特許第6794427号(P6794427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794427管理式比例定量装置及び定量ポンプの管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794427
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】管理式比例定量装置及び定量ポンプの管理方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 13/00 20060101AFI20201119BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20201119BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F04B13/00 Z
   F04B49/06 311
   F04B49/10 311
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-506221(P2018-506221)
(86)(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公表番号】特表2018-523777(P2018-523777A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】IB2016054171
(87)【国際公開番号】WO2017021801
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年6月24日
(31)【優先権主張番号】1557578
(32)【優先日】2015年8月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516205982
【氏名又は名称】ドザトロン アンテルナシオナール
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】シャリエール,クリストフ
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−545005(JP,A)
【文献】 米国特許第04809731(US,A)
【文献】 国際公開第2008/142741(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02303885(GB,A)
【文献】 特開2011−149937(JP,A)
【文献】 特許第4018544(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 13/00
F04B 49/06
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体定量ポンプ(1)を備えている管理式比例定量装置であって、
前記液体定量ポンプは、
入口(12)と、
出口(13)と、
吸引ノズルであって、第1の吸引弁(14)を備え、一方の端部が前記ポンプ内部の混合室と連通し、もう一方の端部が吸引する製品の容器と連通する、吸引ノズル(16)と、
往復運動を行うのに適した部品を有する油圧モータとを備え、
前記ポンプの入口に液体を供給して前記部品の往復運動を起こし、この運動によって、前記部品が前記ノズル(16)から離れたときに前記第1の吸引弁(14)が開くことで前記ノズルを通って前記混合室まで吸引し、その後、前記部品が前記ノズルに近づいたときに前記第1の吸引弁が閉まることで前記ポンプの出口(13)から吐出することが交互に起こり、
前記定量装置は、吸引する容量を調整する機構(11)も備えている、管理式比例定量装置において、
前記定量装置は、検知手段一式をさらに備え、前記一式には、少なくとも、
前記第1の吸引弁(14)と前記混合室との間に配置された、前記ノズル内の圧力変化を検知する手段(3)、
容器内部の吸引する製品の高さを測定する探針(6)、
どの定量が選択されたのかを明らかにするために、吸引する容量を調整する機構(11)の位置を算出する手段(22)、
前記検知手段から得たデータを処理し、記録し、視覚化するマンマシンインターフェース(4)
が含まれることを特徴とする、管理式比例定量装置。
【請求項2】
前記ノズル内の圧力変化を検知する前記手段(3)は、前記ノズルの内部と流体連通している第1の容積部(34)と、閉鎖していて前記第1の容積部と隣接し、可撓性膜(33)によって前記第1の容積部と隔てられている第2の容積部(31)と、前記第2の容積部にある圧力センサ(32)とを少なくとも備え、それによって前記第1の容積部への液体供給が変化することで前記膜の変形が起こり、その結果、閉鎖した前記第2の容積部で圧力変化が起こることを特徴とする、請求項1に記載の比例定量装置。
【請求項3】
前記定量ポンプの入口(12)に水量計(7)を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の比例定量装置。
【請求項4】
前記混合室の入口には第2の吸引弁(14’)が配置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の比例定量装置。
【請求項5】
マンマシンインターフェースは、警報機構に接続できる出力口(42)を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の比例定量装置。
【請求項6】
前記検知手段一式は、前記油圧モータの周期計数手段(5)を備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の比例定量装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する方法であって、前記装置が、油圧モータの周期計数手段を備え、前記定量ポンプの入口(12)に水量計(7)を備えている、定量ポンプを管理する方法において、
どの定量が選択されたのかを明らかにするために、吸引した容量を調整する機構の位置を測定する工程、
前記ポンプが稼働中のときに、前記ポンプの入口に入った水量、及び容器内の製品容量の変化を、時間長さT0にわたって算出する次の工程、
時間長さT0にわたって吸引された製品の理論値を、前記調整機構に対して算出した位置及び前記ポンプの入口に入った水量から計算する次の工程、
時間長さT0にわたって吸引された製品の前記理論値を前記容器内の製品容量の変化と比較する次の工程
を含むことを特徴とする、定量ポンプを管理する方法。
【請求項8】
前記ポンプの入口に入った水量を時間長さT0にわたって算出することは、前記水量計(7)を用いる測定によって実施することを特徴とする、請求項7に記載の定量ポンプを管理する方法。
【請求項9】
前記ポンプの入口に入った水量を時間長さT0にわたって算出することは、前記油圧モータの周期計数手段(5)から推定することによって実施することを特徴とする、請求項7に記載の定量ポンプを管理する方法。
【請求項10】
容器内の製品容量の変化を時間長さT0にわたって算出することは、容器内部の吸引する製品の高さを測定する前記探針(6)を用いて測定することによって実施することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の定量ポンプを管理する方法。
【請求項11】
容器内の製品容量の変化を時間長さT0にわたって算出することは、前記ノズル内の圧力変化を検知する前記手段(3)から推定することによって実施することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の定量ポンプを管理する方法。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する方法であって、前記装置が、油圧モータの周期計数手段を備え、前記定量ポンプの入口(12)に水量計(7)を備えている、定量ポンプを管理する方法において、
前記ポンプが稼働中のときに、前記ポンプの入口に入った水量を、前記水量計(7)を用いて時間長さT0にわたって測定する工程、
前記油圧モータに対して計数した周期数から、時間長さT0にわたって前記ポンプの入口に入った水量を推定する工程、
時間長さT0にわたって前記ポンプの入口に入った水量の前記推定値を前記測定値と比較する次の工程
を含むことを特徴とする、定量ポンプを管理する方法。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する方法であって、前記装置が、油圧モータの周期計数手段を備えている、定量ポンプを管理する方法において、
前記ポンプが稼働中のときの前記油圧モータの周期数を計数する工程、
前記ノズル内の圧力変化を検知する前記手段(3)を用いて吸引周期数を算出する工程、
前記油圧モータの周期数を前記吸引周期数と比較する次の工程
を含むことを特徴とする、定量ポンプを管理する方法。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する方法であって、
どの定量が選択されたのかを明らかにするために、吸引した容量を調整する前記機構の位置を測定する工程、
前記ポンプが稼働中のときに、容器内の製品容量の変化を前記ノズル内の圧力変化を検知する前記手段(3)を用いて時間長さT0にわたって推定する工程、
を含むことを特徴とする、定量ポンプを管理する方法。
【請求項15】
前記ポンプが稼働中のときに、容器内の製品容量の変化を前記探針()を用いて時間長さT0にわたって測定する工程、
時間長さT0にわたって吸引された製品の前記推定値を容器内の製品容量の変化と比較する次の工程
を含むことを特徴とする、請求項14に記載の定量ポンプを管理する方法。
【請求項16】
前記定量ポンプの入口(12)の水流量は、5L/H〜30m3/Hであり、前記ノズル(16)の流量は0.02L/H〜600L/Hであることを特徴とする、請求項7〜15のいずれか1項に記載の定量ポンプを管理する方法。
【請求項17】
前記比較工程で不一致がある場合に警報を発動することを特徴とする、請求項15に記載の定量ポンプを管理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧モータを有する種類のポンプと、このポンプの動作を検知する手段一式とを備えている管理式比例定量装置に関する。また、本発明は、そのような定量装置を使用して定量ポンプを管理する方法一式にも関する。
【背景技術】
【0002】
この種のポンプの動作を制御することは公知である。例を挙げると、仏国特許第2965864A1号明細書には、吸引ノズルを有する種類の定量ポンプが記載され、吸引ノズルは、中でピストンが往復運動に従って移動できる作動室と連通している第1の吸引弁を備え、ピストンがノズルから離れたときに吸引弁が開くことで吸引が起こり、ピストンがノズルに近づいたときに第1の吸引弁が閉まって液体が出口弁を通って出ることで送出が起こる。このポンプは、さらに詳細には、第1の吸引弁と作動室との間に、ノズル内の圧力変化を検知できる装置を備え、この装置は、一方の端部が作動室に接続していてもう一方の端部に吸引弁を備えている導管を備えているとともに、導管の壁に取り付けられた導管内の圧力を感知する手段も備えている。そのため、データのコンピュータ処理によって、装置に記録された圧力変化から、様々な動作パラメータ、例えば現実時間での定量計算、定量ポンプの使用時間、化学製品の消費などのほか、故障数も明らかにすることが可能である。
【0003】
しかしながら、圧力変化の検知は、吸引ノズルに供給される流量が少ない場合は必ずしも確実ではないことがわかっている。この課題に加えて、仏国特許第2965864A1号明細書に記載されている圧力変化を検知できる装置は、粉末を含んでいてその希釈が不確かな薬物溶液を定量する場合には弱点があるという問題もある。最後に、この装置は、定量ポンプによる吸引の確実性に全体の焦点を当てており、油圧モータの機能障害という問題には触れていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許第2965864A1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1971776A1号明細書
【特許文献3】欧州特許第1971774A1号明細書
【特許文献4】国際特許出願第20012/046162号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本発明の目的は、とりわけわずかな流量を適用して定量ポンプの動作をより完全に管理できる装置及びその方法一式を提案して、前述の欠点の全部又は一部を緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
さらに詳細には、本発明は、液体定量ポンプを備えている管理式比例定量装置であって、前記定量ポンプは、入口と、出口と、吸引ノズルであって、第1の吸引弁を備え、一方の端部が前記ポンプ内部の混合室と連通し、もう一方の端部が吸引する製品の容器と連通する、吸引ノズルと、往復運動を行うのに適した部品を有する油圧モータとを備え、前記ポンプの入口に液体を供給して前記部品の往復運動を引き起こし、この運動によって、前記部品が前記ノズルから離れたときに第1の吸引弁が開くことで前記ノズルを通って前記混合室まで吸引し、その後、前記部品が前記ノズルに近づいたときに第1の吸引弁が閉まることで前記ポンプの出口から吐出することが交互に起こり、前記定量装置は、前記ノズルの流量を調整する機構も備えている、管理式比例定量装置において、前記定量装置は、検知手段一式をさらに備え、前記一式には、少なくとも、
− 第1の吸引弁と前記混合室との間に配置された、前記ノズル内の圧力変化を検知する手段、
− 吸引する製品の容器の高さを測定する探針、
− 吸引する容量を調整する機構の位置を算出する手段、
− 前記検知手段から得たデータを処理し、記録し、視覚化するマンマシンインターフェース
が含まれることを特徴とする、管理式比例定量装置を目的とする。
【0007】
補足又は代替となる本発明の任意選択の特徴を以下に述べる。
【0008】
前記管理式比例定量装置は、前記入口に水量計を備えていてもよい。
【0009】
前記ノズル内の圧力変化を検知する手段は、前記ノズルの内部と流体連通している第1の容積部と、閉鎖していて第1の容積部と隣接し、可撓性膜によって第1の容積部と隔てられている第2の容積部と、第2の容積部にある圧力センサとを少なくとも備えていてもよく、それによって第1の容積部への液体供給が変化することで膜の変形が起こり、その結果、閉鎖した第2の容積部で圧力変化が起こる。
【0010】
前記圧力センサは、圧電型あるいは容量型のセンサであってもよい。
【0011】
作動室の入口には第2の吸引弁を配置してもよい。
【0012】
前記マンマシンインターフェースは、警報機構に接続できる出力口を備えていてもよい。
【0013】
前記検知手段一式は、油圧モータの周期計数手段を備えていてもよい。
【0014】
本発明は、本発明による比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する第1の方法であって、前記装置が、油圧モータの周期計数手段を備え、前記入口に水量計を備えている、方法において、
− 吸引した容量を調整する機構の位置を測定する工程、
− 前記ポンプが稼働中のときに、前記ポンプの入口に入った水量、及び容器内の製品容量の変化を、時間長さT0にわたって算出する次の工程、
− 時間長さT0にわたって吸引された製品の理論値を、前記調整機構に対して算出した位置及び前記ポンプの入口に入った水量から計算する次の工程、
− 時間長さT0にわたって吸引された製品の理論値を容器内の製品容量の変化と比較する次の工程
を含むことを特徴とする、方法も目的とする。
【0015】
補足又は代替となる本発明の任意選択の特徴を以下に述べる。
【0016】
特定の特徴によれば、前記ポンプの入口に入った水量を時間長さT0にわたって算出することは、前記水量計を用いる測定によって実施する。
【0017】
他の特徴によれば、前記ポンプの入口に入った水量を時間長さT0にわたって算出することは、前記油圧モータの周期計数手段から推定することによって実施する。
【0018】
さらに他の特徴によれば、容器内の製品容量の変化を時間長さT0にわたって算出することは、容器の高さを測定する前記探針を用いて測定することによって実施する。
【0019】
さらに他の特徴によれば、容器内の製品容量の変化を時間長さT0にわたって算出することは、前記ノズル内の圧力変化を検知する手段から推定することによって実施する。
【0020】
本発明は、本発明による比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する第2の方法であって、前記装置が、油圧モータの周期計数手段を備え、前記入口に水量計を備えている、方法において、
− 前記ポンプが稼働中のときに、前記ポンプの入口に入った水量を、前記水量計を用いて時間長さT0にわたって測定する工程、
− 前記油圧モータに対して計数した周期数から、時間長さT0にわたって前記ポンプの入口に入った水量を推定する工程、
− 時間長さT0にわたって前記ポンプの入口に入った水量の推定値を測定値と比較する次の工程
を含むことを特徴とする、方法も目的とする。
【0021】
本発明は、本発明による比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する第3の方法であって、前記装置が、油圧モータの周期計数手段を備えている、方法において、
− 前記ポンプが稼働中のときの前記油圧モータの周期数を計数する工程、
− 前記ノズル内の圧力変化を検知する前記手段を用いて吸引周期数を算出する工程、
− 前記油圧モータの周期数を前記吸引周期数と比較する次の工程
を含むことを特徴とする、方法も目的とする。
【0022】
本発明は、本発明による比例定量装置に使用する定量ポンプを管理する第4の方法であって、前記装置が、油圧モータの周期計数手段を備えている、方法において、
− 吸引した容量を調整する前記機構の位置を測定する工程、
− 前記ポンプが稼働中のときに、容器内の製品容量の変化を前記ノズル内の圧力変化を検知する手段を用いて時間長さT0にわたって推定する工程、
を含むことを特徴とする、方法も目的とする。
【0023】
補足又は代替となる本発明の任意選択の特徴を以下に述べる。特定の特徴によれば、本方法は、
− 前記ポンプが稼働中のときに、容器内の製品容量の変化を、前記探針を用いて時間長さT0にわたって測定する工程、
− 時間長さT0にわたって吸引された製品の推定値を容器内の製品容量の変化と比較する次の工程
を含む。
【0024】
概して本発明は、前記入口の水流量が広範囲のものに適用され、その流量は、5L/H〜30m/Hであってよく、前記ノズル(16)の流量は0.02L/H〜600L/Hである。
【0025】
有利には、上記の管理方法は、比較工程で不一致がある場合に警報を発動することを構想してもよい。
【0026】
本発明のその他の利点及び特性は、何ら限定的ではない使用及び実施形態の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態による管理式比例定量装置の概略図である。
図2】このような定量装置の詳細図である。
図3】このような定量装置の別の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に記載する実施形態は、何ら限定的なものではなく、とりわけ、記載した特徴のうちの一選択肢しか含んでいない本発明の変形例は、特徴のうちのその選択肢が先行技術と比較して技術的利点をもたらす、あるいは本発明を区別するのに十分であれば、記載したその他の特徴とは切り離して考えてよい(その選択肢がこのその他の特徴を含む文中で切り離されていたとしても)。その選択肢は、少なくとも1つの特徴、好ましくは構造上の詳細を含まないか構造上の詳細の一部のみを含む機能上の特徴を含んでいることになる。ただし、その部分のみで先行技術と比較して技術的利点をもたらすか、本発明を区別するのに十分な場合である。
【0029】
簡潔かつ明瞭にするために、対応する要素には異なる図でも同じ符号を付している。
【0030】
図1は、管理式比例定量装置の一実施形態を示している。この管理式比例定量装置は、入口12、出口13、及び吸引ノズル16を有する液体定量ポンプ1を備えている。この吸引ノズルは、第1の吸引弁14を備え、この第1の吸引弁は、一方の端部がポンプの下にある混合室(図示せず)と連通し、もう一方の端部が吸引する製品容器(図示せず)と連通する。
【0031】
定量ポンプ1は、往復運動を起こすのに適した部品を有する油圧モータを備えている種類のもので、前記ポンプの入口に液体を供給して前記部品の往復運動を引き起こし、この運動によって、前記部品がノズル16から離れたときに第1の吸引弁14が開くことで前記ノズルを通って前記混合室まで吸引し、その後、前記部品が前記ノズルに近づいたときに第1の吸引弁が閉まることで前記ポンプの出口13から吐出することが交互に起こる。
【0032】
前記油圧モータは、欧州特許第1971776A1号明細書に記載の種類のものであってもよい。
【0033】
この油圧モータは、本体及び蓋を含む外装と、本体と蓋との間の外装内で往復運動を行うのに適した分離手段とを備え、この分離手段は2つの室を画定している。油圧モータは、液体を供給して前述の室から吐出するための油圧式切替手段も備えている。この切替手段は、2箇所の安定した位置になることが可能で分離手段の移動によって制御される分配部品も備えている。その上、外装の本体は、圧力によって液体が到達する場所につながっている区画を内包しており、その中には切替手段が収容されているほか、分離手段に接続している押しボタンを備えている起動手段も収容され、この起動手段は、行程の最後に弾性手段の作用によって切替手段の位置を瞬時に変えて行程を逆にするのに適している。前記分配部品は、前記外装の本体に対して固定された平面板に当接している分配滑り弁を備え、前記分配滑り弁は、前記外装の室と液体の出口にそれぞれつながっている孔を有する板に対してパッキンなしで気密性を保って摺動できる。そのため、滑り弁は、その位置に応じて、いくつかの孔を閉じたり、孔を流体到達部又は吐出部と連通させたりするように構想されている。
【0034】
前記油圧モータは、欧州特許第1971774A1号明細書に記載されている種類のものであってもよい。
【0035】
その場合、油圧モータは、外装と、外装内を往復運動しながら摺動するのに適しているピストンであって、外装を2つの室に分離するピストンと、液体を供給し、ピストンによって分離された室から吐出するための油圧式切替手段とを備えている。この切替手段は、ピストンの移動によって制御され、2つの安定した位置になることができる分配部品に作用する少なくとも1つの連接棒を有する。前記油圧モータは、起動手段をさらに備え、この起動手段は、ピストンの行程最後に弾性手段の作用によって切替手段の位置を瞬時に変えて行程を逆にするのに適した押しボタンを有する。前記弾性手段は、各々の端部で関節連結部品と一体化し、この関節連結部品はそれぞれ、油圧モータの小連接棒及びもう1つの可動片に設けられた収容部に受け入れられ、各々の収容部は、収容部内で弾性手段によってかけられる力の方向とはほぼ逆の方向に沿って開き、それによってこの力に逆らって開いている収容部から各関節連結部品を取り出すことができる。
【0036】
前記定量装置は、ノズル16に吸引された容量を調整する機構11も備えている。この機構は、図3に描かれており、定量ポンプの本体110をそのジャケット114内で駆動させる調節ナット112を働かせる。油圧モータの上死点では、定量用のプランジャ113及びパッキン111は定量ポンプの本体110から離れるため、定量行程は、程度の違いはあるが長い。そのため、吸引される容量は、程度の違いはあるが多い。一周期に対する水量はほぼ一定のため、定量は、程度の違いはあるが有効である。
【0037】
前記定量装置は、検知手段一式をさらに備え、この一式には、少なくとも以下に列挙した要素が含まれる。すなわち、
− 第1の吸引弁14と混合室との間に配置される、ノズル16内の圧力変化を検知する手段3、
− 吸引する製品の容器の高さを測定する探針6、
− 吸引する容量を調整する機構11の位置を算出する手段22、
− 検知手段から得たデータを処理し、記録し、視覚化するマンマシンインターフェース4である。
【0038】
前記ノズル内の圧力変化を検知する手段に関して、ノズルの壁の一部に設置した膜、及び圧力変化によって起きた膜の移動を検知する手段を用いることができる。
【0039】
前記膜の移動を検知する手段は、国際特許出願第20012/046162号明細書に記載されている種類のものであってもよい。その場合、この手段は、膜に接続している指部によって作動する探触子の移動を観察する光学センサを備えていてもよい。膜の移動を検知する手段は、特にホール効果による誘導性の移動を感知するセンサを備えていてもよい。
【0040】
有利には、膜の移動を検知する手段には、使用した溶液に潜在する化学浸食を受けにくい材料を用いる。
【0041】
有利には、圧力変化を検知する手段は、図2に示したように、ノズルの内部と流体連通している第1の容積部34と、閉鎖していて第1の容積部と隣接し、可撓性膜33によって第1の容積部と隔てられている第2の容積部31と、第2の容積部にある圧力センサ32とを少なくとも備えることが可能であることが好ましい。このようにすると、第1の容積部34への液体供給に変化が起きたとき、すなわち液体が容器からポンプ1の作動室へ送出されたとき、膜の変形が生じる。したがって、閉鎖した第2の容積部31の容積は変化し、それによってこの閉鎖した容積部に入っているガスの圧力が変化していく。センサ32が記録するのはこの圧力変化である。この構成には、ごくわずかな圧力変化を検知するという特定の利点があり、これは先行技術で公知の装置では必ずしも可能なことではない。
【0042】
有利には、作動室の入口には第2の吸引弁14’を配置する。このようにすると、ノズル内の液体の変化は、周期に確実に関係し、弁14と14’がほぼ同期する開閉に従う。換言すれば、ノズル16内の圧力変化は、逆流現象又は作動室から来る他の現象に妨害されない。
【0043】
前記圧力センサは、圧電型あるいは容量型のセンサであってもよい。
【0044】
有利には、定量ポンプの入口12に水量計7を配置してもよい。このようにすると、装置の管理の幅を広げることができる。
【0045】
入口12の水量計7に関しては、この水量計の代わりに他のごく一般的な手段を用いてもよい。
【0046】
吸引する液体が収容されている容器の高さを測定できる探針6は、ノズルとは別の管で構成されていてもよく、その一方の端部は、容器の中に浸漬させるように構成され、もう一方の端部は、吸引ノズルに対して固定された状態で容器の外部に留まる。このもう一方の端部は閉鎖され、管内の空気圧のセンサを備え、このセンサは、出口で電気信号を発信する。
【0047】
吸引する容量を調整する機構11の位置を算出する手段は、枠2の可動部分21に取り付けられた位置センサ22で構成されてもよく、この位置センサは、枠の固定部分20でポンプの本体と一体化している。
【0048】
マンマシンインターフェース4は、前記検知手段から得たデータを処理し、記録し、視覚化するボタンを含む画面41を備えている。処理、記録及び視覚化の動作は、プロセッサ40によって行われる。
【0049】
有利には、データの伝送、記憶装置への記録及びソフトウェアの更新ができるように、USB出力口43を配置してもよい。同じくマンマシンインターフェースは、警報機構に接続できる出力口42を備えている。
【0050】
任意選択として、前記検知手段一式は、前記油圧モータの周期計数手段5を備えていてもよい。この手段は、「リード」型のスイッチの形態を取ることができ、このスイッチは、欧州特許第1971776A1号に記載されている分離手段あるいは欧州特許第1971774A1号に記載されているピストンの往復運動数を計数できる。
【0051】
前述したような比例定量装置は、定量ポンプ1が動作する様々な点を管理するように使用され得る。
【0052】
実施工程に従えば、実際の定量が確実に、吸引する容積を調整する機構11を調節する際に最初に求められた定量であるかどうかを制御することが可能である。また、前記油圧モータに関して、前記定量ポンプが行った吸引に関して機能障害がないかどうかを制御する、あるいは添加剤の容器が単に空でないかどうかを確認することも可能である。
【0053】
前記油圧モータの周期計数手段を備えている、本発明による比例定量装置を使用することで、以下のように定量を制御することが可能になる。
【0054】
第1の工程では、吸引された容積を調整する機構の位置を測定し、どの定量が選択されたのかを明らかにする。この測定は、吸引する容積を調整する機構11の位置を算出する手段22を用いて行われる。
【0055】
前記ポンプが稼働中である次の工程では、前記ポンプの入口に入った水量、及び容器内の製品容量の変化を時間長さT0にわたって算出する。
【0056】
一変形例によれば、前記ポンプの入口に入った水量を時間長さT0にわたって算出することは、水量計7を用いて直接測定することで実施する。
【0057】
あるいは、前記ポンプの入口に入った水量を時間長さT0にわたって算出することは、油圧モータの周期計数手段5から推定することによって実施する。
【0058】
一方、容器内の製品容量の変化は、ノズル内の圧力変化を検知する手段3から推定され得る。
【0059】
あるいは、容器内の製品容量の変化は、容器の高さを測定する探針6を用いて直接測定されてもよい。
【0060】
次に、調整機構を測定した位置及びポンプの入口に入った水量から、時間長さT0にわたって吸引された製品の理論値を計算する。
【0061】
最後に、時間長さT0にわたって吸引された製品の理論値を容器内の製品容量の変化と比較する。2つの値は同じはずである。
【0062】
前記油圧モータの周期計数手段を備えている、本発明による比例定量装置を使用することで、定量ポンプの油圧モータの動作も管理できる。
【0063】
前記ポンプが稼働中である工程では、前記ポンプの入口に入った水量を、水量計7を用いて時間長さT0にわたって測定する。
【0064】
その後、油圧モータの周期計数手段5を用いて時間長さTにわたって油圧モータに対して計数した周期数から、時間長さT0にわたって前記ポンプの入口に入った水量を推定する。
【0065】
最後に、時間長さT0にわたって前記ポンプの入口に入った水量の推定値を測定値と比較する。2つの値は同じはずである。
【0066】
この種の管理により、油圧モータの欠陥具合(漏れ、部品の破損など)を明らかにすることができる。
【0067】
前記油圧モータの周期計数手段5をさらに備えている、本発明による比例定量装置を使用することで、定量ポンプの動作も管理できる。
【0068】
まず、前記ポンプが稼働中のときの前記油圧モータの周期数を計数する。
【0069】
その後、前記ノズル内の圧力変化を検知する手段3を用いて吸引周期数を算出する。
【0070】
最後に、前記油圧モータの周期数を吸引周期数と比較する。2つの値は同じはずである。
【0071】
本発明による比例定量装置を使用することで、定量ポンプの動作も管理でき、これは周期計数手段5に頼ることなく可能である。
【0072】
この管理方法は、
− 吸引した容量を調整する前記機構の位置を手段22を用いて測定する工程、
− 前記ポンプが稼働中のときに、容器内の製品容量の変化を、前記ノズル内の圧力変化を検知する手段3を用いて時間長さT0にわたって推定する工程、
− 前記ポンプが稼働中のときに、容器内の製品容量の変化を、探針6を用いて時間長さT0にわたって測定する工程、
− 時間長さT0にわたって吸引された製品の推定値を容器内の製品容量の変化と比較し、2つの値が同じになるはずの次の工程
を含む。
【0073】
有利には、本方法は、比較結果に不一致がある場合に警告する工程を含んでいてもよい。これは、警報機構に接続できる出力口42を備えているマンマシンインターフェースがあることで可能になる。
【0074】
比較例として、本出願人は本発明の装置を、水車式流量計を有する装置及びフロースイッチを有する装置と比較した。これは特に、ノズル内の圧力変化を検知する手段がノズル内のわずかな流量に対して作動するかどうかを判断することが焦点であった。その際に選択した試験範囲は、ノズルの流量範囲である0.1L/H〜250L/Hであった。
【0075】
【表1】
【0076】
上表から明らかなように、定量ポンプの管理は、定量ポンプの入口12への水流量が5L/H〜30m/Hである場合に介入し得る。
【0077】
5L/Hの入口流量に対して0.2%のごくわずかな定量にすると、0.02L/Hの微量なノズルの流量に対して装置の動作を管理することが可能である。
【0078】
30mの入口流量に対して1%の定量にすると、600L/Hの多量のノズルの流量に対して装置の動作を管理することが可能である。
【0079】
とりわけ広いこの範囲を包含している装置は現時点では他になく、水車式あるいは「フロースイッチ」式の流量計はこれよりも狭い範囲で動作している。
【0080】
また、粒子に弱い(摩耗する危険性がある)一部の流量測定装置とは異なり、本発明の装置では、膜があることにより水溶液中の粉末を劣化させずに通過させることが可能になる。
【0081】
当然ながら、本発明は上記の例に限定されず、本発明の範囲を逸脱しない限りこれらの例に多くの修正を加えてもよい。また、本発明の様々な特徴、形態、変形例は、それが互いに併用できない又は排他的でない限り、様々な組み合わせに従って互いに関連付けられていてもよい。

図1
図2
図3