(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6794564
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】請求書管理装置、請求書管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/04 20120101AFI20201119BHJP
G06Q 40/00 20120101ALI20201119BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q40/00 400
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-70554(P2020-70554)
(22)【出願日】2020年4月9日
【審査請求日】2020年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
【審査官】
松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−151698(JP,A)
【文献】
特開2019−053528(JP,A)
【文献】
特開2020−021458(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0095200(US,A1)
【文献】
龍 真一郎,法令改正等に伴う証憑の電子データ保存,月刊IM,日本,公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA),2019年 2月25日,第3号,pp.14-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置から、前記複数の登録事業者名を取得する情報取得部と、
請求書が読み取られた請求書画像データに基づいて、前記請求書に含まれている複数の文字列を特定する文字列特定部と、
前記複数の文字列に基づいて、前記請求書の発行事業者名を特定する事業者特定部と、
前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力する出力部と、
を有する請求書管理装置。
【請求項2】
前記出力部は、複数の前記請求書を識別するための複数の請求書識別情報を一覧表示する画面において、前記複数の請求書のそれぞれに前記登録番号が含まれているか否かによって異なる態様の画像を前記複数の請求書識別情報に関連付けて表示する、
請求項1に記載の請求書管理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記複数の請求書に含まれる前記複数の発行事業者名のうち、前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない前記請求書を発行した一以上の発行事業者を示す一以上の前記発行事業者名を絞り込んで出力する、
請求項1又は2に記載の請求書管理装置。
【請求項4】
前記事業者特定部は、前記複数の文字列のうち、前記請求書の発行元の連絡先を示す連絡先文字列を特定し、
前記出力部は、前記複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていないと判定した場合に、前記事業者特定部が特定した前記連絡先文字列が示す連絡先に宛てて、前記登録番号が含まれていないことを示す通知を前記警告情報として送信する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の請求書管理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記警告情報を送信した手段を示す履歴を記憶部に記憶させ、前記履歴を参照することにより、過去に前記警告情報を送信した手段と異なる手段を用いて前記警告情報を送信する、
請求項4に記載の請求書管理装置。
【請求項6】
前記出力部は、過去に前記警告情報を送信したにもかかわらず、前記登録番号が含まれていない請求書を適格請求書登録事業者から再び受領したと判定した場合に、過去に前記警告情報を送信していない事業者からの請求書と異なる態様で、前記登録番号が含まれていない請求書を表示部に表示する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の請求書管理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置から、前記複数の登録事業者名を取得するステップと、
請求書が読み取られた請求書画像データに基づいて、前記請求書に含まれている複数の文字列を特定するステップと、
前記複数の文字列に基づいて、前記請求書の発行事業者名を特定するステップと、
前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力するステップと、
を有する請求書管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置から、前記複数の登録事業者名を取得する情報取得部、
請求書が読み取られた請求書画像データに基づいて、前記請求書に含まれている複数の文字列を特定する文字列特定部、
前記複数の文字列に基づいて、前記請求書の発行事業者名を特定する事業者特定部、及び
前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求書管理装置、請求書管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本では、所定の条件を満たす場合に消費税の仕入税額控除を可能とするインボイス制度の導入が予定されている。インボイス制度の開始後は、適格請求書登録事業者が発行した請求書でなければ、仕入税額控除を受けることができなくなる場合がある(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】国税庁,“適格請求書等保存方式の導入について”,[online],[令和2年2月18日検索],インターネット<URL:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_5.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適格請求書登録事業者が請求書に登録番号を記載しないまま請求先事業者に請求書を送ってしまうと、請求先事業者は、受け取った請求書に基づいて仕入税額控除を受けることができない。ところが、請求書を受け取った請求先事業者が適格請求書登録事業者であるかどうかを請求先事業者が把握していないと、請求先事業者は、請求書に登録番号が記載されていないことが適切であるのか否かを判断することが困難であるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、登録番号が記載されていない請求書を受け取った事業者が、受け取った請求書が適切に作成されているか否かを容易に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の請求書管理装置は、適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置から、前記複数の登録事業者名を取得する情報取得部と、請求書が読み取られた請求書画像データに基づいて、前記請求書に含まれている複数の文字列を特定する文字列特定部と、前記複数の文字列に基づいて、前記請求書の発行事業者名を特定する事業者特定部と、前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記出力部は、複数の前記請求書を識別するための複数の請求書識別情報を一覧表示する画面において、前記複数の請求書のそれぞれに前記登録番号が含まれているか否かによって異なる態様の画像を前記複数の請求書識別情報に関連付けて表示してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記複数の請求書に含まれる前記複数の発行事業者名のうち、前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない前記請求書を発行した一以上の発行事業者を示す一以上の前記発行事業者名を絞り込んで出力してもよい。
【0009】
前記事業者特定部は、前記複数の文字列のうち、前記請求書の発行元の連絡先を示す連絡先文字列を特定し、前記出力部は、前記複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていないと判定した場合に、前記事業者特定部が特定した前記連絡先文字列が示す連絡先に宛てて、前記登録番号が含まれていないことを示す通知を前記警告情報として送信してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記警告情報を送信した手段を示す履歴を記憶部に記憶させ、前記履歴を参照することにより、過去に前記警告情報を送信した手段と異なる手段を用いて前記警告情報を送信してもよい。
【0011】
前記出力部は、過去に前記警告情報を送信したにもかかわらず、前記登録番号が含まれていない請求書を適格請求書登録事業者から再び受領したと判定した場合に、過去に前記警告情報を送信していない事業者からの請求書と異なる態様で、前記登録番号が含まれていない請求書を表示部に表示してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様の請求書管理方法は、コンピュータが実行する、適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置から、前記複数の登録事業者名を取得するステップと、請求書が読み取られた請求書画像データに基づいて、前記請求書に含まれている複数の文字列を特定するステップと、前記複数の文字列に基づいて、前記請求書の発行事業者名を特定するステップと、前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータを、適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置から、前記複数の登録事業者名を取得する情報取得部、請求書が読み取られた請求書画像データに基づいて、前記請求書に含まれている複数の文字列を特定する文字列特定部、前記複数の文字列に基づいて、前記請求書の発行事業者名を特定する事業者特定部、及び前記発行事業者名が前記複数の登録事業者名に含まれており、かつ前記複数の文字列に前記適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、登録番号が記載されていない請求書を受け取った事業者が、受け取った請求書が適切に作成されているか否かを容易に確認できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】請求書管理装置1の概要を説明するための図である。
【
図2】適格請求書登録事業者が発行する請求書の一例である。
【
図4】出力部155が表示部13に表示する画面の一例である。
【
図5】請求書管理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[請求書管理装置1の概要]
図1は、請求書管理装置1の概要を説明するための図である。請求書管理装置1は、読取装置2(例えばスキャナ又はデジタルカメラ)が請求書を読み取ることによって生成された請求書画像データを取得し、請求書画像データに含まれる文字列を解析した結果を用いて請求書を管理するための装置であり、例えばコンピュータである。
【0017】
請求書管理装置1は、適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置3から、登録事業者名を示す登録事業者データを取得し、取得した登録事業者データを参照することにより、請求書画像データに対応する請求書を発行した事業者が適格請求書登録事業者であるか否かを判定する。外部装置3は、例えば国税庁が管理しているサーバである。
【0018】
請求書管理装置1は、請求書を発行した事業者が適格請求書登録事業者であるにもかかわらず請求書に適格請求書登録事業者の登録番号が記載されていない場合に、警告情報を出力する。請求書管理装置1は、例えば請求書を一覧表示する画面において、適格請求書登録事業者によって発行されたにもかかわらず登録番号が記載されていない請求書に対応する情報を、他の請求書の情報と識別できるようにして警告するための情報をディスプレイに表示したり印刷したりする。請求書管理装置1は、登録番号が記載されていない請求書を発行した適格請求書登録事業者に対して警告情報を送信してもよい。
【0019】
図2は、適格請求書登録事業者が発行する請求書の一例である。請求書内の領域R1には、請求書を発行した事業者の名称及び連絡先が含まれている。請求書内の領域R2には、適格請求書登録事業者の登録番号が含まれている。
【0020】
[請求書管理装置1の構成]
図3は、請求書管理装置1の構成を示す図である。請求書管理装置1は、第1通信部11と、第2通信部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。制御部15は、情報取得部151と、文字列特定部152と、事業者特定部153と、判定部154と、出力部155と、を有する。
【0021】
第1通信部11は、ネットワーク(例えばイントラネット又はインターネット)に接続するための通信インターフェースであり、外部装置3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。第1通信部11は、適格請求書登録事業者として登録された登録事業者名を示す登録事業者名データを受信し、受信した登録事業者名データを情報取得部151に通知する。
【0022】
第2通信部12は、電話網に接続するための通信インターフェースである。第2通信部12は、出力部155からの指示に基づいて、請求書を発行した事業者に警告情報を含む音声メッセージ又はFAXのメッセージを送信する。第2通信部12は、第1通信部11と同様にネットワークに接続するための通信インターフェースを有しており、請求書を発行した事業者に電子メール送信してもよい。
【0023】
表示部13は、情報を表示するディスプレイである。表示部13は、出力部155の指示に基づいて、請求書画像データを一覧表示したり警告情報を表示したりする。
【0024】
記憶部14は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部14は、読取装置2から取得された請求書画像データを記憶する。また、記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶する。
【0025】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部151、文字列特定部152、業者特定部153、判定部154及び出力部155として機能する。
【0026】
情報取得部151は、第1通信部11を介して、適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置3から、複数の登録事業者名を取得する。情報取得部151は、例えば、外部装置3に対して定期的(例えば1日ごと)に登録事業者名を要求するメッセージを送信することにより、登録事業者名を示す登録事業者名データを取得する。情報取得部151は、取得した登録事業者名データを判定部154に通知する。
【0027】
文字列特定部152は、読取装置2によって生成された請求書画像データを取得し、取得した請求書画像データに基づいて、請求書に含まれている複数の文字列を特定する。文字列特定部152は、例えばOCR処理を実行することにより、請求書画像データに基づいて、請求書に含まれている文字列を特定する。文字列特定部152は、特定した文字列を事業者特定部153に通知する。
【0028】
文字列特定部152は、文字列の位置を特定し、特定した文字列と当該文字列の位置とを関連付けて事業者特定部153に通知してもよい。文字列の位置は、例えば請求書の左上を原点とする位置である。
【0029】
事業者特定部153は、文字列特定部152から通知された複数の文字列に基づいて、請求書の発行事業者名を特定する。事業者特定部153は、例えば複数の文字列のうち、会社名に付される確率が高い文字列(例えば株式会社又は有限会社)に結合された文字列を発行事業者名として特定する。事業者特定部153は、特定した発行事業者名を判定部154に通知する。
【0030】
事業者特定部153は、文字列特定部152から通知された文字列の位置にさらに基づいて発行事業者名を特定してもよい。事業者特定部153は、例えば、会社名に付される確率が高い文字列に結合された文字列が、請求書の上から3分の1の範囲に含まれていることを条件として、当該文字列を発行事業者名として特定してもよい。
【0031】
また、事業者特定部153は、複数の文字列のうち、請求書の発行元の連絡先を示す連絡先文字列を特定してもよい。文字列特定部152は、発行事業者名の下方の所定の範囲内に書かれている電話番号に相当する桁数の数字、又は電話若しくはFAXを示す文字列に基づいて電話番号若しくはFAX番号を特定する。文字列特定部152は、アットマーク(@)を含む文字列をメールアドレスとして特定してもよい。文字列特定部152は、特定した連絡先文字列を出力部155に通知する。
【0032】
判定部154は、請求書に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれているか否か、及び請求書が適格請求書登録事業者によって発行された請求書であるか否かを判定する。具体的には、判定部154は、文字列特定部152から通知された複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれているか否かを判定する。判定部154は、例えば、文字列特定部152から通知された複数の文字列の中に、適格請求書登録事業者を示す登録番号として規定された桁数の数字が含まれているか否かを判定することにより、登録番号が含まれているか否かを判定する。
【0033】
また、判定部154は、事業者特定部153から通知された発行事業者名が、情報取得部151から通知された登録事業者名データに含まれているか否かを判定する。判定部154は、請求書に登録番号が含まれておらず、かつ事業者特定部153から通知された発行事業者名が、情報取得部151から通知された登録事業者名データに含まれているにもかかわらず、請求書に登録番号が記載されていない場合、請求書に問題があると判定し、警告情報を出力するように出力部155に指示する。
【0034】
出力部155は、判定部154の判定結果に基づいて警告情報を出力する。具体的には、出力部155は、発行事業者名が、登録事業者名データが示す複数の登録事業者名に含まれており、かつ請求書内の複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力する。出力部155は、例えば、複数の請求書を識別するための複数の請求書識別情報を一覧表示する表示部13の画面において、複数の請求書のそれぞれに登録番号が含まれているか否かによって異なる態様の画像を複数の請求書識別情報に関連付けて表示する。
【0035】
図4は、出力部155が表示部13に表示する画面の一例である。
図4に示す画面においては、請求書番号、発行事業者名、請求額、登録事業者、及び登録番号が関連付けて表示されている。登録事業者欄には、情報取得部151が取得した登録事業者名データに基づいて、請求書を発行した事業者が適格請求書登録事業者である場合に〇、適格請求書登録事業者でない場合に×が表示されている。
【0036】
請求書A及び請求書Dについては、請求書を発行した事業者が適格請求書登録事業者であり、かつ登録番号が請求書に記載されているので、出力部155は警告情報を出力していない。請求書Bについては、請求書を発行した事業者が適格請求書登録事業者でないので、登録番号が請求書に記載されていないながらも、出力部155は警告情報を出力していない。
【0037】
一方、請求書C及び請求書Eについては、請求書を発行した事業者が適格請求書登録事業者であるにもかかわらず、登録番号が請求書に記載されていない。したがって、出力部155は、登録番号の欄に、他の請求書と異なる色の警告情報(斜線で示す情報)を出力している。出力部155がこのような態様で請求書一覧を表示することで、請求書を確認する職員が、適格請求書登録事業者に請求書の再発行を求めるための連絡をすることが可能になる。
【0038】
また、出力部155は、複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていないと判定した場合に、事業者特定部153が特定した連絡先文字列が示す連絡先に宛てて、登録番号が含まれていないことを示す通知を警告情報として送信してもよい。出力部155は、例えば事業者特定部153が特定したFAX番号又はメールアドレス宛に、請求書に適格請求書登録事業者の登録番号がないことが記載された書面を送ったり、事業者特定部153が特定した電話番号宛てに、登録番号がないことを示す音声メッセージを送ったりする。
【0039】
出力部155は、電話番号、FAX番号及びメールアドレスのうち、文字列特定部152が認識した文字の正解率が高い宛先から優先的に警告情報を送信してもよい。出力部155は、例えば、電話番号とFAX番号の一部と社印とが重なっていることにより電話番号とFAX番号の認識精度がメールアドレスの認識精度よりも低いと判定した場合、メールアドレス宛に警告情報を含むメールを送信する。そして、出力部155は、所定の期間が経過した後にメールへの返信がない場合にFAXで警告情報を送信する。出力部155がこのように動作することで、警告情報が請求書を発行した事業者に届く確率が向上する。
【0040】
出力部155は、警告情報を送信した手段を示す履歴を記憶部14に記憶させ、記憶された履歴を参照することにより、過去に警告情報を送信した手段と異なる手段を用いて警告情報を送信してもよい。出力部155は、例えば1ヶ月前の請求書に対してFAXで警告情報を送信したにもかかわらず、再び登録番号が含まれていない請求書を適格請求書登録事業者から受領した場合、過去に警告情報を送信した手段と異なる手段(例えばメール)で警告情報を送信する。出力部155がこのように動作することで、請求書を発行した事業者において使用していない連絡手段があるとしても、他の手段を介して、登録番号を記入していないことを当該事業者が認識できる。
【0041】
出力部155は、過去に警告情報を送信したにもかかわらず、登録番号が含まれていない請求書を第1適格請求書登録事業者から再び受領したと判定した場合に、
図4に示した請求書一覧において、登録番号が含まれていない請求書を発行しており、かつ過去に警告情報を送信していない第2適格請求書登録事業者からの請求書と異なる態様で、第1適格請求書登録事業者が発行した請求書を表示してもよい。出力部155がこのように動作することで、請求書の管理担当者が、直接連絡をするべき適格請求書登録事業者を把握しやすくなる。
【0042】
出力部155は、複数の請求書に含まれる複数の発行事業者名のうち、発行事業者名が複数の登録事業者名に含まれており、かつ複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない請求書を発行した一以上の発行事業者を示す一以上の発行事業者名を絞り込んで出力してもよい。出力部155は、例えば、操作部(不図示)を介して絞り込み指示を受けた場合に、警告情報を送信する対象となる発行事業者名を一覧表にして出力する。出力部155は、絞り込んだ一以上の発行事業者に対して警告情報を一斉送信してもよい。出力部155がこのように警告情報を発するべき発行事業者を絞り込んで出力することで、請求書を受け取った事業者が、どの発行事業者に問題があるかを容易に把握することができる。
【0043】
[請求書管理装置1の処理の流れ]
図5は、請求書管理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、文字列特定部152が請求書画像データを取得した時点から開始している。
【0044】
文字列特定部152は、請求書画像データに基づいて、請求書に含まれている文字列を特定する(S11)。事業者特定部153は、文字列特定部152が特定した文字列に基づいて、請求書を発行した事業者名を特定する(S12)。
【0045】
続いて、判定部154は、文字列特定部152が特定した文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれているか否かを判定する(S13)。出力部155は、文字列特定部152が特定した文字列に登録番号が含まれていると判定部154が判定した場合(S13においてYES)、警告情報を出力することなく処理を終了する。
【0046】
一方、出力部155は、文字列特定部152が特定した文字列に登録番号が含まれていないと判定部154が判定した場合(S13においてNO)、事業者特定部153が特定した事業者が、情報取得部151が取得した登録事業者データに含まれているか否かを判定する(S14)。出力部155は、事業者特定部153が特定した事業者が、情報取得部151が取得した登録事業者データに含まれていないと判定した場合(S14においてNO)、警告情報を出力することなく処理を終了する。出力部155は、事業者特定部153が特定した事業者が、情報取得部151が取得した登録事業者データに含まれていると判定した場合(S14においてYES)、第1警告情報を表示部13に表示させる(S15)。
【0047】
続いて、出力部155は、請求書を発行した事業者の連絡先を事業者特定部153が特定したか否かを判定する(S16)。出力部155は、事業者特定部153が連絡先を特定している場合(S16においてYES)、特定された連絡先に第2警告情報を送信する(S17)。出力部155は、事業者特定部153が連絡先を特定していない場合(S16においてNO)、特定された連絡先に第2警告情報を送信することなく処理を終了する。
【0048】
なお、
図5においては、文字列特定部152が特定した文字列に登録番号が含まれているか否かを判定部154が判定した後に、事業者特定部153が特定した事業者が、情報取得部151が取得した登録事業者データに含まれているか否かを出力部155が判定しているが、処理の順序は
図5に示した順序に限らない。例えば、情報取得部151が取得した登録事業者データに含まれていると出力部155が判定した場合に、文字列特定部152が特定した文字列に登録番号が含まれているか否かを判定部154が判定してもよい。
【0049】
また、
図5においては、文字列特定部152が特定した文字列に登録番号が含まれている場合に、出力部155が警告情報を出力しなかったが、出力部155は、文字列特定部152が特定した文字列に登録番号が含まれているにもかかわらず、請求書を発行した事業者が適格請求書登録事業者でない場合にも警告情報を出力してもよい。この場合、出力部155は、登録番号が含まれていない場合に出力する警告情報と異なる種類の警告情報を出力してもよい。
【0050】
[請求書管理装置1による効果]
以上説明したように、請求書管理装置1は、文字列特定部152が請求書に置いて特定した複数の文字列に基づいて、請求書の発行事業者名を特定する事業者特定部153と、発行事業者名が複数の登録事業者名に含まれており、かつ複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力する出力部155と、を有する。請求書管理装置1がこのような構成を有することで、請求書を受け取った事業者は、登録番号が含まれていない請求書を容易に把握して適切な対応をすることができる。
【0051】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0052】
1 請求書管理装置
2 読取装置
3 外部装置
11 第1通信部
12 第2通信部
13 表示部
14 記憶部
15 制御部
151 情報取得部
152 文字列特定部
153 事業者特定部
154 判定部
155 出力部
【要約】 (修正有)
【課題】登録番号が記載されていない請求書を受け取った事業者が、受け取った請求書が適切に作成されているか否かを容易に確認できる請求書管理装置、請求書管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】請求書管理装置1において、制御部15は、適格請求書登録事業者を示す複数の登録事業者名を記憶する外部装置3から、複数の登録事業者名を取得する情報取得部151と、請求書が読み取られた請求書画像データに基づいて、請求書に含まれている複数の文字列を特定する文字列特定部152と、複数の文字列に基づいて、請求書の発行事業者名を特定する事業者特定部153と、発行事業者名が複数の登録事業者名に含まれており、かつ複数の文字列に適格請求書登録事業者を示す登録番号が含まれていない場合に、警告情報を出力する出力部155と、を有する。
【選択図】
図3