特許第6794588号(P6794588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000002
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000003
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000004
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000005
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000006
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000007
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000008
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000009
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000010
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000011
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000012
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000013
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000014
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000015
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000016
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000017
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000018
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000019
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000020
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000021
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000022
  • 特許6794588-ビル管理システム 図000023
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794588
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ビル管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20201119BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20201119BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G06Q50/16
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-535405(P2020-535405)
(86)(22)【出願日】2018年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2018029836
(87)【国際公開番号】WO2020031307
(87)【国際公開日】20200213
【審査請求日】2020年8月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 義統
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 利宏
(72)【発明者】
【氏名】川野 裕希
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−105228(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/017587(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/179876(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に設置された複数の電気機器の動作を制御可能なビル管理装置であって、
目標削減金額が入力される金額入力部と、
前記目標削減金額に応じた、前記電気機器及びその出力制限内容が定められた節電計画を生成する制御計画部と、
前記節電計画の実行期間における電力料金の、前記節電計画が実行されない基準期間の電力料金からの差額に基づいて、前記建築物に対する保守管理の費用負担を補助する保守ポイントを算出する保守ポイント算出部と、
前記差額が前記目標削減金額に未達であるときに、未達額に応じて前記保守管理の費用負担を補助する第一ペナルティポイントを算出する第一ペナルティポイント算出部と、
を備える、ビル管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビル管理装置であって、
前記節電計画の実行期間における電力料金が、前記基準期間の電力料金を超過するときに、超過額に基づいて前記保守管理の費用負担を補助する第二ペナルティポイントを算出する第二ペナルティポイント算出部を備える、ビル管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のビル管理装置であって、
前記第一ペナルティポイント算出部は、前記未達額に第一変換率を掛けて前記第一ペナルティポイントを算出し、
前記第二ペナルティポイント算出部は、前記超過額に前記第一変換率よりも高い第二変換率を掛けて前記第二ペナルティポイントを算出する、
ビル管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル(高層建築物)等の建築物に設置された電気機器の動作を制御するとともに、ビルに設置された電気機器を含む設備の保守管理を行う、ビル管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばビル等の建築物に設置された電気機器の消費電力を制御するために、電力管理システム(EMS、Energy Management System)が使用される。電力管理システムは、例えばビルの消費電力の削減を促進するための節電支援サービスを提供する。
【0003】
特許文献1ではビルや店舗等に設置された設備群に分散管理装置が接続される。さらに、これらとは離れた遠隔地に中央管理装置が設置される。中央管理装置によって、ビル等に設置された設備の運用、制御が行われる。中央管理装置は、例えばビルの設備、保守等のいわゆるファシリティサービスを行う会社に設置される。
【0004】
中央管理装置から分散管理装置に、エネルギ量を低減させるように設備の運用状況が設定された運用プログラムが配信される。運用プログラムに基づく計画値と実績値とが比較され、省エネルギが達成されたか否かが判定される。
【0005】
また、ビルのオーナー等の顧客は、電力料金として、事前にファシリティサービス会社と契約した基準の額を支払う。この基準の額と、省エネルギにより低減された電力料金との差額が、ファシリティサービス会社の利益となる。さらに特許文献1では、当該利益の何割かが、顧客のビルの保守管理維持の費用に充てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−306134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電力料金の低減額が、事前の計画値に未達であると、ファシリティサービス会社の利益も減り、これを原資とするビルの保守管理維持に充てられる費用(保守ポイント)も減ることとなる。保守ポイントが低く、その上電力料金の低減額が事前の計画値に未達である等、省エネサービスの精度が低いと、ファシリティサービスの契約を顧客に打ち切られるおそれもある。そこで本発明は、省エネルギサービスの精度を補償して、保守契約継続のインセンティブを顧客に提供可能な、節電支援システム、遠隔管理装置及び節電支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、建築物に設置された複数の電気機器の動作を制御可能なビル管理装置に関する。当該装置は、金額入力部、制御計画部、保守ポイント算出部、及び第一ペナルティポイント算出部を備える。金額入力部には目標削減金額が入力される。制御計画部は、目標削減金額に応じた、電気機器及びその出力制限内容が定められた節電計画を生成する。保守ポイント算出部は、節電計画の実行期間における電力料金の、節電計画が実行されない基準期間の電力料金からの差額に基づいて、建築物に対する保守管理の費用負担を補助する保守ポイントを算出する。第一ペナルティポイント算出部は、差額が目標削減金額に未達であるときに、未達額に応じて保守管理の費用負担を補助する第一ペナルティポイントを算出する。
【0009】
上記発明によれば、目標削減金額に未達の場合には、これを補償(補填)するようにして第一ペナルティポイントが発生する。第一ペナルティポイントは保守管理の費用負担の補助ポイントとして利用できることから、保守契約継続のインセンティブが顧客に提供される。
【0010】
また上記発明において、節電計画の実行期間における電力料金が、基準期間の電力料金を超過するときに、超過額に基づいて保守管理の費用負担を補助する第二ペナルティポイントを算出する第二ペナルティポイント算出部を備えてもよい。
【0011】
上記発明によれば、結果的に節電効果が得られなかった場合であっても、第二ペナルティポイントによって保守契約継続のインセンティブが顧客に提供される。
【0012】
また上記発明において、第一ペナルティポイント算出部は、未達額に第一変換率を掛けて第一ペナルティポイントを算出してもよい。また第二ペナルティポイント算出部は、超過額に第一変換率よりも高い第二変換率を掛けて第二ペナルティポイントを算出してもよい。
【0013】
上記発明によれば、節電効果が得られなかった場合に得られる第二ペナルティポイントの変換率が、第一ペナルティポイントの変換率よりも高く設定されることで、顧客の納得感を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、省エネルギサービスの精度を補償して、保守契約継続のインセンティブを顧客に提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係るビル管理システムを例示する図である。
図2】遠隔管理装置の節電計画作成部の機能ブロックを例示する図である。
図3】物件情報記憶部の記憶内容を例示する図である。
図4】電力料金体系記憶部の記憶内容を例示する図である。
図5】月単位の消費電力量を例示するグラフである。
図6】契約電力について説明する月別グラフである。
図7】契約電力について説明する日別グラフである。
図8】契約電力について説明する時間別グラフである。
図9】出力制限内容記憶部に記憶された、出力制限リストを例示する図である。
図10】節電制御の一例である、均等制限について説明する時間別グラフである。
図11】節電制御の一例である、ピークカットについて説明する時間別グラフである。
図12】節電制御の一例である、均等制限について説明する月別グラフである。
図13】節電制御の一例である、ピークカットについて説明する月別グラフである。
図14】本実施形態に係る節電計画作成プロセス(電力量のみ)を例示するフローチャートである。
図15】本実施形態に係る節電計画作成プロセス(電力量及び契約電力)を例示するフローチャート(1/2)である。
図16】本実施形態に係る節電計画作成プロセス(電力量及び契約電力)を例示するフローチャート(2/2)である。
図17】契約電力の低減について説明する図である。
図18】本実施形態に係る遠隔管理装置の、節電計画評価部の機能ブロックを例示する図である。
図19】成功報酬及び保守ポイントの算出について説明する図である。
図20】成功報酬、保守ポイント及び第一ペナルティポイントの算出について説明する図である。
図21】第一及び第二ペナルティポイントの算出について説明する図である。
図22】本実施形態に係る節電計画評価プロセスを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、本実施形態に係るビル管理システムが例示される。図1に例示されるビル管理システムは、例えばビル11(高層建築物)等に設置された電気機器(電気設備)の監視制御システムであるBEMS(Building and Energy Manegement System)を含んで構成される。
【0017】
ビル管理システムは、中央管理装置10及び遠隔管理装置12(ビル管理装置)を備える。中央管理装置10は、ビル11に設置され、当該ビル11に設置された複数の電気機器20A〜20C(電気設備)の動作を制御可能となっている。
【0018】
中央管理装置10は、例えばB−OWS(BACnet Operator Workstation)と呼ばれる中央監視サーバであってよい。中央管理装置10は、サブコントローラ14A,14B(B−BC)に、バスを介して接続される。サブコントローラ14A,14Bは管理対象機器である各電気機器20A〜20Cや各種センサ22A〜22Dに接続される。
【0019】
電気機器20A〜20Cは、ビル内に設置される種々の設備機器であり、中央管理装置10の管理対象機器(制御対象機器)である。電気機器20A〜20Cには、例えば照明機器、空調機器、昇降機、衛生機器、防災機器、及び防犯機器等が含まれる。図1の例では、電気機器20Aは照明機器であり、電気機器20Bは照明操作盤であり、電気機器20Cは空調機である。
【0020】
また、センサ22Aは照度センサであり、センサ22Bは照明電力メータであり、22Cは空調機センサであり、センサ22Dは空調電力メータである。このように、一つの電気機器20に対して一つの電力メータが設けられてよい。
【0021】
さらにセンサ22Eは主幹電力メータであり、要するに中央管理装置10が管理対象とするビル11に電気事業者から送電されるビル11全体の消費電力(ビル単位消費電力)を計量するメータである。主幹電力メータ22Eから、ビル11全体の消費電力量[kWh]や最大消費電力[kW]を得ることができる。
【0022】
主幹電力メータ22Eは例えば電気事業者によって設置され、主幹電力メータ22Eが検出した主幹電力は電気事業者に送信される。電気事業者に送信される主幹電力を中央管理装置10もモニタリング可能とすることで、電気事業者とビル管理者との間で主幹電力の情報を共有化できる。
【0023】
なお、図1は紙面の都合上、中央管理装置10の下位に接続されるサブコントローラ14等の機器の一部を例示するものであって、図示した構成の他にも種々の機器が接続されていてよい。
【0024】
中央管理装置10は、ビル11の管理者等により操作監視されるクライアントPCとしての機能と、データ保存やアプリケーション処理等を行うサーバとしての機能を備えている。中央管理装置10では、例えば画面表示や設定操作が行われる。
【0025】
また中央管理装置10は、ゲートウェイ装置15及び通信回線16を介して、遠隔管理装置12と接続される。ゲートウェイ装置15は例えばBEMSシステム内の機器とBEMSシステム外の機器との通信に際して介在される機器である。ゲートウェイ装置15は、例えば通信プロトコルの異なる機器間に介在して、一方(例えば遠隔管理装置12)の通信プロトコルに合わせて他方(例えば中央管理装置10)の情報を一方に送信可能となっている。また通信回線16は例えば中央管理装置10と遠隔管理装置12と結ぶ二地点間専用回線や一般回線が用いられる。
【0026】
サブコントローラ14は主に制御機能を担う。サブコントローラ14は、例えばいわゆるB−BC(BACnet Building Controller)から構成されており、ポイントデータやスケジュール制御等を管理する。例えばサブコントローラ14は、空調設備系統、照明設備系統、昇降機系統、衛生設備系統、防犯設備系統等、各機能別系統(サブシステム)ごとに一つずつ設けられる。
【0027】
遠隔管理装置12は、中央管理装置10から離間された遠隔に設置される。例えば遠隔管理装置12は、複数の中央管理装置10に接続可能となっている。例えば、ビルの保守契約を結んだ保守会社(保守センター)に遠隔管理装置12が設置され、同保守契約を結んだビル管理者(クライアント)の所有するビルに中央管理装置10が設置される。
【0028】
遠隔管理装置12は、それぞれの中央管理装置10から、設備稼働データ、主幹電力の消費電力[kW]、及び消費電力量[kWh]のデータを受信可能となっている。ここで、設備稼働データとは、例えば照度センサ22A等のセンサから検出されたデータであって、各電気機器20の消費電力[kW]、消費電力量[kWh]、温度、照度、風量、回転数、トルク、設定温度等の各種データが含まれる。
【0029】
消費電力[kW]は理論的には瞬時値であるが、電力料金算出の実務に即して、いわゆるデマンド値を消費電力[kW]として扱ってもよい。デマンド値は消費電力[kW]の30分間平均値を指す。
【0030】
さらに後述するように、遠隔管理装置12は、中央管理装置10に制御指令を送信可能となっている。制御指令はビル11内の電気機器20A〜20Cの動作を制御するための指令(信号)であって、遠隔管理装置12から当該制御指令を受信した中央管理装置10によって、これらの電気機器20A〜20Cの動作が制御される。
【0031】
中央管理装置10、遠隔管理装置12は、及びサブコントローラ14A,14Bはコンピュータから構成される。例えば代表的に中央管理装置10や遠隔管理装置12に示されるように、そのいずれにも、CPU26、メモリ28、ハードディスクドライブ(HDD)30、入力部32、出力部34、及び入出力インターフェース36が設けられる。
【0032】
後述するように、遠隔管理装置12のCPU26、メモリ28及びハードディスクドライブ30によって、図2に例示されるような節電計画作成部の機能ブロックや、図18に例示されるような節電計画評価部の機能ブロックが構成される。また、出力部34は例えばディスプレイであって、例えばビル単位消費電力の変化等が表示される。また後述する節電計画作成プロセスにおいて、目標削減金額に対する制御計画等が表示される。入力部32はキーボードやマウス等の入力デバイスであってよく、例えば後述する目標削減金額を入力可能となっている。また、入力部32への入力を介して、デマンド制御リストの登録内容を設定、変更可能となっている。
【0033】
図2には、遠隔管理装置12の節電計画作成部の機能ブロックが例示される。遠隔管理装置12は、演算処理部として、金額入力部50、通貨換算部52、金額分配部54、目標最大電力算出部56、目標削減電力量算出部58、制御計画部60、及び出力部62を備える。出力部62はディスプレイであるところの出力部34に接続される。
【0034】
また遠隔管理装置12は、記憶部として、物件情報記憶部70、分配割合記憶部72、電力料金体系記憶部74、消費電力量実測値記憶部76、及び出力制限内容記憶部78を備える。
【0035】
後述する節電計画作成プロセスを実行するためのプログラムが、コンピュータである遠隔管理装置12によって実行される。これにより、遠隔管理装置12のCPU26、メモリ28、ハードディスクドライブ30等の各リソースが割り当てられ、図2に例示される各機能部が構成される。
【0036】
遠隔管理装置12の各機能ブロックの作用効果について概説すると、金額入力部50には、所定のビル11に対する電力料金の目標削減金額が入力される。目標削減金額は、例えば電力料金α1から電力料金α2に電力料金を減らす際の差分(α1−α2)である。例えば昨年と比較して、Δα円電力料金を減らしたい、との要望がビル所有者から寄せられたときに、当該Δα円が目標削減金額となる。
【0037】
目標削減金額は年間の金額でも、月間の金額でもよい。また、目標削減金額の通貨は、例えば遠隔管理装置12が設置された通貨であってもよい。
【0038】
通貨換算部52では、金額入力部50に入力された目標削減金額が、ビル11が設置された地域の通貨ベースの金額に換算される。金額分配部54では、電気料金が固定料金と従量料金の二部料金制である場合に、現地通貨換算後の目標削減金額が、固定料金分の削減金額と、従量料金分の削減金額とに分配される。
【0039】
目標最大電力算出部56では、固定料金分の削減金額に応じた目標削減電力である目標最大電力[kW]が求められる。目標削減電力量算出部58では、従量料金分の削減金額に応じた目標削減電力量[kWh]が求められる。
【0040】
制御計画部60では、目標最大電力[kW]及び目標削減電力量[kWh]を達成するため、動作制限の対象となる電気機器、及びその制限内容が定められた制御計画が作成される。つまり制御計画部60は、ビル11に設置されたそれぞれの電気機器20A〜20Cの消費電力量実測値及び出力制限内容に基づいて、目標削減電力量を満たす少なくとも一つの電気機器及び少なくとも一つの出力制限内容を求める。
【0041】
作成された制御計画が出力部62から出力される。出力された制御計画がビル11の管理者(ビルオーナー等)に承認されると、承認指示が制御計画部60に送信される。その後、制御計画部60は承認された制御計画をビル11の中央管理装置10に送信する。中央管理装置10は、制御計画に基づいて電気機器20A〜20Cの動作を制御する。
【0042】
物件情報記憶部70には、ビル11の情報や、ビル11が設置された地域の情報が記憶される。具体的には図3に例示されるように、物件情報記憶部70には、ビル名称、ビル管理者、住所、所在地域、通貨、為替レート、竣工年月日、築年数、延べ床面積、階数等の情報が記憶される。
【0043】
上記のように、物件情報記憶部70には通貨及び為替レートが記憶される。通貨はビル11が建てられた地域(国)の通貨(現地通貨)を示しており、為替レートは現地通貨と金額入力部50に入力された目標削減金額の通貨との換算比率を示している。現地通貨と金額入力部50に入力された目標削減金額の通貨との換算比率の代わりに、現地通貨とビル管理者の所在地域(国)の通貨との換算比率であってよい。
【0044】
なお、為替レートは経時的に変動することから、遠隔管理装置12は、定期的に為替相場等から為替レートを取得して更新することが好適である。このように、物件情報記憶部70には、為替レートが記憶されることから、物件情報記憶部70は為替レート記憶部をその一部に含むことになる。
【0045】
分配割合記憶部72には、電気料金体系が固定料金と従量料金の二部料金制を採る場合に、目標削減金額の負担分を固定料金分と従量料金分とに分配する割合(分配率)が記憶される。後述するように固定料金が最大消費電力[kW]に基づいて定められ、従量料金が消費電力量[kWh]に基づいて定められる場合に、分配割合記憶部72に記憶された分配割合にしたがって、それぞれの負担額が分配(按分)される。
【0046】
分配割合記憶部72の分配割合は、例えばビル11の管理者等により入力部32での入力操作を介して任意に変更可能であってよい。例えば電気料金体系の変更に伴い、分配割合を変更してもよい。
【0047】
電力料金体系記憶部74には、ビル11の管理者と当該ビル11に電力を供給する供給元(電気事業者)との間で定められた電力料金体系が記憶される。例えば図4に例示されるように、電力料金体系記憶部74には、受電電力の電力区分、料金プラン、契約電力会社等の情報が記憶される。
【0048】
例えば料金プランとして、固定料金である基本料金と、従量料金である電力量料金及び再生可能エネルギ発電促進賦課金とが、電力料金体系記憶部74に記憶される。電力量料金は下記数式(1)により求められる。
【0049】
[数1]
電力量料金=電力量料金単価 × 使用電力量 ± 燃料費調整額 ・・・(1)
【0050】
上記数式(1)のうち、電力量料金単価が図4に例示される。この例では、夏季平日、夏季以外の平日、及び休日の3段階に分かれて電力量料金単価が定められる。燃料費調達額は、火力燃料の価格変動に応じて定められる。
【0051】
数式(1)中、使用電力量は、ビル11の主幹電力、つまり、ビル11単位の全体的な消費電力の電力量[kWh]であり、主幹電力メータ22Eにより検出される。例えば図5に例示されるように、主幹電力メータ22Eによって各月の消費電力量(使用電力量)が求められる。この値がベースとなって、各月の電力量料金が求められる。
【0052】
なお図4の例では、季節及び平日/休日の区分にて電力量料金単価が定められているが、これに加えて、主幹電力の月間消費電力量に応じて電力量料金単価が変更されるような料金体系が電力料金体系記憶部74に記憶可能となっている。
【0053】
例えば月間の消費電力量が100kWh未満である場合と、100kWh以上300kWh未満である場合と、300kWh以上である場合とで、電力量料金単価が変更されるものであってもよい。この場合、例えば月間の消費電力量が多いほど電力量料金単価が高額となる。
【0054】
再生可能エネルギ発電促進賦課金は、下記数式(2)により求められる。
【0055】
[数2]
再生可能エネルギ発電促進賦課金=再エネ発電促進賦課金単価 × 使用電力量 ・・・(2)
【0056】
また、固定料金であるところの基本料金は、下記数式(3)により求められる。
【0057】
[数3]
基本料金=基本料金単価 × 契約電力 × 力率割合 ・・・(3)
【0058】
数式(3)中、図4に例示されるように基本料金単価A[円/kW]が電力料金体系記憶部74に記憶される。また力率割合は、主幹電力メータ22Eが測定した有効電力と無効電力との割合に基づいて定められる。
【0059】
契約電力[kW]は、所定期間における最大消費電力[kW]に基づいて定められる。例えば図6には、月別の最大消費電力が例示される。なお、図6のグラフでは、横軸に月、縦軸に主幹電力メータ22Eに検出された月別の最大消費電力[kW]が示される。
【0060】
契約電力を定めるに当たり、ある月(例えば7月)にて最大消費電力P_CD0が検出されると、それ以降1年間、最大消費電力P_CD0を下回っても各月の契約電力はP_CD0に固定される。
【0061】
例えば図7には7月の日別の最大消費電力[kW]が例示され、さらに図8には7月の所定の日(例えば7月10日)の最大消費電力[kW]が例示される。なお図8では、消費電力として、瞬時値である消費電力の30分間平均値であるデマンド値が用いられる。図7に示されるように、例えば7月10日の15:00〜15:30の消費電力のみP_CD0であって、それ以外の日時の消費電力は最大消費電力P_CD0未満である場合であっても、7月及びそれから一年間の契約電力はP_CD0に設定される。
【0062】
これを節電の観点から考慮すると、特定の日時(例えば7月10日の15:00〜15:30の)の消費電力を抑制させるのみにて契約電力を下げることが可能となり、契約電力契約期間である一年間の電力料金を軽減させることができる。
【0063】
なお、上述した電力料金体系は日本の電気事業者によって広く採用されている料金体系であって、その他の国、地域における電気事業者の電力料金体系も当然のことながら電力料金体系記憶部74に記憶され得る。
【0064】
例えば中国(中華人民共和国)では、大口需要家に対して、受電設備容量より課金される基本料金と従量料金とからなる二部料金制が採用される。ビル11の電気機器が省エネ型に更新される等、電気機器の交換によらなければ基本的に受電設備容量は変わらないことから、この場合は電力量[kWh]を削減することで従量料金を低減させることが好適である。つまり、分配割合記憶部72において、基本料金:従量料金=0:100としてもよい。
【0065】
また例えばスリランカでは、電力料金が基本料金と従量料金の二部制で構成されているが、従量料金だけでなく基本料金も月間の消費電力量で変動し得る。したがってこの場合、電力量を削減することで、従量料金と基本料金の両者を低減可能となる。
【0066】
消費電力量実測値記憶部76には、遠隔管理装置12と接続される中央管理装置10が設置されたビル11の主幹電力[kW]及び主幹電力量[kWh]の実測値が記憶される。例えば主幹電力メータ22Eによって検出された電力[kW]及びこれが積算された電力量[kWh]が消費電力量実測値記憶部76に記憶される。例えば消費電力量実測値記憶部76には、図6(月間単位)、図7(単日単位)、図8(時間単位)別に、主幹電力の消費電力量[kWh]が記憶される。なお消費電力量の算出に当たり、主幹電力[kW]のデマンド値を積算することで消費電力量を求めてもよい。
【0067】
また、消費電力量実測値記憶部76には、ビル11に設置された各電気機器20A〜20Cの実際の消費電力[kW]及び消費電力量[kWh]も記憶されている。また、各電気機器20A〜20Cの消費電力[kW]及び消費電力量[kWh]の時間変化と同期させて、各電気機器20A〜20Cの稼動状態(温度設定や風量設定等)の時間変化が消費電力量実測値記憶部76に記憶されていてもよい。
【0068】
出力制限内容記憶部78には、ビル11に設置された任意の電気機器20A〜20Cに対する出力制限内容が記憶される。出力制限対象となる電気機器20は、ビル11内の全ての電気機器であってもよいし、例えば常時温度調節が必要なサーバ室の空調等、重要度の高い電気機器については出力制限対象から除外されていてもよい。このような出力制限対象の電気機器の選定及びその具体的な制限内容は、ビル管理者及び遠隔管理装置12の運用者との協議に基づいて予め定められてよい。
【0069】
図9には、出力制限内容記憶部78に記憶された、各電気機器20への出力制限対象リストが例示されている。同図に例示された出力制限リストは、いわゆるデマンド制御に基づくものであって、複数の制限レベル(DmdLv)が定められていてよい。同図に例示されているように、制限レベルが高くなるほど、対象となる電気機器20の数が増加され、またその出力制限が強化される(厳しくなる)。
【0070】
例えば図9の、制限レベルDmdLv1には、空調1に対して出力25%カットが設定されている。この出力カット制御の具体的な内容が、図10及び図11に例示される。図10図11において、横軸は時間、縦軸は消費電力[kW]を示す。消費電力[kW]はデマンド値であってよい。また破線は実測値を示し、実線は出力制限実施時の予測値を示す。また図10図11に示される消費電力は、出力制限が設定された電気機器(空調1)の実測値(過去の値)であってよい。
【0071】
出力制限の具体的な内容として、例えば一日の消費電力量を削減させる場合に、図10に例示されるような、全時間帯に亘って均等に出力が制限される、均等制限が実行されてもよい。また出力制限の具体的な内容として、図11に例示されるような、消費電力が目標契約電力P_Objを超過する時間帯を狙って出力制限が掛けられる、ピークカットが実行されてもよい。
【0072】
また図12図13には、出力カット制御の月単位の制御内容が設定されている。この出力カット制御の具体的な内容が、図12及び図13に例示される。図12図13において、横軸は時間、縦軸は消費電力量[kWh]を示す。消費電力量[kWh]はデマンド値の積算値であってよい。また破線は実測値を示し、実線は出力制限実施時の予測値を示す。また図12図13に示される消費電力量は、出力制限が設定された電気機器(空調1)の実測値(過去の値)であってよい。
【0073】
出力制限の具体的な内容として、例えば図12に例示されるように、全ての月に亘って均等に出力が制限される、均等制限が実行されてもよい。また出力制限の具体的な内容として、図13に例示されるような、消費電力量が目標電力量WH_Objを超過する月を狙って出力制限が掛けられる、ピークカットが実行されてもよい。
【0074】
<節電計画作成プロセス(1)>
図14には、本実施形態に係る遠隔管理装置12における、節電計画作成プロセスのフローチャートが例示される。この例では、電力量[kWh]の削減により節電を達成するための制御計画を作成するプロセスが例示される。
【0075】
なお、図14に示されるフローチャートでは、従量料金の削減のみにて節電を達成するための制御計画が例示されている。このため、分配割合記憶部72には、固定料金:従量料金=0:100[%]にて分配率が定められる。
【0076】
図1図2図14を参照して、遠隔管理装置12の入力部32に対する入力操作を経て、遠隔管理装置12の金額入力部50に、目標削減金額が入力される。目標削減金額は、例えば年間単位の目標削減金額であってもよく、また月単位の目標削減金額であってもよい。このような期間別の目標削減金額の入力を可能とするために、例えば出力部34であるディスプレイに、目標削減金額の入力欄に加えて、節電期間(年間/月間)を選択する入力欄を設けてもよい。入力欄にて選択された節電期間は、その後の制御計画の制御期間として反映される。
【0077】
通貨換算部52は、物件情報記憶部70から入力された金額の通貨と、ビル11が設置された地域の通貨との為替レートを物件情報記憶部70から入手する。さらに通貨換算部52は、入手した為替レートに基づいて、金額入力部50に入力された目標削減金額を、ビル11が設置された地域の通貨に換算した換算目標削減金額を算出する(S10)。
【0078】
金額分配部54では、上述したように従量料金の分配率が100%であることから、換算目標削減金額がそのまま全額、目標削減電力量算出部58に送られる。目標削減電力量算出部58は、電力料金体系記憶部74から、ビル11に対して定められた電力料金体系データを入手し、当該データと換算目標削減金額に基づいて、目標削減電力量ΔWH_Objを求める(S12)。
【0079】
例えば上述したように、従量料金が電力量料金と再生可能エネルギ発電促進賦課金との和の場合、数式(1)(2)から、下記数式(4)が求められる。
【0080】
[数4]
換算目標削減金額=(電力量料金単価+再エネ発電促進賦課金単価) × 目標削減電力量 ± 燃料費調整額 ・・・(4)
【0081】
上記数式(4)に、ステップS12にて求められた換算目標削減金額を代入し、さらに直近の電力料金の算定に用いられた、電力量料金単価、再エネ発電促進賦課金単価、及び燃料費調整額を数式(4)に代入することで、目標削減電力量ΔWH_Objが求められる。求められた目標削減電力量ΔWH_Objは制御計画部60に送られる。
【0082】
制御計画部60は、出力制限内容記憶部78を参照して、目標削減電力量ΔWH_Objを満たすような、出力制限の対象となる電気機器及びその制御内容を設定する。具体的には、図9に例示された出力制限リストをもとに、出力制限の対象となる電気機器及びその制御内容が選択される。
【0083】
例えば、出力制限レベルが最も低い、言い換えると節電対策として最も受け容れられ易い、DmdLv1に設定された電気機器及び制限内容から検討される。制御計画部60は、出力制限レベルのカウントm(m=1〜4)を1に設定する(S14)。さらに制御計画部60は、出力制限レベルDmdLv_m(=1)のリストを出力制限内容記憶部78から抽出する。
【0084】
制御計画部60は、出力制限レベルDmdLv_m(=1)のリストに設定(登録)された電気機器のカウントkを初期値1に設定する(S16)。さらにカウントk(=1)番目の電気機器に設定された制限内容に基づいて、当該電気機器の制限内容の実行による、削減電力量ΔWH_k[kWh]を算出する(S18)。
【0085】
例えば図9を参照して、制限内容が出力25%カットである場合、当該電気機器の消費電力量の実測値×25%の値を削減電力量ΔWH_k[kWh]とする。実際には、節電期間の全期間に亘る、当該電気機器の、のべ削減電力量が求められる。例えば計算を単純化するために、節電期間と同一期間(例えば一年間)における、節電実施前の期間に亘る、のべ消費電力量の実測値に25%の値を掛けて、これを削減電力量ΔWH_k[kWh]とする。または、制限内容の実行に伴う削減電力量が予め既知である、または予測値が求められている場合には、当該制限内容に応じた削減電力量ΔWH_k[kWh]が求められる。
【0086】
なお、削減電力量ΔWH_kの算出基準となる各電気機器の消費電力値の実測値は、例えば出力制限が掛けられていない条件下における、各電気機器の消費電力値であってよい。また、例えば実測値の検出時に、すでに何らかの出力制限が掛けられていた電気機器に対しては、カウントkから除外してもよい。
【0087】
次に制御計画部60は、これまで選択された電気機器及びその制限内容による、のべ削減電力量ΣΔWH_kが、目標削減電力量ΔWH_Obj以上であるか否かを判定する(S20)。ΣΔWH_k≧ΔWH_Objである場合、制御計画部60は、ステップS14〜S20にて選択された電気機器及びその制限内容を一覧にしたリスト(制御計画リスト)を作成してこれを出力部62に出力する(S22)。
【0088】
この制御計画リストは、一旦遠隔管理装置12の管理者及びビル11の管理者に閲覧され、その制御内容の妥当性が検討される。制御計画リストの内容が妥当であると判断されると、当該制御計画を承認した旨の指示が制御計画部60に送られ(図2参照)、制御計画部60では当該制御計画に応じた制御指令がビル11の中央管理装置10に送られる。一方、制御計画リストの内容が妥当でないと判断されると、目標金額が変更され、再び節電計画作成プロセスが実行される。
【0089】
ステップS20に戻り、ΣΔWH_k<ΔWH_Objである場合、制御計画部60は、出力制限レベルDmdLv_m(=1)のリストに設定(登録)された電気機器のカウントkが最大値k_maxであるか否かを判定する(S24)。カウントkが最大値k_maxに到達していない場合、制御計画部60は、電気機器のカウントkをインクリメント(S30)した上で、ステップS18までフローを戻す。
【0090】
ステップS24にて、電気機器のカウントkが最大値k_maxに到達した場合、制御計画部60は、出力制限レベルDmdLv_mのカウントmが最大値m_maxであるか否かを判定する(S26)。カウントmがm_maxに到達していない場合、制御計画部60は、カウントmをインクリメント(S32)した上で、ステップS16までフローを戻す。
【0091】
なお、カウントmのインクリメントに際して、それまで積算されていたΣΔWH_kは0にリセットされてよい。
【0092】
一方、ステップS26にて出力制限レベルDmdLv_mのカウントmが最大値m_maxに到達している場合には、出力制限内容記憶部78に記憶された出力制限メニューでは目標金額の達成は不可能であるとして、エラーメッセージが出力部62に出力される(S28)。例えば目標削減金額を減額して再度節電計画作成プロセスを実行すべき旨のメッセージが出力される。
【0093】
このように、本実施形態に係る節電支援システムでは、目標削減金額を入力するのみにて、ビル11が設置された現地通貨ベースの目標削減電力量に対応した制御計画が算出される。したがって、例えば複数国、地域に亘る建築物の、目標削減金額に対する節電計画を、単一の通貨ベースで比較可能となる。
【0094】
<節電計画作成プロセス(2)>
図15図16には、本実施形態に係る遠隔管理装置12における、節電計画作成プロセスのフローチャートが例示される。図14のフローチャートと同一のステップ符号が付された処理については内容が重複するため適宜説明を省略する。
【0095】
図15図16に例示されたフローチャートでは、目標削減金額に応じて、目標契約電力P_Obj及び目標削減電力量ΔWH_Objが求められるとともに、この両者を満たすような電気機器及びその制限内容が設定される。
【0096】
図2図15を参照して、目標削減金額の、現地通貨への換算後に、金額分配部54は、分配割合記憶部72に記憶された分配率に基づいて、換算目標削減金額を、固定料金分(基本料金分)と従量料金分とに分配する。さらに分配後の目標削減金額及び電力料金体系に基づいて、目標契約電力P_Obj[kW]及び目標削減電力量ΔWH_Obj[kWh]が求められる(S42)。
【0097】
目標削減電力量ΔWH_Obj[kWh]は上述したように、数式(4)を用いて求めることができる。目標契約電力P_Obj[kW]は、数式(3)を用いて求めることができる。具体的には、数式(3)から下記数式(5)が求められる。
【0098】
[数5]
基本料金(節電前)=基本料金単価 × 契約電力(節電前) × 力率割合
基本料金(節電時)=基本料金単価 × 契約電力(節電時) × 力率割合
・・・(5)
【0099】
数式(5)において、上段の数式の基本料金単価は電力料金体系記憶部74から取得でき、契約電力(節電前)は消費電力量実測値記憶部76から取得でき、また、力率割合は主幹電力メータ22Eから取得できる。したがってこれらの値を代入することで、基本料金(節電前)を求めることができる。
【0100】
さらに下段の式において、求められた基本料金(節電前)に換算目標削減金額の固定料金分(基本料金分)を差し引くと、基本料金(節電時)が求められる。加えて、基本料金単価及び力率割合について、上段の数式と同一の値を代入すると、契約電力(節電時)、つまり目標契約電力P_Objが求められる。
【0101】
例えば目標契約電力P_Objは、図17に例示されるように、実測値における契約電力P_CD0よりも低い値に設定される。後述するように、図17にてハッチングで示される、目標契約電力P_Objからはみ出した電力を削減させるために、出力制限の内容が定められる。
【0102】
ステップS14〜S32では、図14と同様に、目標削減電力量ΔWH_Obj[kWh]を満たす電気機器及びその制限内容が定められる。
【0103】
さらにステップS20にて、目標削減電力量ΔWH_Obj[kWh]を満たす電気機器及びその制限内容が定められると、図16に進んで主幹電力の最大消費電力(最大デマンド値)が、節電期間の全期間を通じて、目標契約電力P_Obj以内に収まるか否かが判定される(S48)。例えば上記制限内容を実行させたと仮定したときの、ビル11全体の主幹電力の最大消費電力が目標契約電力P_Obj以内に収まるか否かが判定される。
【0104】
主幹電力の最大消費電力が目標契約電力P_Obj以内に収まる場合、制御計画部60は、ステップS14〜S20にて選択された電気機器及びその制限内容を一覧にしたリスト(制御計画リスト)を作成してこれを出力部62に出力する(S50)。図14のフローチャートと同様にして、この制御計画リストは、遠隔管理装置12の管理者及びビル11の管理者に閲覧され、その制御内容の妥当性が検討される。
【0105】
制御計画リストの内容が妥当であると判断されると、当該制御計画を承認した旨の指示が制御計画部60に送られ(図2参照)、制御計画部60では当該制御計画に応じた制御指令がビル11の中央管理装置10に送られる。一方、制御計画リストの内容が妥当でないと判断されると、目標金額及び分配比率の少なくとも一方が変更され、再び節電計画作成プロセスが実行される。
【0106】
ステップS48に戻り、主幹電力の最大消費電力が目標契約電力P_Objを超過すると予測される場合、制御計画部60は、出力制限レベルDmdLv_mのリストに設定(登録)された電気機器のカウントkが最大値k_maxであるか否かを判定する(S52)。カウントkが最大値k_maxに到達していない場合、制御計画部60は、電気機器のカウントkをインクリメント(S58)した上で、ステップS46までフローを戻す。
【0107】
ステップS46において、制御計画部60は、選択された電気機器に設定された出力制限内容に基づいて、削減可能電力ΔP_k[kW]を算出する。例えば実測値における電気機器の消費電力と、出力制限内容の実行に伴う消費電力(予測値)との差分から、削減可能電力ΔP_k[kW]が算出される。
【0108】
ステップS52に戻り、電気機器のカウントkが最大値k_maxに到達した場合、制御計画部60は、出力制限レベルDmdLv_mのカウントmが最大値m_maxであるか否かを判定する(S54)。カウントmがm_maxに到達していない場合、制御計画部60は、カウントmをインクリメント(S60)した上で、ステップS44までフローを戻す。ステップS44では、電気機器のカウントkが1にリセットされる。
【0109】
なおこのリセットに伴い、削減可能電力量の総和ΣΔWH_kが0にリセットされる。しかしながら、出力制限リストのレベルは一段階上に上げられることから、より制限が厳しくなり、その削減可能電力量の総和ΣΔWH_kは目標削減電力量ΔWH_Obj以上となる。したがって、引き続きΣΔWH_k≧ΔWH_Objとの関係は維持される。
【0110】
ステップS54にて出力制限レベルDmdLv_mのカウントmが最大値m_maxに到達している場合には、出力制限内容記憶部78に記憶された出力制限メニューでは目標金額の達成は不可能であるとして、エラーメッセージが出力部62に出力される(S56)。例えば目標削減金額を減額するか、金額分配率を修正して再度節電計画作成プロセスを実行すべき旨のメッセージが出力される。
【0111】
このように、本実施形態に係る節電支援システムでは、目標削減金額を入力するのみにて、ビル11が設置された現地通貨ベースの目標削減電力量に対応した制御計画が算出される。したがって、例えば複数国、地域に亘る建築物の、目標削減金額に対する節電計画を、単一の通貨ベースで比較可能となる。
【0112】
ビル管理者等により承認された制御計画リスト、つまり節電計画に基づいて、制御計画部60は制御指令を生成してビル11の中央管理装置10に当該制御指令を送信する。中央管理装置10は、受信した制御指令に基づいて、支配下の電気機器20A〜20Cの動作を制御する。
【0113】
<節電計画評価プロセス>
節電計画の実行期間が完了すると、当該節電計画の妥当性が評価される。すなわち、目標削減計画が達成されたか否かや、出力制限の対象となった電気機器の選択、及び、出力制限内容の妥当性が評価される。
【0114】
図18には、ビル管理装置である遠隔管理装置12の節電計画評価部における機能ブロックが例示される。遠隔管理装置12は、演算処理部として、電力料金算出部100、差額判定部102、成功報酬算出部104、保守ポイント算出部106、未達額算出部108、第一ペナルティポイント算出部110、及び第二ペナルティポイント算出部112を備える。
【0115】
また遠隔管理装置12は、記憶部として、電力料金体系記憶部114及び消費電力量実測値記憶部116を備える。これらの記憶部は、図2に例示される電力料金体系記憶部74及び消費電力量実測値記憶部76と同一であっても、別体であってもよい。電力料金体系記憶部74,114と消費電力量実測値記憶部76,116は、それぞれ同一の内容が記憶されていてよい。
【0116】
電力料金体系記憶部114には、ビル11の管理者と当該ビル11に電力を供給する供給元(電気事業者)との間で定められた電力料金体系が記憶される。例えば図4に例示されるように、電力料金体系記憶部114には、受電電力の電力区分、料金プラン、契約電力会社等の情報が記憶される。
【0117】
消費電力量実測値記憶部116には、遠隔管理装置12と接続される中央管理装置10が設置されたビル11の主幹電力[kW]及び主幹電力量[kWh]の実測値が記憶される。例えば主幹電力メータ22Eによって検出された電力[kW]及びこれが積算された電力量[kWh]が消費電力量実測値記憶部116に記憶される。例えば消費電力量実測値記憶部116には、図6(月間単位)、図7(単日単位)、図8(時間単位)別に、主幹電力の消費電力量[kWh]が記憶される。なお消費電力量の算出に当たり、主幹電力[kW]のデマンド値を積算することで消費電力量を求めてもよい。
【0118】
また、消費電力量実測値記憶部116には、ビル11に設置された各電気機器20A〜20Cの実際の消費電力[kW]及び消費電力量[kWh]も記憶されている。また、各電気機器20A〜20Cの消費電力[kW]及び消費電力量[kWh]の時間変化と同期させて、各電気機器20A〜20Cの稼動状態(温度設定や風量設定等)の時間変化が消費電力量実測値記憶部116に記憶されていてもよい。
【0119】
節電計画評価プロセスでは、節電前期間料金α1、節電期間料金α2、実差額Δα_Cal、目標削減金額Δα_Obj、成功報酬Fs、未達額Δβ、保守ポイントP1、第一ペナルティポイントP2、及び第二ペナルティポイントP3が算出される。
【0120】
図19を参照して、節電前期間料金α1は、図14図16にて定められた制御計画が実行されない基準期間、例えば、実行期間と同一期間であって節電計画が実行されない期間の電力料金を示す。また節電期間料金α2は、制御計画にて定められた実行期間(例えば1年間)における電力料金を示す。
【0121】
実差額Δα_Calは、節電前期間料金α1から節電期間料金α2を引いた差分額を示す。成功報酬Fsは、実差額Δα_Calに所定の変換割合a1を掛けた値(Fs=ΔCal×a1)である。変換割合a1は例えば0%から100%までの任意の値を取り得る(0%≦a1≦100%)。例えば図19ではa1=50%となっている。成功報酬Fsは、節電の報酬として、ビル11の管理者、言い換えるとビル11の保守管理の契約者から、遠隔管理装置12を所有するファシリティサービス会社に支払われる金額を示す。
【0122】
保守ポイントP1は、成功報酬Fsに所定の変換割合a2を掛けた値(P1=Fs×a2)である。変換割合a2は例えば0%から100%までの任意の値を取り得る(0%≦a2≦100%)。例えば図19ではa2=50%となっている。
【0123】
保守ポイントP1は、遠隔管理装置を所有し節電制御を行うファシリティサービス会社が提供する保守管理サービスの費用負担を補助するものであり、ビル11の管理者による、保守管理サービスの費用負担を軽減するものである。このような保守負担の軽減ポイントは、ビル11の管理者にとって、当該ファシリティサービス会社との保守契約を継続させるインセンティブとなって機能する。
【0124】
図20を参照して、未達額Δβは、目標削減金額Δα_Objから実差額Δα_Calを引いた値であって、節電計画の実行による電力料金の削減金額の、目標削減金額Δα_Objからの未達成分を示す。
【0125】
第一ペナルティポイントP2は、未達額Δβに変換割合a3を掛けた値(P2=Δβ×a3)である。変換割合a3は例えば0%から100%までの任意の値を取り得る(0%≦a3≦100%)。例えば図20ではa3=50%となっている。
【0126】
第一ペナルティポイントP2は、保守ポイントP1と同様に保守管理サービスの費用負担を補助するものであり、ビル11の管理者による、保守管理サービスの費用負担を軽減するものである。一方、保守ポイントP1の原資はビル11の管理者から支払われた成功報酬Fsに基づくのに対して、第一ペナルティポイントP2は遠隔管理装置12を所有するファシリティサービス会社の負担となる。
【0127】
例えばファシリティサービス会社が請け負った節電サービスによる削減金額Δα_Calが目標削減金額Δα_Objに到達しなかった場合に、その補償(補填)として、第一ペナルティポイントP2が発生する。ファシリティサービス会社としては、節電計画の設定を変更する等、節電計画の精度を向上させることで、第一ペナルティポイントP2を軽減させることができる。またビル11の管理者としては、第一ペナルティポイントP2が付与されることで保守契約継続のインセンティブが提供される。
【0128】
図21を参照して、第二ペナルティポイントP3は、節電期間料金α2が節電前期間料金α1を超過するとき、言い換えると実差額Δα_Cal(=α1−α2)が負になるときに、実差額Δα_Cal(超過額)の絶対値に所定の変換割合a4を掛けることで求められる(P3=|Δα_Cal×a4|)。
【0129】
節電計画の実行に当たり、出力制限対象でない電気機器の出力が増加する等の原因で、節電期間における主幹電力の電力料金α2が、節電前期間料金α1を超過するときがある。このような場合に、節電サービスを提供するファシリティサービス会社は、節電の失敗を補償(補填)するために、第二ペナルティポイントを拠出する。
【0130】
第二ペナルティポイントP3は、保守ポイントP1及び第一ペナルティポイントP2と同様に、保守管理サービスの費用負担を補助するものであり、ビル11の管理者による、保守管理サービスの費用負担を軽減するものである。また、第一ペナルティポイントP2と同様にして、第二ペナルティポイントP3は遠隔管理装置12を所有するファシリティサービス会社の負担となる。
【0131】
なお、節電サービスの失敗という観点では、未達額Δβが発生するよりも、節電期間料金α2が節電前期間料金α1を超過することの方が重大であると考えられる。そこで、負の実差額Δα_Calから第二ペナルティポイントP3を算出する際に用いられる変換割合a4は、未達額Δβから第一ペナルティポイントを算出する際に用いられる変換割合a3よりも高い値であってよい(a4>a3)。例えば図21に例示されるように、a4=100%であってよい。
【0132】
<節電計画評価フロー>
図22には、遠隔管理装置12による節電計画評価のフローチャートが例示されている。図18及び図22を参照して、節電期間の終了後、電力料金算出部100は、節電期間料金α2を算出する(S100)。具体的には電力料金算出部100は、節電期間における主幹電力の電力量[kWh]及び電力[kW](例えば30分デマンド値)を、消費電力量実測値記憶部116から取得する。さらに電力料金算出部100は、電力料金体系記憶部114を参照して、節電期間における電力料金α2を算出する。
【0133】
また電力料金算出部100は、節電前期間料金α1も算出する(S102)。例えば節電期間が4/1からその翌年の3/31までであったときに、それと同期間、例えばその前年度(4/1〜翌年3/31)の期間(基準期間)に亘る、主幹電力の電力量[kWh]及び電力[kW](例えば30分デマンド値)を、消費電力量実測値記憶部116から取得する。さらに電力料金算出部100は、電力料金体系記憶部114を参照して、基準期間における電力料金である、節電前期間料金α1を算出する。
【0134】
節電前期間料金α1及び節電期間料金α2は差額判定部102に送られる。差額判定部102では節電前期間料金α1から節電期間料金α2が引かれることで実差額Δα_Calが求められる(S104)。
【0135】
差額判定部102は、実差額Δα_Calが負の値であるか否かを判定する(S106)。実差額Δα_Calがゼロまたは正の値である場合、差額判定部102は、実差額Δα_Calを成功報酬算出部104及び未達額算出部108に送る。
【0136】
成功報酬算出部104では、実差額Δα_Calと変換割合a1との積から成功報酬Fsが算出される(S108)。成功報酬Fsは保守ポイント算出部106に送られる。保守ポイント算出部106では、成功報酬Fsと変換割合a2との積から保守ポイントP1が算出される(S110)。
【0137】
未達額算出部108は、実差額Δα_Calが目標削減金額Δα_Obj以上であるか否かを判定する(S112)。実差額Δα_Calが目標削減金額Δα_Obj以上である場合、ステップS108及びS110にて算出された成功報酬Fs及び保守ポイントP1は遠隔管理装置12の出力部34(図1参照)から出力される。またファシリティサービス会社(保守会社)の負担はゼロとなる(S114)。
【0138】
ステップS112にて、実差額Δα_Calが目標削減金額Δα_Obj未満である場合、未達額算出部108は、未達額Δβに変換割合a3を掛けることで第一ペナルティポイントP2を算出する(S116)。その結果、ステップS108及びS110にて算出された成功報酬Fs及び保守ポイントP1に加えて、ファシリティサービス会社の負担となる第一ペナルティポイントP2が、遠隔管理装置12の出力部34(図1参照)から出力される(S118)。
【0139】
ステップS106に戻り、実差額Δα_Calが負の値、つまり節電期間料金α2が節電前期間料金α1を超過する場合、差額判定部102は実差額Δα_Calを第二ペナルティポイント算出部112に送る。また差額判定部102は第一ペナルティポイントP2の算出を第一ペナルティポイント算出部110に指示する。
【0140】
第二ペナルティポイント算出部112では、実差額の絶対値|Δα_Cal|と変換割合a4との積から第二ペナルティポイントP3が算出される(S120)。また、第一ペナルティポイント算出部110は、目標未達金額、つまり目標削減金額Δα_Objの全額に変換割合a3を掛けることで、第一ペナルティポイントP2を算出する(S122)。
【0141】
この場合、ステップS120にて算出された第一ペナルティポイントP2及びステップS122にて算出された第二ペナルティポイントP3が遠隔管理装置12の出力部34(図1参照)から出力される(S124)。これらのペナルティポイントは全額ファシリティサービス会社の負担となる。
【0142】
上記の節電評価プロセスにより得られた保守ポイントP1、第一ペナルティポイントP2及び第二ペナルティポイントP3は、いずれもビル11に対する保守管理サービスの費用負担を補助する。例えばビル11の空調設備の交換時や、その他の設備の更新、リニューアルを含む、いわゆるモダニゼーションの際に、保守ポイントP1、第一ペナルティポイントP2及び第二ペナルティポイントP3を使用することができる。
【0143】
なお、保守ポイントP1、第一ペナルティポイントP2及び第二ペナルティポイントP3は、複数年に亘る有効期間が設定されていてもよく。また前年度、前々年度のこれらポイントが蓄積可能であってもよい。
【0144】
また、上記の節電評価プロセスを踏まえて、節電計画の見直しをしてもよい。例えば第一及び第二ペナルティポイントの発生を抑制するように、図9の出力制限リストを見直してもよい。またビル11単位の目標削減金額Δα_Objを見直してもよい。
【符号の説明】
【0145】
10 中央管理装置、11 ビル、12 遠隔管理装置、14 サブコントローラ、15 ゲートウェイ装置、16 通信回線、20 電気機器、22 センサ、22E 主幹電力メータ、50 金額入力部、52 通貨換算部、54 金額分配部、56 目標最大電力算出部、58 目標削減電力量算出部、60 制御計画部、62 出力部、70 物件情報記憶部、72 分配割合記憶部、74,114 電力料金体系記憶部、76,116 消費電力量実測値記憶部、78 出力制限内容記憶部、電力料金算出部100、差額判定部102、成功報酬算出部104、保守ポイント算出部106、未達額算出部108、第一ペナルティポイント算出部110、第二ペナルティポイント算出部112。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22