特許第6794552号(P6794552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフトの特許一覧

特許6794552ディーゼルエンジンの排気ガス浄化用触媒
<>
  • 特許6794552-ディーゼルエンジンの排気ガス浄化用触媒 図000002
  • 特許6794552-ディーゼルエンジンの排気ガス浄化用触媒 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794552
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジンの排気ガス浄化用触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/072 20060101AFI20201119BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20201119BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20201119BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20201119BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20201119BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B01J29/072 A
   B01J35/04 301L
   B01J35/04 301E
   B01D53/94 400
   B01D53/94 228
   B01D53/94 241
   B01D53/94 280
   B01D53/94 245
   B01D53/94 222
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301P
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-535370(P2019-535370)
(86)(22)【出願日】2018年2月2日
(65)【公表番号】特表2020-508843(P2020-508843A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2018052600
(87)【国際公開番号】WO2018141887
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2020年1月24日
(31)【優先権主張番号】17154563.5
(32)【優先日】2017年2月3日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ライト
(72)【発明者】
【氏名】ビルギット・フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヘンクスト
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/110819(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0302214(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/072717(WO,A1)
【文献】 特表2014−525822(JP,A)
【文献】 特表2018−527162(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0139875(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0099975(US,A1)
【文献】 特表2012−523313(JP,A)
【文献】 特表2014−500145(JP,A)
【文献】 特表2013−510702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73
B01D 53/86−53/96
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端面「a」と第2の端面「b」との間に延びる長さLを有する担体と、
前記担体上に配置された組成が異なる触媒活性材料領域A、B、及びCとを備える触媒であって、
材料領域Aが、白金又はPt:Pd≧1の重量比を有する白金及びパラジウムを含み、端面「a」から始まって又は端面「b」から始まって、前記長さLの100%に沿って延びており、
材料領域Bが、パラジウム又は白金及びパラジウムを含み、端面「b」から始まって前記長さLの一部分に沿って延びており、
材料領域CがSCR活性材料を含み、端面「a」から始まって前記長さLの一部分に沿って延び、
前記材料領域B及び前記材料領域Cは前記材料領域Aの上方に配置されている、触媒。
【請求項2】
材料領域Aが、白金又は20:1〜1:1の重量比を有する白金及びパラジウムを含有することを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
材料領域Bが、パラジウム又は3:1〜1:12の重量比を有する白金及びパラジウムを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
材料領域Aが白金及び遷移金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項5】
材料領域Aの重量に対してそれぞれ、白金が0.05〜4.0重量%の量で存在し、前記遷移金属酸化物が0.5〜15重量%の量で存在することを特徴とする、請求項4に記載の触媒。
【請求項6】
前記遷移金属酸化物がCuOであり、式中0<≦2であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の触媒。
【請求項7】
前記材料領域Aの重量に対してそれぞれ、CuOが0.5〜5重量%の量で存在し、白金が0.05〜2.0重量%の量で存在することを特徴とする、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
材料領域Bがアルカリ土類金属を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項9】
材料領域B中の前記アルカリ土類金属が、ストロンチウム又はバリウム又はストロンチウム及びバリウムであることを特徴とする、請求項8に記載の触媒。
【請求項10】
材料領域Cが、SCR活性材料として、8個の四面体原子の最大環サイズを有し及び遷移金属を含有する小孔ゼオライトを含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項11】
前記小孔ゼオライトが、AEI、CHA、KFI、ERI、LEV、MER、又はDDR構造型に属し、及びコバルト、鉄、銅、又はコバルト、鉄、銅のうちの2つ若しくは3つの混合物と交換されることを特徴とする、請求項10に記載の触媒。
【請求項12】
材料領域Cが、SCR活性材料として、構造型BEAを有し及び遷移金属を含有するゼオライトを含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項13】
材料領域Bが前記担体の前記長さLの30〜50%に沿って延びていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項14】
材料領域Cが前記担体の前記長さLの50〜70%に沿って延びていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項15】
順に、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第1のデバイスと、第1のSCR触媒と、請求項1〜14のいずれか1項に記載の触媒であって、その端面「a」が前記第1のSCR触媒の方向を向くように配置されている触媒と、を備える、触媒装置。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の前記触媒の端面「b」の方向を向くように配置されたディーゼル微粒子フィルタを備えることを特徴とする、請求項15に記載の触媒装置。
【請求項17】
前記ディーゼル微粒子フィルタに続く第2のSCR触媒を備えることを特徴とする、請求項16に記載の触媒装置。
【請求項18】
前記第2のSCR触媒の上流において、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第2のデバイスを備えることを特徴とする、請求項17に記載の触媒装置。
【請求項19】
前記第2のSCR触媒に続くアンモニアスリップ触媒を備えることを特徴とする、請求項17又は18に記載の触媒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するための触媒に関し、該触媒はいくつかの材料領域を有する。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素CO、炭化水素HC、及び窒素酸化物NOに加えて、ディーゼルエンジンの生の排気ガスは、最大15体積%の比較的高い酸素含有量を含有する。主に煤煙残留物及びおそらく有機凝集物からなり、エンジンのシリンダー内での部分的に不完全な燃料燃焼から生じる粒子排出物も含有される。
【0003】
触媒活性コーティングを有する又は有さないディーゼル微粒子フィルタは、粒子の放出を除去するのに適しているが、窒素酸化物は、アンモニアによって、酸素の存在下でSCR触媒上で窒素及び水に変換され得る。還元剤として使用されるアンモニアは、例えば尿素、カルバミン酸アンモニウム、又はギ酸アンモニウムなどのアンモニア前駆体化合物を排ガス流中に供給し、続いて熱分解及び加水分解することによって利用可能にすることができる。SCR触媒は文献に広く記載されている。それらは一般に、特にバナジウム、チタン及びタングステンを含有するいわゆる混合酸化物触媒、又は金属交換ゼオライト、特に細孔ゼオライトを含むいわゆるゼオライト触媒、のいずれかである。SCR触媒活性材料は、フロースルー基材上又はウォールフローフィルタ上に担持されてもよい。
【0004】
一酸化炭素及び炭化水素は、適切な酸化触媒上での酸化によって無害にされる。酸化触媒も、文献に広く記載されている。それらは、例えば、酸化アルミニウムなどの大面積の多孔質高融点酸化物上に必須の触媒活性成分として白金及びパラジウムなどの貴金属を担持するフロースルー基材である。
排気ガスの流れ方向において、排気ガスが順々に接触する異なる組成の材料領域を有する領域化酸化触媒も既に記載されている。
【0005】
例えば、米国特許出願公開第2010/257843号、米国特許出願公開第2011/099975号、及び国際公開第2012/079598(A1)号は、白金及びパラジウムを含有する領域化酸化触媒を記載している。国際公開第2011/057649(A1)号にも酸化触媒が記載されており、これらは層状及び領域化された実施形態で使用することができる。領域化された実施形態の場合、第2の領域、すなわち下降する排気ガスが直接接触する領域は、流入する排気ガスと直接接触する前方領域よりも高い貴金属含有量を有する。国際公開第2011/057649(A1)号による酸化触媒は、特に、下流に位置するSCR触媒に対して、NO対NOの最適な比率を設定するという目標を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ほとんどの場合、排気ガスの流れ方向において、酸化触媒がエンジンの近くに配置され、次いで微粒子フィルタ及びSCR触媒が続くように、様々な触媒が排気ガス浄化システム内で組み合わされており、ここでSCR触媒も、微粒子フィルタ上に担持されて存在してもよい。現在及び将来の排出ガス規制Euro6及び6+のディーゼルエンジンの排気ガス温度は、CO排出量の削減につながる燃料節約の結果としてますます低くなっている。したがって、いくつかの場合には、排気ガスに含まれる窒素酸化物の少なくとも一部分を、エンジンに近接して配置されたSCR触媒によって変換し、その後、排気ガスを、酸化触媒、微粒子フィルタ、及び適用可能な場合には別のSCR触媒を通して最初に案内することが、提案されている。
【0007】
この触媒装置では、特に、一酸化二窒素をほとんど生成せず、それにもかかわらず次のSCR触媒に十分な二酸化窒素をもたらす入手可能なディーゼル酸化触媒を有することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
現在では、以下に記載及び定義するディーゼル酸化触媒がこれらの条件を満たすことが判明している。
【0009】
本発明は、第1の端面「a」と第2の端面「b」との間に延びる長さLを有する担体と、担体上に配置された触媒活性材料領域A、B、及びCと、を備える触媒であって、材料領域Aが、白金又はPt:Pd≧1の重量比を有する白金及びパラジウムを含み、端面「a」から始まって又は端面「b」から始まって、長さLの70〜100%に沿って延びており、材料領域Bが、パラジウム又は白金及びパラジウムを含み、端面「b」から始まって長さLの一部分に沿って延びており、材料領域CがSCR活性材料を含み、端面「a」から始まって長さLの一部分に沿って延び、材料領域Cは材料領域Aの上方に配置されている、触媒に関する。
【0010】
本発明に係る触媒の実施形態では、白金又は白金及びパラジウムが、1つ以上の担体酸化物上の材料領域A及びBに適用される。これらの担体酸化物は、有利には高融点であり、すなわち、それらの融点は、本発明に係る触媒の特定の通常の運転中に生じる温度よりも十分に高い。更に、担体酸化物は、有利に大きな表面積を有し、好ましくは50〜200m/gのBET表面積を有する(DIN 66132に従って決定される)。
【0011】
材料領域A及びBにおける担体酸化物は同じでも異なっていてもよい。
【0012】
適切な担体酸化物は、酸化アルミニウム、ドープ酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、及びそれらの1つ以上の混合酸化物からなる群から選択される。
ドープ酸化アルミニウムは、例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、及び/又は酸化チタンをドープした酸化アルミニウムである。ランタン安定化酸化アルミニウムが有利に使用され、ここでランタンは、安定化酸化アルミニウムの重量に対して、それぞれLaとして計算して1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%の量で使用される。
【0013】
材料領域Aが白金及びパラジウムを含有する場合、重量比Pt:Pdは≧1、すなわち具体的には20:1〜1:1である。例は、20:1、12:1、10:1、7:1、6:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、及び1:1である。
【0014】
材料領域Bが白金及びパラジウムを含有する場合、重量比Pt:Pdは、≦3、すなわち具体的には3:1〜1:12であることが好ましい。例は2:1、1:1、1:2、及び1:4である。
【0015】
本発明に係る触媒の実施形態では、材料領域Aは白金及び遷移金属酸化物を含み、それぞれ、材料領域Aの重量に対して、白金は具体的には0.05〜4.0重量%の量で存在し、遷移金属酸化物は0.5〜15重量%の量で存在する。
【0016】
好ましい一実施形態では、遷移金属酸化物はCuOであり、0<×≦2である。
【0017】
遷移金属酸化物がCuOである場合、それぞれ材料領域Aの重量に対して、遷移金属酸化物は、具体的には0.5〜5重量%の量で存在し、白金は0.05〜2重量%の量で存在する。
【0018】
本発明に係る触媒の実施形態において、材料領域Bはアルカリ土類金属を含む。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はこれらの金属の少なくとも2つの混合物を使用することができる。好ましく使用されるのはストロンチウム又はバリウム又はストロンチウム及びバリウムである。
アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属は一般にそれらの酸化物、水酸化物又は炭酸塩の形で存在する。それらは好ましくはそれらの酸化物の形で存在する。
アルカリ土類金属は有利には材料帯域Bの重量に対して0.5〜5重量%の量で使用され、MeOとして計算され、ここでMeはアルカリ土類金属を表す。
ストロンチウムが使用される場合、それは材料帯域Bの重量に対して1〜3重量%の量で存在するのが特に好ましい。
しかしながら、バリウムを使用する場合、材料領域Aの重量に対し2.5〜4.5重量%の量で存在することが特に好ましい。
【0019】
本発明に係る酸化触媒の実施形態では、材料領域A及びBは、互いに独立して、担体の体積に対して25〜150g/Lの量で存在する。
【0020】
材料領域Cは、SCR活性材料、すなわちSCR触媒を含有する。
SCR触媒として、窒素酸化物とアンモニアとのSCR反応における全ての活性触媒−特に自動車の排気ガス触媒の分野における当業者に一般的に知られているもの−を原則として使用することができる。これには、混合酸化物型の触媒、及びゼオライトに基づく−特に遷移金属交換ゼオライトに基づく−触媒が含まれる。
本発明の実施形態では、8個の四面体原子の最大環サイズを有する小孔ゼオライト及び遷移金属を含有するSCR触媒が使用される。そのようなSCR触媒は、例えば、欧州特許出願公開第2117707(A1)号及び国際公開第2008/132452(A2)号に記載されている。
【0021】
更に、大孔及び中孔のゼオライトも使用することができ、その際、特にBEA構造型のものも考慮され得る。したがって、鉄BEAは特定の関心のものである。
【0022】
特に好ましいゼオライトは、BEA、AEI、CHA、KFI、ERI、LEV、MER、又はDDR構造タイプに属し、特に好ましくはコバルト、鉄、銅、又はこれらの金属の2つ若しくは3つの混合物と交換される。
【0023】
本発明の文脈内での用語「ゼオライト」は、モレキュラーシーブも含み、これは時に「ゼオライト様」化合物とも呼ばれる。モレキュラーシーブが前述の構造タイプのうちの1つに属する場合、それらは好ましい。例としては、用語SAPOで知られているシリカアルミニウムホスフェートゼオライト、及び用語AlPOで知られているリン酸アルミニウムゼオライトが挙げられる。これらも、コバルト、鉄、銅、又はこれらの金属の2つ若しくは3つの混合物と交換されるときに特に好ましい。
【0024】
好ましいゼオライト又はモレキュラーシーブも、2〜100、具体的には5〜50のSAR(シリカ対アルミナ)値を有するものである。
【0025】
ゼオライト又はモレキュラーシーブは、遷移金属を、特に金属酸化物として、すなわち例えばFe又はCuOとして計算して1〜10重量%、特に2〜5重量%の量で含有する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態は、SCR触媒として、銅、鉄、又は銅及び鉄と交換されたベータ型(BEA)、チャバザイト型(CHA)、又はLevyne型(LEV)のゼオライト又はモレキュラーシーブを含有する。適切なゼオライト又はモレキュラーシーブは、例えば、ZSM−5、ベータ、SSZ−13、SSZ−62、Nu−3、ZK−20、LZ−132、SAPO−34、SAPO−35、AlPO−34、及びAlPO−35の名称で知られており、例えば、米国特許第6,709,644号及び米国特許第8,617,474号も参照。
【0027】
本発明によれば、担体の端面「a」から始まるか、又は端面「b」から始まる材料領域Aは、担体の長さLの70〜100%に沿って延びる。本発明に係る触媒の実施形態では、材料領域Aは、担体の長さLの80〜100%−具体的には100%−に沿って延びる。
一実施形態では、材料領域Aは、担体の端面「a」から始まり、別の実施形態では、端面「b」から始まる。
本発明に係る触媒の他の実施形態では、材料領域Bは担体の長さLの50%〜70%に沿って延びる。
【0028】
本発明に係る触媒の他の実施形態では、材料領域Cは担体の長さLの30%〜50%に沿って延びる。
【0029】
好ましい実施形態では、材料領域Aは、担体の長さLの100%を超えて延びており、担体上に直接配置されている。この場合、材料領域B及びCは材料領域A上に配置され、材料領域B及びCの長さの合計は担体の長さLに対応する。したがって、L=L+Lが適用され、式中Lは材料領域Bの長さであり、Lは材料領域Cの長さである。
【0030】
本発明に係る触媒は、コーティング懸濁物、又はいわゆるウォッシュコートによって、それ自体既知である方法で、適切な担体をコーティングすることにより製造することができる。材料領域A又はBを製造するためのコーティング懸濁液を製造するために、選択された担体酸化物を、例えば、水中に懸濁する。次いで、例えば、白金及び/又はパラジウムを、硝酸パラジウム又はヘキサヒドロキシ白金酸などの適切な水溶性前駆対化合物の形態で撹拌しながら懸濁物に添加し、適宜、pHを設定することにより、及び/又は補助試薬を添加することにより、担持材料上に固定する。
あるいは、貴金属も、欧州特許出願公開第1101528(A2)号に記載されている方法と同様にして担体材料に適用することもできる。
コーティング懸濁液の製造と同様に、材料領域Cを製造するために、適切なSCR触媒を−場合によっては結合剤の添加と共に−水中に懸濁させる。
このような方法で得られた懸濁物を、次に標準的なコーティング方法の1つにより担体にこすりつけて適用する。各コーティングステップの後に、コーティング部を熱気流中で乾燥し、適宜焼成する。
前述の前駆体化合物、補助試薬、及び結合剤は、当業者に公知である。
【0031】
具体的には、セラミック−具体的にはコーディエライト−又は金属製のいわゆるハニカム体が担体として考慮される。いわゆるフロースルーハニカム体(flow−through honeycomb bodies)が好ましく使用される。しかし、ウォールフローフィルタを担体として使用する実施形態も考えられる。
【0032】
本発明に係る触媒は、ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するのに適している。それらは、具体的には、一酸化炭素及び炭化水素を二酸化炭素及び水に酸化することができる。更に、それらは窒素酸化物によってSCR反応においてアンモニアを酸化することができ、適宜アンモニアを一時的に貯蔵することができる。同時に、下降流側の領域は一酸化窒素を二酸化窒素に酸化することができる。
【0033】
それらは排気ガス浄化システムに組み込まれるのが好ましく、それによってエンジンの近くに配置されたSCR触媒を通過した排気ガスが端面「a」で触媒に入り、端面「b」で再びそれを出る。
したがって、本発明は、また、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、及び本発明に係る触媒を含む触媒装置に関し、ここで本発明に係る触媒は、その端面「a」が第1のSCR触媒の方向を向くように配置されている。
【0034】
アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するためのデバイスは、特に、尿素水溶液を供給するためのデバイスである。そのようなデバイスは当業者に公知であり、市場で入手することができる。
【0035】
SCR活性材料でコーティングされたフロースルー基材は、具体的には第1のSCR触媒として考慮される。上記の材料領域Cの全てのSCR触媒に加えて、特に混合酸化物触媒、特にVWT触媒もSCR活性材料として考慮される。VWT触媒は、V、WO、及びTiOに基づく触媒である。
【0036】
第1のSCR触媒は、好ましくはVWT触媒、又は銅、鉄、又は銅及び鉄で交換されたベータ型(BEA)、チャバザイト型(CHA)、又はLevyne型(LEV)のゼオライト又はモレキュラーシーブを含む。
【0037】
一実施形態では、本発明に係る触媒装置は、本発明に係る触媒の端面「b」の方向を向くように配置されたディーゼル微粒子フィルタを含む。ディーゼル微粒子フィルタは、具体的にはウォールフローフィルタである。
フロースルー基材とは対照的に、両端で開口しているチャネルは、フロースルー基材の2つの端部の間で平行に延び、ウォールフローフィルタ内のチャネルは、第1の端部又は第2の端部のいずれかで交互に気密に閉じられる。したがって、一方の端部のチャネル内に入るガスは、チャネル壁を通って他方の端部上で開いているチャネル内に入るときにのみウォールフローフィルタを出ることができる。チャネル壁は概ね多孔質であり、コーティングされていない状態では、例えば、30〜80%−具体的には50〜75%の多孔率を有する。コーティングされていない状態におけるそれらの平均孔径は、例えば5〜30ミクロンである。
一般に、ウォールフローフィルタの孔はいわゆる開放孔であり、すなわちそれらはチャネルと接続している。更に、孔は概して互いに接続している。一方では、これにより、内側孔表面の容易なコーティングが可能になり、他方では、ウォールフローフィルタの多孔質壁を通る排気ガスの容易な通過が可能になる。
【0038】
ディーゼル微粒子フィルタはコーティングされていなくてもよい。しかしながら、それは、煤の着火点を低下させ、したがって、フィルタ処理された煤粒子の燃焼を促進する触媒活性コーティングを含むことが好ましい。そのようなコーティングは、例えば、酸化アルミニウム、具体的には白金及び/又はパラジウムなどの酸化アルミニウム上に担持された白金族金属を含む。SCR触媒でコーティングされた微粒子フィルタも考えられる。この場合、尿素の水溶液に供給するためのデバイスが、ディーゼル微粒子フィルタの上流に設けられる。
【0039】
更なる実施形態では、本発明に係る触媒装置は、ディーゼル粒子フィルタに続く第2のSCR触媒を含む。
SCR触媒活性材料でコーティングされたフロースルー基板を、第2のSCR触媒として使用することもできる。上記の材料領域Cの全てのSCR触媒は、具体的には、SCR触媒活性材料として考慮される。
SCR触媒は、好ましくは、ベータ型(BEA)、チャバザイト型(CHA)、又は銅、鉄、若しくは銅及び鉄と交換されたLevyne型(LEV)を含むことが好ましい。
アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するためのデバイス−具体的には尿素の水溶液に供給するためのデバイス−も、第2のSCR触媒の上流に配置されなければならない。
【0040】
したがって、本発明に係る触媒装置の一実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第2のデバイス、及び第2のSCR触媒を備える。本発明による触媒装置の別の実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第2のデバイス、SCR触媒でコーティングされたディーゼル微粒子フィルタ及び第2のSCR触媒を備える。
【0041】
第2のSCR触媒における窒素酸化物の変換率を改善するために、必要量よりも約10〜20%高い量、すなわち化学量論量でアンモニアを供給することが必要であり得る。しかしながら、これは、より高い二次放出の危険性を増加させる−具体的にはアンモニアスリップの増加の結果として。アンモニアは低濃度で刺激臭を既に有し、実用車分野では法的に制限されているので、アンモニアスリップを最小限に抑えなければならない。この目的のために、通過するアンモニアを酸化するためにSCR触媒の下流で排気ガスの流れ方向に配置された、いわゆるアンモニアスリップ触媒が知られている。様々な実施形態におけるアンモニアスリップ触媒は、例えば、米国特許9第5,120,695号、欧州特許出願公開第139246(A1)号、及び欧州特許出願公開第0559021(A2)号に記載されている。
【0042】
更なる実施形態では、本発明に係る触媒装置は、したがって、第2のSCR触媒に続くアンモニアスリップ触媒を含む。
【0043】
例えば、アンモニアスリップ触媒は、SCR活性材料及び1つ以上の白金族金属、具体的には白金又は白金及びパラジウムを含む。上記の材料領域Cの全てのSCR触媒は、具体的には、SCR触媒活性材料として考慮される。
【0044】
したがって、本発明に係る触媒装置の一実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第2のデバイス、第2のSCR触媒、及びアンモニアスリップ触媒、を備える。
【0045】
本発明に係る触媒装置の別の実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第2のデバイス、SCR触媒をコーティングしたディーゼル微粒子フィルタ、第2のSCR触媒、及びアンモニアスリップ触媒、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明に係る触媒装置の一例を概略的に示す図である。
図2図2は、本発明に係る触媒装置の別の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明に係る触媒装置の一例を概略的に示す。エンジン(1)を出る排気ガスは、まずエンジンの近くに配置された第1のSCR触媒(3)を通って案内される。第1のSCR触媒(3)の上流で、排気ガス流中でアンモニアに加水分解された尿素水溶液が、第1の投入装置(2a)を介して供給される。次いで、第1のSCR触媒を出る排ガスは、本発明に係る触媒(4)を通過し、微粒子フィルタ(5)を通過し、最後に更に下流に配置された第2のSCR触媒(6)を通過する。第2のSCR触媒(6)の上流で、排気ガス流中でアンモニアに加水分解された尿素水溶液も、第2の投入装置(2a)を介して供給される。最後に、排気ガスは、大気中に放出される前に、アンモニアスリップ触媒(7)を通って案内される。矢印は、排気ガスの流れ方向を示す。
【0048】
図2は、本発明に係る触媒装置の別の例を概略的に示す。エンジン(1)を出る排気ガスは、まずエンジンの近くに配置された第1のSCR触媒(3)を通って案内される。第1のSCR触媒(3)の上流で、排気ガス流中でアンモニアに加水分解された尿素水溶液が、第1の投入装置(2a)を介して供給される。次いで、第1のSCR触媒を出る排ガスは、本発明に係る触媒(4)、SCR触媒でコーティングされた微粒子フィルタ(5a)、及び最後に更に下流に配置された第2のSCR触媒(6)を通って流れる。この場合、微粒子フィルタ(5a)の上流で、排気ガス流中でアンモニアに加水分解された尿素水溶液が第2の供給装置(2a)を介して供給される。最後に、排気ガスは、大気中に放出される前に、アンモニアスリップ触媒(7)を通って案内される。矢印は、排気ガスの流れ方向を示す。
【0049】
実施例1
a)10.5”×6.00”の寸法、400cpsiのセル密度、4milの壁厚さのコーディエライト製の市販の円形のフロースルー基材を、一端部(端面「a」に対応する)から開始して、その長さの100%にわたって、市販の0.67g/LのPt、及び0.11g/LのPdの75g/Lを含有するウォッシュコートを用いて、コーティングした。重量比Pt:Pdは6:1であった。
b)a)によって得られたコーティングされた基材を、その全長の50%にわたって、端面「b」から開始して、50g/LのSiドープ酸化アルミニウム、0.15g/Lの通常の水溶性Pt化合物、及び0.30g/Lの通常のPd化合物を含有するウォッシュコートを用いて、コーティングした。重量比Pt:Pdは1:2であった。
c)b)によって得られたコーティングされた基材を、その全長の50%にわたって、端面「a」から開始して、銅と交換された200g/Lのゼオライトを含有するウォッシュコートを用いて、コーティングした。
【0050】
実施例2
a)10.5”×6.00”の寸法、400cpsiのセル密度、4milの壁厚さのコーディエライト製の市販の円形のフロースルー基材を、一端部(端面「a」に対応する)から開始して、その長さの100%にわたって、市販の酸化アルミニウム、0.39g/LのPt、及び0.10g/LのPdの50g/Lを含有するウォッシュコートを用いて、コーティングした。重量比Pt:Pdは4:1であった。
b)a)によって得られたコーティングされた基材を、その全長の50%にわたって、端面「b」から出発して、70g/LのSiドープ酸化アルミニウム、0.37g/Lの通常の水溶性Pt化合物、及び0.37g/Lの通常の水溶性Pd化合物を用いて、コーティングした。重量比Pt:Pdは1:1であった。
c)b)によって得られたコーティングされた基材を、その全長の50%にわたって、端面「a」から開始して、160g/Lの鉄と交換されたゼオライトを含有するウォッシュコートを用いて、コーティングした。
図1
図2