(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記命令が前記プロセッサにより実行されると、前記医用フォトメータは、前記第一座標平面から、信号成分を第三の軸とし、体動成分を第四の軸とする第二座標平面への座標変換を通じて前記第一強度信号と前記第二強度信号に重畳した前記体動に由来するノイズを除去する、
請求項2に記載の医用フォトメータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなフォトメトリにおいては、被検者の規則的な体動が血液の脈動と認識されてしまう場合がある。よって、被検者の体動を正確に検出したいというニーズがある。
【0005】
本発明は、フォトメトリの原理を用いつつも、当該フォトメトリを阻害する一因である生体の体動を正確に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、医用フォトメータであって、
第一波長を含む第一の光を出射する第一発光部と、
第二波長を含む第二の光を出射する第二発光部と、
生体の組織を透過あるいは反射した前記第一の光の強度に対応する第一強度信号を出力し、当該組織を透過あるいは反射した前記第二の光の強度に対応する第二強度信号を出力する受光部と、
プロセッサと、
コンピュータが読み取り可能な命令を記憶するメモリと、
を備えている医用フォトメータであって、
前記命令が前記プロセッサにより実行されると、前記医用フォトメータは、
前記第一強度信号と前記第二強度信号の一方の強度を取得し、
前記第一強度信号と前記第二強度信号の強度比を取得し、
前記強度と前記強度比に基づいて、前記生体の体動を検出し、
前記第一の光と前記第二の光の双方は、赤外光または赤色光であり、
前記第一波長における第一吸光物質の第一吸光度と前記第二波長における前記第一吸光物質の第二吸光度の比率は1から乖離しており、
前記第一波長における第二吸光物質の第三吸光度は、前記第一吸光度よりも高く、
前記第二波長における前記第二吸光物質の第四吸光度は、前記第二吸光度よりも高く、
前記第三吸光度と前記第四吸光度の比率は1で近似できる。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、医用フォトメータであって、
プロセッサと、
コンピュータが読み取り可能な命令を記憶するメモリと、
を備えている医用フォトメータであって、
前記命令が前記プロセッサにより実行されると、前記医用フォトメータは、
生体の組織を透過あるいは反射した第一波長を含む第一の光の強度に対応する第一強度信号と、当該組織を透過あるいは反射した第二波長を含む第二の光の強度に対応する第二強度信号の一方の強度を取得し、
前記第一強度信号と前記第二強度信号の強度比を取得し、
前記強度と前記強度比に基づいて、前記生体の体動を検出し、
前記第一波長における第一吸光物質の第一吸光度と前記第二波長における前記第一吸光物質の第二吸光度の比率は1から乖離しており、
前記第一波長における第二吸光物質の第三吸光度は、前記第一吸光度よりも高く、
前記第二波長における前記第二吸光物質の第四吸光度は、前記第二吸光度よりも高く、
前記第三吸光度と前記第四吸光度の比率は1で近似できる。
【0008】
上記の目的を達成するための一態様は、医用フォトメータの制御方法であって、
生体の組織を透過あるいは反射した第一波長を含む第一の光の強度に対応する第一強度信号と、当該組織を透過あるいは反射した第二波長を含む第二の光の強度に対応する第二強度信号の一方の強度を医用フォトメータに取得させ、
前記第一強度信号と前記第二強度信号の強度比を前記医用フォトメータに取得させ、
前記強度と前記強度比に基づいて前記生体の体動を前記医用フォトメータに検出させ、
前記第一波長における第一吸光物質の第一吸光度と前記第二波長における前記第一吸光物質の第二吸光度の比率は1から乖離しており、
前記第一波長における第二吸光物質の第三吸光度は、前記第一吸光度よりも高く、
前記第二波長における前記第二吸光物質の第四吸光度は、前記第二吸光度よりも高く、
前記第三吸光度と前記第四吸光度の比率は1で近似できる。
【0009】
上記の各態様によれば、フォトメトリの原理を用いつつも、当該フォトメトリを阻害する一因である生体の体動を正確に検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。
図1は、第一実施形態に係る医用フォトメータ10の機能構成を示す図である。医用フォトメータ10は、生体20内に存在する体内低吸光物質の量を算出するための装置である。
【0012】
医用フォトメータ10は、第一発光部11、第二発光部12、受光部14、インターフェース15、および制御部16を備えている。
【0013】
第一発光部11は、第一波長λ
1を含む第一の光を出射するように構成されている。第二発光部12は、第二波長λ
2を含む第二の光を出射するように構成されている。第一波長λ
1の例としては、880nmが挙げられる。第二波長λ
2の例としては、940nmが挙げられる。すなわち、第一の光と第二の光の双方は、赤外光である。
【0014】
第一発光部11は、例えば、第一の光を出射可能な半導体発光素子である。第二発光部12は、例えば、第二の光を出射可能な半導体発光素子である。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、有機EL素子などが挙げられる。
【0015】
図1に示されるように、受光部14は、生体20の組織(被検者の手指や耳朶など)を透過あるいは反射した第一の光の強度I
1に応じて、第一強度信号を出力するように構成されている。また、受光部14は、当該生体20を透過あるいは反射した第二の光の強度I
2に応じて、第二強度信号を出力するように構成されている。受光部14は、例えば、第一波長λ
1と第二波長λ
2に感度を有する光センサである。光センサの例としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタなどが挙げられる。
【0016】
第一発光部11、第二発光部12、および受光部14は、インターフェース15に接続される。インターフェース15は、信号の通過を許容するコネクタである。接続は、有線接続でもよいし、無線接続でもよい。
【0017】
制御部16は、インターフェース15を介して第一発光部11、第二発光部12、および受光部14と通信可能に接続される。これにより、制御部16は、インターフェース15を介して第一発光部11と第二発光部12の動作を制御できる。また、制御部16は、インターフェース15を介して受光部14から第一強度信号および第二強度信号を受信できる。
【0018】
制御部16は、プロセッサ61とメモリ62を備えている。
【0019】
プロセッサ61の例としては、CPUやMPUが挙げられる。メモリ62は、コンピュータが読み取り可能な命令を記憶するように構成されている。メモリ62の例としては、各種の命令が記憶されたROMや、プロセッサ61により実行される各種命令が記憶されるワークエリアを有するRAMなどが挙げられる。
【0020】
メモリ62に記憶された命令がプロセッサ61により実行されると、医用フォトメータ10は、
図2に示される処理を実行するように構成されている。
【0021】
受光部14より入力された第一強度信号に基づいて、生体20を透過または反射したことによる第一の光の減光度(第一減光度)A
1が取得される(ステップS11)。
【0022】
第一発光部11は制御部16によって制御されるため、第一発光部11から出射される第一の光の強度I
01は、制御部16において既知である。よって、第一減光度A
1は、受光部14において受光される第一の光の強度I
1に基づいて、次式により取得される。
A
1=ln(I
01/I
1)
(1)
【0023】
次に、受光部14より入力された第二強度信号に基づいて、生体20を透過または反射したことによる第二の光の減光度(第二減光度)A
2が取得される(ステップS12)。
【0024】
第二発光部12は制御部16によって制御されるため、第二発光部12から出射される第二の光の強度I
02は、制御部16において既知である。よって、第二減光度A
2は、受光部14において受光される第二の光の強度I
2に基づいて、次式により取得される。
A
2=ln(I
02/I
2)
(2)
【0025】
なお、ステップS11とステップS12は、並行して行なわれてもよいし、ステップS12がステップS11よりも先に行なわれてもよい。
【0026】
続いて、上記のように取得された第一減光度A
1と第二減光度A
2に基づいて、第一の光と第二の光が透過または反射した生体20の組織における体内低吸光物質の量が算出される(ステップS13)。
【0027】
図3において、実線は、水(第一吸光物質の一例)の吸光スペクトルを示している。破線は、脱酸化ヘモグロビンの吸光スペクトルを示している。一点鎖線は、酸化ヘモグロビン(第二吸光物質の一例)の吸光スペクトルを示している。水の吸光度は、汎用的な光センサが感度を有する波長の全域(例えば190nm〜1100nm)に亘って、酸化ヘモグロビンのような血中吸光物質の吸光度よりも低い。本明細書では、このような物質を「体内低吸光物質」と呼ぶ。
【0028】
同図から明らかなように、第一の光の第一波長λ
1における水の吸光度(第一吸光度の一例)と第二の光の第二波長λ
2における水の吸光度(第二吸光度の一例)は、相違している。換言すると、第一波長λ
1における水の吸光度と第二の光の第二波長λ
2における水の吸光度の比率は、1から乖離している。本明細書において「1から乖離している」とは、比率の値が2以上あるいは0.5以下であることを意味している。
【0029】
第一の光の第一波長λ
1におけるヘモグロビンの吸光度(第三吸光度の一例)は、当該波長における水の吸光度よりも高い。同様に、第二の光の第二波長λ
2におけるヘモグロビンの吸光度(第四吸光度の一例)は、当該波長における水の吸光度よりも高い。換言すると、水の吸光度は、第一波長λ
1と第二波長λ
2においてヘモグロビンの吸光度よりも低い。すなわち、水は、体内低吸光物質の一例である。
【0030】
他方、第一波長λ
1におけるヘモグロビンの吸光度と第二波長λ
2におけるヘモグロビンの吸光度は、実質的に等しい。換言すると、第一波長λ
1におけるヘモグロビンの吸光度と第二波長λ
2におけるヘモグロビンの吸光度の比率は、1で近似できる。本明細書において「1で近似できる」とは、比率の値が2未満
かつ0.5倍より大きいことを意味している。
【0031】
すなわち、本実施形態における第一波長λ
1と第二波長λ
2は、量を特定したい体内低吸光物質(第一吸光物質)の吸光度が実質的に相違し、当該体内低吸光物質よりも吸光度の高い吸光物質(第二吸光物質)の吸光度が実質的に等しくなるような二つの波長として選ばれている。
【0032】
上述の第一減光度A
1は、第一波長λ
1における第一吸光物質による減光度の寄与分と第二吸光物質による減光度の寄与分の和として次式のように表されうる。
A
1=E
11C
1D
1+E
21C
2D
2
(3)
ここで、E
11は第一波長λ
1における第一吸光物質の吸光係数(M
−1cm
−1)を表している。C
1は第一吸光物質の濃度(M)を表している。D
1は第一吸光物質による吸光が行なわれる部分の光路長(cm)を表している。E
21は第一波長λ
1における第二吸光物質の吸光係数(M
−1cm
−1)を表している。C
2は第二吸光物質の濃度(M)を表している。D
2は第二吸光物質による吸光が行なわれる部分の光路長(cm)を表している。
【0033】
同様に、上述の第二減光度A
2は、第二波長λ
2における第一吸光物質による減光度の寄与分と第二吸光物質による減光度の寄与分の和として次式のように表される。
A
2=E
12C
1D
1+E
22C
2D
2
(4)
ここで、E
12は第二波長λ
2における第一吸光物質の吸光係数(M
−1cm
−1)を表している。E
22は第二波長λ
2における第二吸光物質の吸光係数(M
−1cm
−1)を表している。
【0034】
前述のように、第一波長λ
1における第二吸光物質による減光度の寄与分と第二波長λ
2における第二吸光物質による減光度の寄与分は実質的に等しい。よって、第一減光度A
1と第二減光度A
2の差分をとることにより、第二吸光物質による減光度の寄与分を無視でき、第一吸光物質による減光度の寄与分のみを抽出できる。
【0035】
この事実を式(1)から式(4)を用いて表すと、
A
1−A
2=(E
11C
1D
1+E
21C
2D
2)
−(E
12C
1D
1+E
22C
2D
2)
ln(I
01/I
1)−ln(I
02/I
2)≒(E
11−E
12)C
1D
1
ln(I
2/I
1)−ln(I
02/I
01)≒(E
11−E
12)C
1D
1
(5)
式(5)における左辺の第二項は、第一発光部11から出射される第一の光の強度と第二発光部12から出射される第二の光の強度の比となっている。前述したようにこれらの値は既知であるため、左辺の第二項は定数として扱える。他方、右辺におけるE
11およびE
12も定数である。したがって、受光部14による第一の光の受光強度と第二の光の受光強度の比から、C
1D
1を特定できる。この値が、第一吸光物質すなわち体内低吸光物質の量に相当する。
【0036】
すなわち、本実施形態の手法によれば、フォトメトリの原理を用いつつも、体内低吸光物質の量を算出できる。
【0037】
本実施形態のように第二吸光物質としてヘモグロビンのような血中吸光物質が選ばれる場合、より具体的には、第一減光度A
1は、第一波長λ
1における動脈血による減光度の寄与分、静脈血による減光度の寄与分、および血液以外の組織による減光度の寄与分の和として、次式のように表されうる。
A
1=E
a1HbD
a+E
v1HbD
v+Σ
t1D
t
(6)
ここで、E
a1は第一波長λ
1における動脈血ヘモグロビンの吸光係数(dl g
-1 cm
-1)を表している。Hbは、血中ヘモグロビン濃度(dl g
-1)を表している。D
aは動脈血が流れる血管の厚み(cm)を表している。E
v1は第一波長λ
1における静脈血ヘモグロビンの吸光係数(dl g
-1 cm
-1)を表している。D
vは静脈血が流れる血管の厚み(cm)を表している。Σ
t1は第一波長λ
1における血液以外の組織による減光率(cm
−1)を表している。D
tは、血液以外の組織の厚さすなわち組織厚(cm)を表している。
【0038】
同様に、第二減光度A
2は、第二波長λ
2における動脈血による減光度の寄与分、静脈血による減光度の寄与分、および血液以外の組織による減光度の寄与分の和として、次式のように表されうる。
A
2=E
a2HbD
a+E
v2HbD
v+Σ
t2D
t
(7)
ここで、E
a2は第二波長λ
2における動脈血ヘモグロビンの吸光係数(dl g
-1 cm
-1)を表している。E
v2は第二波長λ
2における静脈血ヘモグロビンの吸光係数(dl g
-1 cm
-1)を表している。第二波長λ
2におけるΣ
t2は血液以外の組織による減光率(cm
−1)を表している。
【0039】
前述のように、第一波長λ
1におけるヘモグロビンによる減光度の寄与分と第二波長λ
2におけるヘモグロビンによる減光度の寄与分は実質的に等しい。よって、第一減光度A
1と第二減光度A
2の差分をとることにより、ヘモグロビンによる減光度の寄与分を無視でき、組織厚D
tによる減光度の寄与分のみを抽出できる。
【0040】
この事実を式(1)、(2)、(6)、および(7)を用いて表すと、
A
1−A
2=(E
a1HbD
a+E
v1HbD
v+Σ
t1D
t)
−(E
a2HbD
a+E
v2HbD
v+Σ
t2D
t)
ln(I
01/I
1)−ln(I
02/I
2)≒(Σ
t1−Σ
t2)D
t
ln(I
2/I
1)−ln(I
02/I
01)≒(Σ
t1−Σ
t2)D
t
(8)
式(8)における左辺の第二項は、第一発光部11から出射される第一の光の強度と第二発光部12から出射される第二の光の強度の比となっている。前述したようにこれらの値は既知であるため、左辺の第二項は定数として扱える。他方、右辺におけるΣ
t1およびΣ
t2も定数である。したがって、受光部14による第一の光の受光強度と第二の光の受光強度の比から、組織厚D
tを特定できる。
【0041】
血液の循環の度合いを示す指標として潅流指標(perfusion index)が知られている。しかしながら、フォトメトリを通じて潅流指標を取得する場合、同じ拡張率で血管が脈動している場合であっても、組織厚の相違によって異なる潅流指標が得られる場合がある。一般に、指が大きい(組織厚が大きい)被検者の場合、潅流指標の値が大きくなる傾向がある。すなわち、潅流指標の値が小さいという事実のみに着目すると、当該事実が血液の循環が十分でないことによりもたらされているのか、組織厚が小さいことによりもたらされているのかを正確に区別できない。
【0042】
本実施形態の構成によれば、フォトメトリの原理を用いつつも生体20の組織厚を特定できるため、潅流指標による不十分性を補完しうる情報を提供できる。したがって、生体20の血液の循環の度合いをより正確に判断できる。
【0043】
図1に破線で示されるように、医用フォトメータ10は、第三発光部13を備えうる。第三発光部13は、第三波長λ
3を含む第三の光を出射するように構成されている。
図3に示されるように、第三波長λ
3の例としては、660nmが挙げられる。第三発光部13は、例えば、第三の光を出射可能な半導体発光素子である。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、有機EL素子などが挙げられる。
【0044】
なお、第三波長λ
3は、以下の条件を満たすような波長として選ばれる。
・第一波長λ
1における血液の吸光係数と第三波長λ
3における当該血液の吸光係数の比率が、当該血液に含まれる対象吸光物質(本例においては酸化ヘモグロビン)の濃度に応じて変化する。
・第二波長λ
2における血液の吸光係数と第三波長λ
3における当該血液の吸光係数の比率が、当該血液に含まれる対象吸光物質(本例においては酸化ヘモグロビン)の濃度に応じて変化する。
【0045】
この場合、受光部14は、生体20の組織を透過あるいは反射した第三の光の強度I
3に応じて第三強度信号を出力するように構成される。
【0046】
この場合、第三発光部13は、インターフェース15に接続される。接続は、有線接続でもよいし、無線接続でもよい。
【0047】
この場合、制御部16は、インターフェース15を介して第三発光部13と通信可能に接続される。これにより、制御部16は、インターフェース15を介して第三発光部13の動作を制御できる。また、制御部16は、インターフェース15を介して受光部14から第三強度信号を受信できる。
【0048】
この場合、メモリ62に記憶された命令がプロセッサ61により実行されると、医用フォトメータ10は、受光部14より入力された第一強度信号および第二強度信号の少なくとも一方と第三強度信号に基づき、生体20の組織(第一減光度A
1と第二減光度A
2を取得した箇所)における血液の脈動に伴う第三の光の減光度変化量ΔA
3を取得する。そして、取得された第一の光の減光度変化量ΔA
1および第二の光の減光度変化量ΔA
2の少なくとも一方と第三の光の減光度変化量ΔA
3に基づいて、動脈血中における酸素の運搬が可能なヘモグロビン量に対する酸化ヘモグロビンの割合すなわち動脈血酸素飽和度(第二吸光物質の濃度の一例)が算出される。パルスフォトメトリの原理を用いて動脈血酸素飽和度を算出する手法は周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
このような構成によれば、第一の光と第二の光の少なくとも一方と第三の光を用いて、いわゆるパルスフォトメトリの原理により動脈血酸素飽和度を算出できる。すなわち、上述の体内低吸光度物質の量を特定するための構成を、従来のパルスフォトメトリに用いられるプローブに統合できる。すなわち、ユーザは、当該プローブを生体20の組織に装着するのみで、容易に体内低吸光度物質の量と動脈血酸素飽和度を算出できる。
【0050】
次に、
図4を参照しつつ、
図1に示された構成を有する医用フォトメータ10によって実行されうる処理の第二の実施形態について説明する。
【0051】
図2に示されるステップS11と同様にして、受光部14より入力された第一強度信号に基づいて、生体20を透過または反射したことによる第一減光度A
1が取得される(ステップS21)。
【0052】
次に、
図2に示されるステップS12と同様にして、受光部14より入力された第二強度信号に基づいて、生体20を透過または反射したことによる第二減光度A
2が取得される(ステップS22)。
【0053】
なお、ステップS21とステップS22は、並行して行なわれてもよいし、ステップS22がステップS21よりも先に行なわれてもよい。
【0054】
続いて、上記のように取得された第一減光度A
1と第二減光度A
2に基づいて、第一の光と第二の光が透過または反射した生体20の組織の組織厚D
tが算出される(ステップS23)。組織厚D
tの算出は、
図2のステップS13を参照して説明した式(6)から式(8)を用いて行なわれる。
【0055】
続いて、ステップS23で算出された組織厚D
tの変化量ΔD
tに基づいて生体20の体動が検出される(ステップS24)。
【0056】
生体20の体動により、注目している生体20の組織厚D
tは変化する。組織厚D
tから(D
t+ΔD
t)に変化した場合、組織厚D
tを求める式(8)は、以下のように変形されうる。ここでは、式(8)における値(I
2/I
1)すなわち受光部14により受光された第一の光と第二の光の強度比をRと表記し、式(8)における値(I
02/I
01)すなわち第一発光部11と第二発光部12により出射された光の強度比をR
0と表記する。この場合、生体20の体動に伴い強度比Rの値が(R+ΔR)に変化したとする。
ln(R)−ln(R
0)≒(Σ
t1−Σ
t2)D
t
ln(R+ΔR)−ln(R
0)≒(Σ
t1−Σ
t2)(D
t+ΔD
t)
ln(R+ΔR)−ln(R)≒(Σ
t1−Σ
t2)(D
t+ΔD
t)
−(Σ
t1−Σ
t2)D
t
ln[(R+ΔR)/R]≒(Σ
t1−Σ
t2)ΔD
t
ここでΔRがRよりも十分小さいとすると、次式を得る。
ΔR/R≒(Σ
t1−Σ
t2)ΔD
t
(9)
強度比の変化率(ΔR/R)は、組織厚の変化量ΔD
tに比例していることがわかる。
【0057】
すなわち、制御部16は、受光部14により受光された第一の光と第二の光の強度比Rの経時変化を監視することにより、組織厚D
tの経時変化を監視している。強度比Rに変化量ΔRが生じた場合、組織厚D
tにもΔD
tが生じたとみなせる。
【0058】
図6における左下のグラフは、受光部14により受光された第一の光の強度I
1の経時変化を示している。当該グラフの左半分は安静状態を、右半分は意図的に大きな体動を起こした状態を示している。安静時においても強度I
1が周期的に変化していることがわかる。この周期的変化は、生体20の脈動に起因している。
【0059】
当該グラフにおいては極端に大きな体動が示されているが、単に第一の光あるいは第二の光の受光強度を監視することによっては、比較的小さな体動により生じる(特に規則的な体動により生じる)受光強度の変化を、脈動による受光強度の変化と区別しにくい場合がある。
【0060】
他方、
図6における左上のグラフは、受光部14により受光された第一の光と第二の光の強度比Rの経時変化を示している。当該グラフの左半分は安静状態を、右半分は意図的に大きな体動を起こした状態を示している。左下のグラフと比較すると、安静時において脈動による強度比の周期的変化が抑制されていることがわかる。
【0061】
すなわち、組織厚D
tの経時変化に対応する受光部14により受光された第一の光と第二の光の強度比Rの経時変化を検出することにより、脈動による受光強度の変化を相殺し、体動による受光強度の変化をより明確に抽出できる。脈動は、組織厚D
tに実質的な影響を及ぼさないからである。
【0062】
したがって、本実施形態の構成によれば、フォトメトリの原理を用いつつ生体の組織厚を算出できるだけでなく、当該フォトメトリを阻害する一因である当該生体の体動を正確に検出できる。
【0063】
体動の検出処理が終了すると、全体の処理を終了するかが判断される(ステップS25)。終了すると判定されると(ステップS25においてYES)、全体の処理が終了する。終了しないと判定されると(ステップS25においてNO)、体動の検出処理(ステップS24)が繰り返される。
【0064】
図1に破線で示されるように、本実施形態に係る医用フォトメータ10は、報知部17を備えうる。報知部17は、検出された体動の大きさが所定値を上回ると報知を行なうように構成されている。報知は、視覚的報知と聴覚的報知の少なくとも一方を通じてなされうる。
【0065】
具体的には、メモリ62に記憶された命令がプロセッサ61により実行されると、医用フォトメータ10は、
図4に破線で示される処理を実行するように構成されている。
【0066】
ステップS24において体動が検出された場合、当該体動の大きさが所定値を上回るかが判断される(ステップS26)。所定値は、ユーザにより適宜に調節可能とされうる。具体的には、
図6における左上のグラフに示される強度比Rの変化率が所定値を上回るかが判断される。当該条件の成立が所定時間継続することが条件として付加されてもよい。
【0067】
検出された体動の大きさが所定値を上回ると判断されると(ステップS26においてYES)、報知が実行される(ステップS27)。前述の通り、報知は、視覚的報知と聴覚的報知の少なくとも一方を通じてなされうる。報知の実行後、処理はステップS25に移行し、前述の処理が繰り返される。
【0068】
検出された体動の大きさが所定値以下であると判断されると(ステップS26においてNO)、処理はステップS25に移行し、前述の処理が繰り返される。
【0069】
このような構成によれば、医用フォトメータ10の運用に支障を来たす生体20の体動をユーザに報知することにより、適切な処置を行なわせることができる。また、所定値を適宜に設定することにより、真に処置が必要な事態のみを報知することが可能であり、ユーザの作業効率低下を防止できる。
【0070】
第一実施形態を参照して説明したように、第一発光部11、第二発光部12、及び受光部14は、第三発光部13を備えた従来のパルスフォトメトリプローブに統合されうる。
【0071】
従来のパルスフォトメトリにおいては、動脈血酸素飽和度の算出結果に体動が悪影響を及ぼす事態を回避するために、体動を検出するための独立したセンサ(加速度センサなど)を生体に装着する必要があった。しかしながら、この場合、動脈血酸素飽和度を算出するためのプローブに組織厚を算出するための構成を統合できるだけでなく、当該プローブを用いて体動の検出も行なえる。よって、独立したセンサを追加することなく動脈血酸素飽和度の算出結果に体動が悪影響を及ぼす事態を回避できる。
【0072】
次に、
図5を参照しつつ、
図1に示された構成を有する医用フォトメータ10によって実行されうる処理の第三の実施形態について説明する。
【0073】
第一発光部11から出射され受光部14に入射した第一の光の強度I
1に対応する第一強度信号の強度が取得される(ステップS31)。
【0074】
次に、第二発光部12から出射され受光部14に入射した第二の光の強度I
2に対応する第二強度信号の強度が取得される(ステップS32)。
【0075】
なお、ステップS31とステップS32は、並行して行なわれてもよいし、ステップS32がステップS31よりも先に行なわれてもよい。
【0076】
続いて、ステップS31で取得された第一強度信号の強度と、ステップS32で取得された第二強度信号の強度の比である強度比が取得される(ステップS33)。この強度比は、第二実施形態を参照して説明した強度比R(=I
1/I
2)に対応する値である。
【0077】
したがって、第一強度信号と第二強度信号の強度比の経時変化を監視することにより、生体20の体動が検出されうる(ステップS34)。このとき、第一波長λ
1と第二波長λ
2は、組織厚D
tを算出可能に選ばれたものである必要があるが、第二実施形態を参照して説明した組織厚D
tの算出は必須でない。
【0078】
よって、本実施形態の構成によれば、フォトメトリの原理を用いつつも、当該フォトメトリを阻害する一因である当該生体の体動を正確に検出できる。
【0079】
体動の検出処理が終了すると、全体の処理を終了するかが判断される(ステップS35)。終了すると判定されると(ステップS35においてYES)、全体の処理が終了する。終了しないと判定されると(ステップS35においてNO)、体動の検出処理(ステップS34)が繰り返される。
【0080】
体動を検出する手法の一例として、
図6の右半分に示される座標平面P1(第一座標平面の一例)が使用される。座標平面P1の横軸(第一の軸の一例)は、第一強度信号または第二強度信号の強度の変化率である。すなわち、座標平面P1の横軸は、受光部14に入射した第一の光の強度I
1または第二の光の強度I
2の変化率に対応している(図示の例は、第一の光の強度I
1の変化率に対応している)。座標平面P1の縦軸(第二の軸の一例)は、第一強度信号と第二強度信号の強度比の変化率である。すなわち、座標平面P1の縦軸は、受光部14に入射した第一の光と第二の光の強度比Rの変化率に対応している。
【0081】
本例においては、座標平面P1における点の経時変化、すなわち当該点が描く軌跡(リサジュー図形)の形状に基づいて生体20の体動が検出されうる。
【0082】
図6における右上のグラフは、安静状態におけるリサジュー図形L1aを示している。体動が存在しないため、リサジュー図形L1aは、縦軸方向に実質的な幅を有していない。脈動に伴う第一強度信号の経時変化のみが反映され、リサジュー図形L1aは、横軸方向に沿う向きにのみ実質的な幅を有している。
【0083】
図6における右下のグラフは、意図的に大きな体動を起こした状態におけるリサジュー図形L1bを示している。体動に伴って第一の光と第二の光の強度比Rが大きく変動するため、リサジュー図形L1bは、縦軸方向に実質的な幅を有している。すなわち、座標平面P1上のリサジュー図形が縦軸方向に実質的な幅を有する事実が、生体20の体動の存在を示唆している。
【0084】
このような座標平面P1上のリサジュー図形は、図示しない表示部に表示されうる。
図6の左半分に示されるような単純な強度あるいは強度比の経時変化表示と比較すると、ユーザは、より直観的に体動の存在を認識できる。
【0085】
図5に破線で示されるように、メモリ62に記憶された命令がプロセッサ61により実行されると、医用フォトメータ10は、取得された信号から体動成分を除去する処理を実行しうる(ステップS36)。
【0086】
具体的には、
図7の(A)に示されるように、座標平面P1から座標平面P2(第二座標平面)への座標変換が行なわれる。座標平面P2の横軸(第三の軸の一例)は、取得された強度信号(本例においては第一強度信号)における生体20の脈動が寄与する成分(信号成分)Sである。座標平面P2の縦軸(第四の軸の一例)は、取得された当該強度信号における生体20の体動が寄与する成分N(ノイズ成分)である。
【0087】
体動に伴って形成されるリサジュー図形L1bは、横軸方向と縦軸方向の双方に実質的な幅を有する。したがって、リサジュー図形L1bは、座標平面P1上において横軸に対する傾きΨを有する。換言すると、傾きΨは、リサジュー図形L1bのノイズ成分に対応するN軸が横軸となす角度である。
【0088】
上記の座標変換は、この傾きΨの方向が座標平面P2における縦軸と一致するように行なわれる。これにより、座標平面P2上にはリサジュー図形L2が得られる。このリサジュー図形L2においては、取得された第一強度信号における脈動寄与成分と体動寄与成分が明確に分離されている。したがって、リサジュー図形L2の横軸に沿う軌跡のみ抽出すれば、第一強度信号から体動寄与成分を除去し、脈動寄与成分のみを抽出できる。
【0089】
図6に示されるように、実際のリサジュー図形L1bは、
図7の(A)に示されるような簡潔な形状を呈していない。したがって、座標平面P1における傾きΨは、その値を0からπ/2まで変化させつつ、座標平面P2におけるS軸方向のノルムが最小になる値を特定することによって決定される。
【0090】
座標平面の横軸として第二強度信号の強度を選んで同様の処理を行なうことにより、取得された第二強度信号について脈動寄与成分のみを抽出できる。
【0091】
図7の(B)は、比較例として従来のパルスオキシメータで用いられている体動成分除去法を模式的に示している。当該手法においては、座標平面P0が用いられる。座標平面P0の横軸は、受光部に入射する第一の光の強度の変化率に対応している。座標平面P0の縦軸は、受光部に入射する第二の光の強度の変化率に対応している。なお、ここで用いられている第一の光と第二の光は血中吸光物質濃度を算出するためのものであり、体内低吸光物質の量を算出するための実施形態に係る第一の光および第二の光とは異なる。
【0092】
このような座標平面P0上においては、リサジュー図形L0が形成される。同図から明らかなように、リサジュー図形L0においては、脈動寄与成分(信号成分)に対応するS軸と体動寄与成分(ノイズ成分)に対応するN軸が定義されうる。したがって、最終的にS軸とN軸により形成される座標平面P2におけるリサジュー図形L2を得るためには、座標平面P0におけるS軸を座標平面P2における横軸に一致させる座標変換と、座標平面P0におけるN軸を座標平面P2における縦軸に一致させる座標変換の双方を考慮する必要がある。
【0093】
座標平面P0におけるS軸を座標平面P2における横軸に一致させるためには、座標平面P0においてS軸が横軸に対してなす角度φを特定する必要がある。角度φの特定には、血中吸光物質濃度の情報が必要である。血中吸光度物質濃度は第一の光と第二の光の吸光度比の関数として表され、当該吸光度比は角度φの関数として表されるからである。
【0094】
座標平面P0におけるN軸を座標平面P2における縦軸に一致させるためには、座標平面P0においてS軸とN軸がなす角度θを特定する必要がある。座標平面P0においてN軸が横軸に対してなす角度Ψは、θは、その値を−φから(π/2−φ)まで変化させつつ、座標平面P2におけるS軸方向のノルムが最小になる値として特定される。
【0095】
このようにして特定されたφとθの値を用いて、座標平面P0からP2への座標変換がなされる。この技術は特許文献1に詳しく記載されているため、ここではより詳細な説明を割愛する。
【0096】
図7の(A)に示される本実施形態の手法によれば、座標変換を行なうために血中吸光物質濃度を事前に取得する必要もなく、リサジュー図形L1bにおけるノイズ成分に対応するN軸の座標変換のみを考慮すればよい。したがって、より簡易な構成かつ低い制御負荷で体動の影響を除去できる。
【0097】
図1に破線で示されるように、本実施形態に係る医用フォトメータ10は、報知部17を備えうる。報知部17は、検出された体動の大きさが所定値を上回ると報知を行なうように構成されている。報知は、視覚的報知と聴覚的報知の少なくとも一方を通じてなされうる。
【0098】
具体的には、メモリ62に記憶された命令がプロセッサ61により実行されると、医用フォトメータ10は、
図5に破線で示される処理を実行するように構成されている。
【0099】
ステップS34において体動が検出された場合、当該体動の大きさが所定値を上回るかが判断される(ステップS37)。所定値は、ユーザにより適宜に調節可能とされうる。具体的には、
図6に示されるリサジュー図形L1bの縦軸に沿う方向の幅が所定値を上回るかが判断される。当該条件の成立が所定時間継続することが条件として付加されてもよい。
【0100】
検出された体動の大きさが所定値を上回ると判断されると(ステップS37においてYES)、報知が実行される(ステップS38)。前述の通り、報知は、視覚的報知と聴覚的報知の少なくとも一方を通じてなされうる。報知の実行後、処理はステップS35に移行し、前述の処理が繰り返される。
【0101】
検出された体動の大きさが所定値以下であると判断されると(ステップS37においてNO)、処理はステップS36に移行し、前述の処理が繰り返される。
【0102】
このような構成によれば、医用フォトメータ10の運用に支障を来たす生体20の体動をユーザに報知することにより、適切な処置を行なわせることができる。また、所定値を適宜に設定することにより、真に処置が必要な事態のみを報知することが可能であり、ユーザの作業効率低下を防止できる。
【0103】
第一実施形態を参照して説明したように、第一発光部11、第二発光部12、及び受光部14は、第三発光部13を備えた従来のパルスフォトメトリプローブに統合されうる。
【0104】
従来のパルスフォトメトリにおいては、動脈血酸素飽和度の算出結果に体動が悪影響を及ぼす事態を回避するために、体動を検出するための独立したセンサ(加速度センサなど)を生体に装着する必要があった。しかしながら、この場合、動脈血酸素飽和度を算出するためのプローブに組織厚を算出するための構成を統合できるだけでなく、当該プローブを用いて体動の検出も行なえる。よって、独立したセンサを追加することなく動脈血酸素飽和度の算出結果に体動が悪影響を及ぼす事態を回避できる。
【0105】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。また、等価物が本発明の技術的範囲に含まれることは明らかである。
【0106】
上記の各実施形態においては、第一発光部11から出射される第一の光と第二発光部12から出射される第二の光の双方が赤外光である。しかしながら、第一の光と第二の光の双方が赤色光である構成も採用されうる。この場合、第一の光に含まれる第一波長λ
1における体内低吸光物質の吸光度と第二の光に含まれる第二波長λ
2における当該体内低吸光物質の吸光度が実質的に相違していること、当該体内低吸光物質よりも吸光度の高い物質に対しては第一波長λ
1における吸光度と第二波長λ
2における吸光度が実質的に等しいことが条件となる。
図3に示される水とヘモグロビンの場合、700nmと730nmが第一の光と第二の光として選ばれうる。
【0107】
上記の各実施形態においては、血中吸光物質濃度の一例として動脈血酸素飽和度が挙げられている。しかしながら、本発明は、他の血中吸光物質の濃度を算出する構成にも適用可能である。他の血中吸光物質の例としては、一酸化炭素ヘモグロビン、Metヘモグロビン、血液に注入された色素などが挙げられる。その場合、各光の波長は、一方の波長における血液の吸光係数と他方の波長における当該血液の吸光係数の比率が、当該血液に含まれる対象吸光物質の濃度に応じて変化するように選ばれる。
【0108】
図6と
図7を参照して説明した第三の実施形態においては、座標平面P1の横軸として第一強度信号または第二強度信号の強度の変化率(I1またはI2)が選ばれ、縦軸として第一強度信号と第二強度信号の強度比の変化率(R)が選ばれている。座標平面P1からの座標変換後の座標平面P2においては、横軸が信号成分(S)を表し、縦軸がノイズ成分(N)を表している。しかしながら、座標平面P1の縦軸として第一強度信号または第二強度信号の強度の変化率(I1またはI2)が選ばれ、横軸として第一強度信号と第二強度信号の強度比の変化率(R)が選ばれてもよい。この場合、座標変換後の座標平面P2においては、縦軸が信号成分(S)を表し、横軸がノイズ成分(N)を表す。