(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1開口部の前記第1方向と交差する第2方向の幅は、前記第1開口部の前記第1方向の幅の1倍以上3倍以下である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
まず、本実施形態に係る液晶装置について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る液晶装置1の構成を示す断面図である。
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、を備えている。第2基板SUB2は、第1基板SUB1に対向している。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、液晶分子LMを含んでいる。
【0012】
ここで、第1方向X及び第2方向Yは互いに直交し、第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yと直交している。第3方向Zの正の向き、あるいは、第1基板SUB1から第2基板SUB2に向かう方向を上と定義し、第3方向Zの負の向き、あるいは、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かう方向を下と定義する。
【0013】
第1基板SUB1は、第1絶縁基板10、第1電極EL1、層間絶縁膜IL、第2電極EL2、第1配向膜AL1を備えている。
【0014】
第1絶縁基板10は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する基板である。
【0015】
第1電極EL1は、第1絶縁基板10の上に位置している。第1電極EL1は、透明な導電材料によって形成された透明導電層であり、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)等によって形成されている。
【0016】
層間絶縁膜ILは、第1電極EL1の上に位置している。層間絶縁膜ILは、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機系材料によって形成されている。
【0017】
第2電極EL2は、層間絶縁膜ILの上に位置している。第2電極EL2は、図中に破線で示した開口部OPを有している。第2電極EL2は、第1電極EL1と対向し、第1電極EL1よりも液晶層LC側に位置している。第2電極EL2は、透明な導電材料によって形成された透明導電層であり、例えば、ITOやIZO等によって形成されている。
【0018】
第1配向膜AL1は、第2電極EL2を覆い、開口部OPにおいて層間絶縁膜ILにも接している。
【0019】
第2基板SUB2は、第2絶縁基板20、第2配向膜AL2を備えている。第2絶縁基板20は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する基板である。第2配向膜AL2は、第2絶縁基板20を覆っている。
【0020】
ドライバDVは、第1電極EL1及び第2電極EL2と電気的に接続され、第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧を印加する。本実施形態の表示パネルPNLは、第1電極EL1及び第2電極EL2の双方を第1基板SUB1に備えている。ドライバDVから第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加された際に、両電極間で基板主面に沿った横電界が発生する。なお、基板主面は、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX−Y平面と平行である。
【0021】
表示パネルPNLは、例えば、第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加されていない電圧無印加時において、第1基板SUB1の下面側からの光を第2基板SUB2の上面側へ透過し、第2基板SUB2の上面側からの光を第1基板SUB1の下面側へ透過する。また、表示パネルPNLは、第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加された電圧印加時において、第1基板SUB1の下面側からの光を第2基板SUB2の上面側へ向けて散乱させ、第2基板SUB2の上面側からの光を第1基板SUB1の下面側へ向けて散乱させる。なお、ここでは、第1基板SUB1の下方側の面を下面と定義し、第2基板SUB2の上方側の面を上面と定義する。
【0022】
なお、後述するが、表示パネルPNLは、反射層を備えていてもよい。
図1に示した例では、第1電極EL1が反射層として形成され、第2電極EL2が透明導電層として形成されていてもよい。このとき、第1電極EL1は、例えば、アルミニウムや銀などの反射率が高い金属材料で形成される。このように、第1電極EL1が反射層として形成されることにより、別途反射層を形成する必要がなく、製造プロセスを削減することができる。
【0023】
図示したように、本実施形態の液晶装置1は、第1基板SUB1の下面側、及び、第2基板SUB2の上面側のいずれにおいても偏光板を備えていない。
【0024】
図2は、透明性及び散乱性を示す液晶装置1の構成例を示す斜視図である。また、
図2に示される第2電極EL2の形状は、本実施形態に係る第2電極EL2に対する比較例である。
図2に示すように、第2電極EL2は、複数の開口部OP及び帯状の電極部3を有する。すなわち、開口部OP及び電極部3は、X−Y平面において長方形状に形成され、それぞれの開口部OPの長辺は第2方向Yに沿って延出している。開口部OP及び電極部3は、第1方向Xに沿って交互に並んでいる。
【0025】
第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、X−Y平面において、互いに平行な方位に配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)がなされている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、それぞれ開口部OPの長辺に直交する方向に沿った配向方向AD1及びAD2を有する。図示した例では、配向方向AD1及びAD2は、第1方向Xに沿った方向である。また、配向方向AD1と配向方向AD2とは、互いに逆向きである。ここでの配向方向とは、電圧無印加時において、液晶分子LMが第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向規制力によって配向される方向に相当する。また、液晶分子LMがプレチルトしている場合には、液晶分子LMの長軸をX−Y平面に正射影した方向を配向方向と定義する。
【0026】
以下に、上記構成の液晶装置における動作について説明する。
ここでは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に、正の誘電異方性(ポジ型)を有する液晶分子LMが封入されている場合を想定している。
【0027】
電圧無印加時においては、第1電極EL1と第2電極EL2との間に電界が形成されていない。このため、液晶層に含まれる液晶分子LMは、
図2に示したように、X−Y平面内において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向方向AD1及びAD2である第1方向Xに初期配向する。
【0028】
一方、電圧印加時においては、第1電極EL1と第2電極EL2との間に横電界が形成される。ここで、発生する横電界は、X−Y平面において、開口部OPの長辺に対して垂直となる。すなわち、電圧印加時に発生する横電界の方向は、電圧無印加時の液晶分子LMの初期配向の方向と平行である。
なお、負の誘電率異方性(ネガ型)を有する液晶分子LMが封入された場合には、配向方向AD1及びAD2は、開口部OPの長辺と平行な方向に設定される。
【0029】
上記のように構成された液晶装置1においては、液晶分子LMは電圧印加時に次のように振る舞う。
【0030】
図3は、
図2に示した液晶装置1について、電圧印加時の液晶テクスチャーを模式的に示す平面図である。
液晶装置1の第1電極EL1及び第2電極EL2に、60Hzの交流矩形波を振幅10Vまで段階的に印加した。観察しやすいように、クロスニコルに配置された偏光板の間に液晶装置1を挿入し、一方の偏光板の透過軸と初期配向方向とのなす角度が20度の状態で顕微鏡観察を行った。
【0031】
図3(a)は、印加電圧が3Vの時の偏光顕微鏡観察結果を示した模式図であり、
図3(b)は印加電圧が3.5Vの時の偏光顕微鏡観察結果を示した模式図である。印加電圧の振幅が2.5Vのときまでは、液晶分子LMの配向に顕著な変化は現れなかった。印加電圧の振幅が3Vのとき、
図3(a)に示すように、開口部OPに複数のドメインが現れ始めた。このドメインは、第2電極EL2の開口部OP上に沿って並んでおり、「境界が明確で境界内部が比較的暗いドメイン」DDと、「境界が不明確で境界内部が比較的明るいドメイン」DBとが交互に並んでいた。さらに、印加電圧の振幅が3.5Vのとき、
図3(b)に示すように、第2電極の電極部3上にも同様の複数のドメインが現れ始めた。その後、印加電圧の振幅を5Vまで上昇させると、ドメインに顕著な変化は現れなかったが、散乱強度が増していった。このような微小な複数のドメインができることで、ドメイン間に屈折率の境界ができ、光を強く散乱することがわかった。
【0032】
したがって、上記のように液晶装置1が構成されることにより、電圧印加時に液晶層が強く光を散乱させるような散乱状態が得られた。すなわち、液晶層は、電圧無印加時に透明性を示し、一定以上の電圧印加時に散乱性を示す。
【0033】
図4は、液晶装置1の第2電極EL2の構成例を示す平面図である。また、
図4に示される第2電極EL2の形状は、本実施形態に係る第2電極EL2に対する比較例である。
ここで、方向DR1及びDR2は、互いに直交している。例えば、第2電極EL2は、方向DR1が第1方向Xに相当し方向DR2が第2方向Yに相当するように配置されてもよいし、方向DR1が第2方向Yに相当し方向DR2が第1方向Xに相当するように配置されてもよい。
【0034】
図示したように、例えば、第2電極EL2は、矩形状に形成されている。第2電極EL2は、方向DR1に沿った辺EL2a及び辺EL2bと、方向DR2に沿った辺EL2c及び辺EL2dと、を有している。辺EL2aと辺EL2bとは、方向DR2において対向している。辺EL2c及び辺EL2dとは方向DR1において対向している。
【0035】
第2電極EL2は、複数の開口部OPを備えている。図示した例では、第2電極EL2は、9個の開口部OPを備えている。9個の開口部OPは、3行3列に配置されている。なお、開口部OPの個数やレイアウトは図示した例に限られるものではない。複数の開口部OPは、それぞれ同一のL字形状に形成されている。
【0036】
複数の開口部OPは同一形状に構成されているため、ここでは、1つの開口部OP1に着目してその形状を具体的に説明する。開口部OP1は、長方形状の基部BSと、基部BSから方向DR2の矢印の向きに突出した1つの凸部CVと、を有する多角形状に形成されている。
図4に示すように、基部BSは、2つの長辺LS1及びLS2と、2つの短辺SS1及びSS2と、を有している。長辺LS1及びLS2は方向DR1に平行であり、短辺SS1及びSS2は、方向DR2に平行である。また、凸部CVは、矩形状に形成されている。凸部CVは、方向DR2に平行な2つの辺Ea及びEbを有している。
【0037】
図4に示した例では、複数の開口部OPのそれぞれについて、方向DR2で見た場合、凸部CVが基部BSより第2電極EL2の辺EL2a側に位置し、長辺LS2が第2電極EL2の辺EL2b側に位置している。また、複数の開口部OPのそれぞれについて、方向DR1で見た場合、短辺SS1及び辺Eaが第2電極EL2の辺EL2c側に位置し、短辺SS2が、第2電極EL2の辺EL2d側に位置している。すなわち、複数の開口部OPは、同一の向きに配置されている。
【0038】
このとき、
図2に示した配向方向AD1及びAD2は、例えば、方向DR1に平行である。電圧無印加時の液晶分子LMの初期配向方向は、方向DR1と平行であり、長辺LS1及びLS2などと平行となり、短辺SS1及びSS2と、辺Ea及びEbと垂直となる。すなわち、開口部OP1は、電圧無印加時の液晶分子の初期配向方向に平行な辺と、前記初期配向方向に垂直な辺を含んでいる。
【0039】
第2電極EL2が
図4に示したような形状の開口部OPを有する液晶装置1においても、上記した構成例と同様に、電圧無印加時に液晶層が透明性を示し、一定以上の電圧印加時に液晶層が散乱性を示す。ここでは、一定以上の電圧とは、例えば、4V以上の電圧である。
【0040】
次に、本実施形態の液晶装置に適用される第2電極EL2の構成例を説明する。
【0041】
図5は、本実施形態に係る液晶装置1の第2電極EL2の構成例を示す平面図である。また、
図6は、
図5に示される開口部OP1の拡大図である。
第2電極EL2は、複数の開口部OPを備えている。図示した例では、第2電極EL2は、24個の開口部OPを備えている。24個の開口部OPは、4行6列に配置されている。複数の開口部OPは、それぞれ同一形状に形成されている。図示した例では、第2電極EL2は、開口部OP1の方向DR1に隣接した開口部OP2と、方向DR2に隣接した開口部OP3と、を有している。上記したように、開口部OP1、開口部OP2、及び、開口部OP3は、同一形状に形成されている。
【0042】
複数の開口部OPは同一形状に構成されているため、ここでは、1つの開口部OP1に着目してその形状を具体的に説明する。開口部OP1は、長方形状の基部BSと、基部BSから方向DR1の矢印とは逆向きに突出した3つの凸部CV1、CV2、CV3と、を有する多角形状に形成されている。凸部CV1、CV2、CV3は、それぞれ矩形状に形成され、この順に方向DR2の矢印とは逆向きに並んでいる。
【0043】
図6に示すように、基部BSは、2つの長辺LS1及びLS2と、2つの短辺SS1及びSS2とを有している。長辺LS1及びLS2は、方向DR2に平行であり、短辺SS1及びSS2は、方向DR1に平行である。凸部CV1は、方向DR1に平行な2つの辺E1及びE2を有している。辺E1及びE2は、方向DR2において対向している。凸部CV2は、方向DR1に平行な2つの辺E3及びE4を有している。辺E3及びE4は、方向DR2において対向している。凸部CV3は、方向DR1に平行な2つの辺E5及びE6を有している。辺E5及びE6は、方向DR2において対向している。
【0044】
開口部OP1は、方向DR1に沿って幅W1を有し、方向DR2に沿って幅W2を有している。幅W1は、短辺SS1の長さと、辺E1の長さとの総和に相当する。幅W2は、長辺LS2の長さに相当する。本実施形態においては、例えば、幅W2は、幅W1の1倍以上3倍以下であり、約2倍であることが望ましい。本実施形態においては、例えば、幅W1は、10μm〜15μmであり、望ましくは12μmである。また、例えば、幅W2は、15μm〜30μmであり、望ましくは24μmである。
【0045】
基部BSは、方向DR1に沿って幅W3を有している。幅W3は、長辺LS1と長辺LS2との方向DR1に沿った間隔に相当する。凸部CV1、CV2、CV3は、それぞれ方向DR1に沿って同一の幅W4を有している。幅W3及びW4の総和は、幅W1と等しい。一例では、幅W3は、幅W4より大きい。また、凸部CV1、CV2、CV3は、それぞれ方向DR2に沿って幅W5を有している。例えば、幅W5は、辺E1と辺E2との方向DR2に沿った間隔に相当する。凸部CV1と凸部CV2との間の方向DR2に沿った間隔と、凸部CV2と凸部CV3との間の方向DR2に沿った間隔とは等しくそれぞれ間隔IVとする。すなわち、凸部CV1、CV2、CV3は、方向DR2に沿って等間隔に並んでいる。例えば、間隔IVとは辺E2と辺E3との方向DR2に沿った間隔、あるいは、辺E4と辺E5との方向DR2に沿った間隔に相当する。一例では、幅W5は、間隔IVより大きい。凸部CV1、CV2、CV3のそれぞれの幅W5と、凸部CV1及びCV2の間隔IVと、凸部CV2及びCV3の間隔IVとの総和は、幅W2よりも小さい。
【0046】
凸部CV1の辺E1は、基部BSの短辺SS1と同一直線上に位置している。辺E2、辺E3及びE4、及び、辺E5及びE6は、長辺LS1と交差している。辺E6は、短辺SS2と同一直線上には位置していない。なお、図示した例では、辺E1乃至E6の各々と、長辺LS1とは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していても良く、さらには、辺E1乃至E6の各々と長辺LS1とが曲線状の辺を介して繋がっていても良い。
【0047】
図5に示した例では、複数の開口部OPのそれぞれについて、方向DR1で見た場合、凸部CV1、CV2、CV3が基部BSより第2電極EL2の辺EL2c側に位置し、長辺LS2が第2電極EL2の辺EL2d側に位置している。また、複数の開口部OPのそれぞれについて、方向DR2で見た場合、短辺SS1及び辺E1が第2電極EL2の辺EL2a側に位置し、短辺SS2が、第2電極EL2の辺EL2b側に位置している。すなわち、複数の開口部OPは、同一の向きに配置されている。
【0048】
このとき、
図2に示した配向方向AD1及びAD2は、例えば、方向DR1に平行である。電圧無印加時の液晶分子LMの初期配向方向は、方向DR1と平行であり、短辺SS1及びSS2、辺E1乃至E6と平行となり、長辺LS1及びLS2などと垂直となる。すなわち、開口部OP1は、電圧無印加時の液晶分子の初期配向方向に平行な辺と、前記初期配向方向に垂直な辺を含んでいる。
【0049】
第2電極EL2が
図5及び
図6に示したような形状の開口部OPを有する液晶装置1においても、上記した構成例と同様に、電圧無印加時に液晶層が透明性を示し、一定以上の電圧印加時に液晶層が散乱性を示す。なお、図示した例では、開口部OP1は、3つの凸部CV1、CV2、CV3を有しているが、凸部の個数はこれに限らない。例えば、開口部OP1は、1個又は2個の凸部を有していても良いし、4個以上の凸部を有していても良い。
【0050】
図7は、3種類の開口部の形状について拡散反射率の変化を示す図である。
図中の横軸は、液晶装置に印加される電圧(V)を0から10Vまでの範囲で示してい
る。なお、ここでの電圧の値は、電圧の振幅の絶対値を示している。縦軸は、拡散反射率
を示している。拡散反射率の値は、完全白色板の拡散反射率を100とした場合の比率を
表している。
【0051】
図中のL1は、
図2に示したように、開口部OPが長方形状である第2電極EL2を用いた場合の、液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図中のL2は、
図4に示したように、開口部OPがL字形状である第2電極EL2を用いた場合の、液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図中のL3は、
図5及び
図6に示したように、開口部OPが3つの凸部CV1、CV2、CV3を有する第2電極EL2を用いた場合の、液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。
【0052】
図示したように、線L1、L2、L3のそれぞれを見ると、電圧(V)が約3Vを超えたあたりから拡散反射率が増加し、電圧(V)が約4Vを超えたあたりから急激に拡散反射率が増加することが分かる。また、線L1、L2、L3を比較すると、4V以上で電圧(V)が等しいとき線L2の拡散反射率は、線L1の拡散反射率より大きく、さらに、線L3の拡散反射率は、線L2の拡散反射率より大きい。このことから、線L1及びL2を比較すると、第2電極EL2の開口部OPが長方形状に形成された構成例よりも、開口部OPがL字形状に形成されている方が、同電圧値に対しての拡散反射率が大きいことが確認された。さらに、線L2及びL3を比較すると、第2電極EL2の開口部OPがL字形状に形成されているときよりも、開口部OPが3つの凸部を有する多角形状に形成された本実施形態の方が、同電圧値に対しての拡散反射率が大きいことが確認された。
【0053】
図8は、
図6に示した開口部OP1について拡散反射率の変化を示す図である。
図8(a)は、
図6に示した開口部OP1の幅W2と拡散反射率の関係を示す図である。図中のL4は、幅W2が18μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図中のL5は、幅W2が24μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図示したように、線L4と線L5とを比較すると、電圧(V)が等しいとき線L5の拡散反射率は、線L4の拡散反射率より大きい。このことから、W2が18μmのときよりも、W2が24μmのときの方が、同電圧値に対しての拡散反射率が大きいことが確認された。
【0054】
図8(b)は、
図6に示した開口部OP1の幅W1と拡散反射率の関係を示す図である。図中のL6は、幅W1が9μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図中のL7は、幅W1が12μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図示したように、線L6と線L7とを比較すると、電圧(V)が等しいとき線L7の拡散反射率は、線L6の拡散反射率より大きい。このことから、W1が9μmのときよりも、W2が12μmのときの方が、同電圧値に対しての拡散反射率が大きいことが確認された。
【0055】
図9は、
図6に示した開口部OP1について拡散反射率の変化を示す図である。
図9(a)は、
図6に示した開口部OP1の幅W5及び間隔IVと拡散反射率の関係を示す図である。図中のL8は、幅W5が3μmであり、間隔IVが6μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図中のL9は、幅W5が6μmであり、間隔IVが3μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図示したように、線L8と線L9とを比較すると、電圧(V)が等しいとき線L9の拡散反射率は、線L8の拡散反射率より大きい。このことから、幅W5が間隔IVより小さいときよりも、幅W5が間隔IVより大きいときの方が、同電圧値に対しての拡散反射率が大きいことが確認された。
【0056】
図9(b)は、
図6に示した開口部OP1の幅W3及び幅W4と拡散反射率の関係を示す図である。図中のL10は、幅W3が3μmであり、幅W4が6μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図中のL11は、幅W3が6μmであり、幅W4が3μmである場合の液晶装置の電圧値に対する拡散反射率を示している。図示したように、線L10と線L11とを比較すると、電圧(V)が等しいとき線L11の拡散反射率は、線L10の拡散反射率より大きい。このことから、幅W3が幅W4より小さいときよりも、幅W3が幅W4より大きいときの方が、同電圧値に対しての拡散反射率が大きいことが確認された。
【0057】
本実施形態によれば、液晶装置1は、第1基板SUB1上に、第1電極EL1と、複数の開口部OPを有する第2電極EL2と、を備えている。液晶層LCは、第1電極EL1及び第2電極EL2に一定以上の電圧が印加された電圧印加時には散乱性を示し、第1電極及び第2電極に電圧が印加されていない電圧無印加時には透明性を示す。
【0058】
また、開口部OPは、凸部を有する多角形状に形成されている。さらに、開口部OPは、初期配向方向に平行な辺と、初期配向方向に垂直な辺と、を含んでいる。液晶分子LMを配向するための電界は、各辺に対して垂直な方向に形成される。このため、通常の使用範囲の印加電圧(例えば5V程度)を超える電圧が印加されると、液晶分子LMが種々の方位に配向した複数の微小なドメインが形成され、より多くの屈折率の境界が形成される。このため、開口部OPが長方形状である構成例や開口部OPがL字形状である構成例と比較して、本実施形態の開口部OPは、辺の数が多く拡散反射率を向上することができる。
【0059】
したがって、高性能化が可能な横電界を用いた散乱型の液晶装置を提供することができる。
【0060】
また、複数の開口部OPが方向DR1及びDR2にそれぞれを配列されることにより、開口部OPが長方形状である構成例と比較して、より等方的な屈折率分布を形成することができる。
【0061】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0062】
図10は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
図10(a)は、幅W4が幅W3より大きい開口部OPを有する第2電極EL2を示している。
図10(b)は、幅W3が幅W4より大きい開口部OPを有する第2電極EL2を示している。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0063】
図11は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
図11(a)は、間隔IVが幅W5より大きい開口部OPを有する第2電極EL2を示している。
図11(b)は、幅W5が幅IVより大きい開口部OPを有する第2電極EL2を示している。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0064】
図12は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
図12(a)は、幅W4が幅W3より大きく、かつ、間隔IVが幅W5より大きい開口部OPを有する第2電極EL2を示している。
図12(b)は、幅W3が幅W4より大きく、かつ、幅W5が幅IVより大きい開口部OPを有する第2電極EL2を示している。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0065】
図13は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
図13(a)に示した例では、1列目C1、3列目C3、5列目C5、7列目C7の奇数列に配置された開口部OPの形状は、
図12(a)に示した開口部OPの形状と等しく、2列目C2、4列目C4、6列目C6の偶数列に配置された開口部OPの形状は、
図12(b)に示した開口部OPの形状と等しい。
【0066】
図13(b)に示した例では、1行目R1、3行目R3の奇数行に配置された開口部OPの形状は、
図12(a)に示した開口部OPの形状と等しく、2行目R2、4行目R4の偶数行に配置された開口部OPの形状は、
図12(b)に示した開口部OPの形状と等しい。
【0067】
図13(c)に示した例では、1行目R1、3行目R3の奇数行に配置された開口部OPは、
図12(a)に示した開口部OPの形状と、
図12(b)に示した開口部OPの形状とが方向DR1に沿って交互に配置されている。また、
図13(c)に示した例では、2行目R2、4行目R4の奇数行に配置された開口部OPは、
図12(b)に示した開口部OPの形状と、
図12(a)に示した開口部OPの形状とが方向DR1に沿って交互に配置されている。すなわち、開口部OP1の形状と開口部OP2の形状とは互いに異なっており、開口部OP1の形状と開口部OP3の形状とは互いに異なっている。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0068】
図14は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
図14は、
図5及び
図6に示した第2電極ELと比較して、凸部CV3の辺E6が基部BSの短辺SS2と一直線上に位置している点で相違している。すなわち、
図14において、開口部OPはE字形状に形成されている。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0069】
図15は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
開口部OP1は、
図5に示した開口部OP1が線LNの線対称となるように2つ合わせられた形状に形成されている。また、開口部OP2は、長方形状に形成されている。
【0070】
図15に示した例では、1列目C1、3列目C3、5列目C5、7列目C7の奇数列に配置された開口部OPの形状は、開口部OP1の形状と等しく、2列目C2、4列目C4、6列目C6の偶数列に配置された開口部OPの形状は、開口部OP2の形状と等しい。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0071】
図16は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
図16(b)に示すように、開口部OP1は、
図6に示した開口部OP1と比較して、凸部CV4をさらに有する点で相違している。凸部CV4は、方向DR1の矢印とは逆向きに突出している。凸部CV1、CV2、CV3、CV4は、この順に方向DR2の矢印とは逆向きに等間隔に並んでいる。凸部CV4は、辺E7及びE8を有している。辺E7及び辺E8は、方向DR2において対向している。辺E7は、基部BSの長辺LS1と交差している。辺E8は、基部BSの短辺SS2と一直線上に位置している。また、
図16(c)に示すように、開口部OP3は、
図6に示した開口部OP1と比較して、凸部CV1の辺E1が、基部BSの長辺LS1と交差する点で異なっている。
【0072】
図16に示した例では、1行目R1、3行目R3の奇数行に配置された開口部OPの形状は、開口部OP1の形状と等しく、2行目R2、4行目R4の偶数行に配置された開口部OPの形状は、開口部OP3の形状と等しい。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0073】
図17は、本実施形態に係る第2電極EL2の変形例を示す平面図である。
開口部OP1は、
図16に示した開口部OP1を基部BSが第2電極EL2の辺EL2a側に配置されるように、90°回転された形状である。開口部OP3は、
図5に示した開口部OP1と同一形状である。
【0074】
図17に示した例では、1行目R1、3行目R3、5行目R5の奇数行に配置された開口部OPの形状は、開口部OP1の形状と等しく、2行目R2、4行目R4の偶数行に配置された開口部OPの形状は、開口部OP3の形状と等しい。また、1乃至4列目C1、C2、C3、C4の2行目R2及び4行目R4には、開口部OP3と同一形状の開口部OPが2個ずつ配置されている。
このような変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0075】
図13、
図15、
図16、
図17に示したように開口部OPの形状が行列によって異なっていることにより、光源の光成分、例えば赤青緑などの光が表示画面上で連続して光って見えるのを抑制する。
【0076】
図18は、本実施形態に係る液晶装置1の変形例を示す断面図である。
図18に示した液晶装置1は、
図1に示した液晶装置1と比較して、第1基板SUB1が反射層RFを備えている点で相違している。
【0077】
反射層RFは、第1絶縁基板10の上に備えられている。絶縁膜100は、反射層RFと第1電極EL1との間に位置している。すなわち、反射層RFは、第1電極EL1よりも下層に位置している。反射層RFは、アルミニウムや銀などの反射率が高い金属材料で形成される。
【0078】
なお、図示したように反射層RFが表示パネルPNLの内部に形成されていてもよいし、第1絶縁基板10の外部(液晶層LCと対向する側とは反対側)に別途、反射板が備えられていてもよい。
また、反射層RFを備える構成においては、第2絶縁基板20の外部に補助光源を備えていても良い。
このような変形例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0079】
図19は、本実施形態に係る液晶装置1を表示装置として適用した場合の実施例を示す平面図である。
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向配置された第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持された液晶層LCと、を備えている。第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、これらの間に所定のセルギャップを形成した状態でシール材SEによって貼り合わせられている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間のセルギャップにおいてシール材SEによって囲まれた内側に保持されている。表示パネルPNLは、シール材SEによって囲まれた内側に、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。アクティブエリアACTは、例えば、略長方形状であり、マトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている。
【0080】
第1基板SUB1は、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに沿って延出したゲート配線G、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って延出したソース配線S、各画素PXにおいてゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、各画素PXにおいてスイッチング素子SWと電気的に接続された画素電極PEなどを備えている。共通電極CEは、第1基板SUB1に備えられている。
【0081】
駆動ICチップ2及びフレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)基板3などの表示パネルPNLの駆動に必要な信号供給源は、アクティブエリアACTよりも外側の周辺エリアPRPに位置している。
【0082】
図20は、
図19に示した液晶装置1の構成を示す断面図である。
第1基板SUB1は、第1絶縁基板10の第2基板SUB2に対向する側に、スイッチング素子SW、共通電極CE、画素電極PE、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、第1配向膜AL1等を備えている。
【0083】
スイッチング素子SWは、半導体層SC、ゲート電極WG、ソース電極WS及びドレイン電極WD等を有している。半導体層SCは、第1絶縁基板10の上に配置され、第1絶縁膜11によって覆われている。ゲート電極WGは、第1絶縁膜11の上に配置され、半導体層SCの直上に位置している。ゲート電極WGは、ゲート配線Gに電気的に接続され、第2絶縁膜12によって覆われている。ソース電極WS及びドレイン電極WDは、第2絶縁膜12の上に配置され、第3絶縁膜13によって覆われている。ソース電極WSは、ソース配線Sに電気的に接続されている。ソース電極WS及びドレイン電極WDは、それぞれ半導体層SCと電気的に接続されている。
【0084】
共通電極CEは、第3絶縁膜13の上に配置されている。共通電極CEの上には、第4絶縁膜14が配置されている。
【0085】
画素電極PEは、第4絶縁膜14の上に配置され、共通電極CEと対向している。画素電極PEは、第3絶縁膜13を貫通したコンタクトホールCH1及び第4絶縁膜14を貫通したコンタクトホールCH2を介してドレイン電極WDに電気的に接続されている。共通電極CE及び画素電極PEは、例えば、ITOやIZO等の透明な導電材料によって形成されている。画素電極PEは、第1配向膜AL1によって覆われている。
【0086】
ここで、共通電極CEは本実施形態の第1電極に相当し、画素電極PEは第2電極に相当し、第4絶縁膜14は、層間絶縁膜ILに相当する。なお、共通電極CEが画素電極PEより上層に配置されていても良く、このとき、共通電極CEが第2電極に相当し、画素電極PEが第1電極に相当する。
【0087】
第2基板SUB2は、第2絶縁基板30の第1基板SUB1に対向する側に、遮光層31、カラーフィルタ32、オーバーコート層33、第2配向膜AL2等を備えている。なお、第1絶縁基板10及び第2絶縁基板30は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する基板である。
【0088】
遮光層31は、各画素PXを区画し、開口部APを形成するものであって、ゲート配線Gやソース配線S、さらにはスイッチング素子SWなどの配線部に対向している。カラーフィルタ32は、開口部APに配置されている。このカラーフィルタ32は、互いに異なる複数の色、例えば赤色、青色、緑色といった3原色のカラーフィルタを含む。異なる色のカラーフィルタ32間の境界は、遮光層31と重なる位置にある。なお、カラーフィルタ32は、本実施形態のような散乱型の液晶装置においては、配置されていなくても良い。
【0089】
オーバーコート層33は、カラーフィルタ32を覆っている。オーバーコート層33は、第2配向膜AL2によって覆われている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0090】
このような液晶装置DSPに本実施形態を適用した場合においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0091】
上記実施形態の散乱型の液晶装置は、ディスプレイとして用いることが可能である。あるいは、全面を散乱状態にして表示パネルの向こう側を不可視にするプライバシーフィルムのような用途にも応用可能である。また、全面を散乱状態にして、プロジェクターによって画像を投影するためのスクリーンとしても応用可能である。
【0092】
図21は、第2電極EL2とスイッチング素子SWの位置関係を示す図である。
それぞれの第2電極EL2は、隣り合う2本のゲート配線G及び隣り合う2本のソース配線Sによって囲まれている。このとき、第2電極EL2は、スイッチング素子SWの付近で、スイッチング素子SWを避けるように、画素PXの内側に屈折した屈折部BDを有している。このとき、開口部OP1及びOP2は、2つの凸部を有し、開口部OP1及びOP2の第2方向Yに沿った幅は、開口部OP3の第2方向Yに沿った幅より小さく形成されている。
【0093】
このような構成例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、高性能化が可能な横電界を用いた散乱型の液晶装置を得ることができる。
【0094】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。