特許第6794428号(P6794428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794428部品を骨に一時的に取り付けるためのデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794428
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】部品を骨に一時的に取り付けるためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/10 20160101AFI20201119BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A61B90/10
   A61B17/56
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-506594(P2018-506594)
(86)(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公表番号】特表2018-522678(P2018-522678A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】US2016045607
(87)【国際公開番号】WO2017027331
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2019年5月28日
(31)【優先権主張番号】14/824,586
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バーテルメ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クロウフォード,ニール アール.
(72)【発明者】
【氏名】フォスター,ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】メジャー,クリス
(72)【発明者】
【氏名】セオドア,ニコラス
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−502572(JP,A)
【文献】 特表2008−507361(JP,A)
【文献】 特表2002−541966(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0142628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/10
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術装置を骨構造に一時的に装着するための取付具であって、
挿入デバイスによって押し込まれるように構成された上面を有するベース部材と、
前記ベース部材から下方に延び、骨構造と係合するように構成された複数の細長いプロングであって、前記複数の細長いプロングは各々、互いにある距離で離間され、前記複数の細長いプロングは、前記骨構造の中に下方に打ち込まれると、互いに向かって内方に移動するように構成される、複数の細長いプロングと、を備え
前記複数の細長いプロングは各々、そこから延び、前記骨構造内への前記取付具の過挿入を防止するための止め具としての役割を果たすように構成された突起部を含む、取付具。
【請求項2】
前記取付具は、前記骨構造との複数の固定点を有する、請求項1に記載の取付具。
【請求項3】
前記複数の細長いプロングは、前記ベース部材から延びる4つ以上のプロングを含む、請求項1に記載の取付具。
【請求項4】
前記突起部は、丘形状の隆起部の形態である、請求項に記載の取付具。
【請求項5】
前記複数の細長いプロングは、前記ベース部材の長さを超える長さで延びる、請求項1に記載の取付具。
【請求項6】
前記複数の細長いプロングは、第1のプロング及び第2のプロングを含み、前記第1のプロングから前記第2のプロングへの遷移は、前記骨構造内への前記取付具の過挿入を防止するための最終止め具を提供するためにアーチ状である、請求項1に記載の取付具。
【請求項7】
前記複数の細長いプロングは、第1のプロング、第2のプロング、第3のプロング、及び第4のプロングを含み、前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間の第1のアーチ状部分は、前記上面からの第1の距離を有し、前記第2のプロングから前記第3のプロングまでの第2のアーチ状部分は、前記上面からの第2の距離を有し、前記第2の距離は前記第1の距離を超える、請求項1に記載の取付具。
【請求項8】
前記複数の細長いプロングは各々、前記骨からの摘出に抵抗するように構成されたテクスチャ内面を有する、請求項1に記載の取付具。
【請求項9】
前記複数の細長いプロングは各々、前記骨構造を貫通するように構成された最遠位先端部を有する、請求項1に記載の取付具。
【請求項10】
前記骨構造は、脊椎の椎骨である、請求項1に記載の取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、装置を骨に一時的に取り付けるためのデバイス及び方法に関する。例えば、これらの一時的な取付具は、手術ナビゲーション中に基準点を提供するために、追跡可能な基準アレイなどの装置を患者の体内の骨構造に取設するのに好適であり得る。
【背景技術】
【0002】
手術中に、露出した骨に装置を一時的に取り付けることが必要な場合がある。例えば、手術ナビゲーションを使用する場合、手術部位に対する器具の位置を正確に追跡するために、光学マーカーの追跡可能な基準アレイのようなトラッカーを患者に取設することが必要な場合がある。骨ねじなどを挿入する場合のように、骨が手術の標的である場合、基準アレイを骨に取設することによって、基準アレイを周辺軟組織に取設するよりも良好な精度が提供され、骨に対する手術器具の位置がより正確に追跡される。外科手術が完了(例えば、骨ねじ、ロッド、インプラントなどを挿入)した後、取り付けられていたトラッカーは通常除去される。
【0003】
トラッカー、基準アレイ、または他のデバイスを骨に一時的に取設するための現在の方法は、デバイスを保持するために1つ以上のねじが骨に挿入されるねじベースの取り付けデバイス、締め具(複数可)の歯及び顎部が骨ばった隆起部の周りに締め付けられる締め具ベースの取り付けデバイス、または1つ以上のスパイクが槌で骨に打ち込まれるスパイクベースのデバイスのうちの1つ以上を含み得る。しかしながら、これらのデバイスは、骨に単一の固定点を提供するだけであり、それにより骨への取設が弱く、潜在的にトラッカーの精度を損なう。さらに、従来のデバイスは、誤って骨構造の中にあまりにも遠くに前進する可能性があり、骨または周辺領域に損傷を与えるか、または処置が完了した後、骨の中にあまりにも深く埋め込まれた一時的な取り付けデバイスを除去することを困難にする可能性がある。
【0004】
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許第6490475号明細書
[特許文献2]米国特許第6823207号明細書
【発明の概要】
【0005】
この必要性及び他の必要性を満たすために、トラッカーなどの装置を骨構造に一時的に取り付けるためのデバイス、システム、キット及び方法が提供される。具体的には、一時的なデバイスは、骨への複数の固定点を提供することができ、それにより、骨への強力な取設を提供し、手術ナビゲーションのためのトラッカーのような取設デバイスの精度を向上させる。一時的な取り付けデバイスは、例えば、一時的な取り付けデバイスが誤って骨構造の中にあまりにも遠くに前進することを防止する、突起部及びアーチ状領域を含む止め具のような特徴部を含むこともできる。一時的な取付具の設計は、骨及び周辺領域を保護するのに役立ち、手術ナビゲーション及び/または外科手術が完了したときに骨からより容易に除去することができる。
【0006】
一実施形態によると、手術装置を骨構造(例えば、背骨の1つ以上の椎骨)に一時的に装着するための取付具は、挿入デバイスによって押し込まれるように構成された上面を有するベース部材と、ベース部材から下方に延び、骨構造と係合するように構成された複数の細長いプロングと、を含む。複数の細長いプロングは各々、互いにある距離で離間されている。プロングは、挿入デバイスによって骨構造の中に下方に打ち込まれると、互いに向かって内方に移動するように構成され得る。取付具は、骨構造との複数の固定点を有し、骨への強固で信頼性のある取設を提供する。例えば、複数のプロングは、ベース部材から延びる2つ以上、3つ以上、または4つ以上のプロングを含むことができる。プロングは、脚、尖叉、スパイク、ピンなどの形態で細長くてもよい。
【0007】
一時的な取付具は、例えば、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。複数のプロングは各々、そこから延びて、骨構造内への取付具の過挿入を防止するための止め具としての役割を果たすように構成された突起部を含むことができる。突起部は、(例えば、最遠位端から離間された)プロングの長さに沿って位置付けられた丘形状の隆起部の形態であってもよい。複数の細長いプロングは、ベース部材の長さを超える長さで延びることができる。(例えば、デバイスの高さが主としてプロングの高さに起因するように、プロングが取付具のベース部材部分よりも長い)。複数の細長いプロングは、第1のプロング及び第2のプロングの形態であってもよく、第1のプロングから第2のプロングへの遷移は、骨構造内への取付具の過挿入を防止するための最終止め具としての役割を果たすためにアーチ状または湾曲状であってもよい。アーチ状止め具は、各プロング間に設けられ得る。複数の細長いプロングは、第1のプロング、第2のプロング、第3のプロング、及び第4のプロングを含み得、第1のプロングと第2のプロングとの間の第1のアーチ状部分は、上面からの第1の距離を有し、第2のプロングから第3のプロングまでの第2のアーチ状部分は、上面からの第2の距離を有し、第2の距離は、第1の距離とは異なっている。具体的には、第2の距離は、第1の距離を超えてもよく、またはその逆であってもよい。デバイスの両面上のアーチ状部分は、同じであっても、実質的に同等であってもよい。いくつかの実施形態では、取付具はまた、ベース部材の外面と係合するように構成された中空内部を有する外側スリーブ及び/またはプロングの1つ以上の外面の一部をも含むことができる。外側スリーブは、例えば、互いに向かって内方にプロングを圧縮するために摺動または回転するように構成され得る。複数のプロングは各々、骨からの摘出に抵抗するように構成されたテクスチャ内面を有することができる。複数のプロングは各々、骨構造を貫通するように構成された鋭い最遠位先端部を有することができる。ベース部材が挿入デバイスによって押し込まれると、一時的な取付具は、可聴音を提供し、プロングが各々下方に打ち込まれるにつれて、可聴音の周波数が変化して、骨内の取付具の相対位置を示す(例えば、取付具が完全に骨構造内に着座した場合)。取付具は、例えば、手術用ロボットで、手術ナビゲーションを補助することができる追跡可能な基準アレイの一部を保持してそれと係合するように構成される。
【0008】
別の実施形態によると、キットは、異なるサイズ及び異なる構成の複数の一時的な取付具を含むことができる。加えて、キットは、例えば追跡可能なアレイを含み、一時的な取付具に取設することができるように構成された、手術ナビゲーションに適した1つ以上のデバイス、軟組織を通して取付具をガイドして、骨と接触させるように構成された1つ以上の中心シャフト、打ち込みスリーブに力を加えて、一時的な取付具を骨の中に前進させるように構成された1つ以上の打ち込みスリーブ、取付具、中心シャフト、及び/または打ち込みスリーブを係合するように構成されたインパクトドライバ、槌などの1つ以上の挿入デバイス、一時的な取付具を骨から回収して取り出すように構成されたスラップハンマー、スライドハンマーなどの1つ以上の除去可能なデバイス、及び手術に適し得る他の器具及びデバイスを含むことができる。
【0009】
別の実施形態によると、手術装置を骨構造に一時的に装着するためのシステムは、少なくとも1つの一時的な取付具及び手術ナビゲーションのための追跡可能な基準アレイのような少なくとも1つの追跡デバイスを含む。一時的な取付具は、挿入デバイスによって押し込まれるように構成された上面を有するベース部材と、ベース部材から下方に延び、骨構造と係合するように構成された複数の細長いプロングと、を含み、複数の細長いプロングは各々、互いにある距離で離間され、プロングは、例えば、骨構造の中に下方に打ち込まれると、互いに向かって内方に移動するように構成される。追跡可能な基準アレイは、一時的な取付具のベース部材、例えば、ベース部材の上面の開口部に接続されている。
【0010】
別の実施形態によると、手術装置を骨構造に一時的に装着するための方法は、(a)軟組織を通して中心シャフトを挿入して、骨と接触させることと、(b)カニューレ状の一時的な取付具を中心シャフト上に挿入し、一時的な取付具を下方に移動させて骨と接触させることであって、カニューレ状の一時的な取付具は、挿入器具によって係合されるように構成された第1の端部及び骨と係合するように構成された複数の細長いプロングとして終結する第2の端部を有し、複数の細長いプロングは各々、互いにある距離で離間され、プロングは、骨構造の中に下方に打ち込まれると、互いに向かって内方に移動するように構成される、接触させることと、(c)任意に、打ち込みスリーブを中心シャフト上に位置付けて、一時的な取付具の第1の端部と接触させることと、(d)任意に、打ち込みスリーブに力を加えることによって、一時的な取付具に力を加えて、プロングの少なくとも一部を骨の中に前進させることと、(e)任意に、打ち込みスリーブ及び中心シャフトを除去して、一時的な取付具を骨内に埋め込まれた状態で残すことと、を含む。一実施形態によると、一時的な取付具は、外側スリーブをさらに含み、この方法は、(f)任意に、外側スリーブを回転させて、プロングを互いに向かって内方に圧縮して、取付具を骨にさらに固定することを付加的に含む。この方法はまた、(g)手術ナビゲーションのための追跡可能な基準アレイの一部を一時的な取付具に取設することと、及び/または(h)手術ナビゲーションが完了した後に、骨から一時的な取付具を除去することと、も含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明及びそれに付随する利点及び特徴のより完全な理解は、添付の図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。
図1A】一実施形態による、骨構造と係合するように構成された複数のプロングまたは尖叉を含む一時的な取り付け装置を示す。
図1B】一実施形態による、骨構造と係合するように構成された複数のプロングまたは尖叉を含む一時的な取り付け装置を示す。
図1C】一実施形態による、骨構造と係合するように構成された複数のプロングまたは尖叉を含む一時的な取り付け装置を示す。
図1D】一実施形態による、骨構造と係合するように構成された複数のプロングまたは尖叉を含む一時的な取り付け装置を示す。
図1E】一実施形態による、骨構造と係合するように構成された複数のプロングまたは尖叉を含む一時的な取り付け装置を示す。
図2】別の実施形態による、複数のプロングまたは尖叉備えた一時的な取り付け装置を示す。
図3A】別の実施形態による、外側スリーブによって圧縮可能なプロングを備えた一時的な取り付け装置を示す。
図3B】別の実施形態による、外側スリーブによって圧縮可能なプロングを備えた一時的な取り付け装置を示す。
図4A】さらに別の実施形態による、外側スリーブによって圧縮可能なプロングを備えた一時的な取り付け装置を示す。
図4B】さらに別の実施形態による、外側スリーブによって圧縮可能なプロングを備えた一時的な取り付け装置を示す。
図5A】例えば、一時的な取り付け装置を軟組織の深層を通して位置付ける場合、一時的な取り付け装置を骨構造内の所定の位置に導くのを補助するのに適したデバイスを示す。
図5B】例えば、一時的な取り付け装置を軟組織の深層を通して位置付ける場合、一時的な取り付け装置を骨構造内の所定の位置に導くのを補助するのに適したデバイスを示す。
図5C】例えば、一時的な取り付け装置を軟組織の深層を通して位置付ける場合、一時的な取り付け装置を骨構造内の所定の位置に導くのを補助するのに適したデバイスを示す。
図6】一時的な取り付け装置を骨内に設置するために使用され得る構成要素及び一連のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、概して、手術ナビゲーションのためのトラッカーなどの取設具を骨構造に一時的に取り付けるためのデバイス、システム、キット、及び方法を対象とする。具体的には、一時的な取付具は、骨構造に複数の固定点を提供する、ベース部材から延びる複数のプロング、脚、スパイク、尖叉などを含むことができる。骨構造は、患者のあらゆる骨、骨質部分、骨性部分、骨関節などを含むことができる。例えば、骨構造は、椎骨などの脊椎、腸骨などの寛骨、大腿骨などの脚骨、遠位前腕骨や近位上腕骨などの腕の骨からなる骨、または哺乳動物の任意の他の骨からなる領域を含むことができる。例示的な一実施形態では、骨構造または骨は、ヒト患者の脊柱内に1つ以上の椎骨を含む。複数の固定点を提供することによって、骨への強力な取設を可能にさせ、手術ナビゲーションのためのトラッカーのような、取設された装置の位置精度を維持または向上することができる。
【0013】
一時的な取り付けデバイスはまた、例えば、一時的な取り付けデバイスが骨構造の中にあまりにも遠くに前進することの発生を防止または最小限にするための止め具のような特徴部を含むこともできる。一時的な取り付けデバイスの1つ以上の特徴部はまた、骨及び周辺領域を保護するのに役立ち、手術ナビゲーションが完了したときに、外科医が一時的な取り付けデバイスを骨から除去することをより容易にすることもできる。
【0014】
本開示の実施形態とその様々な特徴及び有利な詳細とは、添付の図面に記載及び/または図示され、以下の説明において詳述される非限定的な実施形態及び実施例を参照して、より完全に説明される。一実施形態の特徴は、本明細書で明示的に述べられていなくても、当業者が認識するであろう他の実施形態とともに使用されてもよい。周知の構成要素及び処理技術の説明は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないように省略することができる。本明細書で使用される実施例は、単に、本開示が実施され得る方法の理解を容易にし、さらに、当業者が本開示の実施形態を実行することを可能にすることを意図している。したがって、本明細書の実施例及び実施形態は、添付の特許請求の範囲及び適用法によってのみ定義される本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して、同様の特徴及び構造を表すことに留意されたい。
【0015】
第1の実施形態によれば、スパイクベースのデバイスは、剛性基部から延びる複数のプロングまたは尖叉を含むことができる。例えば、手術装置を骨構造(例えば、背骨の椎骨)に一時的に装着するための取付具は、挿入デバイスによって押し込まれるように構成された上面を有するベース部材と、ベース部材から下方に延び、骨構造と係合するように構成された複数の細長いプロングとを含む。複数のプロングは各々、互いにある距離で離間されている。プロングは、例えば、骨構造の中に下方に打ち込まれたときに、またはその後に、互いに向かって内方に移動するように構成され得る。取付具は、骨構造との複数の固定点を有して骨に対する強固で信頼性のある取設具を提供する。このデバイスは、基準アレイやその他のデバイスを一時的に骨に取設するために使用する場合に利点がある、いくつかの独自の特徴を有する。
【0016】
ここで図面を参照すると、図1A〜1Eは、骨構造18と係合するように構成された複数のプロング20を含む一時的な取り付け装置10を示している。図1Aを参照すると、そこから下方に延びる複数のプロング20を有するベース部材12を含む一時的な取り付け装置10の斜視図が示されている。ベース部材12は、好ましくは、取り付け装置10のための剛性基部またはフレームを形成する。ベース部材12の上面14は、1つ以上の隣接する側面(例えば、この場合は4つの隣接している側面)と接続することができる。例えば、ベース部材12は、部分的に立方体形状または矩形形状のブロックを形成することができる。4つの側面が示されているが、ベース部材12は、より多くのまたはより少ない側面を含んでもよい。したがって、上面14は、上から見ると、実質的に正方形(例えば、すべての辺が同じサイズである)、矩形(例えば、2つの辺が同じサイズである)、または他の任意の適切な形状であり得る。隣接している側面は各々、それらの間にコーナーエッジを形成することができる。コーナーエッジは各々、鋭い、面取りされた、丸みを帯びた、または同様のものであってもよい。
【0017】
ベース部材12は、インパクトドライバ、槌インパクトドライバ、槌などの挿入器具からの押し込み力を受けるように構成された上面14を有することができる。上面14は、実質的に平坦な、湾曲した、角度をつけたものでもよく、例えば、または他の適切な形状または輪郭のものであってもよい。例示的な実施形態では、デバイス10の上面14は、平坦であり、例えば、インパクトドライバまたは槌でデバイス10を打つのに適した面である。ベース部材12の上面14は、隙間または開口部16を含むことができる。開口部16は、ベース部材12を通って部分的にまたは完全に延びる。完全に貫通する場合、開口部16は、カニューレ状のデバイス10を提供することができる。開口部16は、デバイス10を低侵襲外科手術に挿入するために、例えば、本明細書でより詳細に説明するガイドワイヤ、ポスト、または中心シャフトを受け入れるような大きさ及び寸法にすることができる。例えば、デバイス10が骨18内に打ち込まれる前に、ポストを予めスパイク10に取り付け、そこから上方に延ばすことができる。デバイス10は、このポストを打つことによって打ち込まれ得、特に、厚い組織によって囲まれた領域を通ってスパイク10を下に打ち込む場合、示された平坦部分を打つよりも簡単であり得る。
【0018】
取付具10が骨18に定位置に着座した後、様々な方法で取設具をデバイス10の一部に取り付けることができる。具体的には、孔または開口部16は、手術ナビゲーション及び/またはロボットシステムのために、追跡可能な光学マーカーの基準アレイなどのトラッカー(図示せず)の一部を除去可能に接続するようなサイズ及び寸法にすることもできる。手術ナビゲーションシステム及び追跡可能なマーカーは、参照によりすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,010,181号、同第8,219,177号、同第8,219,178号、同第9,078,685号、及び米国公開第2013/0345718号、同第2014/0275955号、同第2014/0378999号、同第2015/0032164に、より詳細に記載されている。開口部16は、例えば、その長さに沿って、非ねじ式、部分的ねじ式、または完全ねじ式であってもよい。開口部16がねじ式である場合、取り付けられた、またはボルトもしくはシャフトを有する別個のデバイスを取設することができる。あるいは、基準アレイなどの他のデバイスをデバイス10に取設するために、キー付きスロット、スナップオン取設具、クランプ、または他の手段を使用することができる。
【0019】
図1Aに示すように、複数のプロング20は、ベース部材12から延びる。プロング20は、例えば、図1Eに示すように、骨18を貫通して骨18と一時的に係合するように構成され得る。具体的には、プロング20は、外科手術中、取付具10を骨18に固定するように構成され得、手術が完了すると、骨18から除去されるように構成され得る。したがって、取付具10は、骨18に恒久的に装着されることを意図していない。複数のプロング20は、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上のプロング、5つ以上のプロング、または6つ以上のプロングを含むことができる。プロング20は、尖叉、脚、スパイク、ピンなどの形態であってもよい。複数のプロング20は、好ましくは、それらの幅を実質的に超える長さを有するように、細長い。プロング20は、ベース部材12の長さまたは高さを超える長さまたは高さを有していてもよい(例えば、ベース部材12の高さの約2倍の高さ)。したがって、プロング20は、デバイス10の高さのかなりの割合を構成することができる。プロング20は各々、骨構造18を貫通するように構成された遠位端で終結し得る。一実施形態では、プロング20は、鋭い遠位端を有する尖叉の形態である。しかしながら、プロング20は、プロング20の設計に応じて、鈍い、角を削がれた、または面取りされた遠位端を有し得ることも想定される。
【0020】
一実施形態では、4つの別個のプロング20は、立方体ベース部材12の各コーナーから突出しており、上面14からほぼ離れるように延びている。引き続き図1Aを参照すると、4つのプロング20は、ベース部材12の第1のコーナーから下方に延びる第1の尖叉22と、ベース部材12の第2のコーナーから下方に延びる第2の尖叉24と、ベース部材12の第3のコーナーから下方に延びる第3の尖叉26と、ベース部材12の第4のコーナーから下方に延びる第4の尖叉28とを含むことができる。したがって、一時的な取り付け装置10は、4つの尖頭スパイクの形態であってもよい。4つの尖叉22、24、26、28については、一時的な取り付け装置10を参照して本明細書でより詳細に説明するが、尖叉の位置及び構成は、当業者によって理解されるように、変化または変更され得ることが想定される。
【0021】
さらに図1Aを参照すると、尖叉22、24、26、28は、それぞれのコーナーのベース部材12から下方に延びる。ベース部材12からの各コーナーは、それぞれの、尖叉22、24、26、28に沿って、連続的に延びる。したがって、複数の鋭いエッジは、デバイス10の第1の端部(例えば、挿入器具からの打ち込みを受けるように構成された上面14)から第2の端部(例えば、骨18を貫通して骨18と係合するように構成された尖叉22、24、26、28の遠位端)に延びる。尖叉22、24、26、28は各々、側部の1つから見た場合に、ベース部材12に近接したより広い部分を有し、その遠位端に向かって漸進的に狭くなるように、テーパ状に形成され得る。スパイク10のプロング20は、デバイス10が骨18の中に打ち込まれる間に塑性変形またはねじ曲げるように、意図的に十分に薄く設計され得る。この湾曲によって、プロング20が骨18と絡み合っているため、改善された固定強度及び固定剛性がもたらされ得る。
【0022】
デバイス10は、適切に強固で剛性な単一の材料から構築され得る。材料は、好ましくは、生体適合性のものである。例えば、材料は、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金などの金属を含むことができる。デバイス10の寸法は、約10mm×15mm×60mmとすることができるが、骨及び用途に応じて必要に応じてより小さくても大きくてもよい。
【0023】
図1Bの側面図に最もよく見られるように、1対のプロング20(それぞれの側面図からの各対の尖叉22、24、26、28を表す)は、互いにある距離で離間されている。プロング20は、わずかに内方に傾斜していてもよい。デバイス10が骨18の中に下方に打ち込まれたときに、プロング20によって生成され得る横方向の拡散力または圧迫力の量は、例えば、4つのプロング20のテーパの設計によって影響され得る。垂直下方に打ち込まれると、プロング20は、図1Bに矢印で示すように互いに向かって移動する。状況に応じて、プロング20を互いに向かって、互いに離して、または不変のままにすることが望ましい場合がある。例示的な一実施形態では、プロング20は、強固で信頼性のある取設具を骨18に提供するために、骨構造の中に下方に打ち込まれたときに、またはその後に、互いに向かって内方に移動するように構成され得る。
【0024】
4つのプロングのスパイク10の別の特徴は、薄くて細長いプロング20は音楽的な音がすることである。言い換えれば、デバイス10がインパクトドライバまたは槌によって打たれると、デバイスは周波数または可聴音波を放出する。周波数の可聴感覚は、一般には音のピッチと呼ばれる。高いピッチ音は高周波の音波に対応し、低いピッチ音は低周波の音波に対応する。ほとんどの人は、2つの別々の音、したがって異なるピッチ間の周波数の差を検出することができる。各プロング20が下方に打ち込まれ、骨18内にますます閉じ込められるにつれて、例えば、デバイス10が槌で打たれたときのリンギングノイズの周波数が変化する。例えば、デバイスが骨18に入り始めると、周波数は、より低いピッチを提供することができる。しかしながら、デバイス10が骨18内に、より閉じ込められた状態になると、周波数が変化して、より高いピッチを提供する。このリンギング品質は、骨18内のデバイス10の位置または深さを外科医に知らせるためのフィードバック機構を果たすことができる。さらに、より高いピッチは、デバイス10が骨18内に完全かつ堅固に着座していることを外科医に知らせることができる。
【0025】
図1Cのプロング20(例えば、尖叉22、24、26、28の各々を表す)の拡大図で最も良く見られるように、プロング20は、プロング20の長さに沿って位置付けられた丘形状の突起部または丘形状の隆起部などの突起部30を有することができる。例えば、突起部30は、プロング20の遠位端とプロング20がベース部材12から延びるところの間のほぼ中間に位置付けてもよい。これらの突起部は、プロング20の各々に沿って、同じ位置または異なる位置に位置付けられ得る。一実施形態では、丘形状の隆起部30は、プロング20の遠位先端部からおよそ10〜20mmである。突起部30は、プロング20によって画定された中央キャビティに向かって実質的に内方に面していてもよい。例えば、第1の尖叉22上の突起部30は、第2の尖叉24上の同様の突起部30に面していてもよい。同様に、第4の尖叉28上の突起部30は、第3の尖叉26上の同様の突起部30に面していてもよい。単一の突起部30のみが各プロング20上に示されているが、各プロング20は、その長さに沿って、及びその長さに沿って変化した位置に、多かれ少なかれ突起部を含むことができる。
【0026】
これらの隆起部または突起部30は、少なくとも部分的に、骨18の中へのデバイス10の過挿入を防止するための止め具としての役割を果たすように構成される。デバイス10が下方に打ち込まれて骨18がこれらの隆起部または突起部30に到達すると、デバイス10は、停止または減速する。この地点を越えてデバイス10を打ち込むことは依然可能であるが、より多くの努力が必要である。平坦なバットレスの代わりにこれらの隆起部または突起部30を小さな丘とすることにより、骨表面18の不規則性がある場合には、1つ以上のプロング20は前進させ続けることができる。さらに、デバイス10が下方に打ち込まれると、骨18に対するこれらの隆起部30の楔作用が剛性及び保持強度を増加させる。
【0027】
図1Dのベース部材12の拡大斜視図に示すように、1つのプロング20から別の動作への遷移32、34は、最終的に停止する。特に、遷移32、34は、アーチ、曲線、アーク、カテナリーなどの形態であってもよい。アーチまたは曲線は、正常または不規則な形状であってもよい。遷移32、34のアーチ状部分は、実質的に、2つの隣接するプロング20の間の中心点に頂点を有することができる。特に、第1の尖叉22から第2の尖叉24へのアーチ状遷移32は、上面14からの第1の距離を有する。第3の尖叉26から第4の尖叉28には、図では見えないが同じアーチ状遷移32が存在する。第2の尖叉24から第3の尖叉26へのアーチ状遷移34は、上面14からの第2の距離を有する。第4の尖叉28から第1の尖叉22には、同じアーチ状遷移34が存在する。アーチ状遷移34への第2の距離は、アーチ状遷移への第1の距離を超える。距離は、隣接するプロング20の間の遷移32、34の各々について、同じであっても異なっていてもよいことも想定されている。
【0028】
これらの止め具または遷移32、34に到達するのに十分遠くに打ち込まれると、デバイス10のさらなる前進が停止され、デバイス10は、かなりの労力を要することなく、さらに遠くに打ち込むことができない。これらの止め具は、ユーザがデバイス10を神経または脊柱管のような危険な領域に打ち込むことを防止するために、安全止めとして機能するように位置付けられるように設計することができる。デバイス10の遷移領域は、この設計により、デバイス10が下方に打ち込まれたときに、プロング20が水平方向に(例えば、互いに離れて、または互いに向かい合って)拡散または圧迫することが可能になるので、コーナーの代わりにアーチとして形成される。曲げ金属の弾性抵抗に対してプロング20を水平方向に圧迫すると、プロング20間の骨18に圧縮力が生じ、これによりデバイス10の剛性及び骨18への取設が改善される。デバイス10のこれらの遷移部分32、34はまた、外科医がデバイス10を除去する準備ができていたときに、引き出し点としての役割を果たすこともできる。すなわち、スクリュードライバまたは類似の器具のような除去器具は、これらのアーチ状領域32、34の下に押し付けられ、デバイス10を上方に引き出して骨18から取り外すために使用され得る。
【0029】
図1Eで最も良く見られるように、デバイス10は、例えば、槌(図示せず)を用いて、上面14またはそこから延びるポストを打つことによって、下方に打ち込まれ得る。正しく取り付けられると、4つの尖叉22、24、26、28のすべてが皮質殻を通って椎体の海綿骨の中に固定される。従来的に使用されている1つのスパイクとは対照的に、4つの尖叉22、24、26、28は、骨18内のより多くの貫通点及び本明細書に記載された独特の特徴のために、1本のスパイクまたは釘よりも良好な保持力をデバイス10に与える。
【0030】
別の実施形態によると、図2は、ベース部材112から下方に延びる複数のプロング120と、そこから上方に延びるポスト136を含む一時的な取り付け装置100の前面図及び側面図を示す。ベース部材112の上面114は、面取りされた、または丸みを帯びたエッジを有する4つの隣接している側面と接続する。この実施形態では、上面114は、ベース部材112の残りの部分よりも幅が小さい。上面114は、例えば、本明細書に記載された開口部16と同様の開口部(図示せず)内に、固定された、または除去可能なポスト136を受け入れるように構成される。例えば、ポスト136は、デバイス100が骨18内に打ち込まれる前に、そこから上方に延びるベース部材112に除去可能に取り付けることができる。スパイク100は、このポスト136を打つことによって打ち込むことができ、特に、厚い組織によって取り囲まれた領域を通って、デバイス100を下に打ち込むときに、ベース部材112を直接打つより簡単であり得る。この実施形態では、プロング120はまた、プロング120が別のものよりも一側面においてより広い断面を有するように変更もされている。加えて、丘形状の隆起部130は、細長く、プロング20の長さに沿って異なる位置に位置付けられている。
【0031】
さらに別の実施形態によると、図3A〜3Bは、外側スリーブ238によって圧縮可能なプロング220を備えた一時的な取り付け装置200を示す。この実施形態では、実質的に平行なプロング220がベース部材212から延びる。ベース部材212は、上から見ると、実質的に丸いまたは楕円形の上面214を有する。ベース部材212及びプロング220は、実質的に円筒形状のデバイス200を形成することができる。一時的な取付具200は、デバイス200のプロング220間で骨18を圧縮するのを容易にするために、外側スリーブ238を組み込んでいる。外側スリーブ238は、そこを通って延び、ベース部材212の一部を受け入れるように構成された中央の中空部分を有するナット、環状リング、カラーなどの形態であってもよい。外側スリーブ238は、スリーブ238を把持することと、デバイス200を中心にスリーブ238を回転することとを容易にするために、テクスチャ外面を有することができる。ベース部材212及びプロング220の一部は、外側スリーブ238を受け入れるためにねじ式であってもよく、このスリーブ238は、対応する内ねじ(図面内には見えない)を有していてもよい。ベース部材212のねじ部は、様々な直径(例えば、上面に近接するより小さい直径を有し、プロング220に近接するより大きい直径を有する)であってもよい。図示のように、プロング220の外面の遠位部分は、骨18の中への貫通を改善し、スリーブ238による圧縮量を制限するために、実質的に平滑であり得る。
【0032】
ベース部材212の上面214は、ベース部材212を通って部分的にまたは完全に延びる隙間または開口部216を有することができる。したがって、デバイス200は、十分にカニューレ状になり得る。開口部16は、例えば、デバイス200を誘導するためのガイドワイヤ、ポスト、または中心シャフトを受け入れるようなサイズ及び寸法とすることができ、及び/または手術ナビゲーションシステムのための追跡可能な基準アレイなどのトラッカーの一部分に除去可能に接続するようなサイズ及び寸法とすることができる。
【0033】
デバイス10及び100と同様に、最初にデバイス200を正しい場所に槌で打つことができる。続いて、例えば、外側スリーブ238を摺動または回転させることによって外側スリーブ238を作動して、プロング220を互いに向かって内方に圧縮するために、プロング20に向かって第1の方向に外側スリーブ238を移動させる。一時的な取り付け装置200が除去される時、プロング220を解放するために、外側スリーブ238を摺動または回転させて、外側スリーブ238を第1の方向とは反対のプロングから離れた第2の方向に移動させる。このような機構は、プロング220が棘突起のような骨の隆起部に押し下げられ、次いで、プロング220間で骨18を圧縮し締付することにより、さらに固定する必要がある場合に特に有用である。図3A及び3Bに見られるように、この設計の1つのバージョンでは、外側ナットまたは外側スリーブ238が回転してプロング220に向かって下方に前進する場合、デバイス200のプロング220が最初に外側に広がっても、ナットまたはスリーブ238の直径に対して内方に押し付けられるように、ねじ式になっているスリープ238の内側部分を有する。
【0034】
デバイス200と同様に、図4A〜4Bは、下方への力またはねじ式機構によって前進され、次いで、半回転機構で圧縮位置にロックされるスリーブ338を有するプロング320を備えた一時的な取り付け装置300を示す。プロング320は、外側スリーブまたはナット338がプロング320によって前進する場合、それらがちょうどナット338の直径の代わりに内方に押し付けられるように、凸部を有することができる。図4Aに示すように、プロング320の内面321は、プロング320の残りの部分を隆起させるか、または突出させて、締付または圧縮の特徴を向上させることができる。この設計の別の特徴は、図4Bに最もよく示されているように、プロング320のギザギザのある、またはそうでなければテクスチャ内面322を含むことができ、これはデバイスの摘出にも抵抗する。
【0035】
図5A〜5Cに示されている別の実施形態は、一時的な取り付け装置10、100、200、300を、皮膚、脂肪、及び筋肉などの軟組織の深層を通って骨18の中に配置する際に有用であり得る。例えば、4つのプロングスパイク(例えば、装置10、100、200または300)を大きな患者の腸骨稜に取設する場合、スパイクは、骨18に達する前に、数インチの軟組織を貫通する必要があり得る。本明細書に記載されたデバイス10、100、200、300が軟組織を通って小さな始動孔をスライスした後に使用される場合、プロング12、112、212、312は、プロング12、112、212、312が骨18と係合し始める前、下方に前進したときに、軟組織にかみ合う可能性がある。一例として、中心シャフト400が最初に挿入され、続いてデバイス10のうちの1つ(デバイスを通って延びる開口部16で構成されている)、200(デバイスを通って延びる開口部216で構成されている)、100または300(それは中空または中央にカニューレ状に修正されている)が挿入される。デバイス10、100、200、300が定位置にあり、望ましくは骨18内に挿入された後、次に、中央シャフト400を除去することができる。
【0036】
第1のステップは、中心シャフト400を骨18の隣に配置することであってもよい。そのような中心シャフト400の一例を図5Aに示す。例えば、直径はおよそ10〜25mmであり、長さは150〜250mmである。シャフト400は、骨表面に沿ってさまようことなく、骨18にそれをピン止めするのに役立つ歯402を遠位先端部に有することができる。歯402は、デバイス400の長手方向中心軸線に沿って中央に位置付けられ得る。あるいは、2つ以上の歯402は、中心シャフト400の遠位先端部上の代替位置に位置付けられ得る。外科医は、手動力または槌打ちを用いて、軟組織を通してそれらが骨18に達したと感じるまでシャフト400を押し下げることができる。入る経路は、フリーハンドで確立することも、ナビゲーションまたはロボットを使用して誘導することもできる。
【0037】
中心シャフト400を軟組織の最初のペネトレータとして使用することの1つの利点は、それが最終的に必要とされるデバイス10、100、200、300のサイズを測定するために使用できることである。図5Cに示すように、印404が皮膚のレベルまたは所望の取設のレベルで読み取られるように、目盛り付の印404をシャフト400の長さに沿って設けることができる。これらの目盛り付の印40を用いて、外科医は、追跡アレイが最終的にどこに位置するかを決定することができる。この位置に基づいて、適切なサイズのカニューレ状のデバイス10、100、200、300を一組の選択肢から選択することができる。したがって、例えば、異なるサイズ及び異なる構成の、複数の異なる取付具10、100、200、300をキットとして提供することができる。このようなキットはまた、例えば、追跡アレイなどの取設可能な構成要素を含む、手術に適した他の器具と同様に、中心シャフト400を含むこともできる。
【0038】
図6に示すように、デバイス10に中心シャフト400をはめ込むステップを示す。取付具10を参照して説明したが、これらのステップは、本明細書で説明する他のカニューレ状のデバイス100、200、300にも等しく適用されることが理解される。
【0039】
ステップ(a1)に示すように、シャフト400の遠位先端部が骨18に対して定位置にあると、中心シャフト400の近位端が外科医の手のうちの1つに保持され、摩擦によって所定の位置に残され、またはアシスタントまたはロボットによって保持される。ステップ(b1)に示すように、カニューレ状の一時的な取付具10を中心シャフト400上に前進させる。ステップ(c1)に示すように、叉のある取付具10が下降して骨18と接触する。中心シャフト400及び取付具10は、プロング20がシャフト400を抱き込むように設計することができ、プロング20とシャフト400との間に軟組織が引っ掛かるのを防止する。
【0040】
カニューレ状のデバイス10が中心シャフト400よりも長い場合、その時は、デバイス10について上述されているように、カニューレ状のデバイス10を槌で打つことで骨18の中にカニューレ状のデバイス10を打ち込むことになる。デバイス10が定位置に配置された後、中心シャフト400は、定位置に残すか、中央シャフト400(図示せず)内のソケットの中にねじ込まれたねじ付ロッドのような器具で取り出すことができる。中心シャフト400を定位置に残すことが望ましくない場合がある。カニューレ状のデバイス10を打つ間に定位置に残された場合、デバイス10が中心シャフト400の端部の地点を過ぎて前進すると、中心シャフト400の骨18の中へのさらなる槌打ちを不必要に強いる可能性がある。代わりに、デバイス10の寸法は、中心シャフト400がデバイス10よりも長くなるようなものであってもよい。
【0041】
あるいは、デバイス10を中心シャフト400で下に打ち込むために、スリーブ部材406を使用することができる。スリーブ部材406は、任意にヘッド部分を含むことができる。打ち込みスリーブ406の設計では、拡大ヘッドは、その断片を打つためのより大きな表面領域として役立つように、シャフトの残りの部分よりも直径が大きくてもよい。別のステップ(a2)に見られるように、シャフト400は、デバイス10が骨18と接触して位置決めされる。ステップ(b2)では、スリーブ部材406は、中心シャフト400上に位置決めされ、デバイス10と接触する。ステップ(c2)では、外科医は、スリーブ部材406を槌打ちし、スパイク10の前進を引き起こす。次に、ステップ(d2)に示すように、スリーブ部材400を除去する。続いて、ステップ(e2)では、中心シャフト400が除去され、デバイス10を骨内18に埋め込まれた状態で残す。これらの構成要素は、1つずつまたは一緒に追加及び削除することができる。その後、ナビゲーションアレイのような所望の取設具を、当技術分野で既知の適切な技術を用いて、デバイス10上に配置し、デバイス10に取設することができる。
【0042】
ナビゲーションが完了した後及び/または手術が完了した後であるが、患者が閉鎖される前に、デバイス10、100、200、300は、例えば、それを引き抜くか、それを引き出すか、または開口部16、216に取設されたスラップハンマーまたはデバイス10、100、200、300上のねじ付ソケットを用いることによって除去することができる。デバイス10、100、200、300は、再使用のために消毒され得る。あるいは、デバイス10、100、200、300は、使い捨て部分として使用され得る。
【0043】
本明細書に記載された取付具10、100、200、300の設計は、1本の釘または先頭形のデバイスを使用する既存の方法に対して、利点を有する。具体的には、従来の釘などに見られる単一の点の代わりに、皮質を通って海綿骨への複数の固定点(例えば、4つの固定点)がある。この複数の固定点は、骨18への強力な取設と、手術ナビゲーションのためのトラッカーのような取設装置の改善された精度とを提供する。プロング20、120、220、320はまた、固定剛性を改善するために骨18の中に打ち込まれる間に、それらが変形するほど繊細であるように設計される。一時的な取り付けデバイス10、100、200、300はまた、1本の釘または槍頭でしばしば起こるよりも、骨の中にデバイス10、100、200、300を誤って骨構造の中にあまりにも遠くに前進させる機会が少なくなるように、1つ以上の止め具を含むことができる。したがって、一時的な取付具10、100、200、300の設計は、骨18及びその周囲領域を保護するのに役立ち、手術ナビゲーション及び/または外科手術が完了したときに、骨18から容易に除去することができる。
【0044】
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入るならば、本発明の修正及び変形を包含することが意図される。例えば、本明細書で広く言及されている全ての範囲は、その範囲内に、より広い範囲に属するすべてのより狭い範囲を含むことが明確に意図されている。上に開示した様々なデバイスの構成要素は、任意の適切な構成で組み合わせるまたは修正することができることも意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6