特許第6794220号(P6794220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794220
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ハンドルキャッチ
(51)【国際特許分類】
   E05B 13/00 20060101AFI20201119BHJP
   E05B 17/20 20060101ALI20201119BHJP
   E05B 83/16 20140101ALI20201119BHJP
   E05B 41/00 20060101ALI20201119BHJP
   E05B 83/02 20140101ALI20201119BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   E05B13/00 A
   E05B17/20 A
   E05B83/16 J
   E05B41/00 B
   E05B83/02
   B60J5/10 H
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-212668(P2016-212668)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-71202(P2018-71202A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100081514
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 志朗
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−227494(JP,A)
【文献】 特開平03−043577(JP,A)
【文献】 特開2010−196249(JP,A)
【文献】 特開2014−234651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面部、背面部、両側面部及び底面部からなり、前記正面部の上部と前記背面部の上部との間に扉開閉用ハンドルを横断させて支持するハンドル横断支持部を有し、前記正面部の略中央に前記正面部の上部中央から垂直方向に向けて略U字形に切り欠き形成されてなるレバー収納部を有する本体と、
前記本体の前記正面部の前記レバー収納部に嵌め込まれて、中間部を水平方向の回転軸を介して起伏自在に枢支され、上部に前記本体の前記ハンドル横断支持部に対向して溝状に形成され、前記ハンドル横断支持部に横断支持される扉開閉用ハンドルに係合可能なハンドル保持部を有するフックレバーと、
前記本体の背面部と前記フックレバーとの間に介設され、前記フックレバーを倒伏方向又は起立方向に回動付勢するバネ機構と、
前記本体の前記背面部と前記フックレバーとの間に水平方向の軸を介して上下方向に回動可能又は揺動可能に取り付けられ、先端部が前記フックレバーの下端に対して係合可能なロック位置と離脱可能なアンロック位置との間を回動可能又は揺動可能に配置されるロックレバーと、
前記ロックレバーの先端部を常態として上方向に回動付勢するコイルスプリング、板バネを含むバネ部材と、
前記本体の前記正面部に鍵孔を表出されて前記本体の前記正面部と前記背面部との間に設置され、鍵による施錠方向又は解錠方向の回転操作により、ロータを施錠方向又は解錠方向に回転するシリンダー錠形式の錠前ユニットと、
前記錠前ユニットの前記ロータに前記ロータと一体的に回動可能に取り付けられて、前記ロックレバーの後端部に当該後端部側を上下動可能に係合され、前記ロックレバーの先端部を前記ロック位置又は前記アンロック位置に回動案内するカム形状の作動レバーと、
を備え、
前記バネ部材、前記錠前ユニット及び前記作動レバーによりオートロック機構を構成され、
前記フックレバーを起立状態から前記本体に倒伏させる際に、前記鍵により前記錠前ユニットを施錠方向に操作して前記ロータを同方向に回転することにより、前記ロータとともに前記作動レバーを同方向に回動し、前記作動レバーのカム形状の係合案内により、前記ロックレバーの後端部を下方向に回動するとともに前記ロックレバーの先端部を上方向に前記ロック位置まで回動し、この施錠状態から、前記フックレバーを倒伏方向に回動させることにより、前記フックレバーの下端で前記ロックレバーの先端部側を押し下げつつ、前記フックレバーを前記本体に倒伏し、前記フックレバーの倒伏と同時に、前記ロックレバーの先端部を前記バネ部材の付勢力により前記ロック位置に弾性復帰させて、既に施錠状態の前記錠前ユニットにより、前記フックレバーをオートロックする形式を取る、
ことを特徴とするハンドルキャッチ。
【請求項2】
バネ機構は、フックレバーの背面で回転軸の下部に下方に向けて延びる段部を有し、前記回転軸の下方で前記段部の下面に前記回転軸と略平行に形成されるバネ取付溝と、前記本体の前記背面部側に固定される背面部側固定部、前記背面部側固定部の上縁部両側から前記本体の正面部側に向けて上方斜めに向けて延びる一対の中間アーム、及び前記各中間アームの上端部の延長上に形成され、前記本体の前記正面部に固定される正面部側固定部からなり、前記背面部側固定部の上縁部の中央に前記各中間アームと平行に突出されるバネ受け部を有し、前記本体の前記背面部と前記正面部との間に取り付けられるバネ受けプレートと、全体が略T字形を呈し、前記フックレバーの前記バネ取付溝に係合可能な支持部、及び前記支持部から直角方向に延びるバネ受け部からなるバネガイドと、一端を前記バネ受けプレートの前記バネ受け部に支持され、他端を前記バネガイドを介して前記フックレバーの前記バネ取付溝に支持されて、前記バネ受けプレートの前記バネ受け部と前記フックレバーの前記バネ取付溝との間に圧縮されて配置されるコイルスプリングとを具備して構成され、前記フックレバーの開動操作により、前記コイルスプリングを支持する前記バネ受けプレートの前記バネ受け部と前記フックレバーの前記バネ取付溝とを結ぶ直線が前記フックレバーの前記回転軸の上方に移動することにより、前記バネ機構により前記フックレバーを起立方向に回動付勢し、前記フックレバーの閉動操作により、前記コイルスプリングを支持する前記バネ受けプレートの前記バネ受け部と前記フックレバーの前記バネ取付溝とを結ぶ直線が前記フックレバーの前記回転軸の下方に移動することにより、前記バネ機構により前記フックレバーを倒伏方向に回動付勢する請求項1に記載のハンドルキャッチ。
【請求項3】
フックレバーのバネ取付溝は漸次外側に拡開される断面略逆U字形に形成され、バネガイドの支持部は前記バネ取付溝に対する当たり面が断面略円弧状に形成される請求項2に記載のハンドルキャッチ。
【請求項4】
バネ受けプレートのバネ受け部及びバネガイドのバネ受け部はそれぞれ、幅方向の寸法がコイルスプリングの内径と略同じで、前記コイルスプリングの一端は前記バネ受けプレートの前記バネ受け部の周囲に巻装されて前記バネ受け部両側の前記バネ受けプレートの背面部側固定部の上縁部に支持され、他端は前記バネガイドの前記バネ受け部の周囲に巻装されて前記バネ受け部両側の前記バネガイドの支持部に支持される請求項2又は3に記載のハンドルキャッチ。
【請求項5】
バネガイドは、中間部の幅がコイルスプリングの外径よりも少し大きい略矩形状でその両側部の幅がコイルスプリングの内径と略同じ略矩形状の、平板状のプレートが前記中間部の中央で略U字形に折り曲げられて形成される請求項2乃至4のいずれかに記載のハンドルキャッチ。
【請求項6】
フックレバーの中間部に回転軸が一体に形成される請求項1乃至5のいずれかに記載のハンドルキャッチ。
【請求項7】
本体の正面部にフックレバーの施錠・解錠状態を表示するインジケータを併せて備え、前記インジケータは、前記本体の正面部に形成される窓穴と、前記本体の正面部の背面側に前記窓穴上をスライド可能に配置され、前記フックレバーの施錠状態を表す表示部及び解錠状態を表す表示部を有する表示プレートとを具備し、前記表示プレートと錠前ユニットのロータとの間に作動アームが作動連結されて、鍵により前記錠前ユニットを施錠方向に操作することにより、作動レバーが駆動されて、前記ロックレバーがロック位置に回動されるとともに、これに連動して、前記表示プレートが駆動され、前記フックレバーの施錠状態を表す表示部が前記窓穴に対向する位置にスライドされて前記窓穴に前記フックレバーの施錠状態を表示し、前記鍵により前記錠前ユニットを解錠方向に操作することにより、前記作動レバーが駆動されて、前記ロックレバーがアンロック位置に回動されるとともに、これに連動して、前記表示プレートが駆動され、前記フックレバーの解錠状態を表す表示部が前記窓穴に対向する位置にスライドされて前記窓穴に前記フックレバーの解錠状態を表示する請求項1乃至6のいずれかに記載のハンドルキャッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンボディタイプのトラックの箱形の荷台(アルミ製のコンテナ)や輸送用のコンテナなどの観音開き式の扉の開閉に用いられる扉開閉用ハンドルの拘束、施錠に使用するハンドルキャッチ(掛金装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のコンテナの扉は観音開き式で、扉を閉鎖したときに、扉開閉用ハンドルによってロックシャフトを回転し、ロックシャフトの上下端部のロックカムをコンテナ側のカムキーパーに係合させて、扉の閉鎖状態を保持する形式を採る。そして、この扉開閉用ハンドルは、扉に取り付けられたハンドルキャッチ(掛金装置)によって拘束され、このハンドルキャッチに装備された錠前ユニットを鍵で施錠することによってロック(施錠)される。
運送業者の業務で使用するトラックでは、コンテナの扉の開閉操作とともに、ハンドルキャッチの開閉、施解錠が繰り返し行われるので、ハンドルキャッチの操作は簡単かつ迅速にできることが要請される。
【0003】
本願出願人は、従前、この種のハンドルキャッチを特許文献1により提案している。
このハンドルキャッチを図9図10に示している。
図9に示すように、このハンドルキャッチCは、正面部601、背面部602、両側面部603及び底面部604からなり、正面部601の上部と背面部602の上部との間に扉開閉用ハンドルHを横断させて支持するハンドル横断支持部61を有し、正面部601の略中央に正面部601の上部中央から垂直方向に向けて略U字形に切り欠き形成されてなるレバー収納部62を有する本体6と、本体6の正面部61のレバー収納部62に嵌め込まれて、中間部を水平方向の回転軸71(図10参照)を介して起伏自在に枢支され、上部に本体6のハンドル横断支持部61に対向して溝形に形成され、ハンドル横断支持部61に横断支持される扉開閉用ハンドルHに係合可能なハンドル保持部72を有するフックレバー7と、本体6の背面部602とフックレバー7との間に介設され、フックレバー7を倒伏方向又は起立方向に回動付勢するバネ機構8A(図10参照)と、本体6とフックレバー7との間に回動可能に組み込まれ、フックレバー7の下端に対して係脱可能に配置されるロックレバー92(図10参照)と、本体6の正面部601に鍵孔90を表出されて本体6の正面部601と背面部602との間に設置され、ロックレバー92に作動連結されて、鍵Kによる一方向又は他方向の回転操作により、ロックレバー92をフックレバー7の下端に対して係合させる施錠位置と離脱させる解錠位置との間で駆動するシリンダー錠形式の錠前ユニット9(図10参照)とを備えて構成される。
この場合、バネ機構8Aは、図10に示すように、フックレバー7の背面で回転軸71の下部に水平方向に配置されるピン81と、本体6の背面部602側に固定される背面部側固定部821、背面部側固定部821の上縁部両側から本体6の正面部601側に向けて上方斜めに向けて延びる一対の中間アーム822、各中間アーム822の上端部の延長上に形成され、本体6の正面部601に固定される正面部側固定部823、及び背面部側固定部821の上端部中央からフックレバー7に配置されるピン81に向けて上方斜めに向けて突出されるバネ受け部824を有するバネ受けプレート82と、先端に受け溝831、基端を拡大されこの基端に受け溝832を有するガイド板83と、ガイド板83の周囲に巻装され、このガイド板83先端の受け溝831をフックレバー7背面のピン81に係合し、基端の受け溝832をバネ受けプレート82のバネ受け部824に係合し、このガイド板83を介してピン81とバネ受けプレート82のバネ受け部824との間に圧縮されて配置されるコイルスプリング84とを具備して構成される。
このようにしてフックレバー7を開動(起立)操作すると、図10(c)に示すように、コイルスプリング84を支持するバネ受けプレート82のバネ受け部824とフックレバー7背面のピン81とを結ぶ直線がフックレバー7の回転軸71の上方に移動して、バネ機構8Aがフックレバー7を起立方向に回動付勢し、反対に、フックレバー7を閉動(倒伏)操作すると、図10(b)、(a)に示すように、コイルスプリング84を支持するバネ受けプレート82のバネ受け部824とフックレバー7背面のピン81とを結ぶ直線がフックレバー7の回転軸71の下方に移動して、バネ機構8はフックレバー7を倒伏方向に回動付勢する。
また、この場合、ロックレバー92は、一端にフックレバー7の下端部に係脱可能な錠止アーム921を有し、本体6とフックレバー7との間に水平方向の枢軸920を介して枢着されて、本体6とフックレバー7との間に前後方向(本体6の正面部601又は背面部602方向)に回動可能に配置される。このロックレバー92は、本体6の下部に設けられた下部バネ機構8Bにより、本体6の正面部601方向又は背面部602方向に回転付勢され、フックレバー7を本体6に倒伏させた状態では、ロックレバー92をこの下部バネ機構8Bによって本体6の背面部602方向に回転付勢して、錠止アーム921をフックレバー7の下端部に対して係合可能な位置に置く。なお、この下部バネ機構8Bは、ロックレバー9の下端部に基端部の拡大頭部801をピン802によって枢着され、先端部を本体1に固定された支持板803の透孔804に挿通されるガイド板805と、ガイド板805に嵌められ、ガイド板805の拡大頭部801に一端を当接され、支持板803に他端を当接された圧縮コイルバネ806とを備えて構成され、透孔804と水平方向の枢軸920を結ぶ直線が作用力点であるピン802を越える毎に、バネ機構8Bの付勢方向を反転するようになっている。また、錠前ユニット9は本体6にレバー収納部62の下部に近接して設けられ、錠前ユニット9の鍵孔90が本体6の正面部601に表出され、錠前ユニット9のロータ91にカム円盤910が固着される。カム円盤910には突起911を有し、この突起911はロックレバー92に係合される。
このようにして鍵Kの操作により錠前ユニット9のロータ91を回動し、カム円盤910の突起911を回動することにより、図10(b)に示すように、ロックレバー92が正面部601方向に回転されて、錠止アーム921がフックレバー7の下端部に対して係合不能な位置に退避される。この状態から、図10(c)に示すように、フックレバー7を開動(起立)することにより、扉開閉用ハンドルHを本体6正面部601の上部と背面部602の上部との間のハンドル横断支持部61上に横断支持させることができる。そして、扉開閉用ハンドルHを本体6のハンドル横断支持部61上に横断支持すると、扉開閉用ハンドルHがフックレバー7背面のカム斜面に当たり、フックレバー7は水平方向の回転軸71を中心に時計回り方向に倒伏回転して、図10(a)に示すように、扉開閉用ハンドルHがフックレバー7の横断溝部72に再係合される。このフックレバー7の回転途中で、バネ機構8Aの付勢方向が逆転され、この扉開閉用ハンドルHとフックレバー7の係合状態が保持される。そして、このフックレバー7はオートロック機構になっており、フックレバー7が倒伏方向に回転するときに、フックレバー7の下端部がロックレバー92の錠止アーム921の背面部を背面側から押して、ロックレバー92の錠止アーム921がフックレバー7の下端部に対して係合不能な位置まで回転退避されるとともに、ロックレバー92の回転に伴って、このロックレバー92によりカム円盤910の突起911が押されて、錠前ユニット9のロータ91が施錠状態に戻され、自動的に施錠される。これにより、鍵Kを錠前ユニット9の鍵孔90に挿入しロータ91を回転操作する必要がない。
このようにこのハンドルキャッチCでは、フックレバー7の開閉、施解錠の操作を簡単かつ迅速に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−227494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のハンドルキャッチでは、フックレバー7を本体に倒伏することにより、ロックレバー92がフックレバー7の下端に対して係合し、錠前ユニットが自動的に施錠されるオートロック機構、及びフックレバーを倒伏方向又は起立方向に回動付勢するバネ機構の部品点数が多く、構造が複雑である、という問題がある。
また、バネ機構については、次のような具体的な問題がある。
(1)このハンドルキャッチのバネ機構8Aの構成上、図11に示すように、フックレバー7の背面にコイルスプリング84(ガイド板83)を受けるためのピン81を必要とし、このピン81をフックレバー7に取り付けるには、ピン81のカシメ作業が必要で、これがハンドルキャッチの製造工程において煩雑な作業となる。
(2)このハンドルキャッチのバネ機構8Aの構成上、バネ受けプレート82は、図12に示すように、本体6の背面部602側に固定される背面部側固定部821と、背面部側固定部821の上縁部両側から本体6の正面部601側に向けて上方斜めに向けて延びる一対の中間アーム822と、各中間アーム822の上端部の延長上に形成され、本体6の正面部601に固定される正面部側固定部823と、背面部側固定部821の上縁部中央からフックレバー7背面のピン81に向けて上方斜めに向けて突出されるバネ受け部824とからなり、特に、一対の中間アーム822とバネ受け部824との間が段差形状となって、全体として複雑なプレス作業が必要で、これがハンドルキャッチの製造工程において煩雑な作業となる。
(3)このハンドルキャッチのバネ機構8Aの構成上、図12に示すように、ガイド板83の先端に受け溝831、基端に受け溝832を有し、コイルスプリング84はガイド板83の周囲に巻装され、このガイド板83先端の受け溝831をフックレバー7背面のピン81に係合し、コイルスプリング84を圧縮させながら、このコイルスプリング84の他端側をバネ受けプレート82のバネ受け部824に嵌め込むとともにガイド板83の基端の受け溝832をバネ受け部824に係合させることになり、この場合に、ガイド板83基端の受け溝832をバネ受け部824に合せることが容易でなく、これがハンドルキャッチの製造工程において煩雑な作業となる。
(4)このハンドルキャッチの場合、本体6にフックレバー7を起伏回動可能に取り付けるため、図11に示すように、フックレバー7に回転軸71を必要とし、この回転軸71をフックレバー7に通す作業が必要で、これがハンドルキャッチの製造工程において煩雑な作業となる。
【0006】
本発明は、上記従来のハンドルキャッチの問題を解決するために、上記従来のハンドルキャッチを改良し、オートロック機構及びバネ機構の部品点数を少なくし、構造を簡単にすること、バネ機構の各部については、コイルスプリングを受けるためのピンを不要とし、ピンのカシメ作業をなくすこと、バネ受けプレートの複雑なプレス作業を不要とすること、コイルスプリングの他端側をバネ受けプレートのバネ受け部に係合させる際の、ガイド板基端の受け溝とバネ受け部との係合を不要とすること、ロックレバーの形状を簡単にして加工をしやすくすること、フックレバーに回転軸を通す作業を不要にすることなど、全体として部品点数と部品の加工や組み立てに伴う煩雑な作業を削減し、ハンドルキャッチの製造工程における各作業を簡単にしてコストダウンを図ること、ひいては地球環境に優しい取り組みに資すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のハンドルキャッチは、
正面部、背面部、両側面部及び底面部からなり、前記正面部の上部と前記背面部の上部との間に扉開閉用ハンドルを横断させて支持するハンドル横断支持部を有し、前記正面部の略中央に前記正面部の上部中央から垂直方向に向けて略U字形に切り欠き形成されてなるレバー収納部を有する本体と、
前記本体の前記正面部の前記レバー収納部に嵌め込まれて、中間部を水平方向の回転軸を介して起伏自在に枢支され、上部に前記本体の前記ハンドル横断支持部に対向して溝状に形成され、前記ハンドル横断支持部に横断支持される扉開閉用ハンドルに係合可能なハンドル保持部を有するフックレバーと、
前記本体の背面部と前記フックレバーとの間に介設され、前記フックレバーを倒伏方向又は起立方向に回動付勢するバネ機構と、
前記本体の前記背面部と前記フックレバーとの間に水平方向の軸を介して上下方向に回動可能又は揺動可能に取り付けられ、先端部が前記フックレバーの下端に対して係合可能なロック位置と離脱可能なアンロック位置との間を回動可能又は揺動可能に配置されるロックレバーと、
前記ロックレバーの先端部を常態として上方向に回動付勢するコイルスプリング、板バネを含むバネ部材と、
前記本体の前記正面部に鍵孔を表出されて前記本体の前記正面部と前記背面部との間に設置され、鍵による施錠方向又は解錠方向の回転操作により、ロータを施錠方向又は解錠方向に回転するシリンダー錠形式の錠前ユニットと、
前記錠前ユニットの前記ロータに前記ロータと一体的に回動可能に取り付けられて、前記ロックレバーの後端部に当該後端部側を上下動可能に係合され、前記ロックレバーの先端部を前記ロック位置又は前記アンロック位置に回動案内するカム形状の作動レバーと、
を備え、
前記バネ部材、前記錠前ユニット及び前記作動レバーによりオートロック機構を構成され、
前記フックレバーを起立状態から前記本体に倒伏させる際に、前記鍵により前記錠前ユニットを施錠方向に操作して前記ロータを同方向に回転することにより、前記ロータとともに前記作動レバーを同方向に回動し、前記作動レバーのカム形状の係合案内により、前記ロックレバーの後端部を下方向に回動するとともに前記ロックレバーの先端部を上方向に前記ロック位置まで回動し、この施錠状態から、前記フックレバーを倒伏方向に回動させることにより、前記フックレバーの下端で前記ロックレバーの先端部側を押し下げつつ、前記フックレバーを前記本体に倒伏し、前記フックレバーの倒伏と同時に、前記ロックレバーの先端部を前記バネ部材の付勢力により前記ロック位置に弾性復帰させて、既に施錠状態の前記錠前ユニットにより、前記フックレバーをオートロックする形式を取る、
ことを要旨とする。
このハンドルキャッチは、各部について次のような構成を採用されることが好ましい。
(1)バネ機構は、フックレバーの背面で回転軸の下部に下方に向けて延びる段部を有し、前記回転軸の下方で前記段部の下面に前記回転軸と略平行に形成されるバネ取付溝と、前記本体の前記背面部側に固定される背面部側固定部、前記背面部側固定部の上縁部両側から前記本体の正面部側に向けて上方斜めに向けて延びる一対の中間アーム、及び前記各中間アームの上端部の延長上に形成され、前記本体の前記正面部に固定される正面部側固定部からなり、前記背面部側固定部の上縁部の中央に前記各中間アームと平行に突出されるバネ受け部を有し、前記本体の前記背面部と前記正面部との間に取り付けられるバネ受けプレートと、全体が略T字形を呈し、前記フックレバーの前記バネ取付溝に係合可能な支持部、及び前記支持部から直角方向に延びるバネ受け部からなるバネガイドと、一端を前記バネ受けプレートの前記バネ受け部に支持され、他端を前記バネガイドを介して前記フックレバーの前記バネ取付溝に支持されて、前記バネ受けプレートの前記バネ受け部と前記フックレバーの前記バネ取付溝との間に圧縮されて配置されるコイルスプリングとを具備して構成され、前記フックレバーの開動(起立)操作により、前記コイルスプリングを支持する前記バネ受けプレートの前記バネ受け部と前記フックレバーの前記バネ取付溝とを結ぶ直線が前記フックレバーの前記回転軸の上方に移動することにより、前記バネ機構により前記フックレバーを起立方向に回動付勢し、前記フックレバーの閉動(倒伏)操作により、前記コイルスプリングを支持する前記バネ受けプレートの前記バネ受け部と前記フックレバーの前記バネ取付溝とを結ぶ直線が前記フックレバーの前記回転軸の下方に移動することにより、前記バネ機構により前記フックレバーを倒伏方向に回動付勢する。
この場合、フックレバーのバネ取付溝は漸次外側に拡開される断面略逆U字形に形成され、バネガイドの支持部は前記バネ取付溝に対する当たり面が断面略円弧状に形成される。
この場合、バネ受けプレートのバネ受け部及びバネガイドのバネ受け部はそれぞれ、幅方向の寸法がコイルスプリングの内径と略同じで、前記コイルスプリングの一端は前記バネ受けプレートの前記バネ受け部の周囲に巻装されて前記バネ受け部両側の前記バネ受けプレートの背面部側固定部の上縁部に支持され、他端は前記バネガイドの前記バネ受け部の周囲に巻装されて前記バネ受け部両側の前記バネガイドの支持部に支持される。
この場合、バネガイドは、中間部の幅がコイルスプリングの外径よりも少し大きい略矩形状でその両側部の幅がコイルスプリングの内径と略同じ略矩形状の、平板状のプレートが前記中間部の中央で略U字形に折り曲げられて形成される。
(2)フックレバーの中間部に回転軸が一体に形成される。
(3)本体の正面部にフックレバーの施錠・解錠状態を表示するインジケータを併せて備え、前記インジケータは、前記本体の正面部に形成される窓穴と、前記本体の正面部の背面側に前記窓穴上をスライド可能に配置され、前記フックレバーの施錠状態を表す表示部及び解錠状態を表す表示部を有する表示プレートとを具備し、前記表示プレートと錠前ユニットのロータとの間に作動アームが作動連結されて、鍵により前記錠前ユニットを施錠方向に操作することにより、作動レバーが駆動されて、前記ロックレバーがロック位置に回動されるとともに、これに連動して、前記表示プレートが駆動され、前記フックレバーの施錠状態を表す表示部が前記窓穴に対向する位置にスライドされて前記窓穴に前記フックレバーの施錠状態を表示し、前記鍵により前記錠前ユニットを解錠方向に操作することにより、前記作動レバーが駆動されて、前記ロックレバーがアンロック位置に回動されるとともに、これに連動して、前記表示プレートが駆動され、前記フックレバーの解錠状態を表す表示部が前記窓穴に対向する位置にスライドされて前記窓穴に前記フックレバーの解錠状態を表示する。
【発明の効果】
【0008】
(1)本発明のハンドルキャッチでは、フックレバーのオートロック機構が、ロックレバーの先端部を常態として上方向に回動付勢しロック位置に保持するコイルスプリング、板バネを含むバネ部材と、本体の正面部に鍵孔を表出されて本体部の正面部と背面部との間に設置され、鍵による施錠方向又は解錠方向の回転操作により、ロータを施錠方向又は解錠方向に回転するシリンダー錠形式の錠前ユニットと、錠前ユニットのロータにロータと一体的に回動可能に取り付けられて、ロックレバーの後端部に当該後端部側を上下動可能に係合され、ロックレバーの先端部をロック位置又はアンロック位置に回動案内するカム形状の作動レバーとを備えて構成されるので、オートロック機構の部品点数を少なくし、構造を簡単にすることができ、また、このオートロック機構の場合、フックレバーを起立状態から本体に倒伏させる際に、鍵により錠前ユニットを施錠方向に操作してロータを同方向に回転することにより、ロータとともに作動レバーを同方向に回動し、作動レバーのカム形状の係合案内により、ロックレバーの後端部を下方向に回動するとともにロックレバーの先端部を上方向にロック位置まで回動し、この施錠状態から、フックレバーを倒伏方向に回動させることにより、フックレバーの下端でロックレバーの先端部側を押し下げつつ、フックレバーを本体に倒伏し、フックレバーの倒伏と同時に、ロックレバーの先端部をバネ部材の付勢力によりロック位置に弾性復帰させて、既に施錠状態の錠前ユニットにより、フックレバーをオートロックする形式を取るので、フックレバーの施解錠の操作を簡単かつ迅速に行うことができ、特に、鍵で錠前ユニットを施錠して、錠前ユニットから鍵を抜いた後でも、扉開閉用ハンドルを本体のハンドル横断支持部に横断支持すれば、フックレバーを自動的に施錠することができるので、鍵の掛け忘れを防止することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
(2)また、このハンドルキャッチでは、バネ機構が、フックレバーの背面で回転軸の下部に下方に向けて延びる段部を有し、回転軸の下方で段部の下面に回転軸と略平行に形成されるバネ取付溝と、本体の背面部側に固定される背面部側固定部、背面部側固定部の上縁部両側から本体の正面部側に向けて上方斜めに向けて延びる一対の中間アーム、及び各中間アームの上端部の延長上に形成され、本体の正面部に固定される正面部側固定部からなり、背面部側固定部の上縁部の中央に前記各中間アームと平行に突出されるバネ受け部を有し、本体の背面部と正面部との間に取り付けられるバネ受けプレートと、全体が略T字形を呈し、フックレバーのバネ取付溝に係合可能な支持部、及び支持部から直角方向に延びるバネ受け部からなるバネガイドと、一端をバネ受けプレートのバネ受け部に支持され、他端をバネガイドを介してフックレバーのバネ取付溝に支持されて、バネ受けプレートのバネ受け部とフックレバーのバネ取付溝との間に圧縮されて配置されるコイルスプリングとを具備して構成されるので、バネ機構の部品点数を少なくし、構造を簡単にすることができ、また、このバネ機構の場合、フックレバーの開動(起立)操作により、コイルスプリングを支持するバネ受けプレートのバネ受け部とフックレバーのバネ取付溝とを結ぶ直線がフックレバーの回転軸の上方に移動することにより、バネ機構がフックレバーを起立方向に回動付勢し、フックレバーの閉動(倒伏)操作により、コイルスプリングを支持するバネ受けプレートのバネ受け部とフックレバーのバネ取付溝とを結ぶ直線がフックレバーの回転軸の下方に移動することにより、バネ機構がフックレバーを倒伏方向に回動付勢するので、フックレバーの開閉操作を簡単かつ迅速に行うことができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
特に、バネ機構の各部については、従来のような、コイルスプリングを受けるためのピンを不要とし、ピンのカシメ作業をなくすことができる、バネ受けプレートの複雑なプレス作業を不要とすることができる、コイルスプリングの他端側をバネ受けプレートのバネ受け部に係合させる際の、ガイド板基端の受け溝とバネ受け部との係合を不要とすることができる、ロックレバーの形状を簡単にして加工をしやすくすることができるなど、全体として部品点数と部品の加工や組み立てに伴う煩雑な作業を削減し、ハンドルキャッチの製造工程における各作業を簡単にしてコストダウンを図ることができ、ひいては地球環境に優しい取り組みに資する、という利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態におけるハンドルキャッチの外部構成を示す図((a)は正面図(b)は側面図)
図2】同ハンドルキャッチの外部及び内部構成を示す背面図
図3】同ハンドルキャッチの内部構成を示す側面断面図
図4】同ハンドルキャッチの特にフックレバーの構成を示す図((a)は側面断面図(b)は背面図)
図5】同ハンドルキャッチの特にバネ受けプレートの構成を示す図((a)は斜視図(b)は側面断面図(c)は平面図)
図6】同ハンドルキャッチの特にバネガイドの構成を示す図((a)は側面図(b)は正面図(c)は底面図)
図7】同ハンドルキャッチの使用例を示す図((a)はフックレバーが本体に倒伏され、施錠された状態を示す側面断面図(b)はフックレバーが解錠され、本体から起立された状態を示す側面断面図)
図8】同ハンドルキャッチの使用例を示す図((a)はフックレバーが施錠された状態を示す背面図(b)はフックレバーが解錠された状態を示す背面図)
図9】従来のハンドルキャッチの構成を示す図((a)は平面図(b)は正面図(c)は側面図)
図10】同ハンドルキャッチの使用例を示す図((a)はフックレバーが本体に倒伏され、施錠された状態を示す側面断面図(b)はフックレバーが解錠された状態を示す側面断面図(c)はフックレバーが本体から起立された状態を示す側面断面図)
図11】同ハンドルキャッチの問題点を説明するための図
図12】同ハンドルキャッチの問題点を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
なお、以下の説明の中で、扉開閉用ハンドルHは、バンボディタイプのトラックの箱形の荷台(アルミ製のコンテナ)や輸送用のコンテナなどの観音開き式の扉の開閉に一般に使用されるハンドルである(段落0002、図面の図9、特許文献1の図1参照)。
【0011】
図1図2及び図3にハンドルキャッチを示している。
図1図2に示すように、このハンドルキャッチC1は、本体1と、フックレバー2と、バネ機構3と、ロックレバー4と、バネ部材43と、錠前ユニット5と、作動レバー44とを備えて構成される。
【0012】
本体1は、図1図2及び図3に示すように、全体が薄形のケース状に形成され、正面部101、背面部102、(左右)両側面部103、104及び底面部105からなる。この場合、背面部102の高さは正面部101の高さより高く、また、背面部102の上部側は幅が正面部101の幅より少し大きく、両側に少し張り出される。正面部101の上端部は両側面部103、104の上端部よりも高くなっている。背面部102は両側面部103、104の上端部よりも少し下がった位置から中間部が開口され、この開口内で正面部101の背面上部側に段部106、背面中間部の両側で開口面に臨む突状部107を有し、段部106の両側、各突状部107にそれぞれ取付ねじSのためのねじ孔が設けられる。このような正面部101の上部と背面部102の上部との間に扉開閉用ハンドルHを横断させて(両側面部103、104上部間に)支持するハンドル横断支持部11が設けられる。また、正面部101の略中央には、正面部101の上部中央から垂直方向に向けて略U字形に切り欠かれて形成され、フックレバー2のためのレバー収納部12が設けられる。また、この正面部101の背面の既述の段部106のレバー収納部12の両側にフックレバー2の回転軸21のための軸受溝120(図3参照)が併せて形成される。なお、この本体1は上部側の左右両側及び下部側の中央に取付ねじ挿通部が設けられ、これら取付ねじ挿通部に取付ねじを挿通されて、これらの取付ねじにより、コンテナの扉に取り付けられる。
【0013】
フックレバー2は、図1及び図3に示すように、本体1の正面部101のレバー収納部12に嵌め込まれて、中間部を水平方向の回転軸21を介して起伏自在に枢支され、上部に本体1のハンドル横断支持部11に対向して溝状に形成されハンドル横断支持部11に横断支持される扉開閉用ハンドルHに係合可能なハンドル保持部22を有する。この場合、フックレバー2は本体1のレバー収納部12に嵌合可能に、かつ本体1の背面部102の上端部と略同じ高さまで延びる正面視縦に長い長方形の板状で、図4に示すように、背面の上端部にフック形状(カマ状)23が設けられ、背面の中間部に凸状部24が設けられて、背面の上部にハンドル保持部22が本体1のハンドル横断支持部11に対向して断面略コ字形に形成される。この背面にはまた、凸状部24の下部に本体1の正面部101の背面上部の段部106に対応して下方に向けて延びる段部201が設けられる。また、この場合、フックレバー2の左右両側面の上下方向中間部に回転軸21が一体に形成され、それぞれ、両側方に向けて水平に突出される。なお、この回転軸21は背面の凸状部24の下面と略同じ高さに設けられる。これにより、段部201は回転軸21の下部に下方に向けて形成される(延びる)。このフックレバー2は、図2図3に示すように、左右両側面から突出される回転軸21が本体1正面部101の背面上部の段部201に設けられた軸受溝120に支持されて、本体1のレバー収納部12に起伏自在に取り付けられる。
【0014】
バネ機構3は、図2及び図3に示すように、本体1の背面部102とフックレバー2との間に介設され、フックレバー2を倒伏方向又は起立方向に回動付勢する構造を有する。
このバネ機構3では、フックレバー2の背面で回転軸21の下部に下方に向けて延びる段部201を有し、回転軸21の下方で段部201の下面に回転軸21と略平行に形成されるバネ取付溝31と、本体1の背面部102中間部に固定される背面部側固定部321、背面部側固定部321の上縁部(左右)両側から本体1の正面部101側に向けて上方斜めに向けて延びる一対の中間アーム322、及び各中間アーム322の上端部の延長上に形成され、本体1の正面部101の背面上部側に固定される正面部側固定部323からなり、背面部側固定部321の上縁部の中央に各中間アーム322と平行に突出されるバネ受け部324を有し、本体1の背面部102と正面部101との間に取り付けられるバネ受けプレート32と、全体が略T字形を呈し、フックレバー2のバネ取付溝31に係合可能な支持部331、及び支持部331から直角方向に延びるバネ受け部332からなるバネガイド33と、一端をバネ受けプレート32のバネ受け部324に支持され、他端がバネガイド33を介してフックレバー2のバネ取付溝31に支持されて、バネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31との間に圧縮されて配置されるコイルスプリング34とを具備して構成される。
この場合、フックレバー2のバネ取付溝31は、図4に示すように、フックレバー2の回転軸21の下方でフックレバー2背面の段部201の下面に漸次外側に拡開される断面略逆U字形に形成され、バネガイド33の支持部331は、図3に示すように、バネ取付溝31に対する当たり面が断面略円弧状に形成される。
バネ受けプレート32は、図5に示すように、背面部側固定部321が横に長い略長方形を呈し、この背面部側固定部321の左右両側にそれぞれねじ挿通部321aを有し、これらのねじ挿通部321aから取付ねじSが通され、これらの取付ねじSが、図2に示すように、本体1の背面部102に開口された中間部に臨む正面部101の背面中間部の各突状部107のねじ孔に締結されて、本体1の背面部中間部に固定される。一対の中間アーム322はそれぞれ、図5に示すように、縦に長い台形又は長方形を呈し、背面部側固定部321の上縁部から本体1の背面上部の段部106下部まで斜めに延ばされる。正面部側固定部323はそれぞれ、図5に示すように、やや縦長の長方形を呈し、ねじ挿通部323aを有し、これらのねじ挿通部323aから取付ねじSが通され、これらの取付ねじSが本体1の背面部102に開口された中間部を通して正面部101の背面上部の段部106の各ねじ孔に締結されて、本体1の正面部101の背面上部側に固定される。
バネ受けプレート32のバネ受け部324及びバネガイド33のバネ受け部332はそれぞれ、図5図6に示すように、幅方向の寸法がコイルスプリング34の内径と略同じで、図3に示すように、コイルスプリング34の一端はバネ受けプレート32のバネ受け部324の周囲に巻装されてこのバネ受け部324両側のバネ受けプレート32の背面部側固定部321の上縁部に支持され、他端はバネガイド33のバネ受け部332の周囲に巻装されてこのバネ受け部332両側のバネガイド33の支持部331に支持される。また、この場合、バネガイド33は、図6に示すように、中間部の幅がコイルスプリング34の外径よりも少し大きい略矩形状でその両側部の幅がコイルスプリング34の内径と略同じ略矩形状の、平板状のプレートを中間部の中央で略U字形に折り曲げられて形成される。
このようにしてフックレバー2の開動(起立)操作により、図7(b)に示すように、コイルスプリング34を支持するバネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31とを結ぶ直線がフックレバー2の回転軸21の上方に移動すると、バネ機構3はフックレバー2を起立方向に回動付勢し、フックレバー2の閉動(倒伏)操作により、図7(a)に示すように、コイルスプリング34を支持するバネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31とを結ぶ直線がフックレバー2の回転軸21の下方に移動すると、バネ機構3はフックレバー2を倒伏方向に回動付勢する。
【0015】
ロックレバー4は、図2図3に示すように、本体1の背面部102とフックレバー2との間に水平方向の軸421を介して上下方向に回動可能又は揺動可能に取り付けられ、先端部がフックレバー2の下端に対して係合可能なロック位置(フックレバー2の下端に対向する所定の位置)と離脱可能なアンロック位置(フックレバー2の下端から下方に外れる所定の位置)との間を回動可能又は揺動可能に配置される。この場合、ロックレバー4は、横に長い略台形のプレートの両側を略直角に折り曲げて断面略コ字形に形成され、平面状の押え部41と両側の支持部42とからなり、両支持部42の後端部に軸挿通部420を穿たれる。このロックレバー4の両支持部42の各軸挿通部420に軸421が通され、この軸421が本体1の上下方向中間部の背面部102側に軸受422を介して水平に取り付けられて、ロックレバー4は本体1の背面部102とフックレバー2との間に上下方向に回動可能に設置され、押え部41の先端部がフックレバー2の下端に対して係合可能なロック位置と離脱可能なアンロック位置との間を回動可能に配置される。
そして、このロックレバー4は、コイルスプリング、板バネを含むバネ部材43により、先端部が常態として上方向に回動付勢される。この場合、バネ部材43としてコイルスプリングが採用され、コイルスプリング43がロックレバー4の軸421に巻装されて、一端がロックレバー4の押え部41の下面に係止され、他端がバネ受けプレート32の下端部など本体1の背面部102側に係止固定されて、常態として押え部41が上方向に回動付勢される。
【0016】
錠前ユニット5は、図1図2及び図3に示すように、鍵(図示省略)による施錠方向又は解錠方向の回転操作により、ロータ51を施錠方向又は解錠方向に回転するシリンダー錠形式の錠前で、本体1の正面部101に鍵孔50を表出されて、本体1の正面部101と背面部102との間に設置される。この錠前ユニット5のロータ51にはカム形状の作動レバー44がロータ51と一体的に回動可能に取り付けられて、ロックレバー4の後端部に当該後端部側を上下動可能に係合され、ロックレバー4の先端部をロック位置又はアンロック位置に回動案内するようになっている。
この場合、作動レバー44は、錠前ユニット5のロータ51に連結可能な取付部440と、この取付部440の外周から凸状に突出されるカム形状部441とからなる。カム形状部441は先端縁が一端から他端にかけて漸次突出量が大きくなる曲面をなす。この作動レバー44は取付部440が錠前ユニット5のロータ51の後端部に取り付けられて、カム形状部441が上方に向けて錠前ユニット5の外周面よりも外側に突出され、ロックレバー4の後端部(この場合、ロックレバー4の下面の後端部)に当該後端部側を上下動可能に係合される。なお、この場合、ロータ51の回動角度は45°で、作動レバー44のカム形状部441とロックレバー4の後端部との係合角度は45°としてある。このようにして作動レバー44は錠前ユニット5に作動連結され、錠前ユニット5の施錠状態、つまり、錠前ユニット5正面の鍵孔50が縦向きになっている状態では、ロータ51に取り付けられた作動レバー44のカム形状部441の先端縁の一端側縁部とロックレバー4の後端部が係合されて、ロックレバー4は先端部側が高く後端部側が低い所定の傾斜角を取り、ロックレバー4の押え部41先端がフックレバー2の下端に対して係合可能に、すなわち、ロック位置に保持される。この状態から、錠前ユニット5の鍵孔50に鍵を差し込み、解錠方向に(この場合、鍵孔50が右方向に45°傾斜するまで)回すと、ロータ51に取り付けられた作動レバー44が同方向に回動し、カム形状部441先端縁の一端側縁部、中間の縁部、他端側の縁部がロックレバー4の後端部に係合されていき、このカム形状部441の係合案内により、ロックレバー4は漸次後端部側が上がる方向に、先端部側が下がる方向に回動され、鍵を解錠位置(この場合、鍵孔50が右方向に45°傾斜する位置)まで回すと、作動レバー44のカム形状部441先端縁の他端側縁部とロックレバー4の後端部が係合され、ロックレバー4は後端部側が高く先端部側が低い所定の傾斜角を取り、ロックレバー4の押え部41先端がフックレバー2の下端に対して離脱可能に、すなわちアンロック位置に保持される。
【0017】
そして、このハンドルキャッチC1においては、バネ部材43、錠前ユニット5及び作動レバー44により、オートロック機構Aが構成される。このオートロック機構Aでは、図7を参照すると、フックレバー2を起立状態から本体1に倒伏させる際に、鍵により錠前ユニット5を施錠方向に操作してロータ51を同方向に回転することにより、ロータ51とともに作動レバー44が同方向に回動し、作動レバー44のカム形状部441の係合案内により、ロックレバー4の後端部を下方向に回動するとともにロックレバー4の先端部を上方向にロック位置まで回動し、この施錠状態から、フックレバー2を倒伏方向に回動させることにより、フックレバー2の下端でロックレバー4の先端部側を押し下げつつ、フックレバー2を本体1に倒伏し、このフックレバー2の倒伏と同時に、ロックレバー4の先端部がバネ部材43の付勢力によりロック位置に弾性復帰させて、既に施錠状態の錠前ユニット5により、フックレバー2をオートロックする形式を取る。
【0018】
また、このハンドルキャッチC1には、図1図2に示すように、ハンドルキャッチC1の施錠状態・解錠状態を表示するインジケータ52を併せて備えている。
図1図2に示すように、このインジケータ52は、本体1の正面部101に形成される窓穴520と、本体1の正面部101の背面側に窓穴520上をスライド可能に配置され、施錠状態を表す表示部522及び解錠状態を表す表示部521を有する表示プレート52Pとを具備し、表示プレート52Pがスライド駆動可能に錠前ユニット5に作動連結されて構成される。
この場合、窓穴520は本体1の正面部101に錠前ユニット5の鍵孔50に近接して円形に形成される。また、本体1の正面部101の背面の窓穴520に対応する位置には表示プレート52Pのスライドガイド523として、上下方向に延びる所定の長さの溝が形成され、この溝の上部所定の高さに平板状の凸起が水平方向に向けて突出され、この溝の下部が平面状に形成されて、それぞれ、表示プレート52Pの上下のストッパーになっている。
表示プレート52Pはスライドガイド(溝)523に嵌合可能に上下に延びる略長方形状に形成され、その正面の上半部に錠前ユニット5の解錠状態を表す表示部521として青色を付けられ、下半部に錠前ユニット5の施錠状態を表す表示部522として赤色が付けられる。また、表示プレート52Pの上部に本体1の背面部102方向に断面略逆L字形に延びる上方作動連結部526を有し、表示プレート52Pの背面で上下方向中間部に本体1の背面部102方向に断面略逆L字形に延びる下方作動連結部527を有する。この表示プレート52Pはスライドガイド523内に嵌め込まれ、その上に保持プレート528が取付ねじにより取り付けられて、スライドガイド523内を上下のストッパー間で上下方向にスライド可能に取り付けられる。
この表示プレート52Pは錠前ユニット5に作動アーム45を介して作動連結される。この作動アーム45は略L字形の細長いプレートで、作動レバー44に一体的に形成され、作動レバー44の取付部440においてカム形状部441に対して所定角度離れた位置から略L字形に延ばされ、先端がインジケータ52の表示プレート52Pの上方、下方の各作動連結部526、527に係合可能になっている。なお、作動アーム45は作動レバー44とは別体に形成され、錠前ユニット5のロータ51に作動レバー44と同様に取り付けられてもよい。
このようにして表示プレート52Pが上下方向にスライド駆動可能に錠前ユニット5に作動連結され、錠前ユニット5の鍵による施錠方向の操作により、作動レバー44を駆動してロックレバー4がロック位置まで回動されると、これに連動して、表示プレート52Pが駆動され、施錠状態を表す表示部522が窓穴520に対向する位置にスライドされて窓穴520に施錠状態を表示する。すなわち、図8(a)に示すように、鍵を左方向に45°回し、作動レバー44を駆動して、ロックレバー4をロック位置まで回動させると、これに連動して、作動アーム45は上方向に回動され、この作動アーム45の先端が表示プレート52Pの上方作動連結部526に係合して表示プレート52Pを上方に向けて駆動し、これにより本体1正面部101の表示窓520に赤色の表示部522が現れ、錠前ユニット5の施錠状態を表示する。
反対に、錠前ユニット5の鍵による解錠方向の操作により、作動レバー44を駆動してロックレバー4がアンロック位置まで回動されると、これに連動して、表示プレート52Pが駆動され、解錠状態を表す表示部521が窓穴520に対向する位置にスライドされて窓穴520に解錠状態を表示する。すなわち、図8(b)に示すように、鍵を右方向に45°回し、作動レバー44を駆動して、ロックレバー4をアンロック位置まで回動させると、これに連動して、作動アーム45は下方向に回動され、この作動アーム45の先端が表示プレート52Pの下方作動連結部527に係合して表示プレート52Pを下方に向けて駆動し、これにより本体1正面部101の表示窓520に青色の表示部521が現れ、表示窓520に錠前ユニット5の解錠状態を表示する。
【0019】
このようにしてハンドルキャッチC1の開閉は次のように行われる。
図7(b)に示すように、フックレバー2の開動(起立)操作、すなわち、フックレバー2の下部を押すことにより、又はフックレバー2の上部を手前に引くことにより、このフックレバー2は、コイルスプリング34を支持するバネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31とを結ぶ直線がフックレバー2の回転軸21の(下方から)上方に移動されて、このバネ機構3の付勢力により、起立方向に回動付勢され、これによりフックレバー2の起立状態が保持されて、本体1の正面部101の上部と背面部102の上部との間が開放される。
この状態で、扉開閉用ハンドルHを本体1正面部101の上部と背面部102の上部との間のハンドル横断支持部11上に降ろし、横断支持する。このとき、扉開閉用ハンドルHを本体1のハンドル横断支持部11上に横断支持すると、扉開閉用ハンドルHがフックレバー2の背面中間部の凸状部24に衝接し、これにより、フックレバー2は回転軸21を中心に時計回り方向に倒伏回転し、図7(a)に示すように、扉開閉用ハンドルHはこのフックレバー2のハンドル保持部22により再係合される。また、このフックレバー2の回転途中でバネ機構3の付勢方向が切り替えられて、すなわち、コイルスプリング34を支持するバネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31とを結ぶ直線がフックレバー2の回転軸21の上方から下方に移動されて、扉開閉用ハンドルHとフックレバー2の係合状態が保持される。なお、この場合、フックレバー2を直接閉動(倒伏)操作して、フックレバー2を本体1上に倒伏し、フックレバー2のハンドル保持部22を扉開閉用ハンドルHに係合させても勿論かまわない。
【0020】
また、このハンドルキャッチC1の施錠、解錠は次のように行われる。
図7(a)、(b)、図8(a)、(b)、を参照すると、まず、ハンドルキャッチC1が施錠状態にあるとする。つまり、錠前ユニット5正面の鍵孔50が縦向きになっている状態で、ロータ51に取り付けられた作動レバー44はカム形状部441の先端縁の一端側縁部とロックレバー4の後端部が係合されて、ロックレバー4は先端部側が高く後端部側が低い所定の傾斜角を取り、ロックレバー4の押え部41先端がフックレバー2の下端に対して係合可能に、すなわち、ロック位置に保持されている。なお、この場合、インジケータ52の表示窓520にはハンドルキャッチC1の施錠状態を示す赤色が表示される。
この施錠を解除する場合、ハンドルキャッチC1の錠前ユニット5の鍵孔50に鍵を差し込み、鍵を解錠方向に(この場合、鍵孔50が右方向に45°傾斜するまで)回すと、ロータ51に取り付けられた作動レバー44が同方向に回動し、カム形状部441先端縁の一端側縁部、中間の縁部、他端側の縁部がロックレバー4の後端部に係合されていき、この作動レバー44のカム形状部441の係合案内により、ロックレバー4は漸次後端部側が上がる方向に、先端部側が下がる方向に回動される。そして、鍵を解錠位置(この場合、鍵孔50が右方向に45°傾斜する位置)まで回すと、作動レバー44のカム形状部441先端縁の他端側縁部とロックレバー4の後端部が係合され、ロックレバー4は後端部側が高く先端部側が低い所定の傾斜角を取り、ロックレバー4の押え部41先端がフックレバー2の下端に対して離脱可能に、すなわちアンロック位置に保持される。なお、この動作に連動して、作動アーム45は下方向に回動され、この作動アーム45の先端が表示プレート52Pの下方作動連結部527に係合して表示プレート52Pを下方に向けて駆動し、これにより本体1正面部101の表示窓520に青色の表示部521が現れ、表示窓520に錠前ユニット5の解錠状態を表示する。この状態で、フックレバー2は開動(起立)可能となる。
反対に、このハンドルキャッチC1を施錠する場合、上記の動作と反対になる。すなわち、錠前ユニット5の鍵孔50に鍵を差し込み、鍵によりロータ51を施錠方向に(この場合、左方向に45°、鍵孔50が縦向きになるまで)回すと、ロータ51に取り付けられた作動レバー44が同方向に回動し、カム形状部441先端縁の他端側縁部、中間の縁部、一端側の縁部がロックレバー4の後端部に係合されていき、この作動レバー44のカム形状部441の係合案内により、ロックレバー4は漸次後端部側が下がる方向に、先端部側が上がる方向に回動される。そして、鍵を施錠位置(この場合、鍵孔50が縦向きになる位置)まで回すと、作動レバー44のカム形状部441先端縁の一端側縁部とロックレバー4の後端部が係合され、ロックレバー4は後端部側が低く先端部側が高い所定の傾斜角を取り、ロックレバー4の押え部41先端がフックレバー2の下端に対して係合可能に、すなわちロック位置に保持される。なお、この動作に連動して、作動アーム45は上方向に回動され、この作動アーム45の先端が表示プレート52Pの上方作動連結部526に係合して表示プレート52Pを上方に向けて駆動し、これにより本体1正面部101の表示窓520に赤色の表示部522が現れ、錠前ユニット5の施錠状態を表示する。
また、オートロック機構Aを使う場合は、フックレバー2を起立状態から本体1に倒伏させる際に、まず、鍵により錠前ユニット5を施錠方向に操作してロータ51を同方向に回転することにより、作動レバー44を同方向に回動し、作動レバー44のカム形状の係合案内により、ロックレバー4の後端部を下方向に回動するとともにロックレバー4の先端部を上方向にロック位置まで回動しておく。なお、この時点で、インジケータ52は、既述のとおり、表示窓520に赤色の表示部522が現れ、錠前ユニット5の施錠状態を表示する。そして、この施錠状態から、フックレバー2を倒伏方向に回動させることにより、フックレバー2の下端でロックレバー4の先端部側を押し下げつつ、フックレバー2を本体1に倒伏すると、このフックレバー2の倒伏と同時に、ロックレバー4の先端部がバネ部材43の付勢力によりロック位置に弾性復帰され、既に施錠状態の錠前ユニット5により、フックレバー2はオートロックされる。なお、錠前ユニット5の鍵は錠前ユニット5を施錠した時点で抜いてもよく、また、オートロックの完了後に抜いてもよい。
この状態で、フックレバー2を開動(起立)しようとしても、フックレバー2の下端がロックレバー4の押え部41に押えられて、フックレバー2は動かない。
このようにハンドルキャッチC1の開閉、施錠・解錠の操作を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0021】
以上説明したように、このハンドルキャッチC1では、フックレバー2のオートロック機構Aが、ロックレバー4の先端部を常態として上方向に回動付勢しロック位置に保持するバネ部材43と、本体1の正面部101に鍵孔50を表出されて本体1の正面部101と背面部102との間に設置され、鍵による施錠方向又は解錠方向の回転操作により、ロータ51を施錠方向又は解錠方向に回転するシリンダー錠形式の錠前ユニット5と、錠前ユニット5のロータ51にこのロータ51と一体的に回動可能に取り付けられて、ロックレバー4の後端部にこの後端部側を上下動可能に係合され、ロックレバー4の先端部をロック位置又はアンロック位置に回動案内するカム形状の作動レバー44とを備えて構成されるので、オートロック機構Aの部品点数を少なくし、構造を簡単にすることができる。
また、このオートロック機構Aの場合、フックレバー2を起立状態から本体1に倒伏させる際に、鍵により錠前ユニット5を施錠方向に操作してロータ51を同方向に回転することにより、ロータ51とともに作動レバー44を同方向に回動し、作動レバー44のカム形状の係合案内により、ロックレバー4の後端部を下方向に回動するとともにロックレバー4の先端部を上方向にロック位置まで回動し、この施錠状態から、フックレバー2を倒伏方向に回動させることにより、フックレバー2の下端でロックレバー4の先端部側を押し下げつつ、フックレバー2を本体1に倒伏し、このフックレバー2の倒伏と同時に、ロックレバー4の先端部をバネ部材43の付勢力によりロック位置に弾性復帰させて、既に施錠状態の錠前ユニット5により、フックレバー2をオートロックするので、フックレバー2の施解錠の操作を簡単かつ迅速に行うことができ、特に、扉の開閉に際し、フックレバー2の施錠を解除してフックレバー2を起立させたときに、鍵で錠前ユニット5を施錠し、錠前ユニット5から鍵を抜いておけば、後は扉開閉用ハンドルHを本体1のハンドル横断支持部11に横断支持するだけで、フックレバー2を自動的に施錠することができ、鍵の掛け忘れを確実に防止することができる。
【0022】
さらに、このハンドルキャッチC1では、バネ機構3が、フックレバー2の背面で回転軸21の下部に下方に向けて延びる段部201を有し、回転軸21の下方で段部201の下面に回転軸21と略平行に形成されるバネ取付溝31と、本体1の背面部102側に固定される背面部側固定部321、背面部側固定部321の上縁部両側から本体1の正面部101側に向けて上方斜めに向けて延びる一対の中間アーム322、及び各中間アーム322の上端部の延長上に形成され、本体1の正面部101に固定される正面部側固定部323からなり、背面部側固定部321の上縁部の中央に各中間アーム322と平行に突出されるバネ受け部324を有し、本体1の背面部102と正面部101との間に取り付けられるバネ受けプレート32と、全体が略T字形を呈し、フックレバー2のバネ取付溝31に係合可能な支持部331、及び支持部331から直角方向に延びるバネ受け部332からなるバネガイド33と、一端をバネ受けプレート32のバネ受け部324に支持され、他端をバネガイド33を介してフックレバー2のバネ取付溝31に支持されて、バネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31との間に圧縮されて配置されるコイルスプリング34とを具備して構成されるので、バネ機構3の部品点数を少なくし、構造を簡単にすることができる。
また、このバネ機構3の場合、フックレバー2の開動(起立)操作により、コイルスプリング34を支持するバネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31とを結ぶ直線がフックレバー2の回転軸21の上方に移動することにより、バネ機構3がフックレバー2を起立方向に回動付勢し、フックレバー2の閉動(倒伏)操作により、コイルスプリング34を支持するバネ受けプレート32のバネ受け部324とフックレバー2のバネ取付溝31とを結ぶ直線がフックレバー2の回転軸21の下方に移動することにより、バネ機構3がフックレバー2を倒伏方向に回動付勢するので、フックレバー2の開閉操作を簡単かつ迅速に行うことができる。
特に、バネ機構3の各部については、従来のような、コイルスプリングを受けるためのピンを不要とし、ピンのカシメ作業をなくすことができる、バネ受けプレートの複雑なプレス作業を不要とすることができる、コイルスプリングの他端側をバネ受けプレートのバネ受け部に係合させる際の、ガイド板基端の受け溝とバネ受け部との係合を不要とすることができる、ロックレバーの形状を簡単にして加工をしやすくすることができるなど、全体として部品点数と部品の加工や組み立てに伴う煩雑な作業を削減し、ハンドルキャッチの製造工程における各作業を簡単にしてコストダウンを図ることができ、ひいては地球環境に優しい取り組みに資する。
【0023】
またさらに、このハンドルキャッチC1では、本体1の正面部101にハンドルキャッチC1の施錠状態・解錠状態を表示するインジケータ52を装備したので、ハンドルキャッチC1の施錠状態又は解錠状態を一目で即時に視認することができ、鍵のかけ忘れを防止することができる。
【符号の説明】
【0024】
C1 ハンドルキャッチ
1 本体
101 正面部
102 背面部
103、104 側面部
105 底面部
106 段部
107 突状部
S 取付ねじ
11ハンドル横断支持部
12 レバー収納部
120 軸支溝
2 フックレバー
21 回転軸
22 ハンドル保持部
23 フック形状
24 凸状部
201 段部
3 バネ機構
31 バネ取付溝
32 バネ受けプレート
321 背面部側固定部
321a ねじ挿通部
322 中間フレーム
323 正面部側固定部
323a ねじ挿通部
324 バネ受け部
33 バネガイド
331 支持部
332 バネ受け部
34 コイルスプリング
4 ロックレバー
41 押え部
42 支持部
420 軸挿通部
421 軸
422 軸受
43 バネ部材(コイルスプリング)
44 作動レバー
440 取付部
441 カム形状部
45 作動アーム
5 錠前ユニット
50 鍵孔
51 ロータ
K 鍵1
A オートロック機構
52 インジケータ
520 窓穴
52P 表示プレート
521 錠前ユニットの解錠状態を表す表示部(青)
522 錠前ユニットの施錠状態を表す表示部(赤)
523 スライドガイド(溝)
526 上方作動連結部
527 下方作動連結部
528 保持プレート
H 扉開閉用ハンドル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12