特許第6794273号(P6794273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794273データ提供システム、及びデータ提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794273
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】データ提供システム、及びデータ提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/907 20190101AFI20201119BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20201119BHJP
【FI】
   G06F16/907
   G06F16/909
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-6114(P2017-6114)
(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公開番号】特開2018-116425(P2018-116425A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平島 陽子
【審査官】 鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−171482(JP,A)
【文献】 特開2007−194942(JP,A)
【文献】 特開2016−038703(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0304600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/907
G06F 16/909
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索要求を受け付けて、検索要求に対応する取引データを提供するデータ提供システムであって、
取引データと、前記取引データに関する時間情報と位置情報とを含むメタデータと、を記憶する記憶装置と、
前記検索要求として、所望する取引データについてのキーワードと、時間情報と、位置情報とを受け付ける検索要求受付部と、
前記検索要求の前記時間情報及び前記位置情報と重複する、時間情報及び位置情報を含むメタデータに対応する取引データを前記記憶装置から特定し、前記検索要求に含まれる前記時間情報及び前記位置情報と、前記特定された前記取引データの前記メタデータの前記時間情報及び前記位置情報と、に基づいて、前記取引データの前記キーワードに対する寄与の度合いを示す寄与度を特定する寄与度特定部と、
前記寄与度に基づいて、1以上の取引データを抽出する検索部と、
抽出された前記取引データに関する内容を示す情報と、前記取引データの前記寄与度とを含む検索結果を前記検索要求の要求元の計算機に送信する結果送信部と、
前記検索結果中の取引データの中から所望する取引データの送信要求を受け付ける送信要求受付部と、
前記送信要求で要求された前記取引データを前記記憶装置から取り出して、前記計算機に送信するデータ送信部と、を有する
データ提供システム
【請求項2】
前記寄与度特定部は、前記検索要求に含まれる前記時間情報と、前記特定された前記取引データの前記メタデータの前記時間情報との一致度合いに基づいて、前記寄与度を特定する
請求項1に記載のデータ提供システム
【請求項3】
前記寄与度特定部は、前記検索要求に含まれる前記位置情報と、前記特定された前記取引データの前記メタデータの前記位置情報との一致度合いに基づいて、前記寄与度を特定する
請求項1又は請求項2に記載のデータ提供システム
【請求項4】
前記検索要求中の前記キーワードと前記時間情報と前記位置情報とを含む検索条件と、前記取引データを特定可能な情報と、算出された前記寄与度とを対応付けて前記記憶装置に記憶する寄与度登録部をさらに有し、
前記寄与度特定部は、前記検索要求中の前記検索条件に対応する、前記取引データと前記寄与度とが前記記憶装置に格納されている場合には、寄与度を特定する処理を実行せず、
前記検索部は、前記記憶装置に格納されている前記寄与度に基づいて、1以上の取引データを抽出する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ提供システム。
【請求項5】
新たな取引データを登録する際に、前記新たな取引データが、前記記憶装置に記憶されている前記検索条件に対応する取引データである場合に、前記新たな取引データについて寄与度を特定し、前記検索条件に対して前記新たな取引データを特定する情報と、前記特定した前記寄与度とを追加する新規寄与度登録部を
さらに有する請求項4に記載のデータ提供システム。
【請求項6】
前記検索要求中の前記キーワードに関する取引データとして保障されている保証済み取引データを取得する保証済み取引データ取得部をさらに有し、
前記寄与度特定部は、前記保証済みデータが取得できた場合に、前記取引データと、前記保証済み取引データとの一致度を計算し、前記一致度が所定の閾値以上である場合には、前記保証済み取引データに対応付けられている寄与度を、前記取引データについての寄与度として特定する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のデータ提供システム。
【請求項7】
前記取引データの前記メタデータには、前記取引データを同種の取引データと統合することが可能であるか否かを示すフラグが格納されており、
前記寄与度特定部は、前記取引データの前記メタデータのフラグが取引データと統合することが可能であることを示している場合には、前記取引データを同種の取引データと統合した統合取引データとし、前記統合取引データの寄与度を、統合した各取引データの寄与度に基づいて特定する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のデータ提供システム。
【請求項8】
前記送信要求受付部により送信要求を受け取った取引データに対応する寄与度を増加させる寄与度反映部をさらに有する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のデータ提供システム。
【請求項9】
検索要求を受け付けて、検索要求に対応する取引データを提供するデータ提供システムによるデータ提供方法であって、
前記データ提供システムは、
取引データと、前記取引データに関する時間情報と位置情報とを含むメタデータと、を記憶する記憶装置を有し、
前記検索要求として、所望する取引データについてのキーワードと、時間情報と、位置情報とを受け付け、
前記検索要求の前記時間情報及び前記位置情報と重複する、時間情報及び位置情報を含むメタデータに対応する取引データを前記記憶装置から特定し、前記検索要求に含まれる前記時間情報及び前記位置情報と、前記特定された前記取引データの前記メタデータの前記時間情報及び前記位置情報と、に基づいて、前記取引データの前記キーワードに対する寄与の度合いを示す寄与度を特定し、
前記寄与度に基づいて、1以上の取引データを抽出し、
抽出された前記取引データに関する内容を示す情報と、前記取引データの前記寄与度とを含む検索結果を前記検索要求の要求元の計算機に送信し、
前記検索結果中の取引データの中から所望する取引データの送信要求を受け付け、
前記送信要求で要求された前記取引データを前記記憶装置から取り出して、前記計算機に送信するデータ提供方法。
【請求項10】
前記データ提供システムは、
前記検索要求中の前記キーワードと前記時間情報と前記位置情報とを含む検索条件と、前記取引データを特定可能な情報と、算出された前記寄与度とを対応付けて前記記憶装置に記憶し、
前記検索要求中の前記検索条件に対応する、前記取引データと前記寄与度とが前記記憶装置に格納されている場合には、寄与度を特定する処理を実行せずに、前記記憶装置に格納されている前記寄与度に基づいて、1以上の取引データを抽出する
請求項9に記載のデータ提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に所望のデータを提供するデータ提供システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆる業務分野において、現場から収集したデータを分析することで、企業活動の無駄を発見し効率化を図り、新たなビジネス機会の発掘を行う試みが広がっている。例えば、消費者行動データから購買につながる割引率を求めたり、生産設備の温度や湿度のデータと、不良率のデータとから歩留まりを改善しつつ空調の消費電力を抑える最適な目標温度などの評価指標を特定したりすることができる。
【0003】
このようなデータは、GPS機能付の携帯端末や、ネットワークに接続したセンサ機器の普及により、比較的容易に収集できるようになってきている。また、収集されたデータは、多くの場合、その組織内で利用されるが、オープンデータとして公開されたり、データの売り買いの場であるデータマーケットプレイスで取引されたりすることもある。
【0004】
このようなデータマーケットプレイスを利用することで、自社内で必要なデータを調達できなくても、必要なデータを購入し事業を効率化したり、新たな事業を始めたりすることが可能になりつつある。
【0005】
しかし、第三者からデータを購入するということについては、取得したデータが真正なものであるか保証されないといった課題や、想定した目的に対して有効であるか分からないといった課題がある。さらに、多種、大量のデータが取引される場合には、その中からどのデータを選択することが適切なのかを判断する基準が必要になってくる。
【0006】
これに対して、SNS(Social Network Service)から得られたデータをリファレンスデータ(引用元)と比較して、発言データの信頼度を計算する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、Webページのクローリングにおいて、過去履歴を用いて分析に用いた情報(Webページ)の寄与度を算出し、どの情報を参照すべきかを特定する方法が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−1413号公報
【特許文献2】特開2010−140087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既存技術では、SNSのメッセージに付加されているリンクから情報のソースを参照し、メッセージの内容と比較することで、発言データの信頼度を決めることができる。しかしながら、リファレンス情報がリンクとして与えられていない場合には、本技術を適用できない。また、過去の履歴からWebページの寄与度を求める方法では、情報ソースが不特定多数である場合には、過去の履歴が無いものあり、その場合には寄与度を求められない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、利用者に対してデータを選択するために有益な情報を提供することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、一観点に係るデータ提供システムは、検索要求を受け付けて、検索要求に対応する取引データを提供するデータ提供システムであって、取引データと、取引データに関する時間情報と位置情報とを含むメタデータと、を記憶する記憶装置を有する。
【0011】
データ提供システムは、検索要求として、所望する取引データについてのキーワードと、時間情報と、位置情報とを受け付ける検索要求受付部と、検索要求の時間情報及び位置情報と重複する、時間情報及び位置情報を含むメタデータに対応する取引データを記憶装置から特定し、検索要求に含まれる時間情報及び位置情報と、特定された取引データのメタデータの時間情報及び位置情報と、に基づいて、取引データの前記キーワードに対する寄与の度合いを示す寄与度を特定する寄与度特定部と、寄与度に基づいて、1以上の取引データを抽出する検索部と、抽出された取引データに関する内容を示す情報と取引データの寄与度とを含む検索結果を、検索要求の要求元の計算機に送信する結果送信部と、検索結果中の取引データの中から所望する取引データの送信要求を受け付ける送信要求受付部と、要求された取引データを記憶装置から取り出して、計算機に送信するデータ送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者に対してデータを選択するために有益な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、データ提供システムの全体構成図である。
図2図2は、管理計算機における取引データデータベースと、情報ソースプロファイルデータベースの構成図である。
図3図3は、管理計算機における寄与度データベースの構成図である。
図4図4は、管理計算機における因果関係データベースの構成図である。
図5図5は、データ検索画面の一例を示す図である。
図6図6は、事象問い合わせ画面の一例を示す図である。
図7図7は、データ検索処理のフローチャートである。
図8図8は、寄与度関係テーブル登録処理のフローチャートである。
図9図9は、事象確度問い合わせ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、データ提供システムの全体構成図である。
【0016】
本実施形態に係るデータ提供システムは、データマーケットプレイスを管理するための管理計算機1と、各種情報を提供する提供元となる情報提供計算機4と、データマーケットプレイスのデータを利用する利用者が利用する情報利用計算機5とを備える。管理計算機1と、情報提供計算機4と、情報利用計算機5とは、ネットワーク2を介して接続されている。ネットワーク2は、例えば、WAN(Wide Area Network)であってもよく、LAN(Local Area Network)であってもよい。
【0017】
管理計算機1は、CPU12と、通信I/F(インターフェース)13と、記憶装置の一例としての記憶資源11とを備えている。通信I/F13は、ネットワーク2を介して他の装置(情報提供計算機4、情報利用計算機5等)と通信するためインターフェースである。CPU12は、記憶資源11に格納されているプログラムを実行し、記憶資源11に格納されているデータを用いて、各種処理を実行する。記憶資源11は、例えばバードディスク、フラッシュメモリ、RAMなどであり、CPU12で実行されるプログラムや、CPU12に利用されるデータを記憶する。本実施形態では、記憶資源11は、管理プログラム100と、データベース群(DB群)200とを記憶する。
【0018】
管理プログラム100には、CPU12に実行されることにより、データ登録部101と、データ検索部102と、寄与度計算部103と、確度推定部105と、データ登録要請部106とのそれぞれを実現するプログラムが含まれている。ここで、検索要求受付部、検索部、結果送信部、要求受付部、データ送信部、及び寄与度反映部は、データ検索部102に対応し、寄与度特定部、寄与度登録部、新規寄与度登録部、及び保証済み取引データ取得部は、寄与度計算部103に対応する。
【0019】
DB群200には、取引されるデータを管理する取引データデータベース(DB)110と、データカタログ111と、情報ソースプロファイルDB112と、寄与度DB113と、因果関係DB114とが含まれている。データカタログ111は、DB群200における各種DBの説明の一覧を格納している。他のDBについては、後述する。
【0020】
情報提供計算機4は、CPU42と、通信I/F43と、記憶資源41とを備えている。通信I/F43は、ネットワーク2を介して他の装置(管理計算機1等)と通信するためインターフェースである。CPU42は、記憶資源41に格納されているプログラムを実行することにより各種処理を実行する。記憶資源41は、例えばバードディスク、フラッシュメモリ、RAMなどであり、CPU42で実行されるプログラムを記憶する。本実施形態では、記憶資源41は、情報提供プログラム400を記憶する。情報提供プログラム400には、CPU42に実行されることにより、データ登録要求部401と、データ登録要請受信部402と、データ検索部403とのそれぞれを実現するプログラムが含まれている。
【0021】
情報利用計算機5は、CPU52と、通信I/F53と、記憶資源51とを備えている。通信I/F53は、ネットワーク2を介して他の装置(管理計算機1等)と通信するためインターフェースである。CPU52は、記憶資源51に格納されているプログラムを実行することにより各種処理を実行する。記憶資源51は、例えばバードディスク、フラッシュメモリ、RAMなどであり、CPU52で実行されるプログラムを記憶する。本実施形態では、記憶資源51は、情報利用プログラム500を記憶する。情報利用プログラム500には、CPU52に実行されることにより、データ検索要求部501と、事象確認要求部502と、のそれぞれを実現するプログラムが含まれている。
【0022】
ここで、データ提供システムにおける動作の概要について説明する。
【0023】
管理計算機1のデータ登録部101は、通信I/F13を介して、取引データの登録者が操作する情報提供計算機4からの取引データの登録要求を受け付け、取引データを記憶資源11の取引データDB110に登録する。
【0024】
その後、データ検索部102は、通信I/F13を介して、取引データの利用者が操作する情報利用計算機5から取引データの検索要求を受け付け、取引データDB110に格納された一つ以上の取引データを参照して、検索要求に含まれている検索条件に該当する取引データを検出する。検索要求には、例えば、検索条件となるキーワード、位置情報、時間情報等が含まれている。一方、寄与度計算部103は、検索したデータについての寄与度を算出する。寄与度計算部103は、検索条件のキーワード、位置情報、時間情報と、寄与度DB113に管理されている寄与度関係図とに基づいて寄与度を計算する。次いで、データ検索部102は、検出した取引データの内容と、この取引データについての寄与度とを含む検索結果をリストとして、通信I/F13を介して、情報利用計算機5へ返す。
【0025】
情報利用計算機5のデータ検索要求部501は、管理計算機1から検索結果のリストを受け取り、表示画面(図5参照)に表示する。これにより、情報利用計算機5の利用者は、リストから取引データのサンプルや寄与度を参照することにより、適切な取引データを選択してダウンロードして利用することができる。
【0026】
以上のような処理により、情報利用計算機5の利用者は、取引データを検索した際に、検索した取引データとともに、この取引データの寄与度が得られ、この寄与度に基づいて、より適切な取引データを選択することができる。
【0027】
次に、図2から図4を用いて、記憶資源11のDB群200に格納されている各種情報について説明する。
【0028】
図2は、管理計算機における取引データデータベースと、情報ソースプロファイルデータベースの構成図である。図2(a)は、取引データDB110の構成を示し、図2(b)は、情報ソースプロファイルDB112の構成を示す。
【0029】
取引データDB110は、取引データエントリ210と、メタデータエントリ220とを管理する。取引データエントリ210は、ID211と、名称212と、データ所在213と、メタデータID214と、情報ソースプロファイルID215とを含む。ID211は、取引データの識別子である。名称212は、取引データの名称である。データ所在213は、取引データが格納されている所在の情報である。所在の情報としては、データベース内のテーブル名、または、外部のリポジトリのURI(Uniform Resource Identifier)などがある。メタデータID214は、取引データに対応するメタデータの識別子である。情報ソースプロファイルID215は、取引データのソースを示す情報ソースプロファイルの識別子である。
【0030】
メタデータエントリ220は、ID221と、データ型222と、単位223と、時間224と、位置225と、加算可能フラグ226とを含む。ID221は、メタデータの識別子である。データ型222は、メタデータのデータ型である。単位223は、メタデータの単位である。時間224は、メタデータに対応する取引データが取得された時間の範囲を示す情報(時間情報)である。位置25は、メタデータに対応するデータが取得された位置を示す情報(位置情報)である。加算可能フラグ226は、メタデータに対応する取引データが同種のデータと足し合わせができるか否かを示すフラグである。加算可能フラグ226は、真または偽の値を取ることができ、メタデータに対応する取引データが同種のデータと足し合わすことができる場合には、真となり、メタデータに対応する取引データが同種のデータと足し合わすことができない場合には、偽となる。
【0031】
情報ソースプロファイルDB112は、図2(b)に示すように、情報ソースプロファイルエントリ230を管理する。情報ソースプロファイルエントリ230は、ID231と、対象名232と、種別233と、固有属性234とを含む。ID231は、情報ソースの識別子である。対象名232は、取引データが何に関するデータであるかを示す。種別233は、情報ソースの種別である。固有属性234は、情報ソースに固有な属性の情報である。例えば、情報ソースが監視カメラである場合には、固有属性234は、例えば、カメラの撮影範囲である画角、赤外線センサの場合には感知エリアなどの仕様情報である。
【0032】
メタデータエントリ220や、情報ソースプロファイルエントリ230は、情報提供計算機4から管理計算機1に取引データエントリ210が登録される際に、取引データエントリ210と併せて登録される。
【0033】
図3は、管理計算機における寄与度データベースの構成図である。図3(a)は、寄与度DB113の構成を示し、図3(b)は、寄与度DB113の情報に対応する寄与度関係図を示す。
【0034】
寄与度DB113は、寄与度関係テーブル310を格納する。寄与度関係テーブル310は、例えば、データの検索時に作成されるテーブルである。寄与度関係テーブル310は、対象キーワード311と、情報ソース種別312と、ソースID313と、位置重複度314と、時間重複度315と、寄与度316とのカラムを有するエントリを記憶する。対象キーワード311には、情報利用計算機5の操作者が指定した検索の対象のキーワードが格納される。情報ソース種別312には、検索により検出されたデータの情報ソースの種別が格納される。情報ソースID313には、取引データのソースとなる情報ソースの識別子(ソースID)が格納される。このソースIDによると、このソースに対応する取引データのデータIDを特定することができる。特に、位置情報と時間情報とがあれば、取引データのデータIDを、1つに特定できる。位置重複度314には、検索の対象として指定された位置と、情報ソースによりデータが取得された位置(情報ソースにより取得された取引データに対応するメタデータエントリ220の位置情報225)との距離、又は、検索対象の指定位置と、情報ソースに対応する情報ソースプロファイエルエントリ230の固有属性234から得られる画角や感知エリアから求められる情報ソースの監視範囲とが重複する割合が格納される。時間重複度315には、検索の対象として指定された時間と、情報ソースが情報を発信した時間とのずれの度合いを示す時間重複度が格納される。寄与度316には、エントリに対応する情報ソースにより取得されたデータが、検索の対象のデータとして寄与する度合いを示す寄与度が格納される。寄与度は、値が高いほど、検索の対象のデータとして有益である可能性が高いことを示している。
【0035】
図3(a)に示した寄与度関係テーブル310の情報は、図3(b)に示すような寄与度関係図に対応している。この寄与度関係図によると、対象キーワードの滞留人数、A駅、○月×日に対して、情報ソース種別が監視カメラであり、且つソースIDが101である情報ソースから取得された取引データの寄与度は、0.1であり、情報ソース種別がGPSであり、且つソースIDが100である情報ソースから取得された取引データの寄与度は、0.95であることがわかり、情報ソース種別がGPSであり、且つソースIDが100である情報ソースからの取引データが滞留人数を把握するデータとして特に有益であることがわかる。
【0036】
図4は、管理計算機における因果関係データベースの構成図である。図4(a)は、因果関係DB114の構成を示し、図4(b)は、因果関係DB114の情報に対応する因果関係図を示す。
【0037】
因果関係DB114は、原因事象テーブル410と、影響事象テーブル420とを格納する。原因事象テーブル410は、結果事象411と、原因事象412と、時間範囲413と、位置範囲414と、関連の強さ415とのカラムを有するエントリを格納する。結果事象411には、結果となる事象(結果事象)が格納される。原因事象412には、原因となる事象(原因事象)が格納される。時間範囲413には、エントリに対応する原因事象が関連すると想定される時間範囲が格納される。本実施形態では、時間範囲は、例えば、結果事象の発生時刻からどれくらいさかのぼった範囲までの時間範囲であるかを示している。位置範囲414は、エントリに対応する原因事象が関連すると想定される位置範囲が格納される。関連の強さ415には、原因事象と結果事象との関連の強さが格納される。関連の強さは、−1.0から1.0の範囲の値を取り、1.0に近いほど正の相関が強いことを示し、−1.0に近いほど負の相関が強いことを示し、0に近い場合には相関が弱いことを示している。
【0038】
影響事象テーブル420は、結果事象421と、影響事象422と、時間範囲423と、位置範囲424と、関連の強さ425とのカラムを有するエントリを格納する。結果事象421には、結果となる事象が格納される。影響事象422には、影響を与える事象(影響事象)が格納される。時間範囲423には、エントリに対応する影響事象が関連すると想定される時間範囲が格納される。本実施形態では、時間範囲は、例えば、結果事象の発生時刻からどれくらい先までの時間範囲であるかを示している。位置範囲424は、エントリに対応する影響事象が関連すると想定される位置範囲が格納される。関連強さ425には、結果事象と影響事象との関連の強さが格納される。関連の強さは、−1.0から1.0の範囲の値を取り、1.0に近いほど正の相関が強いことを示し、−1.0に近いほど負の相関が強いことを示し、0に近い場合には相関が弱いことを示している。なお、原因事象テーブル410と、影響事象テーブル420とのエントリは、例えば、取引データの登録時等に管理計算機1の管理者によって予め登録される。
【0039】
図4(a)に示した原因事象テーブル410と、影響事象テーブル420との情報は、図4(b)に示すような影響関係図に対応している。この影響関係図によると、結果事象である落下物に対して、原因事象としては、悪天候、事故、・・・等があり、それぞれの関連の強さは、0.3,0.5,・・・であり、影響事象としては、走行軌跡迂回、徐行運転、・・・等があり、それぞれの関連の強さは、0.8,0.5,・・・であることがわかる。
【0040】
次に、情報利用計算機5の図示しない表示装置に表示される画面について説明する。
【0041】
図5は、データ検索画面の一例を示す図である。データ検索画面1000は、情報利用プログラム500をCPU52が実行することにより、情報利用計算機5の図示しない表示装置に表示される画面であり、データ検索を行うためのGUI(Graphical User Interface)である。
【0042】
データ検索画面1000には、対象キーワード入力領域1010と、時間位置指定領域1011と、検索結果表示領域1020と、検索ボタン1100と、サンプル表示ボタン1101と、データ入手ボタン1102とが表示される。
【0043】
対象キーワード入力領域1010は、所望する取引データに関する検索条件としてのキーワードを入力する領域である。時間位置指定領域1011は、所望する取引データに関する検索条件としての時間情報と、位置情報とを入力するための領域である。
【0044】
検索ボタン1100は、対象キーワード入力領域1010に入力されたキーワードと、時間位置指定領域1011に入力された時間情報及び/又は時間情報とを検索条件として、管理計算機1に検索要求を送信する指示を受け付けるボタンである。検索ボタン1100が押下されると、データ検索要求部501により、対象キーワード入力領域1010に入力されたキーワードと、時間位置指定領域1011に入力された時間情報及び/又は時間情報とを検索条件とする検索要求が管理計算機1に送信される。この結果、管理計算機1から、検索要求に対する検索結果が返信されることとなる。
【0045】
検索結果表示領域1020には、管理計算機1から返信された検索結果が表示される。検索結果としては、例えば、検出された取引データについてのデータ名称1021と、説明1022と、寄与度1023と、価格1024が表示される。データ名称1021には、取引データの名称が表示される。説明1022には、取引データの説明が表示される。寄与度1023には、取引データの検索条件に対する寄与度が表示される。価格1024には、取引データを購入する際の価格が表示される。なお、検索結果に複数の取引データがある場合には、寄与度が高いものから順に表示される。検索結果中には、複数の取引データを統合したデータ(統合取引データ)が含まれていることもある。図5に示すデータ検索画面1000においては、データ名称1021が監視カメラ総合となっている行が、統合したデータを示している。この検索結果表示領域1020に表示された検索結果を確認することにより、利用者は、寄与度等を参考にして、適切な取引データを選択することができる。
【0046】
サンプル表示ボタン1101は、検索結果表示領域1020に表示されている取引データのうちの利用者により選択されている取引データについてのサンプルの表示要求を受け付けるボタンである。サンプル表示ボタン1101が押下された場合には、対応する取引データのサンプルが表示される。
【0047】
データ入手ボタン1102は、検索結果表示領域1020に表示されている取引データのうちの利用者により選択されている取引データについてのデータの入手要求を受け付けるボタンである。データ入手ボタン1102が押下された場合には、データ検索要求部501により、対応する取引データのデータIDが管理計算機1に送信され、対応する取引データが管理計算機1から送信されてくることとなる。なお、検索結果表示領域1020に表示された各取引データのデータIDについては、検索結果として表示されているデータとともに管理計算機1から送信されている。この後、データ検索要求部501は、管理計算機1から送信された取引データを、例えば、利用者が指定している所定の格納先に保存する。
【0048】
図6は、事象問い合わせ画面の一例を示す図である。事象問い合わせ画面2000は、情報利用プログラム500をCPU52が実行することにより、情報利用計算機5の図示しない表示装置に表示される画面であり、利用者が所望する事象の問い合わせを行うためのGUIである。
【0049】
事象問い合わせ画面2000には、事象キーワード入力領域2010と、時間位置指定領域2011と、問い合わせ結果表示領域2020と、問い合わせボタン2100とが表示される。
【0050】
事象キーワード入力領域2010は、問い合わせを行う事象についての問い合わせ条件のキーワードを入力する領域である。時間位置指定領域2011は、問い合わせを行う事象についての問い合わせ条件として時間情報と、位置情報とを入力するための領域である。
【0051】
問い合わせボタン2100は、事象キーワード入力領域2010に入力されたキーワードと、時間位置指定領域2011に入力された時間情報及び/又は時間情報とを問い合わせ条件として、管理計算機1に事象の問い合わせ要求を送信する指示を受け付けるボタンである。問い合わせボタン2100が押下されると、事象確認要求部502により、事象キーワード入力領域2010に入力されたキーワードと、時間位置指定領域2011に入力された時間情報及び/又は時間情報とを問い合わせ条件とする問い合わせ要求が管理計算機1に送信される。この結果、管理計算機1から、問い合わせ要求に対する問い合わせ結果が返信されることとなる。
【0052】
問い合わせ結果表示領域2020には、管理計算機1から返信された問い合わせ結果が表示される。問い合わせ結果としては、例えば、事象キーワード2021と、確度2022と、原因事象2023と、影響事象2024とが表示される。なお、問い合わせ結果に複数の結果がある場合には、確度が高いものから順に表示される。事象キーワード2021には、問い合わせ条件とした事象キーワードが表示される。確度2022には、問い合わせ条件に対する結果として有効である度合いを示す確度が表示される。原因事象2023には、事象キーワードに対応する事象の原因事象が表示される。影響事象2024には、事象キーワードに対応する事象の影響事象が表示される。この問い合わせ結果表示領域2020に表示された問い合わせ結果を確認することにより、利用者は、事象に関する原因事象や、影響事象や、確度等を参考に、問い合わせた事象に関する状況を適切に認識することができる。
【0053】
次に、管理計算機1による各種処理の動作について説明する。
【0054】
図7は、データ検索処理のフローチャートである。
【0055】
管理計算機1のデータ検索部102は、情報利用計算機5から送信された検索要求を受信すると(S101)、寄与度計算部103に、検索要求に含まれる検索条件に基づいて、寄与度関係テーブル登録処理(図8参照)を実行させて、検索条件に対応する取引データに関する寄与度関係テーブル310のエントリを登録させる(S102)。
【0056】
次に、データ検索部102は、寄与度関係テーブル310から、対象キーワードに対して寄与度が高いデータのリスト(関連データリスト)を作成する(S103)。
【0057】
次に、データ検索部102は、データリスト中に加算可能な取引データがあるか否かを確認し(S104)、加算可能な取引データがある場合(S104:Y)には、それらの取引データを入力とする所定の計算式によって推定したデータ(推定データ:統合取引データ)をリストに追加する(S105)。例えば、取引データが、監視カメラ画像に対して人間抽出処理を行って、画像中の人数をカウントした数値データである場合には、あるエリアの滞留人数を得るために、そのエリアに設置された複数の監視カメラから得たデータを所定の計算式に入力して全体の人数を得る。ここで、計算式は、監視対象エリアに対する各監視カメラの監視可能エリアのカバー率と、監視カメラごとの監視可能エリアの重複度合によって決まる。例えば、監視対象エリアに複数の監視カメラがある場合、基本的には各カメラ画像から得た値を全て加算するが、対象エリアにおける監視可能エリアが5割であれば、その割合を考慮してデータを割り増し、複数のカメラで重複する部分がある場合には、重複するエリアの人数を除く。なお、監視カメラが2台1組のステレオカメラでは、実空間上の点を監視画像上にマッピング可能であるため重複するエリアを求めることができる。推定データの寄与度は、寄与度計算部103が加算した各取引データの寄与度に基づいて決定する。推定データの寄与度は、それぞれの取引データの寄与度よりも高くなる。このため、取引データのみでは十分ではない場合であっても、推定データが、比較的有効なデータとなることがある。なお、加算可能な取引データがない場合(S104:N)には、データ検索部102は、処理をステップS106に進める。
【0058】
次に、データ検索部102は、データリスト中で寄与度が一定の値(例えば0.5)以上である取引データについて、寄与度の高いものから最大で上位10件の取引データを回答用データリストに入れ、検索結果として回答用データリストを検索要求元の情報利用計算機5に返す(S106)。なお、回答用データリストに、抽出された各取引データのデータIDを含めるようにしてもよい。
【0059】
次に、データ検索部102は、検索要求元の情報利用計算機5から選択されたデータのソースID(又はデータID)を含む入手要求を受信し(S107)、ソースIDに対応する取引データを取引データDB110から取得して、情報利用計算機5へ送信する(S108)。
【0060】
次に、データ検索部102は、検索条件の対象キーワードと、選択されたデータとに対応する寄与度関係テーブル310のエントリにおける寄与度316の値を所定の割合(例えば、0.01だけ上げて(S109)、処理を終了する。このように、利用者が選択した取引データに対する寄与度を上げることにより、以降において、同一のキーワードの検索における検索結果に、取引データの実際の利用頻度が加味された寄与度を提供することができ、この寄与度を参考に、利用者が適切な取引データを容易に選択することができる。
【0061】
次に、寄与度関係テーブル登録処理について説明する。
【0062】
図8は、寄与度関係テーブル登録処理のフローチャートである。
【0063】
寄与度計算部103は、情報利用計算機5から送信された検索条件から対象キーワード、時間情報、位置情報を取得し(S201)、取引データDB110のメタデータエントリ220を参照し、時間224の時間情報と、位置225の位置情報とが、検索条件の時間情報、位置情報と重複しているものを特定し、この特定されたメタデータエントリ220に対応する取引データを抽出し、抽出した取引データの一覧を作成する(S202)。
【0064】
次に、寄与度計算部103は、検索条件の対象キーワードと、作成した一覧に含まれる全ての取引データのソースのID(ソースID)とを対応付けるとともに、それぞれの寄与度として0を対応付ける(S203)。
【0065】
次に、寄与度計算部103は、検索条件と、取引データとの時間の重複度合いと、空間の重複度合いとを積算することにより寄与度を算出し、算出した寄与度により、検索条件と取引データとに対応する寄与度を更新する(S204)。
【0066】
次に、寄与度計算部103は、対象キーワードが指定する取引データに対する保証済データ(保証済み取引データ)があるか否かを判定する(S205)。ここで、保証済データとは、官公庁が公開する調査結果や、企業が販売する有償のデータである。この保証済データは、ウェブサイトからダウンロードしたり、API(Application Programming Interface)を利用したりすることで取得することができる。
【0067】
保証済データがある場合(S205:Y)には、寄与度計算部103は、抽出した全取引データについて、保証済データとの一致度を算出する(S206)。データの一致度は、データ間のユークリッド距離や動的タイムワーピング距離などの方法で求めることができる。次に、寄与度計算部103は、算出した一致度が所定値以上(例えば、90%など)であれば、保証済データに対応付けられている寄与度を、取引データの寄与度として、寄与度関係テーブル310の検索条件と取引データとに対応するエントリの寄与度316を更新する(S207)。
【0068】
次に、寄与度計算部103は、保証済データによる推定データの寄与度の検証を行う(S208)。寄与度の検証は、例えば、第1の情報ソースと、第2の情報ソースと、第3の情報ソースとから取得したデータを入力とする計算式により、対象キーワードに対応するデータ(推定データ)を生成する場合には、計算式により生成した推定データが保証済みデータに最も近い値となるように、第1の情報ソースと、第2の情報ソースと、第3の情報ソースとのそれぞれからのデータに対する計算式の係数を推定し、推定した係数を用いた計算式により、第1の情報ソース、第2の情報ソース、及び第3の情報ソースを入力して推定データを生成し、生成した推定データと、保証済みデータとの一致度を特定することにより行う。
【0069】
次に、寄与度計算部103は、生成した推定データと、保証済みデータとの一致度を推定データの寄与度として、検索条件と推定データとに対応する寄与度として対応付ける(S209)。次に、寄与度計算部103は、対応付けて記憶している、対象キーワードと、データに関するソースIDと、寄与度との組を、寄与度データベース113の寄与度関係テーブル310のエントリとして格納する(S210)。
【0070】
なお、ステップS205〜S209までの処理は、各情報ソースから得られたデータや、推定データの寄与度を確認するための処理ステップであり、新たな対象キーワードが最初に登録された時、および、新たな情報ソースが追加された場合に実行すればよい。また、ステップS205において、検索条件で指定された時間範囲における保証済データが入手できない場合には、他の時間帯の保証済データを用いるようにしてもよい。
【0071】
次に、事象確度問い合わせ処理について説明する。
【0072】
図9は、事象確度問い合わせ処理のフローチャートである。
【0073】
データ検索部102は、情報利用計算機5から問い合わせ条件として送付された事象キーワードを取得する(S301)。次に、データ検索部102は、因果関係図を取得する(S302)。具体的には、データ検索部102は、因果関係DB114から、原因事象テーブル410の各エントリと、影響事象テーブル420の各エントリとを取得する。
【0074】
次に、データ検索部102は、取得した原因事象テーブル410のエントリと、影響事象テーブル420のエントリとを参照し、事象キーワードが示す事象の原因事象と、影響事象とを特定し、原因事象と影響事象とに該当する取引データが、取引データDB110に存在するか否かを判定する(ステップS303)。ここで、原因事象、影響事象に該当するデータは、原因事象、影響事象の名称を検索キーワードとし、かつ、時間範囲、位置範囲を指定した検索によって取得する。時間範囲は、原因事象に該当する取引データの検索の場合には、結果事象の発生時刻から原因事象テーブル410で指定された時間範囲だけさかのぼった時刻から結果事象の発生時刻までを指定し、影響事象に該当する取引データの検索の場合には,結果事象の発生時刻から影響事象テーブル420で指定された時間範囲だけ経過した時刻までを指定する。位置範囲は、結果事象の発生位置を中心として、原因事象テーブル410および影響事象テーブル420に指定された位置範囲を指定する。
【0075】
この結果、原因事象と影響事象とに該当する取引データが、取引データDB110に存在する場合(ステップS303:Y)には、データ検索部102は、処理をステップS307に進める。
【0076】
一方、原因事象と影響事象とに該当する取引データが、取引データDB110に存在しない場合(ステップS303:N)には、データ登録要請部106が、データの登録要請を作成し(S304)、データの登録要請を1以上の情報提供計算機4に対して送信する(ステップS305)。ここで、データの登録要請としては、事象の有無を確認する事象確認要求や、画像及び/又は音声の送付要求がある。具体的には、事象確認要求の場合には、データ登録要請部106が事象キーワード、または、事象キーワードに関連する原因事象、影響事象を表すキーワードを情報提供計算機4に送信し、情報提供計算機4では、データ登録要求部401が、情報提供計算機4の利用者に対して、事象の発生有無の回答の入力を要求する。これに対して、情報提供計算機4の利用者は、事象が発生したか否かを回答することとなる。データ登録要求部401は、利用者から回答が登録(入力)されると、そのデータを管理計算機1に送信する。
【0077】
一方、画像及び/又は音声の送付要求の場合には、データ登録要請部106が、観測場所となる地点の位置情報を送付し、情報提供計算機4では、データ登録要求部401が情報提供計算機4の利用者に対して、指定された位置の画像及び/又は音声の登録を要求する。これに対して、情報提供計算機4の利用者は、指定された位置を地図ソフトウェア等で確認して、その位置における画像及び/又は音声を登録することとなる。データ登録要求部401は、利用者から画像及び/又は音声が登録されると、そのデータを管理計算機1に送信する。
【0078】
これに対して、管理計算機1のデータ登録部101は、情報提供計算機4から送信された登録したデータを受け取り、取引データDB110に格納する(S306)。
【0079】
ステップS307では、確度推定部105が、因果関係図(原因事象テーブル410のエントリ及び影響事象テーブル420のエントリ)を参照し、事象キーワードに対応する事象が発生している確度を計算する(S307)。具体的には、確度推定部105は、問い合わせ条件中の対象キーワード、指定された時間情報及び位置情報、因果関係図に基づいて、対象キーワードの事象(仮定事象)に対する原因事象と、影響事象とを取引データDB110から検索し、原因事象と影響事象とに対応する取引データがあれば、原因事象の取引データの寄与度と、仮定事象と原因事象との関連の強さと、影響事象の取引データの寄与度と、仮定事象と影響事象との関連の強さと、に基づいて仮定事象の確度を求める。
【0080】
次に、データ検索部102は、求めた仮定事象の確度を情報利用計算機5へ送信する(S308)。この結果、情報利用計算機5においては、事象問い合わせ画面2000の問い合わせ結果表示領域2020に、入力された事象キーワードに対応する事象の確度が表示されることとなる。これにより、利用者は、事象キーワードとして入力した事象が発生している確度を適切に把握することができる。
【0081】
上記実施形態によると、データ検索部101が、所望する取引データについてのキーワードと、時間情報と、位置情報とを含む検索要求を受け付け、検索要求の時間情報及び位置情報と重複する、時間情報及び位置情報を含むメタデータに対応する取引データを特定し、寄与度計算部103が、検索要求に含まれる時間情報及び位置情報と、特定された取引データのメタデータの時間情報及び位置情報と、に基づいて、取引データのキーワードに対する寄与度を特定し、データ検索部101が寄与度に基づいて、1以上の取引データを抽出し、抽出された取引データに関する内容を示す情報と、取引データの寄与度とを含む検索結果を情報利用計算機5に送信するようにしたので、情報利用計算機5では、データ検索画面1000の検索結果表示領域1020に、取引データと、その取引データの寄与度が表示されることとなる。これにより、情報利用計算機5の利用者は、寄与度を参照して、取引データを選択することができる。
【0082】
また、データ検索部101が、検索結果中の取引データの中から所望する取引データの送信要求を受け付け、要求された取引データを取引データDB110から取り出して、情報利用計算機5に送信するようにしたので、情報利用計算機5の利用者は、所望のデータを容易に取得することができる。
【0083】
また、上記実施形態によると、加算可能な取引データを加算した推定データについてもデータリストに追加するようにしたので、一つの取引データでは十分でないデータであっても、推定データとすることにより、比較的有効なデータとすることができ、利用者による取引データの利用を促進することができる。これにより、取引データの提供者に対しては、取引データの買い手を増加させることができる。
【0084】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態では、情報利用計算機5から送信された検索要求を受信すると(S101)、寄与度関係テーブル登録処理を実行するようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、寄与度関係テーブル登録処理により登録された寄与度関係テーブル310のエントリを保存しておき、データ検索部102は、同一の検索条件を含む検索要求があった場合には、寄与度関係テーブル登録処理を実行せずに、既に保存されている寄与度関係テーブル310のエントリを利用して、S103以降のステップを実行するようにしてもよい。このようにすると、同一の処理を再度実行する必要がなく、処理負荷を低減することができるとともに、処理時間を低減することができる。また、取引データDB110に新規に取引データが登録された場合に、データ検索部102が寄与度関係テーブル310について新規の取引データに関する内容のエントリを追加する更新を行うようにすることにより、同一の検索条件を含む検索要求が発生した際に、検索結果として新たに追加された取引データについて加えることができるようになる。
【0086】
また、上記実施形態では、管理計算機1のデータ登録部101、データ検索部102、寄与度計算部103、確度推定部105、及びデータ登録要請部106を、プロセッサがプログラムを実行することにより構成される例を示していたが、本発明はこれに限られず、各機能部の一部又は全部を、例えば集積回路等のハードウェアによって構成するようにしてもよい。また、上記実施形態において、機能部を構成するプログラムは、プログラムコードを記録した記録媒体により提供されてもよい。この場合には、記録媒体のプログラムをコンピュータのプロセッサが読み出して実行することにより、機能部を実現することができる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いてよい。また、機能部を構成するプログラムを、ネットワークを介して配信することによって、コンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶部又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが記憶部や記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…管理計算機、2…ネットワーク、4…情報提供計算機、5…情報利用計算機、11…記憶資源、12…CPU、13…通信I/F、100…管理プログラム、101…データ登録部、102…データ検索部、103…寄与度計算部、105…確度推定部、106…データ登録要請部、110…取引データDB、111…データカタログ、112…情報ソースプロファイルDB、113…寄与度DB、114…因果関係DB、200…データベース群

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9