特許第6794595号(P6794595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6794595
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ボルト
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20201119BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F16B35/00 Z
   F16B35/00 R
   F16F15/08 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-203972(P2019-203972)
(22)【出願日】2019年11月11日
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】特願2019-141437(P2019-141437)
(32)【優先日】2019年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519197332
【氏名又は名称】デザインパーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】菅沼一喜
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−183817(JP,A)
【文献】 実開平02−075320(JP,U)
【文献】 特開2001−032940(JP,A)
【文献】 特開昭60−081509(JP,A)
【文献】 特開2017−120114(JP,A)
【文献】 特開平10−252731(JP,A)
【文献】 特開2019−078307(JP,A)
【文献】 特開2007−225026(JP,A)
【文献】 特開2013−007227(JP,A)
【文献】 特開2005−179533(JP,A)
【文献】 中国実用新案第209875675(CN,U)
【文献】 特開平04−209691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00−43/02
F16F 15/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部から底部に至る貫通孔と、この貫通孔に充填された弾性体とを備え、前記弾性体は、シリコーンゲルであり、JIS K 2220で規定される針入度が40〜90であることを特徴とするボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトに係り、特に振動吸収機能を備えたボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防振ボルトでは中心部に金属等の芯があり、複数の部品を組み合わせるなどで振動対策を施したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、従来のボルトより軽量化されたボルトが求められている。
【0003】
強度が必要とされるボルトは金属性のものがほとんどであるが、金属は硬度が高く振動伝達性が高いため、振動を吸収することができず、さらに重量が重くなってしまうという課題があった。
例えば、自動車や自動二輪車等の部品では、重量を抑える為の軽量化や振動を吸収し走行時のノイズを低減させたいという需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-96490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の防振ボルトでは、複雑な構造を持つので作成できる長さに制限があり長いボルトを作成するのは困難である。
また複雑な構造のため生産性に難があると共に、複数の部品を必要とするので製造工程が複雑で高価になるという問題があった。
さらに、構造が複雑な故、重量が重くなるという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、頂部から底部に至る貫通孔と、この貫通孔に充填された弾
性体とを備え、前記弾性体は、シリコーンゲルであり、 JIS K 2220で規定さ
れる針入度が40〜90であることを特微とするボルトである。
【発明の効果】
【0010】
従来のボルトに貫通孔を設け、その貫通孔に防振体を充填する。
その事により、防振と軽量化を実現できるうえ、簡素な構成で作成できる。
【0011】
貫通孔に弾性体を充填するという簡素な構成のため、安価で生産でき尚且つ長いボルトにも簡単に施工が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(1)本発明の一実施例のボルトの平面図、(2)本発明の一実施例のボルトの概略的断面図
図2図1(2)の弾性体が充填される前の状態の概略的断面図
図3図1(1)のボルト等の試験的効果を得るための治具
図4】本実施例の振動試験結果
図5】本実施例の重量比較表
図6】(1)上図は図1のボルトと異なる他の実施例の平面図、下図は概略的な一部断面図、 (2) 上図は図1又は図6(1)のボルトと異なる他の実施例の平面図、下図は概略的な一部断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本実施例を表している。図2は本実施例の貫通孔Cに弾性体を充填する前の状態を表している。このボルトは図2に示すように、ボルト頂部1Bからボルト底部1Aに貫通した貫通孔Cを有している。[図6(1)も同様]
この貫通孔Cには、図1に示す弾性体Dが充填されている。なお、図1の(2)、図6の(1) (2)記載の充填された弾性体Dの針入度は、40 〜90が良い。
この針入度は、吉田科学器械株式会社製、No.931グリースちょう度試験器を使用しJIS K2220に基づいて測定した。
弾性体Dは、振動吸収性を有しているもの(振動吸収部材)ならゴム、シリコンゲル、エラストマー等が適用できる。
ちなみに、本実施例では、充填のし易さからシリコンゲルを適用している。
本実施例では、頭部Bの拡径した部分には弾性体を充填していない。これは重量の増加を抑える為であると共に、六角レンチ等の工具の使用を想定している。当然、必要に応じて頭部Bの拡径した部分にも、弾性体を充填することは可能である。
このボルトは防振の効果があり、尚且つ軽量化されている。
【0014】
図6(2)に記載の長孔C´というのは胴部Aの長手方向にそって設けられた長孔であって、長孔C´は図6(2)に示すように、胴部Aの全体に渡って設けられているのが望ましいが一部でも可能である。
【0016】
振動試験は株式会社IMV社製C10を使用し行った。
以下、図3図4により防振の効果について説明する。
図3において、6は振動発生器に取り付けた治具である。1のプレートと2のプレートを3のボルトによって締結し7の振動発生器によって振動を発生させ4の本体側センサーAの振れの値と5の振動増幅測定センサーBの振れの値を測定する実験を行った。図4が試験結果である。
【0017】
以下、本実施例の試験用ボルトの詳細を説明する。
試験用ボルト 六角穴付きキャップボルト
材質 SCM435 黒色被膜処理
ボルトサイズ M16
全長 55ミリメートル
【0018】
振動数170Hzから190Hz間では無加工のボルト、針入度が40未満のゴムを充填したボルトに比べ本発明のシリコンゲルを充填したボルトの振動加速度の値が低いことが確認された。
同じ弾性体でも、シリコンゲルの方がゴムに比べより優れた防振効果を発揮している。
更にボルト自体に貫通孔を設けた事により無加工のボルトに比べ重量を抑える事が可能である。
【0019】
上述した弾性体は、ゴム、シリコンゲル、エラストマーの他、例えば天然ゴム、ブチルゴム、ネオプレンゴム、EVAやウレタンやスポンジ等振動吸収性を備えたものであれば、何でも適用できる。
充填の方法も、例えば丸棒のゴム材をそのまま入れることも可能であると共に、発泡性のものを中に挿入することや液状のものを流し込み充填させる等の方法でも貫通孔に入れることが出来、針入度が40〜90のものなら何でも適用可能である。
【符号の説明】
【0020】
A 胴部
B 頭部
C 貫通孔
C´ 長孔
D 弾性体
1A ボルト底部
1B ボルト頂部
1 本体プレート
2 振動増減測定プレート
3 ボルト
4 本体側センサーA
5 振動増減測定センサーB
6 振動発生器に取り付けた試験用治具
7 振動発生器
【要約】
【課題】軽量かつ振動を吸収するボルトの構造を提案する。

【解決手段】
ボルト頭部から底部に貫通孔を設け貫通孔に弾性体を充填することで軽量化と振動吸収性を高めた。

【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6