特許第6794536号(P6794536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794536
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】光学式測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   G01B11/00 G
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-517352(P2019-517352)
(86)(22)【出願日】2017年9月25日
(65)【公表番号】特表2019-529929(P2019-529929A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】CN2017103233
(87)【国際公開番号】WO2018059359
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2019年5月27日
(31)【優先権主張番号】201610876758.0
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジーヨン
(72)【発明者】
【氏名】シュー ビン
(72)【発明者】
【氏名】リー ユージー
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ チャン
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−129311(JP,A)
【文献】 特開2016−133349(JP,A)
【文献】 特開2012−127995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式測定装置であって、
基板を搬送するように構成された基板キャリアと、
光学式検出プラットフォームフレームであって、前記光学式検出プラットフォームフレームに沿って滑動可能な光学式検出スライダを前記基板キャリアの上方で支持するように構成された光学式検出プラットフォームフレームと、
前記光学式検出スライダに取り付けられ、前記光学式検出スライダと共に前記光学式検出プラットフォームフレームに沿って移動可能な光学式検出ユニットと、
前記基板キャリアの位置を測定するように構成された基板キャリア位置測定モジュールと、
前記光学式検出ユニットの位置を測定するように構成された光学式検出ユニット位置測定モジュールと、
を備え、
前記光学式測定装置は、更に、前記光学式検出プラットフォームフレームの変形量を測定するためのフレーム測定ユニットと、前記基板キャリアの前記位置及び/又は前記光学式検出ユニットの前記位置を前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って補正するための補正モジュールと、を備え、
前記フレーム測定ユニットは、前記光学式検出スライダの滑動方向に対して平行に並べられた2つの第1干渉計測定部を含む、
光学式測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式測定装置であって、
前記光学式検出プラットフォームフレームは、ブリッジ型であって、2つの支柱と、前記2つの支柱に固定された梁と、を有し、前記光学式検出スライダは、前記梁を滑動可能である、
光学式測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式測定装置であって、
前記2つの第1干渉計測定部は、前記2つの支柱と一対一で対応しており、前記2つの支柱に測定光線を放射する、
光学式測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学式測定装置であって、
前記基板キャリア位置測定モジュールは、前記光学式検出スライダの滑動方向に対してそれぞれ平行及び垂直となる2つの第2干渉計測定部を備え、前記2つの第2干渉計測定部は、前記基板キャリアに測定光線を放射する、
光学式測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式測定装置であって、
前記2つの第1干渉計測定部及び前記2つの第2干渉計測定部は、同じ高さに配置されている、
光学式測定装置。
【請求項6】
請求項3に記載の光学式測定装置であって、
前記2つの第1干渉計測定部のうち少なくとも何れか一方は2軸干渉計であり、前記2軸干渉計から放射された2つの測定光線は、前記2つの支柱の延在方向に沿って平行に分布する、
光学式測定装置。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の光学式測定装置であって、
前記フレーム測定ユニットは、更に、前記光学式検出スライダの滑動方向と前記2つの支柱の延在方向とのそれぞれに対して垂直となる第3干渉計測定部を備え、前記第3干渉計測定部は、前記光学式検出スライダの滑動方向に沿って前記光学式検出プラットフォームフレームに測定光線を放射する、
光学式測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光学式測定装置であって、
前記第3干渉計測定部は1軸干渉計である、
光学式測定装置。
【請求項9】
請求項7に記載の光学式測定装置であって、
前記第3干渉計測定部は2軸干渉計である、
光学式測定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の光学式測定装置であって、
前記光学式検出ユニットから前記基板の上面までの距離を測定し調整するための高さ調整モジュールを更に備える、
光学式測定装置。
【請求項11】
請求項1に記載の光学式測定装置であって、
前記基板キャリア及び前記光学式検出プラットフォームフレームが載置される支持台を更に備える、
光学式測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の光学式測定装置であって、
前記支持台は、下から上にかけて振動ダンパ及び大理石製プラットフォームを含む、
光学式測定装置。
【請求項13】
請求項1に記載の光学式測定装置であって、
前記光学式検出ユニットは、露光を経て前記基板に形成されたパターンの線幅、オーバーレイズレ、マーク位置ズレ、及び、フォトレジスト厚の1つ又は複数を検出するのに用いられる、
光学式測定装置。
【請求項14】
請求項1に記載の光学式測定装置を用いた測定方法であって、
光学式検出スライダが光学式検出プラットフォームフレームに沿って移動する方向をX方向と定義し、水平面内においてX方向と垂直な方向をY方向と定義し、鉛直方向をZ方向と定義することにより、X,Y,Z方向から成る三次元座標系が設定されており、
検出マークを有する基板を用意して基板キャリアに載置すること、
前記検出マークiが前記光学式検出ユニットの下に位置するように、前記基板キャリアを制御して距離YiだけY方向に沿って移動させると共に、前記光学式検出ユニットを制御して距離XiだけX方向に沿って移動させること、
フレーム測定ユニットにより、前記光学式検出プラットフォームフレームの変形量を測定し、補正モジュールにより、前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って前記基板キャリアの位置及び/又は前記光学式検出ユニットの位置を補正し、前記光学式検出ユニットが前記検出マークiとアライメントされるように前記基板キャリアの補正された前記位置及び/又は前記光学式検出ユニットの補正された前記位置に従って前記検出マークiの位置を算出すること、
を含む、
測定方法。
【請求項15】
請求項14に記載の測定方法であって、
前記補正モジュールにより、前記基板キャリアの前記位置を前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って補正することは、
Y方向に平行な少なくとも2つの第1測定光線を前記光学式検出プラットフォームフレームの2つの支柱に放射し、前記基板キャリアがY方向に移動したときに、前記2つの支柱のY方向における変形量Y1_ref及びY2_refを測定することにより前記光学式検出プラットフォームフレームのY方向における変形量Yi_refをYi_ref = (Y1_ref + Y2_ref)/2のように取得すると共に、前記2つの第1測定光線の間のX方向における距離IFdx_refを用いて、前記基板キャリアのZ軸周りの回転変形量Rzi_refをRzi_ref = (Y1_ref - Y2_ref)/ IFdx_refのように取得すること、
前記基板キャリアの前記位置のための補正量ΔYiを、ΔYi = - (Yi_ref + Rzi_ref*Xi)のように算出すること、
前記補正量ΔYiを前記補正モジュールにフィードバックすることにより、前記補正モジュールが前記基板キャリアの前記位置をY方向で補正すること、
を含む、
測定方法。
【請求項16】
請求項14に記載の測定方法であって、
前記補正モジュールにより、前記光学式検出ユニットの前記位置を前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って補正することは、
X方向に平行な第2測定光線を前記光学式検出プラットフォームフレームに放射し、前記光学式検出ユニットがX方向に沿って移動したとき、前記光学式検出プラットフォームフレームのX方向における変形量Xi_refとそのY軸周りの傾斜変形量Ryi_refを測定すること、
Y方向に平行であってZ方向に沿って平行となる2つの第3測定光線を前記光学式検出プラットフォームフレームに同時に放射し、前記光学式検出プラットフォームフレームのX軸周りの傾斜変形量Rxi_refを測定すること、
前記補正モジュールにより、前記光学式検出ユニットのX方向における前記位置を、前記光学式検出プラットフォームフレームのX方向における変形量Xi_ref、Y軸周りの傾斜変形量Ryi_ref、X軸周りの傾斜変形量Rxi_refに従って補正すること、
を含む、
測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体の分野に関し、特に、光学式測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造中、通常、完成したチップは、製造が完了する前に何度もフォトリソグラフィおよび露光を受ける必要がある。フォトリソグラフィは、露光および現像によってフォトレジスト被覆基板上に線を形成するプロセスである。フォトリソグラフィが施された基板に対してさらにフォトリソグラフィを施す工程をオーバーレイと呼ぶ。フォトリソグラフィにおいて、フォトリソグラフィの精度に影響を与える要因には、主に、基板とマスクとの間の位置ズレ、フォトリソグラフィによって形成される線の線幅、フォトレジストの厚さ、およびオーバーレイズレが含まれる。
【0003】
現在市販されている光学式測定装置には、膜厚、位置、オーバーレイズレの測定を統合したものがある。例えば、中国特許公開番号CN104412062A(出願番号CN201380035853.2、および公開日2015年3月11日)は、膜厚測定装置を提供する。膜厚測定装置は、ガントリーを搭載した基板キャリアに測定対象たる基板が載置され、膜厚測定器がスライダに搭載されてガントリー上を移動することで、基板上の膜厚を測定する。装置は、更に、位置およびオーバーレイズレを測定するためのユニットである位置調整ユニットを含む。現在、位置およびオーバーレイズレを測定するためのユニットはブリッジ状またはガントリー構造である。測定干渉計は、測定制御用ユニットの各移動方向に配置され、非移動方向には測定干渉計が配置されていない。位置補正は測定範囲全体をカバーする大きなマスクを使用して実行される。
【0004】
膜厚、位置、オーバーレイズレの測定を統合した現在の測定装置は、以下の問題を有している。
1.ブリッジ型構造のため、ブリッジ型フレームは、基板キャリアが移動すれば変形し、基板キャリアが移動した異なる位置毎に変形量も変動し、もって、ブリッジ型構造における測定システムの位置変動に影響を及ぼす。
2.基板の検査を実施するとき、現像処理された基板は、製造ラインを介して測定装置に搬送される。工場内の気温は23プラスマイナス1度に制御されているため、基板の温度が目標温度である23プラスマイナス0.1度に到達するまで、基板を検査前に長時間脇に置いておく必要があり、処理時間を長期化し、生産性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光学測定装置及び方法を提供する。上記の問題を解決するために、光学式検出プラットフォームフレームの変形量を測定するためのフレーム測定ユニット、及び、光学式検出プラットフォームフレームの変形量に従って基板キャリアの位置を補正するための補正モジュールが配置される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成すべく、本発明は、光学式測定装置であって、基板を搬送するように構成された基板キャリアと、光学式検出プラットフォームフレームであって、前記光学式検出プラットフォームフレームに沿って滑動可能な光学式検出スライダを前記基板キャリアの上方で支持するように構成された光学式検出プラットフォームフレームと、前記光学式検出スライダに取り付けられ、前記光学式検出スライダと共に前記光学式検出プラットフォームフレームに沿って移動可能な光学式検出ユニットと、前記基板キャリアの位置を測定するように構成された基板キャリア位置測定モジュールと、前記光学式検出ユニットの位置を測定するように構成された光学式検出ユニット位置測定モジュールと、を備え、前記光学式測定装置は、更に、前記光学式検出プラットフォームフレームの変形量を測定するためのフレーム測定ユニットと、前記基板キャリアの前記位置及び/又は前記光学式検出ユニットの前記位置を前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って補正するための補正モジュールと、を備えた、光学式測定装置を提供する。
好ましくは、前記光学式検出プラットフォームフレームは、ブリッジ型であって、2つの支柱と、前記2つの支柱に固定された梁と、を有し、前記光学式検出スライダは、前記梁を滑動可能である。
好ましくは、前記フレーム測定ユニットは、前記光学式検出スライダの滑動方向に対して平行に並べられた2つの第1干渉計測定部を含み、前記2つの第1干渉計測定部は、前記2つの支柱と一対一で対応しており、前記2つの支柱に測定光線を放射する。
好ましくは、前記基板キャリア位置測定モジュールは、前記光学式検出スライダの滑動方向に対してそれぞれ平行及び垂直となる2つの第2干渉計測定部を備え、前記2つの第2干渉計測定部は、前記基板キャリアに測定光線を放射する。
好ましくは、前記2つの第1干渉計測定部及び前記2つの第2干渉計測定部は、同じ高さに配置されている。
好ましくは、前記2つの第1干渉計測定部のうち少なくとも何れか一方は2軸干渉計であり、前記2軸干渉計から放射された2つの測定光線は、前記2つの支柱の延在方向に沿って平行に分布する。
好ましくは、前記フレーム測定ユニットは、更に、前記光学式検出スライダの滑動方向と前記2つの支柱の延在方向とのそれぞれに対して垂直となる第3干渉計測定部を備え、前記第3干渉計測定部は、前記光学式検出スライダの滑動方向に沿って前記光学式検出プラットフォームフレームに測定光線を放射する。
好ましくは、前記第3干渉計測定部は1軸干渉計である。
好ましくは、前記第3干渉計測定部は2軸干渉計である。
好ましくは、前記光学式検出ユニットから前記基板の上面までの距離を測定し調整するための高さ調整モジュールを更に備える。
好ましくは、前記基板キャリア及び前記光学式検出プラットフォームフレームが載置される支持台を更に備える。
好ましくは、前記支持台は、下から上にかけて振動ダンパ及び大理石製プラットフォームを含む。
好ましくは、前記光学式検出ユニットは、露光を経て前記基板に形成されたパターンの線幅、オーバーレイズレ、マーク位置ズレ、及び、フォトレジスト厚の1つ又は複数を検出するのに用いられる。
本発明は、また、光学式測定方法であって、光学式検出スライダが光学式検出プラットフォームフレームに沿って移動する方向をX方向と定義し、水平面内においてX方向と垂直な方向をY方向と定義し、鉛直方向をZ方向と定義することにより、X,Y,Z方向から成る三次元座標系が設定されており、
検出マークを有する基板を用意して基板キャリアに載置すること、
前記検出マークiが前記光学式検出ユニットの下に位置するように、前記基板キャリアを制御して距離YiだけY方向に沿って移動させると共に、前記光学式検出ユニットを制御して距離XiだけX方向に沿って移動させること、
フレーム測定ユニットにより、前記光学式検出プラットフォームフレームの変形量を測定し、補正モジュールにより、前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って前記基板キャリアの位置及び/又は前記光学式検出ユニットの位置を補正し、前記光学式検出ユニットが前記検出マークiとアライメントされるように前記基板キャリアの補正された前記位置及び/又は前記光学式検出ユニットの補正された前記位置に従って前記検出マークiの位置を算出すること、を含む、光学式測定方法を提供する。
好ましくは、前記補正モジュールにより、前記基板キャリアの前記位置を前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って補正することは、Y方向に平行な少なくとも2つの第1測定光線を前記光学式検出プラットフォームフレームの2つの支柱に放射し、前記基板キャリアがY方向に移動したときに、前記2つの支柱のY方向における変形量Y1_ref及びY2_refを測定することにより前記光学式検出プラットフォームフレームのY方向における変形量Yi_refをYi_ref = (Y1_ref + Y2_ref)/2のように取得すると共に、前記2つの第1測定光線の間のX方向における距離IFdx_refを用いて、前記基板キャリアのZ軸周りの回転変形量Rzi_refをRzi_ref = (Y1_ref - Y2_ref)/ IFdx_refのように取得すること、前記基板キャリアの前記位置のための補正量ΔYiを、ΔYi = - (Yi_ref + Rzi_ref*Xi)のように算出すること、前記補正量ΔYiを前記補正モジュールにフィードバックすることにより、前記補正モジュールが前記基板キャリアの前記位置をY方向で補正すること、を含む。
好ましくは、前記補正モジュールにより、前記光学式検出ユニットの前記位置を前記光学式検出プラットフォームフレームの前記変形量に従って補正することは、X方向に平行な第2測定光線を前記光学式検出プラットフォームフレームに放射し、前記光学式検出ユニットがX方向に沿って移動したとき、前記光学式検出プラットフォームフレームのX方向における変形量Xi_refとそのY軸周りの傾斜変形量Ryi_refを測定すること、Y方向に平行であってZ方向に沿って平行となる2つの第3測定光線を前記光学式検出プラットフォームフレームに同時に放射し、前記光学式検出プラットフォームフレームのX軸周りの傾斜変形量Rxi_refを測定すること、前記補正モジュールにより、前記光学式検出ユニットのX方向における前記位置を、前記光学式検出プラットフォームフレームのX方向における変形量Xi_ref、Y軸周りの傾斜変形量Ryi_ref、X軸周りの傾斜変形量Rxi_refに従って補正すること、を含む。
【発明の効果】
【0007】
先行技術と比較して、本発明は、以下の有利な効果を達成する。
【0008】
本発明は、光学式測定装置及び方法を提供する。フレームの変形に起因するマーク位置の測定誤差を除去するために、光学式検出プラットフォームフレームの変形量を測定するためのフレーム測定ユニット、及び、光学式検出プラットフォームフレームの変形量に従って基板キャリアの位置及び/又は光学式検出ユニットの位置を補正するための補正モジュールが配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本発明に係る測定装置の模式的な構造図である。
図2は、図1の平面図である。
【0010】
図面における符号の説明
1 支持台
2 光学式検出プラットフォームフレーム
21、22 フレームY方向干渉計測定システム
3 光学式検出スライダ
4 鉛直動作機構制御部
5 光学式検出モジュール
51 モジュールX方向干渉計制御測定システム
52 スライダX方向干渉計制御測定システム
53 モジュールY方向干渉計制御測定システム
5a 位置粗測定センサ
5b 精密位置線幅測定用の第1センサ
5c 精密位置線幅測定用の第2センサ
5d フォトレジスト厚測定センサ
5e 第1高さ測定センサ
5f 第2高さ測定センサ
6 基板キャリア
61 基板キャリア用のX方向干渉計制御測定システム
62 基板キャリア用のY方向干渉計制御測定システム
7 基準板
71 線幅較正基準板
72 X方向基準板
73 Y方向基準板
74 フォトレジスト厚較正基準板
8 基板温度制御ユニット
9 基板
91 基板マスク
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、特徴および利点をより明確にするために、添付の図面を参照しながら本発明の特定の実施形態を以下に詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1
【0013】
図1及び図2に示すように、水平方向右方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、鉛直方向上方をZ方向とすることにより、XYZ方向にから成る三次元座標系を設定する。なお、図1は、本発明の光学式測定装置の構成要素を示す模式図に過ぎない。図中におけるこれらの構成要素の位置、特に破線で認識される搭載位置は、参照のために示されているに過ぎず、構成要素の精確な搭載位置を指すものではない。
【0014】
図1及び図2に示すように、本発明に係る光学式測定装置は、光学式測定装置全体を支持するための支持台1を含む。支持台1は、下から上に向かって、地面と接触する基礎、装置によって実行される測定に対する地面の振動の影響を軽減するための振動ダンパ、およびX方向とY方向の駆動機構を配置可能な大理石製プラットフォームによって形成されている。
【0015】
図2に示すように、支持台1は正方形のプラットフォームであり、基板キャリア6は支持台の中央に配置されている。基板キャリア6は、主に基板9を搬送するのに用いられ、基板9の周囲には基板9の較正用の各種の基準板7が配置されている。基準板7は、基板9をX方向で較正するX方向基準板72、基板9をY方向で較正するY方向基準板73、線幅較正基準板71、フォトレジストの厚さを較正するためのフォトレジスト厚較正基準板74を含む。X方向基準板72及びY方向基準板73は互いに直交している。線幅較正基準板71及びフォトレジスト厚較正基準板74は、それぞれX方向基準板72の両端に配置されている。
【0016】
X方向基準板72とY方向基準板73の両方には周期的に分布するキャリブレーションマークが設計されて設けられており、位置ずれを補正するために使用される。線幅較正基準板71は、精密位置線幅測定用の第1センサ5bと精密位置線幅測定用の第2センサ5cを用いることによる限界寸法(critical dimension)の測定ずれを較正するのに用いられ、限界寸法の測定精度を確保する。
【0017】
支持台1の上方において、光学式検出プラットフォームフレーム2が基板キャリア6の上方に配置されている。光学式検出プラットフォームフレーム2はガントリーであり、基板キャリア6の一方の側から一定の高さまでZ方向上方に延び、基板キャリア6の他方の側に向かってX方向で延び、そして、支持台1に向かってZ方向下方に延びている。
【0018】
光学式検出プラットフォームフレーム2は、ブリッジ型であり、2つの支柱と、2つの支柱に固定された梁と、を含む。
【0019】
光学式検出プラットフォームフレーム2には、光学式検出プラットフォームフレーム2に沿って移動可能な光学式検出スライダ3が配置されている。つまり、光学式検出スライダ3は、光学式検出プラットフォームフレーム2に搭載されて、X方向に移動可能である。光学式検出スライダ3の下には、光学式検出ユニットとしての光学式検出モジュール5が取り付けられている。マーク位置測定モジュール、線幅測定モジュール、フォトレジスト厚測定モジュールが光学式検出モジュール5の下に配置されている。前述の測定モジュールは、1つの光学式検出モジュール5に統合されている。光学式検出スライダ3により駆動されて光学式検出モジュール5がX方向に沿って移動するとき、前述の測定モジュールの任意の組み合わせが測定のために選択され、又は、個別に測定のために用いられる。基板9に関するデータの測定中、前述の測定モジュールは同時に同じ位置に対応し、従って分析を容易にし、特に線の限界寸法(例えが、線幅)とフォトレジスト厚の間の相関関係の分析を容易にする。
【0020】
光学式検出モジュール5には高さ調整モジュールが配置され、光学式検出モジュール5の片側にある鉛直動作機構制御部4に搭載されている。高さ調整モジュールは光学式検出モジュール5の光学式検出スライダ3に対するZ方向の動きを制御でき、もって、基板9に対する光学式検出モジュール5の高さを調整する。
【0021】
具体的には、図1を引き続き参照して、光学式検出モジュール5の下面にあるマーク位置測定モジュール、線幅測定モジュール、フォトレジスト厚測定モジュールは、以下のように構成されている:
基板9の基板キャリア6からのずれを測定することにより基板9の基板マーク91が精密位置線幅測定用の第1センサ5b及び精密位置線幅測定用の第2センサ5cの視野内に入るようにするための位置粗測定センサ5a;
基板マーク91のずれ、フォトレジスト線の限界寸法までの線幅、オーバーレイズレを測定するために使用される精密位置線幅測定用の第1センサ5b;
基板マーク91の位置ずれ、フォトレジスト線の限界寸法までの線幅、オーバーレイズレを測定するために使用される精密位置線幅測定用の第2センサ5c;なお、精密位置線幅測定用の第2センサ5cと、精密位置線幅測定用の第1センサ5bは、対称的に配置されている。精密位置線幅測定用の第2センサ5cは、精密位置線幅測定用の第1センサ5bと比較して小さい視野を有することにより、より微細なフォトレジスト線の限界寸法までの線幅を測定できる。
基板9又は基準板7或いはシリコンウエハのフォトレジストの厚みを測定するために用いられるフォトレジスト厚測定センサ5d;
精密位置線幅測定用の第1センサ5bと精密位置線幅測定用の第2センサ5cの基板9に近い側の端部にそれぞれ対称的に配置され、何れも基板9の上面の高さを測定するために用いられる、第1高さ測定センサ5e及び第2高さ測定センサ5f。
【0022】
光学式測定装置は、また、基板キャリア6の位置を測定するための基板キャリア位置測定モジュールと、マーク位置測定モジュールによって測定されたマーク位置を、基板キャリア位置測定モジュールと光学式検出ユニット位置測定モジュールの測定情報に基づいて補正する補正モジュールと、を含む。基板キャリア位置測定モジュールは、
基板キャリア用のX方向干渉計制御測定システム61であって、基板キャリア6のX方向における動作を制御し、基板キャリア6のX方向における位置と、XZ平面内における基板キャリア6の回転量Rzx_wsを測定するのに用いられ、測定された位置はX_wsとして記録される、X方向干渉計制御測定システム61と、
基板キャリア用のY方向干渉計制御測定システム62であって、基板キャリア6のY方向における動作を制御し、基板キャリア6のYZ平面内における回転量Rzy_wsと、そのX方向への傾きRx_wsとを測定するのに用いられる、Y方向干渉計制御測定システム62と、
を含む。
【0023】
基板キャリア用のX方向干渉計制御測定システム61及び基板キャリア用のY方向干渉計制御測定システム62は、基板キャリア6に対してX方向及びY方向にそれぞれ配置されている。
【0024】
光学式測定装置は、更に、光学式検出ユニットの位置を測定するための、即ち、光学式検出モジュール5の位置及び位置ずれを測定するための光学式検出ユニット位置測定モジュールを含む。光学式検出ユニット位置測定モジュールは、光学式検出モジュール5及び光学式検出スライダ3に接続されており、
モジュールX方向干渉計制御測定システム51であって、光学式検出モジュール5に配置され、光学式検出モジュール5のX方向における変位X_omを測定し、光学式検出モジュール5のX方向における動作を制御するのに用いられ、モジュールX方向干渉計制御測定システム51及びスライダX方向干渉計制御測定システム52は互いに接続されており、2つのシステムによって測定されたデータに対するパラメータ処理によって、光学式検出モジュール5のY方向への傾きRy_omを取得し得る、モジュールX方向干渉計制御測定システム51と、
スライダX方向干渉計制御測定システム52であって、光学式検出スライダ3に配置されており、XZ平面内における光学式検出モジュール5の回転量Rzx_omを測定するのに用いられる、スライダX方向干渉計制御測定システム52と、
モジュールY方向干渉計制御測定システム53であって、光学式検出モジュール5に配置されており、光学式検出モジュール5の光学式検出プラットフォームフレーム2に対する変位Y_om及びそのX方向への傾きRx_omを測定するのに用いられ、例えば干渉計測定システムのような、短距離を高い精度で測定可能な測定センサがモジュールY方向干渉計制御測定システム53として用いられ、又は、レーザ三角定規、レーザ変位センサが選択される、モジュールY方向干渉計制御測定システム53と、
を含む。
【0025】
本発明では、更に、基板温度制御ユニット8が基板キャリア6に設けられており、基板温度制御ユニット8は恒温システムであって基板9の下側に配置されている。基板9が基板キャリア6に搭載されると、基板温度制御ユニットが基板9を急速に目標温度に到達させ得るので、検査前に基板9が目標温度に到達するまでの待ち時間を短縮し、もって、生産効率が改善される。
【0026】
更に、本発明の光学式測定装置において、上記説明におけるデータ検出モジュールやユニット、システムは何れも制御システムのパラメータ処理ユニットに接続されている。パラメータ処理ユニットは検出されたデータを処理し、処理が完了したら結果を対応する位置制御システムにフィードバックする。例えば、パラメータ処理ユニットは、結果を鉛直動作機構制御部4やモジュールX方向干渉計制御測定システム51、スライダX方向干渉計制御測定システム52、基板キャリア用のX方向干渉計制御測定システム61、基板キャリア用のY方向干渉計制御測定システム62にフィードバックすることにより、対応する部分が対応する動作をするようにそれぞれ制御する。
【0027】
本発明において、光学式検出プラットフォームフレーム2は作動中に変形するので、光学式検出スライダ3は、移動中、X方向、Y方向及びZ方向の何れにおいても移動ずれを生じやすい。この状況が発生するのを回避し、これらの移動ずれを補償すべく、光学式測定装置は、また、光学式検出プラットフォームフレーム2に位置して光学式検出プラットフォームフレームの変形量を測定するのに用いられるフレーム測定ユニットを含む。フレーム測定ユニットは、梁方向に沿って配置された2つの第1干渉計測定部であって、具体的には、基板キャリア6に関して対称的に配置されたフレームY方向干渉計測定システム21及び22を含む。基板キャリア6がY方向に移動したとき、フレームY方向干渉計測定システム21及び22は、光学式検出プラットフォームフレーム2のY方向における変形量Yrefと、そのZ軸周りの回転変形量Rzrefを測定し得る。基板キャリア用のX方向干渉計制御測定システム61、及び、基板キャリア用のY方向干渉計制御測定システム62は、測定されたデータに従って基板キャリア6の位置を補正及びアライメントする。
【0028】
2つの第1干渉計測定部及び2つの第2干渉計測定部は、同じ高さに配置されている。
【0029】
本発明は、更に、上述した測定装置を用いた測定方法を提供する。フレームY方向干渉計測定システム21及び22は、光学式検出プラットフォームフレーム2の変形量を測定するのに用いられ、基板キャリア用のX方向干渉計制御測定システム61及び基板キャリア用のY方向干渉計制御測定システム62は、基板キャリア6の測定された位置及び光学式検出プラットフォームフレーム2の変形量に従ってリアルタイムに基板キャリア6の位置を補正する。方法は、具体的には、以下のステップを含む。
【0030】
ステップ1:図2に示すように、基板マーク91を有する基板9を用意して基板キャリア6に載置する。マークの何れかが光学式検出ユニットの下に位置するように、基板キャリア6を距離YiだけY方向に沿って移動させる(即ち、Y方向における変位がYi)と共に、光学式検出モジュール5を距離XiだけX方向に沿って移動させる(即ち、X方向における変位がXi)。
【0031】
ステップ2:フレームY方向干渉計測定システム21及び22が光学式検出プラットフォームフレーム2のY方向における変形量Yi_refと、そのZ軸周りの回転変形量Rzi_refを測定する。フレームY方向干渉計測定システム21及び22の間のX方向における間隔をIFdx_refとし、光学式検出プラットフォームフレーム2のY方向における変形量であって、フレームY方向干渉計測定システム21及び22によってそれぞれ測定される変形量をY1_ref及びY2_refとすると、Yi_ref = (Y1_ref + Y2_ref)/2及びRzi_ref = (Y1_ref - Y2_ref)/ IFdx_refが成立する。
【0032】
ステップ3:パラメータ処理ユニットは、実際の位置のための補正量ΔYiを、ΔYi = - (Yi_ref + Rzi_ref*Xi)のように算出する。
【0033】
ステップ4:パラメータ処理ユニットは、実際の位置のための補正量ΔYiを補正モジュールにフィードバックする。補正モジュールは、基板キャリア用のX方向干渉計制御測定システム61及び基板キャリア用のY方向干渉計制御測定システム62にデータを送信する。2つのシステム61及び62は、基板キャリア6のX方向及びY方向の動作を個別に制御し、基板キャリア6の位置を補正し、これにより、光学式検出ユニットが検出マークiに対してアライメントされる。
【0034】
基板9のすべての位置の測定のために、ステップ1から4が補償のために実施され得る。
【0035】
実施の形態2
【0036】
本実施形態と実施形態1の相違を以下に説明する。フレームY方向干渉計測定システム21及び22の少なくとも何れか一方は2軸干渉計又は1軸干渉計である。2軸干渉計は、Z方向に沿って平行に分布する2つの測定光線を放射することで、光学式検出プラットフォームフレームのX軸周りの傾斜変形量Rxi_refを測定する。フレーム測定ユニットは、更に、光学式検出プラットフォームフレーム2のX方向における変形量Xi_refと、そのY軸周りの傾斜変形量Ryi_refを測定するのに用いられるフレームX方向干渉計測定システム(図示を省略)を含む。モジュールX方向干渉計制御測定システム51は、光学式検出プラットフォームフレーム2のX方向における変形量Xi_refと、Y軸周りの傾斜変形量Ryi_refと、X軸周りの傾斜変形量Rxi_refに従って、光学式検出モジュール5の位置を補正しアライメントすることで、補正機能を実行する。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。明らかに、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な修正および変更を加えることができる。したがって、本発明に対するそのような修正形態および変形形態が添付の特許請求の範囲および同等の技術の範囲内にある場合、本発明はそのような修正形態および変形形態も含むものとする。
図1
図2