【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様によれば、本発明は、一定圧力で作動する液体を蒸気に転化する装置であって、
−筐体と、
−前記筐体内に配置され、液体流路を画定する下方傾斜を有する加熱面と、
−液体入口ポートから導入された液体が前記加熱面の前記傾斜を流れるように、前記加熱面の上部分に接続された液体入口ポートと、
−前記筐体の壁を貫通して形成された蒸気出口ポートと
を含む装置に関する。
【0015】
本発明は、前記加熱面が、
−伝熱流体の流れが前記加熱面を加熱することを可能にするように構成された伝熱管と、
−前記伝熱管のまわりに配置された半円形部分と、前記筐体上に開口を形成する上部分とを有するU字形の断面を含むコーナーピースと
を含むことを特徴とする。
【0016】
従って、本発明は、液体入口ポートを介して導入されて伝熱管のまわりのコーナーピース内に含まれる液体の蒸発を達成することを可能にする。この目的のために、液体は、伝熱管によって加熱され、その後、コーナーピースの開口を通して蒸気の形態で抽出される。
【0017】
伝熱管に加えられる線形熱力は、加熱面の長さと、時間とともに注入される全ての液体を蒸発させるのに必要な熱力とに応じて選択される。
【0018】
換言すると、本発明の実施は、3つのパラメータを調整することを必要とする:
−特に重力による液体の流れを保証する加熱面の傾斜。例えば、液体が、加熱による蒸発のために貯蔵されるタンクに向かう場合、生じる蒸気の量を正確に制御することは困難であることが理解されよう。流れのために、注入された液体の各容積は、「個別に」制御された様式で多量の熱を受け取る。従って、注入される液体の量に応じた発生する蒸気の量の制御が緩和される;
−伝熱管を通って流れる伝熱流体による液体の加熱力;及び
−移動の終了前に注入された液体1モルの完全な蒸発を得るための加熱面の長さ。
【0019】
従って、このような装置は、10g/hr〜10kg/hrの範囲の乾燥蒸気の一定流量を供給することができ、これは、例えば、キャリアガス又は蒸気流制御弁などの電気機械要素の何れも使用しない。この発生器に金属製のコーナーピースを使用することにより、曲げ加工による簡単な実施によって、材料コスト及び製造コストを低減することができる。
【0020】
例えば、10g/hr〜10kg/hrの範囲の蒸気流量に対して、最大印加熱力は8〜12kWの範囲であり得、移動の長さは10〜20メートルの範囲であり得る。実際には、300g/hrよりも小さい流量に対して、液体は好ましくは、滴下して注入される。例えば、10g/hr程度の流量は、13秒毎に36μlの約1滴の液体に相当する。
【0021】
一実施形態によれば、コーナーピースの前記半円形部分の直径は、伝熱管の直径に実質的に等しい。このような実施形態は、液体がコーナーピースの開口の反対側の伝熱管の上部分とのみ接触することを可能にし、それにより、蒸気パフのリスクを制限する。
【0022】
一実施形態によれば、コーナーピースは、伝熱管のまわりで曲げられる。本実施形態は、コーナーピースの半円形部分と伝熱管との間の空間を制限することを可能にする。
【0023】
一実施形態によれば、加熱面は螺旋を形成する。本実施形態は、加熱面の容積を制限し、従って、液体を蒸気に転化する装置の容積を制限することを可能にする。さらに、螺旋曲げ操作は、一方では、装置のコンパクト性を保証し、他方では、他の嵌合又は溶接作業なしに金属管をコーナーピースの後部に維持することを可能にする。
【0024】
一実施形態によれば、加熱面は、1〜4%の範囲の傾斜を有する。本実施形態は、液体の流速と蒸発速度との間の効率的なトレードオフを得ることを可能にし、液体の蒸発を実施するのに必要な加熱領域の長さを制限する。
【0025】
一実施形態によれば、コーナーピースは、伝熱管の一方の側に延びる少なくとも1つの溝を含む。本実施形態は、液体入口ポートを介して導入された液体を吸引するための毛管流路を形成することを可能にする。
【0026】
毛管現象による流れと結合された重力による流れは、特に、全移動にわたる加熱面の長い長さに沿って、低流量、特に滴下で入口ポートに注入された液体の均一な拡散をもたらす。こうして連続的な水フィラメントが形成される。加熱面上の液滴列の形成が回避されるので、不連続な水の注入の場合であっても、蒸気発生はより規則的であり、出口ポートにおける蒸気流量は一定である。
【0027】
このような解決策は、液体の非線形注入、特に滴下から規則的な蒸気流量を生成することを可能にする。勿論、液体入口はまた、溝の中への液体の毛管現象による直接注入を可能にし、液体水注入管の端部に液滴が形成されるのを回避するようなサイズであってもよい。一実施形態によれば、液体水注入管の端部はこの場合、溝に接触して配置される。
【0028】
一実施形態によれば、コーナーピース及び/又は伝熱管は、液体に対して中性の材料、特にステンレス鋼で作られる。このような実施形態は、腐食に抵抗するのに特に効率的である。
【0029】
一実施形態によれば、筐体は、断熱(insulating)外側ジャケットと温度制御内側ジャケットとを備える。本実施形態は、筐体の内壁上での凝縮物を回避することを可能にする。好ましくは、内側ジャケットは、大気圧から数十barの範囲の蒸気発生器の設計上規定された最大圧力まで動作するように、サイズ調整され修正される。
【0030】
大気圧で0〜5kg/hrの生産流量に適合する実施形態によれば、内側ジャケットは、厚さ2ミリメートルの鋼板において、470ミリメートルの高さに対して220ミリメートルの直径を有する。コーナーピース及び伝熱管は、10メートルの線形長さを有し、200ミリメートルの直径及び400ミリメートルの高さに従って曲げられる。蒸気が存在する容積は約12リットルである。
【0031】
一実施形態によれば、伝熱管は、伝熱流体を、コーナーピース内の液体の方向とは反対の循環方向に循環させるように構成される。本実施形態は、装置の上部よりも下部においてより多くの熱量を有する伝熱管を得ることを可能にする。その結果、100℃に近い温度を有する伝熱管に液体が導入され、蒸発が遅くなる。液体がコーナーピース内を流れ落ちると、伝熱管の温度並びに蒸発速度が上昇する。
【0032】
さらに、記載された装置は乾燥蒸気を発生させることを可能にするが、混合物にするために必要に応じて1つ又は複数のガスを導入することも可能である。
【0033】
この場合、蒸気への導入の前にガスの予熱が必要である。このような予熱は、例えば、ガスラインを発生器の筐体と接触させて螺旋状に巻くことを含む簡単な技術によって得ることができる。
【0034】
伝熱流体のエネルギーが必要量の蒸気を発生させるのに十分ではない特定の場合には、電力の形で補完を加えることが可能である。
【0035】
このような入力は、蒸気発生器への注入前の流体の追加の加熱であってもよい。従って、蒸気発生器に入る前に伝熱管に発熱抵抗器を加えることができ、伝熱流体の熱量が入口ポートで導入される液体を蒸発させるのに必要なエネルギー量よりも多くなることを常に保証するのに必要な温度に調整される。
【0036】
一実施形態によれば、装置は2つの部分:
−伝熱管がコーナーピースの半円形部分に配置される上部分と、
−コーナーピースの半円形部分に電気発熱抵抗器が配置される下部分と
を含む。
【0037】
従って、蒸発されるべき流量が十分に低い場合、伝熱流体によって提供されるエネルギーによって第1領域においてのみ蒸発される。流量が第1領域の蒸発能力を超える場合、それは第2領域上に到達して予熱され、電力が蒸発を達成するのに必要な入力を完了する。さらに、伝熱流体は非常に低い温度で出て、伝熱流体の熱エネルギーの大部分は使用されている。
【0038】
第2態様によれば、本発明は、蒸気発生器であって、
−0〜10kg/hrの範囲の一定の液体流量を発生させることができる液体流調整器と、
−前記液体流調整器に結合された入口ポートを有する、本発明の第1実施形態による液体を蒸気に転化する装置と、
−液体を加熱するために加熱面に十分なエネルギー量を供給することができるエネルギー源と、
を含む蒸気発生器に関する。
【0039】
本発明は、添付の図面と関連してのみ例示された以下の説明を読むことによって、より良く理解されるだろう。添付の図面において、同じ符号は、同一又は同様の要素を示す。