特許第6794086号(P6794086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794086自重を利用してたためる折りたたみ椅子用荷棚装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6794086
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】自重を利用してたためる折りたたみ椅子用荷棚装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20201119BHJP
   A47C 4/04 20060101ALI20201119BHJP
   A47C 5/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A47C7/62 A
   A47C4/04 B
   A47C5/10 K
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-97242(P2020-97242)
(22)【出願日】2020年5月1日
【審査請求日】2020年5月1日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513074747
【氏名又は名称】吉村 きよ美
(72)【発明者】
【氏名】吉村 善四郎
【審査官】 野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−021943(JP,U)
【文献】 特開平10−287330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C7/00−7/74
A47C4/04
A47C5/10
B65D6/00−13/02
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折りたたみ椅子の座板の下側に取り付けるための取着部材と、
該取着部材の左右側辺に、上段と中段と下段を蝶番とする吊体の上段を連結し、
該吊体の下段に荷棚の左右側辺を連結して、
該荷棚を下辺とし、前記左右の吊体を左右側辺とし、前記取着部材を上辺とする四角形が、下辺より上辺が短い台形とすることで、前記左右の吊体を内側に傾斜させ、前記荷棚を押し上げたときに、前記中段の蝶番に内方向への初動力を発生させることを特徴とする自重を利用してたためる折りたたみ椅子用荷棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折りたたみ椅子に取り付ける折りたたみが可能な荷棚であって、荷棚をたたむときに、垂下した吊体の自重で生じる初動力を利用してたためる、自重を利用してたためる折りたたみ椅子用荷棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折りたたみ椅子に取り付ける荷棚装置において、荷棚をたたむために荷棚装置の構成部材の自重を利用するものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2020−39373号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記文献1の課題を解決することを目的としている。
文献1の課題は、上部に位置する取着部材と、この取着部材の両端から垂下する吊体は上段、中段、下段を蝶番とし、この吊体の下段に荷棚を連結していて、この荷棚の構成全体を正面から見ると、取着部材を上辺、吊体を両側辺、荷棚を底辺とする形状は、直角の四角形をしていて、ただ吊り下がった状態である。
よって、この荷棚をたたむ動作は、椅子の一部に手を当てて荷棚を押し上げるのであるが、この荷棚を押し上げるとき、吊体の中段の蝶番がともに内方向に折れ曲がれば、荷棚をたたむことができ、この動作の流れで椅子もたため、一動作で荷棚と椅子をたためる。
【0005】
しかし前述のように、荷棚全体が直角の四辺形であり、吊体が垂下状態のために、上段、中段、下段の三箇所の蝶番が直列に並んでしまうので、荷棚を垂直に押し上げようとしても、吊体自体が突っ張り状態となって、中段の蝶番に初動力が発生しないので荷棚は動かない。
この突っ張り状態を回避しようとして、荷棚を左右に揺らしながら押し上げても 左右の吊体中段の蝶番部は共に同じ方向に揺れ動いてしまうので、物理的に折りたためない。
仮に、吊体の中段付近を両外側から押すなどして荷棚をたためたとしても、椅子をたたむことは別の動作となり、明らかに二回の動作になってしまうので面倒である。
更に、載置物等の落下防止を兼ねて後方にも同じ吊体を設けると、吊体は三箇所となって基本的に荷棚をたたむことは困難である。
【0006】
また仮に、折りたたむときの初動力を得るために、吊体の中段の蝶番部が常に内方向に折れ曲がった状態を維持できる構造に加工すると、荷棚の載置空間が狭くなってしまうし、この状態のままで荷棚を使用すると、載置物によって吊体を無理に外側に広げられて、加工された蝶番部の破損を招く可能性は高くなる。
また、別の方法としてバネ等を設けて、強制的に吊体が内方向に折れ曲げるための加工をすると、荷棚装置の製造コストが嵩む他にも、バネ部の破損等の構造の複雑化による障害が生じる可能性が高まる。
そこで本発明は上記の課題を解決し、必要最低限の部材点数と構造の簡素化によって製造コストを下げ、且つ構成部材の自重を利用することで、たたむときの初動力を発生させる荷棚装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、折りたたみ椅子の座板の下側に取り付けるための取着部材と、該取着部材の左右側辺に、上段と中段と下段を蝶番とする吊体の上段を連結し、該吊体の下段に荷棚の左右側辺を連結して、該荷棚を底辺とし、前記左右の吊体を左右側辺とし、前記取着部材を上辺とする四角形が、下辺より上辺が短い左右均等の台形とすることで、左右の吊体を内側に傾斜させ、吊体の重心を常に台形の内側にすることで、たたむときの初動力が発生するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、図1に示すように、左右の吊体を内側に傾斜させたことのみで、荷棚を押し上げたとき、中段の蝶番部が内側に向けて移動をはじめ、この移動を初動力として荷棚を滑らかな動きで折りたためるのである。
従って、この初動力を得るために、部品及び材料の追加も特別な加工もなく、必要最小限の構成部材で製造できるので、安価にて提供できる。
また、折りたたみ椅子を収納するために荷棚をたたむとき、荷棚をたたむ動作を中段することなく椅子もたためるので、一回の動作で完了できる等の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 本発明の実施例1の荷棚の正面図である。
図2図1の荷棚を折りたたんだ状態の正面図である。
図3図1の荷棚を折りたたむ過程を示す斜視図である。
図4】 本発明の実施例2の荷棚の正面図である。
図5図4のC−C断面図である。
図6図4の荷棚を折りたたんだ状態の正面図である。
図7図6の荷棚を折りたたんだ状態を上から見た平面図である。
図8】 実施例1及び実施例2の使用状態の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形体】
【実施例1】
【0010】
本発明の自重を利用してたためる折りたたみ椅子用荷棚装置は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【0011】
本発明の実施例1を、図1図2図3図4に基づいて詳細に説明する。
先ず図1は、本発明の荷棚装置を使用できる状態にしたときの正面図であって、発明の基本となる作用そのものを示している。
本図において荷棚装置は、上部板体4と下部板体5を中段の蝶番6bによって連結し、更に上部板体4の上辺に上段の蝶番6a及び、下部板体5の下辺に下段の蝶番6cを設けて吊体3とし、これを左右対向状態に配置して、上段の蝶番6a・6aを取着部材2の左右側辺にそれぞれ蝶着するとともに、下段の蝶番6c・6cを荷棚1の左右側辺にそれぞれ蝶着して荷棚装置としている。
【0012】
ここで最も重要なことは、取着部材2に蝶着する上段の蝶番6a・6aの間隔を、荷棚1に蝶着する下段の蝶番6c・6cの間隔よりで狭くして、取着部材2と左右の吊体3・3と荷棚1を連結したときの形を台形としていることである。
そしてこの荷棚装置を、折りたたみ椅子の左右の脚41と41の間に可動状態に軸支する座枠46・46の上に固定された座板45の下面に、ビス等によって取着部材2を取りり付け、左右均等の台形型に垂下した状態で使用可能となる。
この荷棚1をたたむときは、荷棚1を矢印イの方向に押し上げると、吊体3・3は自重の働きによって中段の蝶番6b・6b部が共に矢印ウ・ウの内方向に移動し、この蝶番部の移動が荷棚1をたたむときの初動力となって、滑らかな動きでたむことができる。
また、荷棚1の左右側辺に設けた吊体3・3とともに後辺にも吊体3を設けておくと、荷棚1の吊下げ強度を増大きることと、載置物の後方への落下及び、後方からの盗難をも防止できる。
【0013】
次に、図2図1の荷棚装置を折りたたんだ状態を示していて、荷棚装置の全てが座枠46の内側に収納できている。
ここで、この台形状の荷棚装置は、左右の吊体3・3が斜めに構成されていることから、中段の蝶番6bの上側と下側の長さを同じにしてしまうと、物理的にも荷棚をたたむことができないので、下部板体5を上部板体4より長くする必要がある。
しかし、この荷棚装置の製造面を考えると、本来製造コストを下げるためには上部板体4と下部板体5は同じ部材を組み合わせにして、金型にかかる費用を少なくすることが当然と言えるのだが、本発明はこの問題より大きな効果が得られるのである。
【0014】
次に、図3は本実施例の荷棚装置を折りたたむときの状態を示す斜視図であって、左図は荷棚装置を半ばまで折りたたんだ状態を示していて、左右の吊体3・3の中段の蝶番6b・6bはともに内方向に移動して接近状態である。
次に、右図は左図に続いて荷棚装置を完全に折りたたんだ状態を示している。
また、図示は取着部材2を枠型としているが、取着部材の全面を板状にもできる。
【0015】
本発明の実施例2を、図4図5図6図7に基づいて詳細に説明する。
実施例1の、荷棚を折りたたむときの初動力を発生させるために、左右の吊体を傾斜ささせて、下部板体を上部板体より長くしたことを基礎になしえたものである。
先ず図4は、本実施例の荷棚を使用できる状態にした正面図であって、下部板体15・15を上部板体14・14より長くして、荷棚11の幅を座枠46・46の外幅より広げることが可能となり、手荷物等の載置区画を広くした状態を示している。
【0016】
尚本実施例は、載置区画を最大限まで広げても、荷棚を折りたたむときの作用は実施例1と同じである。
また、本実施例は荷棚11の後辺にも、左右の吊体13と同じ構成の吊体17を設けていて、後方への載置物の落下と後方からの盗難を防止できる。
ここで図示では、上段の蝶番6aと下段の蝶番6cは同じ長さとし、中段の蝶番6bはこれより短くしていて、これは盗難防止の観点から、左右の吊体13・13と後部の吊体17との隙間を狭くするために、吊体の幅をできる限り広くしていて、図8に後記しているが、荷棚をたたんだときに、左右の吊体3・3と後部の吊体17が互いに緩衝するのを防止するためである。
【0017】
次に図5は、図4のc−c断面図であって、後部の吊体17は左右の吊体3・3と同じ作用によってたためることを示している。
【0018】
次に図6は、図4の荷棚を折りたたんだ状態を示す正面図であって、下部板体15・15と荷棚11は、座枠46・46と脚41・41の間まで伸ばしている。
そして椅子を収納するために、荷棚装置と座板の双方をたたんだときの、荷棚を含めた椅子全体の厚さをできる限り薄くするために、荷棚11と下部板体15が密着するようにしている。
この荷棚11と下部板体15が密着することによって、椅子を幾重にも重ねて収納したとき、上に乗せた椅子の重量による下部板体15の破損を防止できる。
【0019】
次に図7は、本実施例の吊体13・13と後部の吊体17を折りたたんだ状態の平面図であって、荷棚11の左右の吊体13・13と後部の吊体17の緩衝を避けるために、中段の蝶番16b・16b・16bの部分の両側部を約45度に切り欠いている。
【0020】
次に図8は、実施例1及び実施例2の使用状態の一例を示していて、ここでの蝶番は一般的な蝶番であって、開き角度を制御する機構を設けていないので、閉じた状態を0度とすると、180度以上開いても問題はない。
従って、荷棚を使用するに当たり、載置物の大きと形次第では、図示のように吊体の中段の蝶番を台形の外側まで広げられるので、非常に使い勝手がよい。
そこで本実施例の蝶番の軸は、吊体が楽に揺れ動く程度に緩くしておく必要がある。
【符号の説明】
【0021】
1:荷棚 2:取着部材 3:吊体
4:上部板体 5:下部板体 6a:上段の蝶番
6b:中段の蝶番 6C:下段の蝶番 7:ビス孔
11:荷棚 12:取着部材 13:吊体
14:上部板体 15:下部板体 16a:上段の蝶番
16b:中段の蝶番 16c:下段の蝶番 17:吊体
41:脚 42:前脚 43:後脚
44:背もたれ 45:座板 46:座枠
【要約】
【課題】 これまでの折りたたみ椅子に取り付ける棚は、取着部材の左右側辺に垂下状態に吊体を蝶着し、この吊体は荷棚を折りたたむために中段と下段にも蝶番を設けていて、下段の蝶番に荷棚の左右側辺が蝶着され、荷棚装置全体は取着部材から直角の四辺形がぶら下がった状態となって、3ヵ所の蝶番は直列に並んでしまう、よってこの荷棚をたたもうとても吊体が直列になっては突っ張り合ってたたむことができない、そこでこの課題を解決するためになされた発明である。
【解決手段】 本発明は、折りたたみ椅子の座板の下側に取り付けるための取着部材と、該取着部材の左右側辺に、上段と中段と下段を蝶番とする吊体の上段を連結し、該吊体の下段に荷棚の左右側辺を連結して、該荷棚を底辺とし、前記左右の吊体を左右側辺とし、前記取着部材を上辺とする四角形が、下辺より上辺が短い台形とすることで、左右の吊体の重心が常に台形の内側になるようにして、折りたたむときの初動力を発生させている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8