、第2の位置を採ると樹脂流路(7、8)が遮断される。なお、電磁石(22、23、24、25)と弁体(13)とはシャットオフノズル(1)を形成している非磁性体金属材料によって互いに遮断されるようにする。
【選択図】図1
図1
図2
図3