(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記判断処理で前記フィルタが異常状態であると判断した場合は、フィルタの異常を通知する処理及びフィルタを自動交換する処理の少なくとも一方を実行する、請求項1又は請求項2に記載の表面実装機。
前記制御部は、前記判断処理において、前記画像上で前記フィルタの全体部画素濃度を検出し、検出した全体部画素濃度が第1の基準濃度より暗い場合は前記フィルタが取り付けられていない異常状態、又は、前記フィルタが汚れている異常状態のいずれかであると判断する、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の表面実装機。
前記フィルタはカップ状に形成されており、前記ノズルシャフトの前記吸着ノズルが取り付けられる側の開口側とは逆側に向かって開口する姿勢で前記ノズルシャフトの内部に装着されるものであり、
前記制御部は、前記判断処理において、前記画像上で前記フィルタの中央部画素濃度を検出し、検出した中央部画素濃度が第2の基準濃度より暗い場合は前記フィルタが逆向きに装着されている異常状態、前記フィルタが取り付けられていない異常状態、又は、前記フィルタが汚れている異常状態のいずれかであると判断する、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の表面実装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、実装ヘッドが筒状のノズルシャフトと当該ノズルシャフトに着脱可能に取り付けられている吸着ノズルとで構成されており、集塵用のフィルタが吸着ノズルではなくノズルシャフトに装着されている場合もある。しかしながら、特許文献1に記載の部品実装装置は吸着ノズルに設けられているフィルタの汚れ状態を検出するものであり、ノズルシャフトにフィルタが装着されている場合には適用できないという問題がある。
【0006】
本明細書では、ノズルシャフトに装着されているフィルタの状態を判断することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する表面実装機は、部品を吸着して基板に搭載する表面実装機であって、筒状のノズルシャフトと、前記ノズルシャフトに着脱可能に取り付けられており、前記ノズルシャフトを介して供給される負圧によって前記部品を吸着する吸着ノズルと、前記ノズルシャフトの内部に装着されている集塵用のフィルタと、前記ノズルシャフトの内部を撮像するための撮像部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像部によって前記ノズルシャフトの内部を撮像し、前記フィルタが正常状態であるか異常状態であるかを前記撮像部によって撮像された画像に基づいて判断する判断処理を実行する。
【0008】
上記の表面実装機によると、ノズルシャフトに装着されているフィルタの状態を判断することができる。
【0009】
また、前記撮像部は、前記ノズルシャフトの前記吸着ノズルが取り付けられる側の開口から前記ノズルシャフトの内部を撮像してもよい。
【0010】
フィルタにおいてノズルシャフトの吸着ノズルが取り付けられる側の開口側は汚れに晒される側である。上記の表面実装機によると、ノズルシャフトの吸着ノズルが取り付けられる側の開口からノズルシャフトの内部を撮像するので、フィルタの汚れの状態を精度よく判断することができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記判断処理で前記フィルタが異常状態であると判断した場合は、フィルタの異常を通知する処理及びフィルタを自動交換する処理の少なくとも一方を実行してもよい。
【0012】
上記の表面実装機によると、例えばフィルタの異常を通知する処理を実行する場合はフィルタが異常状態であることをオペレータに知らせることができるので、フィルタが異常状態のままで部品が実装されてしまうことによる実装不良を抑制することができる。また、フィルタを自動交換する処理を実行する場合は、フィルタを自動で交換することにより、フィルタが異常状態のままで部品が実装されてしまうことによる実装不良を抑制することができる。
【0013】
また、前記制御部は、前記ノズルシャフトに前記フィルタが装着されたときに前記判断処理を実行してもよい。
【0014】
上記の表面実装機によると、フィルタが装着されたときに判断処理を実行するので、異常状態のフィルタを用いて部品が実装されてしまわないようにすることができる。
【0015】
また、前記制御部は、前記吸着ノズルの吸着回数が設定回数に達したときに前記判断処理を実行してもよい。
【0016】
上記の表面実装機によると、異常状態のフィルタが使用され続けてしまうことに制限をかけることができる。
【0017】
また、前記制御部は、オペレータによって前記判断処理の実行を指示されたときに前記判断処理を実行してもよい。
【0018】
上記の表面実装機によると、オペレータはフィルタが正常状態であるか異常状態であるかを必要に応じて表面実装機に判断させることができる。
【0019】
また、前記制御部は、前記ノズルシャフトに前記吸着ノズルが取り付けられていないときに前記判断処理を実行してもよい。
【0020】
ノズルシャフトの内部を撮像するためには吸着ノズルを取り外す必要があるが、ノズルシャフトの内部を撮像するためだけに吸着ノズルを取り外すと効率が悪い。上記の表面実装機によると、何らかの理由で吸着ノズルが取り付けられていないときに判断処理を実行することにより、吸着ノズルが正常状態であるか異常状態であるかを効率よく判断することができる。
【0021】
また、前記ノズルシャフト内のエア圧力を検出するエア圧力センサを備え、前記制御部は、前記エア圧力センサによって異常なエア圧力が検出されたときに前記判断処理を実行してもよい。
【0022】
フィルタが異常状態の場合はエア圧力センサによって異常なエア圧力が検出される可能性が高い。上記の表面実装機によると、エア圧力センサによって異常なエア圧力が検出されたときに判断処理を実行するので、異常状態のフィルタを用いて部品が実装されてしまうことを抑制することができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記判断処理において、前記画像上で前記フィルタの真円度を検出し、検出した真円度と真円の真円度との差の絶対値が第1の基準値以上の場合は前記フィルタが変形している異常状態であると判断してもよい。
【0024】
上記の表面実装機によると、検出した真円度と真円の真円度とを比較することにより、フィルタが変形している異常状態を判断することができる。
【0025】
また、前記制御部は、前記判断処理において、前記画像上で前記フィルタの大きさを検出し、検出した大きさと前記フィルタが正常状態の場合に検出される大きさとの差の絶対値が第2の基準値以上の場合は、前記フィルタが変形している異常状態、又は、前記ノズルシャフトの軸線方向における前記フィルタの位置が不良である異常状態のいずれかであると判断してもよい。
【0026】
上記の表面実装機によると、検出したフィルタの大きさとフィルタが正常状態の場合に検出される大きさとを比較することにより、フィルタが変形している異常状態、又は、ノズルシャフトの軸線方向におけるフィルタの位置が不良である異常状態のいずれかであることを判断することができる。
【0027】
また、前記制御部は、前記判断処理において、前記画像上で前記フィルタの全体部画素濃度を検出し、検出した全体部画素濃度が第1の基準濃度より暗い場合は前記フィルタが取り付けられていない異常状態、又は、前記フィルタが汚れている異常状態のいずれかであると判断してもよい。
【0028】
上記の表面実装機によると、検出した全体部画素濃度から、フィルタが取り付けられていない異常状態、又は、フィルタが汚れている異常状態のいずれかであることを判断することができる。
【0029】
また、前記フィルタはカップ状に形成されており、前記ノズルシャフトの前記吸着ノズルが取り付けられる側の開口側とは逆側に向かって開口する姿勢で前記ノズルシャフトの内部に装着されるものであり、前記制御部は、前記判断処理において、前記画像上で前記フィルタの中央部画素濃度を検出し、検出した中央部画素濃度が第2の基準濃度より暗い場合は前記フィルタが逆向きに装着されている異常状態、前記フィルタが取り付けられていない異常状態、又は、前記フィルタが汚れている異常状態のいずれかであると判断してもよい。
【0030】
上記の表面実装機によると、検出した中央部画素濃度から、フィルタが逆向きに装着されている異常状態、フィルタが取り付けられていない異常状態、又は、フィルタが汚れている異常状態のいずれかであることを判断することができる。
【0031】
また、前記ノズルシャフト内のエア圧力を検出するエア圧力センサを備え、前記制御部は、前記判断処理において、前記エア圧力センサによってエア圧力を検出し、検出したエア圧力が第3の基準値未満である場合は前記フィルタが取り付けられていない異常状態であると判断してもよい。
【0032】
上記の表面実装機によると、エア圧力センサによって検出されたエア圧力から、フィルタが取り付けられていない異常状態であるか否かを判断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図14によって説明する。以降の説明では
図1に示す左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、
図2に示す上下方向をZ軸方向という。また、以降の説明では
図1に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成部材には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0035】
(1)表面実装機の全体構成
図1〜
図14を参照して、実施形態1に係る表面実装機1の全体構成について説明する。表面実装機1は部品E(
図1参照)を吸着して図示しないプリント基板に搭載するものであり、
図1に示す基台10、搬送コンベア11、4つの部品供給装置12、ヘッドユニット13、ヘッド搬送部14、2つの部品撮像カメラ15(撮像部の一例)、ノズルチェンジャー16、フィルタチェンジャー17、
図5に示す制御部51、操作部52、ノズル撮像カメラ19などを備えている。
【0036】
図1に示すように、基台10は平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされている。
図1において二点鎖線で示す矩形枠Aはプリント基板に部品Eを実装するときの作業位置を示している。
【0037】
搬送コンベア11はプリント基板をX軸方向の上流側から作業位置Aに搬入し、作業位置Aで部品Eが実装されたプリント基板を下流側に搬出するものである。搬送コンベア11はX軸方向に循環駆動する一対のコンベアベルト11A及び11B、コンベアベルト11A及び11Bを駆動するコンベア駆動モータ63(
図5参照)などを備えている。
【0038】
部品供給装置12は搬送コンベア11のY軸方向の両側においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらの部品供給装置12には複数のフィーダ20がX軸方向に横並び状に整列して取り付けられている。
各フィーダ20は所謂テープフィーダであり、複数の部品Eが収容された部品テープ(不図示)が巻回されたリール(不図示)、及び、リールから部品テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)等を備えており、搬送コンベア11側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを一つずつ供給する。
【0039】
なお、ここではテープフィーダを用いて部品Eを供給する部品供給装置12を例に説明するが、部品供給装置12は部品Eが載置されているトレイや半導体ウェハを供給するものであってもよい。
【0040】
ヘッドユニット13は複数(ここでは5個)の実装ヘッド21を昇降可能に且つ軸周りに回転可能に支持するものである。本実施形態に係るヘッドユニット13は所謂インライン型であり、複数の実装ヘッド21がX軸方向に並んで配されている。また、ヘッドユニット13にはこれらの実装ヘッド21を個別に昇降させるZ軸サーボモータ61(
図5参照)やこれらの実装ヘッド21を一斉に軸周りに回転させるR軸サーボモータ62(
図5参照)などが設けられている。
【0041】
図2に示すように、各実装ヘッド21はノズルシャフト22、ノズルシャフト22の下端に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル23、及び、ノズルシャフト22の内部に装着されている図示しない集塵用のフィルタ30(
図4参照)を有している。吸着ノズル23にはノズルシャフト22を介して空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル23は負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを開放する。
【0042】
また、
図2に示すように、各ノズルシャフト22にはそれぞれノズルシャフト22内のエア圧力を検出するエア圧力センサ18が設けられている。
また、ヘッドユニット13には吸着ノズル23や吸着ノズル23に吸着されている部品Eを水平方向から撮像する図示しないノズル撮像カメラ19(
図5参照)が設けられている。ノズル撮像カメラ19は吸着ノズル23に吸着されている部品Eの姿勢やノズルシャフト22に吸着ノズル23が取り付けられているか否かなどを判断するためのものである。
【0043】
なお、ここではインライン型のヘッドユニット13を例に説明したが、ヘッドユニット13は例えば複数の実装ヘッド21が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
【0044】
図1に示すヘッド搬送部14はヘッドユニット13を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向に搬送するものである。ヘッド搬送部14はヘッドユニット13をX軸方向に往復移動可能に支持しているビーム24、ビーム24をY軸方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール25、ヘッドユニット13をX軸方向に往復移動させるX軸サーボモータ59、ビーム24をY軸方向に往復移動させるY軸サーボモータ60などを備えている。
【0045】
部品撮像カメラ15は吸着ノズル23に吸着されている部品Eを下から撮像して部品Eの角度や部品Eの形状などを認識するためのものである。部品撮像カメラ15は部品Eを照射するLEDなどの光源や撮像素子などを有しており、撮像面を上に向けた姿勢で設けられている。
また、詳しくは後述するが、部品撮像カメラ15はノズルシャフト22に装着されているフィルタ30の状態を判断するためにも用いられる。
【0046】
ノズルチェンジャー16は吸着ノズル23を自動交換するためのものであり、後側の部品供給装置12と搬送コンベア11との間にX軸方向に延びる姿勢で設けられている。ノズルチェンジャー16は吸着ノズル23が格納される複数の格納穴を有するノズルステーション、シャッタ、シャッタをスライドさせるシャッタ駆動部などを有している。
【0047】
フィルタチェンジャー17はノズルシャフト22に装着されているフィルタ30を自動交換するためのものであり、上に凸となる姿勢で配されている複数の凸部材17A(
図6参照)を有している。フィルタチェンジャー17を用いたフィルタ30の自動交換についての説明は後述する。
【0048】
(2)ノズルシャフト、フィルタ、及び、吸着ノズル
次に、
図3、
図4及び
図6(A)を参照して、ノズルシャフト22、フィルタ30及び吸着ノズル23についてより具体的に説明する。
図3に示すように、ノズルシャフト22は円筒状に形成されており、上下方向に延びる姿勢でヘッドユニット13に支持されている。ノズルシャフト22の下端部は内径が大きくなっており、内部に集塵用のフィルタ30が装着されている。ここでノズルシャフト22の下側の開口22Aは「ノズルシャフトの吸着ノズルが取り付けられる側の開口」の一例である。
【0049】
図6(A)に示すように、ノズルシャフト22の下端部の外周壁には吸着ノズル23が取り外されたときにフィルタ30を外に露出させる開口22Bが形成されている。開口22Bはフィルタ30を自動交換する際にフィルタ30を取り外すために設けられている。開口22Bは吸着ノズル23が取り付けられているときは吸着ノズル23によって塞がれた状態になる。
図4に示すように、フィルタ30は発泡剤などによってカップ状(言い換えると有底筒状)に形成されており、上側に開口する姿勢(ノズルシャフトの吸着ノズルが取り付けられる側の開口側とは逆側に向かって開口する姿勢の一例)でノズルシャフト22の下端部の内部に装着されている。
【0050】
(3)表面実装機の電気的構成
図5に示すように、表面実装機1は制御部51及び操作部52を備えている。制御部51は演算処理部53、モータ制御部54、記憶部55、画像処理部56、外部入出力部57、フィーダ通信部58などを備えている。
【0051】
演算処理部53はCPU、ROM、RAMなどを備えており、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって表面実装機1の各部を制御する。
モータ制御部54は演算処理部53の制御の下でX軸サーボモータ59、Y軸サーボモータ60、Z軸サーボモータ61、R軸サーボモータ62、コンベア駆動モータ63などの各モータを回転させる。
【0052】
記憶部55には各種のデータが記憶されている。各種のデータには生産が予定されているプリント基板の生産枚数や品種に関する情報、プリント基板に実装される部品Eの種類や各部品Eの実装位置に関する情報、部品供給装置12に保持された部品Eの数や種類に関する情報、部品Eの実装順序に関する情報等が含まれている。
【0053】
画像処理部56は部品撮像カメラ15やノズル撮像カメラ19から出力される画像信号が取り込まれるように構成されており、出力された画像信号に基づいてデジタル画像を生成する。
外部入出力部57はいわゆるインターフェースであり、表面実装機1の本体に設けられている各種センサ類64(エア圧力センサ18を含む)から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部57は演算処理部53から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類65に対する動作制御を行うように構成されている。
【0054】
フィーダ通信部58はフィーダ20に接続されており、フィーダ20を統括して制御する。
操作部52は液晶ディスプレイなどの表示装置や、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置を備えている。作業者は操作部52を操作して後述するフィルタチェックの実行の指示などを行うことができる。
【0055】
(4)フィルタチェンジャーを用いたフィルタの自動交換
フィルタの自動交換ではフィルタ30の取り外し及びフィルタ30の取り付けが自動で行われる。
先ず、
図6を参照して、フィルタ30の取り外しについて説明する。フィルタ30の取り外しでは、制御部51は
図6(A)に示すように実装ヘッド21を凸部材17Aの上方に移動させる。次に、制御部51は
図6(B)に示すように実装ヘッド21を下降させ、凸部材17Aによってフィルタ30を圧縮する。次に、制御部51は
図6(C)に示すように凸部材17Aの上端が開口22Bの下端近傍に位置する高さまで実装ヘッド21を上昇させる。次に、制御部51は
図6(D)に示すように空気供給装置に正圧を供給させる。正圧を供給すると圧縮されたフィルタ30が開口22Bから外に吹き飛ばされる。これによりフィルタ30が取り外される。
【0056】
次に、
図7を参照して、フィルタ30の取り付けについて説明する。
図7(A)に示すように、フィルタ30の取り付けでは先ず凸部材17Aの上にフィルタ30が載置される。フィルタ30の載置はオペレータが手作業で行ってもよいし、フィルタ30を載置する機構を設けて自動で載置してもよい。そして、
図7(B)に示すように制御部51はその状態で実装ヘッド21を下降させ、フィルタ30をノズルシャフト22の所定の位置まで押し込む。これによりフィルタ30が取り付けられる。
【0057】
(5)フィルタの状態の判断
フィルタ30は汚れたり変形したりすることによって正常状態でない(言い換えると異常状態である)場合がある。フィルタ30が異常状態であるとフィルタ30が性能を発揮できなくなってしまい、部品Eの吸着不良や装着不良(以下、吸装着不良という)が生じてしまうことがある。
【0058】
そこで、制御部51は予め設定されているタイミングが到来するとフィルタチェック(判断処理の一例)を実行してフィルタ30の状態を判断する。フィルタチェックを実行するタイミングには複数のタイミングがあるが、それらのタイミングについての説明は後述する。
フィルタチェックでは、制御部51は吸着ノズル23が取り付けられていない状態で部品撮像カメラ15によってノズルシャフト22の内部を下方から撮像し、撮像した画像を解析して特徴量を検出する。そして、制御部51は検出した特徴量からフィルタ30の状態を判断する。
【0059】
なお、詳しくは後述するが、本実施形態では制御部51はノズルシャフト22に設けられているエア圧力センサ18によってシャフト内エア負圧(エア圧力の一例)を検出し、上述した画像に加えてシャフト内エア負圧も用いてフィルタ30の状態を判断する。
【0060】
(5−1)フィルタの状態と撮像される画像及び特徴量との関係
先ず、
図8を参照して、フィルタ30の状態と撮像される画像との関係について説明する。なお、
図8ではノズルシャフト22の形状を簡略化して示している。フィルタ30の状態には正常状態と異常状態とがある。ここでは異常状態として変形、位置不良、上下反対、取り付け忘れ及び汚れを例に説明する。なお、ここで説明する異常状態は一例であり、フィルタの異常状態はこれらに限られるものではない。
【0061】
フィルタ30が正常状態の場合の画像において白い部分はフィルタ30を表している。フィルタ30が正常状態の場合は撮像された画像においてフィルタ30は概ね所定の直径を有する円形となる。
【0062】
変形(フィルタが変形している異常状態の一例)はフィルタ30が傾いていたり潰れていたりすることによって下から見て円形以外の不定形な形状になっている異常状態である。例えばフィルタの自動交換で押し込み過ぎるとこのような状態になることがある。フィルタ30が変形している場合は撮像された画像においてフィルタ30(白で表されている領域)が円形以外の不定形な形状となる。
【0063】
位置不良(ノズルシャフトの軸線方向におけるフィルタの位置が不良である異常状態の一例)はフィルタ30が正規の位置まで押し込まれておらず、上下方向の位置が正規の位置より下にある異常状態である。位置不良の場合はフィルタ30と部品撮像カメラ15との距離が近くなるので撮像された画像においてフィルタ30の直径が正常状態より大きくなり、且つ、フィルタ30が全体に明るくなる。
【0064】
上下反対(フィルタが逆向きに装着されている異常状態の一例)はフィルタ30が上下反対に装着されている異常状態である。上下反対に装着されている場合はフィルタ30の中央部分と部品撮像カメラ15との距離が遠くなるので撮像された画像においてフィルタ30の中央部が暗くなる。
【0065】
取り付け忘れ(フィルタが取り付けられていない異常状態の一例)はフィルタ30が取り付けられていない異常状態である。例えばフィルタの自動交換の際にオペレータが凸部材17Aの上にフィルタ30を載置するのを忘れてしまった場合は取り付け忘れとなる。取り付け忘れの場合は部品撮像カメラ15から出射された光がフィルタ30によって反射されないので画像が全体に暗くなり、フィルタ30の輪郭を認識することができない。
【0066】
汚れ(フィルタが汚れている異常状態の一例)は吸装着が繰り返されてフィルタ30の下面に塵などが付着している異常状態である。汚れの場合は部品撮像カメラ15から出射された光がフィルタ30によって反射され難くなるので画像が全体に暗くなり、フィルタ30の輪郭を認識することが困難になる。
【0067】
次に、
図8を参照して、フィルタ30の状態と特徴量との関係について説明する。ここでは特徴量として真円度、直径、全体部画素濃度、中央部画素濃度及びシャフト内エア負圧を例に説明する。真円度、直径、全体部画素濃度及び中央部画素濃度は画像を解析することによって検出される特徴量であり、シャフト内エア負圧はエア圧力センサ18によって検出される特徴量である。
【0068】
真円度はフィルタ30が真円であるか否かを表すものである。本実施形態では制御部51は以下の式1によって真円度を計算する。
【数1】
・・・ 式1
【0069】
ここでcはフィルタ30の周囲長、Sはフィルタ30の面積である。フィルタ30が真円の場合は真円度が一定値となる。このため、制御部51は計算した真円度と当該一定値との差の絶対値と予め設定されている第1の基準値とを比較し、差が第1の基準値未満の場合は真円度を良と判断し、第1の基準値以上の場合は真円度を不良と判断する。
図8において「〇」は良、「×」は不良を意味している。
【0070】
例えばフィルタ30が変形している場合は真円でないので差が第1の基準値以上となり、真円度が「×」となる。なお、取り付け忘れや汚れの場合はフィルタ30の輪郭を認識できないので真円度は測定不可となる。
なお、フィルタ30が真円であるか否かを判断する方法は上述した方法に限られるものではなく、適宜の方法で判断することができる。
【0071】
直径(フィルタの大きさの一例)はフィルタ30の直径が正常状態の場合の直径と一致するか否かを表すものである。本実施形態では制御部51は以下の式2によってフィルタ30の直径を計算する。
【数2】
・・・ 式2
【0072】
ここでLn(nは1〜Nの整数)はフィルタ30の輪郭の重心から輪郭上の各点までの距離である。フィルタ30が正常状態の場合は計算される直径が予め記憶されている直径と略一致する。このため、制御部51は計算した直径と予め記憶されている直径との差の絶対値と第2の基準値とを比較し、差が第2の基準値未満の場合は直径を「〇」とし、第2の基準値以上の場合は直径を「×」とする。
【0073】
例えばフィルタ30が変形している場合は直径が小さくなるので差が第2の基準値以上となる。また、位置不良の場合も直径が大きくなるので差が第2の基準値以上となる。このため、これらは直径が「×」となる。なお、取り付け忘れや汚れの場合はフィルタ30の輪郭を認識できないので直径は測定不可となる。
【0074】
全体部画素濃度はフィルタ30の輪郭の重心から半径r内の範囲が明るいか否かを表すものである。ここで半径rは正常状態のフィルタ30の半径のことをいう。制御部51は半径r内にある画素の平均濃度(あるいは合計濃度でもよい)と予め設定されている第1の基準濃度とを比較し、平均濃度が第1の基準濃度以上の場合は全体部画素濃度を「明るい」とし、第1の基準濃度未満の場合は全体部画素濃度を「暗い」とする。ここで画素の濃度は例えば0(黒)〜255(白)の256階調で表され、255に近いほど明るいものとする。
例えば取り付け忘れや汚れの場合は全体に暗い画像になるので第1の基準濃度未満となり、全体部画素濃度が「暗い」となる。
【0075】
中央部画素濃度はフィルタ30の輪郭の重心から半径r/3内の範囲が明るいか否かを表すものである。制御部51は半径r/3内の画素の平均濃度(あるいは合計濃度でもよい)と第2の基準濃度とを比較し、平均濃度が第2の基準濃度以上の場合は中央部画素濃度を「明るい」とし、第2の基準濃度未満の場合は中央部画素濃度を「暗い」とする。
【0076】
例えば上下反対の場合は中央部が暗い画像になるので第2の基準濃度未満となり、中央部画素濃度が「暗い」となる。取り付け忘れや汚れの場合も全体に暗い画像になるので第2の基準濃度未満となり、中央部画素濃度が「暗い」となる。
なお、ここでは中央部として半径r/3内の範囲を例に説明したが、中央部は半径r/3内の範囲に限定されるものではなく、フィルタ30の形状に応じて適宜に設定することができる。
【0077】
シャフト内エア負圧は前述したようにノズルシャフト22に設けられているエア圧力センサ18によって検出される圧力値である。取り付け忘れの場合はノズルシャフト22に負圧を供給してもシャフト内エア負圧が高くならない。これに対し、取り付け忘れ以外の場合はシャフト内エア負圧が高くなる。制御部51はシャフト内エア負圧と予め設定されている第3の基準値とを比較し、シャフト内エア負圧が第3の基準値未満の場合はシャフト内エア負圧を「小さい」とし、第3の基準値以上の場合はシャフト内エア負圧を「通常」とする。
【0078】
図8に示すように、制御部51は真円度、直径、全体部画素濃度及び中央部画素濃度からフィルタ30が正常状態であるか異常状態であるかを判断することができる。そして、制御部51は、異常状態の場合は変形、位置不良、上下反対又は「取り付け忘れ又は汚れ」のいずれの異常状態であるかを判断することができる。例えば真円度が不良の場合は変形している異常状態であると判断することができる。
ここで「取り付け忘れ又は汚れ」としたのは、画像だけでは取り付け忘れであるか汚れであるかを判断できないからである。取り付け忘れであるか汚れであるかはシャフト内エア負圧が「小さい」か「通常」であるかによって判断することができる。
【0079】
(5−2)フィルタチェック
次に、
図9を参照して、フィルタチェックのフローについて説明する。フィルタチェックでは、制御部51はフィルタ30の状態を判断し、異常状態の場合にはその異常状態に対応する状態フラグをオンにする。ここでは状態フラグとして変形フラグ、位置不良フラグ、上下反対フラグ、取り付け忘れフラグ及び汚れフラグの5つがあり、オフは正常状態、オンは異常状態を意味するものとする。
【0080】
ここで、フィルタチェックはノズルシャフト22に吸着ノズル23が取り付けられていない状態で実行される。ここではノズルシャフト22に吸着ノズル23が取り付けられていないという前提で説明する。
【0081】
S101では、制御部51は各状態フラグをオフ(すなわち正常状態)に初期化する。
S102では、制御部51はヘッドユニット13を制御してノズルシャフト22を部品撮像カメラ15の上方に移動させ、部品撮像カメラ15によってノズルシャフト22の内部を下方から撮像する。
【0082】
S103では、制御部51は撮像した画像を解析してフィルタ30の特徴量(真円度、直径、全体部画素濃度及び中央部画素濃度)を計算する。
S104では、制御部51は計算した特徴量に基づいてフィルタ状態一次判定を行う。フィルタ状態一次判定では、制御部51はフィルタ30の状態が正常状態、変形、位置不良、上下反転、又は、「取り付け忘れ又は汚れ」のいずれであるかを判断する。
【0083】
S105では、制御部51はS104の判断結果からフィルタ30が異常状態(すなわち変形、位置不良、上下反転、又は、「取り付け忘れ又は汚れ」)であるか否かを判定し、異常状態ではない場合(すなわち正常状態の場合)は本処理を終了し、異常状態である場合はS106に進む。
S106では、制御部51は異常状態が「取り付け忘れ又は汚れ」であるか否かを判断し、「取り付け忘れ又は汚れ」の場合はS107に進み、それ以外の場合(すなわち変形、位置不良、又は、上下反対の場合)はS108に進む。
【0084】
S107では、制御部51はフィルタ状態二次判定を行う。フィルタ状態二次判定では、制御部51は空気供給装置を制御してノズルシャフト22に負圧を供給し、エア圧力センサ18によってシャフト内エア負圧を検出する。そして、制御部51はシャフト内エア負圧が第3の基準値未満の場合は取り付け忘れと判断し、第3の基準値以上の場合は汚れと判断する。
S108では、制御部51はノズルシャフト22の5つの状態フラグのうち判断した異常状態に対応する状態フラグをオンにする。
【0085】
(5−3)フィルタチェックを実行するタイミング
次に、フィルタチェックを実行するタイミングについて説明する。ここではフィルタチェックを実行するタイミングとして以下の5つのタイミングを例に説明する。
【0086】
(a)フィルタの自動交換によってノズルシャフト22にフィルタ30が装着された(あるいは交換された)とき
(b)吸着ノズル23の吸着回数が設定回数に達したとき
(c)オペレータによってフィルタチェックの実行を指示されたとき
(d)吸着ノズル23の取り付け確認によってノズルシャフト22に吸着ノズル23が取り付けられていないことが検知されたとき
(e)エア圧力センサ18によって異常なシャフト内エア負圧が検出されたとき
【0087】
以下、各タイミングが到来したときに制御部51によって実行される処理について説明する。なお、理解を容易にするため、以降の説明ではヘッドユニットに設けられている実装ヘッドの数は1本だけであるとして説明する。また、以降の説明では既に説明した処理と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
先ず、
図10を参照して、「(a)フィルタの自動交換によってノズルシャフト22にフィルタ30が装着された(あるいは交換された)とき」について説明する。
ここで、フィルタの自動交換はオペレータが操作部52を操作してフィルタ30の自動交換を指示した場合に実行してもよいし、表面実装機1の運転時間が規定時間に達した場合に実行してもよいし、吸装着動作を行った回数が設定回数に達した場合に実行してもよい。どのような場合にフィルタ30の自動交換を実行するかは適宜に決定することができる。
【0089】
S201では、制御部51はフィルタ30を自動交換する。
S202では、制御部51はフィルタチェックを実行する。
S203では、制御部51はいずれかの状態フラグがオン(異常状態)であるか否かを判断し、いずれかの状態フラグがオンの場合はS204に進み、いずれの状態フラグもオフ(正常状態)である場合は本処理を終了する。
【0090】
S204では、制御部51はオペレータにフィルタ30の異常を通知する処理、又は、フィルタ30を自動交換する処理を実行する。異常の通知は適宜の方法で行うことができる。例えば表示装置に警告メッセージを表示させることによって行ってもよいし、警告音を発することによって行ってもよい。なお、制御部51はフィルタ30の異常を通知する処理及びフィルタを自動交換する処理の両方を実行してもよい。
【0091】
次に、
図11を参照して、「(b)吸着ノズル23の吸着回数が設定回数に達したとき」について説明する。以下に説明する処理は吸着ノズル23によってプリント基板に1つの部品Eを実装する毎に実行される。
S301では、制御部51は吸着回数に1を加算する。
S302では、制御部51は吸着回数が設定回数に達したか否かを判断し、達していない場合は本処理を終了し、達している場合はS303に進む。
【0092】
S303では、制御部51はノズルシャフト22に装着されている吸着ノズル23を取り外してノズルステーションに格納する。
S202〜S204の処理は前述した通りであるので説明を省略する。
S304では、制御部51はノズルシャフト22に吸着ノズル23を取り付ける。
【0093】
次に、
図12を参照して、「(c)オペレータによってフィルタチェックの実行が指示されたとき」について説明する。
S401では、制御部51はノズルシャフト22に装着されている吸着ノズル23を取り外してノズルステーションに格納する。
S202〜S204及びS304の処理は前述したとおりであるので説明を省略する。
【0094】
次に、
図13を参照して、「(d)吸着ノズル23の取り付け確認によってノズルシャフト22に吸着ノズル23が取り付けられていないことが検知されたとき」について説明する。
ここで、吸着ノズル23の取り付け確認は表面実装機1の運転開始時に毎回行ってもよいし、無用な確認を削減するために、表面実装機1が停止している間にカバーが開けられた場合のみ運転開始時に行ってもよい。これは、カバーが開けられていなければ吸着ノズル23が取り外されている可能性は低いので取り付け確認を行う必要はないからである。
【0095】
あるいは、表面実装機1が非常停止から復帰した場合に吸着ノズル23の取り付け確認を実行してもよい。非常停止した場合はオペレータがカバーを開けて吸着ノズル23を取り外している可能性があり、その際に吸着ノズル23を取り付け忘れてしまっている可能性があるからである。どのような場合に吸着ノズル23の取り付け確認を実行するかは適宜に決定することができる。
【0096】
S501では、制御部51は吸着ノズル23の取り付け確認を実行する。吸着ノズル23の取り付け確認では、制御部51はノズル撮像カメラ19によって実装ヘッド21を水平方向から撮像し、吸着ノズル23が取り付けられているか否かを撮像した画像から判断する。
S502では、制御部51は吸着ノズル23が取り付けられているか否かを判断し、吸着ノズル23が取り付けられていない場合はS202に進み、取り付けられている場合は本処理を終了する。
S202〜S204及びS304の処理は前述したとおりであるので説明を省略する。
【0097】
次に、
図14を参照して、「(e)エア圧力センサ18によって異常なシャフト内エア負圧が検出されたとき」について説明する。
ここで、エア圧力センサ18によるシャフト内エア負圧の検出は、表面実装機1の運転開始時に毎回行ってもよいし、表面実装機1が停止している間にカバーが開けられた場合のみ運転開始時に行ってもよい。どのような場合にシャフト内エア負圧を検出するかは適宜に決定することができる。
【0098】
S601では、制御部51はエア圧力センサ18によってシャフト内エア負圧を検出する。
S602では、制御部51はシャフト内エア負圧が基準値未満の場合はS603に進み、基準値以上の場合は本処理を終了する。
S603では、制御部51はノズルシャフト22に装着されている吸着ノズル23を取り外してノズルステーションに格納する。
S202〜S204及びS304の処理は前述したとおりであるので説明を省略する。
【0099】
(6)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係る表面実装機1によると、ノズルシャフト22に装着されているフィルタ30の状態を判断することができる。
【0100】
また、表面実装機1によると、ノズルシャフト22の下側を向く開口22A(すなわちノズルシャフト22の吸着ノズル23が取り付けられる側の開口)からノズルシャフト22の内部を撮像する。下側はフィルタ30が汚れに晒される側であるので、ノズルシャフト22の内部を下側の開口22Aから撮像すると、フィルタ30の汚れの状態を精度よく判断することができる。
【0101】
また、表面実装機1によると、フィルタ30が正常状態でないと判断した場合はフィルタ30の異常を通知する処理及びフィルタ30を自動交換する処理の少なくとも一方を実行する。例えばフィルタ30の異常を通知する処理を実行する場合はフィルタ30が異常状態であることをオペレータに知らせることができるので、フィルタ30が異常状態のままで部品Eが吸装着されてしまうことによる吸装着不良を抑制することができる。また、フィルタ30を自動交換する処理を実行する場合は、フィルタ30を自動で交換することにより、フィルタ30が異常状態のままで部品Eが吸装着されてしまうことによる吸装着不良を抑制することができる。
【0102】
また、表面実装機1によると、ノズルシャフト22にフィルタ30が装着されたときにフィルタチェックを実行するので、異常状態のフィルタ30を用いて部品Eが実装されてしまわないようにすることができる。
【0103】
また、表面実装機1によると、吸着ノズル23の吸着回数が設定回数に達したときにフィルタチェックを実行するので、異常状態のフィルタ30が使用され続けてしまうことに制限をかけることができる。
【0104】
また、表面実装機1によると、オペレータによってフィルタチェックの実行を指示されたときにフィルタチェックを実行するので、オペレータはフィルタ30が正常状態であるか異常状態であるかを必要に応じて表面実装機1に判断させることができる。
【0105】
また、表面実装機1によると、ノズルシャフト22に吸着ノズル23が取り付けられていないときにフィルタチェックを実行する。ノズルシャフト22の内部を撮像するためには吸着ノズル23を取り外す必要があるが、ノズルシャフト22の内部を撮像するためだけに吸着ノズル23を取り外すと効率が悪い。表面実装機1によると、何らかの理由で吸着ノズル23が取り付けられていないときにフィルタチェックを実行することにより、吸着ノズル23が正常状態であるか異常状態であるかを効率よく判断することができる。
【0106】
また、表面実装機1によると、エア圧力センサ18によって異常なエア圧力(前述した基準値未満の圧力)が検出されたときにフィルタチェックを実行する。例えばフィルタ30が取り付けられていない場合はエア圧力センサ18によって異常なエア圧力が検出される。表面実装機1によると、異常なエア圧力が検出されたときにフィルタチェックを実行するので、異常状態のフィルタ30を用いて部品Eが実装されてしまうことを抑制することができる。
【0107】
また、表面実装機1によると、検出した真円度と真円の真円度とを比較することにより、フィルタ30の変形を判断することができる。
【0108】
また、表面実装機1によると、検出した直径(フィルタ30の大きさ)とフィルタ30が正常状態の場合に検出される直径とを比較することにより、フィルタ30の異常状態が変形又は位置不良のいずれかであることを判断することができる。
【0109】
また、表面実装機1によると、検出した全体部画素濃度から、フィルタ30の異常状態が取り付け忘れ又は汚れのいずれかであることを判断することができる。
【0110】
また、表面実装機1によると、検出した中央部画素濃度から、フィルタ30の異常状態が上下反対、取り付け忘れ又は汚れのいずれかであることを判断することができる。
【0111】
また、表面実装機1によると、フィルタ30の異常状態が取り付け忘れ又は汚れのいずれかである場合に、エア圧力センサ18によって検出されたシャフト内エア負圧から、取り付け忘れであるか否かを判断することができる。
【0112】
<実施形態2>
次に、実施形態2を
図15によって説明する。実施形態2はフィルタの変形及び位置不良をそれぞれより詳細に分類したものである。
【0113】
図15において「変形且つ直径不良」は、フィルタが変形しており、且つ、直径も不良となる異常状態である。すなわち「変形且つ直径不良」は実施形態1の「変形」に相当するものである。実施形態2に係る制御部51は、真円度が不良であり、且つ、直径が正常状態の直径より小さい不良の場合は「変形且つ直径不良」と判断する。
「変形且つ直径良」はフィルタが変形しているが直径は良となる異常状態である。フィルタが変形していてもその変形の仕方によっては直径が良となる場合もあり得る。このため、制御部51は、真円度が不良であり、且つ、直径が良の場合は「変形且つ直径良」と判断する。
【0114】
「位置不良(下)」はフィルタの上下方向の位置が正規の位置より下にある異常状態である。すなわち「位置不良(下)」は実施形態1の「位置不良」に相当するものである。制御部51は、真円度が良であり、且つ、直径が正常状態の直径より大きい不良の場合は「位置不良(下)」と判断する。
「位置不良(上)」はフィルタの上下方向の位置が正規の位置より上にある異常状態である。フィルタを押し込み過ぎるとフィルタが正規の位置より上にある位置不良となることもあり得る。フィルタが正規の位置より上にある場合は直径が小さくなる。このため、制御部51は、真円度が良であり、且つ、直径が正常状態の直径より小さい不良の場合は「位置不良(上)」と判断する。
【0115】
「位置不良(下)且つ変形」は、フィルタの上下方向の位置が正規の位置より下にあり、且つ、フィルタが変形している異常状態である。フィルタが変形していると真円度が不良となる。また、フィルタの上下方向の位置が正規の位置より下にあると直径が大きくなる。このため、制御部51は、真円度が不良であり、且つ、直径が正常状態の直径より大きい不良の場合は「位置不良(下)且つ変形」と判断する。なお、真円度が不良であり、且つ、直径が正常状態の直径より小さい不良の場合は、制御部51は前述した「変形且つ直径不良」と判断する。
【0116】
以上説明した実施形態2に係る表面実装機1によると、フィルタの異常状態をより詳細に判断することができる。
【0117】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0118】
(1)上記実施形態1では異常状態として5つの状態を例に説明したが、異常状態はこれらに限られるものではなく、画像に基づいて判断可能な異常状態であればこれら以外の異常状態を判断してもよい。あるいは、上述した5つの異常状態を全て判断するのではなく、いずれかの異常状態だけを判断してもよい。
【0119】
(2)上記実施形態ではカップ状のフィルタ30を例に説明したが、フィルタ30は必ずしもカップ状である必要はなく、例えば円盤状であってもよい。なお、その場合は中央部画素濃度の検出は不要である。
【0120】
(3)上記実施形態ではフィルタ30を自動交換する場合を例に説明したが、オペレータがピンセットなどを用いて手作業でフィルタ30を交換してもよい。ただし、その場合は変形、位置不良、取り付け忘れなどが生じ易くなる虞がある。
【0121】
(4)上記実施形態ではノズルシャフト22の内部を下側の開口22A(ノズルシャフト22の吸着ノズル23が取り付けられる側の開口)から撮像する場合を例に説明した。これに対し、ノズルシャフト22にはフィルタ取り外し用の開口22Bも形成されているので、ノズル撮像カメラ19によって開口22Bからノズルシャフト22の内部を撮像してもよい。
【0122】
(5)上記実施形態では「取り付け忘れ又は汚れ」のいずれかである場合にシャフト内エア負圧によって取り付け忘れであるか汚れであるかまで判断する場合を例に説明したが、取り付け忘れも汚れも異常状態であることに変わりはないので、どちらであるかまでは判断しないようにしてもよい。
【0123】
(6)上記実施形態ではフィルタチェックを実行するタイミングとして複数のタイミングを例に説明したが、フィルタチェックを実行するタイミングはこれらに限定されるものではなく、適宜のタイミングで実行することができる。
【0124】
(7)上記実施形態では吸着ノズルが取り付けられているか否かをノズル撮像カメラ19によって判断する場合を例に説明したが、部品撮像カメラ15によって判断してもよいし、カメラを用いずに他の方法で判断してもよい。
【0125】
(8)上記実施形態では表面実装機1がエア圧力センサ18を備えている場合を例に説明したが、表面実装機1は必ずしもエア圧力センサ18を備えていなくてもよい。
【0126】
(9)上記実施形態ではノズルシャフト22の内部空間の断面が円形であり、それに合わせてフィルタ30も断面が円形である場合を例に説明した。しかしながら、ノズルシャフト22の内部空間の断面は円形に限られるものではなく、例えば四角であってもよい。その場合はフィルタの断面も四角に形成されることになる。そして、その場合はフィルタの変形の程度を表す指標としては真円度以外の指標が用いられることになる。すなわち、フィルタの変形の程度を表す指標は真円度に限られるものではなく、フィルタの形状に応じて適宜の指標を用いることができる。