(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記操作部により前記角度の調節操作を受け付け、受け付けた調節操作に基づく前記凹面鏡アクチュエータの駆動による前記凹面鏡の駆動が限界に達した場合、さらに前記投光装置から投射させる光の前記投射面における投射位置を調節して、前記水平面と前記線分とがなす角度を調節する、
請求項1に記載の表示装置。
前記制御装置は、前記投光装置から投射させる光の前記投射面における投射位置を調節した後に、前記凹面鏡アクチュエータの駆動による前記凹面鏡の反射角度を調節して、前記水平面と前記線分とがなす角度を調節する、
請求項1に記載の表示装置。
二次元の投射面を有し、画像を含む光を投射する投光装置と、前記光の経路上に設けられ、所定の位置から前記光が虚像として形成される位置までの距離を調節可能な光学機構と、前記光学機構を通過した光を反射体に向けて反射する凹面鏡と、前記凹面鏡の反射角度を調節する凹面鏡アクチュエータと、前記投光装置、および前記凹面鏡アクチュエータを制御する制御装置と、前記凹面鏡により形成される画像の所定の位置を通る水平面と、前記所定の位置から前記光が虚像として形成される位置までの線分とがなす角度の調節操作を車両の乗員から受け付ける操作部と、を備える表示装置が、
前記水平面と前記線分とがなす角度の前記車両の挙動により生じる変動を抑制するように、前記投光装置から投射させる光の前記投射面における投射位置を調節し、
更に前記操作部により前記角度の調節操作を受け付けた場合には、前記調節操作に基づいて前記凹面鏡アクチュエータを駆動させて前記角度を調節し、前記車両の挙動により生じる前記角度の変動を抑制する場合には、前記投光装置から投射させる光の前記投射面における投射位置を調節する、
表示制御方法。
二次元の投射面を有し、画像を含む光を投射する投光装置と、前記光の経路上に設けられ、所定の位置から前記光が虚像として形成される位置までの距離を調節可能な光学機構と、前記光学機構を通過した光を反射体に向けて反射する凹面鏡と、前記凹面鏡の反射角度を調節する凹面鏡アクチュエータと、前記投光装置、および前記凹面鏡アクチュエータを制御する制御装置と、前記凹面鏡により形成される画像の所定の位置を通る水平面と、前記所定の位置から前記光が虚像として形成される位置までの線分とがなす角度の調節操作を車両の乗員から受け付ける操作部と、を備える表示装置に、
前記水平面と前記線分とがなす角度の前記車両の挙動により生じる変動を抑制するように、前記投光装置から投射させる光の前記投射面における投射位置を調節させ、
更に前記操作部により前記角度の調節操作を受け付けた場合には、前記調節操作に基づいて前記凹面鏡アクチュエータを駆動させて前記角度を調節させ、前記車両の挙動により生じる前記角度の変動を抑制する場合には、前記投光装置から投射させる光の前記投射面における投射位置を調節させる、
プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の表示装置、表示制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。実施形態の表示装置は、例えば、車両(以下、車両Mと称する)に搭載され、風景に重畳させて画像を視認させる装置である。表示装置は、HUD装置と称することができる。一例として、表示装置は、車両Mのフロントウインドシールドに画像を含む光を投光することで、観者に虚像を視認させる装置である。観者は、例えば運転者であるが、運転者以外の乗員であってもよい。また、人が身体に装着するデバイスが有する透明な部材(バイザー、眼鏡のレンズ等)に投光し、または光透過性の表示装置が取り付けられたものであってもよい。以下の説明では、表示装置は、車両Mに搭載され、フロントウインドシールドに画像を含む光を投光する装置であるものとする。
【0016】
以下の説明において、適宜、XYZ座標系を用いて位置関係等を説明する。
また、以下の説明では、「虚像」を「画像」と称する場合がある。
【0017】
(第1の実施形態)
[全体構成]
図1は、第1の実施形態に係る表示装置100が搭載された車両Mの車室内の構成を例示した図である。車両Mには、例えば、車両Mの操舵を制御するステアリングホイール10と、車外と車室内とを区分するフロントウインドシールド(反射体の一例)20と、インストルメントパネル30とが設けられる。フロントウインドシールド20は、光透過性を有する部材である。表示装置100は、例えば、運転席40の前方のフロントウインドシールド20の一部に設けられる表示可能領域A1に画像を含む光を投射する(投光する)ことで、運転席に着座した運転者に虚像VIを視認させる。
【0018】
表示装置100は、例えば、運転者の運転を支援するための情報を画像化した像を、虚像VIとして運転者に視認させる。運転者の運転を支援するための情報には、例えば、車両Mの速度、駆動力配分比率、エンジン回転数、運転支援機能の動作状態、シフト位置、標識認識結果、交差点位置等の情報が含まれる。運転支援機能には、例えば、予め設定された目的地まで車両Mを誘導するための方向指示機能、ACC(Adaptive Cruise Control)、LKAS(Lane Keep Assist System)、CMBS(Collision Mitigation Brake System)、およびトラフィックジャムアシスト機能等が含まれる。また、運転支援機能には、例えば、車両Mに搭載された電話の着信や発信、通話を制御する電話機能が含まれてもよい。
【0019】
また、車両Mには、表示装置100の他に、第1表示部50−1や第2表示部50−2が設けられてよい。第1表示部50−1は、例えば、インストルメントパネル30における運転席40の正面付近に設けられ、運転者がステアリングホイール10の間隙から、或いはステアリングホイール10越しに視認可能な表示装置である。第1表示部50−1は、例えば、運転者の運転を支援するための情報等を表示する。第2表示部50−2は、例えば、インストルメントパネル30の中央部に取り付けられる。第2表示部50−2は、例えば、車両Mに搭載されるナビゲーション装置(不図示)により実行されるナビゲーション処理に対応する画像、またはテレビ電話における相手の映像等を表示する。また、第2表示部50−2は、テレビ番組を表示したり、DVDを再生したり、ダウンロードされた映画等のコンテンツを表示してもよい。また、第1表示部50−1および第2表示部50−2は、タッチパネル装置として、乗員からの操作を受け付けてもよい。受け付けた操作内容は、表示装置100やその他の車載装置に出力される。
【0020】
また、車両Mには、表示装置100による表示のオン/オフの切り替え指示や、虚像VIの位置を調節する指示を受け付ける操作スイッチ(操作部の一例)130が設けられる。操作スイッチ130は、例えば、運転席40に着座した運転者が大きく体勢を変えることなく操作可能な位置に取り付けられている。操作スイッチ130は、例えば、第1表示部50−1の前方に設けられていてもよく、ステアリングホイール10のボス部に設けられていてもよく、ステアリングホイール10とインストルメントパネル30とを連結するスポークに設けられていてもよい。
【0021】
図2は、第1の実施形態の操作スイッチ130について説明するための図である。操作スイッチ130は、例えば、メインスイッチ132と、調節スイッチ134および136とを含む。メインスイッチ132は、表示装置100のオン/オフを切り替えるスイッチである。
【0022】
調節スイッチ134は、例えば、運転者の視線位置P1から表示可能範囲A1を透過した空間にあるように視認される虚像VIの位置を、鉛直方向Zに関して上側(以下、上方向と称する)に移動させる指示(調節操作)を受け付けるためのスイッチである。運転者は、調節スイッチ134を押し続けることで、表示可能範囲A1内で虚像VIの視認位置を上方向に継続して移動させることができる。
【0023】
調節スイッチ136は、前述した虚像VIの位置を鉛直方向Zに関して下側(以下、下方向と称する)に移動させる指示(調節操作)を受け付けるためのスイッチである。運転者は、調節スイッチ136を押し続けることで、表示可能範囲A1内で虚像VIの視認位置を下方向に継続して移動させることができる。
【0024】
また、調節スイッチ134は、虚像VIの位置を上方向に移動させるのに代えて(または加えて)、視認される虚像VIの輝度を上げるためのスイッチであってもよい。また、調節スイッチ136は、虚像VIの位置を下方向に移動するのに代えて(または加えて)、視認される虚像VIの輝度を下げるためのスイッチであってもよい。調節スイッチ134、136が受け付ける指示の内容は、何らかの操作に基づいて切り替えられてもよい。何らかの操作とは、例えば、メインスイッチ132の長押し操作である。また、操作スイッチ130は、
図2に示す各スイッチに加えて、例えば、表示内容を選択するスイッチや、専ら表示される虚像の輝度を調節するスイッチを含んでよい。
【0025】
図3は、表示装置100の部分構成図である。表示装置100は、例えば、表示器110と、表示制御装置150とを備える。表示制御装置150と、後述する光学系コントローラ170と、後述するディスプレイコントローラ172とを合わせたものが、「制御装置」の一例である。表示器110は、例えば、筐体115内に、投光装置120と、光学機構122と、平面鏡124と、凹面鏡126と、透光カバー128とを収納する。これらの他、表示装置100は、各種センサやアクチュエータを備えるが、これらについては後述する。また、表示器には、光学機構122がない構成であってもよい。
【0026】
投光装置120は、二次元の投射面を有し、画像を含む光を投射する。投光装置120は、例えば、光源120Aと、表示素子120Bとを備える。光源120Aは、例えば、冷陰極管であり、運転者に視認させる虚像VIに対応する可視光を出力する。表示素子120Bは、光源120Aからの可視光の透過を制御する。表示素子120Bは、例えば、二次元の投射面を含む薄膜トランジスタ(TFT)型の液晶表示装置(LCD)である。表示素子120Bは、複数の画素のそれぞれを制御して、光源120Aからの可視光の色要素ごとの透過程度を制御することで、虚像VIに画像要素を含ませ、虚像VIの形態(見え方)を決定付ける。以下では、表示素子120Bを透過し画像が含まれた可視光を画像光ILという。なお、表示素子120Bは、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであってもよく、この場合、光源120Aは省略されてよい。
【0027】
光学機構122は、例えば、一以上のレンズを含む。各レンズの位置は、例えば光軸方向に調節可能となっている。光学機構122は、例えば、投光装置120が出力する画像光ILの経路上に設けられ、投光装置120から入射した画像光ILを通過させて、フロントウインドシールド20に向けて出射する。光学機構122は、例えば、レンズの位置を変更することで、運転者の視線位置P1(所定の位置の一例)から、画像光ILが虚像として形成される形成位置P2までの距離(以下、虚像視認距離Dと称する)を調節することができる。運転者の視線位置P1は、凹面鏡126およびフロントウインドシールド20によって反射され画像光ILが集光される位置であり、この位置に運転者の目が存在することが想定される位置である。虚像視認距離Dは、厳密には上下方向の傾きを持つ線分の距離であるが、以下の説明において「虚像視認距離Dが7[m]」等と表現する場合、その距離は水平方向の距離を意味してもよい。
【0028】
また、以下の説明において、俯角θを、運転者の視線位置P1を通る水平面と、運転者の視線位置P1から形成位置P2までの線分とがなす角度と定義する。虚像VIが下方に形成されているほど、すなわち、運転者が虚像VIを見る視線方向が下向きであるほど、俯角θは大きくなる。俯角θは、凹面鏡126の反射角度φと、表示素子120Bにおける元画像の表示位置とに基づいて決定される。反射角度φは、平面鏡124により反射された画像光ILが凹面鏡126に入射する入射方向と、凹面鏡126が画像光ILを出射する出射方向とのなす角である。
【0029】
平面鏡124は、光源120Aにより出射され表示素子120Bを通過した可視光(すなわち、画像光IL)を凹面鏡126の方向に反射させる。
【0030】
凹面鏡126は、平面鏡124から入射した画像光ILを反射し、フロントウインドシールド20に向かって出射する。凹面鏡126は、車両Mの幅方向の軸であるY軸回りに回転(回動)可能に支持される。
【0031】
透光カバー128は、凹面鏡126からの画像光ILを透過させてフロントウインドシールド20に到達させると共に、筐体115内に埃や塵、水滴等の異物が入り込むことを抑制する。透光カバー128は、筐体115の上側部材に形成された開口部に設けられる。また、インストルメントパネル30にも開口部あるいは光透過性部材が設けられ、画像光ILは、透光カバー128とインストルメントパネル30の開口部或いは光透過性部材を透過してフロントウインドシールド20に到達する。
【0032】
フロントウインドシールド20に入射した画像光ILは、フロントウインドシールド20によって反射され、運転者の視線位置P1に集光する。このとき、運転者の視線位置P1に運転者の眼が位置していた場合、運転者は、画像光ILによって写し出される画像が車両Mの前方に表示されているように感じる。
【0033】
表示制御装置150は、運転者に視認させる虚像VIの表示を制御する。
図4は、表示制御装置150を中心とした表示装置100の構成例を示す図である。
図4の例では、表示制御装置150に加えて、表示装置100に含まれる位置センサ162と、凹面鏡角度センサ164と、環境センサ166と、操作スイッチ130と、光学系コントローラ170と、ディスプレイコントローラ172と、レンズアクチュエータ(光学機構アクチュエータの一例)180と、凹面鏡アクチュエータ182と、投光装置120と、運転支援制御装置200と、車両挙動取得装置300とを示している。
【0034】
位置センサ162は、光学機構122に含まれる一以上のレンズの位置を検出する。また、位置センサ162は、表示素子120Bの位置を検出してもよい。凹面鏡角度センサ164は、凹面鏡126のY軸回りの回転角度を検出する。
【0035】
環境センサ166は、例えば、投光装置120や光学機構122の温度を検出する温度センサ、車両Mの周囲の照度を検出する照度センサを含む。また、環境センサ166は、車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両Mの向きを検出する方位センサ、車両MのY軸回りのピッチ角を検出するピッチ角センサを含んでもよい。また、環境センサ166は、車両Mの高さや車体の傾きを検出するハイトセンサ(車高センサ)を含んでもよい。ハイトセンサは、例えば車両Mの前後左右の車輪に設置される。また、環境センサ166、カメラやレーダ装置、ファインダ(例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging))等により、車両Mの周辺に存在する物体(例えば、他車両、歩行者等の障害物)を検出してもよい。また、環境センサ166は、車両のブレーキシステムやエンジンシステムに関する点検が必要になったこと、ヘッドライトがハイビームに設定されていること、ドアロックがされていないこと、ドアが完全に閉まっていないこと、フォグランプが点灯していること、車両Mに搭載された電話機能において着信が生じたこと、ナビゲーション装置に設定された目的地に向かうために右左折するタイミングに近づいたこと等を検出するセンサを含んでもよい。
【0036】
光学系コントローラ170は、駆動制御部153により出力された制御信号に基づいて、レンズアクチュエータ180を駆動させて、虚像視認距離Dを調節する。また、光学系コントローラ170は、駆動制御部153により出力された制御信号に基づいて凹面鏡アクチュエータ182を駆動させて、凹面鏡の回転角度を調節する。
【0037】
ディスプレイコントローラ172は、投光装置120を制御して、画像生成部151により生成され、表示態様制御部152により決定された表示態様に基づく画像を出力させる。画像には、例えば、定常的に表示される運転者の運転を支援するための情報に関する画像(以下、第1画像と称する)や、緊急時や所定の機能等の所定のイベントの発生時に表示される画像(以下、第2画像と称する)が含まれる。所定のイベントとは、例えば、車両Mの状態によって生じるイベントである。イベントには、運転支援制御装置200による各種機能に応じたイベントや、環境センサ166により検出された情報により発生するイベント(点検指示や警告)が含まれる。第2画像とは、例えば、車線逸脱警報に関する画像や、車両Mが前走車両に接近していることを通知する画像、衝突軽減ブレーキが作動したことを示す画像、その他のワーニング画像等である。第2画像は、第1画像に割り込ませて表示されてもよく、第1画像とともに表示されてもよい。
【0038】
また、ディスプレイコントローラ172は、表示態様制御部152により出力された制御信号に基づいて、投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節する。投射面における投射位置の調節は、ソフトウェア制御によって行われるため、モータ等を駆動するハードウェアによる駆動制御よりも速い。これにより、凹面鏡アクチュエータ182を駆動させて凹面鏡126の反射角度φを変更して俯角θを調節するよりも、速く俯角θを調節することができる。
【0039】
レンズアクチュエータ180は、光学系コントローラ170からの駆動信号を取得し、取得した駆動信号に基づいて、モータ等を駆動させて光学機構122に含まれる一以上のレンズの位置を移動する。また、レンズアクチュエータ180は、表示素子120Bの位置を画像光ILに沿って物理的に移動させてもよい。これにより、虚像視認距離Dが調節される。
【0040】
凹面鏡アクチュエータ182は、光学系コントローラ170からの駆動信号を取得し、取得した駆動信号に基づいて、モータ等を駆動させて凹面鏡アクチュエータ182をY軸回りに回転させて、凹面鏡126の反射角度φを調節する。これにより、俯角θが調節される。
【0041】
第1の実施形態において、投光装置120における可視光の透過態様(例えば表示素子120Bにおける元画像の表示位置)と、凹面鏡126の回転角度とが、運転者に視認される虚像IVの見え方を決定する。例えば、投光装置120における可視光の透過態様と、凹面鏡126の回転角度とのうち、少なくとも一方が変化すると、虚像VIの俯角θが変化する。
【0042】
運転支援制御装置200は、車両Mの運転者による運転操作を支援する運転支援機能を実行する。運転支援機能が実行される場合、例えば、車両Mは、運転者による運転操作子(例えば、ステアリングホイール10、アクセルペダル、ブレーキペダル)の操作によらずに、操舵制御または速度制御のうち、一方または双方を制御する。運転支援制御装置200は、例えば、運転支援機能として、ACCを実行する際には、車両Mに搭載される環境センサ166や物体認識装置(不図示)を介して入力される情報に基づいて、車両Mと、前走車両との車間距離を一定に保った状態で走行するように、前走車両との車間距離に基づく加減速制御(速度制御)を行う。また、運転支援制御装置200は、運転支援機能として、LKASを実行する際には、車両Mが、現在走行中の走行車線を維持(レーンキープ)しながら走行するように操舵制御を行う。また、運転支援制御装置200は、運転支援機能として、CMBSを実行する際には、車両Mと前走車両との車間距離が所定距離未満になった場合に、車両Mの減速制御または停止制御を行う。また、運転支援制御装置200は、例えば、運転支援機能の状態を表示制御装置150に出力する。また、運転支援制御装置200は、LKASやCMBSを実行する前に運転者に警告するための情報(警告情報)を表示制御装置150に出力する。警告情報とは、例えば、車線逸脱警報、前走車両接近警報等である。運転支援制御装置200により上述した各種機能が実行される場合、各種機能に応じたイベントが発生する。
【0043】
車両挙動取得装置300は、車両Mの走行中の挙動を取得する。車両Mの挙動とは、例えば、運転者の運転操作子の操作による車両Mの速度や操舵に関する情報や、環境センサ166等により検出される車両Mの傾き、車高、姿勢等の情報が含まれる。
【0044】
[表示制御装置]
次に、表示制御装置150について説明する。表示制御装置150は、例えば、画像生成部151と、表示態様制御部152と、駆動制御部153と、記憶部154とを備える。記憶部154を除く各構成要素は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め表示制御装置150のHDDやフラッシュメモリ等の記憶部154に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで表示制御装置150の記憶部154にインストールされてもよい。
【0045】
表示制御装置150は、例えば、操作スイッチ130(メインスイッチ132)によりオン状態にする信号を受け付けた場合に、画像生成部151、表示態様制御部152、および駆動制御部153のそれぞれの機能を実行可能とし、オフ状態にする信号を受け付けた場合に、上述したそれぞれの機能を停止させる。
【0046】
画像生成部151は、表示装置100がオン状態である場合に、風景に重畳させて運転者に視認させる第1画像を生成する。また、画像生成部151は、風景に重畳させる画像に第2画像を割り込ませる条件を満たす場合に、第1画像に代えて(または加えて)、第2画像を生成する。なお、表示される第1画像および第2画像の出力は、運転者が操作スイッチ130や他の操作部、または第2表示部50−2に表示されるGUI(Graphical User Interface)スイッチ等を用いて設定されてもよい。運転者により設定された設定情報は、例えば、記憶部154等に格納される。また、画像生成部151は、例えば、運転支援制御装置200により警告情報が出力された場合に、警告情報を出力するイベントの発生に基づく像要素を生成する。像要素には、例えば、コンテンツやコンテンツの内容を識別するアイコン、マーク、道路標識等が含まれる。
【0047】
表示態様制御部152は、画像生成部151により生成された画像の表示態様を設定し、設定された表示態様で画像を表示させるための制御情報を生成する。表示態様とは、風景に重畳させて運転者に視認させる画像(第1画像、第2画像)の表示の有無、表示される場合における画像の位置(俯角θ)、大きさ、輝度、虚像視認距離Dのうち表示位置によって調節する分の制御量等である。また、表示態様制御部152は、位置センサ162により検出されたレンズ位置、凹面鏡角度センサ164により検出された凹面鏡126の回転角度に基づいて、表示態様を変更する。また、表示態様制御部152は、環境センサ166により検出される情報や、運転支援制御装置200により提供される運転支援機能の内容に基づいて、表示態様を変更してもよい。表示態様制御部152は、生成した制御情報を、ディスプレイコントローラ172および駆動制御部153に出力する。
【0048】
また、表示態様制御部152は、例えば、位置補正制御部152aを備える。位置補正制御部152aは、車両Mの挙動により生じる俯角θの変動を抑制するように、投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節する。例えば、表示態様制御部152は、車両挙動取得装置300により得られる車両Mの挙動が所定の条件を満たす場合に、ディスプレイコントローラ172により投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節させて俯角θを調節するための制御情報を生成し、生成した制御情報をディスプレイコントローラ172に出力する。表示態様制御部152の機能の詳細については、後述する。
【0049】
駆動制御部153は、表示態様制御部152により出力された制御情報に基づいて、光学機構122に含まれる一以上のレンズの位置、または表示素子120Bの位置を移動させるための制御信号や、凹面鏡126の回転角度を調節させるための制御信号を生成し、生成した制御信号を光学系コントローラ170に出力する。また、駆動制御部153は、位置センサ162により検出されたレンズ位置や表示素子120Bの位置、凹面鏡角度センサ164により検出された凹面鏡126の回転角度に基づいて、表示態様制御部152により指示された位置(俯角θ、虚像視認距離D)に画像を含む虚像VIが視認されるように、制御信号を生成し、生成した制御信号を光学系コントローラ170に出力する。
【0050】
記憶部154は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。記憶部154には、例えば、設定情報、およびその他の情報が記憶される。
【0051】
次に、表示装置100により風景に重畳され、虚像VIとして運転者に視認可能な画像の一例について説明する。
図5は、風景に重畳される虚像VIの一例を示す図である。
図5の例では、表示装置100によって、フロントウインドシールド20を介して視認される風景(道路L1や標識MK等が存在する実空間の風景)と重畳される虚像VIの一例を示している。
【0052】
虚像VIには、一以上の像要素IEが含まれる。像要素IEは、例えば、上述した第1画像または第2画像が含まれる。
図5の例において、像要素IE1は、車両Mの速度を示し、第1画像の一例である。像要素IE2は方向指示、像要素IE3は実行中の運転支援機能種別、像要素IE4は標識、像要素IE5は車両Mに搭載された電話機能における電話着信を示し、それぞれが第2画像の一例である。
【0053】
表示態様制御部152は、表示装置100の起動後(オン状態)に、車両状態に応じた像要素を含む画像を投光装置120から出力させる。
図5の例を用いて具体的に説明すると、例えば、表示装置100が起動した場合、画像生成部151は、像要素IE1を生成する。この場合、表示態様制御部152は、生成された像要素IE1を運転者から見て虚像VIの右下に表示させる。
【0054】
また、車両Mが交差点付近を走行する場合、画像生成部151は、運転支援制御装置200の運転支援機能による方向指示情報の表示指示に対応する像要素IE2を含む画像を生成する。この場合、表示態様制御部152は、虚像VIの中心に像要素IE2を表示させる。また、運転支援制御装置200により車両Mが道路L1の車線を逸脱する可能性があると判断された場合に、画像生成部151は、「LKAS」の文字に対応する像要素IE3を生成する。この場合、表示態様制御部152は、生成した像要素IE3を虚像VIの左上に表示させる。また、環境センサ166により車両Mの前方の所定の標識MKが認識された場合、画像生成部151は、標識に対応する像要素IE4を生成する。所定の標識MKは、例えば、一時停止、最高速度(制限速度)、車両進入禁止、はみ出し通行禁止、一方通行等の標識である。この場合、表示態様制御部152は、生成した像要素IE4を虚像VIの左側中央に表示させる。また、画像生成部151は、車両Mに搭載された電話機能により着信を受け付けた場合に、電話の着信を示す画像に対応する像要素IE5を生成する。この場合、表示態様制御部152は、生成した像要素IE5を虚像VIの左下に表示させる。また、表示態様制御部152は、像要素IEの表示条件を満たさなくなった場合に、その像要素IEの表示を終了する。
【0055】
[表示態様制御部]
次に、表示態様制御部152の機能の詳細について図を用いて説明する。表示態様制御部152は、車両Mの挙動により生じる俯角θの変動(より具体的には、虚像VIの振れ)を抑制するための振れ補正制御を行う。
図6は、車両Mの挙動よる俯角θの変動について説明するための図である。
図6において、車両Mは、道路L1上を等速で走行しているものとし、道路L1には、段差STが存在するものとする。また、時刻T1、T2(T1<T2)のそれぞれにおける車両MをM(T1)、M(T2)で示し、俯角θをθ(T1)、θ(T2)で示すものとする。また、車両Mの左右の前輪をWfl、Wfrとし、左右の後輪をWrl、Wrrとする。
【0056】
時刻T1の場合、車両M(T1)は、水平方向に(X軸方向に沿って)走行している。この場合、表示装置100は、設定情報に基づき、運転者の視線位置P1から虚像視認距離Dだけ離れた位置で、且つ、俯角θ(T1)となる位置に虚像VIを表示しているものとする。
【0057】
ここで、時刻T2の場合、車両M(T2)は、左右の前輪Wfl、Wfrが段差STの下段に存在し、左右の後輪Wrl、Wrrが段差の上段に存在するため、車両M(T2)が前傾した状態となる。この場合、虚像VIの位置は、虚像視認距離Dが一定で、且つ、俯角が表示装置100により俯角θ(T1)に車両M(T2)の前傾した角度(例えば、車両Mに対するピッチ角に近似した角度)が加わった俯角θ(T2)の位置となる(θ(T1)<θ(T2))。このような場合には、運転者から見る虚像VIが下方向に振れるため視認性が低下する場合がある。したがって、表示態様制御部152の位置補正制御部152aは、上述したような車両Mの挙動が変化した場合に、俯角θ(T1)が一定になるような制御を行う。
【0058】
具体的には、位置補正制御部152aは、俯角θ(T1)からθ(T2)に遷移した場合の上下方向の変動幅を算出し、算出した変動幅がゼロ(0)に近似するように俯角の調節を行う。
図7は、上下方向の変動幅Wの算出例を示す図である。なお、時刻T1およびT2における車両Mの姿勢や段差STを通過したことによる振動等により、運転者の姿勢や目の位置は異なるが、その変化量は虚像視認距離Dに比べて極小であるため考慮しないものとして説明する。したがって、以下の算出から得られる変動幅Wは、実際の変動幅の近似値となる。
【0059】
図7の例において、位置補正制御部152aは、俯角θ(T1)における水平面から虚像VIの中央位置までの距離(上下方向の高さ)h1を算出する。距離h1は、例えば、h1=Dsinθ(T1)により算出される。また、位置補正制御部152aは、俯角θ(T2)における水平面から虚像VIの中央位置までの距離h2を算出する。距離h2は、例えば、h2=Dsinθ(T2)により算出される。なお、俯角θ(T2)は、例えば、環境センサ166に含まれるピッチ角センサにより検出されるピッチ角と表示態様制御部152で決定される俯角θ1とに基づいて導出されてもよく、前輪Wfl、Wfrと後輪Wrl、Wrrに設けられたハイトセンサにより検出された値に基づいて導出されてもよい。そして、位置補正制御部152aは、距離h2とh1との差分(h2−h1)により変動幅Wを算出する。
【0060】
また、位置補正制御部152aは、上述した算出手法に代えて、予め俯角θ(T1)と俯角θ(T2)との差分値または距離h2とh1との差分値に、変動幅Wが対応付けられたルックアップテーブル(LUT)を記憶部154に記憶しておき、俯角θ(T1)、θ(T2)や距離h1、h2を取得したときに、その差分値からLUTを参照して、対応付けられた変動幅Wを取得してもよい。
【0061】
位置補正制御部152aは、取得した変動幅Wがゼロ(0)に近似するように俯角θの補正制御を行うが、凹面鏡アクチュエータ182を用いて補正する場合には、モータの駆動時間等の影響で応答が遅くなる。そのため、車両Mの挙動の変化のタイミングと、俯角θの補正制御のタイミングに時間のずれが生じ、車両Mの揺れ方向とは逆に虚像VIが上下に振れ動いてしまう可能性がある。そこで、位置補正制御部152aは、応答性が高いディスプレイコントローラ172による表示制御により、投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節することで、俯角θの補正制御を行う。
【0062】
図8は、時刻T1において、運転者が視認可能な虚像VIの一例を示す図である。
図8の例では、表示可能領域A1に対する虚像VIの位置を概略的に示している。以降の類似する図面についても同様とする。時刻T1において、表示態様制御部152は、車両Mの速度を示す像要素IE1を含む虚像VIを、俯角θ(T1)の位置に表示させている。ここで、道路L1上の段差STの通過により車両Mの挙動が変化する場合、位置補正制御部152aは、その変化に応じて俯角θの振れ補正制御を行う。
【0063】
図9は、時刻T2において、運転者が視認可能な虚像VIの一例を示す図である。位置補正制御部152aは、ディスプレイコントローラ172を制御して、虚像VIの位置を変動幅Wだけ上方向に移動させるように、表示素子120Bの複数の画素により生成される像要素IE1を含む画像の位置を変更させて、変更させた位置に光を投射させる。なお、位置補正制御部152aは、上述した上方向への揺れ補正と同様に、下方向への揺れ補正も行う。これにより、位置補正制御部152aは、車両Mの挙動の変動によって生じる俯角の変動を抑制することができる。また、上述した位置補正制御部152aは、表示素子120Bによる画像の表示制御によって実現できるため応答性が高く、凹面鏡アクチュエータ182により凹面鏡126の反射角度φを調節するよりも迅速に行うことができる。そのため、車両Mの挙動の変化に対応して、より適切なタイミングで振れ補正を行うことができる。
【0064】
なお、位置補正制御部152aは、変動幅Wが閾値以上であるか否かを判定し、変動幅Wが閾値以上である場合に、上述した俯角θの補正制御を行ってもよい。
【0065】
[処理フロー]
図10は、第1の実施形態の表示装置100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図10の処理は、例えば、操作スイッチ130により表示装置100がオン状態になった後、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0066】
まず、画像生成部151は、記憶部154に記憶された設定情報等に基づいて、風景に重畳させる画像を生成する(ステップS100)。次に、表示態様制御部152は、生成された画像の表示態様を決定する(ステップS102)。次に、駆動制御部153は、表示態様制御部152により決定された表示態様に基づいて、光学系コントローラ170により凹面鏡アクチュエータ182を制御させて、表示態様で示された俯角で虚像VIが視認可能となるように、凹面鏡126の反射角度φを調節させる(ステップS104)。次に、表示態様制御部152は、ディスプレイコントローラ172により、投光装置120から表示態様に基づき生成された画像を含む光を投射させる(ステップS106)。
【0067】
ここで、表示態様制御部152は、車両挙動取得装置300により車両Mの挙動を取得し(ステップS108)、車両Mの挙動による俯角に変動が生じたか否かを判定する(ステップS110)。俯角に変動が生じたと判定された場合、位置補正制御部152aは、投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節する(ステップS112)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。また、ステップS110の処理において、車両の挙動により俯角に変動が生じない場合、本フローチャートの処理は、終了する。なお、ステップS110の処理では、数秒前の俯角の変化量に基づき、閾値以上の変化が生じた、または将来変化が生じる可能性があるかを判定してもよい。
【0068】
上述した第1の実施形態によれば、表示装置100において、二次元の投射面を有し、画像を含む光を投射する投光装置120と、光の経路上に設けられ、所定の位置から光が虚像として形成される位置までの距離を調節可能な光学機構122と、光学機構122を通過した光を反射体に向けて反射する凹面鏡126と、凹面鏡126の反射角度を調節する凹面鏡アクチュエータ182と、投光装置120および凹面鏡アクチュエータ182を制御する制御装置(表示制御装置150、光学系コントローラ170、ディスプレイコントローラ172)を備え、制御装置は、車両Mの挙動により生じる俯角θの変動を抑制するように、投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節することで、観者に、より見易い画像を表示させることができる。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、運転者から操作スイッチ130により俯角θの上下方向の操作指示があった場合は、凹面鏡アクチュエータ182を駆動させることで俯角θを調節し、車両Mの挙動により生じる俯角θの変動を抑制する場合には、投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節する。これにより、悪路等の走行中である場合に、より適切なタイミングで虚像VIの振れを抑制することができるため、観者の虚像VIの視認性を向上させることができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、表示装置の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、光学系コントローラ170による凹面鏡アクチュエータ182を駆動させた俯角θの調節と、ディスプレイコントローラによる投光装置120を用いた俯角θの調節とを組み合わせたものである。以下では、第2の実施形態の表示装置100#の説明において、第1の実施形態の表示装置100と同様の構成には、同様の名称および符号を付するものとし、ここでの具体的な説明を省略する。
図11は、第2の実施形態における表示制御装置150を中心とした表示装置100#の構成例を示す図である。表示装置100#は、表示装置100と比較すると、表示制御装置150に、表示態様制御部152に代えて表示態様制御部152#を備えるとともに、通知制御部155を備える点が異なる。また、
図11の例では、
図4に示す第1の実施形態と比較してHMI(Human Machine Interface)400を備えている。HMI400は、「通知部」の一例である。したがって、以下では、主に表示態様制御部152#、通知制御部155、およびHMI400を中心に説明する。
【0071】
HMI400は、車両Mの運転者に対して各種情報を提示すると共に、運転者による入力操作を受け付ける。HMI400は、例えば、第1表示部50−1や第2表示部50−2、その他の各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0072】
表示態様制御部152#は、表示態様制御部152と同様の機能を備える他、操作スイッチ130による調節操作に基づいて、俯角θの位置を調節するとともに、凹面鏡アクチュエータ182の駆動による凹面鏡126の駆動が限界に達した場合、さらにディスプレイコントローラ172により投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節して、俯角θを調節させる。凹面鏡126の駆動が限界に達するとは、例えば、凹面鏡126のY軸回りの回転角度が、構造上等の理由で、同方向にそれ以上回転できない限界角度に達することである。また、凹面鏡126の駆動が限界に達するとは、例えば、運転者による設定または第1の実施形態における振れ補正制御分を考慮して、虚像VIの上限または下限が設定されている場合に、その虚像VIの少なくとも一端が上限または下限に達することである。
【0073】
図12は、凹面鏡126の駆動が限界に達した場合の虚像VIの位置を説明するための図である。なお、
図12の例では、表示可能領域A1において、運転者により虚像VIの表示の上限ULが設定されているものとする。例えば、表示態様制御部152#は、調節スイッチ134により、虚像VIの位置を上方向に移動させる指示を受け付けて、受け付けた指示に基づいて、虚像VIの位置を表示可能領域A1の上方向に移動させる。ここで
図12に示すように、虚像VIの上端が上限ULに達した場合であって、且つ、調節スイッチ134による上方向への調節操作が継続している場合、表示態様制御部152#は、投光装置120により上限ULよりも上方向への移動を実行する。なお、表示態様制御部152#は、上述した条件で、さらに投光装置120により俯角θを調節する場合に、俯角θの調節を行うかを運転者に問い合わせもよい。
【0074】
図13は、HMI400に表示される問い合わせ画面の一例を示す図である。通知制御部155は、凹面鏡アクチュエータ182の駆動により上限ULに達した場合に、
図13に示すような画像IMを生成し、生成した画像IMを第2表示部50−2に表示させる。
図13に示す画像IMには、虚像VIの表示を更に上方向に移動させるかを問い合わせる問い合わせ情報と、上方向への移動を許可するアイコンIC1と、拒否するアイコンIC2とが含まれる。
【0075】
ここで、運転者によりアイコンIC1が選択された場合、表示態様制御部152#は、さらに投光装置120の制御により虚像VIの位置を上方向に移動させる。
図14は、投光装置120の制御により上限ULよりも上方向に移動した虚像VIについて説明するための図である。表示態様制御部152#は、運転者によりアイコンIC1が選択された場合、
図14に示すように、虚像VIの位置を、上限ULよりも上方向に移動させる。なお、第2の実施形態では、運転者への問い合わせを行わずに、投光装置120による虚像VIの上方向への移動制御を行ってもよい。なお、運転者によりアイコンIC2が選択された場合には、投光装置120による虚像VIの上方向への移動制御を行わない。このように、第2の実施形態によれば、虚像VIの表示位置を拡大させることができる。また、
図13に示すような問い合わせを行うことで、運転者が視認したい位置に虚像VIを表示させることができる。
【0076】
また、第2の実施形態において、表示態様制御部152#は、まず、投光装置120により、俯角θを調節した後に、凹面鏡アクチュエータの駆動による凹面鏡のY軸回りの回転角度を調節して俯角θを調節してもよい。これにより、虚像VIの初期移動のタイミングを速めることができる。
【0077】
また、表示態様制御部152#は、投光装置120により俯角θを調節した後に、凹面鏡アクチュエータ182による俯角θの調節を追従させてもよい。
図15は、投光装置120による俯角変化と、凹面鏡アクチュエータ182による俯角変化を説明するための図である。
図15の横軸は、時刻Tを示し、縦軸は俯角θを示している。例えば、表示態様制御部152#は、時刻Taのタイミングで俯角の位置の変更指示を受け付けると、ディスプレイコントローラ172により投光装置120を制御させて、俯角θを現在の角度から+θ1だけ移動させる。また、表示態様制御部152#は、凹面鏡アクチュエータ182により俯角の位置を+θ1だけ移動させるための制御を実行させる。ここで、表示態様制御部152#は、凹面鏡角度センサ164により検出された凹面鏡126の角度に基づいて、凹面鏡126による俯角θの変化に応じて、ディスプレイコントローラ172により投光装置120による俯角を調節させて、投光装置120と凹面鏡アクチュエータ182とのそれぞれの俯角制御によって俯角(+θ1)を維持させる制御を行う。また、凹面鏡アクチュエータ182の駆動により俯角θが変更前の角度から+θ1だけ移動できた時刻Tbで投光装置120による俯角制御は終了する。このように、車両Mの挙動により生じる変動を抑制する以外の用途で投光装置120による俯角の調節を行うことで、表示される虚像VIを運転者に見易く表示させることができる。
【0078】
[処理フロー]
図16は、第2の実施形態の表示装置100#により実行される処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図16の処理は、例えば、操作スイッチ130により表示装置100#がオン状態になった後、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0079】
まず、画像生成部151は、記憶部154に記憶された設定情報等に基づいて、風景に重畳させる画像を生成する(ステップS200)。次に、表示態様制御部152#は、生成された画像の表示態様を決定し(ステップS202)、決定した表示態様に基づいて表示可能領域A1内に虚像VIを表示させる(ステップS204)。
【0080】
次に、表示態様制御部152#は、操作スイッチ130による俯角の調節操作を受け付け(ステップS206)、受け付けた調節操作内容に基づいて、凹面鏡アクチュエータ182を駆動させ、凹面鏡126をY軸回りに回転させて反射角度φを調節し、俯角θを変更する(ステップS208)。次に、表示態様制御部152#は、凹面鏡126のY軸回りの回転角度が限界に達したか否かを判定する(ステップS210)。限界に達している場合、通知制御部155は、HMI400を用いて更に俯角の変更を行うか否かの問い合わせを行う(ステップS212)。次に、表示態様制御部152#は、問い合わせ結果に基づいて、投光装置120による俯角の変更を実行するか否かを判定する(ステップS214)。俯角の変更を実行する場合、表示態様制御部152#は、ディスプレイコントローラ172により投光装置120から投射させる光の投射面における投射位置を調節させて、俯角を変更する(ステップS216)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。また、ステップS210の処理において、限界に達していない場合、またはステップS214の処理において、投光装置120による俯角の変更を実行しない場合、本Hローチャートの処理は、終了する。
【0081】
上述した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、凹面鏡アクチュエータ182を駆動させた俯角θの調節と、ディスプレイコントローラによる投光装置120を用いた俯角θの調節とを組み合わせることで、虚像VIを広範囲かつ迅速に移動させることができる。したがって、車両Mの挙動に応じて、より適切な位置に虚像VIを視認させることができる。
【0082】
上述した第1および第2の実施形態は、他の実施形態の一部または全部を組み合わせてもよい。また、表示装置100および100#は、フロントウインドシールド20に直接画像を投影するのに代えて、運転者の位置とフロントウインドシールド20との間に設けられるコンバイナ等の光透過性反射部材に画像を投影してもよい。
【0083】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。