(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず
図5を参照して真空ダイカスト用金型100について説明する。
図5は真空ダイカスト用金型(以下「金型」と称す)100の模式的な断面図である。
【0012】
図5に示すように、金型100は可動型110と固定型130とを備えている。可動型110は可動おも型111と可動入れ子型112とを備え、固定型130は固定おも型131と固定入れ子型132とを備えている。
【0013】
可動型110は、第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116及び第4孔部117(孔部)が形成されている。第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116及び第4孔部117は、可動型110の外面113に開口し、可動おも型111を貫通する。第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116及び第4孔部117は可動型110の複数個所に形成されるが、図の簡略化のため、それぞれ1つが図示されている。
【0014】
第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116及び第4孔部117は、円環状のシール118が、内周にそれぞれ取り付けられている。シール118は、シール板141(
図1参照)に設けられている。
【0015】
第1孔部114は、可動入れ子型112を可動おも型111に締め付けて固定するボルト119(棒状部材)が挿入される孔部である。第1孔部114は、可動おも型111の通り穴と、可動入れ子型112の止り穴とからなる。
【0016】
第2孔部115は、可動入れ子型112と可動おも型111とを分離するときに用いられるプラグ120(棒状部材)が挿入される孔部である。第2孔部115は、可動おも型111の通り穴からなる。
【0017】
第3孔部116は、可動入れ子型112を冷却するための流体を供給する冷却管121(棒状部材)が挿入される孔部である。第3孔部116は、可動おも型111の通り穴と、可動入れ子型112の止り穴とからなる。
【0018】
第4孔部117は、可動型110から製品を離型するための押出ピン122(棒状部材)が挿入される孔部である。第4孔部117は、可動おも型111の通り穴と、可動入れ子型112の通り穴とからなる。押出ピン122は、鍔状に形成された頭部123を有し、押出板(図示せず)に固定されている。
【0019】
固定型130は、固定型130の外面に開口するスリーブ保持孔133が形成されている。固定型130はスリーブ保持孔133に中空円筒状のスリーブ134が配置されており、スリーブ134に摺接するプランジャチップ135が設けられている。可動型110と同様に、固定型130にもボルト、プラグ及び冷却管(図示せず)がそれぞれ挿入される第1孔部、第2孔部および第3孔部(図示せず)が形成されている。必要に応じて、押出ピンが挿入される第4孔部も固定型130に形成される。
【0020】
可動型110と固定型130とを鋳造機(図示せず)に取り付けて型閉めを行うと、可動入れ子型112と固定入れ子型132とによりキャビティ136が形成される。金型100は、キャビティ136に接続する真空弁137が配置されている。真空弁137は、真空タンク139及び真空ポンプ140が接続された配管138が接続する。
【0021】
可動型110と固定型130とを型閉めしてキャビティ136を減圧するが、シール118に不良があるとキャビティ136を所望の真空度にできない。その場合には、ブローホール等のガスに起因する欠陥が生じたり湯流れ性が改善されなかったりすることがあり、製品の品質が低下する。そこで、シール118の良否を確認するために確認装置10が鋳造前に用いられる。
【0022】
図1を参照して気密性の確認装置10について説明する。
図1は本発明の第1実施の形態における確認装置10の断面図である。
図1は可動おも型111の第4孔部117の周囲だけが図示されている(
図2から
図4において同じ)。
【0023】
図1を参照して、気密性が確認されるシール118の取り付け構造について説明する。シール118は、シール板141に形成された収容部142に収容される。シール板141は、ボルト等によって可動おも型111に固定される板材である。収容部142は、内径が、第4孔部117の内径よりも大きく設定されており、バックアップリング124に挟まれたシール118が収容されている。収容部142に収容されたシール118及びバックアップリング124は、押え板143によりバックアップリング124が押されてシール板141に固定される。押え板143の外面113は金型100(可動型110)の外面である。
【0024】
確認装置10はシール118の気密性を確認するための装置であり、包囲部11及びピン22を備えている。ピン22は、シール118が押し付けられる棒状部材(押出ピン122(
図5参照))に代えて、シール118に密接しつつ第4孔部117に挿入される棒状部材である。
【0025】
ピン22は、外径および公差が、押出ピン122の外径および公差と同一に設定されている。ピン22は、ピン22を第4孔部117に挿入するときのシール118の破損を防ぐと共に、第4孔部117にピン22を挿入し易くするために、先端部23に丸みが設けられている。ピン22は、バックアップリング124、シール板141及び押え板143を形成する材質よりも硬い材質により、先端部23から後端部にかけて形成されている。
【0026】
ピン22は、算術平均粗さ等の表面粗さの値が、シール118が収容された収容部142の表面粗さの値以下に設定される。ピン22をシール118に密接させるときに、ピン22がシール118を傷付けないようにするためである。ピン22は後端部の外周面におねじが設けられている。
【0027】
包囲部11は、ピン22が挿入された第4孔部117を取り囲んで外面113との間に閉じた空間17を形成するための部材である。本実施の形態では、包囲部11は形状が有底円筒状に形成されている。包囲部11は、内面12に開口し、底部を厚さ方向に貫通する貫通孔13が形成されている。包囲部11は、開口する端面14に、円環状のシール部16を保持する保持部15が溝状に形成されている。可動型110の外面113にシール部16を密着させると、外面113との間に閉じた空間17が形成される。
【0028】
包囲部11は、底部に凹部21が形成されている。凹部21は、ピン22の外周面に形成されたおねじに係合するめねじが、内周面に形成されている。凹部21にピン22をねじ込むことにより、ピン22は包囲部11に支持される。ピン22は、先端部23が、包囲部11の端面14からシール118を通過する位置まで突出する。
【0029】
確認装置10は、配管18が貫通孔13に接続されている。配管18はフレキシブルホースからなり、第1端が真空発生器20に接続されており、第2端が貫通孔13を通して空間17に接続されている。配管18は、配管18を流れる空気の流量を検出する流量計19が配設されている。本実施の形態では真空発生器20はブロアである。配管18に流量計19が設けられているので、包囲部11に流量計19を設ける場合に比べて、包囲部11を軽量かつ小型にできる。そのため、包囲部11を持ってシール118の気密性を確認する作業を行う作業者の負担を軽減できる。
【0030】
次に、確認装置10を用いた気密性の確認方法について説明する。作業者は、まず、確認装置10のシール部16が破損していないこと、配管18に詰まりがないこと、ピン22が破損していないことを目視で確認する。次いで、確認装置10の包囲部11を持って、シール部16を外面113に近づけながら、押出ピン122の代わりにピン22を第4孔部117に挿入する(挿入工程)。ピン22は先端部23に丸みが付けられているので、第4孔部117へピン22を挿入し易くできる。また、ピン22は包囲部11に支持されているので、作業者が包囲部11を持ってピン22の先端部23を第4孔部117に挿入した後は、可動型110の外面113に包囲部11を近づけることにより、シール118にピン22を密接させながら第4孔部117にピン22を挿入できる。
【0031】
作業者が金型100の外面113にシール部16を密着させると、包囲部11は、ピン22が挿入された第4孔部117を取り囲み、外面113との間に空間17を形成する(空間形成工程)。作業者は真空発生器20を作動させ、空間17を真空排気する。このときの空間17の真空度は、シール118の気密性の閾値を超えないように設定される。
【0032】
流量計19は、空間17内の気体の移動量(流量)を測定量として表示する。作業者は、流量計19が表示する測定量(流量)によって、ピン22とシール118との隙間からの空気の侵入の有無や侵入量を確認する(検出工程)。作業者は、流量計19によって検出された流量が、シール118に要求される気密性の閾値を超えるか否かによって、シール118の良否を判断する。作業者は、他の孔部(第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116)のシール118についても同様に気密性を確認した後、気密性の閾値を超えるシール118を交換する。
【0033】
確認装置10は、孔部(第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116及び第4孔部117)に取り付けられたシール118毎に気密性を確認できるので、ボルト119、プラグ120、冷却管121及び押出ピン122を全ての孔部に挿入する必要がない。よって、気密性を確認する工程を簡略にできる。
【0034】
確認装置10はシール118毎に気密性を確認できるので、各シール118に要求された気密性を確認できる。また、気密性の閾値を超えるシール118の特定が容易である。そのため、気密性の閾値を超えるシール118の交換作業に要する工数を削減できる。
【0035】
ピン22は、外径および公差が、押出ピン122の外径および公差と同一に設定されているので、押出ピン122の代わりにピン22を用いても、押出ピン122に対するシール118の気密性を評価できる。なお、ピン22は、ボルト119、プラグ120、冷却管121及び押出ピン122毎に、外径および公差を同一にするものが、必要に応じてそれぞれ準備される。
【0036】
ピン22は、少なくとも先端部23が、バックアップリング124、シール板141及び押え板143(第4孔部117に至る経路に配置される部材)を形成する材質よりも硬い材質により形成されているので、バックアップリング124、シール板141、押え板143及び可動おも型111にピン22が擦れたときのピン22の損傷を防止できる。ピン22はシール118を擦りながら第4孔部117に挿入されるので、ピン22の損傷を防止することにより、損傷したピン22が擦れることによるシール118の破損を防止できる。
【0037】
確認装置10によれば、流量計19によって検出された流量(測定量)がシール118の気密性の閾値を超えるか否かによって、作業者の勘や感覚などに頼ることなく、シール118の良否を定量的に判断できる。従って、作業者による判断基準のずれ(個人差)をなくすことができる。
【0038】
次に
図2及び
図3を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、真空発生器20によって空間17を減圧する場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、吸盤本体34が作る空間39を吸盤の性質を利用して減圧する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0039】
図2は第2実施の形態における気密性の確認装置30の断面図であり、
図3は使用状態における確認装置30の断面図である。
図2に示すように確認装置30は、台部31と、台部31の中心を貫通する中心軸32と、中心軸32に中央が固定された形状保持部33と、形状保持部33を埋設する吸盤本体34とを備えている。
【0040】
台部31は、内面に湾曲した曲面をもつ金属製または硬質な合成樹脂製の椀状の部材である。台部31は外面にハンドル37が取り付けられている。台部31は、金属製または硬質な合成樹脂製の部材である中心軸32が中心を貫通する。中心軸32は、端部が形状保持部33の中央に固定されている。
【0041】
形状保持部33は、吸盤本体34の形状の保持性を高めるための部材であり、金属製や合成樹脂製の細い棒材や線材、薄い板材、棒材や線材が網状に組まれた網状体などが用いられる。形状保持部33は弾性を有するもの、又は、弾性を有しないものが適宜採用される。本実施の形態では、形状保持部33は、弾性を有する金属製の線材を網状に組んだ網状体が用いられている。
【0042】
吸盤本体34は、ゲルからなる板状の部材であり、外縁が、台部31の縁よりも大きく形成されている。このようなゲルとしては、ポリエチレン系、スチレン系、シリコン樹脂系などの合成樹脂系のゲルを使用できる。例えば、ポリエチレン系のゲルは株式会社コスモ計器の「コスモゲル」、スチレン系のゲルは株式会社イノアックコーポレーションの「NAGFLEX」(登録商標)、シリコン樹脂系のゲルは株式会社ジェルテックの「αGEL」等を使用できる。
【0043】
ピン40は、中心軸32と同一軸線上に、形状保持部33を貫通して中心軸32に接着されている。ピン40の根元は吸盤本体34のゲルの一部で覆われている。ピン40は先端部41に丸みが付けられている。吸盤本体34をゲルで形成するので、可動型110の外面113にシボ加工などによる凹凸が存在しても、吸盤本体34を凹凸に追随させて外面113に密着させることができる。吸盤本体34に埋め込まれた形状保持部33によって吸盤本体34の形状の保持性を高めることができるので、ゲルの厚さを大きくしなくても吸盤本体34を形成できる。
【0044】
レバー35は、カム36が一体化した基部が、軸を介して中心軸32の端部に揺動可能に連結されている。カム36は、台部31に対してレバー35を起立させた状態で(
図2参照)、台部31に対して中心軸32を押し出す一方、台部31に対してレバー35を倒した状態で(
図3参照)、台部31に対して中心軸32を引き出す外形(輪郭曲線)に形成されている。吸盤本体34は台部31の縁よりも外形が大きく形成されているので、レバー35を倒して台部31に対して中心軸32を引き出すと、吸盤本体34は縁が台部31に支持され、中央が台部31に引き寄せられる。
【0045】
次に、確認装置30を用いた気密性の確認方法について説明する。金型100(
図5参照)のシール118の気密性を確認するときには、作業者は、まず、確認装置30の吸盤本体34が破損していないこと、ピン40が破損していないことを確認する。次いで、作業者は、確認装置30のレバー35を起立させた状態で(
図2参照)、ハンドル37を持って、吸盤本体34を外面113に近づけながら、ピン40を第4孔部117に挿入する(挿入工程)。
【0046】
作業者は、金型100の外面113に吸盤本体34を密着させた後、
図3に示すようにレバー35を倒した状態にする。吸盤本体34は中央が台部31に引き寄せられるので、吸盤本体34は縁38が外面113に密着し、ピン40が挿入された第4孔部117を取り囲み、外面113との間に空間39を形成する(空間形成工程)。空間39は、空間39の真空度がシール118の気密性の閾値を超えないように大きさが設定される。
【0047】
作業者は、吸盤本体34と外面113との吸着の度合いによって、ピン40とシール118との隙間からの空間39への空気の侵入の有無を確認する(検出工程)。シール118から空間39へ空気が侵入すると、吸盤本体34の吸着力が低下し、吸盤本体34が外面113から取れ易くなる。吸盤本体34の取れ易さによって、作業者は間接的に空気の侵入の有無を確認できる。
【0048】
作業者は、吸盤本体34が外面113にどの程度密着しているかによって、シール118の良否を判断する。作業者は、他の孔部(第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116)のシール118についても同様に気密性を確認した後、気密性の閾値を超えるシール118を交換する。
【0049】
なお、外面113との間に空間39を形成する吸盤本体34は「包囲部」に該当する。空間39を形成した吸盤本体34は、外面113との吸着の度合いを表すものなので、空間39内の気体の移動を示す「指標部」にも該当する。レバー35及びカム36は「減圧部」に該当するので、確認装置30は、中心軸32を介して減圧部と包囲部とが一体化している。確認装置30は、第1実施の形態とは異なり、吸盤本体34が外面113との間を減圧するので真空発生器を要しない。また、吸盤本体34の吸着力を利用して作業者はシール118の気密性を判断できるので、流量計などの計器を不要にできる。よって、装置の構成を簡略にできる。
【0050】
なお、第2実施の形態において、吸盤本体34を貫通する穴を形成し、その穴に配管を接続し、配管の先に圧力計等の計器を接続することは当然可能である。圧力計等の計器は吸盤本体34と外面113との間の真空度等(測定量)を表示するので、作業者はシール118の気密性を定量的に判断できる。
【0051】
次に
図4を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施の形態および第2実施の形態では、真空ダイカスト用金型100に組み付けられるボルト119、プラグ120、冷却管121及び押出ピン122の代わりに、ピン22,40を孔部(第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116、第3孔部117)に挿入してシール118の気密性を確認する場合について説明した。第3実施の形態では、ボルト119、プラグ120、冷却管121や押出ピン122を使ってシール118の気密性を確認する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0052】
図4は第3実施の形態における気密性の確認装置50の断面図である。
図4では押出ピン122を用いる場合について説明するが、ボルト119、プラグ120や冷却管121を用いる場合も同様である。確認装置50は、包囲部11の底部の中央に突出する凸部51が形成されている。凸部51は、押出ピン122の端面に突き当てられる部位であり、底部からの高さが、包囲部11の端面14よりも少し低く設定されている。外面113に凸部51が突き当たってシール部16が外面113に密着できなくなることを防ぐためである。
【0053】
押出ピン122は、一般に、重ねた2枚の押出板(図示せず)に頭部123が保持される。2枚の押出板のうちの1枚に、内面に段のある貫通穴が形成されている。その段に押出ピン122の頭部123を係合し、もう1枚の押出板と段との間で頭部123を挟み込む。これにより、数十本の押出ピン122が押出板に一括して保持される。金型100から押出板を取り外すと、押出板に頭部123が係合しているので、押出板と一緒に全ての押出ピン122が金型100から取り外される。金型100から取り外された押出ピン122を使ってシール118の気密性を確認するには、押出板から押出ピン122を取り外した後、押出ピン122を1本ずつ第4孔部177へ挿入し直す。
【0054】
なお、押出ピン122を1本ずつ第4孔部177へ挿入し直す作業は煩雑なので、押出板と一緒に押出ピン122が金型100から取り外されないように、例えば、段のある貫通穴の下方に連続する穴を押出板に形成しておくことが可能である。その穴は、押出ピン122の頭部123よりも内径の大きい穴である。貫通穴の下方に内径の大きい穴が連続することにより、その輪郭は所謂ひょうたん型となる。ひょうたん型の穴を開けた押出板を上方へスライドすると、貫通穴の段から押出ピン122の頭部123を外すことができる。その後、押出板を金型100から引き離すと、押出ピン122の頭部123が穴を通過するので、押出ピン122はそのままにして、押出板だけを金型100から取り外すことができる。第4孔部177に残した押出ピン122を用いて、シール118の気密性を確認できる。
【0055】
確認装置50を用いた気密性の確認方法について説明する。作業者は、まず、確認装置50のシール部16が破損していないこと、配管18に詰まりがないことを目視で確認する。次いで、確認装置50の包囲部11を持って、凸部51を押出ピン122の頭部123(端面)に突き当てながら、金型100の外面113にシール部16を密着させる。包囲部11は、押出ピン122が挿入された第4孔部117を取り囲み、外面113との間に空間17を形成する(空間形成工程)。
【0056】
以後の工程は第1実施の形態で説明した工程と同様なので、説明を省略する。作業者は、他の孔部(第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116)のシール118についても同様に、ボルト119、プラグ120や冷却管121を用いて気密性を確認する。
【0057】
確認装置50によれば、ボルト119、プラグ120、冷却管121及び押出ピン122をピン22,40(
図1及び
図2参照)の代わりに用いるので、ピンを不要にすることができ、部品点数を削減できる。
【0058】
また、確認装置50は凸部51を備えているので、包囲部11の凸部51に押出ピン122の頭部123(端面)が突き当てられた状態で空間17内を減圧できる。その結果、空間17内の減圧に伴って押出ピン122がシール118を摺動し難くできる。押出ピン122が摺動して包囲部11や凸部51に衝突すると、その衝撃で可動型110の外面113とシール部16とに隙間が生じるおそれがあり、気密性の確認が不正確になるおそれがあるからである。凸部51があるので、空間17内の減圧に伴う押出ピン122の移動を抑制できるので、外面113とシール部16との密着を維持し易くすることができ、気密性を正確に確認できる。
【0059】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0060】
上記実施の形態では、可動型110(可動おも型111)に設けられたシール118の気密性を確認する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。当然のことながら、固定型130(固定おも型131)に設けられたシールの気密性も確認できる。
【0061】
上記実施の形態では、押出ピン122(棒状部材)が挿入される第4孔部117に取り付けられたシール118の気密性を確認する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。当然のことながら、ピン25の外径や公差を棒状部材ごとに設定して、ボルト119、プラグ120、冷却管121等の他の棒状部材が挿入される孔部に取り付けられたシールの気密性も確認できる。
【0062】
上記実施の形態では、押え板143がシール板141に取り付けられた金型100について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。シール板141の収容部142の構造を変更して、押え板143がなくても、シール118をシール板141に取り付けられるようにすることは当然可能である。その場合には押え板143を省略できる。
【0063】
上記実施の形態では、ピン22,40をバックアップリング124、シール板141及び押え板143より硬くするために、バックアップリング124、シール板141及び押え板143を形成する材質よりも硬い材質によりピン22,40を形成する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。ピン22,40の表面を硬化処理して、ピン22,40をバックアップリング124、シール板141及び押え板143より硬くすることは当然可能である。
【0064】
上記第1実施の形態では、ピン22が包囲部11に螺子で着脱可能に取り付けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。螺子を省略して、包囲部11に形成された凹部21(係合部)にピン22を嵌め込むようにすることは当然可能である。また、ピン22に係合する部分(突起などの係合部)を包囲部11に設け、その部分にピン22を係合してピン22を包囲部11に着脱可能にすることも当然可能である。包囲部11にピン22を着脱可能にすることにより、包囲部11を共通化して、第1孔部114、第2孔部115、第3孔部116、第4孔部117の大きさに合致したピンに交換できる。
【0065】
上記第1実施の形態では、ピン22が包囲部11に取り付けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ピン22と包囲部11とを分離した状態にすることは当然可能である。その場合には、まずピン22を孔部に挿入し、次に包囲部11を被せて外面113との間に空間17を形成する。また、ピン22の後端部側を支持する支持体を包囲部11の内部に設け、その支持体を介して包囲部11がピン22を保持するようにすることは当然可能である。
【0066】
上記第1実施の形態および第3実施の形態では、真空発生器20がブロアの場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の真空発生器を用いることは当然可能である。他の真空発生器としては、例えば真空ポンプ、エジェクタ、予め減圧されたタンク(真空タンク)が挙げられる。
【0067】
上記第1実施の形態および第3実施の形態では、流量計19を用いて空間17内の気体の移動を検出する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、圧力計を用いて空間17内の圧力変化(気体の移動)を検出することもできる。この場合には、真空発生器20によって空間17を真空排気して所定の圧力にした後、真空発生器20の作動を停止する。圧力計を用いて、真空発生器20の作動を停止してから所定時間経過後の圧力を測定することにより、ピン22とシール118との隙間からの空間17への空気の侵入の有無や侵入量(シールの良否)を確認できる。
【0068】
なお、空間17内の気体の移動を示す流量計19や圧力計などは、測定量(流量や圧力など)の値を表し示すものでも良いし、測定量の物理的状態(大小など)を表し示すものでも良い。