特許第6794433号(P6794433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794433
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】縮合型タンニンに基づく粘着防止塗料
(51)【国際特許分類】
   C09D 199/00 20060101AFI20201119BHJP
   C09D 127/12 20060101ALI20201119BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20201119BHJP
【FI】
   C09D199/00
   C09D127/12
   C09D7/63
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-511622(P2018-511622)
(86)(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公表番号】特表2018-529805(P2018-529805A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】FR2016052170
(87)【国際公開番号】WO2017037393
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年3月29日
(31)【優先権主張番号】1558122
(32)【優先日】2015年9月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム ポレゼル マリス
(72)【発明者】
【氏名】イザベル ジョウタン
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−028272(JP,A)
【文献】 特表2014−516370(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/096014(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/006065(WO,A1)
【文献】 特開2008−163281(JP,A)
【文献】 Natalia Bellotti et.al.,Quaternary Ammonium Tannate for Antifouling Coatings,INDUSTRIAL & ENGINEERING CHEMISTRY RESEARCH,米国,2012年12月26日,VOL.51, No.51,p.16626-16632
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の縮合型タンニンと水と、重合剤とを含み、7より大きいpHを有し、前記重合剤はリン酸エステル誘導体から選択されることを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
水の質量パーセントは、水および縮合型タンニンの総質量を基準として50%と95%との間であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
縮合型タンニンは、1種または複数種のフラバン−3−オール単量体および/またはフラバン3,4−ジオール単量体単位、および/またはフロロタンニンを、基本構造として有することを特徴とする請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
縮合型タンニンは、下式
【化1】
(式中、6位、8位、2’位、および6’位の炭素は水素で置換されており、4位、5位、3’位および5’位の炭素は、独立的に、ヒドロキシル基または水素で置換されている。)
に対応する1つまたは複数の単量体単位を、基本構造として有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
縮合型タンニンは、生物由来または合成品であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項6】
フルフリルアルコール、グリオキサール、およびそれらの混合物から選択される別の重合剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項7】
塗料組成物と、少なくとも1種のフルオロカーボン樹脂とを含み、前記塗料組成物は、7より大きいpHを有し、および少なくとも1種の縮合型タンニンと、水とを含むことを特徴とする粘着防止塗料組成物。
【請求項8】
縮合型タンニンは、1種または複数種のフラバン−3−オール単量体および/またはフラバン3,4−ジオール単量体単位、および/またはフロロタンニンを、基本構造として有することを特徴とする請求項7に記載の粘着防止塗料組成物
【請求項9】
縮合型タンニンは、下式
【化2】
(式中、6位、8位、2’位、および6’位の炭素は水素で置換されており、4位、5位、3’位および5’位の炭素は、独立的に、ヒドロキシル基または水素で置換されている。)
に対応する1つまたは複数の単量体単位を、基本構造として有することを特徴とする請求項7または8に記載の粘着防止塗料組成物
【請求項10】
縮合型タンニンは、生物由来または合成品であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の粘着防止塗料組成物
【請求項11】
前記フルオロカーボン樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン/ポリメチルビニルエーテル共重合体(MVA)、テトラフルオロエチレンとポリメチルビニルエーテルとフルオロアルキルビニルエーテルとの3元重合体(TFE/PMVE/FAVE)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の粘着防止塗料組成物。
【請求項12】
前記フルオロカーボン樹脂は、前記粘着防止塗料組成物の総乾燥重量の10%から99%を構成することを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の粘着防止塗料組成物。
【請求項13】
請求項1から6のいずれかに記載の塗料組成物の少なくとも1つの層、および/または請求項7から12のいずれかに記載の粘着防止塗料組成物の少なくとも1つの層を含むことを特徴とする被膜。
【請求項14】
料組成物の少なくとも1つの層、および/または請求項7から12のいずれかに記載の粘着防止塗料組成物の少なくとも1つの層を含み、前記塗料組成物は、7より大きいpHを有し、および少なくとも1種の縮合型タンニンと、水とを含むことを特徴とする被膜
【請求項15】
任意選択的に200℃より高い温度に抵抗性である熱安定性結合剤樹脂と混合されてもよい、少なくとも1種のフルオロカーボン樹脂を含む組成物の少なくとも1つの層をさらに含むことを特徴とする請求項13または14に記載の被膜。
【請求項16】
2つの背中合わせの面を含む支持体を含み、前記背中合わせの面の少なくとも一方が請求項13から15のいずれかに記載の被膜で被覆されていることを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に塗料組成物(すなわち半製品組成物)、ならびに当該塗料組成物を含む粘着防止塗料組成物(すなわち、下塗剤組成物、または中間層組成物または中間被覆層組成物、あるいは上塗剤組成物)に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、加熱器具(特に料理用品または家事用品)に適用される粘着防止被膜のための、半製品、下塗剤、中間被覆層、および上塗剤用の配合物の分野、および前述の粘着防止被膜の分野に属する。
【0003】
本発明の範囲において用いられる料理用品の例は、フライパン、ソテーパン、ポット、中華鍋、クレープパン、ダッチオーブン、やかん、キャセロール、ロースター、およびグリルパンを含む。
【0004】
本発明の範囲において用いられる家事用品の例は、深型揚げ鍋、フォンデュまたはラクレット用のスキレットまたはポット、および衣料品用アイロンの底を含む。
【0005】
当業者は、料理用品が、それらの粘着防止性、引っ掻き抵抗性、および、より一般的には使用時にさらされる種々のストレスに対する抵抗性に関してある種の性能基準を満たさなければならないことを理解するであろう。
【0006】
フルオロポリマーに基づく塗料は、これらの特性全てに介する最適な妥協点を提供する。しかしながら、器具の支持体に対するそれら塗料の粘着性に関するいくつかの問題点が依然として存在し、多くの解決策が提案されてきている。
【0007】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粘着性を改善するために設計された多数の配合物は、粘着性副樹脂(co-resin)を用いて達成される。中でも、ポリアミドイミド(PAI)およびポリイミド(PI)のようなヘテロ環式ポリマーが最も高頻度で用いられる樹脂である。PTFEのコロイド分散系と組み合わせる用途のために、それらの粘着性副樹脂は、必然的に予め水相中に分散されていなければならない。
【0008】
出発物質は、N−エチルピロリドン(NEP)またはN−メチルピロリドン(NMP)のような極性非プロトン性溶媒中の溶液中のヘテロ環式ポリマー樹脂である。次いで、強塩基性の第1級または第2級アミンの添加により酸基の塩への変換を実施し、次いで、混合物中に水を添加して、混合物の相反転をもたらす。
【0009】
大多数の極性非プロトン性溶媒は、REACH規則(化学物質の登録、評価および認可に加えて、これら物質に適用される制限に関するEU規則)の下で、有害と表示される対象であるか、毒性材料であるとさえ表示される対象であることに留意すべきである。したがって、それらの物質の使用に付随する環境および健康に対する影響は無視できない。
【0010】
さらに、塩への変換のためのアミンの使用は、ヘテロ環式ポリマーのイミド環の開環をもたらし、したがって、製膜は、多くの場合に所望されるよりも低い品質を有し、得られる被膜の粘着防止性および/または腐食抵抗性が低下する。最後に、塩への変換のためのアミンの使用は、その種類に無関係に、被膜の発展における黄変を強調する。
【0011】
最近、ある種の植物および食品(特に、緑茶、赤ワイン、ココア)中に見出されるある種のポリフェノールが、種々の表面に粘着することができる重合生成物を達成できることに光が当てられてきている(非特許文献1参照)。これらの食品化合物中に存在する加水分解性タンニン(タンニン酸、没食子酸、ピロガロール、エピガロカテキンガレートなど)は、脱水あるいは金属または無機表面とのキレート化による粘着に資する化学構造を有する。
【0012】
しかしながら、これらの重合した加水分解性タンニンは、たとえば料理用品に必要とされる高温における使用に適合しない、どちらかといえば低い熱安定性を示す。
【0013】
興味深いことには、縮合型タンニンを用いて、高温(1400℃以上)、およびトーチの炎に対して抵抗性である発泡体(フォーム)を形成できることにも光が当てられている(非特許文献2参照)。
【0014】
これらのタンニンは、水による単純抽出の後に植物(木質部、樹皮、ブドウの絞りかす)から得られる。よって、縮合型タンニンは、石油由来の化学製品の代替品としての、「グリーン」(すなわち、生物起源の)初期原料に対する非常に興味深い資源ルートの代表である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Tadas S Sileika et al., “Colorless Multifunctional Coatings Inspired by Polyphenols Found in Tea, Chocolate, and Wine,” Angewandte Chemie International Edition 52(41), 10766-10770 (2013)
【非特許文献2】G. Tondi et al., “Tannin-based carbon foams,” Carbon 47 (2009) 1480-1492
【非特許文献3】S. Quideau et al., “Plant Polyphenols: Chemical Properties, Biological Activities, and Synthesis,” Angewandte Chemie International Edition 50(3), pp 586-621 (2011)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
先行技術の不利益に対応するため、本発明者は、非常に良好な粘着防止性に加えて、高温、摩擦、および腐食に対する優れた抵抗性を示すとともに、非常に低い環境影響を有する被膜を得るための、半製品、下塗層、中間層、および上塗層組成物を開発した。さらに、本発明にしたがう半製品、下塗層、中間層、および上塗層組成物は、優れた濡れ性を示し、したがって、それらが堆積される支持体上で優れた延展性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1a】実施例8に記載される本発明の第1の実施形態にしたがって達成される物品の硬化前の写真である。
図1b図1aの物品の硬化後の写真である。
図2a】実施例9に記載される本発明の第2の実施形態にしたがって達成される物品の硬化前の写真である。
図2b図2aの物品の硬化後の写真である。
図3a】実施例10に記載される本発明の第3の実施形態にしたがって達成される物品の硬化前の写真である。
図3b図3aの物品の硬化後の写真である。
図4】実施例12に記載される本発明の第4の実施形態にしたがって達成される物品の硬化後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特に、本発明は、少なくとも1種の縮合型タンニンと水とを含み、7より大きいpHを有する塗料組成物(すなわち半製品組成物)に関する。
【0019】
塗料組成物中の水は、タンニンを溶解することにより、プロトン性溶媒として機能する。この可溶化は、縮合型タンニンの重合を可能にするために必要である。
【0020】
有利なことには、塗料組成物中の水の質量パーセントは、水および縮合型タンニンの総質量の50%と95%との間、好ましくは60%と90%との間、および理想的には80%と90%との間で変動してもよい。
【0021】
本発明の範囲において、「縮合型タンニン」という用語は、非加水分解性タンニンを意味する。有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる縮合型タンニンまたはタンニン類は、基本構造として、1種または複数種のフラバン−3−オール単量体(カテキン)および/またはフラバン−3,4−ジオール(ロイコアントシアニジン)単量体単位、および/またはフロロタンニンを有してもよい。有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる縮合型タンニンまたはタンニン類は、基本構造として、以下の式に対応する1種または複数種の単量体単位を有してもよい。
【0022】
【化1】
【0023】
(式中、6位、8位、2’位、および6’位の炭素は水素で置換されており、4位、5位、3’位および5’位の炭素は、独立的に、ヒドロキシル基または水素で置換されている。)
【0024】
たとえば、本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる縮合型タンニンまたはタンニン類は、基本構造として、以下に示す式(I)から式(VI)の1種に対応する1種または複数種の単量体単位を有してもよい。
【0025】
【化2】
【0026】
本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる縮合型タンニンは、たとえば、植物界から誘導されてもよく(生物由来であってもよく)、かつ、たとえば、オジギソウ由来タンニン(特に、オジギソウ木質部および/または樹脂に由来するもの)、ケブラコ由来タンニン(特に、ケブラコ木質部および/または樹脂に由来するもの)、ブドウの絞りかすに由来するタンニン、クリの木由来タンニン(特に、クリ木質部および/または樹脂に由来するもの)、マツ由来タンニン(特に、マツ木質部および/または樹脂に由来するもの)、褐藻由来タンニン、およびそれらの混合物であってもよい。
【0027】
有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる縮合型タンニンは、合成品であってもよく、たとえば、非特許文献3の第4章に記載されるような、合成オリゴプロアントシアニジン(OPC)から選択されてもよい(非特許文献3参照)。
【0028】
有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる縮合型タンニンは、前述のような生物由来の縮合型タンニンと、前述のような合成縮合型タンニンとの混合物であってもよい。
【0029】
本発明にしたがう塗料組成物中において、縮合型タンニンは、単独、または加水分解性タンニンとの混合物として用いてもよい。有利なことには、加水分解性タンニンは、製膜中の塗料組成物の良好な凝集力に加えて、良好な延展性を保証する。本発明の範囲において、「加水分解性タンニン」という用語は、前述の「縮合型タンニン」の定義を満足しない任意のタンニンを意味し、具体的には、没食子酸、ピロガロールおよび炭水化物(典型的にはグルコース)と結合したカテコールアミン(たとえばドーパミン)のような単量体を含む化合物を意味する。有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる加水分解性タンニンは、タンニン酸、エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピカテキンガレート(ECG)およびエピガロカテキン(EGC)から選択することができる。
【0030】
有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物中に用いることができる、単独または加水分解性タンニンとの混合物中の縮合型タンニンは、粉末形態であってもよい。縮合型タンニンを単独で用いる場合、有利なことには、タンニン粉末から、加水分解性タンニンおよび/または糖を除去してもよい。縮合型タンニンを加水分解性タンニンとの混合物中で用いる場合、有利なことには、タンニン粉末から、糖を除去してもよい。
【0031】
塗料組成物は、縮合型タンニンの重合を誘発するために塩基性のpHを有さなければならない。有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物のpHは、8と13との間、好ましくは10と12との間であってもよい。
【0032】
有利なことには、塗料組成物は、少なくとも1種の重合剤をさらに含んでもよい。有利なことには、重合剤の添加は、タンニンの重合を促進する。有利なことには、本発明にしたがう塗料組成物中の重合剤の質量パーセントは、重合剤および縮合型タンニンの総質量の0%超50%未満であってもよい。好ましくは、本発明にしたがう塗料組成物中の重合剤の質量パーセントは、重合剤および縮合型タンニンの総質量に基づいて、5%と50%との間、好ましくは20%と50%との間であってもよい。たとえば、重合剤は、フルフリルアルコール、グリオキサール、リン酸エステル誘導体、およびそれらの混合物から選択されてもよい。有利なことには、リン酸エステル誘導体は、リン酸アルキルエステル類およびリン酸フェニルエステル類から選択されてもよく、好ましくは、リン酸トリエチルのようなリン酸トリアルキルエステルから選択されてもよい。有利なことには、グリオキサールおよびリン酸エステル誘導体は、特に塗膜の熱抵抗性をさらに改善し、フルフリルアルコールは、組成物の延展性、したがって得られる被膜の凝集力をさらに改善する。
【0033】
有利なことには、塗料組成物は少なくとも1種の溶媒をさらに含んでもよい。溶媒はプロトン性であってもよい。有利なことには、プロトン性溶媒はラジカル抑制剤として機能し、タンニンオリゴマーの生成を遅らせることにより組成物の可使時間を延長してもよい。有利なことには、溶媒は、無毒性であってもよい。有利なことには、塗料組成物に用いることができる溶媒は、少なくとも1種のアルコールを含んでもよく、イソプロパノール、メタノール、エタノールおよびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0034】
有利なことには、塗料組成物は、塗料組成物の総質量を基準として、最大10質量%、好ましくは最大9質量%の溶媒を含む。
【0035】
また、本発明は、以上で定義した塗料組成物と、少なくとも1種のフルオロカーボン樹脂とを含む粘着防止塗料組成物(すなわち、下塗剤組成物、中間層組成物、または上塗剤組成物)に関する。
【0036】
1種または複数種のフルオロカーボン樹脂は、粉末または水性分散物の形態を有してもよい。有利なことには、1種または複数種のフルオロカーボン樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン/ポリメチルビニルエーテル共重合体(MVA)、テトラフルオロエチレンとポリメチルビニルエーテルとフルオロアルキルビニルエーテルとの3元重合体(TFE/PMVE/FAVE)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)、およびそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。有利なことには、1種または複数種のフルオロカーボン樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、PTFEとPFAとの混合物(PTFE/PFA)、およびPTFEとFEPとの混合物(PTFE/FEP)から選択されてもよい。
【0037】
好ましくは、1種または複数種のフルオロカーボン樹脂は、粘着防止塗料組成物の総乾燥重量の10重量%から99重量%、好ましくは50重量%から98重量%を構成してもよい。有利なことには、本発明にしたがう粘着防止塗料組成物中のフルオロカーボン樹脂の質量パーセントは、フルオロカーボン樹脂と縮合型タンニンとの総重量を基準として10%と99%との間であってもよい。粘着防止下塗剤組成物の場合、本発明にしたがう粘着防止塗料組成物中のフルオロカーボン樹脂の質量パーセントは、フルオロカーボン樹脂と縮合型タンニンとの総重量を基準として30%と60%との間であってもよい。中間粘着防止被覆層の場合、本発明にしたがう粘着防止塗料組成物中のフルオロカーボン樹脂の質量パーセントは、フルオロカーボン樹脂と縮合型タンニンとの総重量を基準として50%と95%との間であってもよい。粘着防止上塗剤塗料組成物の場合、本発明にしたがう粘着防止塗料組成物中のフルオロカーボン樹脂の質量パーセントは、フルオロカーボン樹脂と縮合型タンニンとの総重量を基準として98%と99%との間であってもよい。
【0038】
好ましくは、本発明にしたがう粘着防止塗料組成物中の水の質量パーセントは、水と縮合型タンニンとの総重量を基準として50%と99.5%との間、好ましくは70%と99.5%との間である。
【0039】
有利なことには、粘着防止塗料組成物は、少なくとも1種の溶媒を更に含んでもよい。有利なことには、溶媒はプロトン性であってもよい。有利なことには、溶媒は無毒性であってもよい。有利なことには、粘着防止塗料組成物中に用いることができる溶媒は、少なくとも1種のアルコールを含み、好ましくはイソプロパノール、メタノール、エタノール、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0040】
有利なことには、粘着防止塗料組成物は、塗料組成物の総重量を基準として、最大10重量%、好ましくは最大9重量%の溶媒を含む。
【0041】
粘着防止塗料組成物は、増粘剤、湿潤剤、界面活性剤、充填材、顔料、および異方性粒子のような当業者に知られている任意の適当な添加剤を更に含んでもよい。
【0042】
本発明にしたがう粘着防止塗料組成物中で用いることができる湿潤剤は、たとえば、ポリエチレングリコール、グリセロール、またはエチレングリコールを含んでもよい。
【0043】
被膜の引っ掻き抵抗性および剥離抵抗性を向上させるために、本発明にしたがう粘着防止塗料組成物中で、粉末または分散物の形態で用いることができるミクロンサイズまたはサブミクロンサイズの充填材は、たとえば、SiO2、Al23、TiO2、SiC、ダイヤモンド、窒化ホウ素、および、CeO2のような土類酸化物を含んでもよい。
【0044】
本発明の範囲において用いることができる顔料の中でも、特筆すべきは、有機または無機の熱安定性顔料、金属塩、熱変色性半導体顔料、およびそれらの混合物であってもよい。顔料は、独立的に、二酸化チタン、尖晶石、鉄酸化物、ペリレン赤、ジオキサジン紫、アルミニウムおよびコバルトの混合酸化物、カーボンブラック、クロム酸化物および銅酸化物から選択されてもよい。
【0045】
本発明の範囲において用いることができる異方性粒子は、その特徴となる寸法が全ての方向で同一ではない粒子であり、たとえば、繊維(実質的に一次元的形状を有する)またはフレーク(実質的に二次元的すなわち平坦な形状を有する)のようなものである。本発明の範囲において用いることができるフレークは、独立的に、雲母フレーク(被覆または無被覆)、シリカフレーク(被覆または無被覆)、アルミナフレーク(被覆または無被覆)、鉄酸化物フレーク(被覆または無被覆)、および、二酸化チタンで被覆された雲母フレークまたはシリカフレークから選択されてもよい。本発明の範囲において用いることができるフレークは、特有の色効果を生じさせるために処理されてもよい。
【0046】
本発明の範囲において用いることができる異方性粒子は、たとえば磁化可能または帯電可能であってもよい。有利なことには、本発明の範囲において、磁化可能物は、少なくとも1種の強磁性金属を含む粒子であってもよい。これらの磁化可能粒子は、均一な特質を有してもよい。言い換えると、これらの磁化可能粒子は、単一の材料で作製されてもよい。あるいは、これらの磁化粒子は、複合する特質を有してもよい。言い換えると、これらの磁化可能粒子は、コア−エンベロープ構造を有してもよく、強磁性金属は、前記粒子のコアおよび/またはエンベロープに位置してもよい。複合磁化可能粒子の例の中でも特筆すべきは、酸化鉄Fe23中に被覆された雲母フレーク、被膜が実装されている間の腐食に対する保護の手段としてゾルゲル材料中に被覆されたステンレス鋼繊維、または、酸化鉄Fe23中に被覆された、プラスチック材料で作製された均一なフレーク、あるいはコアが強磁性金属で作製され、エンベロープがプラスチック材料またはゾルゲル材料で作製されたフレークであってもよい。
【0047】
また、本発明は、上記で定義された塗料組成物および/または上記で定義された粘着防止塗料組成物の少なくとも1つの層を含む被膜に関する。
【0048】
本発明にしたがう被膜は、たとえば、被膜が付着される支持体の表面と接触させることを意図される、上記で定義された塗料組成物の層を含んでもよい。この層は、一般的に「下塗層」として知られている。有利なことには、本発明にしたがう下塗層は、支持体上への被膜の優れた粘着を得ることを可能にする。
【0049】
本発明にしたがう被膜は、外部環境と接触させることを意図される、上記で定義された塗料組成物の層を含んでもよい。この層は、一般的に「上塗層」として知られている。有利なことには、本発明にしたがう上塗層は、その表面が優れた粘着防止性、特に調理された食品に対する優れた粘着防止性を示す被膜を得ることを可能にする。さらに、被膜が複数の層を含む場合、上塗層は、被膜の非常に良好な凝集力を得ることを可能にする。
【0050】
本発明にしたがう被膜は、たとえば、下塗層と上塗層との間に配置されることを意図される、上記で定義された塗料組成物の層を含んでもよい。この層は、一般的に「中間層」として知られている。
【0051】
有利なことには、本発明にしたがい、縮合型タンニンをベースとする組成物の層を、複数層の慣用のフッ素化された被覆層と組み合わせてもよい。
【0052】
よって、本発明にしたがう被膜は、200℃より高い温度に対して抵抗性である熱安定性結合剤樹脂と混合してもよい、少なくとも1種のフルオロカーボン樹脂を含む組成物の少なくとも1つの層をさらに含んでもよい。
【0053】
有利なことには、1種または複数種のフルオロカーボン樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン/ポリメチルビニルエーテル共重合体(MVA)、テトラフルオロエチレン、ポリメチルビニルエーテルおよびフルオロアルキルビニルエーテルの3元重合体(TFE/PMVE/FAVE)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)、およびそれらの混合物から選択されてもよい。好ましくは、1種または複数種のフルオロカーボン樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、PTFEとPFAとの混合物(PTFE/PFA)、およびPTFEとFEPとの混合物(PTFE/FEP)から選択されてもよい。
【0054】
有利なことには、1種または複数種の結合剤樹脂は、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0055】
また、本発明は、2つの背中合わせの面を含む支持体を含み、支持体の背中合わせの面の少なくとも一方が上記で定義された塗料で被覆されている物品に関する。
【0056】
有利なことには、物品の支持体は、プラスチック、金属材料、セラミック、またはテラコッタで作製することができる。本発明の範囲で用いることができる金属支持体の中で特筆すべきは、アルミニウムまたはアルミニウム合金、陽極処理済または非陽極処理の、つや出し、ブラシ掛けまたはビードブラスト処理された、ペーパー仕上げの、または化学処理されたアルミニウムまたはアルミニウム合金、またはつや出し、ブラシ掛けまたはビードブラスト処理されたステンレス鋼、または鋳鉄または鋳造アルミニウム、またはチタン、または鍛造またはつや出しされた銅で作製された支持体であってもよい。
【0057】
有利なことには、物品は、その支持体の表面の一方が前記物品の内部に配置される食品と接触することを意図される凹状の内部表面を含み、物品の支持体の表面の他方が熱源と接触することを意図される凸状の外部表面である、料理用品である。本発明にしたがう料理用品の非制限的な例の中でも特筆すべきは、キャセロール、フライパン、中華鍋、ソテーパン、クレープパン、グリル、ダッチオーブン、やかん、ポット、ロースター、焼き型、およびバーベ級グリルのような料理用品であってもよい。
【0058】
本発明にしたがう物品は、家庭用電気器具物品であってもよい。本発明の範囲で用いることができる家庭用電気器具物品の中でも特筆すべきは、深型揚げ鍋バット、フォンデュまたはラクレット用ポット、深型揚げ鍋またはパン焼き機の部品、ブレンダー用「ボウル」、アイロン板または衣料品用アイロン底であってもよい。
【0059】
また、本発明は、上記で定義された物品を製造する方法に関し、当該方法は、以下の工程:
(i) 支持体を提供する工程と;
(ii) 前記支持体の両表面(opposite surfaces)の少なくとも一方に、上記で定義された塗料組成物の少なくとも1つの層を付着させる工程と;
(iii) 150℃と430℃との間で変動する温度で全体を硬化させる工程と、
を含む。
【0060】
また、本発明は、上記で定義された物品を製造する別法に関し、当該別法は、以下の工程:
(i) 支持体を提供する工程と;
(ii) 前記支持体の両表面の少なくとも一方に、上記で定義された粘着防止塗料組成物の少なくとも1つの層、および任意選択的に上記で定義された塗料組成物の少なくとも1つの層を付着させる工程と;
(iii) 350℃と430℃との間で変動する温度で全体を硬化させる工程と、
を含む。
【0061】
有利なことには、製造方法は、付着工程(ii)と硬化工程(iii)との間に、前記塗料組成物層または粘着防止塗料組成物層の上に、200℃より高い温度に対して抵抗性の熱安定結合樹脂と混合されてもよい少なくとも1種のフルオロカーボン樹脂を含む組成物の少なくとも1つの層を付着させる工程をさらに含んでもよい。
【0062】
有利なことには、製造方法は、提供工程(i)と付着工程(ii)との間に、前記支持体の表面上に、200℃より高い温度に対して抵抗性の熱安定結合樹脂と混合されてもよい少なくとも1種のフルオロカーボン樹脂を含む組成物の少なくとも1つの層を付着させる工程をさらに含んでもよい。
【0063】
種々の組成物の付着は、たとえば吹付またはスクリーン印刷のような、当業者に知られている任意の適当な方法を用いて達成してもよい。
【0064】
複数層を付着させねばならない場合、それぞれの付着工程の間で乾燥工程を実施して、付着した最後の層から溶媒および水を蒸発させてもよい。有利なことには、この乾燥工程は、引き続く硬化工程における被膜中の欠陥(泡、ヒビなど)の発生を低減すること、または排除することさえも可能にする。複数層を付着させねばならない場合、および/またはそれぞれの付着工程の間に乾燥工程が実施される場合、任意選択的に、付着された最後の層の乾燥工程と次の層の付着工程との間で、冷却工程を実施してもよい。有利なことには、この冷却工程は、新規の層が過度に速やかに乾燥すること、および粉ふき現象を回避することを可能にする。
【0065】
本発明の別の利点および特徴は、非制限的な例として提供される以下の記載により、および添付の図面および対応する実施例を参照することにより、明らかになるであろう。
【0066】
図1a〜図4に記載される種々の実施形態は、以下の実施例に記載される。
【実施例】
【0067】
(試験)
(表面上の被膜の粘着力の評価)
NF T 30−038規格(規格NF EN ISO 2049)にしたがって、引き続いて3つの交代するサイクルからなる3種の環境に被覆表面の浸漬を行う、クロスカット試験を行った。前述の3つの交代するサイクルは、沸騰水中3時間、引き続いて200℃の油中3時間、引き続いて2時間40分の洗剤を用いる食器洗浄機サイクルである。次いで、鋭利なカミソリの刃を用いて1cm2に10×10(都合100個)の正方形を有する格子を表面に刻み込んだ後に、それぞれの正方形の粘着防止被膜を、引っ掻きまたは剥離の外観について評価した。以下の表に詳細を記載したように、等級を決定した。
【0068】
【表1】
【0069】
(被膜の疎水性の評価)
GBX Digidropゴニオメーターを用いて、被膜上の水滴の接触角を測定することにより、被膜の疎水性を評価した。
【0070】
(被膜の膜厚の測定)
PERMASOPE(登録商標)の名称でFischer Instruments社から販売される装置のような、被膜膜厚測定装置を用いて、被膜の膜厚を測定した。
【0071】
3種の測定を被膜の9箇所の異なる区域にて実施し、その平均値を計算した。
【0072】
(製造実施例)
(実施例1 塗料組成物SF1の調製)
オジギソウ由来の縮合型タンニンに基づく塗料組成物SF1を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
塗料組成物SF1は、常温において、剪断分散機を用いる混合により、アンモニアおよび添加物(グリセロールおよびTEP)を含む均質な組成物を得て、混合しながらタンニン粉末を添加することにより均質な混合物を得ることにより調製される。
【0075】
得られるSF1組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で33sの粘度、および11.3のpHと測定される。
【0076】
(実施例2 塗料組成物SF2の調製)
ケブラコ由来の縮合型タンニンに基づく塗料組成物SF2を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
塗料組成物SF2は、常温において、剪断ブレード分散機を用いる混合により、アンモニアおよびグリセロールを含む均質な組成物を得て、混合を継続しながらタンニン粉末を添加し、混合を継続しながらFAを添加し、最後に長時間にわたる混合により塗料組成物を均質化することにより均一混合物を得ることにより調製される。
【0079】
得られるSF1組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で33sの粘度、および6.4のpHと測定される。
【0080】
(実施例3 粘着防止下塗層塗料組成物P1の調製)
実施例1の塗料組成物SF1に基づき粘着防止塗料組成物を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0081】
【表4】
【0082】
粘着防止塗料組成物P1は、常温において、(非剪断)ブレード分散機を用いてPTFEの分散物をSF1と混合して均質な混合物を得ることにより調製される。
【0083】
得られるP1組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で43sの粘度、および10〜11のpHと測定される。
【0084】
(実施例4 粘着防止下塗層塗料組成物P2の調製)
実施例1の塗料組成物SF1に基づき粘着防止塗料組成物P2を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0085】
【表5】
【0086】
粘着防止塗料組成物P2は、常温において、(非剪断)ブレード分散機を用いてPTFEの分散物およびPFAの分散物をSF1と混合して均質な混合物を得ることにより調製される。
【0087】
得られるP2組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で43sの粘度、および10〜11のpHと測定される。
【0088】
(実施例5 粘着防止中間層塗料組成物M1の調製)
実施例1の塗料組成物SF1に基づき粘着防止塗料組成物M1を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0089】
【表6】
【0090】
粘着防止塗料組成物M1は、常温において、(非剪断)ブレード分散機を用いてPTFEの分散物およびPFAの分散物をSF1と混合して均質な混合物を得ることにより調製される。
【0091】
得られるM1組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で53sの粘度、および10〜11のpHと測定される。
【0092】
(実施例6 粘着防止上塗層塗料組成物F1の調製)
実施例2の塗料組成物SF2に基づき粘着防止塗料組成物F1を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0093】
【表7】
【0094】
粘着防止塗料組成物F1は、常温において、(非剪断)ブレード分散機を用いてPTFEの分散物をPGおよびSF2と混合して均質な混合物を得て、攪拌を継続しながら雲母フレークを添加して均質な混合物を得ることにより調製される。
【0095】
得られるF1組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で45sの粘度、および9〜11のpHと測定される。
【0096】
(実施例7 粘着防止上塗層塗料組成物F2の調製)
実施例1の塗料組成物SF1に基づき粘着防止塗料組成物F3を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0097】
【表8】
【0098】
粘着防止塗料組成物F2は、常温において、(非剪断)ブレード分散機を用いてPTFEの分散物をSF1と混合して均質な混合物を得て、攪拌を継続しながら雲母フレークを添加して均質な混合物を得て、最後に攪拌を継続しながら水を添加して均質な混合物を得ることにより調製される。
【0099】
得られるF2組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で45sの粘度、および9〜11のpHと測定される。
【0100】
(実施例8 組成物SF1の層を含む支持体の調製)
実施例1の塗料組成物SF1を、組成物の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物を固化する。
【0101】
図1aに示されるように、光沢のある黄オーカー色である得られる被膜は、組成物SF1の良好な被覆度を例証する。11分間にわたる430℃での硬化後、図1bに示されるように、得られる均一な被膜は、平滑であるように見え、かつ光沢のある暗茶色を有する。測定される硬化した被膜の平均膜厚は6.4μmである。硬化した被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、硬化した被膜で被覆された表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。
【0102】
(実施例9 組成物P1の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物P1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物を固化する。
【0103】
図2aに示されるように、光沢のある黄オーカー色である得られる被膜は、組成物SF1の良好な被覆度を例証する。11分間にわたる430℃での硬化後、図2bに示されるように、得られる均一な被膜は、平滑であるように見え、かつ光沢のある暗茶色を有する。測定される硬化した被膜の平均膜厚は6μmである。硬化した被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、硬化した被膜で被覆された表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、硬化した被膜は非常に高い疎水性を示し、水滴との接触角は100°より大きい。
【0104】
(実施例10 組成物P1の層および組成物P2の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物P1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物P1を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥したP1組成物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物P2を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、組成物P1の被膜上の組成物P2を固化する。
【0105】
図3aに示されるように、光沢のあるブラウンオーカー色である得られる被膜P1+P2の複合物は、組成物P1およびP2の良好な延展性および被覆度を例証する。11分間にわたる430℃での硬化後、図3bに示されるように、均一な被膜P1+P2が得られ、当該被膜はつや消しの暗茶色を有する。測定される被膜の平均膜厚は10μmである。被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、被膜を有する表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、被膜は疎水性を示し、被膜の表面と水滴との間の接触角は120°より大きい。
【0106】
(実施例11 組成物P1の層および組成物M1の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物P1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物P1を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥したP1組成物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物M1を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、組成物P1の被膜上の組成物M1を固化する。
【0107】
光沢のあるブラウンオーカー色である得られる被膜P1+M1の複合物は、組成物P1およびM1の良好な延展性および被覆度を例証する。11分間にわたる430℃での硬化後、均一な被膜P1+M1が得られ、当該被膜はつや消しの暗茶色を有する。測定される被膜の平均膜厚は14μmである。被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、被膜を有する表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、被膜は疎水性を示し、被膜の表面と水滴との間の接触角は100°より大きい。
【0108】
(実施例12 組成物P1の層、組成物P2の層および組成物F2の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物P1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物P1を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥したP1組成物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物P2を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、組成物P1の被膜上の組成物P2を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥した被膜P1+P2の複合物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物F2を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、被膜P1+P2の複合物上の組成物F2を固化する。
【0109】
11分間にわたる430℃での硬化後、図4に示されるように、均一な被膜P1+P2+F2が得られ、当該被膜は光沢があり、斑紋を有する暗茶色を有する。測定される被膜の平均膜厚は23μmである。被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、被膜を有する表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、被膜は疎水性を示し、被膜の表面と水滴との間の接触角は100°より大きい。また、被膜は粘着防止性を示す。粘着防止性は、被膜の表面上で体積30mlの牛乳を液体の炭化が起こるまで煮ることを複数のサイクル実施することにより実証される。表面上で炭化した牛乳は、蛇口からの冷水流の圧力以上を用いることなしに、被膜から容易に剥離する。
【0110】
(実施例13 組成物P1の層、組成物M1の層および組成物F2の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物P1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物P1を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥したP1組成物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物M1を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、組成物P1の被膜上の組成物M1を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥した被膜P1+M1の複合物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物F2を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、被膜P1+M1の複合物上の組成物F2を固化する。
【0111】
11分間にわたる430℃での硬化後、均一な被膜P1+M1+F2が得られ、当該被膜は光沢があり、斑紋を有する暗茶色を有する。測定される被膜の平均膜厚は27μmである。被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、被膜を有する表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、被膜は疎水性を示し、被膜の表面と水滴との間の接触角は100°より大きい。また、被膜は粘着防止性を示す。粘着防止性は、被膜の表面上で体積30mlの牛乳を液体の炭化が起こるまで煮ることを複数のサイクル実施することにより実証される。表面上で炭化した牛乳は、蛇口からの冷水流の圧力以上を用いることなしに、被膜から容易に剥離する。
【0112】
(実施例14 組成物P1の層および組成物F1の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物P1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物P1を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥したP1組成物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物F1を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、組成物P1の被膜上の組成物F1を固化する。
【0113】
11分間にわたる430℃での硬化後、均一な被膜P1+F1が得られ、当該被膜はつや消しの暗茶色を有する。測定される被膜の平均膜厚は18μmである。被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、被膜を有する表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、被膜は疎水性を示し、被膜の表面と水滴との間の接触角は100°より大きい。
【0114】
(比較例1 塗料組成物SFCの調製)
塗料組成物SF1は、常温において、剪断分散機を用いる混合により、PAI樹脂、溶媒およびアミンを含む均質な組成物を得て、混合を継続しながら脱塩水を添加することにより均質な混合物を得て、最後に1時間30分にわたって混合物を粉砕することにより調製される。
【0115】
【表9】
【0116】
得られるSFC組成物の特徴は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で10〜15sの粘度と測定される。
【0117】
(比較例2 粘着防止下塗層塗料組成物PC1の調製)
比較例1の塗料組成物SFCに基づき粘着防止塗料組成物を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0118】
【表10】
【0119】
粘着防止塗料組成物PC1は、常温において、(非剪断)ブレード分散機を用いてPTFEの分散物をSFCと混合して均質な混合物を得ることにより調製される。
【0120】
得られる組成物PC1の粘度は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で50〜60sの粘度と測定される。
【0121】
(比較例3 粘着防止下塗層塗料組成物PC2の調製)
比較例1の塗料組成物SFCに基づき粘着防止塗料組成物を調製する。その組成の詳細を以下の表に示す。
【0122】
【表11】
【0123】
粘着防止塗料組成物PC2は、常温において、(非剪断)ブレード分散機を用いてPTFEおよびPFAの分散物をSFCと混合して均質な混合物を得ることにより調製される。
【0124】
得られる組成物PC2の粘度は、2.5mmのAFNOR粘度流動カップ(CA2.5)中で40〜50sの粘度と測定される。
【0125】
(比較例4 組成物PC1の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物PC1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物を固化する。
【0126】
11分間にわたる430℃での硬化後、5μmの平均測定膜厚を有する均一な被膜が得られる。硬化した被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、硬化した被膜で被覆された表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、硬化した被膜は疎水性を示し、水滴との接触角は100°より大きい。
【0127】
(比較例5 組成物PC1の層および組成物PC2の層を含む支持体の調製)
粘着防止塗料組成物PC1を、下塗剤の妥当な固定に貢献する清浄な表面を保証する表面処理に予めさらしたアルミナ支持体表面に吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、表面上の組成物PC1を固化する。次いで、支持体を常温まで冷却する。次いで、乾燥したPC1組成物で被覆された表面に、粘着防止塗料組成物PC2を吹き付ける。この被覆プロセスに続いて、約70〜80℃にて被膜の乾燥を実施し、組成物PC1の被膜上の組成物PC2を固化する。
【0128】
11分間にわたる430℃での硬化後、11μmの平均測定膜厚を有する均一な被膜P1+M1が得られる。被膜は、支持体に対する非常に強い粘着を示し、被膜を有する表面について実施した粘着試験は、等級0をもたらした。また、被膜は十分に高い疎水性を示し、被膜の表面と水滴との間の接触角は90°より大きい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4