【課題を解決するための手段】
【0008】
現在では、以下に記載及び定義するディーゼル酸化触媒がこれらの条件を満たすことが判明している。
【0009】
本発明は、第1の端面「a」と第2の端面「b」との間に延びる長さLを有する担体と、担体上に配置された触媒活性材料領域A、B、及びCと、を備える触媒であって、材料領域Aが、白金又はPt:Pd≧1の重量比を有する白金及びパラジウムを含み、端面「a」から始まって又は端面「b」から始まって、長さLの70〜100%に沿って延びており、材料領域Bが、パラジウム又は白金及びパラジウムを含み、端面「b」から始まって長さLの一部分に沿って延びており、材料領域CがSCR活性材料を含み、端面「a」から始まって長さLの一部分に沿って延び、材料領域Cは材料領域Aの上方に配置されている、触媒に関する。
【0010】
本発明に係る触媒の実施形態では、白金又は白金及びパラジウムが、1つ以上の担体酸化物上の材料領域A及びBに適用される。これらの担体酸化物は、有利には高融点であり、すなわち、それらの融点は、本発明に係る触媒の特定の通常の運転中に生じる温度よりも十分に高い。更に、担体酸化物は、有利に大きな表面積を有し、好ましくは50〜200m
2/gのBET表面積を有する(DIN 66132に従って決定される)。
【0011】
材料領域A及びBにおける担体酸化物は同じでも異なっていてもよい。
【0012】
適切な担体酸化物は、酸化アルミニウム、ドープ酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、及びそれらの1つ以上の混合酸化物からなる群から選択される。
ドープ酸化アルミニウムは、例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、及び/又は酸化チタンをドープした酸化アルミニウムである。ランタン安定化酸化アルミニウムが有利に使用され、ここでランタンは、安定化酸化アルミニウムの重量に対して、それぞれLa
2O
3として計算して1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%の量で使用される。
【0013】
材料領域Aが白金及びパラジウムを含有する場合、重量比Pt:Pdは≧1、すなわち具体的には20:1〜1:1である。例は、20:1、12:1、10:1、7:1、6:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、及び1:1である。
【0014】
材料領域Bが白金及びパラジウムを含有する場合、重量比Pt:Pdは、≦3、すなわち具体的には3:1〜1:12であることが好ましい。例は2:1、1:1、1:2、及び1:4である。
【0015】
本発明に係る触媒の実施形態では、材料領域Aは白金及び遷移金属酸化物を含み、それぞれ、材料領域Aの重量に対して、白金は具体的には0.05〜4.0重量%の量で存在し、遷移金属酸化物は0.5〜15重量%の量で存在する。
【0016】
好ましい一実施形態では、遷移金属酸化物はCu
xOであり、0<×≦2である。
【0017】
遷移金属酸化物がCu
xOである場合、それぞれ材料領域Aの重量に対して、遷移金属酸化物は、具体的には0.5〜5重量%の量で存在し、白金は0.05〜2重量%の量で存在する。
【0018】
本発明に係る触媒の実施形態において、材料領域Bはアルカリ土類金属を含む。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はこれらの金属の少なくとも2つの混合物を使用することができる。好ましく使用されるのはストロンチウム又はバリウム又はストロンチウム及びバリウムである。
アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属は一般にそれらの酸化物、水酸化物又は炭酸塩の形で存在する。それらは好ましくはそれらの酸化物の形で存在する。
アルカリ土類金属は有利には材料帯域Bの重量に対して0.5〜5重量%の量で使用され、MeOとして計算され、ここでMeはアルカリ土類金属を表す。
ストロンチウムが使用される場合、それは材料帯域Bの重量に対して1〜3重量%の量で存在するのが特に好ましい。
しかしながら、バリウムを使用する場合、材料領域Aの重量に対し2.5〜4.5重量%の量で存在することが特に好ましい。
【0019】
本発明に係る酸化触媒の実施形態では、材料領域A及びBは、互いに独立して、担体の体積に対して25〜150g/Lの量で存在する。
【0020】
材料領域Cは、SCR活性材料、すなわちSCR触媒を含有する。
SCR触媒として、窒素酸化物とアンモニアとのSCR反応における全ての活性触媒−特に自動車の排気ガス触媒の分野における当業者に一般的に知られているもの−を原則として使用することができる。これには、混合酸化物型の触媒、及びゼオライトに基づく−特に遷移金属交換ゼオライトに基づく−触媒が含まれる。
本発明の実施形態では、8個の四面体原子の最大環サイズを有する小孔ゼオライト及び遷移金属を含有するSCR触媒が使用される。そのようなSCR触媒は、例えば、欧州特許出願公開第2117707(A1)号及び国際公開第2008/132452(A2)号に記載されている。
【0021】
更に、大孔及び中孔のゼオライトも使用することができ、その際、特にBEA構造型のものも考慮され得る。したがって、鉄BEAは特定の関心のものである。
【0022】
特に好ましいゼオライトは、BEA、AEI、CHA、KFI、ERI、LEV、MER、又はDDR構造タイプに属し、特に好ましくはコバルト、鉄、銅、又はこれらの金属の2つ若しくは3つの混合物と交換される。
【0023】
本発明の文脈内での用語「ゼオライト」は、モレキュラーシーブも含み、これは時に「ゼオライト様」化合物とも呼ばれる。モレキュラーシーブが前述の構造タイプのうちの1つに属する場合、それらは好ましい。例としては、用語SAPOで知られているシリカアルミニウムホスフェートゼオライト、及び用語AlPOで知られているリン酸アルミニウムゼオライトが挙げられる。これらも、コバルト、鉄、銅、又はこれらの金属の2つ若しくは3つの混合物と交換されるときに特に好ましい。
【0024】
好ましいゼオライト又はモレキュラーシーブも、2〜100、具体的には5〜50のSAR(シリカ対アルミナ)値を有するものである。
【0025】
ゼオライト又はモレキュラーシーブは、遷移金属を、特に金属酸化物として、すなわち例えばFe
2O
3又はCuOとして計算して1〜10重量%、特に2〜5重量%の量で含有する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態は、SCR触媒として、銅、鉄、又は銅及び鉄と交換されたベータ型(BEA)、チャバザイト型(CHA)、又はLevyne型(LEV)のゼオライト又はモレキュラーシーブを含有する。適切なゼオライト又はモレキュラーシーブは、例えば、ZSM−5、ベータ、SSZ−13、SSZ−62、Nu−3、ZK−20、LZ−132、SAPO−34、SAPO−35、AlPO−34、及びAlPO−35の名称で知られており、例えば、米国特許第6,709,644号及び米国特許第8,617,474号も参照。
【0027】
本発明によれば、担体の端面「a」から始まるか、又は端面「b」から始まる材料領域Aは、担体の長さLの70〜100%に沿って延びる。本発明に係る触媒の実施形態では、材料領域Aは、担体の長さLの80〜100%−具体的には100%−に沿って延びる。
一実施形態では、材料領域Aは、担体の端面「a」から始まり、別の実施形態では、端面「b」から始まる。
本発明に係る触媒の他の実施形態では、材料領域Bは担体の長さLの50%〜70%に沿って延びる。
【0028】
本発明に係る触媒の他の実施形態では、材料領域Cは担体の長さLの30%〜50%に沿って延びる。
【0029】
好ましい実施形態では、材料領域Aは、担体の長さLの100%を超えて延びており、担体上に直接配置されている。この場合、材料領域B及びCは材料領域A上に配置され、材料領域B及びCの長さの合計は担体の長さLに対応する。したがって、L=L
B+L
Cが適用され、式中L
Bは材料領域Bの長さであり、L
Cは材料領域Cの長さである。
【0030】
本発明に係る触媒は、コーティング懸濁物、又はいわゆるウォッシュコートによって、それ自体既知である方法で、適切な担体をコーティングすることにより製造することができる。材料領域A又はBを製造するためのコーティング懸濁液を製造するために、選択された担体酸化物を、例えば、水中に懸濁する。次いで、例えば、白金及び/又はパラジウムを、硝酸パラジウム又はヘキサヒドロキシ白金酸などの適切な水溶性前駆対化合物の形態で撹拌しながら懸濁物に添加し、適宜、pHを設定することにより、及び/又は補助試薬を添加することにより、担持材料上に固定する。
あるいは、貴金属も、欧州特許出願公開第1101528(A2)号に記載されている方法と同様にして担体材料に適用することもできる。
コーティング懸濁液の製造と同様に、材料領域Cを製造するために、適切なSCR触媒を−場合によっては結合剤の添加と共に−水中に懸濁させる。
このような方法で得られた懸濁物を、次に標準的なコーティング方法の1つにより担体にこすりつけて適用する。各コーティングステップの後に、コーティング部を熱気流中で乾燥し、適宜焼成する。
前述の前駆体化合物、補助試薬、及び結合剤は、当業者に公知である。
【0031】
具体的には、セラミック−具体的にはコーディエライト−又は金属製のいわゆるハニカム体が担体として考慮される。いわゆるフロースルーハニカム体(flow−through honeycomb bodies)が好ましく使用される。しかし、ウォールフローフィルタを担体として使用する実施形態も考えられる。
【0032】
本発明に係る触媒は、ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するのに適している。それらは、具体的には、一酸化炭素及び炭化水素を二酸化炭素及び水に酸化することができる。更に、それらは窒素酸化物によってSCR反応においてアンモニアを酸化することができ、適宜アンモニアを一時的に貯蔵することができる。同時に、下降流側の領域は一酸化窒素を二酸化窒素に酸化することができる。
【0033】
それらは排気ガス浄化システムに組み込まれるのが好ましく、それによってエンジンの近くに配置されたSCR触媒を通過した排気ガスが端面「a」で触媒に入り、端面「b」で再びそれを出る。
したがって、本発明は、また、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、及び本発明に係る触媒を含む触媒装置に関し、ここで本発明に係る触媒は、その端面「a」が第1のSCR触媒の方向を向くように配置されている。
【0034】
アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するためのデバイスは、特に、尿素水溶液を供給するためのデバイスである。そのようなデバイスは当業者に公知であり、市場で入手することができる。
【0035】
SCR活性材料でコーティングされたフロースルー基材は、具体的には第1のSCR触媒として考慮される。上記の材料領域Cの全てのSCR触媒に加えて、特に混合酸化物触媒、特にVWT触媒もSCR活性材料として考慮される。VWT触媒は、V
2O
5、WO
3、及びTiO
2に基づく触媒である。
【0036】
第1のSCR触媒は、好ましくはVWT触媒、又は銅、鉄、又は銅及び鉄で交換されたベータ型(BEA)、チャバザイト型(CHA)、又はLevyne型(LEV)のゼオライト又はモレキュラーシーブを含む。
【0037】
一実施形態では、本発明に係る触媒装置は、本発明に係る触媒の端面「b」の方向を向くように配置されたディーゼル微粒子フィルタを含む。ディーゼル微粒子フィルタは、具体的にはウォールフローフィルタである。
フロースルー基材とは対照的に、両端で開口しているチャネルは、フロースルー基材の2つの端部の間で平行に延び、ウォールフローフィルタ内のチャネルは、第1の端部又は第2の端部のいずれかで交互に気密に閉じられる。したがって、一方の端部のチャネル内に入るガスは、チャネル壁を通って他方の端部上で開いているチャネル内に入るときにのみウォールフローフィルタを出ることができる。チャネル壁は概ね多孔質であり、コーティングされていない状態では、例えば、30〜80%−具体的には50〜75%の多孔率を有する。コーティングされていない状態におけるそれらの平均孔径は、例えば5〜30ミクロンである。
一般に、ウォールフローフィルタの孔はいわゆる開放孔であり、すなわちそれらはチャネルと接続している。更に、孔は概して互いに接続している。一方では、これにより、内側孔表面の容易なコーティングが可能になり、他方では、ウォールフローフィルタの多孔質壁を通る排気ガスの容易な通過が可能になる。
【0038】
ディーゼル微粒子フィルタはコーティングされていなくてもよい。しかしながら、それは、煤の着火点を低下させ、したがって、フィルタ処理された煤粒子の燃焼を促進する触媒活性コーティングを含むことが好ましい。そのようなコーティングは、例えば、酸化アルミニウム、具体的には白金及び/又はパラジウムなどの酸化アルミニウム上に担持された白金族金属を含む。SCR触媒でコーティングされた微粒子フィルタも考えられる。この場合、尿素の水溶液に供給するためのデバイスが、ディーゼル微粒子フィルタの上流に設けられる。
【0039】
更なる実施形態では、本発明に係る触媒装置は、ディーゼル粒子フィルタに続く第2のSCR触媒を含む。
SCR触媒活性材料でコーティングされたフロースルー基板を、第2のSCR触媒として使用することもできる。上記の材料領域Cの全てのSCR触媒は、具体的には、SCR触媒活性材料として考慮される。
SCR触媒は、好ましくは、ベータ型(BEA)、チャバザイト型(CHA)、又は銅、鉄、若しくは銅及び鉄と交換されたLevyne型(LEV)を含むことが好ましい。
アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するためのデバイス−具体的には尿素の水溶液に供給するためのデバイス−も、第2のSCR触媒の上流に配置されなければならない。
【0040】
したがって、本発明に係る触媒装置の一実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第2のデバイス、及び第2のSCR触媒を備える。本発明による触媒装置の別の実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、アンモニア又はアンモニア前駆体に供給するための第2のデバイス、SCR触媒でコーティングされたディーゼル微粒子フィルタ及び第2のSCR触媒を備える。
【0041】
第2のSCR触媒における窒素酸化物の変換率を改善するために、必要量よりも約10〜20%高い量、すなわち化学量論量でアンモニアを供給することが必要であり得る。しかしながら、これは、より高い二次放出の危険性を増加させる−具体的にはアンモニアスリップの増加の結果として。アンモニアは低濃度で刺激臭を既に有し、実用車分野では法的に制限されているので、アンモニアスリップを最小限に抑えなければならない。この目的のために、通過するアンモニアを酸化するためにSCR触媒の下流で排気ガスの流れ方向に配置された、いわゆるアンモニアスリップ触媒が知られている。様々な実施形態におけるアンモニアスリップ触媒は、例えば、米国特許9第5,120,695号、欧州特許出願公開第139246(A1)号、及び欧州特許出願公開第0559021(A2)号に記載されている。
【0042】
更なる実施形態では、本発明に係る触媒装置は、したがって、第2のSCR触媒に続くアンモニアスリップ触媒を含む。
【0043】
例えば、アンモニアスリップ触媒は、SCR活性材料及び1つ以上の白金族金属、具体的には白金又は白金及びパラジウムを含む。上記の材料領域Cの全てのSCR触媒は、具体的には、SCR触媒活性材料として考慮される。
【0044】
したがって、本発明に係る触媒装置の一実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第2のデバイス、第2のSCR触媒、及びアンモニアスリップ触媒、を備える。
【0045】
本発明に係る触媒装置の別の実施形態は、順に、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第1のデバイス、第1のSCR触媒、本発明に係る触媒、アンモニア又はアンモニア前駆体を供給するための第2のデバイス、SCR触媒をコーティングしたディーゼル微粒子フィルタ、第2のSCR触媒、及びアンモニアスリップ触媒、を備える。