特許第6794097号(P6794097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794097
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】トラクタ
(51)【国際特許分類】
   A01B 59/043 20060101AFI20201119BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A01B59/043 B
   B62D49/00 K
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-105386(P2015-105386)
(22)【出願日】2015年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-214189(P2016-214189A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 勝美
(72)【発明者】
【氏名】森下 健
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−015311(JP,U)
【文献】 特許第4683183(JP,B2)
【文献】 特開2003−169503(JP,A)
【文献】 実開昭55−172004(JP,U)
【文献】 特許第3730590(JP,B2)
【文献】 実開昭55−180310(JP,U)
【文献】 米国特許第05423394(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/00 − 63/12
B62D 49/00 − 49/08
B62D 55/00 − 55/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部の左右両側に一対の前車輪が軸支され、機体の後部の左右両側に一対のクローラ装置が装設されるトラクタであって、
ミッションケースに固定されるリアアクスルケースと、
前記リアアクスルケースに固定されるブラケットと、
前記ミッションケースに装着される昇降機構のロアリンクを回動可能に支持するロアリンク軸と、
前記リアアクスルケースのブラケットに固定されて前記ロアリンク軸を支持するロアリンク支持部材と、
前記ミッションケースの側面に固定されるサポート部材と、を備え、
前記ロアリンク軸は、前記ロアリンク支持部材と前記サポート部材とで両持ち支持され、
前記リアアクスルケースと前記クローラ装置のトラックフレームとの間には、機体前後一対のリンクアームを有するリンク構造体が設けられ、前記リンク構造体を介して、前記リアアクスルケースと前記クローラ装置のトラックフレームとが互いに連結され、
前記サポート部材には、シリンダブラケットが固定され、
前記シリンダブラケットには、前記ロアリンクを上下回動させるためのアクチュエータである外装シリンダが支持されるとともに、
前記サポート部材には、前記ロアリンク軸の一端と前記外装シリンダのシリンダブラケットが取り付けられることによって、前記ロアリンク軸と前記外装シリンダの両方が支持される
ことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
前記ミッションケースに装着される昇降機構のチェックチェンを支持するチェックチェン軸と、
前記リアアクスルケースのブラケットに固定されて前記チェックチェン軸を支持するチェックチェン支持部材を備え、
前記ロアリンク軸と前記チェックチェン軸とは、前記リアアクスルケースのブラケットに固定されている前記ロアリンク支持部材と前記チェックチェン支持部材とを介して、同一軸線上に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部の左右両側に一対の前車輪が軸支され、機体の後部の左右両側に一対のクローラ装置が装設されるトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機を昇降自在に取り付けることができるトラクタの技術は公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の作業車両において、ミッションケース8には、ロアリンク29L・29Rを支持するロアリンク支持部材(ロアリンクステー)が設けられ、リアアクスルケース22L・22Rには、チェックチェン30L・30Rを支持するチェックチェン支持部材38L’38R’が設けられている。
【0003】
しかし、ロアリンク支持部材と、チェックチェン支持部材38L’・38R’とが、異なる部材に設けられている。これにより、ロアリンク29L・29Rの回動軸(ロアリンク軸)と、チェックチェン30L・30Rの回動軸(チェックチェン軸33)と、を同軸上に配置しようとしても、ロアリンク支持部材とチェックチェン支持部材38L’・38R’との位置関係のみならず、ミッションケース8とリアアクスルケース22L・22Rとの位置関係も考慮しなければならない。これにより、ロアリンク軸とチェックチェン軸33との相対的な位置調整が困難となり、同軸度が低下しやすい。ロアリンク軸とチェックチェン軸33との同軸度が低下すると、芯ずれによりロアリンク軸とチェックチェン軸33とに発生するひずみが大きくなり、作業機の昇降時にロアリンク29L・29R、チェックチェン30L・30R等で構成されるリンク機構にかかる負荷が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−155920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ロアリンク軸の剛性を高めることが可能なトラクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のトラクタは、機体の前部の左右両側に一対の前車輪が軸支され、機体の後部の左右両側に一対のクローラ装置が装設されるトラクタであって、ミッションケースに固定されるリアアクスルケースと、前記リアアクスルケースに固定されるブラケットと、前記ミッションケースに装着される昇降機構のロアリンクを回動可能に支持するロアリンク軸と、前記リアアクスルケースのブラケットに固定されて前記ロアリンク軸を支持するロアリンク支持部材と、前記ミッションケースの側面に固定されるサポート部材と、を備え、前記ロアリンク軸は、前記ロアリンク支持部材と前記サポート部材とで両持ち支持され、前記リアアクスルケースと前記クローラ装置のトラックフレームとの間には、機体前後一対のリンクアームを有するリンク構造体が設けられ、前記リンク構造体を介して、前記リアアクスルケースと前記クローラ装置のトラックフレームとが互いに連結され、前記サポート部材には、シリンダブラケットが固定され、前記シリンダブラケットには、前記ロアリンクを上下回動させるためのアクチュエータである外装シリンダが支持されるとともに、前記サポート部材には、前記ロアリンク軸の一端と前記外装シリンダのシリンダブラケットが取り付けられることによって、前記ロアリンク軸と前記外装シリンダの両方が支持される
【0007】
請求項2に記載のトラクタは、前記ミッションケースに装着される昇降機構のチェックチェンを支持するチェックチェン軸と、前記リアアクスルケースのブラケットに固定されて前記チェックチェン軸を支持するチェックチェン支持部材を備え、前記ロアリンク軸と前記チェックチェン軸とは、前記リアアクスルケースのブラケットに固定されている前記ロアリンク支持部材と前記チェックチェン支持部材とを介して、同一軸線上に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロアリンク軸をミッションケースの側面に固定されるサポート部材とリアアクスルケースのブラケットに固定されるロアリンク支持部材とで両持ち支持することによって、ロアリンク軸の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】トラクタの側面図。
図2】左右一対のロアリンクとチェックチェンとを後ろ側から見た斜視図。
図3】クローラ装置の斜視図。
図4】ロアリンクとチェックチェンの支持構造を示す斜視図。
図5】ロアリンクとチェックチェンの支持構造を示す斜視図。
図6】ロアリンクの取り付け構造を示す斜視図。
図7】チェックチェンの取り付け構造を示す斜視図。
図8】ロアリンク軸とチェックチェン軸の位置関係を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0011】
先ず、本実施形態におけるトラクタ1の全体構成について、図1を用いて説明する。
【0012】
本実施形態におけるトラクタ1は、所謂作業車両の一種であって、主に走行機体2、走行機体2前部の左右両側に軸支される一対の前車輪3・3、および走行機体2後部の左右両側に装設される一対のクローラ装置4・4等により構成される。
【0013】
走行機体2は、前後方向に延出するエンジンフレーム21、エンジンフレーム21の後部の左右両側面より後方に延設される一対の機体フレーム22・22、および機体フレーム22・22の後方に連結されるミッションケース23等により構成される。
【0014】
エンジンフレーム21の前部には、前車軸ケース5が配設される。そして、前車軸ケース5の左右両側面より、一対の前車軸6・6が、左右両側に向かって各々延出して軸支されるとともに、これらの前車軸6・6の延出端部において、前車輪3・3が各々同軸上に貫設される。
【0015】
ミッションケース23の左右両側面には、一対のリアアクスルケース8・8が、左右各方向に各々延出して装着されている。リアアクスルケース8・8は、ミッションケース23に固定されている。また、各々のリアアクスルケース8・8には、後車軸9・9が同軸上、且つ回転可能に支持される。そして、これらの後車軸9・9を介して、一対のクローラ装置4・4は、ミッションケース23の左右両側面に連結される。このように、トラクタ1には、走行機体2の後部に位置するミッションケース23において、左右各方向に延出する一対のリアアクスルケース8・8や、リアアクスルケース8・8の延出方向側に各々配置される一対のクローラ装置4・4等が備えられる。
【0016】
走行機体2において、エンジンフレーム21の上方には、コモンレール式ディーゼルエンジン10(以下、単に「エンジン10」と記載する)が動力源として搭載されるとともに、当該エンジン10を覆うボンネット11が配設される。
【0017】
一方、走行機体2において、機体フレーム22の上方、且つボンネット11の後方には、キャビン12が設置されており、キャビン12の内部には、操縦座席13、およびかじ取りすることによって前車輪3・3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)14等が配置される。また、キャビン12下方の左右両側には、オペレータの乗降用のステップ15・15が各々配設されるとともに、キャビン12の底面より下方には、エンジン10への燃料供給用の燃料タンク16が配設される。
【0018】
そして、エンジン10は、図示せぬ動力伝達軸等を介して、ミッションケース23と駆動伝達可能に連結される。また、ミッションケース23の前面下部には、前方に向かって突出する出力軸7aが軸支され、当該出力軸7aより、前車輪動力伝達軸17を介して、前車軸ケース5と駆動伝達可能に連結される。
【0019】
以上のような構成からなるトラクタ1において、エンジン10によって発動された回転駆動力は、動力伝達軸(図示せぬ)を介して一旦ミッションケース23へと伝達され、適宜変速された後にクローラ装置4へと伝達される一方、前車輪動力伝達軸17を介して前車輪3へと伝達されることとなり、これらの前車輪3およびクローラ装置4が駆動される。こうして、前車輪3およびクローラ装置4が各々正転・逆転方向に駆動回転されることにより、トラクタ1は、前進・後退走行を行う構成となっている。
【0020】
なお、ミッションケース23の上面後部には、例えばロータリ耕耘機といった作業機を昇降動させる油圧式昇降機構30が着脱可能に装着される。ここで、油圧式昇降機構30は、トップリンク31および左右一対のロアリンク32・32からなる3点リンク機構によって構成される。ロアリンク32・32の中途部には、チェックチェン33・33が連結されている。チェックチェン33・33は、ロアリンク32・32の支持、ロアリンク32・32の振れ止め等を行う。
【0021】
一方、ミッションケース23の後側面には、PTO軸(図示せず)が後ろ向きに突設される。
【0022】
そして、前記作業機は、油圧式昇降機構30を介してミッションケース23の後部に連結されるとともに、前記PTO軸を介して、駆動力が伝達される。
【0023】
以下では、クローラ装置7の構成について、図2を参照して説明する。なお、走行機体2の左側に設けられるクローラ装置7について説明する。
【0024】
クローラ装置7は、リアアクスルケース8に、後車軸9を介して取り付けられる。クローラ装置7は、駆動輪体71を備え、当該駆動輪体71は、後車軸9の延出端部において、同軸上、且つ着脱可能に貫設される。また、クローラ装置7は、トラックフレーム72を備え、当該トラックフレーム72は、リアアクスルケース8の下方において、前後方向に延出して配置される。
【0025】
そして、リアアクスルケース8とトラックフレーム72との間には、リンク構造体73が設けられ、当該リンク構造体73を介して、これらのリアアクスルケース8およびトラックフレーム72が互いに連結される。
【0026】
リンク構造体73には、リアアクスルケース8の前側に位置する前側リンクアーム73Aや、リアアクスルケース8の後側に位置する後側リンクアーム73Bが備えられる。そして、これらの前側リンクアーム73Aおよび後側リンクアーム73Bは、トラックフレーム72とともに、四節リンク構造を構築するように構成されている。こうして、トラックフレーム72は、リンク構造体73によって、リアアクスルケース8より前後揺動可能に連結される。
【0027】
トラックフレーム72の延出端部には、テンション調節機構部72Aが前下方に向かって延設され、当該テンション調節機構部72Aの延出端部において、前側従動輪体74が回動可能に支持されている。一方、トラックフレーム72の後端部には、二股状支持部72Bが後下方に向かって延設され、当該二股状支持部72Bの延出端部において、後側従動輪体75が回転可能に支持される。
【0028】
そして、駆動輪体71、前側従動輪体74、および後側従動輪体75に対して、履帯としての合成ゴム製の走行クローラ76が、側面視にて略三角形状に巻回される。このような構成において、後車軸9を介して、駆動輪体71を適宜速度で正転・逆転させて、走行クローラ76を正転・逆転方向に駆動回転させることにより、トラクタ1が前進・後退走行するようになっている。
【0029】
なお、トラックフレーム72には、複数の転動輪77・77・77およびクローラガイド体78・78が、前後方向に沿って配設される。ここで、各転動輪77は、軸心方向を左右方向としつつ、回転可能に支持される。また、各クローラガイド体78は、走行クローラ76の左右方向への外れ防止等を目的として設けられるものであり、トラックフレーム72に固設される。
【0030】
そして、走行クローラ76の内周面において、前側従動輪体74および後側従動輪体75の間には、これらの複数の転動輪77・77・77およびクローラガイド体78・78が、前記走行クローラ76を圧接するようにして配設される。これにより、走行クローラ76における、地上との接地領域は、これらの複数の転動輪77・77・77およびクローラガイド体78・78によって、安定的に着地支持されることとなる。
【0031】
以下では、ロアリンク32とチェックチェン33の支持構造について、図2図8を用いて説明する。なお、ロアリンク32とチェックチェン33の支持構造は左右(車幅方向Wの両側)とも同じ構成なので、左側のロアリンク32とチェックチェン33の支持構造についてのみ説明し、右側のロアリンク32とチェックチェン33の支持構造の説明は省略する(図2参照)。
【0032】
図3図5に示すように、リアアクスルケース8には、単一のブラケット40が固定されている。ブラケット40は、平板状の部材である。ブラケット40は、リアアクスルケース8の下部に固定されている。
【0033】
ブラケット40には、ロアリンク支持機構50と、チェックチェン支持機構60と、が設けられる。
【0034】
図5及び図6に示すように、ロアリンク支持機構50は、ロアリンク支持プレート51と、ロアリンク軸52と、サポートプレート53と、を有する。
【0035】
ロアリンク32は、その一端32aがロアリンク軸52に連結されており、その他端32bには前記作業機を着脱自在に構成される。
【0036】
ロアリンク支持部材であるロアリンク支持プレート51は、ロアリンク軸52を支持する。ロアリンク支持プレート51は、平板状の部材である。ロアリンク支持プレート51は、ブラケット40に固定されている。
【0037】
サポート部材であるサポートプレート53は、ロアリンク支持プレート51と共に、ロアリンク軸52を支持する。サポートプレート53は、平板状の部材である。サポートプレート53は、ミッションケース23に固定されている。サポートプレート53は、リアアクスルケース8の下方で、ロアリンク支持プレート51に対して、走行機体2の車幅方向Wに間隔を空けて対向配置される対向部53aを有する。対向部53aは、ロアリンク支持プレート51よりも、走行機体2の車幅方向W中央寄りに配置される。サポートプレート53及びリアアクスルケース8は、ミッションケース23の側面にそれぞれ固定される。サポートプレート53は、リアアクスルケース8の後方に配置されている。サポートプレート53の下部は、ミッションケース23よりも下方で前方へ出っ張って、この出っ張り部分が対向部53aを形成する。
【0038】
ロアリンク軸52は、ロアリンク32を回動可能に支持する。ロアリンク軸52は、その一端がロアリンク支持プレート51に取り付けられており、その他端がサポートプレート53(対向部53a)に取り付けられている。これにより、ロアリンク軸52は、ロアリンク支持プレート51とサポートプレート53(対向部53a)とで両持ち支持されている。
【0039】
ロアリンク32の一端32aには、ロアリンク軸52用の孔32cが形成されている。ロアリンク軸52は、ロアリンク32の孔32cに挿通されている(図6参照)。ロアリンク32の一端32aは、ロアリンク支持プレート51と、サポートプレート53の対向部53aと、の間に配置された状態で、ロアリンク軸52を挿通される。このとき、ロアリンク軸52は、車幅方向Wに挿通される。これにより、ロアリンク32は、その一端32aを中心にしてロアリンク軸52の軸回りに回動可能に支持される。
【0040】
図4及び図6に示すように、サポートプレート53には、シリンダブラケット34が固定されている。シリンダブラケット34は、ロアリンク32を上下回動させるためのアクチュエータである外装シリンダ35を支持している。シリンダ35の一端は、シリンダブラケット34に回動可能に取り付けられている。ミッションケース23の後上部には、回動軸36が設けられている。回動軸36は、軸受37により回動可能に支持されている。回動軸36には、回動軸36と一体回転する回動部材38が固定されている。回動部材38には、シリンダ35の他端が回動可能に取り付けられている。回動部材38とロアリンク32は、連結ロッド39で連結されている。連結ロッド39の一端は、回動部材38に回動可能に取り付けられている。連結ロッド39の他端は、ロアリンク32の中途部に回動可能に取り付けられている。シリンダ35が伸長することで回動部材38が回動軸36を中心にして上方へ回動し、ロアリンク32がロアリンク軸52を中心にして上方へ回動する。シリンダ35が収縮することで回動部材38が回動軸36を中心にして下方へ回動し、ロアリンク32がロアリンク軸52を中心にして下方へ回動する。
【0041】
図5及び図7に示すように、チェックチェン支持機構60は、チェックチェン支持プレート61と、チェックチェン軸62と、を有する。
【0042】
チェックチェン33は、その一端33aがチェックチェン軸62に連結されており、その他端33bがロアリンク32の中途部に連結されている。
【0043】
チェックチェン支持部材であるチェックチェン支持プレート61は、チェックチェン軸62を支持する。チェックチェン支持プレート61は、平板状の部材である。チェックチェン支持プレート61は、ブラケット40に固定されている。チェックチェン支持プレート61には、チェックチェン軸62用の孔61aが形成されている。チェックチェン33の一端33aには、チェックチェン軸62用の孔33cが形成されている。
【0044】
チェックチェン軸62は、チェックチェン33を回動可能に支持する。チェックチェン軸62は、チェックチェン支持プレート61と、チェックチェン33の一端33aと、に挿通される。チェックチェン軸62は、チェックチェン支持プレート61の孔61aと、チェックチェン33の孔33cと、に挿通されており、チェックチェン軸62には抜け止めピン63が装着されている(図7参照)。このとき、チェックチェン軸62は、車幅方向Wに挿通される。これにより、チェックチェン33は、その一端33aを中心にしてチェックチェン軸62の軸回りに回動可能に支持される。
【0045】
図8に示すように、ロアリンク軸52とチェックチェン軸62とは、互いに異なる部材であり、車幅方向Wに互いに間隔を空けて配置されている。ロアリンク軸52の軸と、チェックチェン軸62の軸とは、車幅方向Wに延びている(図8の一点鎖線L参照)。ロアリンク軸52は走行機体2の外側寄りに配置され、チェックチェン軸62は走行機体2の内側寄りに配置される。
【0046】
以上のように、トラクタ1は、リアアクスルケース8に固定されるブラケット40と、ロアリンク32を回動可能に支持する支持するロアリンク軸52と、ブラケット40に固定され、ロアリンク軸52を支持するロアリンク支持プレート51と、チェックチェン33を回動可能に支持するチェックチェン軸62と、ブラケット40に固定され、チェックチェン軸62を支持するチェックチェン支持プレート61と、を備える。
【0047】
これによると、ロアリンク支持プレート51とチェックチェン支持プレート61とを、同一のブラケット40に固定する。これにより、ロアリンク軸52とチェックチェン軸62とを、同軸上に配置するための配置精度を向上させることが可能となり、芯ずれによりロアリンク軸52とチェックチェン軸62とに発生するひずみを抑制することが可能となる(図8の一点鎖線L参照)。また、ロアリンク支持プレート51とチェックチェン支持プレート61とを、同一のブラケット40に固定するので、ロアリンク支持プレート51とチェックチェン支持プレート61とを、異なる部材に固定する場合に比べて、ロアリンク32とチェックチェン33との間に生じる振動差を抑制でき、ロアリンク32とチェックチェン33との剛性を高めることが可能となる。
【0048】
また、トラクタ1は、ミッションケース23に固定されるサポートプレート53を備え、ロアリンク軸52が、ロアリンク支持プレート51と、サポートプレート53とで両持ち支持される。
【0049】
これによると、ロアリンク軸52が両持ち支持されるので、ロアリンク軸52の剛性を高めることが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では、ロアリンク軸52を、ロアリンク支持プレート51とサポートプレート53とで両持ち支持したが、ロアリンク軸52をロアリンク支持プレート51のみで支持するように構成してもよい。しかし、上記のようにロアリンク軸52を、ロアリンク支持プレート51とサポートプレート53とで両持ち支持する方が、ロアリンク軸52とチェックチェン軸62との間のスペース(車幅方向Wの距離)Xをより確保できる(図8参照)。これは、サポートプレート53をミッションケース23に固定することで、サポートプレート53を、リアアクスルケース8の形状の影響を受けないようにしながら、走行機体2の車幅方向W中央により近づけて配置することができるからである。これにより、ロアリンク32のレイアウトの自由度が向上する点で有利である。また、ロアリンク軸52を、ロアリンク支持プレート51とサポートプレート53とで両持ち支持する方が、本実施形態のように外装シリンダ35を用いた場合でも、ロアリンク軸52とチェックチェン軸62との間のスペースを広くできるので、ロアリンク32に対するチェックチェン33の傾斜角度を大きくすることができ、チェックチェン33によるロアリンク32の支持強度を向上させることができる点で有利である。
【符号の説明】
【0051】
1 トラクタ(作業車両)
8 リアアクスルケース
32 ロアリンク
33 チェックチェン
40 ブラケット
51 ロアリンク支持プレート(ロアリンク支持部材)
52 ロアリンク軸
53 サポートプレート(サポート部材)
61 チェックチェン支持プレート(チェックチェン支持部材)
62 チェックチェン軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8