(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
窒素含有量を変化させる工程は、凝固させる工程の間に溶融材料の前記領域を覆うようにシールドガスを供給する工程と、1モル%〜20モル%の窒素を含むようにシールドガスの含有量を調整する工程と、を含む、請求項8または9に記載の方法。
前記溶解度を調整する工程は、溶融材料の前記領域へ窒化物の前記溶解度を増加させる元素を添加する工程、または溶融材料の前記領域へ窒化物の前記溶解度を低下させる元素を添加する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
融接によって、第1の金属体を第2の金属体に接合して溶接物が形成される。融接のために金属を融点まで加熱しなければならないので、第1の金属体および第2の金属体は、十分に加熱されてそれぞれから溶融したベース材料(base material)を形成し、溶接ワイヤーおよびフィラー材料(filler material)などの任意の添加材料で 溶融材料の領域を形成する。溶融材料の領域が融合(coalesce)して、異なる溶融成分が混合して溶融塊を形成する。溶融した成分金属の間には高度の均質性がしばしば存在するが、局部的な組成変化が生じ得る。融合(coalescence)は、典型的には対流によって生じるが、振動(oscillation)および蒸発(evaporation)さえも役割を果たし得る。続いて、融合溶融領域が凝固して、第1の金属体を第2の金属体に接合する溶接材料が形成され、溶接物が形成される。
【0016】
図1Aは、融接接合部における溶接物10の一部の簡略化された概略断面を示す。溶接物は、溶接材料40によって接合された第1の金属体20および第2の金属体30を含む。溶接材料40は、完全に溶融した第1の金属体20および第2の金属体30からのベース材料と、溶接ワイヤおよびフィラー材料などの任意の添加材料との混合物である。溶接材料40から少し離れて、かつ溶接材料40の外側で、界面/部分的に(interface/partially)溶融ゾーン50によってそこから分離される、熱影響ゾーン(HAZ)60が存在する。熱影響ゾーンは、第1の金属体20および第2の金属体30中の材料の塊(volume)であり、ベース金属(base metal)は溶融していないが、溶接プロセスからの高温熱によってその微細構造または機械的特性が変化している。溶接材料40からさらに離れて熱影響ゾーン60の外側では、第1の金属体20および第2の金属体30のベース金属は、基本的に影響を受けない。溶接物10の図示された部分では、ベース金属が基本的に影響を受けない金属体20,30内の領域は、それぞれ70および80で示されている。
【0017】
開示された融接は、溶接オーバーレイ、バタリングおよびクラッディングのような他の応用にも及ぶ。
図1Bは、溶接オーバーレイの一部の単純化された概略断面を示す。溶接オーバーレイ200は、特定の特性を有する1つ以上の金属をベース金属またはベース構造に適用して、所望の特性を改善するか、または部品の元の寸法に回復させる。
図1Bに示したように、溶接オーバーレイ200は、ベース構造204(
図1Bでは、ベース構造はパイプである)への溶接オーバーレイ材料202を含む。溶接材料206は、ベース材料204の2つのセクション間の接合点または接触点に配置され、溶接材料202は、ベース構造(base structure)204の表面に沿って欠陥(defect)208を越えて延びている(
図1Bでは、欠陥は亀裂(crack)である)。
図1Cは、溶接金属層242がベース金属244上に連続的に適用されて複数の溶接金属層を形成する、溶接バタリング240の一部の簡略化された概略断面を示す。
図1Cは、溶接物表面に平行に適用された溶接堆積物を示しているが、溶接堆積物は溶接物表面に垂直に適用されてもよい。
【0018】
例示的な実施形態では、溶接材料40,206,242(およびオプションとして溶接オーバーレイ材料202)は、ERNiCr−3溶接金属に基づいている。ERNiCr−3溶接金属は、フェライト系およびオーステナイト系材料のような異種金属を使用する場合、第1の金属体と第2の金属体との間の熱膨張係数の差異を調整する手段を提供しながら、優れた耐腐食性および高温機械的特性を提供する。ERNiCr−3溶接金属は、機械的傷(mechanical flaws)や凝固割れなどの欠陥に耐性があると一般的に考えられているが、高い拘束状況(restraint situations)では凝固割れが観察されている。高い拘束状況の例には、厚い部分溶接堆積物(section weld deposits)、高度に拘束された金属体、および高い降伏強度を有する金属体が含まれる。さらに、従来のERNiCr−3溶接金属の仕様範囲内の化学組成のわずかな変動にもかかわらず、凝固割れ感受性のかなりの熱−熱変動が生じることが観察された。そのような凝固割れが観察され、試料間で比較され得る1つの試験は、Weld World (2013),「Use of the cast pin tear test to study solidification cracking」,T.Alexandrovら著,57:635-648に開示及び記載されたキャストピン引裂試験(CPTT)であり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
溶接材料の窒素含有量および炭素含有量ならびに析出物特性(数、サイズおよび/または分布)のうちの1つ以上は、溶接材料の材料強度および溶接材料の特定の種類の亀裂抵抗(crack resistance)に影響を及ぼす。出願人は、溶接材料中の窒素および窒化物の含有量の制御は、溶接環境の窒素源および窒化物源を制御することによって達成することができ、溶接材料において特定の割れ感受性の低下および改善された機械的強度を含む所望の特性を達成するように用いられ得ることを見出した。同様に、溶接材料中の炭素および炭素含有量の制御は、溶接環境の炭素源および窒化物源を制御することによって達成することができ、溶接材料において特定の割れ感受性の低下および改善された機械的強度を含む所望の特性を達成するように用いられ得る。さらに、窒素および炭素制御の両方を組み合わせて、このような望ましい特性を達成してもよい。
【0020】
例えば、第1の実施形態では、150ppm〜250ppmの窒素含有量における熱がより敏感であるようである一方で、15ppm〜120ppmの範囲の窒素は凝固割れのような高温割れ機構に耐性を与えるようである。反対に、200ppm〜1500ppmの範囲の高い窒素含有量では、機械的強度が向上し、延性低下割れ(DDC: Ductility Dip Cracking)などの固体状態の割れ機構に対する耐性が促進されるようである。
【0021】
15ppm〜120ppmあるいは20ppm〜100ppmの範囲の窒素含有量および析出物の低い体積分率(例えば、0.005未満)は、引張強度および0.2%降伏強度などの機械的特性にほとんど影響を与えず、凝固割れなどの高温割れ機構に対する溶接材料の耐性を向上させる。また、200ppm〜1500ppmあるいは600ppm〜1300ppmの範囲の窒素含有量および析出物の高い体積分率(例えば、0.01超あるいは0.01〜0.0175)は、引張強度および0.2%降伏強度などの溶接材料の機械的特性を増大させ、延性低下割れなどの固体状態の割れ機構に対する溶接材料の耐性を向上させる。
【0022】
上記を考慮すると、溶接材料の特定の実施形態は、15ppm〜120ppmの範囲または200ppm〜1500ppmの範囲の窒素含有量を含む組成を有する。また、溶接材料の微細構造は、複数の金属炭化物析出物および複数の金属炭化物/窒化物析出物のうちの1つ以上を含む。窒素含有量が15ppm〜120ppmの範囲にあるとき、溶接材料の微細構造は、0.0025以下の体積分率を有する複数の析出物を含む。窒素含有量が200ppm〜1500ppmの範囲にあるとき、溶接材料の微細構造は、0.003以上の体積分率を有する複数の析出物を含む。析出物の体積分率は、(以下でさらに説明するように)SEMを用いた定量的画像解析によって決定され得る。
【0023】
また、例えば、第2の実施形態では、100ppm〜500ppmのNおよび0.06重量%以下のC(好ましくは0.03〜0.06重量%のC)のうちの1つ以上が機械的性能の改善をもたらす。より詳細には、0.040重量%以下の範囲のCと組み合わせた250ppm以下のNの範囲は、凝固割れなどの高温割れ機構に対する耐性をもたらす。反対に、0.03重量%〜0.06重量%の範囲のCと組み合わせた100ppm〜500ppmの範囲のNは、機械的強度を改善し、延性低下割れ(DDC)などの固体状態の割れ機構に対する耐性を促進する。
【0024】
以下の表1は、炭素含有量および窒素含有量が制御され、凝固割れおよび延性低下割れ(DDC)などの固体状態の割れ機構などのような高温割れ機構に付随した効果を伴った特定の組成を得るERNiCr−3溶接材料の組成をまとめたものである。
【0026】
上記を考慮すると、溶接材料の特定の実施形態は、0.040重量%以下の範囲の炭素含有量と組み合わせて、250ppm以下の範囲の窒素の窒素含有量を含む組成を有する。また、この溶接材料の微細構造は、複数の金属炭化物析出物および複数の金属炭化物/窒化物析出物のうちの1つ以上を含む。具体的には、この溶接材料の微細構造は、約0.0025の体積分率を有する複数の析出物を含む。溶接材料の別の特定の実施形態は、0.03重量%〜0.06重量%の範囲の炭素含有量と組み合わせて、100ppm〜500ppmの範囲の窒素の窒素含有量を含む組成を有する。また、この溶接材料の微細構造は、複数の金属炭化物析出物および複数の金属炭化物/窒化物析出物のうちの1つ以上を含む。具体的には、この溶接材料の微細構造は、100ppm〜500ppmの範囲の窒素および0.03〜0.05重量%の範囲のCでは0.0025〜0.0077、あるいは、0.030重量%のCと組み合わせて125ppm〜350ppmの範囲の窒素では0.0025〜0.0060、および0.05重量%のCと組み合わせて200ppm〜310ppmの範囲の窒素では0.0060〜0.0077の複数の析出物の体積分率を有する複数の析出物を含む。析出物の体積分率は、(以下にさらに説明するように)SEMによる定量的画像解析によって決定することができ、高い拘束用途(restraint applications)において、凝固割れなどの高温割れ機構に対する既知の耐性と相関する測定基準を提供する。
【0027】
図2は、95モル%のアルゴンと5モル%の窒素のシールドガスを用いて準備されたERNiCr−3溶接材料の走査電子顕微鏡画像である。
図2のERNiCr−3溶接材料の窒素含有量は1300ppmであった。
図2の画像100において、光または白色領域110は、炭化物(例えばMC型)および複合炭化物/窒化物(例えばMX型)型の析出物である。顕微鏡写真の黒い線120は粒界である。画像100は、20.0kvおよび1500倍の倍率で撮影した。定量的画像解析を用いて、15のSEM顕微鏡写真からの測定値の平均を取り(すべてサンプルの同じ直交面から、同じ溶接プロセスと一貫したイメージングおよび定量化設定を使用)、
図2の画像100に示される試料の析出物の体積分率は0.0175であると決定された。
図2に示される他の特徴には、γ相(すなわち、オーステナイト)130、小さなMC/MX相粒子(粒間)140、小さなMC/MX相粒子(樹枝間(inter-dendritic))150、および大きなMN/MX相粒子160が含まれる。
【0028】
溶接材料中の析出物量は、窒化物および炭化物形成成分の存在および量によって影響され得る。ERNiCR−3に影響を及ぼす炭化物または窒化物の形成成分は、ニオブおよびチタンである。ニオブは、ERNiCr−3の主要な炭化物形成元素である。ERNiCr−3の従来の相変態シーケンスは、γ相(すなわち、オーステナイト)およびNbCのみをもたらす。そのため、特定の例では、溶接材料の組成は、1〜4重量%のNb、あるいは2〜3重量%のNbおよび0.75重量%以下のTi、あるいは0.30〜0.45重量%のTiのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0029】
他の点では、溶接材料は、第1の金属体と第2の金属体とを接合して溶接物を形成するのに適した溶接材料としてもよい。さらなる特定の実施形態では、第1の金属体および第2の金属体は、同様の金属または異種金属(または、鉄および非鉄金属である)から形成され、溶接材料は、ERNiCr−3ベースの溶接材料である。
【0030】
第1の実施形態では、ERNiCr−3ベースの溶接材料は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:1.0〜3.0重量%、
M :4.0重量%以下、
N :15ppm〜120ppmまたは200ppm〜1500ppm、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む組成を有する。
【0031】
第2の実施形態では、ERNiCr−3ベースの溶接材料は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:3.0重量%以下、
M :4.0重量%以下、
N :100ppm〜500ppm、
C :0.03〜0.06重量%、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む組成を有する。
【0032】
第3の実施形態では、ERNiCr−3ベースの溶接材料は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:3.0重量%以下、
M :4.0重量%以下、
N :250ppm以下、
C :0.040重量%以下、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む組成を有する。
【0033】
上記のそれぞれにおいて、Mは、NbまたはTiなどの炭化物または窒化物または複合炭化物/窒化物形成成分である。Nbが存在する場合、その限界は1〜4重量%、あるいは2〜3重量%であり、Tiが存在する場合、その限界は0.75重量%以下、あるいは0.30〜0.45重量%である。NbおよびTaは、ERNiCr−3の一次炭化物形成元素であり、互いに置換されることができ、存在する場合、ERNiCr−3の従来の相変態シーケンスは、γ相およびNbCおよび/またはTaCをもたらす。
【0034】
炭素はまた、溶接組成中に存在してもよく、溶接材料の析出物特性(数、サイズおよび/または分布)に寄与してもよく、析出量に顕著な影響を及ぼす。ERNiCr−3(EN82H)材料の仕様では、Cは0.03重量%〜0.10重量%の範囲を有する。典型的なバルク組成は0.035〜0.045重量%のCであり、高炭素含有量(0.050〜0.060重量%のC)における熱に関する観察によれば、窒化物が依然として不均一な析出のための主要な触媒である一方で、NおよびCの両方が溶接材料中の析出物量に寄与することを示唆している。
【0035】
単一の溶接物内において、特定の領域は、多少の窒素および/または析出物を採用して、所望の特性を得ることできる。例えば、多層溶着物を有する溶接物において、溶接物の異なる領域または層は、溶接材料組成中に異なる量の窒素を有する溶接材料を有していてもよい。(溶接凝固の終わりに向かって典型的に起こる)凝固割れに対する感受性の高い溶接物の領域では、溶接材料の窒素含有量を15ppm〜120ppm(約0.0015重量%〜0.012重量%)に調整して、凝固割れに対する耐性を高めてもよく、または400ppm(約0.040重量%)まで存在する炭素と組み合わせて窒素が250ppm(約0.025重量%)まで存在する、窒素と炭素の両方を有するように調整してもよい。同じ溶接物内であるが異なる層では、凝固割れ感受性が低い領域もあるが、延性低下割れなどの固体状態の割れ機構に対する感受性が高い領域(例えば、マイグレーションされた溶接粒界または不十分なMC型炭化物析出物を含む領域)があり、これらの領域の溶接材料は、窒素レベルが200ppm〜1500ppm、あるいは500ppm〜1400ppmまたは1000ppm〜1300ppm(約0.02重量%〜0.15重量%、あるいは0.05重量%〜0.14重量%または0.10重量%〜0.13重量%)になるように調整された、または300ppm〜600ppm(約0.03重量%〜0.06重量%)の範囲内に存在する炭素と組み合わせて窒素が100ppm〜500ppm(約0.010重量%〜0.050重量%)の範囲内に存在する、窒素と炭素の両方を有するように調整された組成を有してもよい。場合によっては、同じ溶接物内であるが異なる層における溶接材料の窒素および/または炭素含有量は調整されなくてもよいとも考えられる。
【0036】
特定の理論に拘束されるものではないが、溶接プロセスにおける溶接材料の凝固は、十分早く起こり、溶接材料中に炭化物(例えばMC型)、窒化物および/または複合炭化物/窒化物(例えばMX型)型の微粒子を形成するための金属元素系(例えばNb系)または炭素系のルート(routes)は、そのような析出物形成プロセスが本質的に溶接材料の凝固によって停止される前に、核生成し、成長し、析出物を形成する時間が限られていると現在理解されている。これらの条件下では、溶接材料の最終の析出物特性(数、サイズおよび/または分布)の変動に影響を及ぼす能力はほとんどない。しかしながら、溶融溶接材料中の窒素(または窒化物)の存在を増加させると液相線温度が上昇し、溶接材料組成の成分のより高い移動性およびより長い凝固プロセスを可能にし、例えば約120ppm未満のより少ない量の窒素を含む溶接材料と比較して、析出物性(数、サイズおよび/または分布)の増加を促進させる。窒素/窒化物濃度の増加が析出物性を増加させ、窒素/窒化物濃度の減少が析出物性を減少させるように、これらの増加した析出物特性(数、サイズおよび/または分布)は定性的に相関している。
【0037】
さらに、低い窒素含有量(15ppm〜120ppm)および析出物の低い体積分率(0.0025未満)を有する溶接材料は、窒素および析出物が変更されないが高温割れ機構に対する改善された耐性を示す溶接材料と比較して、機械的特性の改善がほとんどまたは全くない。同様に、高い窒素含有量(200ppm〜1500ppm、特に1000ppmを超える場合)および析出物の高い体積分率(0.003超、特に0.010以上、あるいは0.010〜0.0175)を有する溶接材料は、窒素および析出物が変更されておらず、固体状態の割れ機構に対する改善された耐性も示す溶接材料と比較して、機械的特性が改善される。
【0038】
溶接材料が第1の金属体を第2の金属体に接合して溶接物を形成する融接の方法に目を向けると、例示的な方法は、第1の金属体と第2の金属体との間に溶融材料の領域を形成する工程を含む。この溶融材料は、第1の金属体からの溶融ベース金属(molten base metal)、第2の金属体からの溶融ベース金属、溶接合金からの溶接金属、および任意の1つ以上の溶融フィラー金属を含む。以下でさらに説明するように、溶融材料の窒素および炭素含有量の少なくとも1つが変更され、溶融材料が融合され、これにより第1の金属体からの溶融ベース金属、第2の金属体からの溶融ベース金属、溶接合金からの溶接金属および任意の1つ以上の溶融フィラー金属の異なる成分が融合して混合物となる。次に、融合された溶融材料は、凝固して、使用される開示の実施形態に応じて、(所望の機械的特性および所望の割れ抵抗に応じて、)15ppm〜120ppmまたは200ppm〜1500ppmの窒素を含む、または窒素と炭素の両方を含み、ここで、窒素は0.040重量%まで存在する炭素と組み合わせて250ppmまで存在する、または窒素と炭素の両方を含み、ここで、0.03重量%〜0.06重量%の範囲で存在する炭素と組み合わせて窒素が100ppm〜500ppmの範囲で存在する組成を有する溶接材料を形成する。
【0039】
また、溶融材料の窒素および窒化物の含有量を変更させることにより、複数の金属炭化物析出物および複数の金属炭化物/窒化物析出物のうちの1つ以上を含むように、溶接材料の微細構造が変更される。例示的な実施形態では、溶接材料の微細構造は、低い体積分率(0.0025未満)の析出物で複数のNbC析出物および/またはTiN析出物を含み、高温割れ機構に対する耐性を改善するか、または高い体積分率(0.003超、特に0.010以上)の析出物で、固体状態の割れ機構に対する耐性を改善する。炭素および窒素が制御される別の実施形態では、析出物の体積分率は、0.03〜0.05重量%のCと組み合わせて100ppm〜500ppmの範囲の窒素では0.0025〜0.0077であり、あるいは、体積分率は、0.030重量%のCと組み合わせた125ppm〜350ppmの範囲の窒素では0.0025〜0.0060であり、0.05重量%のCと組み合わせた200ppm〜310ppmの範囲の窒素では0.0060〜0.0077である。
【0040】
本明細書で開示される方法は、溶融溶接材料中の窒素(および窒化物)および/または炭素(および炭化物)の存在を制御することによって、溶融材料の窒素含有量および/または炭素含有量を変更する。また、溶融溶接材料中の窒素(および窒化物)および/または炭素(および炭化物)の存在を制御することによって、窒素および炭化物(例えばMC型)タイプの析出物および/または複合炭化物/窒化物(例えばMX型)タイプの析出物ならびに溶接材料中のそれらの含有量に影響を及ぼし変更させる。例えば、以下の工程の1つ以上を含む溶接プロセスを使用して、溶融材料の窒素含有量および炭素含有量のうちの1つ以上を変更することができる。(i)シールドガス組成を調整して、窒素ガスおよび窒化物種を増加させる、(ii)シールドガス組成を調整して、窒素ガスおよび窒化物種を減少させる、(iii)材料中の窒素、ならびに窒化物形成および窒化物可溶化成分の組成を調整して、所望の濃度の窒素および窒化物を得る、および(iv)フラックスおよびフィラー材料の使用などの他のプロセスが用いられ、溶融材料を形成する溶融金属に窒素または窒化物を導入する、(v)シールドガス組成を調整して、炭素ガスおよび炭化物種を増加させる、(vi)シールドガス組成を調整して、炭素ガスおよび炭化物種を減少させる、(vii)材料中の炭素、ならびに炭化物形成および炭化物可溶化成分の組成を調整して、所望の濃度の炭素および炭化物を得る、および(viii)フラックスおよびフィラー材料の使用などの他のプロセスを用いて、溶接材料、オーバーレイ、バタリングまたはクラッディングを形成する溶融金属に炭素または炭化物を導入する。
【0041】
例えば成形(shaping)および/またはクリーニングによって溶接用の加工対象物(例えば、溶接材料によって接合されて溶接物を形成する金属体)および材料を準備した後に、溶接プロセスは、溶融材料の領域が第1の金属体と第2の金属体との間に形成される場所で開始及び進行し得る。この溶融材料の領域は、第1の金属体からの溶融ベース金属、第2の金属体からの溶融ベース金属、溶接合金からの溶融溶接金属、および任意の1つ以上の溶融フィラー金属を含む。
【0042】
例えばガス金属アーク溶接およびガスタングステンアーク溶接中にシールドガスが存在する場合、シールドガスは溶融材料の領域に供給され、溶接の品質を低下させる可能性がある酸素、水蒸気および他の不純物に対する保護ガスバリヤーを形成する。シールドガスは、任意の適切な手段によって供給され得る。例えば、シールドガスは、溶接ラインの端部にあるガスノズルに通じるシールドガスラインを通って供給され、シールドガスは、溶接アークの周りの溶接作業ゾーン(welding work zone)に排出されるか、またはシールドガスは、別個の供給源および装置から供給され、溶接アークの周りの溶接作業ゾーンに適用され得る。
【0043】
シールドガスの例として、シールドガスは、(個々のガスまたは混合ガスであろうとなかろうと)0〜5モル%の窒素および0〜25モル%のCO
2の1つ以上を含むようにその組成が変更された不活性または半不活性ガス(例えばアルゴンまたはヘリウム)であってもよい。一例として、窒素のみのシールドガスは、ERNiCr−3溶接消耗品(welding consumable)を用いた溶接用途(例えばコールドワイヤ(AGTA−CW)による自動ガスタングステンアーク溶接)に用いられる場合、最大0.0175の体積分率でMC型およびMX型の析出物を含み、最大0.13重量%の窒素を含む組成を有する溶接材料を形成する。
【0044】
溶接アークの周りの溶接作業ゾーンにおいて、シールドガスの保護ガス障壁は、溶融材料と接触し、ガス障壁からの(元素状窒素または溶接で用いられる高温のために窒化物の形で)窒素または(元素状炭素または溶接で用いられる高温のために炭化物の形で)炭素が溶融材料に導入される。溶接材料中において、凝固中に、窒素(または窒化物)および/または炭素(または炭化物)は、窒素/炭素のままであるか、または溶融金属中の窒化物/炭化物形成種と反応して窒化物/炭化物を形成し、炭化物(例えばMC型)および/または複合炭化物/窒化物(例えばMX型)タイプの微粒子を促進させると共に、溶接材料の窒素含有量に寄与する。
【0045】
代替的にまたは同時に、溶接材料中の窒素(または窒化物)または炭素(または炭化物)材料の量は、第1の金属体と第2の金属体と溶接合金の溶接金属とのうちの1つ以上の材料中における窒素(および/または炭素)形成および窒素(および/または炭素)可溶化成分の組成によって制御され得る。窒素および窒化物(および/または炭素および炭化物)の量は、窒素/窒化物(および/または炭素/炭化物)形成元素を添加することによって、または窒素または窒化物促進元素(および/または炭素または炭化物促進元素)の溶解度を増加または妨げる元素を添加することによって影響され得る。例として、窒素/窒化物形成元素としてTiおよびAlを用いることができ、窒素または窒化物の形成を促進する元素としてMnを用いることができる。これらの2つのタイプの添加物は、単独でまたは組み合わせて用いられて、窒素と炭化物(例えばMC型)、窒化物および/または複合炭化物/窒化物(例えばMX型)タイプの微粒子の量および分布に対する望ましい効果をバランスさせて、溶接材料の窒素含有量に寄与してもよい。例えば、第1の金属体および第2の金属体の一方または両方は、窒素含有量および/または窒化物含有量が変更された組成を有していてもよい。別の例として、VIM溶融(VIM melting)または加圧エレクトロスラグ再溶融プロセス(P−ESR)中のような、一次/二次溶融プロセス中に測定された窒素/窒化物の添加物を用いてもよい。類似の状況は、炭素/炭化物形成元素および/またはプロセスを用いることにより、炭素含有量および/または炭化物含有量について達せられてもよい。例えば、炭素/炭化物形成元素は、材料のVIM溶融中に、溶接ワイヤのような溶接供給物に組み込まれてもよい。
【0046】
さらなる例として、例えばERNiCr−3溶接金属のような溶接消耗品の溶接金属中の窒素含有量は、例えば、溶接金属を窒化することによって、または溶接金属を被覆することによって、窒素および/または窒化物を含むように変更されてもよい。炭素含有量は、例えば、溶接金属を炭化するか、または溶接金属を被覆することによって同様に調整されてもよい。溶接金属を窒化または炭化するために、従来の溶接金属を温度および/または圧力で窒素/炭素含有雰囲気に暴露して、溶接金属を窒化/炭化し、溶接金属に窒素リッチ/炭素リッチの表面ゾーンを形成してもよい。次に、この窒化/炭化溶接金属は、溶接金属の窒化物/炭化物材料が溶融材料の領域に添加される溶接プロセスにおいて、溶接消耗品として用いられてもよい。溶接金属の窒化/炭化の量を変化させることにより、溶融材料の組成中の窒素/炭素の量が変更される。特定のフラックスベース(flux-based)または粉末コア製品(powder core products)も同様の効果を得るように変更/生成されてもよい。
【0047】
代替的にまたは同時に、溶接材料中の窒素(または窒化物)材料の量は、溶接プロセスに用いられる溶接助剤(welding aides)の材料中の窒素、窒化物形成および窒化物可溶化成分の組成によって制御されてもよい。同様に、溶接材料中の炭素(または炭化物)材料の量は、溶接プロセスに用いられる溶接助剤の材料中の炭素、炭化物形成および炭化物可溶化成分の組成によって制御されてもよい。溶接助剤の例としては、フラックスおよびフィラーが挙げられる。例えば、ERNiCrFe−3溶接消耗品を使用したシールド金属アーク溶接(SMAW)では、フラックスが加熱されて流れるとき、それは溶融材料の領域に接触し、溶接の品質を低下させ得る酸素、水蒸気および他の不純物に対する保護バリアを形成する。フラックスは溶融材料と混ざらないが、フラックスと溶融材料との界面では、フラックスからの成分が溶融組成物に入ることができる。これは、溶接に用いられる高温または溶融材料およびフラックスの高い化学ポテンシャルなどのように、そのような成分がフラックス溶融材料界面を横切るような十分な駆動力がある場合に起こり得る。窒化物粉末、炭素粉末、窒化物形成元素、炭化物形成元素、および溶接中に窒素ガスおよび/または炭素ガスを生成するコーティングのような、1つ以上の添加物が用いられる場合、添加物は溶融し、それらの含有量は溶融材料の含有量に寄与する。フィラーの窒素、窒化物、窒化物形成および窒化物可溶化、炭素、炭化物、炭素形成および炭化物可溶化含有量を、例えば組成、窒化、炭化、またはコーティングを変更することにより変化させることによって、材料中の窒素、炭素、窒化物、炭化物、窒化物形成および窒化物可溶化および炭化物形成および炭化物可溶化含有量を変化させて、材料が溶接プロセスにおいて消耗品として用いられる場合に、溶融材料の組成中の窒素および/または炭素の量を変更させる。
【実施例】
【0048】
表2および3は、溶接材料中の窒素量を変更させた試料の組成分析および機械的試験の結果を報告する。試料は、AGTA−CW溶接およびニッケル−クロム−鉄合金の合金600(UNS06600)の金属体を用いて溶接物を製造することによって準備した。溶接ビードは、合金600試験片の平坦な位置に堆積させた。4インチ(幅)×5インチ(長さ)×1インチ(高さ)のおおよその形状を有する多層溶接ビルドアップ(multi-layer weld buildup)を生成する。表2および3の試料の溶接金属は、ERNiCr−3ベースの溶接金属であった。添加物またはフラックスは用いなかった。表2および表3の試料の溶接プロセス中に、アルゴン混合シールドガスを用いて、窒素含有量は以下のように4つの試料の間で変化させた。試料YT0159−0NCに0モル%(mol%)の窒素シールドガスが用いられ、試料YT0159−1NCに1モル%の窒素シールドガスが用いられ、試料YT0159−5NCに5モル%の窒素シールドガスが用いられ、試料YT0159−20NCに20モル%の窒素シールドガスが用いられた。
【0049】
表2および表3の試料のERNiCr−3溶接金属は、真空溶解(VIM: Vacuum Induction Melting)、エレクトロスラグ再溶解炉(ESR: Electroslag Remelting)および真空アーク再溶解炉(VAR: Vacuum Arc Remelting)を含む3段階溶融プロセスで真空溶融技術によって準備され、15ppm〜25ppmの範囲の窒素含有量をもたらす。真空溶解技術によって準備されたERNiCr−3は、真空溶解したERNiCr−3中の窒素および窒化物の含有量が試料間でより一致しており、また窒素および窒化物の含有量が15ppm〜25ppmであり、これは、十分小さく、溶接材料中の窒素および窒化物含有量の制御が、溶接プロセス中にユーザーによって添加される、例えば、シールドガス組成、材料中の窒素(および窒化物)形成および窒素(および窒化物)可溶化成分の組成、およびフラックスおよび添加物材料の利用などの他のプロセスのうちの1つ以上の制御を通じて、窒素および窒化物の量に本質的に完全に依存し、かつそれによって制御され得るため、大気溶解ERNiCr−3と比較して好ましい溶接消耗品である。
【0050】
表2:溶接材料の組成分析(重量%)
【表2】
【0051】
表2に報告された組成分析の結果は、誘導炉または抵抗炉内における誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)および燃焼技術(combustion techniques)などの標準的な分析技術を用いて得られた。燃焼技術は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄に用いられた。報告されたニッケル含有量は、他の成分の測定された含有量の残余に基づく。
【0052】
続いて、試料YT0159−0NC(0モル%の窒素を含むシールドガスを利用して準備)、試料YT0159−1NC(1モル%の窒素を含むシールドガスを利用して準備)、試料YT0159−5NC(5モル%の窒素を含むシールドガスを利用して準備)および試料YT0159−20NC(20モル%の窒素を含むシールドガスを用いて準備)の機械的特性が試験された。表3は、試験結果を含み、各試料について、引張強度(ksi)、0.2%降伏強度(ksi)、伸び(4Dにおける%)(%伸びは、ゲージ長さがそのゲージ直径の4倍である試料で測定されたことを意味する)および溶接進行方向に対して縦方向および横方向の両方向における絞り(%)を報告する。
【0053】
表3:溶接材料の引張試験
【表3】
【0054】
より具体的には、4つのサンプルを、ASTM E8−15a(金属材料の引張試験のための標準試験方法)を参照して、AWS B4.0(溶接の機械的試験のための標準的方法)に従って試験した。試験は、0.005インチ/インチ/分の歪み速度で、全歪みが1.5%になるまで室温で行い、その後、クロスヘッド速度が0.050インチ/インチ/分で破損(failure)するまで行った。各試料は全ての溶接金属(表2の組成に対応する)から成り、各試料の試験ブランクは、5/8インチ×5/8インチ×3.5インチで、直径0.250インチの円形引張り試験片に機械加工された。
【0055】
0モル%超の窒素を有するシールドガスを用いて準備された試料の機械的特性を、0モル%の窒素のシールドガスを用いて準備された試料と比較すると、シールドガスの窒素量(そして、溶接材料中の窒素量により)が増加するにつれて、機械的特性の変化を観察することができる。引張強さの変化(絶対値および百分率)を表4に示す。
【0056】
表4:1モル%、5モル%および20モル%の窒素シールドガスを用いて準備された試料の機械的特性と0モル%窒素シールドガスを用いて準備された試料の機械的特性との比較
【表4】
【0057】
また、比較のために、ASME IICの附属書A,SFA−5.14につき、従来のERNiCr−3溶接金属の典型的な機械的特性には、80ksiの引張強度が含まれる。また、比較のために、MIL仕様の等価溶接材料(EN82H)、MIL−E−21562は、80ksiの最小引張強度および30%の最小伸びを有し、EN82Hと一致する引張強度および伸び値を有する焼鈍されたUNS N06600(ASTM B166/168)は、35ksiの最小降伏強度(0.2%オフセット)を有する。試験した本発明の試料の特性を比較の従来の試料の特性と比較すると、試験した本発明の試料は、14.0ksiから22.0ksi(17.5%から33.8%の改善に相当)の引張強度、26.5ksiから38.5ksiの0.2%降伏強度(75.7%から110%の改善に相当)、および−2%から+12%の伸びの変化(6.7%の減少から40.0%の増加に相当)の改善を示した。
【0058】
図3は、シールドガスを用いて準備された溶接材料の試料の微細構造を示す20kVおよび1500倍の倍率で得られた一連の走査電子顕微鏡写真を含み、シールドガスは、(i)2箇所で0モル%の窒素を含有し(
図3A〜B)、(ii)2箇所で1モル%の窒素を含有し(
図3C〜D)、(iii)2箇所で5モル%の窒素を含有し(
図3E〜F)、(iv)2箇所で20モル%の窒素を含有する(
図3G〜H)。
図3A〜
図3Hは、溶接プロセス中に存在する窒素量が変化するのに伴って、析出物の相体積が異なるが、
図2に関して示され説明されたものと同様の特徴を示す。SEM顕微鏡写真から明らかなように、溶接シールドガスの窒素含有量の増加および得られる溶接材料(表2参照)は、MCおよびMX相体積の顕著な増加を、増大した分布および大きさの双方からもたらした。また、材料強度の対応する改善は、これらの析出増加に起因する可能性があり、このような二次相は、材料の結晶学的構造を通して転位の運動を妨げることが知られている。(混合ガス中)5モル%と20モル%窒素の試料の間には、機械的特性および体積分率析出物の僅かな差しか認めらないが、おそらくはERNiCr−3溶接材料の溶解限界(すなわち、(溶接金属中に)1300〜1400ppmのバルク窒素含有量)に起因すると考えられる。
【0059】
別の例では、ERNiCr−3/EN82Hの合金で形成された溶接部(welds)を調べたところ、窒素および炭素の含有量は以下のように変化した。20〜1400ppmの窒素および名目上0.03重量%の炭素または名目上0.05重量%の炭素。溶接材料は、溶接進行方向に対して縦方向(longitudinal direction)および横方向(transverse direction)の両方向の引張特性について研究された。表5は、これらの研究の結果を示し、各試料について、引張強度(ksi)および0.2%降伏強さ(ksi)を報告する。
【0060】
表5:様々なNおよびC含有量を有するERNiCr−3/EN82H合金に基づく溶接材料の引張試験
【表5】
【0061】
表5の上記の結果において、試料の炭素含有量は、異なる炭素含有量(0.05重量%の高炭素含有量および0.03重量%の低炭素含有量)を有する2つの熱線(wire heat)を選択することの他に炭素を変化させなかった。同等またはほぼ同等の窒素含有量を有する試料からのデータを比較することにより、これらの試料における炭素の効果を分離することができる。この場合、表5のデータを使用して、試料B8142 1Nに対する試料YT0159 1Nの機械的特性の値を比較すると、シールドガス中に名目上一定の窒素含有量または混合ガス中に1モル%の窒素含有量での炭素含有量の変化(YT0159 1Nでは0.05重量%のC、B8142 1Nでは0.03重量%のC)の効果が示される。これらの試料について、表5に報告される試験は、試料間の縦方向の機械的特性の低下を示すが、横方向の機械的特性は名目上一定である。別の場合および表5のデータを使用して、試料B8142 0.4Nに対する試料YT0159 0.4Nの機械的特性の値を比較すると、シールドガス中に名目上一定の窒素含有量または混合ガス中に0.4モル%の窒素含有量での炭素含有量の変化(YT0159 0.4Nでは0.05重量%のC、B8142 0.4Nでは0.03重量%のC)の効果が示される。これらの試料について、表5に報告された試験は、試料間の縦方向の機械的特性における名目上一定値を示すが、横方向の機械的特性は、高炭素試料(0.05重量%C)と比較して低炭素試料(0.03重量%C)の値の減少を示す。
【0062】
上記研究からの1つの結論は、窒素は引張および降伏強度に最小限の影響を及ぼし、炭素は引張および降伏強度に窒素よりも強い影響を及ぼすことである。さらに、シールドガス中で同量の窒素の試料YT0159 5Nと比較した場合の低炭素試料B8142 5N中の窒素の溶解度の差は注目すべきであり、出発物質含有量、特に炭素(また少量のTiおよびNb)は、溶接/溶融プロセス中およびその後の窒素溶解度に直接影響を及ぼすことを示唆/裏付ける。これらの影響は、非平衡計算熱力学的モデリングによっても予測され、バルク材料製造または製品製造の一次/二次溶融プロセス中に観察されることが予測される。これは、炭素と窒素の含有量の相互依存性と、最初の製品形態又は製造中の双方において、ターゲット材料組成を得るために必要な検討事項についての見識を与える。
【0063】
また、5モル%の窒素(5N試料)を含むシールドガスを用いて名目上0.05重量%のCおよび名目上0.03重量%のCの試料の双方から、0モル%の窒素を含むシールドガスを用いて準備された対応する試料までに対して、様々な試料の機械的特性を比較して、シールドガス中の窒素含有量の変化の影響を観察することができ、シールドガス中の窒素量(代理として溶接材料中の窒素量)が増加するにつれて機械的特性の変化を観察することができる。引張強度の変化(絶対値およびパーセント)を表6に示す。
【0064】
表6:5モル%窒素のシールドガスを用いて準備された試料の機械的特性と0モル%窒素のシールドガスを用いて準備された試料の機械的特性の比較
【表6】
【0065】
上記研究の結論の1つは、名目上の材料炭素含有量の増加が、(溶接/溶融プロセスによって影響される)窒素溶解度のそれぞれの境界内で材料強度の予想される範囲を増加させるだろうということか、あるいは、名目上の材料炭素含有量の減少が、変化する窒素含有量による材料強度の予想される影響を制限するだろうということである。
【0066】
本発明をその実施形態に関連して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の主旨および範囲から逸脱することなく具体的に記載されていない追加、削除、修正および置換を行うことができることは当業者には理解されるであろう。例えば、溶接材料に関連して記載されているが、本明細書に記載された原理、組成およびプロセスは、ベース材料およびその組成にも適用でき、ベース材料の合金化処理において実施され得る。
【0067】
本明細書において実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途(application)に適切であるように、複数形から単数形および/または単数形から複数形に置き換えうる。数個の単数形/複数形の置換は、明確さのために本明細書に明示的に記載されていない。
【0068】
本明細書に記載される主題は、異なる他の構成要素内に含まれるか、またはそれに接続される異なる構成要素を示すことがある。そのように示された構造(architectures)は単なる例示であり、実際には同じ機能を達成する多くの他の構造が実施され得ることは理解されるべきである。概念的な意味において、同じ機能性を達成するための構成要素の配置は、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連(associated)」される。したがって、特定の機能性を達成するために組み合わされる任意の2つの構成要素は、構造(architectures)または中間コンポーネント(intermedial components)に関わらず、所望の機能性が達成されるように互いに「関連」するとみなされ得る。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に接続された」または「動作可能に結合された」とみなすことができ、そのように関連付けることができる任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に結合可能」であるとみなすことができる。動作可能に結合可能な具体例としては、限定されないが、物理的に結合可能な(mateable)および/または物理的に相互作用する構成要素、および/または無線で相互作用可能な、および/または無線で相互作用する構成要素、および/または論理的に相互作用する、および/または論理的に相互作用可能な構成要素を含む。
【0069】
いくつかの例では、1つ以上の構成要素は、「構成される(configured to)」、「により構成される(configured by)」、「構成可能(configurable to)」、「動作可能/動作する(operable/operative to)」、「適合された/適合可能(adapted/adaptable)」、「可能(able to)」、「適合する/適合する(conformable/conformed to)」などとして本明細書に参照されてもよい。当業者であれば、そのような用語(例えば、「構成される(configured to)」)は、文脈が別途必要な場合を除き、一般に、アクティブ状態の構成要素および/または非アクティブな構成要素および/またはスタンバイ状態の構成要素を含むことができることを認識するであろう。
【0070】
本明細書に記載された本主題の特定の態様が示され、記載されているが、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載される主題およびより広い態様から逸脱することなく変更および改変がなされ得ることは当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載された主題の真の主旨および範囲内にあるそのような全ての変更および改変をその範囲内に包含するものである。一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で用いられる用語は、一般に「オープンな」用語(「含む(including)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈すべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むがこれに限定されない」等として解釈されるべき)として意図されることは、当業者には理解されるであろう。導入された請求の列挙の特定の数が意図されている場合、そのような意図は、請求項に明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図が存在しないことは、当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲には、「少なくとも1つ」および「1つ以上」の導入句の使用を含み、請求の列挙を導入してもよい。しかしながら、そのような語句の利用は、同じ請求項が「1つ以上」または「少なくとも1つ」の導入句および「a」または「an」などの不定冠詞(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべき)を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求の列挙の導入が、そのような導入された請求の列挙を含む特定の請求を、そのような列挙を1つだけ含む請求項に限定することを意味すると解釈されるべきではない。請求の列挙を導入するために使用される明確な冠詞の使用についても同様である。また、導入された請求の列挙の特定の数が明示的に列挙されていても、当業者であれば、そのような列挙は、典型的に少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語が付されていない「2つの列挙」の最小限の列挙は、典型的に少なくとも2つの列挙を意味するか、2つ以上の列挙を意味する)。さらに、「A、BおよびCなどの少なくとも1つ」に類似した表現(convention)が用いられる場合、一般に、このような構文は、当業者がこの表現を理解するであろうという意味において意図される(例えば、「A、BおよびCの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB、AおよびC、BおよびC、および/または、A、BおよびC等を有するシステムに限定されないが、これを含むだろう)。「A、BまたはCなどの少なくとも1つ」に類似した表現が用いられる場合、一般に、このような構文は、当業者がこの表現を理解するであろうという意味において意図される(例えば、「A、BまたはCの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB、AおよびC、BおよびC、および/または、A、BおよびC等を有するシステムに限定されないが、これを含むだろう)。明細書、特許請求の範囲または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替用語を提示する典型的に選択的な単語および/または句は、文脈が別段の指示をしない限り、用語の1つ、用語のいずれかまたは両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることは、当業者にとってさらに理解される。例えば、語句「AまたはB」は、典型的には、「A」または「B」、または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0071】
添付の特許請求の範囲について、当業者であれば、そこに列挙された操作(operations)は、一般に、任意の順序で行われ得ることを理解するであろう。また、様々な操作フローがシーケンスで示されるが、様々な操作は、図示された順序以外の順序で実行されてもよく、または、同時に実行されてもよいことは理解されるべきである。このような別の順序の例には、文脈が別段の指示をしない限り、重複、交互配置(interleaved)、中断(interrupted)、並べ替え、増加(incremental)、予備(preparatory)、追加(supplemental)、同時(simultaneous)、逆または他の可変の順序が含まれてもよい。さらに、「応答する(responsive to)」、「関連する(related to)」、または他の過去時制形容詞のような用語は、文脈が別段の指示をしない限り、そのような変形を排除することを一般に意図していない。
【0072】
先行の具体的な例示的なプロセスおよび/または装置および/または技術は、添付された特許請求の範囲および/または本願の他の所のような、本明細書の他の所で教示されている、より一般的なプロセスおよび/または装置および/または技術の典型であることは、当業者であれば理解するだろう。
【0073】
様々な態様および実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様および実施形態は当業者には明らかであろう。本明細書に開示された様々な態様および実施形態は、実例のためのものであり、本発明を限定するものではなく、以下の特許請求の範囲によって示される真の範囲および主旨を有する。
【0074】
詳細な説明、図面および特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定を意味するものではない。本明細書に示された主題の主旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、他の変更が行われてもよい。
【0075】
当業者は、本明細書に記載された構成要素(例えば、操作)、装置、物、およびこれらに付随する議論が、概念的な明快さのための例として用いられ、種々の構成変更が検討されることを認識するであろう。その結果、本明細書で用いられているように、説明された特定の例およびそれに伴う議論は、それらのより一般的な分野(classes)を代表することを意図している。一般に、任意の特定の例の使用は、その分野を代表することを意図しており、特定の構成要素(例えば、操作)、装置および物を含まないことが限定解釈されるべきではない。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
溶接材料によって接合された、第1の金属体と第2の金属体とを含み、
前記溶接材料は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:3.0重量%以下、
N :15ppm〜120ppmまたは200ppm〜1500ppm、および
Ni:67重量%以上
を含む組成を有する、溶接物。
(態様2)
前記溶接材料の微細構造は、複数の析出物を含み、
前記複数の析出物は、複数の金属炭化物析出物と、複数の金属炭化物/窒化物析出物とのうちの1つ以上を含み、
炭素含有量が0.05重量%に対して、前記複数の析出物の体積分率は、15ppmから120ppmの範囲の窒素では0.0025以下であり、200ppmから1500ppmの範囲の窒素では0.003以上である、態様1に記載の溶接物。
(態様3)
前記溶接材料の前記組成は、1〜4重量%のNb、好ましくは2〜3重量%のNbを含む、態様1に記載の溶接物。
(態様4)
前記溶接材料の微細構造は、複数のNbC析出物を含む、態様3に記載の溶接物。
(態様5)
窒素が600ppm〜1400ppm、好ましくは1000ppm〜1300ppmで存在し、
前記溶接材料の微細構造は、複数の析出物を含み、前記複数の析出物は、金属炭化物(MC型)析出物と、複合炭化物/窒化物(MX型)析出物とのうちの1つ以上を含み、
炭素含有量が0.05重量%に対して、前記複数の析出物の体積分率は、0.010〜0.0175である、態様1に記載の溶接物。
(態様6)
前記溶接材料の前記組成は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:1.0〜3.0重量%、
Nb:2.0〜3.0重量%、
N :15ppm〜120ppm、
Ti:0.75重量%以下、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む、態様1に記載の溶接物。
(態様7)
前記溶接材料の前記組成は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:1.0〜3.0重量%、
Nb:2.0〜3.0重量%、
N :200ppm〜1500ppm、
Ti:0.75重量%以下、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む、態様1に記載の溶接物。
(態様8)
前記第1の金属体と第2の金属体とは、異種金属である、態様1に記載の溶接物。
(態様9)
第1の金属体と第2の金属体との間に溶融材料の領域を形成する工程であって、前記溶融材料は、第1の金属体からの溶融ベース金属と、第2の金属体からの溶融ベース金属と、溶接合金からの溶接金属と、任意の1つ以上の溶融添加物と、を含む、第1の金属体と第2の金属体との間に溶融材料の領域を形成する工程と、
前記溶融材料の窒素含有量および前記溶融材料の窒化物含有量の少なくとも一方を変化させる工程と、
前記溶融材料を融合させる工程と、
前記溶融材料を凝固させて溶接材料を形成する工程と、を含み、
前記溶接材料は、前記第1の金属体を前記第2の金属体に接合して、溶接物を形成し、
凝固した溶接材料は、15ppm〜120ppmまたは200ppm〜1500ppmの窒素を含む組成を有する、融接方法。
(態様10)
前記凝固した溶接材料の微細構造は、複数の析出物を含み、
前記複数の析出物は、複数の金属炭化物析出物と、複数の金属炭化物/窒化物析出物とのうちの1つ以上を含み、
炭素含有量が0.05重量%に対して、前記複数の析出物の体積分率は、15ppmから120ppmの範囲の窒素では0.0025以下であり、200ppmから1500ppmの範囲の窒素では0.003以上である、態様9に記載の方法。
(態様11)
窒素含有量を変化させる工程は、凝固させる工程の間に溶融材料の前記領域を覆うようにシールドガスを供給する工程と、1モル%〜20モル%の窒素を含むようにシールドガスの含有量を調整する工程と、を含む、態様9に記載の方法。
(態様12)
窒素含有量を変化させる工程は、溶融材料の前記領域に窒素を添加する工程を含む、態様9に記載の方法。
(態様13)
窒素含有量を変化させる工程は、窒素および窒化物形成元素の1つ以上を溶融材料の前記領域に添加する工程を含む、態様9に記載の方法。
(態様14)
窒素含有量を変化させる工程は、溶融材料の前記領域における窒化物の溶解度を調整する工程を含む、態様9に記載の方法。
(態様15)
前記溶解度を調整する工程は、溶融材料の前記領域へ窒化物の前記溶解度を増加させる元素を添加する工程、または溶融材料の前記領域へ窒化物の前記溶解度を低下させる元素を添加する工程を含む、態様14に記載の方法。
(態様16)
窒素含有量を変化させる工程は、窒素含有量が5モル%〜20モル%に調整された溶接助剤を使用する工程を含む、態様9に記載の方法。
(態様17)
前記溶接助剤は、フラックスまたは粉末である、態様16に記載の方法。
(態様18)
前記溶接材料の前記組成は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:1.0〜3.0重量%、
Nb:2.0〜3.0重量%、
N :15ppm〜120ppm、
Ti:0.75重量%以下、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む、態様9に記載の方法。
(態様19)
前記溶接材料の前記組成は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:1.0〜3.0重量%、
Nb:2.0〜3.0重量%、
N :200ppm〜1500ppm、
Ti:0.75重量%以下、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む、態様9に記載の方法。
(態様20)
窒素が600ppm〜1400ppm、好ましくは1000ppm〜1300ppmで存在する、態様19に記載の方法。
(態様21)
前記第1の金属体と第2の金属体とは、異種金属である、態様15に記載の方法。
(態様22)
少なくとも1つの金属体と溶接材料とを含み、
前記溶接材料は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:3.0重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含む組成を有し、
前記組成は、(i)250ppm以下のNおよび0.040重量%以下のC、および、(ii)100ppm〜500ppmのNおよび0.03重量%〜0.06重量%のCのうちの1つを含む、溶接物。
(態様23)
前記溶接材料の微細構造は、複数の析出物を含み、
前記複数の析出物は、複数の金属炭化物析出物と、複数の金属炭化物/窒化物析出物とのうちの1つ以上を含み、
前記複数の析出物の体積分率は、0.03〜0.05重量%のCと組み合わせて100ppm〜500ppmの範囲の窒素に対して0.0025〜0.0077である、態様22に記載の溶接物。
(態様24)
少なくとも1つの金属体と接触する溶融材料の領域を形成する工程であって、前記溶融材料は、前記金属体からの溶融ベース金属と、溶接合金からの溶接金属と、任意の1つ以上の溶融添加物と、を含む、少なくとも1つの金属体と接触する溶融材料の領域を形成する工程と、
前記溶融材料の窒素含有量と、前記溶融材料の窒化物含有量と、前記溶融材料の炭素含有量と、前記溶融材料の炭化物含有量とのうちの少なくとも1つを変化させる工程と、
前記溶融材料を融合させる工程と、
前記溶融材料を凝固させて溶接材料を形成する工程と、を含み、
前記溶接材料は、前記金属体に接合して、溶接物を形成し、
凝固した溶接材料は、(i)250ppm以下のNおよび0.040重量%以下のC、および、(ii)100ppm〜500ppmのNおよび0.03重量%〜0.06重量%のCのうちの1つを含む組成を有する、融接方法。
(態様25)
前記溶接材料の前記組成は、
Cr:18.0〜22.0重量%、
Mn:2.5〜3.5重量%、
Fe:3.0重量%以下、
Nb+Ta:2.0〜3.0重量%、
Ti:0.75重量%以下、
Si:0.25重量%以下、および
Ni:67重量%以上
を含み、
前記組成は、(i)250ppm以下のNおよび0.040重量%以下のC、および、(ii)100ppm〜500ppmのNおよび0.03重量%〜0.06重量%のCのうちの1つを含む、態様24に記載の方法。
(態様26)
凝固した溶接材料の微細構造は、複数の析出物を含み、
前記複数の析出物は、複数の金属炭化物析出物と、複数の金属炭化物/窒化物析出物とのうちの1つ以上を含み、
前記複数の析出物の体積分率は、0.03〜0.05重量%のCと組み合わせて100ppm〜500ppmの範囲の窒素に対して0.0025〜0.0077である、態様24に記載の方法。