(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ユーザの生理学的信号を取得する、皮膚コンダクタンスセンサ以外の少なくとも1つの生理学的パラメータセンサを更に有し、前記処理ユニットが、前記生理学的信号に基づき前記汗レベル測定値を決定する、請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
前記処理ユニットが、前記汗レベル測定値に基づき前記ウェアラブルデバイスの前記下側を換気する時間を決定し、更に生理学的パラメータの連続測定が必要でないときを考慮する、請求項1乃至4のいずれかに記載のウェアラブルデバイス。
出力ユニットを更に有し、前記ウェアラブルデバイスが、前記出力ユニットを介して前記ウェアラブルデバイスの前記下側を換気する前記時間に関する通知を提供する、請求項1乃至5のいずれかに記載のウェアラブルデバイス。
前記ウェアラブルデバイスが、前記ウェアラブルデバイスの前記下側の少なくとも一部と前記ユーザの皮膚との間に間隔が提供される換気状態と、前記ウェアラブルデバイスの下側の前記一部が前記ユーザの皮膚に接触する接触状態とを採用し、
前記ウェアラブルデバイスは、前記ユーザの生理学的信号を取得する生理学的パラメータセンサを更に有し、
前記ウェアラブルデバイスが、前記換気状態において、前記生理学的パラメータセンサの前記接触状態とは異なるセンサ又は異なる測定モードに切り替える、請求項1乃至7のいずれかに記載のウェアラブルデバイス。
前記ウェアラブルデバイスが、前記ウェアラブルデバイスの前記下側の少なくとも一部と前記ユーザの皮膚との間に間隔が提供される換気状態と、前記ウェアラブルデバイスの下側の前記一部が前記ユーザの皮膚に接触する接触状態とを採用し、前記ウェアラブルデバイスは、前記ウェアラブルデバイスと前記ユーザの皮膚との間に前記間隔を提供する間隔要素を更に有し、前記間隔要素が、第1の換気状態と第2の接触状態との間で変位可能であり、前記間隔要素は、着用されるとき、前記下側と前記ユーザの皮膚との間に配置され、前記第1の換気状態では、前記間隔要素が前記ウェアラブルデバイスの下側から少なくとも部分的に離れており、前記第2の接触状態では、前記間隔要素は前記ウェアラブルデバイスの下側に位置している、請求項1乃至8のいずれかに記載のウェアラブルデバイス。
前記ユーザの生理学的信号を取得する生理学的パラメータセンサを更に有し、前記生理学的パラメータセンサが、光学的生理学的パラメータセンサであり、前記間隔要素は、前記光学的生理学的パラメータセンサにより使用される波長で透過的である、請求項9又は10に記載のウェアラブルデバイス。
実行されるときコンピュータに、ユーザに固定されたウェアラブルデバイスの下側と前記ユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示し、経時的な汗への暴露を示す汗レベル測定値を決定するステップと、前記汗レベル測定値に基づき、前記ウェアラブルデバイスの前記下側を換気する時間を決定するステップとを実行させるプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、デバイスは非常にしっかりと固定されることが望ましい。PPGベースの心拍数モニタの会社がウェアラブルデバイスを腕の周りにかなりきつく締めるよう顧客に勧める理由の1つは、圧力が高くなると、動脈血の脈拍の血液量の変動が(静脈及び細静脈などにおける)他の血液量変動に対して強くなり、これによりS/N比が増加するためである。デバイスを非常にきつく締めるよう顧客に勧めるもう1つの理由は、時計の下に外光が入り、信号と干渉することを回避するためである。
【0007】
出願人の以前の出願であるWO2016/097271A2号は、接触圧力がフォトプレチスモグラフィ及びパルスオキシメトリ信号の振幅に大きく影響することを示す。生理学的パラメータセンサと、生理学的パラメータセンサと対象との間の接触圧力を調整するためのアクチュエータとを含む装置が提供される。接触圧は、センサと対象の皮膚との接触を維持しながら信号品質を改善するために調整される。
【0008】
US2016/0058388A1号は、生体信号測定方法及び装置を開示する。生体信号測定方法は、測定された生体信号が範囲内にあるか否かを検証し、検証結果に基づき、測定された生体信号が範囲から外れるとき生体信号測定装置の動作を制御する。
【0009】
WO2017/050784A1号は、ユーザの生理学的パラメータを測定するためのストラップベースのウェアラブルデバイスを開示する。センサ構成は、ユーザの生理学的パラメータに関する情報を伝達するために使用される。ストラップ構成の締め具合は、センサ信号の品質に応じて自動的に制御される。
【0010】
US2016/0143584A1号は、ケースユニットを生体に固定するバンドを含む生体情報測定装置を開示する。バンドは、生体に面する側に凹溝部を具備する。溝部の深さは1020μm以上1140μm以下である。
【0011】
本発明の目的は、改善された着用快適性を可能にし、特に皮膚刺激の低減を支援するウェアラブルデバイスを提供することである。更に、精度及び/又は信頼性が改善された測定を可能にするウェアラブルデバイスを提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様では、ユーザにより着用されるよう構成されたウェアラブルデバイスが提示される。ウェアラブルデバイスは、
ウェアラブルデバイスをユーザに固定する固定要素と、
着用されるときユーザの皮膚に接触する下側と、
ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値を決定し、上記汗レベル測定値に基づき、上記ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間における量を決定するよう構成された処理ユニットとを有する。オプションで、汗レベル測定値は更に、経時的な汗への(蓄積された)暴露を示すこともできる。
【0013】
本発明の更なる態様では、ウェアラブルデバイス及び処理ユニットを含むシステムが提示される。ウェアラブルデバイスは、ユーザにより着用されるよう構成され、ウェアラブルデバイスをユーザに固定する固定要素と、着用されるときユーザの皮膚に接触する下側とを有する。処理ユニットは、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値を決定するよう構成される。汗レベル測定値は更に、経時的な汗への暴露を示すことができる。処理ユニットは、上記汗レベル測定値に基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気するための時間を決定するよう構成される。
【0014】
本発明の更に別の態様では、ウェアラブルデバイスを作動させる方法が提示される。ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスをユーザに固定する固定要素と、着用されるときユーザの皮膚に接触する下側とを含む。この方法は、
ウェアラブルデバイスをユーザに固定するステップと、
処理ユニットにより、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値を決定するステップと、
上記汗レベル測定値に基づき、上記ウェアラブルデバイスの上記下側を換気するための時間を処理ユニットにより決定するステップとを有する。オプションで、汗レベル測定値は、経時的な汗への暴露を示すこともできる。
【0015】
本発明の更に別の態様では、コンピュータ上で実行されるとき、コンピュータに、ユーザに固定されたウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値を決定するステップと、上記汗レベル測定値に基づき、上記ウェアラブルデバイスの下側を換気する時間を決定するステップとを実行させるプログラムコード手段を含む対応するコンピュータプログラム、及びプロセッサにより実行されるとき、本書で開示される上記方法ステップを実行させるコンピュータプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読記録媒体とが提供される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に規定される。請求に記載のシステム、方法、コンピュータプログラム及び媒体は、特に従属請求項で規定され、本書で開示される、請求項に記載されたウェアラブルデバイスと同様及び/又は同一の好ましい実施形態を有することができることを理解されたい。
【0017】
本発明は、ウェアラブルデバイス、より正確には、ユーザの皮膚と接触するその下側を適切な時間に換気するという考えに基づかれる。上記で説明したように、信頼性の高い測定値を取得するため、腕時計又はブレスレットなどのウェアラブルデバイスのセンサは、ユーザの皮膚と適切に接触する必要がある。従って、デバイスは非常にしっかりと固定されることが望ましい。更に、特に環境光に対処するための適切なメカニズムのない光ベースの測定を使用するセンサの場合、センサ周辺の筐体又はケースも遮光される必要がある。即ち、外光からのノイズを避けるため、対象の皮膚に遮光シールが提供される。デバイスが皮膚に継続的に接触するため、汗は逃げることができず、デバイスと皮膚との間に蓄積され、これは、着用時の不快感と皮膚刺激とを引き起こす場合がある。
【0018】
特に中程度の汗の蓄積がある場合、又はユーザが気を散らしている、若しくは眠っている場合、ユーザは汗の蓄積を認識しない場合がある。それにもかかわらず、特に長時間にわたって蓄積された汗にさらされると、十分な量の汗が蓄積し、皮膚刺激を引き起こす可能性がある。日中は多くの動き及び活動があり、その結果、デバイスの動き、即ち異なる皮膚部分への不随意の再配置により、汗は自然には蓄積しない。夜、ユーザが寝ているとき、又はユーザが座りがちな活動に従事しているとき、ウェアラブルデバイスはかなり静的な状態のままになる場合がある。その場合、汗が蓄積し、これは、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に好ましくない微気候をもたらす場合がある。
【0019】
従って、本書で提案される解決策は、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値を決定するよう構成された処理ユニットを提供することによりユーザをサポートする。特に、汗レベルの測定値は、時間の経過に伴う(蓄積された又は長期の)汗への暴露を示すことができる。例えば、処理ユニットは、汗センサ、生理学的パラメータセンサ、及び活動センサの少なくとも1つからの、例えば少なくとも5分、少なくとも15分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも1日の少なくとも1つの時間期間にわたる経時的な測定信号の積分に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。従って、瞬間的な汗レベル又は測定条件を評価するだけでなく、長期の着用快適性が改善され、皮膚刺激が回避又は少なくとも軽減されることができる。汗レベル測定値という用語は、所定の時間期間の汗への暴露を示す汗暴露レベルを指す場合もある。汗レベル測定値は、汗の(推定)量及び汗レベルへの暴露時間に基づき決定されてもよい。汗レベル測定値は、経時的な(推定又は測定された)汗レベルの積分に基づき決定されてもよい。例えば、より低い汗レベルは、皮膚刺激を引き起こすことなく長期間にわたって許容され得るが、より高い汗レベルはより頻繁な換気を必要とし得る。処理ユニットは更に、上記汗レベル測定値に基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定するよう構成される。処理ユニットは、プロセッサとも呼ばれることができる。処理ユニットは、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの単一のデバイス、又は一方向若しくは双方向にデータを交換する複数のデバイスにより実現されることができる。
【0020】
ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間に基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気するための適切な措置が講じられ、これは、汗が除去、例えば蒸発されることを可能にする。例えば、空気がウェアラブルデバイスの上記下側及び/又は対象の皮膚に到達し、水分を運び去ることが可能にされることができる。この概念は、バックパックとユーザの背中との間の換気を可能にする、いわゆるエアフローバックパックに似ている。通常のバックパックは、背中(を覆う衣服)の広い領域に直接接触する。これにより、ユーザは背中から熱及び汗を取り除くことができない。これは、暖かくて濡れた服及び服に付いた塩分を感じさせる場合がある。それにもかかわらず、バックパックでの状況は、連続的なスペースが提供されるという点で異なる。なぜなら、対象の生理学的パラメータの測定を可能にするため、ユーザの背中と接触する必要がないからである。従って、本書で提案される解決策は、第1のステップにおいて、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積される汗の量を示す汗レベル測定値を決定し、第2のステップにおいて、上記汗レベル測定値に基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定するよう構成される処理ユニットを提案する。
【0021】
従って、潜在的に重大な状態が特定されることができ、これは、デバイスを手動で換気することにより、又はウェアラブルデバイスの下側を換気する(アクティブ)手段を提供することにより、ユーザが適切に反応することを可能にする。
【0022】
本書で使用されるとき、ウェアラブルデバイスは、通常手首に装着される活動トラッカー又は活動モニタを指すことができるが、ユーザの生理学的信号を取得するユーザによりその少なくとも一部が着用される医療デバイスを指すこともある。ウェアラブルデバイスは、ユーザの生理学的パラメータを監視するウェアラブル監視装置を指すことができる。ウェアラブルデバイスは、ユーザの生理学的信号(生理学的パラメータ又はバイタルサインを示す)を測定するよう構成された生理学的パラメータセンサを含むことができる。
【0023】
ユーザの生理学的信号は、ユーザのバイタルサイン又は生理学的パラメータを示す生理学的信号を指し得る。例えば、生理学的信号は、フォトプレチスモグラフィ(PPG)測定又は生体インピーダンス測定を示すことができる。これらから、例えば心拍数、呼吸数、血中酸素飽和度、電気皮膚反応、皮膚電気活動又は心電図(ECG)といった少なくともユーザの生理学的パラメータ又はバイタルサインを示すパラメータが得られることができる。
【0024】
ユーザの生理学的信号を取得する生理学的パラメータセンサは、ユーザの身体の一部との接触を通じてユーザの上記生理学的パラメータを取得するよう構成されることができる。接触は、生理学的パラメータセンサとユーザの皮膚との間で直接接触してもよく、又は何らかの他の媒体を介して皮膚と接触してもよい。特に、生理学的パラメータセンサは、ユーザの皮膚に光学的又は電気的に接触するよう構成されることができる。生理学的パラメータセンサは、ウェアラブルデバイスより小さなサイズで配置されることが好ましい。
【0025】
オプションで、ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスの上記下側とユーザの皮膚との間のユーザの汗の量を示す汗信号を提供するよう構成された汗センサを備えることができる。処理ユニットは、上記汗信号に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。この実施形態の利点は、ウェアラブルデバイスの下側を換気する適切な時間を正確に決定するため、実際の汗レベルの正確な測定値が得られることができることである。言い換えると、ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスの下側における水分レベルを感知する水分感知手段を備えることができる。
【0026】
オプションで、ウェアラブルデバイスは、ユーザの生理学的信号を取得する少なくとも1つの生理学的パラメータセンサを含むことができる。処理ユニットは、上記生理学的信号に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。この実施形態の利点は、ユーザの生理学的信号を取得するためにウェアラブルデバイス内に既に提供される場合がある生理学的パラメータセンサが、汗レベル測定値を決定するためにも使用されることができることである。例えば、生理学的パラメータセンサは、ユーザが(激しい)身体活動を行っていると決定する場合がある。身体活動は、発汗量の増加と相関されることができる。従って、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量の推定が、これに基づき決定され得る。
【0027】
オプションで、追加的又は代替的に、ウェアラブルデバイスは活動センサを含むことができる。処理ユニット(20)は、上記活動センサの出力に基づき汗レベル測定値(32)を決定するよう構成されることができる。
【0028】
汗センサ及び/又は生理学的パラメータセンサは好ましくは、ウェアラブルデバイスの下側に配置されることができる。
【0029】
オプションで、生理学的パラメータセンサ、活動センサ(対象の活動を示す信号を提供する)又は汗センサは、皮膚電気活動センサ、心拍数センサ、運動センサ、及び特に皮膚温度センサ又は中核体温センサといった温度センサの少なくとも1つを含むことができる。皮膚電気活動(EDA)センサは、皮膚コンダクタンス又は電気皮膚反応(GSR)センサとも呼ばれる。本書で使用される汗センサは、汗の存在及び/又は量を測定するセンサを指し得る。心拍数センサは、フォトプレチスモグラフィ(PPG)、生体インピーダンス、又は静電容量ベースのセンサなど、任意のタイプの既知の心拍数センサを指す。心拍数の増加は身体活動の増加と相関し、これは発汗量の増加と相関するため、ユーザの心拍数に基づき汗レベルの測定値を決定するのに、心拍数センサが使用されることができる。活動センサは、加速度計又はジャイロスコープなどの運動センサを指す。皮膚温度の上昇は発汗の増加と相関するため温度センサが、又は環境温度と発汗量との間にも相関関係があるため環境温度センサが、皮膚温度を有利に決定することができる。
【0030】
オプションで、ウェアラブルデバイスはタイマー(又はクロック)を含むことができる。処理ユニットは、上記タイマー又はクロックの出力に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。例えば、ウェアラブルデバイスの下側を換気する時間は、ウェアラブルデバイスをユーザの皮膚に置いてからの時間間隔、又はウェアラブルデバイスの下側を換気する以前の時間に基づき決定されることができる。従って、汗レベル測定値は、最後の換気から経過した時間、又はユーザの皮膚にウェアラブルデバイスを置いてからの時間間隔に基づき、又はこれらを参照して決定されることができる。着用時間は、ウェアラブルデバイスの下に蓄積される汗の量と相関する場合がある。オプションで、より高い発汗が予想されるとき、例えば日中若しくは正午において、又は通常気温が高いとき、より頻繁にデバイスを換気するため、時刻が考慮されることができる。同様に、夕方又は夜間など、ユーザの座りがちな活動が予想されるとき、より低い頻度でデバイスを換気することが決定されることができる。従って、ウェアラブルデバイスはタイマーを含むことができ、処理ユニットは、時刻及び/又は(予想される)時間的活動パターンに基づき、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値として、汗の予想されるレベルを決定するよう構成され得る。オプションで、1つ又は複数のセンサ信号がタイマー又はクロックと組み合わせられることができる。
【0031】
オプションで、ウェアラブルデバイスは、クロック/タイマー、運動センサ、生理学的パラメータセンサ、及び汗センサの1つ又は複数を備えることができる。クロック/タイマー、運動センサ、生理学的パラメータセンサ、及び汗センサの1つ又は複数からの情報は、汗レベル測定値を推定するため処理ユニットへの入力として使用されることができる。こうして、処理ユニットは、クロック/タイマー、運動センサ、生理学的パラメータセンサ、及び汗センサの1つ又は複数の出力に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。
【0032】
オプションで、処理ユニットは、上記汗レベル測定値に基づきウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定し、生理学的パラメータの連続測定が必要とされる(されない)ときを更に考慮するよう構成されることができる。例えば、生理学的パラメータが安定しているという条件の下で、処理ユニットは時間を決定するよう構成されることができる。一方、生理学的パラメータが変化する場合、換気は提案されない。これは従って、情報量の多いエピソードを示す場合がある。従って、関連する生理学的パラメータ情報を取得するため、ウェアラブルデバイスの下側を換気する時間が延期されることができる。一方、生理学的パラメータの安定期間又はユーザの低活動若しくはユーザの一定の活動を示す安定期間が決定される場合、斯かる期間は、ウェアラブルデバイスの下側を換気するために使用されることができる。即ち限られた量の情報だけが失われる。従って、処理ユニットは、上記汗レベル測定値、並びにオプションで生理学的パラメータの安定性及び/若しくは不安定性を示すパラメータ;ユーザ/介護者の入力、カレンダー項目(例えば、継続的な測定が望まれるスポーツ活動又は医療処置に従事する)、ユーザが手術室にいる(連続的な測定が望まれる)若しくは集中治療室(ICU)にいるなどの位置情報、又はユーザの活動を示すパラメータ(連続測定が望まれる活動など)の1つ又は複数に基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定するよう構成されることができる。
【0033】
オプションで、ウェアラブルデバイスは出力ユニットを備えることができる。この場合ウェアラブルデバイスは更に、出力ユニットを介してウェアラブルデバイスの下側を換気する時間に関する通知を提供するよう構成される。従って、ユーザ又は介護者は、デバイスを換気するためのアクションを実行するように指示されることができる。出力ユニットは、ウェアラブルデバイスの一部とすることができる。代替的に、システムでは、出力はスマートフォンなどの外部エンティティの一部とすることができる。出力ユニットは、ウェアラブルデバイスの通信インターフェースとすることもできる。
【0034】
オプションで、ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスの上記下側の少なくとも一部と対象の皮膚との間に間隔が設けられる換気状態、及びウェアラブルデバイスの下側の上記部分が対象の皮膚と接触するよう構成される接触状態を採用するよう構成される。従って、換気状態における上記間隔により、下側を換気するためのエアギャップが提供されることができる。換気状態は、汗脱出モード又は状態とも呼ばれる。換気状態は好ましくは、下側の少なくとも一部への空気の流れ又は換気を可能にする。他方、接触状態は、上記部分への空気の流れ又は換気を可能にしない。従って、ウェアラブルデバイスは、2つの異なる状態を選択的に採用するよう構成されることができる。ウェアラブルデバイスは、処理ユニットにより決定されるウェアラブルデバイスの下側を換気する時間に、処理ユニットにより決定される汗レベル測定値に基づき、換気状態に変化するよう構成されることができる。ウェアラブルデバイスの下側が汗を除去するために換気されると、ウェアラブルデバイスは再び接触状態に切り替わるよう構成されることができる。例えば、タイマーを使用するとき、ウェアラブルデバイスは例えば、換気状態への最後の変更から、又はウェアラブルデバイスがユーザの皮膚に最初に接触したときからといった、第1の所定の時間が経過したときに換気状態を採用するよう構成されることができる。これに対応して、ウェアラブルデバイスは、換気状態への最後の変更から第2の所定の時間が経過したときに接触状態に復帰するよう構成されることができる。例えば、換気状態では、間隔を設けるため、ウェアラブルデバイスは固定要素を緩めることができ、一方、接触状態では、ユーザと接触した状態でウェアラブルデバイスを固定するため、ウェアラブルデバイスは固定要素を締めることができる。
【0035】
オプションで、ウェアラブルデバイスは、処理ユニットがウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定するとき、上記換気状態と上記接触状態との間で振動するよう構成され得る。これにより、ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間から水分又は汗を積極的に除去するよう構成される。従って、振動、即ち、上記換気状態と上記接触状態とを数回交互に繰り返すことが、汗の除去を更に改善することができる。処理ユニットがウェアラブルデバイスの下側を換気する時間を決定するとき、ウェアラブルデバイスは、上記換気状態と上記接触状態とを少なくとも2回交互に切り替えるよう構成されることができる。処理ユニットがウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定するとき、ウェアラブルデバイスは、上記換気状態と上記接触状態との間で振動することにより汗を吸い出すよう構成され得る。
【0036】
オプションで、この実施形態の更なる改良において、ウェアラブルデバイスは、ユーザの生理学的信号を取得する生理学的パラメータセンサを更に備えることができ、上記接触状態では、センサはユーザの皮膚に接触するよう構成される。上記換気状態では、センサは、ユーザの皮膚と接触しないよう構成される。従って、測定に最も関連する領域と見なされることができるセンサの下の領域が、換気されることができる。
【0037】
オプションで、生理学的パラメータセンサは、上記換気状態において、上記接触状態とは異なる測定モード又は異なるセンサに切り替えてもよい。例えば、生理学的パラメータセンサが接触状態にあるとき、フォトプレチスモグラフィ(PPG)測定などの第1の測定モダリティが使用されることができるが、ユーザが換気状態にあるとき、レーザースペックル撮像(LSI)などの第2の異なる測定モダリティが使用されることができる。ウェアラブルデバイスは、ユーザの皮膚への接触を必要としない換気状態における測定モダリティ、即ち生理学的パラメータの非接触測定を使用するよう構成されることができる。有利な改良形態では、生理学的パラメータセンサは、異なる測定モード、例えば、接触モードにおけるPPG及び非接触モードにおけるレーザースペックル撮像など、同じ又は異なるセンサを使用した接触又は非接触センシングモードに切り替えるよう構成されることができる。
【0038】
オプションで、ウェアラブルデバイスは更に、上記換気状態と上記接触状態との間で(自動的に)変化するアクチュエータを含むことができる。ウェアラブルデバイスは、汗レベル測定値に基づき上記アクチュエータを制御するコントローラを含むことができる。例えば、汗又は水分センサを使用して汗レベルが決定されることができ、上記汗レベル測定値が第1の所定の閾値を超える場合、ウェアラブルデバイスは、換気状態に変更するよう構成されることができる。他方、ウェアラブルデバイスは、汗のレベルが第2の所定の閾値を下回る場合、接触状態に変化するよう構成されることができる。第1及び第2の閾値は同じ又は異なるとすることができる。好ましくは、異なる閾値が使用され、その場合、ヒステリシスを提供するため、上記第2の閾値が上記第1の閾値よりも低い。これにより、2つの状態間の頻繁な変更が回避されることができ、バッテリー寿命を延ばすためのエネルギー効率の良い実現が提供される。従って、アクチュエータは、処理ユニットにより決定されるように、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間における汗レベル測定に基づき、ウェアラブルデバイスの下側の少なくとも一部の換気を可能にするよう構成されることができる。
【0039】
オプションで、上記アクチュエータは、電気活性材料(EAM)、特に電気活性ポリマーEAPを含むことができる。追加的又は代替的に、(マイクロ)モーター又は他のタイプのアクチュエータが使用されることができる。
【0040】
オプションで、ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスと対象の皮膚との間に上記間隔を提供するよう構成された間隔要素を含むことができ、間隔要素は、第1の換気状態と第2の接触状態との間で変位可能であり、特に間隔要素は、着用されるとき、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に配置される。オプションで、第1の換気状態では、間隔要素は、ウェアラブルデバイスの下側から少なくとも部分的に離れており、第2の接触状態では、間隔要素は、ウェアラブルデバイスの下側にある。従って、上記間隔を提供し、換気状態でウェアラブルデバイスの下側から距離を置くことにより、間隔要素は、ユーザの皮膚とウェアラブルの下側との間の領域から汗を除去する間隔を可能にするよう構成される。
【0041】
オプションで、間隔要素は水分を透過させることができる。例えば、間隔要素は、水及び/又は水蒸気に対して透過性の膜を含むことができる。間隔要素は、(微孔性)PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含むことができる。
【0042】
オプションである間隔要素は膜であり、及び/又は少なくとも1つのバンド若しくはストライプを含む。
【0043】
オプションで、ウェアラブルデバイスは、ユーザの生理学的信号を取得する生理学的パラメータセンサを更に備え、生理学的パラメータセンサは、光学的生理学的パラメータセンサである。間隔要素は、上記光学生理学的パラメータセンサにより使用される波長で透過的である。より一般的には、センサは電磁(EM)波を使用し、間隔要素は測定に使用される波長に対して透過的である。本書で使用されるとき、透過的とは、上記光学生理学的パラメータセンサにより使用される波長で、50%を超える、好ましくは70%を超える、好ましくは80%を超える、好ましくは90%を超える透過率を指すことができる。例えば、生理学的パラメータセンサは、PPGセンサ若しくはレーザースペックル撮像センサなどの光学的生理学的パラメータセンサ、又は特に血液量変動を調べるために生理学的パラメータ測定に光が使用される他のセンサであり得る。従って、ユーザの皮膚とウェアラブルデバイスの上記下側との間に間隔が設けられることができ、同時に光学測定が可能にされる。
【0044】
オプションで、アクチュエータは、少なくとも部分的に電気活性材料で作られた少なくとも1つの変位デバイスを備えることができ、変位デバイスは、第1の換気状態と第2の接触状態との間で間隔要素を変位させるために間隔要素に機械的に接続される。
【0045】
オプションで、少なくとも1つの生理学的パラメータセンサが間隔要素に組み込まれることができる。従って、ユーザの皮膚とウェアラブルデバイスの下側との間の換気が提供されると同時に、生理学的パラメータセンサを介した継続的な監視が可能にされることができる。この実施形態の利点は例えば、強い信号対雑音比が決定される場合、ウェアラブルデバイスの下側の少なくとも一部が換気されることができ(そうでなければ生理学的パラメータセンサに対する遮蔽を提供したかもしれない)、これは、ウェアラブルデバイスの下側の換気を可能にする。
【0046】
オプションで、追加的又は代替的に、間隔要素は、少なくとも部分的に電気活性材料(電気活性ポリマー)で作られ、アクチュエータは、電気活性ポリマーに電圧を印加する電源を備える。例えば、これにより、間隔要素は、アクチュエータとして機能するよう構成されることができる。従って、間隔要素の電気活性材料は、間隔要素を変位させることができる。その結果、第1の電圧が印加されるときウェアラブルデバイスが換気状態になり、第2の電圧が印加される(又は電圧の印可がない)とき接触状態になる。
【0047】
システムの実施形態を参照すると、システムは、スマートフォン又は他の外部処理ユニットなどの別のエンティティにおけるウェアラブルデバイスの組み合わせを備え得る点を理解されたい。別のエンティティは、処理ユニットを含むことができる。更に、処理ユニットの機能は、ウェアラブルデバイスにより部分的に実現されることができ、スマートフォンなどの別のエンティティにより部分的に実現されることができる。ウェアラブルデバイス及び他のエンティティは、単方向又は双方向で通信するよう構成されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0050】
図1は、本開示の一態様によるウェアラブルデバイスの第1の実施形態を概略的に示す。ウェアラブルデバイスは、その全体が参照番号10で示される。所与の非限定な例では、ウェアラブルデバイス10は、筐体11及び固定要素12を含む腕時計又は活動トラッカーの形で実現される。ウェアラブルデバイス10の筐体は、電池、電子機器、例えばスマートフォンと通信するための通信インターフェース、及び例えばディスプレイ又はスピーカーの形のオプションの出力ユニット13を含むことができる。
【0051】
ウェアラブルデバイス10は、ユーザ100により着用されるよう構成される。ウェアラブルデバイス10は、ウェアラブルデバイス10をユーザ100に固定する固定要素12と、着用されるときユーザの皮膚に接触する下側15とを有する。
【0052】
フォトプレチスモグラフィ(PPG)、生体インピーダンス又は容量性技術により、ユーザ100の皮膚に接触するよう構成され、バイタルサイン(ユーザーの心拍数など)を示す生理学的信号を測定するよう構成される接触センサが、腕時計又はブレスレットなどのウェアラブルデバイス10、10'に一体化されることができる。信頼性の高い測定値を得るため、センサは皮膚に適切に接触する必要があり、デバイスは非常にしっかりと固定されることが好ましい。更に、特に環境光に対処するための適切なメカニズムのない光ベースのセンサの場合、センサの周りのケース又は筐体も外光からのノイズを避けるために光密であるべきである。汗は従来技術のデバイスでは逃げられず、デバイスと皮膚との間に蓄積するため、着用による不快感及び皮膚の刺激がもたらされる場合がある。デバイスが移動できない場合、これは特に、ウェアラブルデバイスがスポーツ中に使用される状況で問題となり、過度の発汗をもたらす。しかしながら、激しい運動をしていなくても、更には睡眠中であっても汗は蓄積し、着用による不快感及び皮膚刺激をもたらすことがわかっている。着用による不快感及び皮膚刺激の他に、皮膚とデバイスの間に蓄積する汗が不正確な測定値をもたらす可能性がある。
【0053】
図2は、接触状態にあるウェアラブルデバイス10の実施形態の側面図を示す。本開示の第1の態様によれば、ウェアラブルデバイス10は、ウェアラブルデバイス10の下側15とユーザ100の皮膚101との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値を決定し、上記汗レベル測定値に基づき、ウェアラブルデバイス10の下側15を換気する時間を決定するよう構成される処理ユニットを備える。
【0054】
本開示の第2の態様によれば、ユーザ100により着用されるよう構成されたウェアラブルデバイス10'と処理ユニット20'とを備えるシステム1が提供される。従って、処理ユニットは、ウェアラブルデバイスの一部又は別のエンティティの一部とすることができ、これによりシステム1が形成される。例えば、
図1に示されるように、システム1は、ウェアラブルデバイス10'とスマートフォン200又は他の外部処理ユニット20'との組み合わせを含み得る。システムの処理ユニット20'は、ウェアラブルデバイス10'の下側15とユーザ100の皮膚101との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値を決定し、上記汗レベル測定値に基づき、ウェアラブルデバイス10'の下側15を換気する時間を決定するよう構成される。オプションで、ウェアラブルデバイス10'は、上記(外部)処理ユニット20'を備えるスマートフォン200などの外部デバイスと通信するための通信インターフェースを備えてもよい。(外部)処理ユニット20'は、(内部)処理ユニット20と同様及び/又は同一の実施形態をとることができる。従って、繰り返しを避けるため、以下の例は(内部)処理ユニット20の場合のみを参照する。
【0055】
内部出力ユニット13又は外部出力ユニット13'は、ウェアラブルデバイス10の上記下側15を換気する上記時間に関する通知を提供するために提供され得る。例えば、ウェアラブルデバイスは、ディスプレイ若しくは光源を介した視覚出力、スピーカーを介した可聴出力、及び/又は振動ユニットを介した触覚出力の1つ又は複数を提供することができる。同様に、斯かる出力手段は、スマートフォン200又は他の外部エンティティにより提供され得る。
【0056】
ウェアラブルデバイス10は、ユーザの生理学的信号31を取得する少なくとも1つの生理学的パラメータセンサ21を含むことができる。例えば、生理学的パラメータセンサは、ユーザの心拍数を測定するフォトプレチスモグラフィ(PPG)センサ又は生体インピーダンスセンサーであり得る。処理ユニット20は有利には、上記生理学的信号に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。心拍数の増加は、ユーザが身体活動を行っており、汗の発生が増加し、単位時間あたりの大量の汗が生み出されることを示す。従って、生理学的信号は、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量のインジケーションを提供する。これに基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気するための適切な時間が決定されることができる。追加的又は代替的に、ウェアラブルデバイスはタイマー22を含むことができる。処理ユニットは、上記タイマー22の出力に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。
【0057】
図3は、経時的な生理学的パラメータ31、ここでは心拍数の図を示す。縦軸は時間tを示す。左の縦軸は生理学的パラメータ、ここでは心拍数HRを示す。右の縦軸は、汗レベル測定値SLを示す。
【0058】
従来のウェアラブルデバイスはしばしば、連続的な生理学的信号トレース31を提供する。しかしながら、本書で提案される解決策は、ウェアラブルデバイス、特に着用されるとき適切な時間に対象100の皮膚101と接触するその下側15を換気するという考えに基づかれる。
図3に示されるように、測定値は、第1セクションC1に分割される。そこでは、下側15がユーザの皮膚に接触し、その結果、生理学的パラメータセンサ21(
図2参照)が生理学的信号31を提供することができる。これは、接触モードとも呼ばれる。V1により示される次のセクションは、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を示す。従って、生理学的パラメータセンサは持ち上げられ、ユーザの皮膚に接触しなくなる。空気は、上記下側の少なくとも一部に到達し、これにより換気による汗の除去が可能にされる。測定は中断され、V1の間に生理学的信号31は取得されない。
【0059】
この期間の後、ウェアラブルデバイスは、期間C2で示される接触モードで再度作動することができる。そこでは、生理信号31が再び取得されることができる。この期間に続いて、第2換気期間V2が続くなどとすることができる。
【0060】
処理ユニット10は、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値32を決定するよう構成される。
図3に示される実施形態では、汗レベル測定値は、タイマー22の出力に基づき決定される(
図2を参照)。
図3に示されるような基本的な構成では、汗レベル測定値32は時間とともに線形に増加すると仮定されることができる。ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間t1は例えば、汗レベル測定32が閾値Th1を超える時間として、上記汗レベル測定32に基づき決定され得る。
図3では、閾値Th1は水平の破線で示される。
【0061】
セグメントC3に示されるように、オプションの改良では、上記汗レベル測定値32の勾配が、追加の測定値に適合されることができる。例えば、
図2に示されるように、ウェアラブルデバイス10は、温度センサ23を更に備えてもよく、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積される汗の量を示す上記汗レベル測定値は、上記タイマー22及び上記温度センサ23の出力に基づき決定されることができる。例えば、汗レベル測定値32の勾配は、温度に基づき調整されることができる。なぜなら、温度が上昇すると発汗量が増加すると予想されるからである。
【0062】
再び
図2を参照すると、ウェアラブルデバイス10は、追加的又は代替的に、ウェアラブルデバイス10の上記下側15とユーザ100の皮膚101との間でユーザの汗の量を示す汗信号を提供するよう構成された汗センサ24を備えることができる。処理ユニット20は、上記汗信号に基づき汗レベル測定値を決定するよう構成されることができる。例えば、汗レベル測定値は汗信号に対応することができる。オプションで、生理学的パラメータセンサ21は汗センサ24として機能することができる。
【0063】
図4は、
図3と同様のグラフを示し、そこでは、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値32は、汗センサ24(
図2参照)により提供される汗信号に基づき決定される。処理ユニット20は例えば、上記汗レベル32が第1の所定の閾値Th1を超えるときを決定することにより、上記汗レベル32に基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定するよう構成され得る。これに対応して、処理ユニット20は、ウェアラブルデバイスの下側の上記換気を終了する時間を決定するよう構成され得る。例えば、
図4における水平破線により示されるように、上記汗レベル測定値32が第2の所定の閾値Th2を下回るときそれが決定されることができる。有利には、ヒステリシスを提供するため、異なる所定の閾値Th1及びTh2が使用され、これにより、換気状態と接触状態との間の切り替えの量が制限される。
【0064】
ここで
図5を参照すると、ウェアラブルデバイス10は、ウェアラブルデバイスの下側15の少なくとも一部と対象100の皮膚101との間に間隔40が設けられる換気状態と、
図2に示されるように、ウェアラブルデバイス10の下側15の上記部分が、対象100の皮膚101に接触するよう構成される接触状態とに適応するように有利に構成される。間隔40は、
図5に示されるように、下側15の少なくとも一部への空気流又は換気を可能にする。従って、再び
図3を参照すると、ウェアラブルデバイスは、期間Cxの間に接触状態(
図2に示される)に適応し、
図5に示されるように、Vxで示される期間の間、換気状態を想定するよう構成されることができる。
【0065】
図5に示される実施形態では、生理学的パラメータセンサ21は、ウェアラブルデバイス10の下側15に設けられる。従って、間隔40が設けられるとき、
図3における期間Vx中にも示されるように、生理学的信号31の測定が中断される場合がある。従って、本開示のいくつかの実施形態では、デバイスが「汗脱出モード」とも呼ばれる換気状態、即ち換気が行われているモードになるとき、生理学的パラメータの監視が中断されることができる。従って、非連続測定が提供され、その結果データが失われる場合がある。しかしながら、連続的及び近連続的又は準連続的モニタリングの利点は重視される必要がある。例えば、睡眠パターン、毎日の心拍数パターンなどの長期パターンは、例えば数秒の限られた期間中断されたとしても、全体的なパターンに関する貴重な情報を提供することができる。更に、接触モード中に取得されるが、発汗による妨害がない情報は、優れた信号品質を備えている場合があり、これは、非連続モニタリングの欠点を上回る場合がある。従って、汗が蒸発している間に失われる情報は、皮膚刺激が少ない状態で一晩中受信されるデータと比較すると、無視できる場合がある。従って、上記接触状態では(
図2に示されるように)、センサはユーザの皮膚に接触するよう構成されることができ、上記換気状態では(
図5に示されるように)、センサは皮膚101に接触しないよう構成されることができる。
【0066】
非連続モニタリングの欠点を克服するための解決策として、生理学的パラメータセンサは、例えば接触モードにあるときフォトプレチスモグラフィ測定を提供する第1の接触モードで動作し、換気状態中、例えばレーザースペックル撮像を用いる異なる測定に切り替えるよう構成されることができる。これにより、接触モードで第1の生理学的信号31が取得され、換気モードで第2の生理学的信号31'が提供されることができる(
図4における信号トレース31及び31'を参照)。有利なことに、これは、レーザースペックル撮像及びフォトプレチスモグラフィの両方にコヒーレント光源を使用することで効率的に実現されることができる。その結果、生理学的パラメータセンサの光検出器の出力信号の異なる信号処理を使用することにより異なる測定モードが影響を受ける場合がある。代替的に、生理学的パラメータセンサは、接触ベースの測定のための第1のサブセンサーと、非接触モードでの測定のための第2のサブセンサーとを含むことができる。
【0067】
上記接触状態(
図2に示される)と上記換気状態(
図5に示される)との間を変更するため、上記換気状態と上記接触状態との間を変更するためのアクチュエータと、上記汗レベル測定に基づき、特に、(
図2参照)処理ユニット20により決定されたウェアラブルデバイスの下側を換気する時間に基づき、上記アクチュエータを制御するコントローラとが提供される。
【0068】
図2及び
図5に示される実施形態では、間隔要素41が提供される。間隔要素は、ウェアラブルデバイス10と対象100の皮膚101との間に上記間隔40を提供するよう構成される。間隔要素41は、第1の換気状態(
図5に示される)と第2の接触状態(
図2に示される)との間で変位可能である。示された実施形態では、間隔要素41は、着用されるとき下側15とユーザ100の皮膚101との間に配置される。第1の換気状態では、
図5に示されるように、間隔要素は、ウェアラブルデバイス10の下側15から少なくとも部分的に離れており、第2の接触状態では、
図2に示されるように、間隔要素41はウェアラブルデバイスの下側15に位置する。
【0069】
図示の実施形態では、間隔要素41は、水分を透過する膜の形態で実現され、これにより、
図5に示されるように、間隔40を介して対象の皮膚101からの汗の蒸発を可能にする。間隔40は、膜41に張力を加えることにより作成されることができる。皮膚101とウェアラブルデバイス10の下側15との間に間隔40が作成される場合、換気は開放領域を介して行われることができ、これにより汗が蒸発する。
【0070】
換気状態中の斯かる余分な張力(皮膚への圧力)は許容できることがわかっている。なぜなら、換気状態で費やされる時間は制限されることができるからである。有利には、固定要素12は、張力を増大させると、例えば、デバイスを1〜2mm移動させると伸長するよう構成されたエラストマー製の部分を含む。
【0071】
図6は、生理的パラメータセンサ21が間隔要素41と共に移動する実施形態を示す。例えば、生理学的パラメータセンサ21は膜に取り付けられることができる。この実施形態の利点は、生理学的パラメータの連続的な監視が提供されることができることである。例えば、処理ユニットは更に、上記汗レベル測定値、及び生理学的パラメータセンサ21の信号品質、例えば信号対雑音比に基づき、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間を決定するよう構成されることができる。高い信号対雑音比が決定される場合、より高いレベルの背景雑音が許容され得る。その結果、対象100の皮膚101とウェアラブルデバイス10の下側15との間に間隔40が作成されることができる。生理学的パラメータセンサ21は、電気接続26を介して接続されてもよい。
【0072】
図5及び
図6では、間隔40の作成が誇張された態様で概略的に示される。実際には、より小さなスペースで十分とすることができる。
【0073】
図7は、間隔要素41としての膜の異なる張力の3つの異なる状況を示す。
図7(a)では、膜41は弛緩しており、従って、ウェアラブルデバイス10の下側15と接触している。
図7(b)では、膜41に張力がかけられ、小さな間隔40が作成される。
図7(c)では、膜41における張力を更に増加させることにより、より大きな間隔40が提供される。実際には、
図5及び
図6に概略的に示される、膜がたわむ状態を実現するより、
図7(c)に示されるような解決策を実現することが有利であり得る。そこでは、膜41が平坦であるか、又は
図7(b)に示されるようないくらかの湾曲を有することさえあり得る。
【0074】
図8は、
図8(b)に示されるような換気状態と、
図8(a)に示されるような接触状態との間で変化するアクチュエータ45の第1の実施形態を示す。汗レベル測定値に基づき上記アクチュエータ45を制御するコントローラ46が提供される。処理ユニット20及びコントローラ46は、異なるユニットとして、又は例えばマイクロコントローラにより単一のユニットとして実現されることができる。
図8に示される実施形態では、膜41の形態の間隔要素に張力をかけるのに1つ又は複数のマイクロモーター45が使用される。例えば、膜と係合するよう、歯車のような構成がモーターに適用されることができる。
【0075】
図7を参照して説明した前述の実施形態では、(比較的)柔らかい膜が使用されることができる。
図8に示される実施形態では、膜41は所定の剛性を有し、その結果、膜41は一緒に押されるよう構成され、下方に曲がることができ、これによりウェアラブルデバイス10が皮膚から持ち上げられ、ウェアラブルデバイスの下側が換気される。ウェアラブルデバイスの下側が堅い境界を提供するので、膜41は上方に曲がることができず、従って換気中は一時的にのみ、対象の皮膚をわずかに圧迫する。膜41は、開口部を有する箔又は所定の剛性を有する多孔性箔であり得る。
図9、
図10A及び
図10Bを参照して以下で更に説明されるように、電気活性ポリマー(EAP)などの電気活性材料を使用する場合、同じ原理が適用される。EAPに電圧を印加することにより、コンポーネントは例えば拡大し始める、即ち横方向の寸法が増加する。
図9(b)に示されるように、例えばリストバンド12又は筐体11の端で反対側の端点が固定又はクランプされる場合、EAPに取り付けられた膜41は下向きに曲がる。
【0076】
図9に示される代替的な実施形態では、電気活性材料EAM、特に電気活性ポリマーEAPが提供されることができる。電気活性ポリマーを含む電気活性デバイスの基本的な動作原理については、
図10A及び
図10Bを参照されたい。
【0077】
電気活性ポリマー(EAP)は、応答性材料の分野における新しい種類の材料である。EAPはさまざまな形状に簡単に製造できるため、統合を容易にする。EAPアクチュエータは、入力エネルギーを機械的仕事に直接変換することができる。EAPアクチュエータは、電界駆動アクチュエータ及びイオン駆動アクチュエータに分割されることができる。
【0078】
図9(a)は、2つの(柔軟な)電極47の間に挟まれた電気活性ポリマー46を含む電界駆動型EAPアクチュエータの実施形態を示す。電極47により、電気活性ポリマー46に電界が印加されることができる。EAPは通常、高電界(1メートルあたりのボルト)を必要とするが、容量性のため低電流を必要とする。ポリマー層46は、駆動電圧を可能な限り低く保つために薄いことが好ましい。電界駆動型EAPの顕著な例は、圧電及び電歪ポリマー並びに誘電性エラストマーである。他の例は、電歪グラフトポリマー、電歪紙、エレクトレット、電気粘弾性エラストマー及び液晶エラストマーを含む。
【0079】
従来の圧電性ポリマーの限られた電気機械的性能は、有利な自発電気分極(電界駆動配列)を提供するポリフッ化ビニリデン(PVDF)リラクサーポリマーにより更に改善されることができることがわかっている。これらの材料は、ひずみ方向における性能を向上させるために予ひずみが加えられることもできる。なぜなら予ひずみがより好適な分子配列をもたらすからである。通常、金属電極が使用されることができる。なぜなら、ひずみは中程度の範囲(1〜5%)とすることができるからである。導電性ポリマー、カーボンブラックベースのオイル、ゲル、又はエラストマーなど、他のタイプの電極47が使用されることもできる。電極47は連続的又はセグメント化されることができる。
【0080】
図10Aは、ポリマー46が2つのコンプライアント電極47の間に挟まれる電界駆動型EAPの構成を示す。
図10Bは、曲げアクチュエータを示し、キャリア層48は、EAPと組み合わされ、これにより二層又は多層構造が形成される。EAPフィルムは、電極47を介して電圧を印加することにより延伸(分子配向)されることができ、これは、
図10B(b)に示されるように一の(好ましい)方向における曲げを強制する。
【0081】
従って、
図9は、特に電気活性ポリマー(EAP)を含む電気活性アクチュエータが使用される代替的な実施形態を示す。例えば、
図8に示されるようにマイクロモーターを使用する代わりに、張力を作り出すのに、膜41の1つ又は複数の側面にある電気活性ポリマー47などの1つ又は複数の電気活性材料が使用されることができる。
図9に示される実施形態では、1つのEAPが膜41の各側に接続される。各EAP47の外側は、ここではリストバンドの形態の固定要素12に固定されることができる。活性化状態では、
図9(a)に示されるように、EAPが収縮し、こうして膜が伸びる。
図9(b)に示されるように、EAPが非活性化されると、EAPが膨張し、膜に向かう圧力を発生させ、それに応じて撓む。これにより、ウェアラブルデバイス10の下側15に間隔40が作成される。コントローラ46は、汗レベル測定値32に基づきEAPアクチュエータ47を制御するため、特に、処理ユニット20(
図2参照)により決定される、ウェアラブルデバイス10の下側15を換気する時間に、EAPアクチュエータ47を(非)活性化するために設けられ得る。
【0082】
別の実施形態では、膜41自体が、電気活性材料で作られることができる。
【0083】
有利なことに、EAPは、いわゆるクランプ装置で構成されることができる。そこでは、EAPが、少なくとも2つの(反対の)側面、例えばウェアラブルデバイス10の筐体11の下側15の2つの側面で固定される。EAPが活性化される場合、変形は
図10B(b)のようになる。オプションで、リングクランプ構成が可能である。そこでは、EAPは、その周囲に沿って、少なくともその周囲に沿った複数の点で完全にクランプされることができる。
【0084】
図11A及び
図11Bは、筐体11及び固定要素12を備えるウェアラブルデバイス10の2つの実施形態の底面図を示す。生理的パラメータセンサ21は、ウェアラブルデバイス10の筐体11の下側15に配置される。生理学的パラメータセンサ21は、第1の光源51、検出器52、及びオプションで第2の光源53を含むPPGセンサであり得る。第2の光源53は、第1の光源51とは異なる波長の光を発するよう構成されることができる。その結果、血液酸素測定が実行されることができる。
【0085】
図11Aに示される実施形態は、
図5に示される場合に対応し、生理学的パラメータセンサ21は下側15に配置される。光学測定を提供するため、ここではウェアラブルデバイス10の下側を覆う膜41の形態の間隔要素は、上記光学生理学的パラメータセンサ21により使用される波長において透過的である。代替的に、間隔要素は、光学測定のための光路を提供するための1つ又は複数の穴又は開口を備えてもよい。即ち光源51及び/又は53からの光がユーザの皮膚に向かい、生理学的パラメータセンサ21の検出器52に戻る。
オプションで、金属電極又はグリッド状電極構成としてのITO層と組み合わせて、例えばUS7969645B2号又はSamuel Shian他(「High−speed, compact, adaptive lenses using in−line transparent dielectric elastomer actuator membranes」)に開示されるような透過的な材料から作られるEAPが使用されることができる。従って、EAPは、生理学的パラメータセンサ、ここではウェアラブルデバイス10の下側に埋め込まれ得るPPGセンサに対して(光学的に)透過的であり得る。汗の蒸発を可能にする穴が提供されることができる。
【0086】
一実施形態では、EAPは標準的なプラスチック材料で覆われることができる。プラスチック材料は、キャリア層として機能することができる。そこでは、
図6に既に示されるように、生理学的パラメータセンサ21が間隔要素を形成するEAPに固定され得る。例えば、生理学的パラメータは固定される、例えば電気的フットプリント上及び/又は電気的活性ポリマー自体のトラック上にはんだ付けされることができる。例えば、金属はんだドット及びトラックは、電気活性ポリマーの活性材料のプラスチックカバーにおいて実現されることができる。このアプローチは、フレックスフォイルプリント回路基板に似ていると考えられることができる。
【0087】
一実施形態では、間隔要素41は、着用されるとき、ウェアラブルデバイスの下面15と対象100の皮膚101との間の(垂直の)穴を含むことができる。このアプローチの利点は、換気が改善されることにある。ダイアフラムのようなEAP構成も可能である。オプションで、穴は、流体(又は気体)が一方の側から他方の側へ上記開口を通って流れるよう構成された制御可能なバルブ構造として提供され得る。バルブは、EAPが活性化される場合は開いて、EAPが非活性化される場合は閉じていることができる。更に別の実施形態では、EAPは、開いた状態から閉じた状態に切り替えられることができる小さな穴を含むことができる。開いた状態では、換気が行われることができる。
【0088】
少なくとも部分的に透過的な間隔要素41を提供することに加えて、又はその代替として、間隔要素41は、生理学的パラメータセンサ21のための開口部を有し得る。
【0089】
図11Bを参照すると、間隔要素41はオプションで、異なる部分41a〜41dを含むことができる。各部分は、電気活性ポリマーを含んでもよい。オプションで、部分41a及び41b又は更なるセクションが、汗の除去をサポートする、例えば汗を除去するためのカスケード動作を提供するため、例えばカスケード式に交互に活性化又は非活性化されることができる。例えば、セクションは交互に活性化又は非活性化されることができる。例えば、ストリップの第1のセットが第1の時間の間並行して活性化され、ストライプの第2のセットが第2の時間の間非活性化される。この逆も真である。例えば、第1の時間フレーム中に奇数(uneven)EAPセクションが非活性化される間、すべての偶数(even)EAPセクションが活性化され、次のタイムフレーム中にステータスが逆の状態に反転されることができる。
【0090】
図5及び
図6の比較を参照すると、
図6に示されるように、生理学的パラメータセンサ21が間隔要素41と共に移動するとき、間隔要素41は透明である必要はなく、生理学的測定は、換気状態又は汗脱出モード中でも継続して行われることができる。しかしながら、
図5に示される構成は、安定性及び製造に関する利点がある。しかしながら、
図3の測定トレースに既に示されるように、生理学的パラメータセンサは、換気状態中にユーザの皮膚に接触しない場合があり、及び従って生理学的パラメータ測定の信号対雑音比が高くなりすぎ、これにより、
図3の時間間隔Vxにより示されるように、換気状態中の測定が無視される必要がある場合がある。
【0091】
再び
図3を参照すると、間隔要素41としての膜は、一定の時間間隔で張力をかけられることができる。従って、タイマー22又はクロックがトリガーとして使用されることができる。特に、汗センサ24(
図2を参照)がかなりの量の汗が存在すること、即ち所定の閾値を超えることを測定するとき、膜に張力がかけられることができる。最先端のガルバニック皮膚反応センサが汗センサ24として使用されることができる。他の実施形態では、1つ又は複数の他のセンサを使用して、汗の量が推定されることができる。センサの例は、皮膚温度センサ、環境温度センサ、加速度計若しくはジャイロスコープなどの運動センサ、又はPPG、生体インピーダンス、静電容量センサなどのデバイスの生理学的パラメータセンサ21とすることができる心拍数センサの1つ又は複数を含む。高温が測定されるとき、心拍数が高いとき、及び/又はランニング若しくはサイクリングのような運動が運動センサ信号から認識されるとき、汗の移動(sweat excursion)が予想される。予想される発汗の斯かる期間において、ウェアラブルデバイスは時々、即ち、ウェアラブルデバイスの下側を換気する時間が処理ユニットにより決定されるとき換気状態と接触状態との間で変更されることができる。
【0092】
ウェアラブルデバイスが換気状態に切り替わった後、換気が不要になったとき、即ち汗が蒸発したとき、ウェアラブルデバイスは、接触状態に戻されることができる。接触状態に戻るタイミングは、タイマー(例えば、換気状態に切り替えてから1分後などの所定の時間)、ガルバニック皮膚反応センサなどの汗測定値を提供するセンサ、又は発汗量の推定を提供する1つ若しくは複数のセンサ(例えば、換気状態での時間に基づかれることができる、汗が蒸発した量の推定値と組み合わせた皮膚温度センサ、心拍数センサ、又は運動センサ)に基づかれることができる。
オプションで、例えばユーザがVO2−maxテストを行っているとき、又は専用の測定時間間隔中の最大心拍数に関する知識が必要なときなど、継続的な監視が必要とされる場合、換気状態が手動でオフにされることができる。これにより、換気状態の望ましくない発生中に関連する測定データが失われないことが確実にされる。例えば、換気状態は、ユーザ入力を受信すると、例えば30分間の所定の期間、非活性化され得る。
【0093】
更に、経皮的O2又は経皮的CO2センサなど、本実施形態の心拍数センサに加えて、又は代替として、異なる生理学的パラメータセンサが使用されることができる。
【0094】
図12は、筐体11と、ウェアラブルデバイスをユーザ100に固定する固定要素12とを備えるウェアラブルデバイス10の更なる実施形態を示す。
図12に示されるデバイスは、前述の実施形態と同様及び/又は同一の特徴を含むことができる。相違点のみが強調表示される。
図12に示される実施形態では、筐体11内に凹部61が設けられる。前述の実施形態のように膜41の形態の間隔要素を提供する代わりに、生理学的パラメータセンサ21と対象の皮膚101との間に間隔40を提供するため、生理学的パラメータセンサ21が対象100の皮膚101から持ち上げられて離されることができるようウェアラブルデバイス10は構成される。測定中、
図13Aに示されるように、生理学的パラメータセンサ21は、対象100の皮膚101に向かって接触するように下降されることができる。従って、ウェアラブルデバイスは接触状態を採用するよう構成される。そこでは、ウェアラブルデバイス10の下側の生理的パラメータセンサは、対象100の皮膚101に接触するよう構成される。
図13Bは、ウェアラブルデバイス10の下側の生理学的パラメータセンサ21と対象100の皮膚101との間に間隔40が設けられる換気状態を示す。オプションで、
図13Bに示される換気状態及び
図13Aに示される接触状態のそれぞれの位置に生理学的パラメータセンサ21を固定するため、固定要素63が設けられることができる。
図14は、複数の上記固定要素63を示す上部断面図を示す。
【0095】
図15は、ウェアラブルデバイス10と対象の皮膚101との間に間隔40を提供する役割を果たす間隔要素41の更に別の実施形態を示す。
図15に示される間隔要素41は、ウェアラブルデバイス10と対象の皮膚101との間に間隔40を提供するよう構成され、間隔要素は、
図15における間隔要素41の実線で示される第1の換気状態と
図15における間隔要素41の破線で示される第2の接触状態との間で変位可能である。この実施形態の利点は、双安定であることである。間隔要素は、ある状態から別の状態に(小さな)力で切り替えられ、そこで安定した位置に留まるよう構成される。
【0096】
更に別の実施形態では、生理学的パラメータセンサをユーザの皮膚から持ち上げて換気状態を提供し、生理学的パラメータセンサをユーザの皮膚まで下げて、接触状態を提供するため、生理学的パラメータセンサの近くに1つ又は複数の間隔要素41が設けられることができる。
【0097】
図16は、本開示の一態様による方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。
図16は、ウェアラブルデバイスを作動させる方法300を説明し、ウェアラブルデバイスは、このデバイスをユーザに固定する固定要素と、着用されるときユーザの皮膚に接触する下側とを含む。
【0098】
第1のステップS1では、ウェアラブルデバイスがユーザに固定又は適用される。第2のステップS2において、ウェアラブルデバイスの下側とユーザの皮膚との間に蓄積された汗の量を示す汗レベル測定値が、処理ユニットにより決定される。次のステップS3では、ウェアラブルデバイスの上記下側を換気する時間が、処理ユニットによる上記汗レベル測定値に基づき決定される。
【0099】
本発明は、手首装着型ウェアラブルデバイスの実施形態を参照して説明されたが、ウェアラブルデバイスは、他の形態をとることもでき、又は指、耳たぶ、上腕若しくは胸などのユーザの身体の他の部分に適用できることを理解されたい。
【0100】
結論として、本書に提示されるウェアラブルデバイス、システム、及び方法は、特に汗により引き起こされる皮膚刺激の低減を可能にすることにより、改善された着用快適性を可能にする。更に、測定精度が有利に向上されることができる。なぜなら、汗を除去すると反射が減少するため、より正確な光学測定が可能になり、及び/又は皮膚の上の汗層によるインピーダンスの影響が低減されるため、より正確な生体インピーダンス測定が可能になるからである。
【0101】
本発明が、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、限定的ではなく説明的又は例示的であると見なされるべきである。本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び達成され得る。
【0102】
請求項において、「有する」という語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除するものではない。単一の要素又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0103】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として提供される光学式記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体において格納/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してといった他の形式で配布されることもできる。
【0104】
請求項中の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。