(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、上述した従来技術では、混合装置内の塗料が連続的に塗装機に導かれるため、塗料の色替えを行う場合、塗装機によるワークの塗装が終了した後で混合装置を洗浄しなければならない。そのため、塗料の色替え作業を効率的に行えないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、塗料の色替え作業を効率的に行うことができる塗装システム及び塗装方法を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る塗装システムは、塗料供給装置から供給された複数色の塗料を混合装置で混合調色してワークに塗装する塗装システムにおいて、調色に必要な色の塗料の混合比率を算出する混合比率算出部と、前記混合比率に基づいて各色の塗料の供給量を算出する供給量算出部と、調色に必要な各色の塗料を前記供給量算出部で算出された供給量だけ前記混合装置に供給する前記塗料供給装置と、前記塗料供給装置から供給された複数色の塗料を混合調色可能な前記混合装置と、前記混合装置で混合調色された塗料を貯留可能な貯留部と、前記貯留部内の塗料を前記ワークに対して塗装可能な塗装部と、前記貯留部が設けられて前記塗装部を搬送するための搬送装置と、前記混合装置を洗浄可能な洗浄部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、混合装置で混合調色された塗料を貯留部に移送することができる。そのため、貯留部内の塗料を用いてワークを塗装している間に混合装置を洗浄することができる。よって、塗料の色替え作業を効率的に行うことができる。
【0007】
上記の塗装システムにおいて、前記混合装置で混合調色された塗料を貯留可能な中間貯留部をさらに備え、前記中間貯留部内に貯留された塗料は、前記貯留部に移送可能であってもよい。
【0008】
このような構成によれば、貯留部内の塗料を用いてワークを塗装している間に混合装置で混合調色された塗料を中間貯留部に移送することができる。これにより、塗料の色替え作業を一層効率的に行うことができる。
【0009】
上記の塗装システムにおいて、前記塗料供給装置から前記混合装置を介さずに供給される塗料と前記混合装置で混合調色された塗料とを選択的に前記中間貯留部に導くための色替え弁をさらに備えていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、塗料供給装置から混合装置を介さずに中間貯留部に供給される塗料(通常色の塗料)と混合装置で混合調色された塗料(特殊色の塗料)とを選択的にワークに対して塗装することができる。また、通常色の塗料をワークに塗装する場合と特殊色の塗料をワークに塗装する場合とで、中間貯留部、貯留部及び塗装部を共通化(共用化)することができるため、塗装システムのコンパクト化及び設備コストの低廉化を図ることができる。
【0011】
上記の塗装システムにおいて、前記中間貯留部内の塗料が導かれる第1移送通路と、前記第1移送通路に設けられた第1接続部と、前記第1接続部に着脱可能な第2接続部と、前記第2接続部と前記貯留部とを互いに連結する第2移送通路と、をさらに備え、前記中間貯留部内の塗料は、前記第1接続部に前記第2接続部が装着された状態で、前記第1移送通路、前記第1接続部、前記第2接続部及び前記第2移送通路を介して前記貯留部内に移送可能であってもよい。
【0012】
このような構成によれば、貯留部への塗料の供給が必要な場合には、第1接続部に第2接続部を装着することにより中間貯留部の塗料を貯留部に移送することができる。また、ワークに対する塗装を行う際には、第1接続部に対して第2接続部を取り外すことにより中間貯留部と貯留部との間を切り離すことができる。これにより、搬送装置の稼働範囲に合わせて中間貯留部と貯留部との間の通路を長くする必要がない。
【0013】
本発明に係る塗装方法は、塗料供給装置から供給された複数色の塗料を混合装置で混合調色してワークに塗装する塗装方法であって、調色に必要な色の塗料の混合比率を算出する混合比率算出工程と、前記混合比率算出工程で算出された混合比率に基づいて前記塗料供給装置から混合装置に供給すべき各色の塗料の供給量を算出する供給量算出工程と、調色に必要な各色の塗料を前記供給量算出工程で算出された塗料の供給量だけ前記混合装置に供給する塗料供給工程と、前記混合装置に供給された複数色の塗料を混合調色する混合工程と、前記混合工程で混合調色された塗料を、搬送装置に設けられた貯留部に移送する移送工程と、前記貯留部内の塗料を前記搬送装置に設けられた塗装部に導き前記ワークに塗装する塗装工程と、前記混合装置を洗浄する洗浄工程と、を行い、前記洗浄工程は、前記塗装工程中に行うことを特徴とする。
【0014】
このような方法によれば、上述した塗装システムと同様の効果を奏する。
【0015】
上記の塗装方法において、前記移送工程は、前記混合工程で混合調色された塗料を中間貯留部に移送する第1移送工程と、前記中間貯留部の塗料を前記貯留部に移送する第2移送工程と、を行い、前記洗浄工程は、前記第2移送工程中に行ってもよい。
【0016】
このような方法によれば、塗料の色替え作業を一層効率的に行うことができる。
【0017】
上記の塗装方法において、前記塗料供給装置から前記混合装置を介さずに前記中間貯留部に供給された塗料を前記貯留部に移送して前記ワークを塗装する通常塗装工程を行い、前記混合比率算出工程、前記供給量算出工程、前記塗料供給工程、前記混合工程及び前記移送工程の少なくとも1つは、前記通常塗装工程中に行ってもよい。
【0018】
このような方法によれば、ワークに対して通常色の塗料と特殊色の塗料とを選択的に塗装することができる。また、ワークに対して通常色の塗料の塗装を行っている間に、特殊色の塗装の準備を行うことができるため、塗料の色替え作業をさらに効率的に行うことができる。
【0019】
上記の塗装方法において、前記通常塗装工程では、前記塗料供給装置から前記混合装置を介さずに前記中間貯留部に供給された第1塗料を前記ワークに塗装する第1通常塗装工程と、前記第1通常塗装工程の終了後に前記塗料供給装置から前記混合装置を介さずに前記中間貯留部に供給された第2塗料を前記ワークに塗装する第2通常塗装工程と、を行い、前記第1塗料と前記第2塗料とは、互いに異なる色であってもよい。
【0020】
このような方法によれば、特殊色の塗料の準備中にワークに2種類の通常色の塗料(第1塗料と第2塗料)を塗装することができる。
【0021】
上記の塗装方法において、前記第1通常塗装工程では、前記塗料供給装置から前記混合装置を介さずに前記中間貯留部に前記第1塗料を供給する第1塗料供給工程と、前記中間貯留部の前記第1塗料を前記貯留部に移送する第1塗料移送工程と、前記貯留部の前記第1塗料を前記ワークに塗装する第1塗装工程と、を行い、前記第2通常塗装工程では、前記塗料供給装置から前記混合装置を介さずに前記中間貯留部に前記第2塗料を供給する第2塗料供給工程と、前記中間貯留部の前記第2塗料を前記貯留部に移送する第2塗料移送工程と、前記貯留部の前記第2塗料を前記ワークに塗装する第2塗装工程と、を行い、前記第2塗料供給工程は、前記第1塗装工程中に行ってもよい。
【0022】
このような方法によれば、第2塗料供給工程を第1塗装工程中に行うため、ワークに2種類の通常色の塗料を効率的に塗装することができる。
【0023】
上記の塗装方法において、前記第1塗装工程中に前記中間貯留部を洗浄する第1洗浄工程と、前記第2塗料供給工程中に前記貯留部を洗浄する第2洗浄工程と、を行ってもよい。
【0024】
このような方法によれば、貯留部及び中間貯留部を効率的に洗浄することができる。
【0025】
本発明によれば、混合装置で混合調色された塗料を貯留部に移送することができるため、貯留部内の塗料を用いてワークを塗装している間に混合装置の洗浄を行うことができる。よって、塗料の色替え作業を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る塗装システムについて、それを用いた塗装方法との関係において、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1及び
図2に示すように、塗装システム10は、塗料供給装置14から供給された複数色の塗料を混合装置72で混合調色してワークとしての車体Wに塗装するためものである。ただし、ワークは、車体Wに限定されない。
【0029】
図2に示すように、塗装システム10は、供給室12内に設置された塗料供給装置14と、塗装室16内に設置された塗料移送装置18、塗装装置20及び制御部22を備える。供給室12内と塗装室16内とは、壁等によって互いに隔離されている。
【0030】
塗料供給装置14は、第1塗料供給部24と第2塗料供給部26とを有する。第1塗料供給部24は、通常色の塗料を塗料移送装置18に供給するためのものである。ここで、通常色の塗料とは、車体Wの塗装に通常用いられる色の塗料のことである。つまり、通常色の塗料は、複数色の塗料を混合調色することなく車体Wの塗装にそのまま用いられる。第1塗料供給部24は、通常色
の塗料を貯留するための図示しない複数のタンクを含む。また、第1塗料供給部24は、各タンクに貯留されている塗料を塗料移送装置18に送るためのポンプを有していてもよい。
【0031】
第2塗料供給部26は、特殊色の塗料を混合調色するために必要な色の塗料を塗料移送装置18に供給するためのものである。第2塗料供給部26は、複数色の塗料を貯留するための図示しない複数のタンクを含む。第2塗料供給部26は、各タンクに貯留されている塗料を塗料移送装置18に送るためのポンプを有していてもよい。なお、第2塗料供給部26の塗料は、通常色の塗料であってもよい。
【0032】
図1及び
図2において、塗料移送装置18は、塗料供給装置14から供給された塗料を塗装装置20に移送するためのものである。塗料移送装置18は、塗装装置20を挟んで車体Wとは反対側に位置している。
【0033】
塗料移送装置18は、第1移送部28と、複数色の塗料を混合調色して移送する第2移送部30と、第1移送部28及び第2移送部30を支持する支持部31(
図1参照)とを有する。第1移送部28は、第1導入通路32、CCV34、第1洗浄部36、導出通路38、中間貯留部40、第1移送通路42、第1接続部44、第1ドレン通路46及び第1ドレン弁48を含む。
【0034】
第1導入通路32は、第1塗料供給部24の各色の塗料をCCV34に導入するためのものであって、通常色の数に対応して複数設けられている。CCV34は、複数の通常色の塗料と特殊色の塗料とを選択的に導出通路38に導くための色替え弁(Color Change Valve)として構成されている。CCV34は、塗料ポート50、第1供給弁52a及び第2供給弁52bを有する。塗料ポート50は、導出通路38内に連通している。
【0035】
第1供給弁52aは、通常色の塗料を塗料ポート50に供給するための弁であって複数設けられている。各第1供給弁52aには、第1導入通路32が連結されている。第1供給弁52aは、制御部22からの信号に基づいて、第1導入通路32内と塗料ポート50とを互いに連通させる開状態と、第1導入通路32内と塗料ポート50との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。
【0036】
第2供給弁52bは、特殊色の塗料を塗料ポート50に供給するための弁であって1つ設けられている。第2供給弁52bには、第2移送部30を構成する後述する中間通路74が連結されている。第2供給弁52bは、制御部22からの信号に基づいて、中間通路74内と塗料ポート50とを互いに連通させる開状態と、中間通路74内と塗料ポート50との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。
【0037】
第1洗浄部36は、塗料の色替え作業を行う際に、CCV34の塗料ポート50、導出通路38、中間貯留部40、第1移送通路42及び第1接続部44内に残留している塗料を洗浄するためのものであって、CCV34に一体的に設けられている。第1洗浄部36は、第1洗浄ポート54、第1洗浄液供給弁56及び第1空気供給弁58を有している。
【0038】
第1洗浄ポート54は、塗料ポート50に連通している。第1洗浄液供給弁56は、制御部22からの信号に基づいて、水等の洗浄液の第1洗浄ポート54への流入を許可する開状態と、洗浄液の第1洗浄ポート54への流入を阻止する閉状態とに切り換え可能に構成されている。第1空気供給弁58は、制御部22からの信号に基づいて、空気(加圧された空気)の第1洗浄ポート54への流入を許可する開状態と、空気の第1洗浄ポート54への流入を阻止する閉状態とに切り換え可能に構成されている。
【0039】
導出通路38は、CCV34の塗料ポート50から導かれた流体を中間貯留部40に導く。中間貯留部40は、塗料を貯留可能であって、貯留された塗料を貯留部104に導出することが可能に構成されている。中間貯留部40には、複数の通常色の塗料と特殊色の塗料とが選択的に貯留される。
【0040】
中間貯留部40は、第1シリンダ60、第1ピストン62及び第1ピストン駆動部64を有している。第1シリンダ60は、塗料を貯留可能に構成されている。第1ピストン62は、第1シリンダ60内に摺動可能に配設されている。第1ピストン駆動部64は、例えば、サーボモータであって、第1ピストン62を軸線方向に移動させる。第1ピストン駆動部64の回転運動は、動力変換部によって直線運動に変換されて第1ピストン62に伝達される。
【0041】
第1移送通路42は、第1シリンダ60内の塗料を第1接続部44に導く。第1接続部44は、塗装装置20を構成する後述する第2接続部106に着脱可能に構成されている。第1接続部44には、第2接続部106の凹部106aに嵌合可能な凸部44aが形成されている(
図1参照)。ただし、第1接続部44に凹部を形成し、第2接続部106に第1接続部44の凹部に嵌合可能な凸部を形成してもよい。
【0042】
第1接続部44には、第1接続弁66が設けられている。第1接続弁66は、第1接続部44に対して第2接続部106が装着された際に開弁されて第1移送通路42から第2接続弁134への塗料の流通を許可する。第1接続弁66は、第1接続部44から第2接続部106が取り外された際に閉弁して第1移送通路42内の流体が外部に漏出することを防止する。
【0043】
第1ドレン通路46は、洗浄用流体(洗浄液及び空気)を廃棄するための通路であって第1接続部44に連結されている。第1ドレン弁48は、制御部22の信号に基づいて、第1ドレン通路46を開閉する。
【0044】
第2移送部30は、第2導入通路70、混合装置72、中間通路74、第2洗浄部76、洗浄通路78、第2ドレン通路80、第2ドレン弁82を有する。第2導入通路70は、第2塗料供給部26の塗料を混合装置72に導入するためのものであって、第2塗料供給部26の色数に対応して複数設けられている。
【0045】
混合装置72は、複数色の塗料を混合調色するための装置である。混合装置72は、混合シリンダ84、混合ピストン86、混合ピストン駆動部88、撹拌部90、撹拌駆動部92及び複数のトリガ弁94a〜94dを有している。混合シリンダ84、混合ピストン86及び混合ピストン駆動部88は、上述した第1シリンダ60、第1ピストン62及び第1ピストン駆動部64と同様に構成されているため、これらの詳細な説明は省略する。
【0046】
各トリガ弁94a〜94dは、混合シリンダ84に設けられている。トリガ弁94aは、第2導入通路70内と混合シリンダ84内とを互いに連通させる開状態と、第2導入通路70内と混合シリンダ84内との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。トリガ弁94bは、中間通路74内と混合シリンダ84内とを互いに連通させる開状態と、中間通路74内と混合シリンダ84内との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。
【0047】
トリガ弁94cは、洗浄通路78内と混合シリンダ84内とを互いに連通させる開状態と、洗浄通路78内と混合シリンダ84内との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。トリガ弁94dは、第2ドレン通路80内と混合シリンダ84内とを互いに連通させる開状態と、第2ドレン通路80内と混合シリンダ84内との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。各トリガ弁94a〜94dは、制御部22からの信号に基づいて開状態と閉状態とに切り換えられる。
【0048】
中間通路74は、混合装置72で混合調色された塗料(特殊色の塗料)をCCV34の第2供給弁52bに導く。第2洗浄部76は、第2洗浄ポート96、第2洗浄液供給弁97及び第2空気供給弁98を有している。第2洗浄ポート96は、洗浄通路78内に連通している。第2洗浄液供給弁97及び第2空気供給弁98は、上述した第1洗浄液供給弁56及び第1空気供給弁58と同様に構成されているため、これらの詳細な説明は省略する。洗浄通路78は、洗浄流体を混合シリンダ84内に導く。
【0049】
第2ドレン通路80は、混合シリンダ84内の洗浄流体を廃棄するための通路である。第2ドレン弁82は、制御部22からの信号に基づいて、第2ドレン通路80を開閉する。
【0050】
図1及び
図2に示すように、塗装装置20は、塗料移送装置18から移送された塗料を車体Wに塗装するためのものである。塗装装置20は、搬送装置100、塗装部102、貯留部104、第2接続部106、第2移送通路108、塗装通路110、第3洗浄部112、第1洗浄通路114、切換弁116、第2洗浄通路118、第3ドレン通路120を有する。
【0051】
図1において、搬送装置100は、多関節のロボットアーム122と、ロボットアーム122の先端に設けられて塗装部102を把持する把持部124とを有する。ロボットアーム122は、車体Wに対して移動可能に構成されている。
【0052】
塗装部102は、車体Wに対して静電塗装を行う周知の回転霧化式の塗装ガンである。塗装部102は、一方向に延在している。塗装部102の一端には、車体Wに向けて塗料を噴射するための回転霧化部126が設けられている。回転霧化部126は、アースされている車体Wに塗料を効率的に塗装するために塗料をマイナス極に帯電させて霧化(微粒化)する。ただし、塗装部102は、回転霧化式の塗装ガンに限定されない。
【0053】
貯留部104は、塗料移送装置18から移送された塗料(通常色の塗料、特殊色の塗料)を貯留可能に構成されており、ロボットアーム122における塗装部102の近傍に設けられている。貯留部104は、第2シリンダ128、第2ピストン130及び第2ピストン駆動部132を有している。第2シリンダ128、第2ピストン130及び第2ピストン駆動部132は、上述した第1シリンダ60、第1ピストン62及び第1ピストン駆動部64と同様に構成されているため、これらの詳細な説明は省略する。
【0054】
第2接続部106は、塗装部102の他端に位置した状態で貯留部104に塗料を導くための第2移送通路108に設けられている。第2接続部106には、第2接続弁134が設けられている。第2接続弁134は、第1接続部44に第2接続部106が装着された際に開弁して第1接続弁66から第2移送通路108への塗料の流通を許可する。第2接続弁134は、第1接続部44から第2接続部106が取り外された際に閉弁して第2移送通路108と塗装通路110とを互いに連通させるとともに流体(塗料又は洗浄流体等)が外部に漏出することを防止する。
【0055】
塗装通路110は、第2接続部106と回転霧化部126とを互いに連結する。塗装通路110には、制御部22からの信号に基づいて、塗装通路110を開放及び閉塞可能なトリガ弁135が設けられている。
【0056】
第3洗浄部112は、第3洗浄ポート136、第3洗浄液供給弁138及び第3空気供給弁140を有している。第3洗浄ポート136は、第1洗浄通路114内に連通している。第3洗浄液供給弁138は、上述した第1洗浄液供給弁56及び第2洗浄液供給弁97と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。また、第3空気供給弁140は、上述した第1空気供給弁58及び第2空気供給弁98と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
【0057】
切換弁116は、中間ポート142、トリガ弁144及び第3ドレン弁146を有している。中間ポート142は、第1洗浄通路114内に連通している。トリガ弁144は、制御部22の信号に基づいて、中間ポート142と第2洗浄通路118内とを互いに連通させる開状態と、中間ポート142と第2洗浄通路118内との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。
【0058】
第2洗浄通路118は、第2シリンダ128内に連通している。第3ドレン弁146は、制御部22の信号に基づいて、中間ポート142と第3ドレン通路120内とを互いに連通させる開状態と、中間ポート142と第3ドレン通路120内との連通を遮断する閉状態とに切り換え可能に構成されている。第3ドレン通路120は、第2シリンダ128内の洗浄流体を廃棄するための通路である。
【0059】
制御部22は、塗料供給装置14、塗料移送装置18及び塗装装置20を制御する。制御部22は、記憶部150、混合比率算出部152及び供給量算出部154を備えている。記憶部150には、車体Wの塗装情報(塗装すべき塗料の色、塗装に必要な塗料の量等)が記憶されている。混合比率算出部152は、車体Wを特殊色で塗装する場合に、記憶部150の塗装情報に基づいて、調色に必要な複数色の塗料の混合比率を算出する。供給量算出部154は、算出された混合比率と記憶部150の塗装情報とに基づいて、塗料供給装置14から混合装置72に供給すべき各色の塗料の供給量を算出する。
【0060】
次に、塗装システム10の作用について、塗装方法との関係で説明する。ここでは、1台目の車体Wに対して通常色の塗料の塗装を行い(第1通常塗装工程)、2台目の車体Wに対して1台目とは異なる色の通常色の塗装を行い(第2通常塗装工程)、3台目の車体Wに対して特殊色の塗装を行う(特殊塗装工程)例について説明する。なお、以下の説明では、1台目の車体Wを第1車体W1、2台目の車体Wを第2車体W2、3台目の車体Wを第3車体W3という。また、第1車体W1に塗装される通常色の塗料を第1塗料、第2車体W2に塗装される通常色の塗料を第2塗料、第3車体W3に塗装される特殊色の塗料を第3塗料という。
【0061】
まず、
図3及び
図4に示すように、第1通常塗装工程を行う場合、第1塗料供給部24からCCV34を介して中間貯留部40の第1シリンダ60内に第1塗料を供給する(第1塗料供給工程)。つまり、制御部22は、中間貯留部40の第1ピストン駆動部64を駆動して第1シリンダ60内の容積が拡大するように第1ピストン62を移動させ、CCV34の所定の第1供給弁52aを開放する。これにより、中間貯留部40の第1シリンダ60内が負圧になるため、第1塗料供給部24の第1塗料は、第1導入通路32、CCV34、導出通路38を介して第1シリンダ60内に充填される。この際、第1塗料供給部24がポンプを備えている場合には、そのポンプの作用によって第1塗料を第1シリンダ60内に吐出してもよい。
【0062】
続いて、
図3及び
図5に示すように、第1接続部44に第2接続部106を装着した状態で中間貯留部40の第1塗料を貯留部104に移送する。具体的には、制御部22は、第1ピストン駆動部64を駆動して第1シリンダ60内の容積が縮小するように第1ピストン62を移動させるとともに貯留部104の第2ピストン駆動部132を駆動して第2シリンダ128内の容積が拡大するように第2ピストン130を移動させる。これにより、第1シリンダ60内から導出した第1塗料が第1移送通路42、第1接続部44、第2接続部106、第2移送通路108を介して第2シリンダ128内に移送される。
【0063】
また、第1塗料供給部24の第1塗料を第2シリンダ128内に充填するまでの間に特殊塗装工程が開始される。つまり、混合比率算出部152は、第3塗料の調色に必要な原色塗料の混合比率を算出する(混合比率算出工程)。そして、供給量算出部154は、算出された混合比率に基づいて混合装置72に供給すべき各色の塗料の供給量を算出する(供給量算出工程)。
【0064】
その後、第1通常塗装工程では、第1接続部44から第2接続部106を取り外した状態で、制御部22は、ロボットアーム122を制御しながら第1車体W
1に対する第1塗料の塗装を行う(第1塗装工程)。すなわち、制御部22は、第2ピストン駆動部132を駆動して第2シリンダ128内の容積が縮小するように第2ピストン130を移動させる。これにより、第2シリンダ128内から導出した第1塗料は、第2移送通路108、第2接続部106、塗装通路110を介して回転霧化部126から第1車体W1に向かって噴射される。
【0065】
図3及び
図6に示すように、この第1塗装工程が行われている際、制御部22は、第1洗浄部36を制御して中間貯留部40の洗浄を行う(第1洗浄工程)。具体的には、第1洗浄部36からCCV34の塗料ポート50、導出通路38を介して中間貯留部40の第1シリンダ60内に洗浄流体(洗浄液及び空気)を供給する。また、第1ドレン弁48を開放させた状態で第1ピストン62を移動させることにより、第1シリンダ60内の洗浄流体を第1移送通路42、第1接続弁66、第1ドレン通路46を介して廃棄する。これにより、CCV34の塗料ポート50、導出通路38、中間貯留部40、第1移送通路42及び第1接続部44が洗浄されるに至る。
【0066】
また、第1塗装が行われている際、第2塗料供給部26から混合装置72の混合シリンダ84内に複数色の塗料を供給する。つまり、制御部22は、混合装置72の混合ピストン駆動部88を駆動して混合シリンダ84内の容積が拡大するように混合ピストン86を移動させるとともにトリガ弁94aを開放する。これにより、混合シリンダ84内が負圧になるため、第2塗料供給部26から第2導入通路70、トリガ弁94aを介して混合シリンダ84内に複数色の塗料が充填される。この際、第2塗料供給部26がポンプを備えている場合には、そのポンプの作用によって複数色の塗料を混合シリンダ84内に吐出してもよい。また、この際、1色目の塗料を混合シリンダ84内に充填した後、撹拌部90を回転させながら次色の塗料を混合シリンダ84内に充填してもよい。これにより、塗料の粘度が比較的高い場合であっても、複数色の塗料を効率的に混合することができる。
【0067】
そして、第1洗浄工程が終了すると、
図3及び
図7に示すように、第1塗料供給部24からCCV34を介して第1シリンダ60内に第2塗料を供給する(第2塗料供給工程)。この第2塗料供給工程は、基本的に第1塗料供給工程と同様に行われるため、詳細な説明は省略する。なお、第2塗料供給工程では、CCV34の第1供給弁52a(第1塗料供給工程の際に開放した第1供給弁52aとは異なる第1供給弁52a)が開放される。これにより、第1シリンダ60内に第2塗料が充填される。
【0068】
この第
2塗料供給工程が行われている際、制御部22は、第3洗浄部112を制御して貯留部104の洗浄を行う(第2洗浄工程)。具体的には、第3洗浄部112から第1洗浄通路114、切換弁116、第2洗浄通路118を介して貯留部104の第2シリンダ128内に洗浄流体(洗浄液及び空気)を供給する。そして、第3洗浄部112からの洗浄流体の供給を停止するとともにトリガ弁144及び第3ドレン弁146を開放した状態で第2ピストン130を移動させることにより、第2シリンダ128内の洗浄流体を第2洗浄通路118、トリガ弁144、中間ポート142、第3ドレン弁146、第3ドレン通路120を介して廃棄する。この際、第2シリンダ128内の洗浄流体を、第2移送通路108、第2接続部106、塗装通路110を介して回転霧化部126から外部に排出する。これにより、貯留部104、第2移送通路108、第2接続部106、塗装通路110及び回転霧化部126が洗浄されるに至る。
【0069】
その後、
図3及び
図8に示すように、第1接続部44に第2接続部106を装着した状態で中間貯留部40の第2塗料を貯留部104に移送する。また、この際、混合装置72は、混合シリンダ84内の複数色の塗料を混合調色する(混合工程)。具体的には、制御部22が撹拌駆動部92を駆動することにより撹拌部90を回転させる。これにより、混合シリンダ84内の複数色の塗料が撹拌されて第3塗料が得られる。
【0070】
第2塗料の貯留部104への移送が終了すると、
図3及び
図9に示すように、第1接続部44から第2接続部106を取り外した状態で、制御部22は、ロボットアーム122を制御しながら第2車体W2に対する第2塗料の塗装を行う(第2塗装工程)。なお、第2塗装工程及び後述する第3塗装工程は、上述した第1塗装工程と同様に行われるため、その詳細な説明は省略する。
【0071】
この第2塗装工程が行われている際、制御部22は、第1洗浄部36を制御して中間貯留部40の洗浄を行う(第3洗浄工程)。第3洗浄工程は、上述した第1洗浄工程と同様に行われるため、その詳細な説明は省略する。
【0072】
そして、第3洗浄工程が終了すると、
図3及び
図10に示すように、混合装置72からCCV34を介して中間貯留部40の第1シリンダ60内に第3塗料を移送する(第1移送工程)。具体的には、制御部22は、CCV34の第2供給弁52bとトリガ弁94bとを開放させ、混合ピストン駆動部88を駆動して混合シリンダ84内の容積が縮小するように混合ピストン86を移動させるとともに第1ピストン駆動部64を駆動して第1シリンダ60内の容積が拡大するように第1ピストン62を移動させる。これにより、混合シリンダ84内の第3塗料は、中間通路74、CCV34の第2供給弁52b、塗料ポート50、導出通路38を介して第1シリンダ60内に充填される。
【0073】
この第1移送工程が行われている際、制御部22は、第3洗浄部112を制御して貯留部104の洗浄を行う(第4洗浄工程)。第4洗浄工程は、上述した第2洗浄工程と同様に行われるため、その詳細な説明は省略する。
【0074】
その後、
図3及び
図11に示すように、第1接続部44に第2接続部106を装着した状態で中間貯留部40の第3塗料を貯留部104に移送する(第2移送工程)。
【0075】
また、この第2移送工程が行われている際、制御部22は、次回の特殊色の塗装に備えて、第2洗浄部76を制御して混合装置72の洗浄を行う(第5洗浄工程)。具体的には、制御部22は、トリガ弁94cを開放した状態で第2洗浄部76から洗浄通路78を介して混合シリンダ84内に洗浄流体(洗浄液及び空気)を供給する。そして、制御部22は、トリガ弁94cを閉塞し、トリガ弁94d及び第2ドレン弁82を開放した状態で混合ピストン86を移動させることにより、混合シリンダ84内の洗浄流体を第2ドレン通路80を介して廃棄する。
【0076】
第2移送工程が終了すると、
図3及び
図12に示すように、第1接続部44から第2接続部106を取り外した状態で、制御部22は、ロボットアーム122を制御しながら第3車体W3に対する第3塗料の塗装を行う(第3塗装工程)。
【0077】
この場合、本実施形態に係る塗装システム10及び塗装方法は、以下の効果を奏する。
【0078】
塗装システム10は、前記塗料供給装置14から供給された複数色の塗料を混合調色可能な前記混合装置72と、前記混合装置72で混合調色された塗料を貯留可能な貯留部104とを備えている。これにより、貯留部104内の特殊色の塗料を用いて車体W(第3車体W3)を塗装している間に混合装置72を洗浄することができる。すなわち、第3塗装工程中に第5洗浄工程を行うことができる。よって、塗料の色替え作業を効率的に行うことができる。
【0079】
塗装システム10は、混合装置72で混合調色された塗料を貯留可能な中間貯留部40をさらに備え、中間貯留部40内に貯留された塗料は、貯留部104に移送可能である。そのため、貯留部104内の塗料(通常色の塗料)を用いて車体W(第2車体W2)を塗装している間に混合装置72で混合調色された特殊色の塗料を中間貯留部40に移送することができる。これにより、塗料の色替え作業を一層効率的に行うことができる。
【0080】
塗装システム10は、塗料供給装置14から混合装置72を介さずに供給される塗料(通常色の塗料)と混合装置72で混合調色された塗料(特殊色の塗料)とを選択的に中間貯留部40に導くためのCCV34を備えている。そのため、通常色の塗料と特殊色の塗料とを選択的に車体Wに対して塗装することができる。また、通常色の塗料を車体Wに塗装する場合と特殊色の塗料を車体Wに塗装する場合とで、中間貯留部40、貯留部104及び塗装部102を共通化(共用化)することができるため、塗装システム10のコンパクト化及び設備コストの低廉化を図ることができる。
【0081】
塗装システム10は、中間貯留部40内の塗料が導かれる第1移送通路42と、第1移送通路42に設けられた第1接続部44とを備える。また、塗装システム10は、第1接続部44に着脱可能な第2接続部106と、第2接続部106と貯留部104とを互いに連結する第2移送通路108とを備える。そして、中間貯留部40内の塗料は、第1接続部44と第2接続部106とが互いに装着された状態で、第1移送通路42、第1接続部44、第2接続部106及び第2移送通路108を介して貯留部104内に移送可能である。
【0082】
これにより、貯留部104への塗料の供給が必要な場合には、第1接続部44に第2接続部106を装着することにより中間貯留部40の塗料を貯留部104に移送することができる。また、車体Wに対する塗装を行う際には、第1接続部44に対して第2接続部106を取り外すことにより中間貯留部40と貯留部104との間を切り離すことができる。よって、搬送装置100の稼働範囲に合わせて中間貯留部40と貯留部104との間の通路を長くする必要がない。
【0083】
塗装システム10を用いた塗装方法では、第1通常塗装工程、第2通常塗装工程及び特殊塗装工程が行われる。そして、
図3に示すように、第1通常塗装工程中に、特殊塗装工程の混合比率算出工程、供給量算出工程、塗料供給工程(第2塗料供給工程)を行っている。また、第2通常塗装工程中に、塗料供給工程(第2塗料供給工程)、混合工程及び第1移送工程を行っている。
【0084】
そのため、車体Wに対して通常色の塗料と特殊色の塗料とを選択的に塗装することができる。また、車体Wに対して通常色の塗料の塗装(第1通常塗装工程及び第2通常塗装工程)を行っている間に、特殊色の塗装の準備を行うことができるため、塗料の色替え作業をさらに効率的に行うことができる。
【0085】
第1通常塗装工程では、塗料供給装置14から混合装置72を介さずに中間貯留部40に供給された第1塗料を車体Wに塗装している。第2通常塗装工程では、第1通常塗装工程の終了後に塗料供給装置14から混合装置72を介さずに中間貯留部40に供給された第2塗料を車体Wに塗装している。第1塗料と第2塗料とは互いに異なる色である。これにより、特殊色の塗料の準備中に車体Wに2種類の通常色の塗料(第1塗料と第2塗料)を塗装することができる。
【0086】
第1通常塗装工程では、塗料供給装置14から混合装置72を介さずに中間貯留部40に第1塗料を供給する第1塗料供給工程と、中間貯留部40の第1塗料を貯留部104に移送する第1塗料移送工程と、貯留部104の第1塗料を車体Wに塗装する第1塗装工程とを行っている。第2通常塗装工程では、塗料供給装置14から混合装置72を介さずに中間貯留部40に第2塗料を供給する第2塗料供給工程と、中間貯留部40の第2塗料を貯留部104に移送する第2塗料移送工程と、貯留部104の第2塗料を車体Wに塗装する第2塗装工程とを行っている。第2塗料供給工程は、第1塗装工程中に行っている。
【0087】
これにより、第2塗料供給工程を第1塗装工程中に行うため、車体Wに2種類の通常色の塗料を効率的に塗装することができる。
【0088】
塗装方法では、第1塗装工程中に中間貯留部40を洗浄する第1洗浄工程と、第2塗料供給工程中に貯留部104を洗浄する第2洗浄工程と、を行っている。
【0089】
これにより、貯留部104及び中間貯留部40を効率的に洗浄することができる。
【0090】
本発明は、上述した構成に限定されない。例えば、
図13に示す塗装システム10Aを構成する移送装置18aのように、上述した中間貯留部40及びCCV34を省略し、混合装置72のトリガ弁94bと第1接続部44とを第1移送通路160で互いに連結してもよい。
【0091】
このような塗装システム10Aを用いた塗装方法では、まず、混合比率算出工程と供給量算出工程を行った後、塗料供給装置14から導入通路162を介して混合装置72内に複数色の塗料を導入する(塗料供給工程)。そして、制御部22は、混合装置72を制御して複数色の塗料を混合調色することにより特殊色の塗料を得る(混合工程)。その後、第1接続部44に第2接続部106を装着した状態で、制御部22は、混合装置72及び貯留部104を制御して、混合装置72内の特殊色の塗料を第1移送通路160、第1接続部44、第2接続部106、第2移送通路108を介して貯留部104内に移送する(移送工程)。続いて、第1接続部44から第2接続部106を取り外した状態で、貯留部104内の特殊色の塗料を用いて車体Wに対して特殊色の塗装を行う(塗装工程)。
【0092】
このように、
図13に示す塗装システム10Aでは、特殊色の塗料を車体W(ワーク)に塗装することができる。また、混合装置72内の特殊色の塗料を貯留部104内に移送するため、塗装工程中に混合装置72の洗浄工程を行うことができる。
【0093】
本発明に係る塗装システム及び塗装方法は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。