特許第6794441号(P6794441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794441
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/02 20060101AFI20201119BHJP
   H02K 9/06 20060101ALI20201119BHJP
   H02K 5/18 20060101ALI20201119BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20201119BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20201119BHJP
【FI】
   H02K9/02 B
   H02K9/06 E
   H02K5/18
   H02K5/22
   H02K11/33
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-520719(P2018-520719)
(86)(22)【出願日】2017年4月21日
(86)【国際出願番号】JP2017016086
(87)【国際公開番号】WO2017208675
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2018年10月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-109880(P2016-109880)
(32)【優先日】2016年6月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】床井 博洋
(72)【発明者】
【氏名】榎本 裕治
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−074255(JP,U)
【文献】 特開平11−313465(JP,A)
【文献】 特開2015−201490(JP,A)
【文献】 特開平11−122875(JP,A)
【文献】 特表2014−521297(JP,A)
【文献】 特開平9−252563(JP,A)
【文献】 特開平10−257718(JP,A)
【文献】 特開2012−110151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/02
H02K 5/18
H02K 5/22
H02K 9/06
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータを制御するモータ制御装置を備えるモータ装置であって、
外周に、前記モータの回転軸方向に伸びる複数のモータ筐体冷却フィンを備え、前記モータを格納するモータ筐体と、
前記モータ筐体の反負荷側に設けられ、外周に、前記モータの回転軸方向に伸びる複数のモータ制御装置筐体冷却フィンを備え、前記モータ制御装置を格納するモータ制御装置筐体と、
前記モータ制御装置筐体の反負荷側に設けられたモータ制御装置冷却フィンと、
前記モータ制御装置冷却フィンの反負荷側に設けられた冷却ファンと、
前記モータ制御装置冷却フィンに吹き付けた前記冷却ファンの冷却風を、前記モータ筐体冷却フィンに導く風洞カバーと、
を備え、
前記風洞カバーは、前記モータ制御装置筐体冷却フィンを覆って、前記モータ筐体冷却フィンの反負荷側の端部まで配置され、前記冷却ファン側で支持されているモータ装置。
【請求項2】
請求項に記載のモータ装置において、
前記モータ筐体冷却フィンと、前記モータ制御装置筐体冷却フィンの円周方向の間隔が等しく、前記モータ筐体冷却フィンと前記モータ制御装置筐体冷却フィンの冷却風の通路が整列しているモータ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータ装置において、
前記モータ制御装置冷却フィンが上下方向および左右方向に設けられているモータ装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のモータ装置において、
前記モータ制御装置冷却フィンが、中心から半径方向の外側に向けて放射状に設けられているモータ装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のモータ装置において、
前記モータ制御装置を構成するパワー半導体のモジュールが、前記モータ制御装置冷却フィンに取り付けられているモータ装置。
【請求項6】
請求項に記載のモータ装置において、
前記モータ制御装置を構成するパワー半導体のモジュールが、整流ダイオードモジュールとスイッチング半導体モジュールに分かれて、前記モータ制御装置冷却フィンに取り付けられているモータ装置。
【請求項7】
モータと、前記モータを制御するモータ制御装置を備えるモータ装置であって、
前記モータと、前記モータの反負荷側に配置される前記モータ制御装置とを格納する単一の筐体と、
前記筐体の外周に配置され、前記モータの回転軸方向に伸びる複数の筐体冷却フィンと、
前記筐体の反負荷側に設けられたモータ制御装置冷却フィンと、
前記モータ制御装置冷却フィンの反負荷側に設けられた冷却ファンと、
前記モータ制御装置冷却フィンに吹き付けた前記冷却ファンの冷却風を、前記筐体冷却フィンに導く風洞カバーを備え、
前記筐体の外周に配置される前記筐体冷却フィンは、前記モータの外側から前記モータ制御装置の外側に渡って設けられ、
前記風洞カバーは、前記筐体冷却フィンの反負荷側の端部まで配置され、前記冷却ファン側で支持されているモータ装置。
【請求項8】
請求項に記載のモータ装置において、
前記モータ制御装置冷却フィンが上下方向および左右方向に設けられているモータ装置。
【請求項9】
請求項に記載のモータ装置において、
前記モータ制御装置を構成するパワー半導体のモジュールが、整流ダイオードモジュールとスイッチング半導体モジュールに分かれて、前記モータ制御装置冷却フィンに取り付けられているモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータとモータ制御装置を一体化したモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策として、二酸化炭素の削減が世界中で強く求められている。二酸化炭素削減のためには、電力の有効活用すなわち電力機器の高効率化が求められている。世界の電力消費量のうちモータは約50%を占め、モータの高効率化の要求は強く、各国でモータ効率の規制値が導入されている。
【0003】
モータには従来安価で故障しにくい誘導電動機が広く使われてきた。一方、効率及び小型化の面では永久磁石モータが有利なため、自動車、家電を中心に現在では永久磁石モータが広く使われている。ところで、永久磁石モータは固定子の回転磁界の位置と回転子の位置が完全に一致しないと正常に回転しないという問題があり、これを解決するためモータ制御装置(インバータ)が必要である。
【0004】
インバータとモータの両者を別々に設けると装置が大型化するため、特許文献1〜3に示すようにモータの反負荷側にインバータを設ける構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−271763号公報
【特許文献2】特開平11−155257号公報
【特許文献3】特開平11−313465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3において、インバータは、冷却ファン及びインバータ筺体に設けられた冷却フィンにより冷却される。一方、特許文献1、2ではモータを冷却する手段を設けずに、モータからの熱をインバータに伝えないために断熱材を設けており、コストがかかる。特許文献3では、ヒートパイプでモータを冷却しており、やはりコストがかかる。
【0007】
本発明は、モータ制御装置を冷却する冷却ファンの冷却風をモータの冷却にも使うことにより、モータとモータ制御装置の冷却装置の共有化による低コスト化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための、本発明の「モータ装置」の一例を挙げれば、モータと、前記モータを制御するモータ制御装置を備えるモータ装置であって、外周に、前記モータの回転軸方向に伸びる複数のモータ筐体冷却フィンを備え、前記モータを格納するモータ筐体と、前記モータ筐体の反負荷側に設けられ、外周に、前記モータの回転軸方向に伸びる複数のモータ制御装置筐体冷却フィンを備え、前記モータ制御装置を格納するモータ制御装置筐体と、前記モータ制御装置筐体の反負荷側に設けられたモータ制御装置冷却フィンと、前記モータ制御装置冷却フィンの反負荷側に設けられた冷却ファンと、前記モータ制御装置冷却フィンに吹き付けた前記冷却ファンの冷却風を、前記モータ筐体冷却フィンに導く風洞カバーと、を備え、前記風洞カバーは、前記モータ制御装置筐体冷却フィンを覆って、前記モータ筐体冷却フィンの反負荷側の端部まで配置され、前記冷却ファン側で支持されているモータ装置である。
【0009】
また、本発明の「モータ装置」の他の一例を挙げれば、モータと、前記モータを制御するモータ制御装置を備えるモータ装置であって、前記モータと、前記モータの反負荷側に配置される前記モータ制御装置とを格納する単一の筐体と、前記筐体の外周に配置され、前記モータの回転軸方向に伸びる複数の筐体冷却フィンと、前記筐体の反負荷側に設けられたモータ制御装置冷却フィンと、前記モータ制御装置冷却フィンの反負荷側に設けられた冷却ファンと、前記モータ制御装置冷却フィンに吹き付けた前記冷却ファンの冷却風を、前記筐体冷却フィンに導く風洞カバーを備え、前記筐体の外周に配置される前記筐体冷却フィンは、前記モータの外側から前記モータ制御装置の外側に渡って設けられ、前記風洞カバーは、前記筐体冷却フィンの反負荷側の端部まで配置され、前記冷却ファン側で支持されているモータ装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータ制御装置を冷却する冷却ファンの冷却風をモータの冷却にも使うことができ、モータとモータ制御装置の冷却装置の共有化による低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】3相交流を受電し、3相永久磁石モータを駆動する制御装置のブロック回路図の一例である。
図2A】本発明の実施例1のモータ装置を示す図である。
図2B】本発明の実施例1のモータ装置のインバータ冷却フィンを示す表面図である。
図2C図2BのB−B’断面図である。
図2D図2AのA−A’断面図である。
図3】本発明の実施例2のモータ装置を示す図である。
図4】本発明の実施例3のモータ装置を示す図である。
図5A】本発明の実施例4のモータ装置のインバータ冷却フィンを示す表面図である。
図5B図5AのA−A’断面図である。
図5C図5AのB−B’断面図である。
図6】本発明の実施例4のモータ装置のインバータ冷却フィンの変形例を示す表面図である。
図7】3相交流を受電し、3相永久磁石モータを駆動する制御装置の他のブロック回路図である。
図8】本発明の実施例5のモータ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の複数の実施例を、図面を用いて説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
実施例の説明に先立ち、本発明のモータ装置に用いられるモータ制御装置を説明する。
図1に、3相交流を受電し、3相永久磁石モータを駆動する制御装置(インバータ)のブロック回路図の一例を示す。ダイオード1a〜1fは3相のダイオードブリッジを構成している。ダイオード1aのアノードと、1bのカソードは3相のR相入力と接続している。同様にダイオード1cのアノードと、1dのカソードはS相入力、ダイオード1eのアノードと、1fのカソードはT相入力と接続している。交流はダイオード1a〜1fで構成される3相のダイオードブリッジにより全波整流され、さらに平滑コンデンサ2a、2bによりリップル成分が取り除かれ直流となる。
【0014】
IGBT3a〜3fのコレクタにはダイオード4a〜4fのカソードが、IGBT3a〜3fのエミッタにはダイオード4a〜4fのアノードが接続されている。IGBT3a、3c、3eのコレクタはダイオード1a、1c、1e及び平滑コンデンサ2a、2bと接続され、IGBT3b、3d、3fのエミッタはダイオード1b、1d、1f及び平滑コンデンサ2a、2b接続されている。IGBT3a〜3fのゲートにはゲート駆動回路5a〜5fが接続している。IGBT3aのエミッタとIGBT3bのコレクタはモータ5のW相と接続している。同様に、IGBT3cのエミッタとIGBT3dのコレクタはモータ5のV相、IGBT3eのエミッタとIGBT3fのコレクタはモータ5のU相と接続している。
【0015】
図1では、ダイオード1a〜1f、IGBT3a〜3f及びダイオード4a〜4fは1つのパワー半導体のモジュール30に格納されている。
【0016】
モータ5のW相とIGBT3aのエミッタとIGBT3bのコレクタ間の配線には電流センサ8aが、モータ5のU相とIGBT3eのエミッタとIGBT3fのコレクタ間の配線には電流センサ8bが設けられている。
【0017】
マイコン6は外部からのトルク指令値と電流センサ8a、8bの電流情報を元にIGBT3a〜3fを駆動するPWM信号を発生する。マイコン6とゲート駆動回路5a〜5f間には、絶縁のためにフォトカプラ7a〜7fが設けられている。
【0018】
インバータは、前記ダイオード1a〜1f、平滑コンデンサ2a、2b、IGBT3a〜3f、ダイオード4a〜4f、ゲート駆動回路5a〜5f、マイコン6、電流センサ8a、8b、フォトカプラ7a〜7f、および図1には記載していないがゲート駆動回路及びマイコン用の電源回路で構成されている。
【0019】
図2A図2Dに、本発明の実施例1のモータ装置を示す。図2Aは、モータ装置の回転軸方向の断面図(図2BのB−B’断面図)である。電磁鋼板20a、bには配線21a、b、c、dが巻かれており電磁鋼板20a、b、配線21a、b、c、dで固定子を構成している。ケース23a、23bには磁石24a、24b、24c、24dが納められており、ケース23a、23b、磁石24a、24b、24c、24dにより回転子を構成している。固定子及び回転子は、モータ筺体100に納められている。モータ筺体100の表面には、モータ筺体冷却フィン101a、bが設けられている。図2DのA−A’断面図に示すように、モータ筺体冷却フィン101a、bはモータの円周に沿って複数、モータの回転軸103方向に設けられている。ケース23a、23bと、負荷につながるモータ回転軸103が接続されている。モータ筺体100と、図2Aにおいてモータ左端部にはベアリング106bが設けられ、モータ回転軸103を支えている。モータ筺体100は、フランジ102とねじ107a、bにて接続されている。モータ回転軸103は、フランジ102に接続したベアリング106aにて支持されている。フランジ102は、ボルト穴108a、bにより図には記載されていない装置に固定される。
【0020】
モータ筺体100のモータ回転軸103の反対側(反負荷側)には、インバータ筺体110がボルト111a、bによりモータ筺体100と接続されている。インバータ筺体110の裏面(反負荷側)には、インバータ冷却フィン112がボルト113a、bにより接続されている。インバータ冷却フィン112には、台座40a、bを介して冷却ファン41が設けられている。図2Bはインバータ冷却フィン112を図2Aの左側から見た時の表面図、図2Cはインバータ冷却フィン112の回転軸方向の断面図である。台座40a、bはねじ穴114a〜114hに取り付けられている。インバータ冷却フィン112の冷却ファンと反対側は平らになっており、シリコングリス等の熱伝導性が高く粘度の高い物質を介して、パワー半導体のモジュール30が取り付けられている。パワー半導体のモジュール30上にはプリント基板50が設けられ、コンデンサ2a、2b、マイコン6、図2Aには記載していないが、電流センサ8a、8b、フォトカプラ7a〜7f、ゲート駆動回路及びマイコン用の電源回路が搭載されている。
【0021】
冷却ファン41、インバータ筺体110、モータ筺体100を覆う風洞カバー200が設けられている。風洞カバー200は、インバータ冷却フィン112及びインバータ筐体110を覆い、モータの反負荷側のモータ筺体冷却フィン101a、bの端部まで伸びている。風洞カバー200を更に伸ばしてモータ筺体冷却フィン101a、bを覆うようにしてもよいが、風洞カバー200を伸ばすと、風洞カバーの振動が大きくなり、強固な支持部材が必要となる。風洞カバーの覆う長さをモータの反負荷側のモータ筺体冷却フィン101a、bの端部までとすることにより、冷却ファンの冷却風によりモータの冷却も行うことができるとともに、風洞カバーの振動を抑えて風洞カバーの支持を簡易にすることができる。
【0022】
本実施例は、次のように動作する。モータ制御をするとパワー半導体のモジュール30に電流が流れ、モジュール30が発熱する。この熱をインバータ冷却フィン112に伝え、冷却ファン41からの冷却風により放熱する。冷却ファン41の冷却風は、風洞カバー200により、インバータ冷却フィン112からインバータ筐体110の外側を通ってモータ筺体100のモータ筐体冷却フィン101a、bにも流れ、モータの固定子および回転子を冷却する。パワー半導体のモジュール30およびそれを冷却するインバータ冷却フィン112をモータから離すことで、モータの固定子及び回転子からの熱の影響を受けにくくなるとともに、冷却ファン41の冷却風を、インバータの冷却に加えてモータの冷却にも使うことができ、モータとインバータ(制御装置)の冷却装置の共有化による低コスト化を図ることができる。
【実施例2】
【0023】
図3は、本発明の実施例2のモータ装置を示す図である。インバータ筺体110には、インバータ筺体冷却フィン115a、bが設けられている。インバータ筺体冷却フィン115a、bはインバータ筺体の円周に沿って複数、モータの回転軸103方向に設けられている。ところで、パワー半導体のモジュール30以外のコンデンサ2a、b、マイコン6他の電子部品も、モジュール30に比べれば1/100以下であるが、発熱する。その熱により、インバータ筺体110内の温度が上昇する。その熱をインバータ筐体冷却フィン115a、bを設けることで、冷却ファン41の冷却風により放熱することができ、インバータ筺体110内の温度上昇を抑制できる。
【0024】
なお、インバータ筺体冷却フィン115a、bの円周方向の間隔と、モータ筺体冷却フィン101a、bの円周方向の間隔を同じにし、インバータ筺体冷却フィンとモータ筺体冷却フィンの冷却風の通路が整列するようにすると、冷却ファン41からの冷却風が効率よくインバータ筺体冷却フィン115a、bからモータ筺体冷却フィン101a、bへ伝わるため、モータをさらに効率よく冷却することができる。
【実施例3】
【0025】
図4は、本発明の実施例3のモータ装置を示す図である。モータ筐体およびインバータ筺体は一つの筺体120で構成されている。筺体120の表面には、モータ部からインバータ部に渡って連続する筐体冷却フィン121a、bが設けられている。筐体冷却フィン121a、bはモータの円周に沿って複数、モータの回転軸103方向に設けられている。風洞カバー200は、インバータ冷却フィン112を覆い、モータの反負荷側の筐体冷却フィン121a、bの端部まで延びている。風洞カバー200を更に伸ばして筐体冷却フィン121a、bを覆うようにしてもよいが、風洞カバーの覆う長さをモータの反負荷側の筐体冷却フィン121a、bの端部までとすることにより、風洞カバーの振動を抑えて風洞カバーの支持を簡易に行うことができる。
【0026】
本実施例によれば、モータ筐体およびインバータ筺体を共通化して単一の筐体とすることで、1つの金型で筺体を作ることができ、モータ筐体およびインバータ筺体の接続部が無くなることで、筺体のコストを抑えることができる。また、筐体冷却フィン121a、bはインバータ部からモータ部までつながっており、冷却風は筐体冷却フィン121a、b間を通って流れるため冷却性能が向上する。さらに、風洞カバーをモータ部まで設ける必要がなくなり、さらに低コスト化を図ることができる。
【実施例4】
【0027】
図5A図5Cは、本発明の実施例4のモータ装置を示す図である。図5Aはインバータ冷却フィン116を図4の左側から見た時の表面図、図5B図5AのA−A’断面図、図5C図5AのB−B’断面図である。図5Aに示されるように、インバータ冷却フィン116のフィンは図の上下方向に加えて左右方向にも設けられている。
【0028】
図2Bでは、インバータ冷却フィン112のフィンは図の上下方向のみに設けられ、冷却風は主に上下方向のみに流れ、風洞カバー200によって曲げられてモータ筺体冷却フィン101a、bに達する。本実施例では、インバータ冷却フィン116のフィンは図の上下方向および左右方向に設けられているため、冷却風は上下方向だけではなく左右方向にも流れる。そのため、風洞カバー200によって曲げられてモータ筺体冷却フィン101a、bに達する風量を増加し、冷却性能を向上することができる。
【0029】
図6に、実施例4の変形例を示す。図に示すように、この変形例では、インバータ冷却フィン116のフィンは、中心から半径方向の外側に向かって放射状に設けられている。この変形例においても、実施例4と同様に、モータ筺体冷却フィン101a、bに達する風量を増加し、冷却性能を向上することができる。
【実施例5】
【0030】
図7に、3相交流を受電し、3相永久磁石モータを駆動する制御装置(インバータ)の他のブロック回路図を示す。図7では、ダイオード1a〜1fから構成される3相のダイオードブリッジは1つの整流ダイオードモジュール31に、IGBT3a〜3fおよびダイオード4a〜4fは1つのスイッチング半導体モジュール(IGBTモジュール)32に格納されている。
【0031】
図8は、本発明の実施例5のモータ装置を示す図である。本発明の実施例1〜3ではダイオード1a〜1f、IGBT3a〜3f及びダイオード4a〜4fは1つのパワー半導体のモジュール30に格納されていたため、モジュールが大きく、このためモジュール30中心部の放熱量が小さく、温度上昇が大きいという問題があった。本実施例では、整流ダイオードモジュール31とスイッチング半導体モジュール(IGBTモジュール)32は距離を離して、インバータ冷却フィン112あるいは116に設けられている。このため、モジュールが小型化するとともに放熱が分散されるため、よりインバータ冷却フィン112あるいは116の冷却効率が向上し、ダイオード1a〜1f、IGBT3a〜3f及びダイオード4a〜4fの温度上昇を抑制することができる。
【0032】
なお、各実施例では「永久磁石モータ」について説明したが、本発明は、「誘導モータ」など、その他のモータにも適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1a〜1f:ダイオード
2a、2b:コンデンサ
3a〜3f:IGBT
4a〜4f:ダイオード
5:モータ
5a〜5f:ゲート駆動回路
6:マイコン
7a〜7f:フォトカプラ
8a、8b:電流センサ
20a、b:電磁鋼板
21a、b:配線
23a、23b:ケース
24a、24b、24c、24d:磁石
30:パワー半導体のモジュール
31:整流ダイオードモジュール
32:スイッチング半導体モジュール
40a、b:台座
41:冷却ファン
50:プリント基板
100:モータ筺体
101a、b:モータ筺体冷却フィン
102:フランジ
103:モータ回転軸
106a、b:ベアリング
110:インバータ筺体
112:インバータ冷却フィン
115a、b:インバータ筺体冷却フィン
116:インバータ冷却フィン
120:筺体
121a、b:筐体冷却フィン
200:風洞カバー
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8