(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る収納装置、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の説明では、収納装置の一例として、冷蔵庫を挙げて説明するが、これに限られるものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の冷蔵庫1の正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は、開き戸10と、本体部20とを備える。
【0010】
なお、「開き戸」とは、一方の端部(扉の両側縁のうちの一方の側縁)が蝶番(ヒンジ)などで固定され、その固定された部分を軸として、他方の端部(扉の両側縁のうちの他方の側縁)が弧を描くように移動する扉(戸)を指す。
【0011】
図1に示すように、本体部20は、物体を収納する収納室21を有する。
図1では、正面視において収納室21の入口全体が完全に露出するように開き戸10の開動作が行われた後の状態を図示している。ここでは、図示を省略するが、開き戸10には、ユーザが開き戸10を開閉させるための把持部が設けられている。
図1の例では、開き戸10は、1枚の扉で構成されているが、これに限らず、例えば2枚の扉で構成される両開き戸であってもよいし、例えば上下に開くタイプの扉であってもよい。また、
図1の例では、開き戸10の後面(収納室21側の面)には、ペットボトルなどの容器を収納するためのドアポケット11が設けられている。
【0012】
また、
図1の例では、開き戸10には、開き戸10の開動作または閉動作に応じて収納室21との位置関係が変化するとともに収納室21を複数撮像する(連続的に撮像する)カメラ30が取り付けられている。本明細書において、「撮像」とは、レンズなどの光学系により結像された被写体(撮像対象)の像を、電気信号に変換することを指す。カメラ30は、動画の撮像を行う機能を有するものであればよく、例えばCCDやCMOSを用いた可視光カメラや赤外カメラなどで構成され得る。この例では、カメラ30は、請求項の「撮像部」に対応していると考えることができる。なお、この例では、カメラ30は開き戸10に外付けされているが、これに限らず、例えばカメラ30が開き戸10に内蔵される(埋め込まれる)形態であってもよい。
【0013】
本実施形態では、カメラ30による撮像は、開き戸10の開閉時に行われる。また、カメラ30の設置場所や設置時のカメラ30の光軸方向や画角等は、ユーザに提示する収納室21の範囲に応じて決定することが好ましい。例えば収納室21のうちの少なくとも入口全体を提示する場合、開き戸10の開閉時において、収納室21のうちの少なくとも入口全体が撮像されるよう、カメラ30の光軸方向や角度を決定することが好ましい。また、本実施形態では、カメラ30の台数が1台である場合を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば複数台のカメラ30を用いて、ユーザに提示する収納室21の範囲を撮像する形態であってもよい。
【0014】
図2は、冷蔵庫1を上方から俯瞰した場合の平面図である。
図2においては、開き戸10の上部であって、根元(扉の回転軸に対応する部分)から、扉の上縁部の全長の2/3程度の位置に、カメラ30を設置した例を示している。
図2の例では、扉面(扉の前面または後面)の法線方向に対して角度θの方向にカメラ光軸を向けてカメラ30が設置されている。
【0015】
図3は、冷蔵庫1を上方から俯瞰した場合の平面図であり、正面視において収納室21の入口全体が完全に露出するまで開き戸10の開動作が行われた場合に、カメラ30による撮像が行われる様子を示している。
図3の例では、上記開動作が行われる場合、カメラ30は、位置P1→位置P2→位置P3と移動しながら撮像を行う。カメラ30は、位置P1では収納室21の入口の右側を撮像し、位置P2では収納室21の入口の中央付近を撮像し、位置P3では収納室21の左側を撮像し、開動作の開始から終了までにおいて収納室21の入口全体を撮像することになる。
【0016】
図4の(a)は、上記位置P1に対応する撮像画像(位置P1でのカメラ30による撮像で得られた画像)を表す。また、
図4の(b)は、上記位置P2に対応する撮像画像を表す。さらに、
図4の(c)は、上記位置P3に対応する撮像画像を表す。
【0017】
図5は、冷蔵庫1に搭載された画像処理装置100の構成の一例を示す図である。ここでは、画像処理装置100が冷蔵庫1に搭載される場合を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば画像処理装置100は、冷蔵庫1の外部に設けられる形態であってもよい。
【0018】
図5に示すように、画像処理装置100は、カメラ制御部110と、取得部120と、生成部125と、表示制御部160とを備える。
【0019】
カメラ制御部110は、センサ40からの信号に基づいて、カメラ30による撮像の開始または終了を制御する。この例では、センサ40は、所定の周期で、開き戸10の角度φを検出する角度センサである。センサ40を構成する角度センサとしては、公知の様々な構成を利用可能である。この例では、
図6に示すように、上記角度φは、本体部20の前面と開き戸10とのなす角度を表す。角度φが「0度」であれば、開き戸10は閉じた状態であり、角度φが「90度」であれば、正面視において収納室21の入口全体が露出するように開き戸10が開いた状態であると考えることができる。本実施形態のセンサ40は、角度φを検出するたびに、その検出した角度φを示す信号(以下の説明では、「角度信号」と称する場合がある)を、カメラ制御部110および後述の取得部120へ送信する。
【0020】
図5に戻って、カメラ制御部110の説明を続ける。前述したように、本実施形態では、カメラ30による撮像は、開き戸10の開閉時に行われる。より具体的には以下のとおりである。例えばカメラ制御部110は、上記所定の周期でセンサ40から取得する角度信号が示す角度φが、「0度」から増加方向に変化する場合は、開動作が開始されたと判断し、カメラ30による撮像を開始する制御を行う。当該カメラ30による撮像を開始する制御を行った後、カメラ制御部110は、センサ40からの角度信号が示す角度φの増加方向の変化量が閾値以下になった場合は、開動作が完了したと判断して、カメラ30による撮像を終了する制御を行う。その後、センサ40からの角度信号が示す角度φの減少方向の変化量が閾値を超えた場合、カメラ制御部110は、閉動作が開始されたと判断し、カメラ30による撮像を開始する制御を行う。当該カメラ30による撮像を開始する制御を行った後、カメラ制御部110は、センサ40からの角度信号が示す角度φが「0度」を示す場合は、閉動作が完了したと判断して、カメラ30による撮像を終了する制御を行う。
【0021】
次に、
図5に示す取得部120について説明する。取得部120は、カメラ30による撮像が行われるたびに、当該撮像により得られた撮像画像と、当該撮像が行われた時刻を示す撮像時刻とをカメラ30から取得して後述の検出部131へ供給する。また、この例では、取得部120は、上記所定の周期でセンサ40からの角度信号を取得して後述の検出部131へ供給する。
【0022】
なお、例えば上述のカメラ制御部110が設けられずに、カメラ30による撮像が常時行われており、取得部120は、センサ40からの角度信号に基づいて、開き戸10の開動作または閉動作が行われていると判断した場合にのみ、撮像画像および撮像時刻をカメラ30から取得する形態であってもよい。
【0023】
次に、
図5に示す生成部125について説明する。生成部125は、開き戸10の開動作および閉動作のうちの少なくとも一方が行われる場合に、カメラ30による撮像で得られた複数の撮像画像を合成する。以下、具体的な内容を説明する。
図5に示すように、生成部125は、第1生成部130と、記憶部140と、第2生成部150と、を含む。
【0024】
第1生成部130は、開き戸10の開動作および閉動作のうちの少なくとも一方が行われる場合に、カメラ30による撮像で得られた複数の撮像画像に含まれる同一の被写体が重なるよう、複数の撮像画像を合成した第1合成画像(パノラマ画像)を生成する。以下、具体的に説明する。本実施形態では、第1生成部130は、検出部131と、補正部132と、合成部133とを含む。
【0025】
検出部131は、収納室21に対するカメラ30の相対的な位置を検出する。この例では、検出部131は、請求項の「位置検出部」に対応する機能を有していると考えることができる。より具体的には以下のとおりである。この例では、検出部131は、予め定められたカメラ30の取り付け位置(この例では、開き戸10に取り付けられたカメラ30の位置)や方向等の設置情報を、カメラ30あるいは不図示のメモリ(外部装置でもよい)から取得する。また、例えば検出部131は、撮像時の明るさやシャッタースピード等の撮像環境を示す環境情報をカメラ30から取得することもできる。また、例えば検出部131は、カメラ30の解像度や画角等のカメラ30のスペックを、カメラ30あるいは不図示のメモリ(外部装置でもよい)から取得することもできる。
【0026】
例えば検出部131は、開き戸10の根元の位置を原点とする座標系を定義し、上述の取得部120から供給される角度信号が示す角度φと、上述の設置情報が示すカメラ30の取り付け位置とから、当該座標系におけるカメラ30の座標値を算出し、その算出した座標値を、カメラ30の位置(収納室21に対するカメラ30の相対的な位置)として検出することもできる。本実施形態では、検出部131は、取得部120から供給される情報(撮像画像、撮像時刻および角度信号)や、上述の設置情報などに基づいて、撮像時のカメラ30の位置(より具体的には、複数の撮像時刻と1対1に対応する複数のカメラ位置)を検出する。そして、検出部131は、検出した複数の位置(撮像時のカメラ30の位置)ごとに、当該位置での撮像により得られた撮像画像を対応付けた検出情報を、後述の補正部132へ供給する。
【0027】
また、例えば検出部131は、上記所定の周期で取得部120から供給される角度信号に基づいて、開き戸10の開動作の開始と終了、または、閉動作の開始と終了を検出(判断)することもできる。例えば検出部131は、開動作が行われる場合に(開動作の開始から終了までの一連の動作が完了するたびに)、当該開動作に対応する上述の検出情報を、後述の補正部132へ供給することもできる。また、例えば検出部131は、閉動作が行われる場合に(閉動作の開始から終了までの一連の動作が完了するたびに)、当該閉動作に対応する上述の検出情報を、後述の補正部132へ供給することもできる。
【0028】
なお、例えば検出部131が、上述した取得部120の機能を兼ねる形態であってもよい。つまり、取得部120が設けられない形態であってもよい。
【0029】
また、カメラ30の位置を検出する方法としては、上記に限られず、様々な方法が考えられる。例えばカメラ30にジャイロやGPS等を取り付け、ジャイロやGPS等により得られた情報を元にカメラ30の位置を求めることもできる。また、例えばカメラ30による撮像範囲にマーカ等を配置し、撮像画像中のマーカの位置や大きさからカメラ30の位置を求めることもできる。以上に例示した方法以外の方法で、カメラ30の位置を求めてもよい。要するに、検出部131は、カメラ30の位置(撮像を行ったときのカメラ30の位置)を検出する機能を有するものであればよい。
【0030】
補正部132は、開き戸10の開動作および閉動作のうちの少なくとも一方が行われた場合において経時的に変化(時間の経過とともに変化)するカメラ30の位置のうち、基準となる位置を示す基準位置以外の位置に対応する撮像画像に対して、各位置に対応する撮像画像に含まれる被写体のスケールを揃えるための補正を行う。本実施形態では、補正部132は、検出部131から供給された検出情報を参照して、当該検出情報に含まれる複数の位置のうち、基準位置以外の位置を特定し、特定した位置に対応付けられた撮像画像を補正する。以下、具体的に説明する。
【0031】
一例として、
図3に示す開動作を想定する。この例では、一連の開動作において、カメラ30の位置は、P1→P2→P3と経時的に変化するので、当該開動作に対応する検出情報においては、位置P1と、位置P1での撮像により得られた撮像画像(以下、「撮像画像Ip1」と表記する)とが対応付けられ、位置P2と、位置P2での撮像により得られた撮像画像(以下、「撮像画像Ip2」と表記する)とが対応付けられ、位置P3と、位置P3での撮像により得られた撮像画像(以下、「撮像画像Ip3」と表記する)とが対応付けられている。なお、以下の説明では、撮像画像Ip1、撮像画像Ip2、撮像画像Ip3を互いに区別しない場合は、単に「撮像画像Ip」と称する場合がある。
【0032】
ここで、収納室21内部の同一物体を、位置P1、位置P2、位置P3で撮像した場合、当該物体までの距離は位置ごとに異なるので、各撮像画像Ipに含まれる(映り込んだ)当該物体の大きさも異なる。したがって、撮像画像Ip1と撮像画像Ip2と撮像画像Ip3とを単純に繋ぎ合わせることは困難である。そこで、本実施形態では、基準となる視点位置(基準位置)を設定し、基準位置以外の位置に対応する撮像画像を補正する。基準位置は、収納室21が観察可能な位置であれば、冷蔵庫1の裏側といった観察不可能な場所でない限り限定されない。しかしながら、後述の第1合成画像(パノラマ画像)が、ユーザに対して提示すべき風景と大きく異なるのは好ましくないので、本実施形態では、カメラ30の光軸が収納室21の入口面と直交するときのカメラ30の位置(
図3に示すP2)を、基準位置として設定する。
【0033】
例えば位置P1に対応する撮像画像の補正としては、
図7に示すように、収納室21の入口からの距離Lが位置P2と等しく、かつ、位置P1のカメラ30の光軸と収納室21の入口との交点c1でカメラ30の光軸が交わる位置P1’で撮像が行われたように補正することもできる。
図8に示すように、補正は、例えばアフィン変換などの単純な幾何変換を用いることができる。なお、補正は上述の方法に限られず、各位置に対応する撮影画像に映る物体のスケールが同等になるようなものであればよい。補正部132は、以上のようにして、基準位置P2以外の位置P1および位置P3の各々に対応する撮像画像を補正する。そして、補正部132は、補正した撮像画像(以下の説明では、補正後の撮像画像を「補正画像」と称する場合がある)群と、基準位置に対応する撮像画像を示す基準画像(この例では撮像画像Ip2)とを、後述の合成部133へ供給する。
【0034】
図5に示す合成部133は、補正部132から供給された基準画像と補正画像とを合成して第1合成画像を生成する。この例では、合成部133は、基準画像と、補正画像群に含まれる複数の補正画像(この例では位置P1に対応する補正画像と、位置P3に対応する補正画像)の各々とを比較し、同一範囲すなわち同一物体が撮像されている領域を重ね合わせる。これにより、
図9に示すように、基準画像の範囲外まで画像領域が拡張された第1合成画像が生成される。このとき、基準位置に近い画像から順に合成していくと、より高画質な第1合成画像を生成しやすい。なお、本実施形態では、各画像を補正した後に合成しているが、合成しながら補正する方法も考えられる。例えば基準画像に対し、最適に重なるように各画像(基準位置以外の位置に対応する撮像画像)を変形する方法であってもよい。具体的には、様々な変形を試しながら基準画像に対して最適に重なる変形を探索し、最適に重なる変形を決定した後に合成していくといった具合である。上述の本実施形態における方法は、この最適変形を、カメラ30の位置を利用して決定する方法であると考えることができる。
【0035】
以上に説明した第1生成部130は、開き戸10の開動作または閉動作が行われる場合に(開き戸10の開動作または閉動作が行われるたびに)、第1合成画像を生成して記憶部140に格納するとともに、当該第1合成画像および当該第1合成画像の生成に用いた検出情報を後述の第2生成部150へ供給する。記憶部140は、第1生成部130により生成された第1合成画像を時系列に記憶する。
【0036】
次に、
図5に示す第2生成部150について説明する。第2生成部150は、上述の第1生成部130により生成された第1合成画像が、収納室21のうちユーザに提示すべき領域を示す対象領域の一部を含んでいない場合、過去の第1合成画像を用いて当該対象領域の一部を補完し、ユーザに提示するための第2合成画像を生成する。以下、具体的に説明する。なお、この例では、上記対象領域は、収納室21の入口全体の領域である。
【0037】
例えば収納室21の入口全体が完全に露出するまで開き戸10が開けられず、収納室21の入口全体を撮像することができなかった場合、この開動作(以下では、「非全開動作」と称する場合がある)に対応する第1合成画像(非全開動作が行われた場合に生成される第1合成画像)は、収納室21の入口全体の一部が含まれない(映っていない)画像となる。同様に、例えば収納室21の入口全体が完全に露出するまで開いていない開き戸10の位置を始点とした閉動作(以下では、「不足閉動作」と称する場合がある)が行われた場合も、この不足閉動作に対応する第1合成画像(不足閉動作が行われた場合に生成される第1合成画像)は、収納室21の入口全体の一部が含まれない画像となる。
【0038】
ここでは、上述の非全開動作または不足閉動作において経時的に変化するカメラ30の位置(撮像時のカメラ30の位置)に基づき、収納室21の入口全体が完全に露出するまで開き戸10が開けられた場合に生成される第1合成画像の画像領域(以下の説明では、「全景領域」と称する場合がある)のうち、非全開動作または不足閉動作に対応する第1合成画像の範囲外の領域(以下では、「不足領域」と称する場合がある)を求めることができる。
【0039】
本実施形態では、第2生成部150は、上述の第1生成部130から、第1合成画像と検出情報とを取得した場合(取得するたびに)、当該検出情報に含まれるカメラ30の位置から、当該第1合成画像が、全景領域を有するかどうかを判断する。見方を変えれば、第2生成部150は、第1生成部130から取得した検出情報に含まれるカメラ30の位置から、第1生成部130から取得した第1合成画像に対応する開動作が非全開動作、または、当該第1合成画像に対応する閉動作が不足閉動作であるか否かを判断していると考えることもできる。
【0040】
第2生成部150は、第1生成部130から取得した第1合成画像(以下の説明では、「最新の第1合成画像」と称する場合がある)が、全景領域を有していないと判断した場合、当該最新の第1合成画像の生成に用いられた検出情報(第1生成部130から取得した検出情報)に含まれるカメラ30の位置から、上述の不足領域を求める。
図10は、この場合の最新の第1合成画像と不足領域の一例を示す模式図である。
【0041】
そして、第2生成部150は、記憶部140に記憶された過去の第1合成画像(最新の第1合成画像よりも前に生成された第1合成画像)の中から、全景領域を有する過去の第1合成画像(好ましくは、全景領域を有し、かつ、現在の時刻に最も近い時刻に対応する過去の第1合成画像)を選択し、その選択した過去の第1合成画像のうち上述の不足領域に対応する領域を、最新の第1合成画像に対して補完することで、最新の第1合成画像の範囲外まで画像領域を拡張した第2合成画像を生成する。
図11は、この場合の第2合成画像の生成方法を示す概念図である。このようにして生成した第2合成画像が、ユーザに提示される画像となる。
【0042】
なお、第1生成部130から取得した第1合成画像が全景領域を有していても、例えば撮像時にユーザの手や収納室21から出し入れする物体がカメラ30の撮像範囲に侵入することで、収納室21の入口全体の一部が隠れてしまう場合も想定される。この場合、例えば第2生成部150は、第1生成部130から取得した検出情報に含まれる複数の位置(撮像時のカメラ30の位置)と、複数の位置と1対1に対応する複数の撮像画像とを用いて、モーションステレオ等の方法で被写体までの距離を推定し、全景領域のうち、収納室21の入口よりも手前に存在する物体が撮像された領域を示す第1補完対象領域を求めることができる。そして、第2生成部150は、記憶部140に記憶された過去の第1合成画像の中から、収納室21の入口全体が撮像された過去の第1合成画像を選択し、その選択した過去の第1合成画像のうち上述の第1補完対象領域に対応する領域を、最新の第1合成画像に対して補完することで、第2合成画像を生成することもできる。
【0043】
また、第1生成部130から取得した第1合成画像が全景領域を有していても、開閉時のカメラ30の移動速度が大きいために、収納室21の入口全体の一部が撮像されなかった場合も想定される。この場合、例えば第2生成部150は、第1生成部130から取得した検出情報に含まれる複数の位置に基づいて、全景領域のうち、収納室21の入口全体の一部が撮像されなかった領域(フレーム落ちの領域と考えることができる)を示す第2補完対象領域を求めることができる。そして、第2生成部150は、記憶部140に記憶された過去の第1合成画像の中から、収納室21の入口全体が撮像された過去の第1合成画像を選択し、その選択した過去の第1合成画像のうち上述の第2補完対象領域に対応する領域を、最新の第1合成画像に対して補完することで、第2合成画像を生成することもできる。
【0044】
要するに、第2生成部150は、上述の第1生成部130により生成された第1合成画像が、収納室21のうちユーザに提示すべき領域を示す対象領域(この例では収納室20の入口全体)の一部を含んでいない場合、過去の第1合成画像を用いて当該対象領域の一部を補完し、ユーザに提示するための第2合成画像を生成する形態であればよい。
【0045】
次に、
図5に示す表示制御部160について説明する。表示制御部160は、第2生成部150により生成された第2合成画像を、画像を表示する表示部(例えば液晶型ディスプレイなどで構成され得る)50に表示する制御を行う。この例では、表示制御部160は、第2生成部150により第2合成画像が生成されるたびに、その生成された第2合成画像を表示部50に表示する制御を行い、表示部50に表示される第2合成画像は、最新の第2合成画像に更新される。また、この例では、表示部50は、開き戸10の前面に設けられているが、これに限らず、表示部50の設置場所は任意である。例えば表示部50は、冷蔵庫1の外部に設けられてもよい。例えば表示部50は、画像処理装置100と接続可能(通信可能)な外部機器(例えばTV、PC、携帯電話端末等)に搭載される形態であってもよい。
【0046】
なお、第2合成画像を表示するタイミングは任意であり、常時表示する形態であってもよいし、ユーザからの要求に応じて表示する形態であってもよい。例えばユーザは、ボタン操作、音声、メール、リモコン等を介して、第2合成画像の表示を要求することができる。また、例えば一定時間ごとに、第2合成画像を表示する形態であってもよい。
【0047】
以上に説明した画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM、および、通信I/F装置などを含んだハードウェア構成となっている。上述した各部の機能(カメラ制御部110、取得部120、第1生成部130(検出部131、補正部132、合成部133)、第2生成部150、表示制御部160)は、CPUがROMに格納されたプログラムをRAM上で展開して実行することにより実現される。また、これに限らず、上述した各部の機能のうちの少なくとも一部を専用のハードウェア回路(例えば半導体集積回路等)で実現することもできる。また、例えば上述の記憶部140は、ROMや外部記憶装置(例えばHDD)等により実現することができる。
【0048】
また、上述の画像処理装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上述の画像処理装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。また、上述の画像処理装置100で実行されるプログラムを、ROM等の不揮発性の記録媒体に予め組み込んで提供するようにしてもよい。
【0049】
従来技術では、例えばドアの開閉と同時にユーザの手などが撮像範囲に侵入してきた場合やドアの移動速度が大きい場合においても、ユーザに提示すべき領域を含む画像を得ることができないという問題が起こる。すなわち、従来技術では、ユーザに提示する収納装置内の画像の品質が低いという問題がある。これに対して、以上に説明したように、本実施形態では、開き戸10の開動作または閉動作が行われる場合に、カメラ30による撮像で得られた複数の撮像画像を合成することにより、対象領域(本実施形態では、収納室21の入口全体)全体を表現することができる。より具体的には、本実施形態では、開き戸10の開動作または閉動作が行われる場合に、カメラ30による撮像で得られた複数の撮像画像に含まれる同一の被写体が重なるよう、複数の撮像画像を合成した第1合成画像を生成する。そして、その生成した第1合成画像が、収納室21のうちユーザに提示すべき領域を示す対象領域の一部を含んでいない場合、過去の第1合成画像を用いて当該対象領域の一部を補完し、ユーザに提示するための第2合成画像を生成する。したがって、例えばユーザが、収納室21の入口全体が完全に露出するまで開き戸10を開けなかった場合であっても、当該ユーザに対して、収納室21の入口全体が撮像された第2合成画像を提示することができる。すなわち、本実施形態によれば、ユーザに提示する冷蔵庫1内の画像の品質を向上させることができるという有利な効果を達成できる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。上述の第1実施形態と共通する部分については適宜に説明を省略する。
【0051】
図12は、第2実施形態の画像処理装置200の構成の一例を示す図である。
図12に示すように、画像処理装置200は、設定部170をさらに備える。
【0052】
本実施形態では、検出部131は、上述の第1実施形態で説明した機能に加えて、収納室21に対するカメラ30の相対的な速度を検出する機能を有する。この例では、検出部131は、請求項の「速度検出部」に対応する機能を有していると考えることができる。以下の説明では、収納室21に対するカメラの相対的な速度を、「カメラ30の移動速度」あるいは「移動速度」と称する場合がある。この例では、検出部131は、撮像時のカメラ30の位置に対応する移動速度を求める。例えば検出部131は、上述の第1実施形態と同様にして検出したカメラ30の位置(複数の撮像時刻と1対1に対応する複数のカメラ位置)を利用して、撮像時のカメラ30の位置に対応する移動速度を求めることもできる。また、これに限らず、例えばカメラ30にジャイロや加速度計などを搭載し、これらの計器から出力される信号を利用して移動速度を求めることもできるし、それ以外の方法で求めても構わない。
【0053】
例えば検出部131は、開き戸10の開動作が行われる場合に、当該開動作に対応する検出情報を生成し、開き戸10の閉動作が行われる場合に、当該閉動作に対応する検出情報を生成することができる。この例における検出情報は、検出した複数の位置(撮像時のカメラ30の位置)ごとに、撮像画像と移動速度とを対応付けた情報で構成される。
【0054】
本実施形態では、第1生成部130は、開き戸10の開動作または閉動作が行われる場合に、第1合成画像を生成し、その第1合成画像の生成に用いた検出情報を、当該第1合成画像とともに設定部170へ供給する。設定部170は、第1生成部130から、第1合成画像と検出情報を取得した場合(取得するたびに)、その取得した第1合成画像と検出情報とに基づいて、当該第1合成画像内の複数の領域ごとに、当該領域に対応する撮像画像が得られたときの移動速度が大きいほど低い値を示す第1信頼度を設定する。以下、具体的に説明する。
【0055】
以下の説明において、第1信頼度は、0以上、かつ、1以下の範囲内の値であり、「1」が最も信頼性が高く、「0」が最も信頼性が低いことを表す。また、撮像時のカメラ30の位置pにおけるカメラ30の移動速度をVpと表記する。ここで、カメラ30が静止している(Vp=0)場合の撮像画像は、対象物(被写体)に対してフォーカス(焦点)が合っていればボケのない画像となる。ボケとは、撮像により画像が得られる際の過程で生じる画像劣化の一態様であり、1点に結像(集光)すべき光線群が像面上において広がることにより生じる事象を指す。一方、カメラ30の移動速度Vpが大きくなるほど、撮像画像中に動きボケが見られるようになるので、画質は低下し、信頼性の低い画像となる。つまり、カメラ30の移動速度Vpが大きくなるほど、第1信頼度は低下する(
図13参照)。第1信頼度は、例えば以下の式1で表すことができる。
【数1】
【0056】
上記式1において、Spは第1信頼度を表し、Vthは閾値となる速度を表す。これは、移動速度Vpが一定の速度Vth以下であれば、そのときの撮像画像は、信頼性の高い画像であると判断することに相当する。Vthは、カメラ30のフレームレートやシャッタースピード等によって設定すればよく、フレームレートが高い場合やシャッタースピードが速い場合は、Vthは大きい値に設定することができる。第1信頼度Spの算出方法は、上述の方法に限らず、移動速度Vpが大きくなるほど第1信頼度Spが低下するように設計することもできる。第1信頼度Spは、例えば以下の式2で表すこともできる。
【数2】
【0057】
以上においては、画像のボケをカメラ30の移動速度から間接的に評価したが、これに限らず、例えば画像中のボケ量を直接計測し、ボケ量が大きいほど低い値を示す信頼度を算出する形態であってもよい。見方を変えれば、この信頼度も、移動速度が大きいほど(ボケ量が大きいほど)低い値を示す第1信頼度と同義であると考えることができる。
【0058】
本実施形態では、設定部170は、第1生成部130から、第1合成画像と検出情報を取得した場合、その取得した検出情報を参照して、当該検出情報に含まれる複数の撮像画像ごとに、当該撮像画像に対応付けられた移動速度Vpに応じた第1信頼度Spを算出し、当該撮像画像に割り当てる。これにより、第1生成部130から取得した第1合成画像の元となる複数の撮像画像ごとに、当該撮像画像に対応付けられた移動速度Vpに応じた第1信頼度Spが割り当てられる。そして、設定部170は、第1生成部130から取得した第1合成画像のうち、当該第1合成画像の生成に用いられた検出情報(当該第1合成画像とともに第1生成部130から取得した検出情報)に含まれる複数の撮像画像と1対1に対応する複数の領域を特定し、特定した複数の領域ごとに、当該領域に対応する撮像画像に割り当てられた第1信頼度Spを設定する。
【0059】
以上のようにして、第1生成部130から取得した第1合成画像内の複数の領域(当該第1合成画像の元となる複数の撮像画像と1対1に対応する複数の領域)ごとに、当該領域に対応する撮像画像が得られたときのカメラ30の移動速度が大きいほど低い値を示す第1信頼度Spが設定されるという具合である。
【0060】
なお、第1生成部130から取得した第1合成画像内の、当該第1合成画像の元となる複数の撮像画像と1対1に対応する複数の領域のうち、互いに重なり合う部分に関しては、例えば互いに重なる複数の領域の各々の第1信頼度Sp1を乗算(例えば各第1信頼度Sp1に重みを付けた積でもよい)することで当該部分の第1信頼度Sp1を設定することもできるし、例えば互いに重なる複数の領域の各々の第1信頼度Sp1の平均値を算出することで当該部分の第1信頼度Sp1を設定することもできる。
【0061】
また、例えば、カメラ30から撮像対象までの距離の概念を追加して、撮像画像内の画素毎に第1信頼度Sp1を割り当てることもできる。撮像対象までの距離はステレオカメラや距離計を用いて直接計測してもよいし、モーションステレオ等の方法で撮像画像から推定してもよい。また、撮像対象までの距離を直接利用しない場合は、カメラ30から収納室21の入口までの距離を利用する方法がある。
【0062】
ここで、撮像時のカメラ30の位置pに対応する撮像画像Ip中の任意の画素aの実空間上での距離(収納室21の入口までの距離)をLaとする。Laが大きいほど撮像画像内での被写体の動きは小さくなりボケは発生しにくくなる。従って、Laが大きい領域ほど信頼度が高くなるように設計する。反対にLaが小さいほどボケが発生しやすいので、Laが小さいほど信頼度が低くなるように設計することが好ましい。画素aに対応する距離を用いた信頼度をSpL(a)とすると、この信頼度SpL(a)は、例えば以下の式3で表すことができる。
【数3】
【0063】
上記式3において、Lthは任意の正の定数で、この距離以上はボケが発生しにくい距離となっている。なお、信頼度SpL(a)は上記以外の方法で算出しても構わない。上記信頼度SpL(a)と、画素aを含む撮像画像に対応する移動速度から算出される信頼度(例えば上記式1または上記式2などで算出される信頼度)SpVとから、画素aに対応する第1信頼度Sp1(a)を算出することもできる。第1信頼度Sp1(a)は、例えば以下の式4で表すことができる。
【数4】
【0064】
上記式4以外にも、例えばSpL(a)とSpVとの和を求めて正規化する等の方法が考えられ、これら以外の方法でも構わない。そして、第1合成画像の元となる複数の撮像画像の各々に含まれる画素ごとに割り当てられた第1信頼度Sp1(a)を用いて、当該第1合成画像内の画素ごとの第1信頼度Sp1を求めることもできる。
【0065】
設定部170は、第1生成部130から取得した第1合成画像内の複数の領域の各々に対する第1信頼度の設定を行った場合(行うたびに)、第1信頼度を設定した第1合成画像を記憶部140に格納するとともに、第1信頼度を設定した第1合成画像と、当該第1合成画像の生成に用いられた検出情報とを第2生成部150へ供給する。記憶部140は、第1信頼度が設定された第1合成画像を時系列に記憶する。
【0066】
第2生成部150は、上述の第1実施形態と同様に、設定部170から取得した第1合成画像が、収納室21の入口全体を含んでいない場合、過去の第1合成画像を用いて上述の不足領域を補完して第2合成画像を生成する。さらに、本実施形態の第2生成部150は、設定部170から取得した第1合成画像(最新の第1合成画像)、および、過去の第1合成画像の各々に設定された第1信頼度に基づいて、第2合成画像を生成する。より具体的には、第2生成部150は、最新の第1合成画像内の複数の領域のうち、第1信頼度が、過去の第1合成画像内の対応する領域の第1信頼度よりも低い値を示す領域については、過去の第1合成画像内の対応する領域に置き換える。これにより、第2合成画像の画質をさらに向上させることができるという有利な効果を達成できる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。上述の各実施形態と共通する部分については適宜に説明を省略する。なお、第3実施形態に係る画像処理装置の基本的な構成は、第2実施形態に係る画像処理装置200と同様(
図12の構成と同様)であるので、詳細な図示は省略する。
【0068】
本実施形態では、設定部170は、第1合成画像内の複数の領域ごとに、当該領域に対応する撮像画像が得られたときの時刻(撮像時刻)が現在の時刻に近いほど高い値を示す第2信頼度をさらに設定し、第2生成部150は、第1合成画像、および、過去の第1合成画像の各々に設定された第1信頼度および第2信頼度に基づいて、第2合成画像を生成する点で上述の第2実施形態と相違する。以下、第3実施形態の具体的な内容を説明する。
【0069】
上述の各実施形態と同様に、検出部131は、開き戸10の開動作が行われる場合に、当該開動作に対応する検出情報を生成し、開き戸10の閉動作が行われる場合に、当該閉動作に対応する検出情報を生成する。この例における検出情報は、検出した複数の位置(撮像時のカメラ30の位置)ごとに、撮像画像と移動速度と撮像時刻とを対応付けた情報で構成される。
【0070】
また、上述の第2実施形態と同様に、第1生成部130は、開き戸10の開動作または閉動作が行われる場合に、第1合成画像を生成し、その第1合成画像の生成に用いた検出情報を、当該第1合成画像とともに設定部170へ供給する。
【0071】
設定部170は、第1生成部130から、第1合成画像と検出情報を取得した場合、その取得した第1合成画像と検出情報とに基づいて、当該第1合成画像内の複数の領域ごとに、当該領域に対応する撮像画像が得られたときの移動速度が大きいほど低い値を示す第1信頼度を設定するとともに、当該領域に対応する撮像画像が得られたときの撮像時刻が現在の時刻に近いほど高い値を示す第2信頼度を設定し、その設定した第1信頼度と第2信頼度とに応じて規定される第3信頼度を設定する。第1信頼度の設定方法は上述の第2実施形態と同様である。
【0072】
第2信頼度は、0以上、かつ、1以下の範囲内の値であり、「1」は、最も信頼性が高いことを表し(撮像時刻が現在の時刻に最も近いことを表し)、「0」は、最も信頼性が低いことを表す。この例では、撮像時刻と現在の時刻との差が閾値以上の場合、第2信頼度は「0」に設定される。
【0073】
本実施形態では、設定部170は、第1生成部130から、第1合成画像と検出情報を取得した場合、その取得した検出情報を参照して、当該検出情報に含まれる複数の撮像画像ごとに、当該撮像画像に対応付けられた撮像時刻と現在の時刻との差が大きいほど低い値を示す第2信頼度を算出し、当該撮像画像に割り当てる。これにより、第1生成部130から取得した第1合成画像の元となる複数の撮像画像ごとに、当該撮像画像に対応付けられた撮像時刻に応じた第2信頼度が割り当てられる。そして、設定部170は、第1生成部130から取得した第1合成画像のうち、当該第1合成画像の生成に用いられた検出情報に含まれる複数の撮像画像と1対1に対応する複数の領域を特定し、特定した複数の領域ごとに、当該領域に対応する撮像画像に割り当てられた第2信頼度を設定する。以上のようにして、第1生成部130から取得した第1合成画像内の複数の領域(当該第1合成画像の元となる複数の撮像画像と1対1に対応する複数の領域)ごとに、当該領域に対応する撮像画像が得られたときの撮像時刻が現在の時刻に近いほど低い値を示す第2信頼度が設定されるという具合である。
【0074】
そして、設定部170は、第1生成部130から取得した第1合成画像内の複数の領域(当該第1合成画像の元となる複数の撮像画像と1対1に対応する複数の領域)ごとに、当該領域に設定した第1信頼度と第2信頼度に応じて規定される第3信頼度を算出し、その算出した第3信頼度を当該領域に設定する。本実施形態では、設定部170は、第1信頼度と第2信頼度との乗算により、第3信頼度を求めるが、これに限らず、例えば第1信頼度および第2信頼度の各々に重みを付けた乗算により第3信頼度を求めてもよいし、例えば第1信頼度および第2信頼度の重み付きの平均値を算出して第3信頼度を求めてもよいし、例えば第1信頼度と第2信頼度の和を0〜1の範囲内の値に正規化して第3信頼度を求めてもよい。
【0075】
設定部170は、第1生成部130から取得した第1合成画像内の複数の領域の各々に対する第3信頼度の設定を行った場合、第3信頼度を設定した第1合成画像と、当該第1合成画像の生成に用いられた検出情報とを対応付けて記憶部140に格納するとともに、第2生成部150へ供給する。
【0076】
なお、この例では、記憶部140に記憶された過去の第1合成画像に対応付けられた検出情報に含まれる撮像時刻と現在の時刻との差分は、時間の経過とともに増大していくので、設定部170は、第3信頼度を設定した第1合成画像を記憶部140に格納するたびに、過去の第1合成画像に対応付けられた検出情報に含まれる撮像時刻と現在時刻との差分に応じて、過去の第1合成画像内の各領域に設定された第3信頼度を更新することもできる。なお、撮像時刻と現在時刻との差分が閾値以上の場合は、第3信頼度を「0」に設定することもできる。
【0077】
第2生成部150は、上述の第1実施形態と同様に、設定部170から取得した第1合成画像が、収納室21の入口全体を含んでいない場合、過去の第1合成画像を用いて上述の不足領域を補完して第2合成画像を生成する。さらに、本実施形態の第2生成部150は、設定部170から取得した第1合成画像(最新の第1合成画像)、および、過去の第1合成画像の各々に設定された第3信頼度に基づいて、第2合成画像を生成する。より具体的には、第2生成部150は、最新の第1合成画像内の複数の領域のうち、第3信頼度が、過去の第1合成画像内の対応する領域の第3信頼度よりも低い値を示す領域については、過去の第1合成画像内の対応する領域に置き換える。
【0078】
すなわち、本実施形態では、不足領域を補完することに加えて、画質の劣化と撮像時刻とを総合的に考慮して第2合成画像を生成することにより、第2合成画像の画質を向上させることができるという有利な効果を達成できる。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。以上の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。以上の新規な実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0080】
(変形例)
以下、変形例を説明する。
【0081】
(1)変形例1
上述の各実施形態では、第1生成部130は、開き戸10の開動作または閉動作が行われる場合に、第1合成画像を生成しているが、これに限らず、例えば第1生成部130は、開動作が行われる場合に第1合成画像を生成し、閉動作が行われても第1合成画像を生成しない形態であってもよい。また、例えば第1生成部130は、閉動作が行われる場合に第1合成画像を生成し、開動作が行われても第1合成画像を生成しない形態であってもよい。
【0082】
また、例えば第1生成部130は、開動作および閉動作の両方が行われる場合に(開動作の開始から閉動作の終了までの一連の動作(以下の説明では、「開閉動作」と称する)が行われるたびに)、第1合成画像を生成する形態であってもよい。要するに、第1生成部130は、開き戸10の開動作および閉動作のうちの少なくとも一方が行われる場合に、第1合成画像を生成する形態であればよい。
【0083】
ここで、例えば上述の開閉動作が行われる場合に第1合成画像を生成する場合を想定する。この形態において、例えば開動作における撮像時のカメラ30の位置(説明の便宜上、「第1の位置」と称する)と、閉動作における撮像時のカメラ30の位置(説明の便宜上、「第2の位置」と称する)とが近い(「一致」も含む)場合、同一領域(説明の便宜上、「重複領域」と称する)が、第1の位置および第2の位置の各々で撮像されている。このような場合、第1合成画像の生成に使用される画像を、フレームもしくは領域単位で選択する必要がある。その選択方法としては、第1の位置に対応する撮像画像のうち上記重複領域が撮像されている領域と、第2の位置に対応する撮像画像のうち上記重複領域が撮像されている領域とを比較し、信頼性が高い方を選択することが好ましい。例えば、上述の第3実施形態のように、撮像時の移動速度(ボケ量)と撮像時刻に応じた信頼度(第3信頼度)を、第1の位置に対応する撮像画像および第2の位置に対応する撮像画像の各々に設定し、当該信頼度が高い方の領域を選択することもできる。
【0084】
この例では、特に、同一撮像範囲であっても撮像時刻が後の撮像画像の方が、その情報の価値は高い。具体的には、一般的な冷蔵庫1の使用方法は、(1)開き戸10を開けて、(2)収納物の出し入れを行い、(3)開き戸10を閉じる、といった流れであり、上述の(2)の前後で収納室21の様子が変化するため、(3)の時点の様子が、真にユーザが知りたい情報となる。つまり、撮像時刻が後の撮像画像の方がより価値は高く、多少画像がボケている等の画質劣化があっても、信頼度が高くなるように設計するのが好ましい。また、同一撮像範囲の推定は、カメラ30の位置から撮像範囲を計算して推定することができるし、撮像画像同士を比較して似ている領域を算出する方法や、マーカ等を利用する方法でも推定可能である。
【0085】
(2)変形例2
上述の各実施形態では、カメラ30は、開き戸10に設けられているが、これに限らず、例えばカメラ30が本体部20に設けられる形態であってもよい。この形態では、カメラ30は、開き戸10の開動作または閉動作に応じてドアポケット11(
図1参照)との位置関係が変化するとともに当該ドアポケット11を連続的に撮像することになる。つまり、この形態では、ドアポケット11が、請求項の「収納室」に対応していると考えることができる。この形態でも、第1合成画像および第2合成画像の各々の生成に関する処理は、上述の各実施形態と同様に考えることができる。カメラ30が移動して収納室21を撮像することと、カメラ30が静止して移動する開き戸10を撮像することは、相対的な動きの観点からみれば同様であるからである。もし、移動する開き戸10上から本体部20に取り付けられたカメラ30(静止しているカメラ30)を観測した場合、カメラ30が移動しているように観測され、開き戸10上の観測者からはどちらが移動しているか区別することはできないということである。ところで、この場合の検出情報に含まれるカメラ30の位置(撮像時のカメラ30の位置)は、開き戸10の移動によって変化する座標系上の位置とする。こうすることによって、上述の各実施形態におけるカメラ30の位置と同様にして考えることが可能になる。なお、カメラ30の位置を推定する方法も、基本的には上述の各実施形態と同様である。ただし、カメラ30にジャイロやGPSなどの計器を取り付ける方法は不可能になるが、開き戸10にジャイロやGPSなどの計器を取り付けることによって、カメラ30の位置を推定することが可能となる。
【0086】
要するに、カメラ30は、開き戸10の開動作または閉動作に応じて収納室(収納室21またはドアポケット11)との位置関係が変化するとともに収納室を複数撮像する形態であればよい。また、第1生成部130は、開き戸の開動作および閉動作のうちの少なくとも一方が行われる場合に、カメラ30による撮像で得られた複数の撮像画像に含まれる同一の被写体が重なるよう、複数の撮像画像を合成した第1合成画像を生成する形態であればよい。また、第2生成部150は、第1合成画像が、収納室のうちユーザに提示すべき領域を示す対象領域の一部を含んでいない場合、過去の第1合成画像を用いて当該対象領域の一部を補完し、ユーザに提示するための第2合成画像を生成する形態であればよい。
【0087】
(3)変形例3
上述の各実施形態では、請求項の「収納装置」の一例として、冷蔵庫1を挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば開き戸を有する食器棚、開き戸を有するキャビネット(書類を整理するための棚)、開き戸を有する冷凍機械などであってもよい。
【0088】
なお、以上の各実施形態および各変形例は、任意に組み合わせることが可能である。