(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794345
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】コンピュータ装置のローカルデスクトップアプリケーションで作成されたコマンドおよび/またはコンテンツをウェブブラウザに、またはその逆向きに、直接入力するためのシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
G06F13/00 560A
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-513805(P2017-513805)
(86)(22)【出願日】2015年9月9日
(65)【公表番号】特表2017-534953(P2017-534953A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2015070611
(87)【国際公開番号】WO2016038090
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年8月9日
(31)【優先権主張番号】14306404.6
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517080430
【氏名又は名称】クビティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイイ,ジャン−ピエール
(72)【発明者】
【氏名】チェシンスキ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ゴラ,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ギュリ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョベ−デュバル,エルベ
(72)【発明者】
【氏名】ショーナー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】セッチア,シルバン
(72)【発明者】
【氏名】バスール,ニコラ
【審査官】
今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−165873(JP,A)
【文献】
特開2006−345214(JP,A)
【文献】
特表2004−511863(JP,A)
【文献】
特開2013−109708(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/053953(WO,A1)
【文献】
萩原 正義,OLE D&M入門[第2回],日経CG,日本,日経BP社,1996年 2月 8日,第113号,P141〜146
【文献】
森 巧尚,Electric Rain Swift 3D MAX V3,CG WORLD,日本,株式会社ワークスコーポレーション,2005年10月 1日,第86巻,P136
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルデスクトップネイティブアプリケーションとローカルウェブブラウザとの間でオリジナル多次元コンテンツを扱うコンピュータ実装された方法であって、ローカルデスクトップネイティブアプリケーションおよびローカルウェブブラウザが同じコンピュータ装置で動作可能であり、
−ローカルデスクトップネイティブアプリケーションとの静的環境で作成されたオリジナル多次元コンテンツをローカルウェブブラウザへ転送する旨のクエリーをコンピュータ装置で受信するステップと、
−クエリーをローカルソフトウェアアプリケーションにより実行するステップであって、転送されるべきデータをローカルデスクトップネイティブアプリケーション内で抽出し、前記データをフォーマットされたテキストデータに変換することによって前記クエリーを実行するためにローカルソフトウェアアプリケーションが前記コンピュータ装置で動作する、ステップと、
−テキストデータを前記ローカルウェブブラウザにより処理するステップであって、前記ローカルウェブブラウザにおいてオリジナル多次元コンテンツの動的環境でのリアルタイムレンダリングを可能にするために前記テキストデータがフォーマットされている、ステップとを含む方法。
【請求項2】
クエリーが前記データおよび/またはコマンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実行するステップがフォーマットされたテキストデータをカプセル化するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ローカルウェブブラウザ内でオリジナル多次元コンテンツをコンピュータ装置のウェブブラウザユーザーインターフェースに表示するステップを更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ローカルウェブブラウザが表示されたオリジナル多次元コンテンツモデルの周囲のシーンを充実させる複数のツールおよび機能を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
実行するステップが、前記ローカルソフトウェアアプリケーションにより前記オリジナル多次元コンテンツを簡素化するステップを更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
簡素化ステップが所定の経験則を用いることによって実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
簡素化ステップが、多次元コンテンツの複数の簡素化されたバージョンに基づき、各々の簡素化されたバージョンが所定の詳細レベルに関連付けられている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
遠隔サーバへ公開コマンドを伝送するステップを更に含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
オリジナル多次元コンテンツが3Dコンテンツである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ローカルソフトウェアアプリケーションがプラグインである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ローカルソフトウェアアプリケーションとローカルウェブブラウザとの間の通信が、WebSocketプロトコルに基づく全二重通信である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムが適当なコンピュータ装置で実行されたとき、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法のステップを履行する命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法のステップを履行するように適合された手段を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にデータ転送の分野に関し、より具体的にはコンピュータ装置のローカルデスクトップアプリケーションで作成されたコマンドおよび/またはコンテンツを直接ウェブブラウザに、またはその逆向きに入力するシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット時代において、ウェブブラウザは、最もよく使われるアプリケーションであり、大多数のユーザーは自身がコンピュータに費やす時間の大部分をウェブで過ごす。単一ページのウェブアプリケーションは、デスクトップアプリケーションに類似したより円滑なユーザー体験の提供を目的としてウェブページに合わせたアプリケーションである。通常はユーザー操作に応答して、単一ページをロードすることにより全ての必要なコードを取得し、または適当なリソースを必要に応じて動的にロードしてページに追加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/038091号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一ページアプリケーションとの対話には、裏側でのウェブサーバとの動的な通信がかかわる場合が多い。しかし、画像、音声、動画または多次元コンテンツの編集は依然としてデスクトップアプリケーションにとり困難なタスクである。
【0005】
ローカルに作成されたインターネットコンテンツに共有するには、ユーザーは当該コンテンツをサーバにアップロードする必要がある。画像、音声、動画または3Dモデル等のコンテンツをサーバにアップロードのは、時間および計算量に関して高いコストが掛かる。ユーザーがウェブブラウザ内のコンテンツをプレビューして、公知の正規な方式でのアップロードを確認したい場合、利用可能な帯域幅およびサーバの負荷に依存するやり取りが生じる。
【0006】
ローカルに作成されたコンテンツをインターネットで共有する別の代替策は、当該コンテンツを画像ファイルとしてウェブブラウザへ転送するものである。しかし、グラフィックファイル、すなわち<<.fbx、.obj、または.dae>>ファイルとして知られるものは、当該解決策の利用を妨げる巨大なスペースデータを占有する。
【0007】
更に別のアプローチは、リアルタイムエディタを用いて、ローカルに作成されたコンテンツをインターネットウェブナビゲータに適合させるものである。しかし、このような解決策はオリジナルコンテンツとインターネットコンテンツとのマッピングの開発には特別な技術が求めるため、専門家ではない最終ユーザーによる利用の妨げとなる。
【0008】
アプリケーション間データ転送に広範に利用されてきた、マイクロソフト社により開発された知財保護された技術は、公知のOLE(オブジェクト連結/埋め込み)である。この技術により、ドラッグアンドドロップおよびクリップボード動作を用いる文書および他のオブジェクトへの埋め込みおよび連結が可能になる。しかし、当該技術は、Internet Explorer(登録商標)へのデータ転送に限定され、セキュリティ問題に対して脆弱であり、往々にして不要なウインドウおよびマルウェアの要因となるため、今日ではサポートされていない。
【0009】
従って、従来技術の限界を克服すると共にデスクトップアプリケーションでローカルに作成された任意の多次元コンテンツのウェブブラウザへの直接入力を許すシステムおよび方法に対するニーズがある。本発明は、このニーズに対する解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の目的は、遠隔サーバへのアクセス、あるいはファイル転送の利用を一切必要とすることなく、データ、コンテンツ、および/またはコマンドをデスクトップアプリケーションからウェブブラウザアプリケーションに、およびその逆向きに、直接入力できるようにするシステムおよび方法を提供することである。
【0011】
有利な特徴として、本発明は、ローカルデスクトップアプリケーション等の静的環境で作成された多次元モデルを、ウェブブラウザ等の動的な環境で高速に視覚化できるようにする簡単な解決策を提供する。
【0012】
上述の目的を実現すべく、添付の独立請求項1、15および16に詳細に記載されているようなシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品を提供する。
【0013】
特に、コンピュータ装置で動作可能なデスクトップアプリケーションにより作成されたオリジナルコンテンツを扱うコンピュータ実装された方法であって、本方法は以下のステップ、すなわち
−コンピュータ装置でウェブブラウザが動作中である場合に、オリジナルコンテンツをウェブブラウザへ転送する旨のクエリーを受信するステップと、
−前記コンピュータ装置でソフトウェアアプリケーションが動作中の場合に、前記クエリーを前記ソフトウェアアプリケーションに伝送するステップと、
−前記ソフトウェアアプリケーションにより前記コンピュータ装置で前記クエリーを実行するステップと、
−実行されたクエリーの結果を前記ソフトウェアアプリケーションにより前記ウェブブラウザに伝送するステップとを含んでいる。
【0014】
有利な特徴として、ソフトウェアアプリケーションとウェブブラウザとの間の通信は前記コンピュータ装置で排他的かつローカルに実行される。
【0015】
一実施形態において、ソフトウェアアプリケーションとウェブブラウザとの間の通信はローカルディスク転送を一切行うことなく実行される。
【0016】
一実施形態において、クエリーはデータおよび/またはコマンドを含んでいる。
【0017】
別の実施形態において、実行ステップはデータをカプセル化するステップを含んでいる。
【0018】
また有利な特徴として、本方法は更に、実行されたクエリーの結果をコンピュータ装置のウェブブラウザユーザーインターフェースに表示するステップを含んでいる。
【0019】
有利な特徴として、ウェブブラウザは複数のツールを含み、オリジナルコンテンツの周囲のシーンを充実させるべく機能する。
【0020】
一実施形態において、実行ステップは、ソフトウェアアプリケーションによりオリジナルコンテンツを簡素化するステップを含んでいる。
【0021】
有利な特徴として、簡素化は所定の経験則を用いて実行される。
【0022】
また有利な特徴として、簡素化はオリジナルコンテンツの複数の簡素化されたバージョンに関連付けられていて、各々の簡素化されたバージョンは所定の詳細レベルに関連付けられている。
【0023】
一実施形態において、本方法は、ウェブブラウザに、遠隔サーバへの公開コマンドの伝送を行わせるステップを更に含んでいる。
【0024】
一実施形態において、オリジナルコンテンツは3Dコンテンツである。
【0025】
有利な特徴として、伝送ステップは、WebSocketプロトコルにより実行される。
【0026】
有利な特徴として、ソフトウェアアプリケーションはプラグインである。
【0027】
本発明はまた、コンピュータ装置で動作可能なデスクトップアプリケーションにより作成されたオリジナルコンテンツを扱う、本方法のステップの実行に適した手段を含むシステムを提供する。
【0028】
本発明はまた、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品、および当該コンピュータ可読記憶媒体に保存されたプログラムコードとして提供され、実行時に、本方法のステップをプロセッサに動作させるべく構成されていてよい。
【0029】
本発明の更なる態様について、好適な実装および例を通じて、添付図面を参照しながら以下に述べる。
【0030】
本発明の上述およびその他の項目、特徴および利点について、本発明の以下のより具体的な記述を図面を参照しながら読解することにより理解が深まろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明のシステムを実装する一般的環境を示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるセットアップ処理のフロー図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるコンテンツ転送要求を扱う処理のフロー図である。
【
図4】本発明の一実施形態による通知を扱う処理のフロー図である。
【
図5a】本発明の一実施形態による、ウェブブラウザにオリジナルコンテンツを転送する例を示す。
【
図5b】本発明の一実施形態による、ウェブブラウザにオリジナルコンテンツを転送する例を示す。
【
図6】
図1の例示的な環境におけるデータフローを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるオリジナルコンテンツをウェブブラウザへ転送するステップの詳細フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態は一般に、コンピュータ装置でコンテンツを扱うシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品を目的としている。以下の記述における用語「コンテンツ」は、データまたはコマンド、あるいは多次元コンテンツも区別しないものと理解されたい。
【0033】
図1を参照するに、動作環境100は、ネットワーク20に接続された1個以上のコンピュータ装置10を含んでいてよい。ネットワーク20は、1個以上の遠隔サーバ30とのデータ通信および交換をできるようにする1個以上の専用および/または公共ネットワーク、例えばインターネットを含んでいてよい。遠隔サーバ30は、コンピュータ装置10との間でデータの格納および取得を行うストレージサーバ40に接続されていてよい。ストレージサーバ40は、いわゆるクラウドにデータを格納できるようにする「クラウドサーバ」という種類のサーバであってよい。ローカルコンピュータ装置10は、本発明を実施する主なコンポーネントを示している。ローカルコンピュータ装置は、少なくとも1個のプロセッサ102および当該少なくとも1個のプロセッサ102に接続されたメモリ104を含んでいる。メモリ104は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および他の任意の補助的レベルのメモリ、例えばキャッシュメモリ、不揮発性またはバックアップメモリ(例:プログラム可能またはフラッシュメモリ)、読出し専用メモリ等であってよい。また、メモリ104は、例えばマイクロプロセッサ内の任意のキャッシュメモリ等の物理的メモリストレージ、あるいは、例えば、大容量記憶装置に格納された、またはローカルコンピュータ装置10に接続された別のコンピュータに格納された仮想メモリとして用いる任意の記憶容量を含んでいると考えてよい。
【0034】
ローカルコンピュータ装置10は、ユーザーまたは操作者とのインターフェースとして、1個以上のユーザー入出力装置、例えばキーボード、位置指示装置、ディスプレイ、プリンタ等が組み込まれたユーザーインターフェース110を含んでいてよい。あるいは、通信回路網20に接続されたネットワークインターフェース106を介して別のコンピュータとの間でデータ通信を行うことができる。ローカルコンピュータ装置10はまた、例えば内蔵ハードディスク記憶装置、外部ハードディスク記憶装置、外部データベース、ストレージエリアネットワーク装置等、1個以上の大容量記憶装置と通信状態にあってよい。
【0035】
ローカルコンピュータ装置10は典型的に、オペレーティングシステム108の制御下で動作し、各種のコンピュータソフトウェアアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、エンジン、データ構造等を実行するかまたはこれらに依存する。特に、コンポーネントは、ローカルネイティブアプリケーション112、ローカルデータ入力コンポーネント116、ローカルウェブアプリケーションブラウザ114を含み、メモリ104に常駐する、および/または保存可能な命令を含んでいてよい。例えば、ローカルネイティブアプリケーションは、公知のGoogle Sketch Up(登録商標)アプリケーションまたはBlender(登録商標)アプリケーションあるいはAutodesk Revit(登録商標)であってよく、ローカルウェブブラウザは、いくつか列挙するならばFirefox(登録商標)、Internet Explorer(登録商標)、Safari(登録商標)、またはGoogle Chrome(登録商標)であってよい。本発明の多次元コンテンツを扱う処理において、ネイティブアプリケーションおよびウェブブラウザの両方共に遠隔またはリモートサーバを必要とすることなくローカルに実行されることを強調しておく。多次元コンテンツデータ転送は、ローカルデータ入力コンポーネント116を介した直接的なソフトウェア間通信によりローカルネイティブアプリケーション112とローカルウェブブラウザ114の間で実行される。一実施形態において、この直接通信は、インターネットエンジニアリングタスクフォース(IETF)により提供されるリクエストフォーコメントRFC6455に定義されたWebSocketプロトコルを用いて実行される。本発明の実施形態は、
図6、7を参照しながら更に詳述するようにwebsocket全二重通信接続115の利点を利用している。
【0036】
ローカルコンピュータ装置10はまた、例えば多次元レコードデータベース118を含む1個以上のデータベースを含んでいてよい。多次元レコードデータベース118は、多次元データを格納および編成するデータおよび対応データ構造を含んでいてよい。一実施形態において、データはJSON言語または代替的にバイナリで符号化されて「gzip」形式で圧縮される。データベース118は、リレーショナルデータベース、階層型データベース、ネットワークデータベース、および/またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意のデータベース編成および/または構造に構成されていてよい。ローカルコンピュータの処理装置で命令として動作するコンピュータソフトウェアアプリケーション形式のデータベース管理システム10を用いて、多次元レコードデータベース118のレコードとして格納された情報またはデータにアクセスすることができる。
【0037】
更に、各種のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、エンジン等はまた、例えば分散またはクライアント/サーバコンピューティング環境で、通信ネットワーク20を介してローカルコンピュータ装置10に接続された別のコンピュータの1個以上のプロセッサで動作し、コンピュータプログラムの機能の実装に必要な処理をネットワーク上の複数のコンピュータに割り当てることができる。例えば、ローカルコンピュータ装置10に組み込まれているものと本明細書に記述されている機能のいくつかが1個以上のサーバに実装されていてよい。本発明の実施形態と整合して、モジュール、アプリケーション、コンポーネント、および/またはエンジンは1個以上のサーバで動作し、本発明の実施形態に整合する動作をプロセッサ102に実行させることができる。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態によるセットアップ処理のフロー図である。当該処理は、ユーザーがローカルコンピュータ装置10へのシステムトレイアプリケーションのインストール(204)を要求した場合に202で開始される。セットアップ処理は、ローカルネイティブアプリケーションが既にローカルコンピュータ装置にインストール済みであるか否かを判定し(206、210)、次いで各々のローカルデータ入力コンポーネントをインストールする(208、212)。一実施形態において、ローカルデータ入力コンポーネントは、多次元コンテンツ転送が要求された場合に、システムトレイアプリケーションを介して起動されるプラグインにより機能強化されたデスクトップソフトウェアアプリケーションの形式である。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態による、多次元コンテンツ要求を扱うローカルコンピュータ装置10で実行される処理のフロー図である。データ転送要求が受信される(302)。データ転送クエリーは、生成されたデータをローカルネイティブアプリケーションからローカルウェブブラウザに転送する多次元データおよび/またはコマンドを含んでいてよい。コマンドは、例えば表示モードの変更または機能の停止等、任意の種類コマンドであってよい。
【0040】
次に、ステップ304において、ローカルネイティブアプリケーションに関連付けられたローカルデータ入力コンポーネントが転送対象データにローカルにアクセスしてよい。
【0041】
次のステップ306において、当該処理は、システムトレイアプリケーションでユーザーが認証されたか否かを判定できるようにする。yesならば当該処理は次のステップ316へ進み、さもなければ当該処理はウェブブラウザでの認証ページの表示(308)、および遠隔ウェブアプリケーションサーバへの認証要求の送信(310)を可能にする。認証の実行が成功した場合312、ローカルシステムトレイアプリケーションに認証成功が通知され(314)、当該処理を続行できるようにする(316)。
【0042】
ユーザー認証の後、ステップ316において、当該処理は、ローカルデータ入力コンポーネントがクエリーを実行して、ローカルウェブブラウザ114にデータを直接送信できるようにする。ユーザーは次いで、ローカルコンピュータ装置のウェブブラウザユーザーインターフェースでデータを表示させることができる。
【0043】
一実施形態において、データ転送クエリーの実行は、ローカル入力コンポーネントによるローカルネイティブアプリケーションからのデータ抽出および転送前のデータカプセル化を含んでいる。
【0044】
本願出願人により同日に出願された特許出願「System, method and computer program product for automatic optimization of 3d textured models for network transfer and real−time rendering」(国際公開第2016/038091A1号パンフレット)に、本発明の直接転送用にデータの抽出および準備を行う各種の実施形態の詳細な記述が開示されている。一実施形態において、データの準備は、所定の経験則を用いて実行される3Dモデルの簡素化動作を含んでいる。好適には、当該簡素化は、3Dモデルの複数の簡素化されたバージョンに関連付けられていて、各々の簡素化されたバージョンは所定の詳細レベルに関連付けられている。
【0045】
本発明が、ローカルアプリケーションで作成されたデータを、従来技術のように遠隔サーバを介したデータ転送またはローカルディスク転送を行う必要無しに、数ステップでローカルウェブアプリケーションに直接入力できるようにすることを理解されたい。
【0046】
ローカルウェブアプリケーション316でコンテンツが利用可能になれば、当該処理は、
図4を参照しながら以下に詳述するように、任意のプラットフォーム間でのデータ交換318を扱えるようにする。
【0047】
ステップ402において、ローカルウェブアプリケーションからの通知がシステムトレイアプリケーションに来たるべきイベントを知らせる。次のステップ404において、当該処理は、通知の属性がデータ転送またはデータ変更あるいはコマンドであるか否かを判定できるようにする。通知がデータ転送に依存する場合、当該データが単に転送されて当該処理は終了する(406)。他のいずれのケースでも、通知がデータ変更またはコマンドである場合、当該通知は関連アプリケーションへ渡される(408)。
【0048】
本発明の方法は更に、公開コマンドをウェブブラウザが遠隔サーバに伝送(320)してクラウドストレージ等の遠隔ストレージサーバにデータを格納(322)できるようにする。当該処理は、ローカルコンピュータ装置上のローカルウェブブラウザから、リモートクラウドストレージサーバにデータが転送された時点で終了してよい。
【0049】
図5aはローカルネイティブアプリケーションで作成された3Dコンテンツを示すのに対し、
図5bはローカルウェブブラウザへの転送後の同一3Dコンテンツを示す。有利な特徴として、本発明の処理による自動且つ直接転送により、オリジナル3Dモデルを数秒でウェブ環境に転送することが可能になる。
【0050】
図5aのオリジナルシーンが、Google Sketch Up(登録商標)等の静的環境内でローカル3Dネイティブアプリケーションにより作成されるのに対し、
図5bの最終シーンがオリジナルシーンと同一のモデルを含んでいるが、動的環境でウェブナビゲータによりリアルタイムに表示されていることを理解されたい。
【0051】
図5bの左側に示すように、有利な特徴として、ウェブナビゲータは、オリジナル3Dモデルの周囲の環境を充実、修正、および完成させる複数のツールおよび機能(510)を提供する。
【0052】
図6に、
図7の処理を実行する旨のクライアントコンピュータ装置10にインストールされたコンポーネントを示す。
図1に示すものと同様のコンポーネントの参照番号が同一である点に注意されたい。処理700のステップは、ローカルアプリケーション112によりクライアントコンピュータ装置10で作成されたオリジナルコンテンツをローカルウェブアプリケーション114に直接転送できるようにする。説明を簡潔にすべく、オリジナルコンテンツは、各種の形式、サイズ、およびテクスチャの複数のオブジェクトを含む
図5a例に示すような3Dモデルである。
【0053】
第1のステップ702において、3Dモデルの多次データが、ローカル構文解析プラグイン602を介して構文解析される。3Dモデルの各データは、抽出(点の座標(x,y,z)、テクスチャ座標(u,v)、三角形(a,b,c)リスト、材料リスト、ノードシーン座標、スケール、回転および材料)され、コンピュータメモリ104内の各アドレスに格納される。
【0054】
次のステップ704において、コンピュータメモリが読み出され、ローカルデータ入力コンポーネント116に接続されたデータバッファに適当なデータが入力される。
【0055】
次にステップ706において、バッファに格納されたバイトが、ローカルデータ入力コンポーネント116に受け渡しメッセージとして1個ずつ送信される。好適な実装例において、当該バイトはWindows Messages(マイクロソフト社)により送信される。当該バイトは読み取られ、デシメーションおよび圧縮アルゴリズムを適用することにより最適化されて、最適化されたデータにバイナリ/テキスト変換が施されてテクスチャ形式のデータが得られる。好適な実装例において、最適化されたデータは公知のBase64テキスト形式に符号化される。
【0056】
次のステップ708において、テクスチャデータが全二重通信プロトコルを用いてウェブブラウザ114に送信される。好適な実施形態において、WebRTC的プロトコルを用いて直接的且つリアルタイムの転送を行う。websocket接続115がクライアントコンピュータのデータ入力コンポーネント116とウェブブラウザ114の間で確立され、転送期間全体にわたり有効に保たれる。
【0057】
一変型例において、サブ処理により、websocket接続が依然として有効であるかを定期的に確認することができ、有効でなければ転送を再開する。
【0058】
次のステップ710において、当該処理により、テキスト形式のデータを復号してバイナリデータに変換することができる。有利な特徴として、HTMLチャンク機能604を呼び出してBase64データをスライスし、チャンクデータに復号および変換動作を適用できるようにする。
【0059】
当該処理の次のステップ712は、
図5bに示すように、変換されたデータを、クライアントコンピュータ装置10のウェブブラウザ114でのリアルタイム3D表示を可能にするwebplayerプラグイン606を用いてレンダリングするものである。ユーザーはこれによりウェブブラウザ内でリアルタイムにナビゲートできる。
【0060】
ステップ714、716、および718は、リアルタイム3Dモデルを遠隔サーバ30に送信するオプションを実行するオプションステップとして示している。
【0061】
ユーザーが、インターネット(ステップ714のYes分岐)でのリアルタイム3Dモデルの共有および公開を要求した場合、当該処理により、websocket全二重接続は、HTTP RESTサービスを介して3Dデータをリモートサーバに送信させる(718)ようにデータ入力コンポーネント116にHTML公開メッセージを送信する(716)ことができる。
【0062】
本発明は特に、都市計画、建築、デザイン、インテリアデザイン、工業製品のプロトタイプ、ストーリーボード、犯行現場の再現、教育、または結婚披露宴プランニング等の特定のリアルタイム環境に対話型モデルが及ぼす自身の影響を評価する必要がある任意の商用分野で関心がもたれる。
【0063】
当業者には、上述の実施形態は図示および説明目的で提示するものであって、網羅的ではなく、且つ本発明が開示した形式に限定されるものではない点を理解されよう。当業者には多くの変更および変形が明らかになろう。上述の実施形態は本発明の原理、現実的な用途を最も分かりやすく説明すると共に、考察する特定の用途に適した各種の変更と共に各種の実施形態を通じて本発明を当業者に理解いただけるよう選択および記述されている。
【0064】
本発明について特に好適な実施形態に関して図示および記述してきたが、本発明の概念および範囲から逸脱することなくその形式および詳細に対し各種の変更を行うことができる点を理解されたい。
【0065】
本発明は、コンピュータまたは任意の対話型実行システムにより、またはこれらと組み合わせて用いられるプログラムコードを提供するコンピュータ可用またはコンピュータ可読媒体からアクセスできるコンピュータプログラム製品の形式であってよい。ここで記述した内容を実行すべく、コンピュータ可用またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、または機器により、またはこれらと組み合わせて用いられるプログラムを包含、格納、伝送、伝播、または輸送可能な任意の有形装置でもあってよい。媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外線または半導体システム(または装置あるいは機器)または伝搬媒体であってよい。コンピュータ可読媒体の例として半導体または固体メモリ、磁気テープ、着脱可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、固定磁気ディスクおよび光ディスクが含まれていてよい。光ディスクの現行例としてコンパクトディスク−読出し専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−読出し/書込み(CD−R/W)およびDVDが含まれる。