特許第6794556号(P6794556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794556
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】伸縮式片脚携帯用作業椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/00 20060101AFI20201119BHJP
   A47C 9/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A47C7/00 A
   A47C9/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-539992(P2019-539992)
(86)(22)【出願日】2018年1月11日
(65)【公表番号】特表2020-505147(P2020-505147A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】KR2018000532
(87)【国際公開番号】WO2018135801
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0009444
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519262124
【氏名又は名称】パク、ドングァン
【氏名又は名称原語表記】PARK, DONGGWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100140165
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】パク、ドングァン
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−055140(JP,A)
【文献】 米国特許第05927797(US,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2015−0000180(KR,U)
【文献】 特開2010−154929(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0030905(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00−74
A47C 9/00−10
A61G 5/00−14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部フレームと、
前記上部フレームの内部に重なり、上側端部に備えられるロッキングバーを含む下部フレームと、
前記下部フレームの内部に位置して前記上部フレームと前記下部フレームとを連結する、シリンダ及びピストンで構成されて圧縮反発力を有するスプリング体と、
前記上部フレームに固定されるサドルフレームと、
前記サドルフレームにヒンジで連結されるサドルと、
前記サドルフレームと前記サドルとの間に備えられるサドルスプリングと、
前記サドルに連結され、前記サドルが上げられるにつれ引かれるトリガラインと、
前記上部フレームの内部に回転可能に連結され、前記ロッキングバーを拘束及び解放できるように構成される一対のトリガアームと、
前記トリガラインと連結され、前記トリガラインからの張力を受けて移動し、前記一対のトリガアームの間に位置したとき、前記一対のトリガアームの回転を抑制するトリガスライダと、
前記トリガスライダを前記一対のトリガアームの間の位置に復元させるトリガスライダスプリングと、
人体に着用するベルトと、を有し、
座る時の身体による重力を前記スプリング体に圧縮反発力で蓄え、立ち上がる時にその蓄えられた反発力を利用して人体の負荷を減らすことを特徴とする
伸縮式片脚携帯用作業椅子。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮式片脚携帯用作業椅子であって、
身体荷重を受ける前記下部フレームの下段部に軸ベアリングが装着され、前記下部フレームを軸にして座った姿勢で回可能に構成されることを特徴とする伸縮式片脚携帯用作業椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリング体の圧縮反発力を利用した伸縮式片脚携帯用作業椅子に関し、人体に着用して使用することによって、座る時は人体の重さでスプリング体を圧縮して力を蓄え、立ち上がる時はその圧縮されている力を利用して人体を押し上げることで、人体における座ったり立ったりする動作による力の消費を減らし、重量物を繰り返して持ち上げる時にスプリング体の反発力により関節及び筋肉に加えられる負荷を軽減して長時間作業による人体損傷を減らす、伸縮式片脚携帯用作業椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
産業現場や農業現場等で座ったり立ったりする動作を繰り返して動きながら作業すべき時にうずくまる場合が多く、このような過程が繰り返されると、膝と足首、股関節等、下体骨格に損傷を受けるようになる。作業現場の特性上、普遍的に使用してきた椅子は使用しにくくて、折り畳み式椅子、転がり式椅子、厚いざぶとんなどを使用してきているが、依然として自力で立ち上がる時に下体にかかる負担を軽減することができず、特に農業現場では底の屈曲と硬い土塊などの障害物のため、既存の方法を使用するにも不便である。動力を利用した座式移動式作業車もあるが、このような種類の装備は、底面がよく整備された施設裁培農等に制限的に使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の椅子や作業台などでは解決しにくい携帯と移動の便宜性を高めて、使用することができる場所の制約を克服し、座ったり立ったりする動作と重量物を繰り返して持ち上げる運動によるユーザの力の消費と下体筋骨格系の損傷を減らすことにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明、伸縮式片脚携帯用作業椅子は、シリンダとピストンで構成され、その両終端にアイロードがあるスプリング体、スプリング体の下部アイロードと下部シャフトで連結される下部フレーム、スプリング体の上部アイロードと上部シャフトで連結される上部フレーム、上部フレームに水平方向に固定されるサドルフレーム、上部フレームトップカバーの下部に設置されて下部フレームとスプリング体の運動を制御するトリガ、及び、上部フレームに連結されて身体着用を可能にする着用ベルトで構成されて、移動が容易で且つ空間の制約をあまり受けずに、座る時の身体による重力をスプリング体に圧縮して蓄え、立ち上がる時にその蓄えられた反発力を利用して人体の負荷を減らすことを特徴とする。
【0005】
サドルは、サドルフレームに流動的に連結され、サドルとサドルフレームとの間にはコイルスプリングがあり、座ったり立ったりするための人体の先行動作によりサドルに作用する重力の変化を、機械的または圧力センサーによる電気的な信号でトリガと連動させてスプリングの作動を制御することによって、ユーザが立ち上がろうとする動作をとる時にのみ圧縮されているスプリング体を放すことで、ユーザの意志にかかわらずスプリング体が作動することを防止して安定的な使用を可能にすることを特徴とする。座っている時に二つの脚と共に三角点をなしてバランスを取って、大部分の身体荷重を受ける下部フレームの下段部に軸ベアリングが装着され、下部フレームを軸にして座った姿勢での方向転換(回転)を容易にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
座ったり立ったりする動作が多い且つ移動しながらする作業において、座る時は人体重力でスプリング体を圧縮して力を蓄え、立ち上がる時はその圧縮されている力を利用して人体を押し上げて人体の力の消費を減らし、その結果として関節及び筋肉に加えられる負荷を軽減して長時間作業による人体損傷を減らすることで、作業空間と底面の屈曲状態の影響をあまり受けなくて作業便宜性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の片脚携帯用作業椅子を着用した状態で、座ったり立ったりする時のスプリング体と下部フレームの作動を示す側面図である。
図2】本発明の片脚携帯用作業椅子の全体構造と構成品を示す側面図及び平面図である。
図3】上部フレームと下部フレーム、スプリング体の結合方法を示す分解図である。
図4】サドルとトリガの連動作用を示す構造図である。
図5】トリガの構造と三つの作動を示す詳細図である。
【発明を実施するための最善の形態】
【0008】
図1において、
【0009】
本発明の片脚携帯用作業椅子のサドルSを自転車に乗るように股ぐら間に入れて、ベルトBで腰に着用した状態を示し、立っている時は、全ての機能が停止しており、本体の下部終端が地面から浮いている。上下部フレームは外部及び内部フレームに区分されてテレスコープ状になっている。座る時は本体の下部終端が地面上の任意の一点に固定され、スプリング体ASは人体荷重により圧縮されてエネルギを蓄える。下部フレームF2は、決められた作動距離ほど上部に上がり、下部フレームの上部に位置したロッキングバーLBがトリガTに嵌合されて固定される。立ち上がるための先行動作としてトリガがロッキングバーLBを放すと、スプリング体は、蓄えられた反発力で上部フレームF1とサドルSを介して人体を押し上げるようになるため、ユーザの力を減らすようになる人体エネルギ再使用形態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2において、
【0011】
片脚携帯用作業椅子の全体構造と構成品を示す。スプリング体ASは、下部フレームF2の内部に位置し、スプリング体の上部アイロードAS4は上部アイロード軸AS3を介して上部フレームF1に、スプリング体の下部アイロードAS6は下部アイロード軸AS5を介して下部フレームF2に、流動的に連結され、下部フレームF2は上部フレームF1の内部で、スプリング体の作動によってスプリング体と同じ方向、同じ距離に動く。即ち、スプリング体のストロークST1と下部フレームのストロークST2は、同じである。上部フレームF1トップカバーF1-1の下部に装着されたトリガフレームT14内にはトリガアームローラT13とトリガアームT10、トリガスライダT8がある。トリガアームT10は、トリガアームローラT13を経て上がる下部フレームロッキングバーLBを拘束したり、解放したりしてスプリング体と下部フレームの作動を制御する。トリガの制御は、図4図5で追加説明する。下部フレームF2の下段には軸ベアリングTBが装着され、フレームに荷重がかかった状態での回転を自由にすることで、ユーザが座った状態での左右回転を容易にする。
【0012】
図3において、
【0013】
上部フレームと下部フレームは、スプリング体ASを介してのみ流動的に連結される。上部フレームは、外部フレームであって、下部フレーム(内部フレーム)のガイドの役割もするようになり、下部フレームには下部フレームのストロークST2を超過する長さのスロット(F2-1)があって、下部フレーム(内部フレーム)の動きに上部フレームの中心を貫通して固定されている上部アイロード軸AS3が妨害されないようにする。
【0014】
図4において、
【0015】
サドルS1とトリガTの連動によるトリガの制御を示す。
【0016】
サドルスプリングS4の圧縮力がトリガスライダスプリングT7の圧縮力より大きくなっている。立ち上がった状態で片脚携帯用作業椅子を着用した時、サドルS1は、サドルスプリングS4によりヒンジS2を軸にして浮いており、サドルS1の下部に連結されたトリガラインT2を引いた状態になって、トリガラインプーリT3、T4とトリガスライダ軸T6を介してトリガスライダT8を持ち上げた状態に維持される。座る動作でサドルに荷重がかかり始めると、サドルは、サドルスプリングS4の反発力に勝ってヒンジS2を軸にして下り、引いているトリガラインを放す。サドルスプリングの力で持ち上げられたトリガスライダT8は、トリガアームT10内に下りて、同時にサドルにかかる荷重はユーザの体重により増加され、この荷重は、スプリング体の反発力に勝って下部フレームF2を上部に押し上げる。完全に座った姿勢になると、スプリング体は、決められた最大反発力を維持したまま止め、下部フレームの上部のロッキングバーLBは、一対のトリガアームローラT13を通過してトリガアームを内側に開いて上部に上がり、トリガアームスプリングT9の張力によりトリガアームは再び閉まる。トリガアームT10は、トリガスライダT8が下りた状態では開かないため、ユーザが座っている間は、下部フレームがロッキングバーを介して固定された状態を維持する。
【0017】
人体が座っている状態で立ち上がろうとすると、その先行動作として上体の中心を前方に移動すると同時にお尻を裏側から上げるようになる。このような先行動作は、サドルにかかる荷重を前方に移すと同時に大きさを減らす。減る荷重がサドルスプリングの反発力より小さくなると、サドルはヒンジを軸にして上がるようになる。
【0018】
立ち上がるための先行動作によりサドルS1が上がり、トリガラインT2を引いてトリガスライダT8を持ち上げると、ロッキングバーLBは、トリガアームローラT13を通過してトリガアームを外側に開いて下りる。立ち上がる動作が続き、スプリング体は、反発力で上部フレームF1を完全に押し上げる。サドルをサドル固定ピンS8でサドル固定プラグS6とサドル固定ソケットS7を締めることで、スプリング体と下部フレームの作動を停止させることができる。
【0019】
サドルS1とサドルフレームS3との間に圧力センサーを設置し、この圧力センサーにより制御されるソレノイドでトリガスライドT8を制御すると、サドルスプリングとトリガラインによる機械的制御を電気電子的な制御に取り替えることができる。
【0020】
図5において、
【0021】
トリガTの詳細構造とロッキングバーLBのイン(in)アウト(out)によるトリガアームT10の作動状態を示す。(a)はトリガフレームT14を正面から見た外部面であり、(b)はトリガ正面内部断面であり、ローラが装着された一対のトリガアームT10がトリガアームピンT12で締められており、トリガスライダT8がトリガスライダ軸T6により上部フレームトップカバーに装着されており、トリガスライドは、トリガアームが外側に開くことを抑制することで、ロッキングバーLBをトリガアームT10の内部につかんでいる。(c)はトリガの側面断面であって、上部フレームがロッキングバーLBを介してトリガにロッキングされた状態を示す。(d)、(e)、(f)は、ロッキングバーLBとトリガスライダT8の動きと連動して作動するトリガアームT10の動作を示す。(d)はロッキングバーLBの進入による内側に開き、(e)はトリガスライダT8によるロッキング、(f)はトリガスライダT8のスライドアウトによるロッキングバーLBの離脱を示す。
【産業上利用可能性】
【0022】
座ったり立ったりする動作が多い現場作業者が着用して人体の力消費を減らすのに有用であるため、産業上利用可能性が十分である。
【0023】
(付記)
(付記1)
シリンダ及びピストンで構成されて圧縮反発力を有するスプリング体と、前記スプリング体の上下部に連結される伸縮式の上部フレーム及び下部フレームと、前記上部フレームに固定されるサドルと、人体に着用するベルトと、で構成されて、座る時の身体による重力を前記スプリング体に圧縮反発力で蓄え、立ち上がる時にその蓄えられた反発力を利用して人体の負荷を減らすことを特徴として、人体エネルギを再活用する伸縮式片脚携帯用作業椅子。
(付記2)
付記1に記載の伸縮式片脚携帯用作業椅子であって、
身体荷重を受ける前記下部フレームの下段部に軸ベアリングが装着され、前記下部フレームを軸にして座った姿勢での回転を容易にすることを特徴とする伸縮式片脚携帯用作業椅子。
(付記3)
人体が座った状態で立ち上がろうとする時の先行動作による圧力の変化を検知してトリガ(T)に伝達して制御することによって、立ち上がろうとする動作をとる時にのみスプリング体の反発力が作動できるようにした、前記トリガにより反発力が制御されることを特徴とする伸縮式片脚携帯用作業椅子。
(付記4)
付記3に記載の伸縮式片脚携帯用作業椅子において、
サドル(S1)、サドルスプリング(S4)、トリガライン(T2)、トリガスライド(T8)、及び、トリガアーム(T10)が相互連動されて制御されるトリガ装着を有し、この装着において、人体の先行動作による荷重の変化を機械的または圧力センサーによる電気的制御信号として利用する方式であることを特徴とする方式。
図1
図2
図3
図4
図5