(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物品押出し用シューが隣り合うスラット間に挟まって装着され、前記スラットの長手方向に摺動自在に移動する可能であることを特徴とする請求項1ないし8のうち1項記載の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る分岐ガイドレールはその思想の必然として、搬送荷物を角度の緩い箇所で接触させる必要があることから、搬送荷物を搬送横断面の分岐と反対側に寄せなければ搬送荷物は傾斜の緩い部分と接触することができないので、搬送荷物の回転等を防ぐための最適なポイントが狭くなってしまうことになる。
【0008】
さらに、搬送荷物を横断面上で分岐側と反対側に寄せる場合には、メカニズム上、搬送対象荷物を一旦分岐と反対側に寄せてから、再度さらに反対側の分岐側にシューで押すことになる。搬送速度はたとえば170m/minなど、昨今は高速化の進展が激しいが、これらの速度からすると、搬送荷物が接触した場合にシューが搬送荷物を押す時間が長くなるので、実際上、誤作動が起きやすく、特にシューの軸等に摩耗も起きやすい。また荷物の回転を止めるのはできたとしても、搬送機械・システムに頻繁に故障が起きることになって、稼働時間の減少、経済効率の低下を招き、これを防止するためのメンテナンスが必要となるという課題があった。
【0009】
次に特許文献2に係る分岐機構は、電磁石を用いて長期間使用を継続した場合に、電磁石の機械的な劣化だけでなく、切換タイミング等のずれによる分岐動作の不完全さによって、あるいは、例えば、仕分けされる搬送品が液体容器の場合、その破損によって、シューの各部に漏れ出た液体がこびりつき、シューの摺動抵抗が増加するなどにより、シューの支持軸が、分岐部分で分岐動作を補助するノーズ部などに衝突して、シュー本体またはその支持軸を損傷する問題があった。
【0010】
特許文献3に係る合流機構は、磁気吸着を利用したものでシューのホイールを磁気吸着すればホイール自体が磁化し、レール移動時に磁化による摺動抵抗が増大する問題があった。それを解決する一手段として、特許文献4では、シューの支持軸のみを磁気吸着し、ホイールの磁化を抑制しようとするものであるが、まだ利用されるに至っていない。
【0011】
本願発明は、上記のそれぞれの従来技術の問題点を解決しつつ、搬送対象荷物の回転、転倒、損傷等を防ぎ省スペース等の経済性の高い搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本願の第1の態様に係る発明は、物品が載置されるスラットを物品の主搬送路と該主搬送路から分岐させる分岐搬送路とに選択可能に走行させるコンベアと、前記スラットの長手方向に摺動自在に装備され、前記スラットの下方に突出する支持軸及び該支持軸に取り付けられる張出部材を少なくとも備える物品押出用シューと、前記張出部材が当接される壁面を備え、前記壁面の平断面線が初期払い出し部分、中央部分、最終払い出し部分が略連なって形成され、前記初期払い出し部分の搬送方向から見た接線角度である第1の角度は前記中央部分の搬送方向から見た接線角度である第2の角度と等しいかこれより大きく、前記最終払い出し部分の搬送方向から見た接線角度である第3の角度は前記第2の角度より大きい、シングルの分岐ガイドレールと、前記主搬送路から前記分岐ガイドレールへ物品を分岐させるための機構を備えた分岐部とを具備して構成される。ここで、「略連なって」とは、初期払い出し部分、中央部分、最終払い出し部分が連続的に1本のレールから形成される場合のみならず、初期払い出し部分、中央部分、最終払い出し部分の3つの部分が複数本のレールに分かれて各々の3本に分かれ、各レールの隙間が一定以下(たとえばシューのホイールの直径よりも小)で形成される場合も含むことを意味している(以下同じ)。
【0013】
本願の第2の態様に係る発明は、物品が載置されるスラットを物品の主搬送路と該主搬送路から分岐させる分岐搬送路とに選択可能に走行させるコンベアと、前記スラットの長手方向に摺動自在に装備され、前記スラットの下方に突出する支持軸及び該支持軸に取り付けられる張出部材を少なくとも備える物品押出用シューと、前記張出部材が当接される壁面を備え、前記壁面の平断面線が初期払い出し部分、中央部分、最終払い出し部分が略連なって形成され、前記初期払い出し部分の搬送方向から見た接線角度である第1の角度は前記中央部分の搬送方向から見た接線角度である第2の角度と等しいかこれより大きく、前記最終払い出し部分の搬送方向から見た接線角度である第3の角度は前記第2の角度より大きい、シングルの分岐ガイドレールと、前記分岐ガイドレールに移動後の物品押出しシューを前記主搬送路に合流させるための機構を備えた合流部とを具備して構成される。
【0014】
本願の第3の態様に係る発明は、物品が載置されるスラットを物品の主搬送路と該主搬送路から分岐させる分岐搬送路とに選択可能に走行させるコンベアと、前記スラットの長手方向に摺動自在に装備され、前記スラットの下方に突出する支持軸及び該支持軸に取り付けられる張出部材を少なくとも備える物品押出用シューと、前記張出部材が当接される壁面を備え、前記壁面の平断面線が初期払い出し部分、中央部分、最終払い出し部分が略連なって形成され、前記初期払い出し部分の搬送方向から見た接線角度である第1の角度は前記中央部分の搬送方向から見た接線角度である第2の角度と等しいかこれより大きく、前記最終払い出し部分の搬送方向から見た接線角度である第3の角度は前記第2の角度より大きい、シングルの分岐ガイドレールと、前記主搬送路から前記分岐ガイドレールへ物品を分岐させるための機構を備えた分岐部と、前記分岐ガイドレールに移動後の物品押出しシューを前記主搬送路に合流させるための機構を備えた合流部とを具備して構成される。
【0015】
上記第1もしくは第3の態様において、前記物品押出用シューに係る前記支持軸及び/もしくは前記張出部材は磁性材料からなり、前記分岐部は、
(A)前記分岐ガイドレールの分岐部近傍に配設され前記張出部材を吸引することができる電磁石と、分岐方向において前記電磁石の下流側に配設された永久磁石とを具備した分岐機構、
(B)前記分岐ガイドレールの分岐部近傍に配設され前記支持軸を吸引することができる電磁石と、分岐方向において前記電磁石の下流側に配設された永久磁石とを具備した分岐機構、
(C)前記支持軸に回動可能に配設されたベーンと、前記分岐ガイドレールの分岐部近傍に配設され前記ベーンを吸引することができる電磁石と、分岐方向において前記電磁石の下流側に配設された永久磁石とを具備した分岐機構、のうちの少なくとも1つを具備する構成をとることもできる。
【0016】
上記第2もしくは第3の態様において、前記物品押出用シューに係る前記支持軸及び/もしくは前記張出部材は磁性材料からなり、前記合流部は、
(ア)湾曲した合流誘導壁をなし、該合流誘導壁内に磁石を組み込んだものであって、分岐して移動してきた物品押出しシューの張出部材(ホイール)を磁気吸着させて、直進ガイドレールに合流させる合流機構、
(イ)物品押出しシューの支持軸にベーンを備えた物品押し出しシューを用いる場合には、該ベーンと当接する合流直進ガイドブロックを備え、該ベーンと直進ガイドブロックとが当接することにより合流させる合流機構、
(ウ)前記湾曲した合流誘導壁の底面部に磁石を備え、該磁石が分岐して移動してきた物品押出しシューの支持軸を吸着して制動することにより合流させる合流機構、
(エ)直進ガイドレールと分岐ガイドレールとが合流する部分に回動可能に設けられ、一方向の回動により合流誘導壁に接近した状態となり、他方向への回動により直進ガイドレール側に接近した状態になる回動可能な合流案内壁を備え、該合流案内壁により、直進ガイドレール方向又は分岐ガイドレール方向から移動してきた物品押し出しシューを案内する合流機構、
(オ)分岐して移動してきた物品押出しシューが直進ガイドレールに合流する部分において、該シューのホイール若しくは/及び支持軸が直進ガイドレールに当接する位置に吸音材若しくは制動材を配設して合流させる合流機構、
のうちの少なくとも1つを具備する構成をとることもできる。
【0017】
また、上記第1もしくは第3の態様において、前記物品押出用シューに係る前記支持軸及び/もしくは前記張出部材は磁性材料からなり、前記分岐部は、前記物品押出用シューの前記支持軸に枢支され尾部に切欠きを有するベーンと、前記ベーンの尾部の前記切欠きでない部分に当接される直進用ベーンガイドとをさらに具備する構成をとることもできる。この場合、前記合流部に前記ベーンと当接する直進ガイドブロックをさらに備えるようにしてもよい。
【0018】
また、上記第2もしくは第3の態様において、前記物品押出用シューに係る前記支持軸及び/もしくは前記張出部材は磁性材料からなり、前記合流部は、前記物品押出用シューに係る前記支持軸及び/もしくは前記張出部材を吸着もしくは離着させる回転磁性体と、前記物品押出しシューの前記支持軸を磁気吸引して合流させる手段とをさらに具備する構成をとることもできる。
【0019】
さらにまた、上記のいずれかの態様において、前記物品押出し用シューが隣り合うスラット間に挟まって装着され、前記スラットの長手方向に摺動自在に移動可能である構成をとることもできる。
【0020】
ここで、分岐ガイドレールは、主搬送路から分岐搬送路に分岐軌道をとらせる場合に、スラットの下方に、主搬送路と分岐搬送路とを接続する誘導部分として、略鉛直方向に立設され物品押出しシューのスラットより下方に張り出す張出部材(ホイール)が摺接する壁板体が連綿として平面視で一定の形状を形成するように接続されたメカニズムをいう。この分岐ガイドレールへの走行切り換えは所定の切り換え指示(信号を含む)によって、分岐機構により切り換え可能に構成することができる。
【0021】
また、物品が搬送されるべきコンベア横方向の位置は特に限定されないが、物品と物品押出用シューに係る張出部材(ホイール)とが最初に接触するところが上記中央部分、すなわち比較的小さな第2の接線角度を有する部分、でありさえすればよい。この条件を満たす限り、初期払い出し部分、中央部分、最終払い出し部分のそれぞれの寸法は特に限定されず、荷物の大きさ及び/もしくは荷重及び/もしくは積荷の中身、速度等に基いて適宜、経済効率も考慮して最適な値を採用することができる。
【0022】
上記の構成を有することにより、コンベア上を搬送される物品は、比較的小さな第2の接線角度を有する中央部分に初期接触して回転、横転が回避される一方、初期回転に関与しない初期払い出し部分は比較的大きな第1の接線角度を持たせるために、仕分け部分の長さを短縮することができることから設備の空間効率を増大させる。同様に、最終払い出し部分においても第2の接線角度より大きい第3の接線角度を持たせることから、仕分け部分の長さを短縮することができるので、設備の空間効率をますます増大させる。この場合、最終払い出し部分にあるシューに掛った荷物の一端は、第3の接線角度に係る壁面からの反力を受けることになった場合であっても、荷物の他端がまだ第2の接線角度を有する中央部分にかかっていることから、中央部分からの反力が抑えられることになる為、回転・横転は起こさない構造が実現され、特に軽量荷物、小型荷物の場合であっても、安全に高速搬送することができる。
【0023】
また、上記特許文献1のように搬送荷物を一旦分岐側と反対側に寄せてから再度分岐側に分岐させるという煩雑な動作をとっていないことから、シューの支持軸の摩耗等、誤動作もしくは誤動作の原因となる事象を極力発生させない構造が実現される。さらに、前記第1、第2、及び第3の角度は前記物品及び/もしくは設置場所の環境によって変更が可能である。なお、前記初期払い出し部分と前記中央部分との間、前記中央部分と前記最終払い出し部分との間が、物理的に離間し、ガイドレールの壁面の連続性が実際上ない場合であっても、張出部材(ホイール)の走行において、連続的走行が維持されるものであればよい。例えば、
図4に示されるように、物品押出しシューの張出部材(ホイール)が分岐ガイドレールに分岐案内される場合に、分岐ガイドレールと物理的に離間した誘導路を経由して、分岐ガイドレール6に乗り移るような場合である。
【0024】
このように構成されることで、同じ搬送ラインでも、接線角度を容易に調整することが可能であり、荷物の種類(たとえば、ペットボトル、文具、紙類、われもの等)や荷物の大きさによって、分岐の接線角度を変えることで、同じ高速搬送系を維持することが可能となり、搬送対象物の流動的な変動に対してもフレキシブルに対処することで、搬送設備の経済効率が一層向上する。
【0025】
また、上記の構成を備えることにより、分岐部分において、シューの張出部材(ホイール)又は支持軸を磁気吸着させて分岐させる(A)又は(B)の手段の他に、回動可能な先端部が鋭角のベーンを用いる(C)の分岐手段を単独又は複合的に組み合わせて、分岐ガイドレールの初期払い出し部分が比較的急勾配であっても確実な分岐動作を実現する。これにより、分岐ミスによる張出部材(ホイール)とノーズブロックとの衝突、騒音、破損等を防止でき、長期間の稼働が実現できる。本発明は、一般的に磁力により駆動された物体の動作が不十分な場合に発生する事象を防止するためにも応用できる。
【0026】
また、上記の構成を備えることで、物品払出しシューが分岐ガイドレールから移動し直進ガイドレールに合流する部分において、分岐ガイドレールの最終払い出し部分が比較的急勾配となって合流部分が急峻となることから、物品押出しシューの移動による付勢(遠心力等)により合流誘導路から外れるような場合が予想される。しかし、上記の(ア)ないし(オ)の合流機構を単独又は複合的に組み合わせた合流機構を構成することで、シューの張出部材(ホイール)が合流する際の直進ガイドレールの壁面への衝突、衝突に伴う張出部材の磨耗及び破損、騒音及び振動等を防止できる。
【0027】
上記の場合において、前記分岐機構に前記物品押出しシューの前記支持軸に配設した、尾部に切欠きを有するベーンと前記ベーンの尾部を接触させその反動で直進方向に向かわせる直進用ベーンガイドとを備える構成としてもよい。
【0028】
このように、物品押出しシューの支持軸にさらに切欠きを有するベーンを備えた物品押出しシューと直進用ベーンガイドを備えることで、物品押出しシューが分岐ガイドレール側に分岐する際に、分岐部の電磁石と逆の側に前記ベーン尾部が侵入可能な隙間を設けた直進用ベーンガイドを配設し、分岐方向に向かうべき物品払い出しシューの分岐動作が十分でない場合には、前記ベーン尾部が前記ベーンガイドの隙間のベーン進行方向終端に接触し、その反動で直進方向に向かわせることで、たとえ分岐動作に失敗してもシューの支持軸がノーズブロック等との衝突することを回避することを可能とする。
【0029】
上記の構成に係る搬送装置において、合流機構の合流誘導壁に回転磁性体と、前記物品押出しシューの前記支持軸を直接磁気吸引して合流させる手段とをさらに具備する構成としてもよい。
【0030】
こうすることで、合流誘導壁内に磁石を備えたものと異なり、該誘導壁の略中央に回転可動な磁性体を設けて、合流時にシューの張出部材(ホイール)自体を磁気吸着せず、シューの支持軸を磁気吸着して、シューの移動に合わせて回転することにより、シューの張出部材(ホイール)を分岐ガイドレールに係合して回転させつつ、直進ガイドレールに案内する合流機構とすることで、シューの張出部材(ホイール)と直進ガイドレールへの衝突、衝突に伴う回転体の磨耗及び破損、騒音及び振動等を防止し、安定した合流動作を実現することができる。
【0031】
この場合に、前記合流機構に前記ベーンと当接する直進ガイドブロックをさらに備える構成としてもよい。
【0032】
ベーンを有する物品押出しシューを用いる場合には、物品押出しシューが合流する際に、回転磁性体による合流動作を行いつつ、該ベーンと当接して合流を補助する合流直進ガイドブロックにより、より安定した合流動作を実現する。
【0033】
上記の構成において、前記分岐機構の前記分岐誘導壁から前記物品押出しシューが前記分岐ガイドレールに乗り移る際に、前記分岐誘導壁の接線方向と略平行に配置された分岐ガイドレールとの離間距離がホィールの直径+0.5mmからホィールの直径+10mmの範囲であり、前記分岐誘導壁の突端部と分岐ガイドレールの先端とが重なる長さが0mm以上10mm以内の範囲に分岐ガイドレールが配置される構成としてもよい。
【0034】
また、上記において、物品押出しシューが隣り合うスラット間に挟まって装着され、前記スラット長手方向に摺動自在に移動する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本願によれば、仕分け部分の長さを短縮することができるので、設備の空間効率をますます増大させる。この場合、最終払い出し部分にあるシューに掛った荷物の一端は、第3の接線角度に係る壁面からの反力を受けることになった場合であっても、荷物の他端がまだ第2の接線角度を有する中央部分にかかっていることから、中央部分からの反力が抑えられることになる為、回転・横転は起こさない構造が実現され、特に軽量荷物、小型荷物の場合であっても、安全に高速搬送することができる。
【0036】
以上のように、本願に係る分岐ガイドレールと、分岐機構及び/もしくは合流機構とを複合的に構成した搬送装置を実現すれば、分岐ミスを抑制し、安定した分岐動作及び合流動作を確保しつつ、高速搬送での稼働率を高め、シューの軸の摩耗、騒音を防止する搬送装置が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体概要を示す斜視図である。図中、物品押し出し用シュー3は簡略化して表示しているが、物品押出し用シューの本実施形態に係る形状は
図2及び
図8による。また、一部説明のために図は模式化し、要部構成を拡大及び/もしくは強調して表現している場合もある。
【0039】
<搬送装置の構成>
図1を参照する。本発明の一実施形態に係る搬送装置1は、搬送物Wを載置するための複数のスラット2を近接して連続的に並列に配設することにより構成され、搬送物Wは、スラット2の両端に固定した駆動チェーン16を回転駆動させることにより主搬送方向(図中のB方向)に搬送される構成を有している。搬送物Wの仕分けは、スラット2上の物品押出用シュー3の接触部31が主搬送方向と略直交する方向(図中のA方向)に移動されることにより分岐搬送路11に向かう経路を形成して、搬送物Wをこの分岐搬送路11に送り出すことにより行われる。
【0040】
この搬送装置1の全体は図示しないが、複数のスラット2及び駆動チェーン16により閉ループに構成され、分岐移動した物品押出用シュー3は、分岐動作に関与しない位置(図示しない)で原位置に復帰される。
【0041】
各スラット2は、その長手方向両端のエンドブロック17が搬送仕分装置両端の駆動チェーン16の延長ピンに適宜連結され、スラット板15はこの両端のエンドブロック17−17間を架け渡されて形成されている。物品押出しシュー3は図中のA方向に移動可能にスラット板2に貫通又は挟持その他保持されて設けられている。
【0042】
図2A、
図2Bは、物品押出しシューの各々の一形態を示す、それぞれ断面図及び斜視図である。これらの図に示すように、スラット板15の下方に延びた支持軸32にローラ形状の張出部材(ホイール)33が枢支されてシュー本体34下に取り付けられて構成される。シュー3のスラット2より上方部分にはボス(接触部)31が設けられる。この接触部31が搬送荷物を所望の方向に押し出すことで分岐させる構成をとる。
図2Cに示されるシューは、スラット間に挟まって可動するタイプであり、前述のスラット貫通型のシューとは基本的に変わらない機能を有している。したがって、シュー形状はあくまで一例であり、種々の形態をとってよく、いずれの形態であっても本願に係る技術思想に包摂される。
【0043】
図3は本願発明の一実施形態に係る分岐ガイドレール6及びシューの移動軌跡並びにその周囲を説明するための概略平面図である。より詳細には、同図は、
図1で示されるスラット3に類した構造についてのスラット面よりも下側の平面を概念的に表している。同図において、張出部材(ホイール)33は、分岐機構100により、スラット下側に敷設された直進ガイドレール5あるいは分岐ガイドレール6に案内される構成を有する。すなわち、シュー本体34下に取り付けられる張出部材(ホイール)33が分岐ガイドレール6に摺接して所定の方向にスラットから反力を受けながら走行することにより、シュー3が所望の分岐方向に誘導されるように構成される。
【0044】
<分岐ガイドレールの構成>
分岐ガイドレール6は、
図3のように初期払い出し部分S1、中間部分S2、最終払い出し部分S3が連綿と接続されて構成されている。初期払い出し部分S1の接線角度はθ1、中間部分S2の接線角度はθ2、最終払い出し部分S3の接線角度はθ3、であるようにそれぞれの接線角度を有していて、それぞれの連接点は曲線の変曲点である。搬送される荷物Wの最先の角部分が、中間部分S2、すなわち接線角度θ2を有する部分に当たるように組み付けられている。
【0045】
なお、最終払い出し部分S3から分岐搬送路11に至る部分においては、図中のD部分に設けられる本願発明に係る合流機構の(後述する)構成を備えることにより、シューが直進ガイドレールの側壁等に衝突することなくスムーズに主搬送路方向(
図5等におけるB方向)に運動のベクトルが収まるように構成されている。
【0046】
ここで、θ1>θ2、θ3>θ2、となるように設計されている。θ1とθ3とは等しくても等しくなくてもよい。最終払出し角度θ3を比較的急角度とするのは、シュートピッチを狭くすることで分岐搬送路11と主搬送路との接合部分の接触線を短くでき、システムとして設置面積を減少させることができるようにするためである。また、実験上、θ1及び/もしくはθ3は32.5°程度を上限とするのが好ましく、θ2としては20°程度であるのが好ましい。
【0047】
このように最終払い出し部分の角度を大きくとることができれば、主搬送路に分岐搬送路を設置するシュートピッチを狭くすることにより効率的な設備の構築をすることができる。これは、緩―急―緩の勾配をもっていた従来の分岐搬送路における最終払い出し角度(特許文献1における一例では15°)よりも、本願におけるθ3(たとえば32.5°)が大幅に大きいためである。また、θ3を比較的急角度とした場合であっても、すでにθ2によって分岐方向への付勢を与えられている荷物Wは回転、横転、或いは破損しない。これは、搬送途上にあることから、荷物が受けるのはあくまで相対速度であって、(θ3―θ2)の部分のみが荷物Wの変位に寄与するために、角度ゼロ(水平)からθ3にする場合に比して比較的小さな変位方向への付勢しか受けないことと、仮に回転等を受けるに十分な力が加わったとしても、後続するシューのボス(接触部)31によりかかる回転等を阻む方向に反力が加えられるためである。
【0048】
一方、中間部分S2の払出し角度θ2を比較的緩角度とするのは、この部分に荷物の最先の角である最初の接触部分が当たることから、初期接触で回転、横転、破損等を起こさないようにするためである。また、初期払い出し部分S1に係る初期払い出し角度θ1を比較的急角度とするのは、この部分は元来が接触に関与しない部分であるところ、急角度とするのが経済効率上好ましいからである。つまり、θ1を比較的急角度とする方が、θ1が緩角度である場合に比して、分岐ガイドレールを設置するシュートピッチが狭くとれ、最終払い出し部分の角度θ3を大きく取った場合と同様に、設置スペースを減少させることができることになる。
【0049】
ここで、初期払い出し部分S1、中間部分S2、最終払い出し部分S3の長さについて説明する。
図4は、搬送装置の分岐機構により分岐した物品払出しシューの張出部材が分岐ガイドレールに乗り替わる動きをシューの(仮想的)軌跡として示した平面図である。分岐機構100は、たとえば、磁石等を装着しており、この磁力によってシュー3を引き付けることによって進路変更させることができるように構成されている。
【0050】
図4の場合、分岐誘導壁101は変曲開始位置STから一定の大きさに係る曲率半径の曲線をなし、分岐誘導壁101の接線角度が初期払い出し角度θ1と等しくなったところまで長さを備えるのが好ましい。この位置で、略平行に分岐ガイドレール6が設けられている。できるだけ平行とするのは、分岐誘導壁から分岐ガイドレールに乗り移る際にも多少とも衝撃が分岐ガイドレールに加わり騒音が発生する、という状況を平行とすることで少しでも緩和することに資するからである。
【0051】
この場合、合流誘導壁101と分岐ガイドレール6との離間距離d1は、少なくも張出部材33(ホイール)の直径より大きくする必要があるが、実験上、ホイール直径+0.5mm〜+10mmの範囲の値をd1として設定することとする。このようにすることで安定した乗り移りができる。また分岐ガイドレール6先端と平行延長線状にある誘導壁突端部102とが重なって突出する可能な長さd2は、0mm以上10mm以下とすることが望ましい。なお、分岐開始位置STから分岐誘導壁101の突端102までの垂直距離をd3とし、分岐誘導壁101の突端102から分岐ガイドレール6の第1の変曲点H1までの垂直距離をxとしたとき、x+d3は設計上、様々な値をとることができる。d3は初期払い出し部分に係る接線角θ1の曲率半径と略等しい値をとるとすることもできる。分岐誘導路101を急峻な湾曲をなすように構成する場合、すなわち接線角θ1を比較的大とする場合には、d3を短く取ることが可能となる。分岐誘導路101を緩やかな湾曲をなすように構成する場合、すなわち接線角θ1を比較的小とする場合には、d3はさらに短く取れる可能性があるものの、分岐機構の設置スペースが大きくなり、省スペース化が図れない。本願においては、比較的急峻な湾曲でも確実な分岐動作を行う課題を設定し、これを実現すべく、本願に係る後述の分岐機構を採用する。
【0052】
図5は、初期払い出し部分S1、中間部分S2、最終払い出し部分S3、の長さとして取り得るバリエーションを説明するための概念的平面図であり、
図5Aは比較的均等な左右バランスを有するパターン、
図5Bは比較的非均等な左右バランスを有するパターン、をそれぞれ示している。
図5Aに示されるように、比較的均等な左右バランスによって配置する場合には、荷物Wの突端が当接するべき、変曲点H1−H2間部分が搬送方向Bに直交する断面上略中央よりに配置されることになる。
【0053】
図5Bは、S3の部分を極端に長く、たとえば同図ではセンターラインを越えて長くとった場合であり、その分S1、S2が短くとられることになる。S2部分は経済効率上、短ければ短いほど好ましいが、荷物Wが当接するのに十分な程度の長さは確保するのが好ましい。同図に示すように、S1部分が短い場合の例としてx=d3程度であるとすることもできる。
【0054】
次に、
図6により、上記のように構成される分岐機構、分岐ガイドレール6、合流機構を有する搬送装置の動作について説明する。同図に示されるように、スラット2は図中B方向に(図示しない)動力機構により移動している。スラット3に載置された荷物W2が分岐搬送路11の直前のエリアに至ったことを別途(図示しない)センサー等により確認した制御機構は所定のタイミングにおいて分岐機構装置100を駆動させる。分岐機構装置100が駆動されて磁石がシューを引き付けることで、たとえばシュー3の張出部材(ホイール)33は分岐ガイドレール6に摺接する方向に付勢を受ける。もともとのシュー33が移動するのに伴っていた運動エネルギーにこの付勢が加わることによって、シュー3が分岐ガイドレール6に完全に移る。こうしたガイドレール下側の動きが生成されることに付随して、ガイドレール上側においては、シュー3の張出部材(ホイール)33と一体的に組み立てられたボス(接触部)31が荷物を分岐ガイドレールに一定方向に押し出す動作として顕現することになる。
【0055】
この際において、張出部材(ホイール)33は分岐ガイドレール6の軌道をなぞるように摺接・移動してゆく。図中の左側からB方向(主搬送方向)に搬送されてくる荷物W2(図中、点線で示す)はその先端部の角部分が変曲点H2を水平に延長したラインLM2上もしくはそれより図中下でシュー3の張出部材(走行ホイール)のボス(接触部)31と追突もしくは当接する。ボス(接触部)31と追突もしくは当接した荷物W2は、当該追突もしくは当接によってボス(接触部)31から反力を受ける。この反力の作用により荷物W2はそれまでの搬送方向(図中のB方向)と分岐ガイドレール6の軌道方向との合成ベクトル方向に方向転換されることになる。具体的には、荷物W2が若干回転させられていわゆる首ふり動作を起こす。このとき、後続のシューが次々と荷物W2の側面部に当接することで、あたかも荷物W2の側面が分岐ガイドレール6の軌道に収束するかのような動作になる。こうした一連の動作の結果、荷物W2は当初の分岐傾きとしたθ2の角度の方向に誘導・付勢されることになる。したがって、シューとの接触時における回転、横転、破損は避けられる。
【0056】
シュー3と当接した以降の荷物W2は、分岐ガイドレール6の軌道に沿って進む。上述したように、分岐ガイドレール6は最終払い出し部分S3に架かったところ、すなわち変曲点H2において接線角度がθ3に変更されることから、シュー3の張出部材(ホイール)33はθ2からθ3角度方向に誘導・付勢され、図中実線で示す位置に至る。ここに至る一連の動作、すなわち、ボス(接触部)31からの反力受け動作、合成ベクトル方向への方向転換動作、首ふり動作、荷物W2の側面の分岐ガイドレール6軌道への収束動作は上記と同様であるので、記載を省略する。こうして最終払い出し部分S3の終局位置に近くなると、同じθ3の角度で設営されている分岐搬送路11側に無理なく誘導される。一方、シュー3は、分岐ガイドレール6の最終払い出し部分の終局位置付近において、荷物W2との当接が解消される。この位置(
図3のD)の合流機構により搬送前方B方向に向いて左側に整列した状態になる。
【0057】
荷物W3は、
図6中、下側の限界線であるLM1に下端が接するようにして搬送される場合を示している。このようにLM1〜LM2の間に最初の接触点がくるようにし、その前に本願に係る分岐機構、その後に本願に係る合流機構を、それぞれ配置することで、全体系として、荷物の回転、横転、破損等を防止できる搬送の分岐操作を実現することができる。
【0058】
以上説明したように、上述した分岐機構、分岐ガイドレール、合流機構を備える本発明の一実施形態によれば、シューの適切な分岐動作を経由して、θ2の緩やかな角度で荷物を当てるようにすることで、シュー3による搬送対象物への衝撃を和らげることができ、しかる後にシューの適切な合流動作を経由させる。結果的に分岐押出し中においても回転、転倒、損傷等の発生を防止・緩和できる。同時に、シュー及び/もしくはスラットの摩耗・強度低下を防止できる。この場合、シュートピッチがS2に係る分だけは長くなるが、荷物に応じてθ2の位置を割り出して、その位置近傍に限定して幅寄せする手段を採用すれば、θ2に係る中央部分S2の長さを極力短くすることができ、設営面積の効率をその分向上させることができる。
【0059】
また、S2部分(中央部分)の長さを自由に設計することができるから、仮にS2を長くとった場合には、いわゆるスイートスポットと呼ばれる部分の長さを長くできるので、たとえ不規則な当たり方をする場合であっても物品の回転や転倒等を起こさない、正しい仕分ができる部分を増やすことになる。
【0060】
一方、最終払い出し角度を急にすることで、分岐搬送路を設けるピッチを狭くでき、その分、比較的狭小な面積で合流機構を収めることができることとなる。この場合、最終払い出し角度を急にしてもシューに接する荷物が回転しない、という実際上の挙動を利用することができる。同様に、初期払い出し角度を急にすることで、分岐搬送路を設けるピッチを狭くでき、その分、比較的狭小な面積で分岐機構を収めることが可能となる。
【0061】
さらに、θ1、θ2、θ3は、θ1>θ2、θ3>θ2という条件さえ満たせば、特に限定はなく、また初期払い出し部分S1、中間部分S2、最終払い出し部分S3の長さについても限定はない。逆にいえば、荷物の種類・重量・内容物、設備の素材、設営面積などに応じて、自由に、最も経済効率が良く、かつ荷物の回転等の発生を抑止できる設備を最適に設計・選択することができることとなる。
【0062】
<分岐機構の構成>
本発明の分岐機構に係る実施形態を説明する。本発明では、分岐機構としては種々の公知のものを用いることができる。たとえば次の態様を採用しうる。すなわち、スラットを連結して成る搬送面上の物品を仕分け位置にスラット長手方向へ移動させる移動手段を具備し、前記移動手段の搬送面下方に突出する支軸に外嵌された回転体が、搬送面下方に本線方向並びに分岐方向に沿って敷設されたガイドレールにより案内されて前記移動を行う仕分けコンベヤの切換装置において、前記ガイドレールを主レール及び分岐レールにより構成するとともに、該分岐レールの主レールとの枝分かれ部分に電磁石並びに該電磁石の下流側に磁石を配設し、物品を分岐方向に搬送する際に前記回転体を電磁石に吸引し、次いで磁石に沿って移動させることにより前記分岐レール側に導くことを特徴とする仕分けコンベヤの切換装置により達成される。
【0063】
同様に、前記仕分けコンベヤの切換装置において、分岐レールの主レールとの枝分かれ部入口部分の側壁の一部を、前記回転体が接触した際に該回転体との間で閉磁路を形成するように構成することによっても達成される。また、同様の目的は、前記仕分けコンベヤの切換装置において、分岐レールと主レールとの枝分かれ部分に、前記回転体の支軸を案内する支軸ガイド部材を配設することによっても達成される。
【0064】
更に、スラットを連結して成る搬送コンベヤ上の物品を仕分け位置にてスラット長手方向へ移動させる移動手段を具備し、前記移動手段から搬送面下方に突出する支軸に外嵌された回転体が、コンベヤ搬送面下方に本線方向並びに分岐方向に沿って敷設されたガイドレールにより案内されて前記移動を行う仕分けコンベヤの切換装置において、前記ガイドレールを主レール及び分岐レールにより構成するとともに、該主レールと分岐レールとの枝分かれ部上流のガイドレールのレール幅を、前記回転体の外寸と同程度に狭くなるように幅寄せしたのち下流側に向かうに従って徐々に広がるように左右一対の電磁石を配設し、更に前記分岐レールの前記主レールとの枝分かれ部入り口部分の側壁の一部を磁石で形成して、物品を分岐方向に搬送する際には、前記回転体を前記左右一対の電磁石のうち分岐レール側に配置された電磁石に吸引し、次いで分岐レール側壁の磁石に沿って移動させることにより前記分岐レール側に導き、物品を本線方向に搬送する場合には、前記回転体を前記主レール側に配置された電磁石に吸引し、次いで該主レールの側壁に沿って移動させることを特徴とする仕分けコンベヤの切換装置によっても達成される。
【0065】
スラットコンベヤ1は、物品Wを載置するための複数のスラット2を近接して連続的に並列に配設することにより構成され、物品Wは、スラット両端に固着した駆動チェーン16を物品搬送方向に駆動することにより所定の方向(矢印B方向)に搬送される。仕分けは、スラット2上の移動シュー3を後述する機構により矢印B方向に対して直角方向(矢印A方向)に移動させることにより分岐搬送路11に向かう経路を形成して、物品Wを分岐搬送路11に送ることにより行われる。スラットコンベア1の全体は図示しないが、複数のスラット2及び駆動チェーン16により閉ループに構成されていることは勿論である。
【0066】
各スラット2は、その長手方向両端のエンドブロック17がコンベヤ両側の駆動チェーン16の延長ピンに適宜連結されており、エンドブロック17に二本のスラット板(「スラット棒」ともいう。以下同じ。)15が架け渡されて、このスラット棒15がスラットコンベヤ1の荷搬送面を構成し且つスラット棒15に貫通されスラット棒15に沿って荷搬送方向(矢印B方向)に直交して移動可能な移動シュー3が設けられている。この移動シュー3は、スラット下方に延びた支軸に外嵌された回転体33を備えており、回転体33は後述する切り換え機構により、スラット下側に敷設されたガイドレール9の主レール10あるいは分枝レール11に案内される。
【0067】
図20は、本発明による搬送路の切り換え機構の一実施例を説明するための図であり、搬送路の分岐部分の要部上面図である。ガイドレール9は一対の側壁9a及び9bから構成されるとともに、コンベヤ上の物品Wを直進方向(本線方向)に搬送させるための主レール10と、仕分け方向(分岐方向)に搬送させるための分岐レール11とを備えて構成される。分岐レール11を構成する左右一対の側壁12a及び12bのうち電磁石13が配設される側の側壁12aは、主レール10との枝分かれ部入り口部分を電磁石13を備える上部側壁14並びに永久磁石15又は電磁石15aを備える下部側壁16を備えて構成される。
【0068】
尚、側壁12aの下部側壁16の下流側部分は、一方の側壁12bと平行して分岐レール全長に亘り設けられてもよいし、図示されるように下流側の一部分に設けられてもよい。これは、後述される仕分けにより回転体8が分岐レール11側に案内された際に、回転体8は図示は省略されるスラットの移動に伴い、図中上方から下方に向かう力を受けるため、下部側壁16を通過した後(回転体8dの状態)は側壁12bに当接しながら分岐レール11を移動するためである。また、側壁12aが下部側壁16の下流側の一部分にのみ設けられる場合には、側壁12aを非磁性材料で形成して、分岐レール11に案内された回転体8が側壁12a側に引き寄せられることなく、他方の側壁12bに沿って分岐レール11を移動できるようにする。
【0069】
また、下部側壁16に配設された永久磁石15又は電磁石15aは、単一部材であってもよいし、複数個に分割して分岐レール11に沿って配列してもよい。センサ17は、ガイドレール9の主レール10と分岐レール11の枝分かれ部上流に位置し、ガイドレール9に沿って移動する回転体8の通過を検出する。センサ17からの検出信号と図示されない仕分け情報との適当な演算により、第1の電磁石13の導通が制御される。
【0070】
移動シュー3の回転体8は、磁性材料からなるローラまたはベアリングで構成され、搬送時、ガイドレール9に沿って、
図20の図中上方から下方に向かって移動する。以上のように構成される切り換え機構において、仕分けを行わない場合、即ちコンベヤ上の物品を直進させる場合には、回転体8は、図中上方から下方に向かって直進して、主レール10に沿って進む(図中、回転体8aの状態)。このとき、電磁石13のコイルへの給電は行われずに、回転体8は電磁石13に吸引されることなく直進して、主レール10へと進む。
【0071】
これに対し、仕分けを行う場合には、電磁石13のコイルに電流を流すことにより、回転体8を上部側壁14に引き寄せ(図中、回転体8bの状態)、その後永久磁石15または電磁石15aの磁気作用により下部側壁16に沿って分岐レール11へと導く。このとき、下部側壁16の磁石が電磁石15aの場合には、電磁石15aは電磁石13と同時に導通される。
【0072】
また、主レール10と分岐レール11との枝分かれ部分の構造は、
図20に示された構造の他にも種々の変更が可能である。例えば、
図21に示されるように、電磁石13と永久磁石15又は電磁石15aとを磁性材料からなるヨーク18で連結するとともに、該ヨーク18を分岐レール11の側壁12aの一部とすることができる。ここで、ヨーク18並びにガイドレール9aを、ガイドレール9aがヨーク18の接線となるように連続して形成することにより、回転体8をヨーク18に沿って円滑に移動させることができる。
【0073】
更に、ヨーク18は、
図21A(
図21のAA矢視図)に示されるように、電磁石13の一方の磁極13aに接続して電磁石13のコイルの上面を覆ってガイドレール9b側に屈曲する第1のヨーク18aと、電磁石13の他方の磁極13bに接続してガイドレール9b側に屈曲する第2のヨーク18bとにより構成される。また、第1及び第2のヨーク18a,18bは、電磁石13が導通された状態で回転体8が接触した際に、回転体8との間で磁束Mで示される閉磁路を形成するように、移動シュー3に吊設された回転体8の垂下位置に対応する位置で、あるギャップ幅をもって対向して配設される。尚、必要に応じて前記ギャップ部に適当なスペーサを設けてもよい。
【0074】
更に、第1及び第2のヨーク18a,18bは永久磁石15又は電磁石15aの下流側端部にまで延在しており、下流側の磁石が永久磁石15の場合、第1及び第2のヨーク18a,18bが前記ギャップ幅に相当する厚さの永久磁石15を挟持した構造となる。この場合も、回転体8との
間で磁束Mで示される閉磁路が形成される。尚、永久磁石15のN極とS極は、電磁石13の磁極の極性と一致するように第1及び第2のヨーク18a,18bとの接触面を選択しなければならない。
【0075】
また、ヨーク18と永久磁石15との構成は、第1及び第2のヨーク18a,18bにより永久磁石15を挟持した構造に限らず、種々の構造が可能である。例えば、永久磁石15を複数(図の例では2つの永久磁石15b,15c)で構成し、永久磁石15とヨーク18とを交互に積層した構造とすることもできる。この場合、永久磁石15の数に応じて複数の閉磁路が回転体8との間に形成される。更に、ヨーク18を省略して永久磁石15だけで回転体8との間で閉磁路を形成することも可能である。
【0076】
一方、下流側の磁石が電磁石15aの場合には、
図21Aと同様の構造となる。上記
図20において説明したように、本発明に係る切換機構は仕分けに際して、移動シュー3の回転体8を分岐レール11に案内する際に電磁石13が導通されるが、この導通に伴い熱が発生し、この熱がヨーク18を介して永久磁石15又は電磁石15aに伝わり、これら磁石の磁力を減衰させるおそれがある。特に、磁石が永久磁石15の場合には、熱による影響を受けやすい。また、磁石が永久磁石15の場合ヨーク18全体が帯磁した状態となるため、回転体8は電磁石13の導通が無い場合でもヨーク18に吸引され、主レール10側に案内する際にその直進性が阻害されるおそれがある。
【0077】
そこで、ヨーク18の電磁石13と永久磁石15又は電磁石15aとの境界付近にスリット19を穿設することにより、電磁石13から発生した熱が永久磁石15又は電磁石15aに伝わるのを抑制したり、磁束を外部に逃して電磁石13が配設された部分の帯磁を少なくすることができる。また、スリット19に限らず、例えば複数の貫通孔を穿設することによっても同様の効果が得られる。更に、ヨーク18を電磁石13部分と永久磁石15又は電磁石15a部分とに分割して境界部分の隙間
に非磁性材料を充填してもよい。
【0078】
以上の如く主レール10と分岐レール11との枝分かれ部分を構成し、仕分けに際して電磁石13を導通すると、回転体8は電磁石13に引き寄せられるとともに(回転体8bの状態)、ヨーク18に当接して該ヨーク18との間で閉磁路を形成し、その後このヨーク18に沿って下流側へと移動し(回転体8c及び8dの状態)、分岐レール11に案内される。
【0079】
ここで、ガイドレール側壁9bの電磁石13の配設位置よりも上流側に移動シュー3の支軸21を案内する支軸ガイド部材22aを配設して、回転体8をガイドレール側壁9aに当接させて移動させることにより、回転体8をヨーク18に確実に当接させることができる。この支軸ガイド部材22aは、
図21Aに示されるように、その側壁面に移動シュー3に突設された支軸21の回転体8下方に突出する部分が当接するように構成されている。
【0080】
更に、主レール10と分岐レール11との分岐頂部20の上流側に、移動シュー3の支軸21を案内する支軸ガイド部材22bを配設することができる。支軸ガイド部材22bは、上流側を頂点とし、主レール10及び分岐レール11に沿って斜辺が伸びた略三角形状を呈し、更に、その側壁面に移動シュー3に突設された支軸21の回転体8下方に突出する部分が当接するように構成されている。
【0081】
次に本願の分岐機構の別の態様について説明する。
図7ないし
図9は、本願発明に係る別の態様に係る分岐機構について説明するための図である。
図7は、本願の一実施形態に係る搬送装置の分岐機構及びその周辺を示した斜視図である。
図8は、本願の一実施形態に係るベーンを備える物品押出用シューを示した断面及び外観図である。
図9は、本願の一実施形態に係るベーン19の斜視図である。
【0082】
より詳細には、
図7では、張出部材(ホイール)を磁気吸着させる機構及びベーンを有する機構であって、切欠き尾部を有するベーンと直進ベーンガイドとを備えた複合的な組み合わせによる分岐機構の一実施形態が示されるが、物品押し出しシュー34はスラット2を取り除いた状態でホイール33、支持軸32及びベーン19のみ示している。
【0083】
同図に示されるように、分岐機構100には、ホイール33の進行方向に沿って、直進ガイドレール5及びその側壁21a、21b、進行方向右側に設けた永久磁石221を内蔵するベーン補正ガイド22、ベーン補正ガイド22に引き続く永久磁石231を内蔵し進行方向の中間部分の上方が切り欠かれている直進用ベーンガイド23、図中進行方向左側に設けた電磁石24、電磁石24に引き続く永久磁石25、電磁石24及び永久磁石25の内側に設けたヨークを兼ねる磁性体からなる分岐誘導路101、電磁石24の上部前面を覆う形状の分岐ガイドブロック27、ホイール33の進行方向に対向して、ベーン19の先端部と接触しうる位置にある、尖った先端部を有するノーズブロック29、更に、ノーズブロック29の進行方向前方に、ホイール33と同じ高さでホイール33の分岐を誘導するノーズ26、及び分岐方向ガイドレール6、及びその側壁6aが設けられている。
【0084】
ノーズブロック29は、ノーズ26の先端にホイール33が衝突するのを防止する目的で、ノーズ26よりも進行方向手前に設けたものである。なお、分岐ガイドブロック27の材質は、樹脂に限定されず、非磁性体であれば、ガラス質などであってもよい。また、永久磁石25は、電磁石であってもよく、必要な場合のみ通電して磁力を発生させてもよい。あるいは、電磁石24の形状によっては省略してもよい。
【0085】
上述のごとく、本願に係る分岐ガイドレールの初期払い出し部分が比較的急勾配であることから、より安定した分岐動作を実現する必要がある。
図8が請求項1及び請求項4の分岐機構の物品押出しシューの構造図であって、
図2Aの物品押し出しシューに比較して、シューの支持軸にベーン19を装備している。
図9は、ベーン尾部に切欠きを有するベーン19の斜視図を示したものである。
【0086】
ベーン19は、磁性体からなり、厚板状で、水平断面が、長方形の進行方向Aでの先端部を尖らせた形状、垂直断面が、長方形で後端部の下方を小さな長方形に切り取った形状、かつ、垂直方向に支持軸32を枢支するための孔部Hを設けた構造で、(図示しない)固定機構で支持軸32の回りに回動可能に固定されている。なお、ベーン19の構造は、これに限定されず、全体の形状、先端部の形状、切り欠きの有無及び形状についても、本発明の要旨を実現するために適切な形状であればよい。
【0087】
前述の分岐機構(A)及び(B)は、分岐路に備えた磁石により物品押出しシューの張出部材(ホイール)又は支持軸のいずれかを磁気吸着させて分岐させるものであり、磁石を含む分岐路の壁面の高さを該張出部材(ホイール)の高さ、または支持軸の高さとするかの違いがある。前述の(C)は、前記支持軸にベーン19を備え、該ベーンをも磁気吸着させて、分岐方向に指向させて分岐動作を行わせるものである。さらに、請求項4に係る分岐機構では、該ベーンが尾部に切欠きを有するものであって、直進ガイドレールを具備することで、より確実に分岐動作を行わせようとするものである。
【0088】
次に、上記のような構成の分岐機構の動作について説明する。
図10は、正常直進時の説明図である。すなわち、搬送物を仕分ける必要がなく、物品押出用シューが搬送装置1のコンベアの進行方向(
図1のB方向)に直進する場合は、電磁石24は作動せず、ホイール33は、搬送装置1のコンベヤの動きに従って直進ガイドレール5に案内されて直進方向に進行してくる。
【0089】
ここで、ホイール33の下方に位置するベーン19は、ベーン補正ガイド22の小型磁石221によって、ほぼ直進方向に挙動が補正される。ホイール33は、引き続き、直進用ベーンガイド23の入口部でベーン19全体がさらに小型磁石231により直進補正されながら、直進用ベーンガイド23を通過して、直進方向に進み、ノーズブロック29にも接触することなく、分岐部出口の直進ガイドレール5へと進行する。
【0090】
図11は、分岐機構による正常分岐時の説明図である。物品を仕分ける場合、電磁石24が作動する。それにより、ホイール33、ベーン19が電磁石24の方向に吸引され、ベーン19はガイドブロック27に接触して進行することにより、ガイドブロック27の接線方向に強制され、ガイドブロック27の先端とノーズブロック29の間の分岐部分に進入する。一方、ホイール33は、電磁石24、引き続いて設置される磁石25に吸引されて分岐誘導路101に係合し、さらに分岐ガイドレール壁6aに当接しながら進行する。このようにして、
図13に示すように、分岐動作が不十分な場合、物品押出しシューの支持軸32がノーズブロック29に衝突するということもなく、分岐動作が完了する。
【0091】
ここで、
図12に示す直進用ベーンガイドと切欠きを有するベーン19の動作を説明する。もし、ホイール33がその損傷や汚れが原因で充分に磁気吸引されず、誘導路101から離れるような場合があっても、進行方向の後端下部に切り欠きを有するベーン尾部191と分岐部の電磁石と逆の側に設けた進行方向の中間部分の上方が、切り欠かれている直進用ベーンガイド23の切り欠き端部232とが接触し、それによってベーン19が直進方向に戻される。これにより、少なくともベーン19が直進方向に戻されることによって、不十分ながら分岐方向に向かっていたホイール33が直進方向に戻され、分岐に失敗したとしても、ノーズブロック29への衝突が回避され、運用を続行することが可能となる。
【0092】
<合流機構の構成>
本発明の合流機構に係る実施形態を説明する。本発明では、合流機構としては種々の公知のものを用いることができる。たとえば次の態様を採用しうる。すなわち、
図14ないし19は、前述の(ア)ないし(オ)の合流機構を説明するものである。なお、実施形態として(ア)ないし(オ)から組み合わせたもので説明している。
図14では、湾曲した合流誘導路36の壁面に組み込んだ磁石Dを具備する合流機構(ア)と、ベーン19を備えた物品の押出しシューを用いた場合であって、ベーン19とベーン19に当接して直進方向に案内する合流ガイドブロック35を具備する合流機構(イ)とを複合的に構成した合流機構を説明している。搬送品は物品押出しシューの移動によって分岐搬送路に押し出された後、シューの張出部材(ホイール)及びベーン19は合流誘導路36に係るD部に設置された磁石に吸着されつつ、分岐ガイドレール6から直進ガイドレール5に案内される。ただし、分岐ガイドレール6の最終払い出し部分S3が比較的急勾配であること、及び合流領域の省スペース化を図ることから、合流誘導路36は曲率の高い湾曲した正円の円弧の形体が好ましい。
【0093】
一方、搬送品が分岐搬送路に移され、物品押出しシューが解放されると、該搬送品の重さや大きさに係る付勢およびシュー自体の重さにより合流誘導路に入るところで遠心力を受け、あるいは、ガイドレールやシューの張出部材(ホイール)の汚れ等により、合流誘導路36に配設された磁石の吸着力が低下すれば、物品押出しシューが合流誘導路から外れる場合もある。
【0094】
そこで、対面する直進ガイドレールの壁の前面に合流直進ガイドブロック35を設け、張出部材(ホイール)に備えたベーンが、前記合流直進ガイドブロック35に接触しつつ、その接線方向である直線方向に指向するようにさせ、シュー全体が直進方向に進行するようにして合流動作を完了させる。合流直進ガイドブロックは、分岐機構における分岐ガイドブロックと機能的には対をなすものである。
【0095】
図15A、
図15B、
図15C、
図15Dは、回動可能な回動案内壁(エ)と湾曲した合流誘導路36の壁面に磁石を具備した合流機構(イ)とを複合的に構成した合流機構の一実施形態を説明するものである。
図15Aのように、分岐ガイドレール6と直進ガイドレール5との合流部分には、物品押出用シューの張出部材(ホイール)を案内する長手状の回動案内壁50が、回動可能に設けられている。
図15Dは回動案内壁50の簡略的な形態を斜視的に示したものである。案内壁の高さはホイールと接合させるためガイドレールの高さと略同じである。回動案内壁50は、定常状態では先端側が合流誘導路36と直進ガイドレール5の対面5aと接離して回動中心軸線60の位置に設けられる(
図15A)。ここで回動案内壁50が物品押出用シューの張出部材(ホイール)33に押されることで、回動して直進ガイドレール5の対面側5aに接近した状態(
図15C)又は合流誘導路に接近した状態に回動する(
図15B)。
【0096】
すなわち、回動案内壁50は、物品押出体シュー33の張出部材(ホイール)に押されることにより、いずれかの接近状態に回動して選択的に切り換えられる。回動案内壁50の基端部(51の部分)は、貫通孔51にたとえばねじが嵌入されて回動可能に枢支されて構成されている。また回動案内壁50の取り付け下部において、(図示しない)バネ等により保持され、物品押し出しシューに押されて回動した後は、回動中心軸線60に復帰するように動作をとることが可能なように固定されている。
【0097】
また、回動案内壁50は、張出部材(ホイール)と滑らかに係合させ、又は当接時の騒音を抑えるため、弾性体の材料を用い、又は両側面が凹状の湾曲面をもって形成してもよい。なお、回動案内壁50の基端部が取り付けられる領域は、分岐ガイドレールの最終払い出し部分が比較的急勾配をもった壁体であることから、広く取ることができ、該案内壁の基端部が比較的大きな物理的形状であっても設置ができるメリットがある。回動案内壁50は、言い換えれば、直進ガイドレール又は分岐ガイドレールの一部として対面する誘導壁を構成するものである。
【0098】
図15Eは、合流機構(オ)を説明する概念図である。合流部分において、分岐ガイドレールから物品押出し用シューが移動してきた場合、合流部分の壁面や直流ガイドレールに接触または衝突することが予想される位置に吸音性の制動材(ゴム性弾性体等)を配設することによって、騒音及び衝撃を吸収する態様に係る合流機構である。
【0099】
図15Fは、合流誘導壁の底面において、その底面に磁石を配設し、物品押し出しシューの支持軸を吸着して制動させ、合流させる合流機構(ウ)の一実施形態を説明するものであって、
図15Gは
図15FのE点から見た断面矢視図である。合流誘導壁底面部に湾曲した凹状溝80を設け、凹部底面には、細状のスリット84が形成されている。凹状溝80は、底部に突起部材83を有した円柱状の永久磁石81を置き、円柱状磁石81はスリット84に沿って
移動できる。同時に渦巻きバネ82を設けて当接している。分岐ガイドレールから物品押出し用シューが移動してきた場合、物品押出し用シューの支持軸は、円柱状磁石81により吸着されて、バネ82により制動を受けながら、合流位置において円柱状磁石81の吸引から離れて直進ガイドレール方向に向う合流機構を構成する。ここで、凹状溝80は、非磁性体である材質により凹状溝を囲ったものであって、上面方向以外の金属物との磁気吸引を抑えるようにする必要がある。
【0100】
図16及び
図17は、合流機構を説明するものである。
図17は、
図16のE点からみた矢視図である。本合流機構は、湾曲した合流部の内側に磁石を配置した上記(ア)のようにするものでなく、合流誘導壁の中央部に回転可能な磁性体40を設けて、シュー3の支持軸を直接に磁気吸着することで進行方向を変更するものである。磁性体40は、
図17に示すように、対向する一対の円盤状のヨーク材41間に、所要形状(本実施形態ではドーナツ状)の永久磁石42を挟持してなる回転体である。磁性体40は、ヨーク材41の中央部
で、回転軸43が
図16に示すように合流誘導壁内に固定されている。回転軸43は、分岐ガイドレール6終端の折曲部分近傍にベアリングユニット44を介して回転自在に支持されている。
【0101】
次に、分岐ガイドレール6から直進ガイドレール5に合流するシュー3の支持軸32及び張出部材(ホイール33)の動きを、
図16を参照して説明する。張出部材(ホイール)33は、分岐ガイドレール6の最終払い出し部分S3に係合して回転しつつ、ホイール33が33aで示す位置に達すると、シューの支持軸32は磁性体40のヨーク部に吸着され、以後、張出部材(ホイール)33が33bで示す位置に達しつつ、磁性体40に吸着された状態が保持される。このとき磁性体40は、支持軸(ピン)32の移動に合わせて回転する。さらに張出部材(ホイール)33は、湾曲した合流誘導壁36に沿って直進ガイドレールと係合する33cの位置まで達し、直進ガイドレール5(矢印B方向)に方向転換される。
【0102】
図17に示されるように、シューの支持軸32が磁性体40に十分に磁気吸着されていれば、シュー3の回転ホイールが直進ガイドレール5の対面側に衝突することはなく、衝突によるホール33の磨耗及び破損、騒音及び振動等が生じることもない。同時に、磁性体40は、シュー3の支持軸32のみを磁気吸着するため、回転ホイール34が長時間に渡って磁性体40からの磁気作用を受けることなく、回転ホイールの磁化による摺動抵抗の増大を抑制できる。また、回転磁性体40が支持軸32を磁気吸着させることにより、張出部材(ホイール)33自体を磁気吸着させる場合より曲率半径が長くなり、対遠心力等との関係で回転磁性体40の磁気吸着力を小さくすることもでき、また比較的急峻な合流部であっても有効な合流動作を実現できる。
【0103】
図18は、ベーンを備えた物品押出しシューと直流ガイドレールとに係る合流機構(ア)と
図16に示した合流機構を複合的に構成したものである。最終払い出し部分S3が比較的急勾配であることから合流誘導壁36の曲率を大きくして省スペース化したい場合、あるいは汚れ等により磁気吸着力が低下した場合、シューのホイールが合流誘導壁36から外れてガイドレール等への衝突を完全に防止できない恐れもある。そこで、ベーンの支持案内により合流機構(ア)も併せて複合的な合流機構を構成するものであって、より確実な合流機構を実現する。
【0104】
以上の実施形態のように分岐ガイドレール、分岐機構、合流機構を適宜組み合わせた搬送装置により、高速搬送でもシューの軸の摩耗、騒音を防止し、搬送システムの誤動作を起こしにくいものとなる。
【0105】
なお、これまでの説明において、種々のガイドレール、ベーン補正ガイド、ベーンガイド、ヨーク、ノーズブロック、直進ガイドブロック等を、独立の部品としてきたが、いくつかが組み合わされた複合部品であってもよい。実質的にそれらの独立の部品としての機能を果たせるものであれば、名称・形状などを問わず、本発明に含まれるものとする。同様に、物品押出用シューの部分として、ホイール、支持軸、ベーンなどを独立した部分として説明したが、これらも複合した部分として形成してもよい。また、ホイール33については、ベーン19の上方(シュー本体34とベーン19の間)に1個設ける場合を例にとって説明したが、2個以上でもよく、その位置についても、ベーン19の上方と下方に設けてベーン19を挟むようにしてもよい。このようにすると、物品押出しシューの走行が安定する利点がある。
【0106】
<別の実施形態>
本発明の別の実施形態では、分岐ガイドレールは上記のものを用い、合流機構として次に説明するものを用いる。すなわち、多数のスラットの移動によってスラット上の物品を搬送するとともに、各スラットにそれぞれ設けられた移動シューにより、物品を押圧してスラット上から所定の方向に仕分ける仕分装置において、移動シューに設けられたガイドピンに、回転自在に支持されたガイドローラと、物品の搬送方向両側に設けられ、移動シューのガイドローラを物品の搬送方向に案内する主レールと、物品の搬送方向一方の側の主レールから分岐して、他方の側の主レールに合流するように設けられ、移動シューのガイドローラを所定の仕分け方向に案内する分岐レールと、移動シューのガイドローラを、主レールから分岐レールに導入する切換手段と、分岐レールが主レールに合流する箇所に回転自在に設けられ、移動シューのガイドピンを磁気作用により吸着した状態で、移動シューの移動に合わせて回転することにより、移動シューのガイドローラを分岐レールに係合して回転させつつ主レールまで案内する磁性体とを備えたことを特徴とする仕分装置により達成される。
【0107】
図22及び
図23は本発明に係る仕分部の切換手段を示した平面図であり、
図22は分岐状態を示し、
図23は非分岐状態を示す。仕分部38の切換手段50は揺動レール56、エアシリンダ58及び光電センサ60を備えている。揺動レール56は各レール76,78にそれぞれ対応して備えられ、その両側部に案内壁56a、56bを形成して揺動レール56の中央にレール溝56cを形成している。揺動レール56は、ピン62を介して、分岐位置P1と非分岐位置P2(
図23参照)との間で揺動自在に支持されている。
【0108】
エアシリンダ58は各揺動レール56に連結され、エアシリンダ58を収縮することにより揺動レール56を分岐位置P1に位置決めし、エアシリンダ58を伸張することにより揺動レール56を非分岐位置P2に位置決めする。光電センサ60は左側主ガイドレール63を移動するシュー36のベーン70を検知して、検知信号を制御部(図示せず)に入力する。この制御部は、光電センサ60が所定数(本実施形態の場合3個)のシュー36を検知したことを確認した後、各エアシリンダ58を操作して各揺動レール56を同時に分岐位置P1から非分岐位置P2又はその逆に切り換える。
【0109】
図24は
図23の5−5断面図であり、
図23に図示されていないシューを図示する。シュー36の下端部にはシャフト66を介してベアリング68が回動自在に支持され、更にシャフト66の下端部にはベーン70が回動自在に支持されている。
図22及び
図23に示すように、ベーン70は板状に形成されている。ベアリング68がフレーム40の左側主ガイドレール63内を移動することにより、シュー36はスラット32の左側端部に位置した状態で、スラット32と共に移動する。そして、ベーン70が揺動レール56に案内されて、後述する分岐用クロスガイドレール部52に沿って移動することにより、シュー36がスラット32の左側端部から右側端部方向(矢印方向)に移動する。
【0110】
図25は本発明に係る仕分部の合流手段の平面図である。合流手段54側には、分岐用クロスガイドレール部52の分岐レール76a、76b、76cの他端部が配置されている。分岐レール76a、76b、76cの他端部には、3個の合流側ベーンガイド86a、86b(1個は図示せず)が配設されている。合流手段54は揺動ガイド88a、88b、88cを備え、揺動ガイド88a、88b、88cはピン90a、90b(1個は図示せず)を介して揺動自在に支持されている。揺動ガイド88aは位置決めピン92a、92cの間で揺動する。なお、揺動ガイド88b、88cも揺動ガイド88aと同様に位置決めピン92a、92cの間で揺動する。揺動ガイド88a、88b、88cに対向する右側主ガイドレール65のベーン壁65aには、揺動ガイド88a、88b、88cの先端部が嵌入する凹部65bが形成されている。
【0111】
図26は
図25の9−9断面図であり、
図25に図示されていないシューを図示する。シュー36のベアリング68は分岐レール76bに案内されて移動する。そして、シュー36が合流手段54に到達すると、ベーン70が合流側ベーンガイド86bに沿って移動する。ベーン70は揺動ガイド88bに沿って移動して右側主ガイドレール65内に入り込む。その後、ベーン70は、右側主ガイドレール65のベーン壁65aと揺動ガイド88aとの間に入り込んで(
図25参照)、揺動ガイド88aを上方に押し上げる。
【0112】
以上のように構成された本発明に係る仕分装置の作用を説明する。左側主ガイドレール63を移動するシュー36のベーン70が光電センサ60を所定個数通過したとき、光電センサ60からの検知信号に基づいて制御部から駆動信号を出力する。この駆動信号に基づいて各エアシリンダ58が同時に収縮して、揺動レール56を非分岐位置P2(
図23参照)から分岐位置P1(
図22参照)に位置決めする。この場合、各揺動レール56の上流側にシュー36のベーン70がそれぞれ位置しているので、各シュー36のベーン70はそれぞれの揺動レール56に案内されて第1の分岐用ガイドレール76の切換側ベーンガイド80a、80b、80cに導かれる。
【0113】
これにより、シュー36のベアリング68が分岐レール76a、76b、76cに案内されて第1の分岐用ガイドレール76と第2の分岐用ガイドレール78との交差部に到達する。そして、ベーン70が交差用ベーンガイド82のガイド溝82a、82b、82c内に入り込む。このガイド溝82a〜82cは、ベーン70の幅W1より僅かに広く形成され、かつベーン70の長さW2より狭く形成されているので、ベーン70は交差点で進行方向にのみ移動して、シュー36のベアリング68が合流手段54側まで移動する。
【0114】
<本願のさらに別の実施形態>
本発明のさらに別の実施形態では、分岐ガイドレールは上記のものを用い、合流機構として次に説明するものを用いる。すなわち、物品を搬送方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段に前記搬送方向と交差する方向に移動可能に設けられ、被案内部を有する複数の物品押出体と、案内終端部に湾曲案内部を有し、前記被案内部を案内することにより前記物品押出体を前記搬送手段に対して前記搬送方向と交差する方向に移動させる分岐ガイドレール体と、前記被案内部を前記搬送方向に沿って案内する直進ガイドレール体と、前記分岐ガイドレール体と前記直進ガイドレール体とが合流する合流領域に回動可能に設けられ、一方向への回動により前記湾曲案内部に接近した接近状態になり、他方向への回動により前記湾曲案内部から離間した離間状態になる回動案内体とを備え、前記回動案内体は、前記物品押出体の被案内部にて押されて回動するもので、前記分岐ガイドレール体の湾曲案内部と対向する側にその湾曲案内部と対応した形状の対応湾曲案内部を有し、前記回動案内体の接近状態時には、前記直進ガイドレール体にて案内されてきた前記被案内部は、前記回動案内体と前記直進ガイドレール体との間を前記搬送方向に沿って移動し、前記回動案内体の離間状態時には、前記分岐ガイドレール体にて案内されてきた前記被案内部は、前記回動案内体の対応湾曲案内部と前記分岐ガイドレール体の湾曲案内部との間をこれら対応湾曲案内部と湾曲案内部とにて挟まれた状態で移動し、この移動の際にその移動方向が前記搬送方向に沿った方向になるものである。
【0115】
この場合、上記の仕分装置において、物品押出体の被案内部は、ピンと、このピンに回転可能に設けられたローラとを有し、前記ピンは、離間状態の回動案内体の対応湾曲案内部に擦れながら移動し、前記ローラは、分岐ガイドレール体の湾曲案内部に接触して回転しながら移動するものでもよい。
【0116】
また、上記の仕分装置において、回動案内体の回動の抵抗となる回動抵抗手段を備え、前記回動抵抗手段は、前記回動案内体と摺接する摺接受け面を有するものでもよい。
【0117】
さらに、上記の仕分装置において、回動抵抗手段は、回動案内体の先端部下面と摺接する摺接受け面が上面に形成された抵抗プレートにて構成されているものでもよい。
【0118】
また、上記のいずれかの仕分装置において、回動案内体と当接してこの回動案内体を離間状態に位置決めする位置決め手段を備えるものでもよい。
【0119】
さらに、上記の仕分装置において、位置決め手段は、回動案内体の先端部側面と当接してこの回動案内体を離間状態に位置決めするストッパプレートにて構成され、前記ストッパプレートの付け替えにより、離間状態の前記回動案内体の対応湾曲案内部と分岐ガイドレール体の湾曲案内部との離間距離が調整可能になっているものでもよい。
【0120】
また、上記の仕分装置において、ストッパプレートは、搬送方向に対して傾斜する方向に沿って位置する第1傾斜受け面および第2傾斜受け面を有するものでもよい。
【0121】
本発明によれば、回動案内体の離間状態時には、分岐ガイドレール体にて案内されてきた被案内部は、回動案内体の対応湾曲案内部と分岐ガイドレール体の湾曲案内部との間をこれら対応湾曲案内部と湾曲案内部とにて挟まれた状態で移動し、この移動の際にその移動方向が搬送方向に沿った方向になるため、物品押出体の移動速度が速くても被案内部の移動方向を搬送方向に沿った方向に変更でき、よって、騒音を防止しつつ、効率よく仕分作業ができる。