特許第6794660号(P6794660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794660
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】測定装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20201119BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20201119BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B41J2/01 301
   B41J2/01 451
   B41J2/01 401
   B41J2/21
   H04N1/04 Z
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-101359(P2016-101359)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-205979(P2017-205979A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】多津田 哲男
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−191357(JP,A)
【文献】 特開2003−229996(JP,A)
【文献】 特開平09−051406(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0020127(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する窓を有する光学装置と、
前記光学装置側に白色基準面を有し、前記窓を閉塞するためのシャッターと、
前記光学装置を一方向に沿って移動させる第一移動機構と、
前記第一移動機構による前記光学装置の移動に応じて、前記白色基準面によって前記窓が閉塞される第一位置と、前記窓に前記光が入射することが可能な第二位置との間で、前記窓と前記シャッターとを相対移動させる第二移動機構と、を備え
前記光学装置は複数設けられ、
前記シャッターは、複数の前記光学装置に対応するそれぞれの前記白色基準面を有し、
前記第二移動機構は、複数の前記白色基準面と、対応する前記光学装置と、の相対位置を前記第一位置及び前記第二位置の間で同時に変更する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置において、
前記窓と前記シャッターの相対位置が前記第二位置の場合に、前記白色基準面を覆うカバー部材を備える
ことを特徴とする測定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の測定装置において、
前記光学装置が設けられ、前記窓に対向する位置に開口部を有する筐体を備え、
前記シャッターは、前記筐体内に配置され、
前記第一移動機構は、前記筐体を移動させることにより前記光学装置を移動させる
ことを特徴とする測定装置。
【請求項4】
請求項に記載の測定装置において、
前記第二移動機構は、
前記シャッターと接続し前記筐体の外部に突出する突出部と、
前記第一移動機構による前記筐体の移動に応じて、前記突出部が当接する当接部と、を有し、
前記第一移動機構が、前記突出部を前記当接部に当接させながら前記筐体を移動させた際に、前記シャッターが相対移動される
ことを特徴とする測定装置。
【請求項5】
請求項に記載の測定装置において、
前記第二移動機構は、
前記シャッターと接続し前記筐体の外部に突出する突出部と、
前記第一移動機構による前記筐体の移動に応じて、前記突出部が当接する当接部と、
前記シャッターを前記一方向に沿って付勢する付勢部と、
前記シャッターの位置を固定するラッチ部と、を有し、
前記第一移動機構によって前記筐体が移動されて前記突出部が前記当接部に当接した際に、前記ラッチ部による前記シャッターの位置の固定又は前記固定の解除が行われ、前記第一位置と前記第二位置との間で、前記シャッターが相対移動される
ことを特徴とする測定装置。
【請求項6】
請求項又は請求項に記載の測定装置において、
前記突出部は、前記一方向に沿って前記筐体から突出する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の測定装置において
前記第一移動機構によって前記光学装置を移動させて、前記窓と前記シャッターとの相対位置を、前記第一位置と前記第二位置との間で変更する移動制御手段と、
前記光学装置に測定対象の測定を行わせる本測定を行わせる測定制御手段と、を備え、
前記移動制御手段は、前記本測定の実施時に、前記相対位置を前記第二位置に変更し、前記本測定の実施時以外は、前記相対位置を前記第一位置に変更する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の測定装置と、
メディアに対して画像を印刷する印刷部と、を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項に記載の印刷装置において、
前記光学装置がメンテナンス位置に移動された際に、前記印刷部のメンテナンスを実施するメンテナンス部を備え、
前記第二移動機構は、前記第一移動機構によって前記光学装置が前記メンテナンス位置に移動された際に、前記窓と前記シャッターとの相対位置を前記第一位置に変更する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項又は請求項に記載の印刷装置において、
前記第一移動機構によって前記光学装置を移動させて、前記窓と前記シャッターとの相対位置を、前記第一位置と前記第二位置との間で変更する移動制御部と、
前記印刷部に前記画像を印刷させる印刷制御部と、を備え、
前記印刷制御部は、前記移動制御部によって前記相対位置が前記第一位置に変更された後、前記印刷部に前記画像を印刷させる
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び印刷装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録ヘッドからインク滴を吐出してメディア上に画像を形成するプリンター(印刷装置)が知られている。このような印刷装置では、インク滴を吐出した際のインクミストが、例えば撮像カメラや分光器等の光学装置に付着し、光学装置の機能を低下させるおそれがある。これに対して、インクミストの付着を抑制する構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の印刷装置は、インクジェット記録ヘッドからインク滴を吐出し、メディアに着弾したインク滴を光照射部から照射される光により硬化させる光照射部を備える。この光照射部は、回転可能な円柱状のレンズを備えており、この円柱レンズを回転させることで、気流を発生させて、インクミストの付着を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−20423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、レンズを回転させるため、レンズの光学特性が低下する。したがって、例えば撮像カメラや分光器等、入射光に基づいた処理を行う光学装置に上記構成を適用すると、レンズの回転によって入射光が歪み、精度の高い撮像画像が得られなかったり、分光測定精度が低下したりする、つまり光学装置による測定精度が低下するという課題がある。
【0006】
さらに、上記光学装置によって得られた撮像画像や分光測定結果を校正するための白色基準板を印刷装置の内部に設ける場合がある。この場合、白色基準板へのインクミストの付着を抑制することは困難であり、校正精度、つまり光学装置による測定精度が低下するという課題がある。
【0007】
本発明は、簡易な構成で光学装置による測定精度の低下を抑制可能な測定装置及び印刷装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一適用例に係る測定装置は、光が入射する窓を有する光学装置と、前記光学装置側に白色基準面を有し、前記窓を閉塞するためのシャッターと、前記光学装置を一方向に沿って移動させる第一移動機構と、前記第一移動機構による前記光学装置の移動に応じて、前記白色基準面によって前記窓が閉塞される第一位置と、前記窓に前記光が入射することが可能な第二位置との間で、前記窓と前記シャッターとを相対移動させる第二移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本適用例では、光学装置と白色基準面を有するシャッターが、筐体内に配置されている。これらのうちシャッターは、第一移動機構による光学装置の移動に応じて、窓に対して相対移動され、白色基準面が窓に対向する、つまりシャッターによって窓が閉塞される第一位置と、窓に光が入射することが可能な第二位置との間で移動する。
この測定装置は、第一移動機構によって光学装置を移動させることにより、光学装置への入射光の取り込み位置、つまり測定位置を変更可能である。上記第一移動機構による光学装置の移動に応じて、光学装置に入射光を測定させる場合に第二位置に、当該処理を行わせない場合に第一位置に、シャッターを相対移動させることができる。シャッターの相対位置を第一位置に設定することにより、例えばインクミスト等の汚れによる光学装置の機能の低下及び白色基準面の汚れを抑制できる。
以上から、本適用例によれば、簡易な構成で光学装置による測定精度の低下を抑制することができる。
【0010】
本適用例の測定装置において、複数の前記光学装置を備え、前記シャッターは、前記複数の光学装置のそれぞれに対応する前記白色基準面を有し、前記第二移動機構は、複数の前記白色基準面と対応する前記光学装置との相対位置を前記第一位置と前記第二位置との間で同時に変更することが好ましい。
本適用例では、シャッターは、複数の光学装置に対応する白色基準面を有する。また、第二移動機構は、第一移動機構による光学装置の移動に応じて、複数の光学装置に対してシャッターの位置を第一位置と第二位置との間で同時に変更する。このような構成では、各光学装置とシャッターとの相対位置を個別に変更する場合と比べて構成を簡略化できる。したがって、複数の光学装置を備える場合でも、簡易な構成で各光学装置による測定精度の低下を抑制できる。
【0011】
本適用例の測定装置において、前記シャッターの相対位置が前記第二位置の場合に、前記白色基準面を覆うカバー部材を備えることが好ましい。
本適用例では、シャッターの相対位置の場合に、白色基準面を覆うカバー部材を備える。このような構成では、白色基準面は、第一位置では窓と対向して配置され、第二位置ではカバー部材によって覆われている。したがって、白色基準面へのインクミストの付着を抑制できる。
【0012】
本適用例の測定装置において、前記光学装置が設けられ、前記窓に対向する位置に開口部を有する筐体を備え、前記シャッターは、前記筐体内に配置され、前記第一移動機構は、前記筐体を移動させることにより前記光学装置を移動させることが好ましい。
本適用例は、光学装置及び白色基準面を有するシャッターが筐体の内に配置されている。また、シャッターが第一位置に設定されている場合、シャッターは窓とともに開口部も閉塞する。このような構成では、インクミストによる光学装置の性能の低下、及び白色基準面の汚れをより確実に抑制できる。したがって、光学装置による白色基準面の測定精度の低下を抑制でき、白色校正の校正精度の低下を抑制できる。
【0013】
本適用例の測定装置において、前記第二移動機構は、前記シャッターと接続し前記筐体の外部に突出する突出部と、前記第一移動機構による前記筐体の移動に応じて、前記突出部が当接する当接部と、を有し、前記第一移動機構が、前記突出部を前記当接部に当接させながら前記筐体を移動させた際に、前記シャッターが相対移動されることが好ましい。
本適用例では、第二移動機構は、シャッターと接続する突出部と、当該突出部が当接する当接部と、を有する。そして、突出部を当接部に当接させながら、第一移動機構によって筐体を移動させることにより、窓及び開口部とシャッターとの相対位置が変更される。このような構成では、第一移動機構を駆動させて筐体を移動させることにより、シャッターの相対位置を変更することができる。したがって、シャッターを移動させるためのモーターやアクチュエーター等の装置を別に設ける必要がなく、構成をより簡略化させることができる。
【0014】
本適用例の測定装置において、前記第二移動機構は、前記シャッターと接続し前記筐体の外部に突出する突出部と、前記第一移動機構による前記筐体の移動に応じて、前記突出部が当接する当接部と、前記シャッターを前記一方向に沿って付勢する付勢部と、前記シャッターの位置を固定するラッチ部と、を有し、前記第一移動機構によって前記筐体が移動されて前記突出部が前記当接部に当接した際に、前記ラッチ部による前記シャッターの位置の固定又は前記固定の解除が行われ、前記第一位置と前記第二位置との間で、前記シャッターが相対移動されることが好ましい。
ここで、ラッチ部は、付勢部材による付勢力に抗してシャッターの位置を固定可能に構成されている。本適用例では、シャッターに接続された突出部を当接部に当接した際に、ラッチ部によるシャッター位置の固定又は固定解除が行われる。
このような構成では、筐体を一方向又は当該一方向とは逆の方向のいずれか一方の方向に移動させることにより、シャッターと窓との位置関係を変更することができる。したがって、スライダー位置が固定された固定状態を、開放状態及び閉塞状態の一方に対応させ、固定状態が解除された固定解除状態を、開放状態及び閉塞状態の他方に対応させることにより、筐体を上記一方向に移動させることにより、開放状態と閉塞状態とを切り替えることができる。
【0015】
本適用例の測定装置において、前記突出部は、前記一方向に沿って前記筐体から突出することが好ましい。
本適用例では、突出部は、一方向に沿って筐体から突出する。このような構成では、当接部を、第一移動機構による筐体の移動範囲の外側に配置することができる。したがって、第一移動機構によって筐体が移動する際に、当接部と筐体とが干渉することを抑制することができ、筐体と当接部とが干渉することによる測定装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0016】
本適用例の測定装置において、前記第一移動機構によって前記光学装置を移動させて、前記窓と前記シャッターとの相対位置を、前記第一位置と前記第二位置との間で変更する移動制御手段と、前記光学装置に測定対象の測定を行わせる本測定を行わせる測定制御手段と、を備え、前記移動制御手段は、前記本測定の実施時に、前記相対位置を前記第二位置に変更し、前記本測定の実施時以外は、前記相対位置を前記第一位置に変更することが好ましい。
本適用例では、本測定時には、シャッターの相対位置を第二位置とすることにより、光学装置に光が通過可能な状態とする。また、本測定時以外(例えば測定待機時や、白色基準面の測定時等)は、シャッターの相対位置を第一位置とすることにより、当該シャッターによって窓を閉塞する。これにより、光学装置の窓を本測定時にのみ開放し、それ以外の場合は閉塞することができるので、光学装置への異物の付着をより確実に抑制できる。
【0017】
本発明の一適用例に係る印刷装置は、上記適用例に係る測定装置と、メディアに対して画像を印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする。
本適用例では、印刷部によって印刷された画像を、光学装置によって測定(例えば、光学装置が撮像装置である場合は撮像)できる。したがって、測定結果に基づいて、印刷装置の駆動条件を変更する等の処理を実施することができる。
また、本適用例では、第一移動機構による光学装置の移動に応じて、光学装置に入射光を測定させる場合に第二位置に、当該処理を行わせない場合に第一位置に、シャッターを相対移動させることができる。このように、シャッターの相対位置を第一位置に設定することにより、インクミストによる光学装置の機能の低下及び白色基準面の汚れを抑制できる。
以上から、本適用例によれば、簡易な構成で光学装置による測定精度の低下を抑制することができる。
【0018】
本適用例の印刷装置において、前記光学装置がメンテナンス位置に移動された際に、前記印刷部のメンテナンスを実施するメンテナンス部を備え、前記第二移動機構は、前記第一移動機構によって前記光学装置が前記メンテナンス位置に移動された際に、前記窓と前記シャッターとの相対位置を前記第一位置に変更することが好ましい。
本適用例では、メンテナンス部によるメンテナンス位置に光学装置が移動された際に、シャッターの相対位置が第一位置に変更される。このような構成では、窓がシャッターによって閉塞されている際に印刷部のメンテナンスが実施されるため、印刷装置のメンテナンスを行うことによる、光学装置の機能の低下や、白色基準面の汚れを抑制できる。
【0019】
本適用例の印刷装置において、前記第一移動機構によって前記光学装置を移動させて、前記窓と前記シャッターとの相対位置を、前記第一位置と前記第二位置との間で変更する移動制御部と、前記印刷部に前記画像を印刷させる印刷制御部と、を備え、前記印刷制御部は、前記移動制御部によって前記相対位置が前記第一位置に変更された後、前記印刷部に前記画像を印刷させることが好ましい。
本適用例では、移動制御手段によって、シャッターの相対位置が第一位置に変更された後、印刷部による画像の印刷を行う。このような構成では、印刷部による画像の印刷時に、シャッターによって窓を閉塞できる。したがって、印刷時にインクミストが発生した場合でも、当該インクミストによる光学装置の機能の低下や白色基準面の汚れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第一実施形態のプリンターの概略構成を示す外観図。
図2】第一実施形態のプリンターの概略構成を示すブロック図。
図3】第一実施形態のプリンターを要部の構成を模式的に示す平面図。
図4】第一実施形態のキャリッジの概略構成を示す断面図。
図5】第一実施形態のキャリッジの概略構成を示す断面図。
図6】第一実施形態のプリンターを要部の構成を模式的に示す平面図。
図7】第一実施形態の分光デバイスの概略構成を示す断面図。
図8】第一実施形態のプリンターを要部の構成を模式的に示す平面図。
図9】第一実施形態のプリンターを要部の構成を模式的に示す平面図。
図10】第一実施形態のCPUの機能を示すブロック図。
図11】第一実施形態のプリンターによる処理の一例を示すフローチャート。
図12】第二実施形態のキャリッジの概略構成を示す断面図。
図13】第二実施形態のキャリッジの概略構成を示す断面図。
図14】第三実施形態のキャリッジの概略構成を示す断面図。
図15】第三実施形態のキャリッジの概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の測定装置を備えた印刷装置の一例として、プリンター1(インクジェットプリンター)について、以下説明する。
【0022】
[プリンターの概略構成]
図1は、本実施形態のプリンター1の外観の構成例を示す斜視図である。図2は、本実施形態のプリンター1の概略構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態のプリンター1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、プリンター1は、本発明の印刷装置に相当し、ユニット筐体10と、供給ユニット11と、搬送ユニット12と、キャリッジ13と、本発明の移動機構に相当するキャリッジ移動ユニット14と、制御ユニット15(図2参照)と、本発明のメンテナンス部に相当するメンテナンスユニット20と、を備えている。また、キャリッジ13には、図3に示すように、印刷部16と、本発明の光学装置に相当する撮像部17及び分光器18と、インクミスト等の異物から撮像部17及び分光器18を保護するためのシャッター機構19と、が設けられている。シャッター機構19は、キャリッジ移動ユニット14によるキャリッジ13の移動に応じて駆動される。なお、本実施形態では、測定装置として、撮像部17、分光器18及びシャッター機構19が搭載されたキャリッジ13と、キャリッジ移動ユニット14と、を含む構成を例示する。
【0023】
このように構成されたプリンター1は、例えばパーソナルコンピューター等の外部機器30から入力された印刷データに基づいて、各ユニット11,12,14及びキャリッジ13を制御し、メディアM上に画像を印刷する。この画像として、例えば、濃度むらを補正するための補正用パターンを用いることにより、プリンター1は、撮像部17によって補正用パターンを撮像し、当該補正用パターンの撮像データに基づいて濃度むらの補正(バンディング補正)を行うことができる。
以下、プリンター1の各構成について具体的に説明する。
【0024】
ユニット筐体10は、各ユニット11,12,14,15,20及びキャリッジ13が設けられる。このユニット筐体10は、+Z側に位置し、搬送ユニット12やメンテナンスユニット20等が配置される底面部101と、底面部101に接続し−Z方向に立ち上る第一側面部102、第二側面部103、第三側面部104と、を備える。第一側面部102は−X側に位置し、第二側面部103は+X側に位置し、第三側面部104はX方向に沿って、第一側面部102と第二側面部103との間に位置する。
ここで、第一側面部102の内面102Aは、後述するシャッター機構19の第一端部194が当接する面であり、第二側面部103の内面103Aは、後述するシャッター機構19の第二端部195が当接する面である。これら各内面102A及び103Aは、シャッター191のX方向に沿った移動を規制する。
なお、図示を省略するが、プリンター1は、ユニット筐体10の少なくとも一部を覆う外装筐体を備える。
【0025】
供給ユニット11は、画像形成対象となるメディアM(本実施形態では、紙面を例示)を、画像形成位置に供給するユニットである。この供給ユニット11は、例えばメディアMが巻装されたロール体111(図1参照)、ロール駆動モーター(図示略)、及びロール駆動輪列(図示略)等を備える。そして、制御ユニット15からの指令に基づいて、ロール駆動モーターが回転駆動され、ロール駆動モーターの回転力がロール駆動輪列を介してロール体111に伝達される。これにより、ロール体111が回転し、ロール体111に巻装された紙面がY方向(副走査方向)における下流側(+Y方向)に供給される。
なお、本実施形態では、ロール体111に巻装された紙面を供給する例を示すがこれに限定されない。例えば、トレイ等に積載された紙面等のメディアMをローラー等によって例えば1枚ずつ供給する等、如何なる供給方法によってメディアMが供給されてもよい。
【0026】
搬送ユニット12は、供給ユニット11から供給されたメディアMを、Y方向に沿って搬送する。この搬送ユニット12は、搬送ローラー121と、搬送ローラー121とメディアMを挟んで配置され、搬送ローラー121に従動する従動ローラー(図示略)と、プラテン122と、を含んで構成されている。
搬送ローラー121は、図示略の搬送モーターからの駆動力が伝達され、制御ユニット15の制御により搬送モーターが駆動されると、その回転力により回転駆動されて、従動ローラーとの間にメディアMを挟み込んだ状態でY方向に沿って搬送する。また、搬送ローラー121のY方向の下流側(+Y側)には、キャリッジ13に対向するプラテン122が設けられている。
【0027】
キャリッジ13は、メディアMに対してインクを吐出して画像を印刷する印刷部16と、メディアM上の画像を撮像する撮像部17と、メディアM上の所定の測色位置の分光測定を行う分光器18と、シャッター機構19と、を搭載する筐体である。このキャリッジ13は、キャリッジ移動ユニット14によって、主走査方向に沿って移動される。なお、キャリッジ13、印刷部16、撮像部17、分光器18、及びシャッター機構19の詳細な構成については後述する。
ここで、主走査方向(X軸に沿う方向)が、本発明の一方向に相当する。
また、以降の説明にあたり、主走査方向における、−X側をHome側と称し、+X側をFull側と称す場合がある。ここで、Homeとは、印刷処理を実施しない待機状態に、キャリッジ13が退避される位置である。また、Fullは、Homeとは反対側である。
【0028】
キャリッジ移動ユニット14は、制御ユニット15からの指令に基づいて、キャリッジ13をX方向に沿って往復移動させる。すなわち、キャリッジ移動ユニット14は、本発明における第一移動機構に相当する。
このキャリッジ移動ユニット14は、例えば、キャリッジガイド軸141と、キャリッジモーター142と、タイミングベルト143と、を含んで構成されている。
キャリッジガイド軸141は、X方向に沿って配置され、両端部がプリンター1の例えば筐体に固定されている。キャリッジモーター142は、タイミングベルト143を駆動させる。タイミングベルト143は、キャリッジガイド軸141と略平行に支持され、キャリッジ13の一部が固定されている。そして、制御ユニット15の指令に基づいてキャリッジモーター142が駆動されると、タイミングベルト143が正逆走行され、タイミングベルト143に固定されたキャリッジ13がキャリッジガイド軸141にガイドされて往復移動する。
【0029】
メンテナンスユニット20は、印刷部16が備える後述するノズルユニット161(図3参照)のメンテナンスを行う際に用いられる。このメンテナンスユニット20は、図1及び図3に示すように、プリンター1のHome位置に設けられている。プリンター1は、メンテナンス時に、キャリッジ13をHome位置まで移動させた後、ノズルユニット161が備えるノズルからインクを吸引する、キャップや吸引ポンプ等(図示略)を備えている。
【0030】
制御ユニット15は、図2に示すように、I/F151と、ユニット制御回路152と、メモリー153と、CPU(Central Processing Unit)154と、を含んで構成され
ている。
I/F151は、外部機器30から入力される印刷データをCPU154に入力する。
ユニット制御回路152は、供給ユニット11、搬送ユニット12、キャリッジ移動ユニット14、メンテナンスユニット20、印刷部16、撮像部17(すなわち光源部172及び撮像素子174)、及び分光器18をそれぞれ制御する制御回路を備えており、CPU154からの指令信号に基づいて、各ユニットの動作を制御する。なお、各ユニットの制御回路が、制御ユニット15とは別体に設けられ、制御ユニット15に接続されていてもよい。
【0031】
メモリー153は、プリンター1の動作を制御する各種プログラムや各種データを記憶している。各種データとしては、例えば、印刷データとして含まれる色データに対する各インクの吐出量を記憶した印刷プロファイルデータ等が挙げられる。また、光源部172の各波長に対する発光特性や、撮像素子174の各波長に対する受光特性(受光感度特性)等が記憶されていてもよい。
【0032】
CPU154は、メモリー153に記憶された各種プログラムを読み出し実行することで、供給ユニット11、搬送ユニット12、及びキャリッジ移動ユニット14の駆動制御、印刷部16の印刷制御、撮像部17撮像制御、分光器18の分光測定制御、並びに、撮像部17及び分光器18による測定データに基づく調整処理(例えば濃度むらの補正(バンディング補正)処理や、色ずれの補正処理)等を実施する。CPU154の具体的な機能については後述する。
【0033】
[キャリッジの構成]
次に、キャリッジ13及び、当該キャリッジ13に設けられる印刷部16、撮像部17、分光器18、及びシャッター機構19の構成について説明する。
図4は、キャリッジ13、印刷部16、撮像部17、分光器18及びシャッター機構19の概略構成を示す断面図である。図5及び図6は、キャリッジ13及びシャッター機構19の概略構成を示す断面図である。
図3及び図4に示すように、キャリッジ13は、印刷部16と、撮像部17と、分光器18と、シャッター機構19と、を搭載する筐体であり、キャリッジ移動ユニット14によってX方向に沿って、つまり主走査方向に移動可能に構成される。これらのうち印刷部16、撮像部17及び分光器18は、フレキシブル回路130(図1参照)によって制御ユニット15に接続され、制御ユニット15から制御信号に基づいて駆動される。
また、後に詳述するが、シャッター機構19が備えるシャッター191は、X方向に沿ったキャリッジ13の移動に応じて、撮像部17の開口窓181A及び分光器の開口窓181Aを覆う状態と、各開口窓171A,181Aに光が入射することができる状態と、を変更可能に構成されている。
【0034】
キャリッジ13の底面(+Z側の面)131には、メディアMからの反射光を撮像部17へ入射させる第一開口131Aと、メディアMからの反射光を分光器18へ入射させる第二開口131Bと、が形成されている(図4及び図5参照)。これら各開口131A,131Bは、開口部に相当する。また、底面131には、後述する印刷部16のノズルを露出させるノズル開口131Cが形成されている。また、キャリッジ13の−X側の第一キャリッジ側面132には、後述するシャッター機構19のシャッター191が挿通される挿通孔132Aが形成されている。また、キャリッジ13の+X側の第二キャリッジ側面133には、シャッター191が挿通される挿通孔133Aが形成されている。この挿通孔133Aには、図5及び図6に示すように、シャッター191の第一凹部193A及び第二凹部193Bに嵌合し、シャッター191を位置決め固定するための位置決め部材133Bが配置されている。位置決め部材133Bは、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成されている。
【0035】
[印刷部の構成]
印刷部16は、制御ユニット15からの指令信号に基づいて、メディアMと対向する部分に、インクを個別にメディアM上に吐出して、メディアM上に画像を形成する印刷処理(メディアMに対する画像形成処理)を行う。
この印刷部16は、図3に示すように、複数色のインクに対応したノズルユニット161と、各ノズルユニット161にインクを供給するインクカートリッジ(図示略)と、インクカートリッジからノズルユニット161にインクを供給する供給管(図示略)と、を含み構成される。
ノズルユニット161は、メディアMに吐出する色毎(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレー、ライトグレー、マットブラック、フォトブラック等)に対応してそれぞれ設けられている。これらノズルユニット161は、インク滴を吐出するノズル(図示略)が設けられている。これらのノズルには、例えばピエゾ素子が配置されており、ピエゾ素子を駆動させることで、インクタンクから供給されたインク滴が+Z側に吐出されてメディアMに着弾し、ドットが形成される。このように構成されたノズルユニット161は、図4に示すように、+Z側の端部が、ノズル開口131C内に配置されており、ノズル先端がノズル開口131Cから露出している。
【0036】
[撮像部の構成]
撮像部17は、本発明の光学装置に相当し、図4に示すように、筐体171と、光源部172と、導光光学系173と、撮像素子174と、を備え、制御ユニット15からの指令信号に基づいて、メディアM上の所定の撮像領域を撮像する撮像処理を行う。つまり、撮像部17は、光源部172から光を照射して上記撮像領域を照明し、当該撮像領域からの反射光を、導光光学系173を介して撮像素子174で受光することにより、撮像領域を撮像する。本実施形態では、撮像部17は、図3及び図4に示すように、印刷部16よりもX方向におけるFull側で、かつ、Y方向における+Y側(下流側)に設けられている。
【0037】
筐体171は、例えばアルミ等の軽量で、かつ熱伝導率が高い素材により形成され、光源部172と、導光光学系173と、撮像素子174と、を収納する。
この筐体171は、下面(+Z側の面)に、本発明の窓に相当する開口窓171Aが設けられている。この開口窓171Aは、例えばキャリッジ13の底面131に設けられた開口131Aと同一形状に形成され、開口131Aと重なるように配置されている。本実施形態では、図3に示すように、筐体171の下面側における+Y側の端部171Bと、−Y側の端部171Cとが、キャリッジ13の底面131に固定されている。そして、図4に示すように、開口窓171Aと開口131Aとの形成位置において、筐体171とキャリッジ13の底面131との間には隙間CLが形成されている。この隙間CLのZ方向における寸法は、シャッター機構19のシャッター191を挿通可能な寸法である。
【0038】
図4に示す光源部172は、制御ユニット15からの指令信号に基づいて点灯され、撮像領域を含む領域を照明する。この光源部172は、LED等の小型かつ電力消費量が小さい光源と、必要に応じて光源から照射された照明光を、メディアMの所定の領域に照射するための各種導光部材と、により構成され、筐体171の側面に固定されている。なお、本実施形態では、X方向に沿って撮像素子174を挟むように二つの光源部172が設けられる構成を例示したが例えば、Y方向に沿って撮像素子174を挟むように二つの光源部172を配置してもよい。また一つの光源部172を設けてもよい。また、三つ以上の光源部172を撮像素子174の周囲に例えば等間隔に設けてもよく、これにより簡易な構成で撮像領域をより均一に照明することができる。
【0039】
導光光学系173は、単一又は複数のレンズや、アパーチャー等の光学部材により構成され、メディアM上の撮像領域で反射され、キャリッジ13の開口131A及び筐体171の開口窓171Aを通過した光を撮像素子174に導く。
撮像素子174は、複数画素を有するRGBイメージセンサーであり、導光光学系173の光軸上に配置され、メディアM上の所定の撮像領域で反射された光を受光し、撮像領域を撮像する。撮像素子174から出力された画像信号は、I−V変換器(図示略)、増幅器(図示略)、及びAD変換器(図示略)を介して制御ユニット15に入力される。
【0040】
[分光器の構成]
分光器18は、図4に示すように、筐体181と、光源部182と、分光デバイス183と、受光部184と等を備え構成され、メディアMにおける所定位置の分光スペクトルを測定する。つまり、この分光器18は、光源部182を点灯し、メディアMにて反射された光を、分光デバイス183に導き、分光デバイス183により分光された所定波長の光を受光部184にて受光させる。また、分光器18は、X方向において、撮像部17よりもHome側で、Y方向において印刷部16よりも+Y側(下流側)に設けられている。
なお、本実施形態では、測色規格(JIS Z 8722)により規定された光学的幾何条件における(45°x:0°)の方式に従って分光測定を実施する。すなわち、本実施形態では、光源部182からの照明光を測定対象に対して45°±2°の入射角で入射させ、測定対象にて0°±10°で法線方向に反射された光を受光部184で受光する。
【0041】
筐体181は、光源部182と、分光デバイス183と、受光部184とを収納する。この筐体181は、筐体171と同様に構成され、下面(+Z側の面)に、本発明の窓に相当する開口窓181Aが設けられている。この開口窓181Aは、例えばキャリッジ13の底面131に設けられた第二開口131Bと重なる位置に設けられている。また、筐体181は、下面側における+Y側の端部181Bと、−Y側の端部181Cとにおいて、キャリッジ13の底面131に固定されている。そして、図4に示すように、開口窓181Aと第二開口131Bとの形成位置において、筐体181とキャリッジ13の底面131との間には隙間CLが形成されている。この隙間CLのZ方向における寸法は、シャッター機構19のシャッター191を挿通可能な寸法である。
【0042】
光源部182は、メディアMに対して照明光を照射する。この光源部182は、例えばハロゲンランプやLEDやLD(半導体レーザー)等の光源と、光源から照射された照明光を、メディアMの所定の領域に照射するための各種導光部材と、を含み構成される。この導光部材としては、例えば、単一又は複数のアパーチャーやレンズ等である。
受光部184は、分光デバイス183の光軸上に配置され、分光デバイス183を透過した光を受光して、受光量に応じた検出信号(電流値)を出力する。なお、受光部184により出力された検出信号は、I−V変換器(図示略)、増幅器(図示略)、及びAD変換器(図示略)を介して制御ユニット15に入力される。
【0043】
図7は、分光デバイス183の概略構成を示す断面図である。
分光デバイス183は、フィルター筐体6と、フィルター筐体6の内部に収納された波長可変干渉フィルター5(分光素子)とを備えている。
波長可変干渉フィルター5は、波長可変型のファブリーペローエタロン素子である。本実施形態では、波長可変干渉フィルター5がフィルター筐体6に収納された状態で分光器18に配置される例を示すが、例えばフィルター筐体6を用いずに波長可変干渉フィルター5が直に分光器18に配置される構成などとしてもよい。
【0044】
この波長可変干渉フィルター5は、図7に示すように、可視光に対して透光性を有する固定基板51及び可動基板52を備え、これらの固定基板51及び可動基板52が、接合膜53により接合されることで、一体的に構成されている。固定基板51には、エッチングにより形成された第一溝部511、及び第一溝部511より溝深さが浅い第二溝部512が設けられ、第一溝部511には固定電極561が、第二溝部512には固定反射膜54がそれぞれ設けられている。固定反射膜54は、例えばAg等の金属膜、Ag合金等の合金膜、高屈折層及び低屈折層を積層した誘電体多層膜、又は、金属膜(合金膜)と誘電体多層膜を積層した積層体により構成されている。
【0045】
可動基板52は、可動部521と、可動部521の外に設けられ、可動部521を保持する保持部522とを備えている。可動部521の固定基板51に対向する面には、固定電極561に対向する可動電極562と、固定反射膜54に対向する可動反射膜55とが設けられている。可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いることができる。保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。
そして、上記のような波長可変干渉フィルター5では、固定電極561及び可動電極562により静電アクチュエーター56が構成され、この静電アクチュエーター56に電圧を印加することで、固定反射膜54及び可動反射膜55間のギャップGの間隔寸法を変更することが可能となる。また、可動基板52の外周部(固定基板51に対向しない領域)には、固定電極561や可動電極562と個別に接続された複数の電極パッド57が設けられている。
【0046】
フィルター筐体6は、図7に示すように、ベース61と、ガラス基板62と、を備えている。これらのベース61及びガラス基板62は、例えば低融点ガラス接合等により接合されることで、内部に収容空間が形成されており、この収容空間内に波長可変干渉フィルター5が収納される。
【0047】
ベース61は、例えば薄板状のセラミックを積層することで構成され、波長可変干渉フィルター5を収納可能な凹部611を有する。波長可変干渉フィルター5は、ベース61の凹部611の例えば側面に固定材64により固定されている。ベース61の凹部611の底面には、光通過孔612が設けられ、この光通過孔612を覆うカバーガラス63が接合されている。
また、ベース61には、波長可変干渉フィルター5の電極パッド57に接続される内側端子部613が設けられており、この内側端子部613は、導通孔614を介して、ベース61の外側に設けられた外側端子部615に接続されている。この外側端子部615は、制御ユニット15に電気的に接続されている。
【0048】
[シャッター機構の構成]
図5及び図6に示すように、シャッター機構19は、各開口窓171A,181A及び各開口131A,131Bを覆うためのシャッター191と、シャッター191の−X側にて挿通孔132AにX方向に沿って挿通される第一挿通部192と、シャッター191の+X側にて挿通孔133AにX方向に沿って挿通される第二挿通部193と、第一挿通部192の−X側端部に設けられた第一端部194と、第二挿通部193の+X側端部に設けられた第二端部195と、を備え、シャッター191をX方向に沿って移動可能に構成されている。
なお、シャッター機構19の第一挿通部192、第二挿通部193、第一端部194、及び第二端部195と、キャリッジ13の各挿通孔132A,133Aと、第一側面部102の内面102Aと、第二側面部103の内面103Aと、を含み第二移動機構が構成される。
【0049】
このシャッター機構19は、シャッター191によって各開口窓171A,181Aが閉塞される第一位置(図6に示し、以下、閉塞位置とも称す)と、開放される第二位置(図5に示し、以下、開放位置とも称す)との間で、シャッター191をX方向に沿って移動可能である。シャッター191が開放位置にある場合、撮像部17及び分光器18はメディアMからの光を受光可能である。一方、シャッター191が閉塞位置にある場合、各開口窓171A,181A及びキャリッジ13の各開口131A,131Bが閉塞されている。これにより、インクミスト等の異物が、撮像部17及び分光器18に付着したり、キャリッジ13内部へ侵入したりすることを抑制できる。
【0050】
シャッター191は、底面131の−Z側に配置され、Z方向から見た平面視において略矩形状の外形を有し、Y方向を長手方向とする板状部材であり(図3等参照)、各開口窓171A,181Aを閉塞可能な外形寸法(X方向及びY方向に沿った寸法)を有する。なお、シャッター191は、Y方向の寸法が開口窓171A,181Aと略同じである。また、シャッター191は、筐体171,181とキャリッジ13の底面131との間に形成された隙間CLに挿通可能な厚み寸法(Z方向の寸法)を有する。また、シャッター191は、ノズルユニット161のノズル先端よりも−Z側に配置されている。
【0051】
また、シャッター191は、分光器18の開口窓181Aに光を通過させるための開口である第一通過孔191Aと、撮像部17の開口窓171Aに光を通過させるための開口である第二通過孔191Bと、を有する。これら第一通過孔191A及び第二通過孔191Bは、図5に示す開放位置にシャッター191が配置されている際に、対応する開口窓171A,181AとZ方向に重なる位置に形成されている。
【0052】
また、シャッター191は、図6に示す閉塞位置に配置されている際に、開口窓171Aを閉塞する位置に第一基準部材191Cが、開口窓181Aを閉塞する位置に第二基準部材191Dが、配置されている。
第一基準部材191C及び第二基準部材191Dにおける、撮像部17及び分光器18側の面は、これら撮像部17及び分光器18の白色校正を行う際の測定対象となる白色基準面191Eであり、白色基準面191Eは、白色の表面を有する。これら白色基準面191Eは、例えば、シャッター191の表面に塗布された白色塗料により構成される。なお、シャッター191の−Z側の面の一部又は全面に白色塗料を塗布してもよいし、シャッター191の表面の全面に白色塗料を塗布してもよい。
【0053】
これら第一基準部材191C及び第二基準部材191DのX方向における寸法は、対応する開口窓171A,181Aの寸法と同じかそれ以上である。また、X方向において、第一通過孔191Aの中心と第一基準部材191Cの中心との距離、及び第二通過孔191Bの中心と第二基準部材191Dの中心との距離は、シャッター191の移動量m、つまり、第一挿通部192及び第二挿通部193の押し込み量mである。
【0054】
第一挿通部192は、シャッター191と一体的に形成され、シャッター191から−X側に延出し、−X側の端部には第一端部194が設けられている。この第一挿通部192は、X方向に沿って移動可能に挿通孔132Aに挿通されている。この第一挿通部192の一部は、図5に示すように、シャッター191の位置が開放位置の場合にキャリッジ13の−X側に突出する。つまり、第一挿通部192と第一端部194とにより突出部が構成される。
【0055】
第二挿通部193は、シャッター191と一体的に形成され、シャッター191から+X側に延出し、+X側の端部には第二端部195が設けられている。この第二挿通部193は、X方向に沿って移動可能に挿通孔133Aに挿通されている。この第二挿通部193のX方向における寸法(第一通過孔191Aと第二端部195との間の距離)Lxは、シャッター191の移動量m以上である。この第二挿通部193の一部は、図6に示すように、シャッター191の位置が閉塞位置の場合にキャリッジ13の+X側に突出する。つまり、第二挿通部193と第二端部195とにより突出部が構成される。
このように第二挿通部193のX方向における寸法Lxを、シャッター191の移動量mよりも大きくすることにより、第二挿通部193のキャリッジ13の外部に露出する部分が、閉塞位置において開口窓171Aに接触することがない。このため、第二挿通部193付着したインクが撮像部17や分光器18に付着することを抑制できる。
【0056】
第二挿通部193の−Z側の面には、第二挿通部193の位置、つまりシャッター191の位置を閉塞位置に位置決めするための第一凹部193Aと、開放位置に位置決めするための第二凹部193Bと、が設けられている。これら第一凹部193A及び第二凹部193Bは、Y方向に沿って設けられている。また、第二凹部193Bは、第二挿通部193の+X側端部に設けられている。一方、第一凹部193Aは、第二凹部193Bの−X側に、シャッター191の移動量mだけ第二凹部193Bから離間して設けられている。
このような構成では、シャッター191が閉塞位置に移動された際に、位置決め部材133Bが第一凹部193Aに嵌ることにより、当該シャッター191が固定される。また、シャッター191が開放位置に移動された際に、位置決め部材133Bが第二凹部193Bに嵌ることにより、当該シャッター191が固定される。これにより、シャッター191の位置を開放位置と閉塞位置とに固定することができ、印刷時等にシャッター191が移動して開口窓171A,181Aが露出することを抑制できる。
【0057】
第一端部194は、第一挿通部192の−X側端部に設けられ、第一挿通部192から−Z側に延出する。この第一端部194が第一キャリッジ側面132に当接することにより、キャリッジ13に対するシャッター191の+X側への相対移動が規制される。なお、第一端部194が、図3に示すユニット筐体10の第一側面部102(本発明の当接部に相当)に当接することにより、シャッター191の−X側への移動が停止される。
【0058】
また、第二端部195は、第二挿通部193の+X側端部に設けられ、第二挿通部193から−Z側に延出する。この第二端部195が第二キャリッジ側面133に当接することにより、キャリッジ13に対するシャッター191の−X側への相対移動が規制される。なお、第二端部195が、図3に示すユニット筐体10の第二側面部103(本発明の当接部に相当)に当接することにより、シャッター191の+X側への移動が停止される。
【0059】
[キャリッジ及びシャッター機構の動作]
次に、キャリッジ13の移動に応じたシャッター機構19の動作について説明する。
図8及び図9は、キャリッジ13、印刷部16、撮像部17及びシャッター機構19の概略構成を示す断面図である。なお、図8は、シャッター191を閉塞位置とする場合を示し、図9は、シャッター191を開放位置とする場合を示している。
プリンター1は、例えば、撮像部17による撮像処理、及び分光器18による分光測定処理(本測定)を実施する際にシャッター191を開放位置に移動させ、それ以外(例えば、印刷処理やメンテナンス処理等のインク吐出時や待機時等)ではシャッター191を閉塞位置に移動させる。
【0060】
図8に示すように、シャッター191を閉塞位置に移動させる場合、キャリッジ13は、キャリッジ移動ユニット14によって、Homeに、すなわち−X側に移動される。キャリッジ13の移動に応じて、第一端部194が第一側面部102の内面102Aに当接すると、ユニット筐体10に対するシャッター191の−X側への移動が停止される。そして、シャッター191がユニット筐体10に対して停止した状態で、第一キャリッジ側面132に第一端部194が当接するまで、キャリッジ13が−X側に移動する。この間、シャッター191がキャリッジ13に対して相対的に+X側に移動し、図8に示すように、シャッター191が閉塞位置に移動される。
【0061】
その後、プリンター1は、Home位置からキャリッジ13を+X側に移動させ、印刷処理を実施したり、キャリッジ13をHome位置に移動させた状態でメンテナンス処理を実施したりする。これにより、インク吐出時にインクミストが生じた場合でも、インクミストにより撮像部17が汚れたり、キャリッジ13の内部にインクミストが侵入したりすることを抑制できる。また、プリンター1は、上述の処理を実施しない待機状態の場合でも、シャッター191を閉塞位置とすることにより、塵がキャリッジ13の内部や撮像部17に侵入することを抑制できる。
【0062】
一方、図9に示すように、シャッター191を開放位置に移動させる場合、キャリッジ13は、キャリッジ移動ユニット14によって、Full、すなわち+X側に移動される。キャリッジ13の移動に応じて、第二端部195が第二側面部103の内面103Aに当接すると、ユニット筐体10に対するシャッター191の+X側への移動が停止される。そして、シャッター191がユニット筐体10に対して停止した状態で、第二キャリッジ側面133に第二端部195が当接するまで、キャリッジ13が+X側に移動する。この間、シャッター191がキャリッジ13に対して相対的に−X側に移動し、図7に示すように、シャッター191が開放位置に移動される。
【0063】
[CPUの機能構成]
図10は、CPU154の機能構成を示したブロック図である。
CPU154は、メモリー153に記憶された各種プログラムを読み出し実行することで、図10に示すように、走査制御手段154A、印刷制御手段154B、撮像制御手段154C、分光測定制御手段154D、及び調整手段154Eとして機能する。
【0064】
走査制御手段154Aは、移動制御部に相当し、供給ユニット11、搬送ユニット12、及びキャリッジ移動ユニット14を駆動させる旨の指令信号をユニット制御回路152に出力する。これにより、ユニット制御回路152は、供給ユニット11のロール駆動モーターを駆動させて、メディアMを搬送ユニット12に供給させる。また、ユニット制御回路152は、搬送ユニット12の搬送モーターを駆動させて、メディアMの所定領域をプラテン122のキャリッジ13に対向する位置まで、Y方向に沿って搬送させる。また、ユニット制御回路152は、キャリッジ移動ユニット14のキャリッジモーター142を駆動させて、キャリッジ13をX方向に沿って移動させる。
【0065】
また、走査制御手段154Aは、移動制御手段に相当し、シャッター191の位置を変更する際に、キャリッジ移動ユニット14を駆動させる旨の指令信号をユニット制御回路152に出力する。ユニット制御回路152は、シャッター191を閉塞位置に移動させる場合、キャリッジ移動ユニット14を駆動させて、キャリッジ13をHomeに移動させる。また、ユニット制御回路152は、シャッター191を開放位置に移動させる場合、キャリッジ移動ユニット14を駆動させて、キャリッジ13をFullに移動させる。
【0066】
印刷制御手段154Bは、印刷制御部に相当し、例えば外部機器30から入力された印刷データに基づいて、供給ユニット11、搬送ユニット12、キャリッジ移動ユニット14、及び印刷部16を駆動制御する旨の印刷指令信号をユニット制御回路152に出力する。ユニット制御回路152は、印刷部16に印刷制御信号を出力し、ノズルに設けられたピエゾ素子を駆動させてメディアMに対してインクを吐出させる。なお、印刷を実施する際は、キャリッジ13がX方向に沿って移動されて、その移動中に印刷部16からインクを吐出させてドットを形成するドット形成動作と、メディアMをY方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、複数のドットから構成される画像をメディアMに印刷する。
【0067】
撮像制御手段154Cは、測定制御手段に相当し、撮像部17による撮像処理を実施する。具体的には、撮像制御手段154Cは、撮像部17を駆動する旨の撮像指令信号を、ユニット制御回路152に出力する。ユニット制御回路152は、当該撮像指令信号に基づいて、撮像部17に撮像制御信号を出力し、メディアMにおける所定領域の撮像データを取得させる。なお、この際、撮像制御手段154Cは、光源部172を点灯させる必要がある場合は、光源部172の点灯を指示する指令信号をユニット制御回路152に出力する。また、撮像制御手段154Cは、取得した撮像データをメモリー153に記憶する。
【0068】
分光測定制御手段154Dは、測定制御手段に相当し、分光器18による分光測定処理を実施する。分光測定制御手段154Dは、分光器18を駆動する旨の測定指令信号を、ユニット制御回路152に出力する。ユニット制御回路152は、当該測定指令信号に基づいて、撮像部17に測定制御信号を出力し、メディアMにおける所定領域の分光測定処理を実施する。
つまり、分光測定制御手段154Dは、光源部182を点灯させる場合は、光源部182の点灯を指示する指令信号をユニット制御回路152に出力する。
また、分光測定制御手段154Dは、波長可変干渉フィルター5を透過させる光の波長に対する静電アクチュエーター56への駆動電圧を、メモリー153のV−λデータから読み出し、ユニット制御回路152に指令信号を出力する。これにより、ユニット制御回路152は、波長可変干渉フィルター5に指令された駆動電圧を印加し、波長可変干渉フィルター5から所望の透過波長の光が透過される。
そして、分光測定制御手段154Dは、受光部184によって受光される光の光量(受光量)に応じた測定値を、静電アクチュエーター56に印加した電圧(若しくは当該電圧に対応する波長可変干渉フィルター5を透過する光の波長)と関連付けてメモリー153に記憶する。
【0069】
調整手段154Eは、撮像部17の撮像結果や分光器18の分光測定結果に基づいて、例えば、濃度むらや色ずれの補正を行う。例えば、調整手段154Eは、濃度むらの補正を行う場合、濃度むら補正用の調整パターンを撮像部17で撮像して得られた撮像データに基づいて、濃度むらの位置を特定し、濃度むらを補正するための補正値を取得する。また、調整手段154Eは、色ずれの補正を行う場合、カラーチャート等の調整パターンを分光器18で測定して得られた分光測定データに基づいて、色ずれを検出し、色ずれを補正するための補正値を取得する。
【0070】
[プリンターの動作]
次に、本実施形態のプリンター1の動作の一例として、色ずれの調整処理について、図面に基づいて説明する。
図11は、プリンター1における調整処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のプリンター1による調整処理は色ずれ、例えば、電源投入時や、調整処理の実行指示を受けた場合に実施される。プリンター1は、メディアMに対する撮像処理や分光測定処理等の本測定実施時には、シャッター191を開放位置に移動させ、それ以外の場合、例えば待機時や白色基準面191Eの測定時等には、シャッター191を閉塞位置に移動させる。
なお、図11では、調整処理として、分光器18による分光測定結果に基づいて色ずれの調整を行う処理について例示するが、撮像部17の撮像データに基づく調整、例えば濃度むらの調整を行ってもよい。
【0071】
図11に示す調整処理では、まず、分光測定制御手段154Dは、分光器18の光源部182を消灯させたまま、受光部184の出力(つまり暗電流)を検出して黒レベルを測定する(ステップS1)。なお、同時に、撮像制御手段154Cが、撮像部17を駆動させて黒レベルを測定してもよい。
ここで、撮像素子174や受光部184からの出力値が、所定値を超える場合、シャッター191によって開口窓171A,181Aが閉塞されていない可能性がある。したがって、ステップS1で所定値以上の出力値を検出した場合、走査制御手段154Aは、キャリッジ移動ユニット14を駆動させて、キャリッジ13をHomeに移動させることにより、シャッター191を閉塞位置に移動させてもよい。これにより、待機時や電源オフ時にシャッター191が閉塞位置から移動したとしても、当該シャッター191の移動を検出することができ、シャッター191を閉塞位置へ移動させることができる。
【0072】
次に、分光測定制御手段154Dは、分光器18を駆動させて白色基準面191Eの分光測定を行う(ステップS2)。つまり、分光測定制御手段154Dは、光源部182を点灯させて白色基準面191Eを照明し、当該白色基準面191Eからの反射光について複数の測定波長(例えば、400nm〜700nmの波長域における20nm間隔の複数波長)について分光測定結果を取得する。なお、撮像制御手段154Cが、撮像部17に白色基準面191Eを撮像させてもよい。
【0073】
次に、印刷制御手段154Bは、シャッター191が閉塞位置に配置されている状態で、色ずれ調整用の調整パターンをメディアMに印刷する処理を行う(ステップS3)。
色ずれ調整用の調整パターンは、例えば、互いに色が異なる複数のカラーパッチがX方向及びY方向に沿って配置され構成されたカラーチャートである。なお、濃度むらの調整を行う場合、印刷制御手段154Bは、濃度むらの調整パターンの印刷する印刷処理を実施する。ステップS3では、シャッター191が閉塞位置に設定されているため、印刷処理を実施した際に発生したインクミストが、キャリッジ13の内部に侵入したり、撮像部17及び分光器18に付着したりすることを抑制できる。
【0074】
ステップS3の印刷処理が終了したら、調整パターンの分光測定を行うために、走査制御手段154Aは、図9に示すように、キャリッジ13をFullに移動させ、シャッター191を開放位置に移動させる(ステップS4)。
その後、分光測定制御手段154Dは、分光器18を駆動させて調整パターンの分光測定を行う(ステップS5)。つまり、分光測定制御手段154Dは、色ずれ調整用の調整パターンを構成するカラーパッチのそれぞれについての分光測定結果を取得し、カラーパッチ位置と分光測定結果とをメモリー153に記憶させる。
ステップS4の分光測定処理が終了したら、走査制御手段154Aは、図8に示すように、キャリッジ13をHomeに移動させ、シャッター191を閉塞位置に移動させる(ステップS6)。
【0075】
次に、調整手段154Eは、色ずれの調整を行う(ステップS7)。
調整手段154Eは、調整用パターンの分光測定結果に基づいて、必要により、色ずれを調整するための補正値を算出する。例えば、調整手段154Eは、色ずれのレベルが閾値を超えている場合は、調整用パターンの分光測定結果に基づいて色ずれを調整するための補正値を算出し、メモリー153に記憶されている印刷プロファイルデータ等やその補正値の書き換えを行う。
そして、調整手段154Eは、再び調整パターンを測定する必要があるか否かを判定する(ステップS8)。
例えば、色ずれのレベルが閾値を超えている場合は、調整手段154Eは、色ずれの調整(ステップ7)を行った後に、調整結果を確認するために再び調整パターンを測定する必要があると判定する(ステップS8:YES)。ステップS8でYESと判定されると、プリンター1は、ステップS3以降の処理を実施する。
一方、例えば、色ずれのレベルが閾値を超えておらず、補正値の算出やメモリー153の書き換えが行われなかった場合、調整手段154Eは、再び調整パターンを測定する必要がないと判定し(ステップS8:NO)、本フローチャートによる調整処理を終了させる。
【0076】
[第一実施形態の作用効果]
本実施形態では、キャリッジ13の内部に、撮像部17及び分光器18と、白色基準面191Eを有するシャッター191とが収納されている。これらのうちシャッター191は、キャリッジ移動ユニット14によるキャリッジ13の移動に応じて、撮像部17及び分光器18に対して開放位置と閉塞位置との間で相対移動される。
このような構成では、シャッター191が閉塞位置に配置されている場合、各開口窓171A,181Aと、キャリッジ13の各開口131A,131Bがシャッター191によって閉塞されている。このため、撮像部17及び分光器18にインクミストが付着することを抑制でき、これら撮像部17及び分光器18の機能の低下を抑制できる。
また、白色基準面191Eを有するシャッター191がキャリッジ13内に配置されているため、例えば気流を発生させることにより白色基準面191Eへのインクミストの付着を抑制するような構成を設ける場合と比べて、簡易な構成でインクミストの付着を抑制することができる。したがって、撮像部17及び分光器18による白色基準面191Eの測定精度の低下を抑制でき、白色校正の校正精度の低下を抑制できる。
このように、本実施形態によれば、簡易な構成で撮像部17及び分光器18による処理精度の低下を抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、撮像部17及び分光器18がX方向に沿って配置されている。また、シャッター191は、撮像部17及び分光器18の+Z側に配置され、X方向に沿って移動可能にキャリッジ13に搭載されている。そして、シャッター191は、開放位置に配置された際に開口窓171Aに光を通過させる第一通過孔191Aと、開口窓181Aに光を通過させる第二通過孔191Bと、を備えている。さらに、シャッター191は、閉塞位置に配置された際に開口窓171Aを閉塞する第一基準部材191Cと、開口窓181Aを閉塞する第二基準部材191Dと、を備えている。このような構成では、各開口窓171A,181Aに対してシャッター191の相対位置を開放位置と閉塞位置との間で同時に変更することができる。したがって、各開口窓171A,181Aとシャッター191との相対位置を個別に変更する場合と比べて構成を簡略化できる。
【0078】
本実施形態では、第一端部194が第一側面部102に当接した際に、キャリッジ13の−X側への移動に応じて、シャッター191が、キャリッジ13に対して+X側に相対移動する。これにより、シャッター191が閉塞位置に移動する。また、第二端部195が第二側面部103に当接した際に、キャリッジ13の+X側への移動に応じて、シャッター191が、キャリッジ13に対して−X側に相対移動する。これにより、シャッター191が開放位置に移動する。このように、シャッター191をキャリッジ13に対して相対移動させる機構を別に設けることなく、シャッター191の位置を閉塞位置と開放位置との間で変更することができ、構成を簡略化できる。
【0079】
シャッター191から−X側に延出する第一挿通部192は、挿通孔132Aに挿通されキャリッジ13の外部に突出する。この第一挿通部192の−X側には第一端部194が設けられ、キャリッジ13の移動範囲外に位置する第一側面部102に当接する。また、シャッター191から+X側に延出する第二挿通部193は、挿通孔133Aに挿通されキャリッジ13の外部に突出する。この第二挿通部193の+側には第二端部195が設けられ、キャリッジ13の移動範囲外に位置する第二側面部103に当接する。このように、キャリッジ13の移動範囲外に位置する各側面部102,103に各端部194,195を当接させることにより、キャリッジ13と各側面部102,103とが直に接触することによる動作不良の発生を抑制でき、プリンター1の信頼性を向上させることができる。
【0080】
本実施形態では、シャッター191が閉塞位置に配置することにより、各開口窓171A,181Aを白色基準面191Eによって閉塞することができる。したがって、シャッター191によって各開口窓171A,181Aを閉塞させたまま、撮像部17及び分光器18に白色基準面191Eの測定を行わせることができる。
また、開口窓171A,181Aに沿って移動されるシャッター191に白色基準面191Eが設けられているため、白色基準面191Eと光学装置との距離変動を抑制でき、白色基準面の測定精度を向上させることができる。
【0081】
本実施形態では、濃度むらや色ずれ等の調整を行う際に、調整パターンを印刷部16で印刷する前に、白色基準面191Eを測定し白レベル及び黒レベルの測定を行う。ここで、待機時にはシャッター191の相対位置が閉塞位置に設定されている。したがって、シャッター191を開放位置に移動させる前、つまりキャリッジ13をFullに移動させる前に白レベル及び黒レベルの測定を行うことにより、調整処理を効率良く実施することができる。
【0082】
本実施形態では、キャリッジ13が、メンテナンスユニット20が配置されているHome側に、すなわち−X側に移動されることにより、シャッター191が閉塞位置に移動される。つまり、メンテナンスユニット20によるメンテナンス位置(Home)にキャリッジ13が配置された際に、シャッター191が閉塞位置に移動される。このような構成では、シャッター191が閉塞位置に配置されている場合に、印刷部16のメンテナンスを実施することができる。また、メンテナンス時にシャッター191が開放位置に移動するという誤動作が発生することを抑制できる。
【0083】
本実施形態では、キャリッジ13において、印刷部16が撮像部17及び分光器18のHome側に位置するため、メンテナンスユニット20をプリンター1における−X側端部位置に設けることができ、プリンター1のサイズを小型化できる。つまり、キャリッジ13において、印刷部16が撮像部17のFull側に位置する場合、メンテナンスユニット20も、これに対応させてFull側にずらす必要があり、プリンター1自体のX方向のサイズが大きくなる。これに対して、本実施形態では、上述のように、メンテナンスユニット20をプリンター1のユニット筐体10における−X側端部位置に設ければよく、プリンター1のサイズを小型化できる。
【0084】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。
上述の第一実施形態では、シャッター191の白色基準面191Eは、シャッター191が開放位置に配置されている際に、キャリッジ13の内部で露出していた。これに対して、第二実施形態では、シャッター機構19は、シャッター191が開放位置に配置されている際に、白色基準面191Eを覆うカバー部材を備える点で相違する。
なお、以降に説明する実施形態では、既に説明した構成については同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0085】
図12は、第二実施形態のプリンター1Aのキャリッジ13に収納された印刷部16、撮像部17及びシャッター機構19Aを模式的に示す図である。図13は、キャリッジ13、印刷部16、撮像部17及びシャッター機構19Aを模式的に示す断面図である。図12及び図13は、シャッター191の位置が開放位置である場合について示している。
ここで、本実施形態のプリンター1Aは、シャッター機構19Aを除き、第一実施形態のプリンター1と略同様に構成される。
シャッター機構19Aは、図12及び図13に示すように、第一基準部材191Cを覆うための第一カバー部材196と、第二基準部材191Dを覆うための第二カバー部材197と、を備える。
【0086】
第一カバー部材196は、シャッター191の位置が開放位置である場合に、第一基準部材191Cを覆うことができる位置に設けられている。第一カバー部材196は、白色基準面191Eを覆うためのカバー部196Aと、カバー部196Aをキャリッジ13の底面131に固定する脚部196Bと、を有する。
【0087】
カバー部196Aは、図12に示すように、白色基準面191Eよりも大きく、略矩形状の外形を有する。このカバー部196Aは、シャッター191をY方向に挟んで配置された一対の脚部196Bによって底面131に固定されている。また、カバー部196Aの内面(+Z側の面)には、白色基準面191Eを清掃する清掃部196Cが設けられている。この清掃部材は、例えばフェルト等で形成され、白色基準面191Eに摺接することにより、白色基準面191Eを清掃する。
なお、一対の脚部196B間の距離(Y方向の距離)は、シャッター191のY方向の寸法と略同じか、僅かに大きい。
【0088】
第二カバー部材197は、シャッター191の位置が開放位置である場合に、第二基準部材191Dを覆うことができる位置に設けられている。第二カバー部材197は、第一カバー部材196と同様に、カバー部197Aと、脚部197Bと、清掃部197Cと、を有する。このカバー部197Aは、第二基準部材191Dにおける白色基準面191Eに接して、又は近接して配置されている。
【0089】
[第二実施形態の作用効果]
本実施形態では、シャッター191が開放位置にある場合に、白色基準面191Eを覆う第一カバー部材196及び第二カバー部材197を備える。このような構成では、白色基準面191Eは、閉塞位置では開口窓171A,181Aと対向して配置され、開放位置では各カバー部材196,197によって覆われている。したがって、キャリッジ13内にインクミスト等の異物が侵入したとしても、当該異物が白色基準面191Eに付着することを抑制できる。
【0090】
また、第一カバー部材196の脚部196BはY方向にシャッター191を挟むように配置されている。また、第二カバー部材197の脚部197Bも同様である。これら脚部196B,197Bが設けられることにより、シャッター191の位置ずれを抑制することができ、シャッター191をX方向に沿って移動させることができる。したがって、シャッター191によって各開口窓171A,181Aや、キャリッジ13の各開口131A,131Bをより確実に閉塞することができる。
【0091】
[第三実施形態]
次に、本発明に係る第三実施形態について説明する。
上述の第一実施形態では、シャッター機構19は、キャリッジ13のHomeへの移動に応じて、シャッター191を閉塞位置に移動させ、キャリッジ13のFullへの移動に応じて、シャッター191が開放位置に移動させるように構成されていた。これに対して、第三実施形態では、シャッター機構が、X方向に沿った一方に移動することにより、シャッター191と開口窓171Aとの位置関係を変更する、つまりシャッター191の位置が閉塞位置と開放位置との間で切り替えるラッチ機構を備える点で相違する。
【0092】
図14及び図15は、第三実施形態のプリンターにおけるキャリッジ13B、撮像部17及びシャッター機構19Bの関係を模式的に示す断面図である。なお、図14は、シャッター191の位置が開放位置である場合を、図15は、シャッター191の位置が閉塞位置である場合を図示している。
本実施形態のプリンター1Bは、キャリッジ13B及びシャッター機構19B以外は、第一実施形態のプリンター1と略同様に構成される。
図14及び図15に示すようにキャリッジ13Bは、印刷部16と、撮像部17と、シャッター機構19Bと、を搭載する。キャリッジ13Bは、第一キャリッジ側面132に挿通孔132Aが形成されていない点を除き、第一実施形態のキャリッジ13と略同様に構成される。
【0093】
シャッター機構19Bは、シャッター191と、シャッター191と、第二挿通部193と、第二端部195と、シャッター191を+X側に付勢する付勢部198と、シャッター191の位置を開放位置に固定するラッチ機構199とを備える。
このシャッター機構19Bでは、第二端部195が第二側面部103に当接し、第二挿通部193が−X側に押し込まれる度に、ラッチ機構199によるロック状態とロック解除状態とが切り替わる。そして、シャッター191の位置が、ロック状態に対応する開放位置と、ロック解除状態に対応する閉塞位置との間で変更される。
【0094】
付勢部198は、シャッター191の−X側に連結され、シャッター191を+X側に付勢する。この付勢部198は、シャッター191に連結される連結部198Aと、連結部198Aの−X側からX方向に沿って突出する軸部198Bと、連結部198Aを+X側に付勢する付勢部材198Cと、を有する。
軸部198Bは、X方向に沿って配置され、軸部198Bの+X側は、連結部198AにX軸を中心に回動可能に取り付けられ、−X側は、ラッチ機構199に連結されている。つまり、軸部198Bを介して、連結部198Aとラッチ機構199とが接続されている。
付勢部材198Cは、例えば、スプリングばねで構成され、軸部198Bの周囲に巻回され、連結部198Aを+X側に付勢し、ひいてはシャッター191を+X側に付勢する。なお、ロック状態(図14参照)からロック解除状態(図15参照)に変更されると、連結部198Aが、付勢部材198Cの付勢力によって+X側に移動する。この際の連結部198Aの移動量が、シャッター191の移動量mである。
【0095】
ラッチ機構199は、ラッチ部に相当し第二端部195が−X側に押し込まれる度に、連結部198A及び軸部198Bの位置を、ロック状態に対応するロック位置(図14参照)と、ロック解除状態に対応するロック解除位置(図15参照)と、の間で切り替える。
図14に示すロック状態では、ラッチ機構199は、付勢部材198Cによる付勢力に抗して、連結部198A及び軸部198Bをロック位置に保持し、ひいてはシャッター191を開放位置に保持する。
一方、図15に示すロック解除状態では、ラッチ機構199は、付勢部材198Cによる付勢力にしたがって、連結部198A及び軸部198Bがロック解除位置に移動され、シャッター191が、開放位置に移動される。
【0096】
このようなラッチ機構199は、例えば、ラッチカムと、回転子と、を含み構成される。ラッチカムは、ラッチ機構199の筐体の内周面にX方向に沿って設けられた、複数の凹条と、複数の突条と、を含み構成される。凹条及び突条は、内周面の周方向に沿って交互に設けられている。また、回転子は、凹条に嵌合可能な突出部を有する。回転子の+X側は、軸部198Bに接続している。また回転子は、ラッチカムより−X側に移動された際に、軸部198BとともにX軸を中心に回転するように構成されている。そして、回転子がX方向に移動する際に、回転子の突出部がラッチカムの凹条に嵌合する位置では、回転子の突出部は凹条に沿って+X側に移動可能な状態となる。この状態ではシャッター191は、付勢部材198Cの付勢力によって+X側に移動可能なので、上述のロック解除状態となる。ロック解除状態では、上述のように、連結部198A及び軸部198Bが+X側に移動し、シャッター191の位置が閉塞位置となる。
次に、シャッター191が閉塞位置にある状態から、第二端部195が−X側に押圧されると、軸部198Bも−X側に移動するとともに、回転子の突出部がラッチカムの凹条に沿って−X側に移動する。そして、回転子の突出部が凹条よりも−X側に移動すると、軸部198B及び回転子が回転して、回転子がX方向に移動する際に、回転子の突出部が、ラッチカムの突条と当接する位置になる。この状態で第二端部195への−X側への押圧を解除して、シャッター191が付勢部材198Cの付勢力によって+X側に移動しても、回転子の突出部とラッチカムの突条とが当接してロック状態となる。これにより、連結部198A及び軸部198Bがラッチカムの−X側で固定され、つまりシャッター191の位置が開放位置に固定される。なお、ラッチ機構199は、第二端部195が−X側に押し込まれる度に、シャッター191の位置を開放位置と閉塞位置との間で変更可能に構成されていればよく、上記構成に限定されない。
【0097】
上述のように構成されたプリンター1Bは、シャッター191に移動させる場合、キャリッジ移動ユニット14によって、キャリッジ13BをFull、すなわち+X側に移動させる。キャリッジ13Bの移動に応じて、第二端部195が、第二側面部103に当接し、第二端部195がキャリッジ13に押し込まれる。これにより、軸部198Bがラッチ機構199に押し込まれ、シャッター191の位置が、ラッチ機構199のロック状態に対応する閉塞位置と、ロック解除状態に対応する開放位置との間で切り替わる。
【0098】
[第三実施形態の作用効果]
本実施形態では、キャリッジ13Bを+X側に移動させ、第二端部195を第二側面部103に当接させることにより、ラッチ機構199をロック状態とロック解除状態との間で切り替える。これにより、シャッター191の位置を、ロック状態に対応する開放位置と、ロック解除状態に対応する閉塞位置との間で移動させることができる。したがって、シャッター191を移動させる場合に、キャリッジ13Bを+X側に移動させればよく、シャッター191の開閉処理を簡略化できる。
【0099】
また、本実施形態では、メンテナンスユニット20が配置されたHome側とは反対側のFull側にキャリッジ13Bを移動させた際に、シャッター191の開閉が行われる。このため、メンテナンス時に、キャリッジ13BがHome側に移動した際に、シャッター191が開放位置に移動するという誤動作が発生することを抑制できる。
【0100】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記各実施形態では、キャリッジ13の外部に突出する突出部として、−X側に突出する第一端部194と、+X側に突出する第二端部195とを備え、これらを当接させることによりシャッター191を相対移動させるシャッター機構19を例示したが、シャッター機構19の構成はこれに限定されない。
例えば、突出部は、Z方向に沿ってキャリッジ13の外部に突出してもよい。具体的には、キャリッジ13の底面131に形成されたスリットを通り、キャリッジ13の+Z側に突出する突出部を備えてもよい。この場合、突出部を当接させる当接部を、プラテン122側に設ければよい。また、突出部は、Y方向に沿ってキャリッジ13の外部に突出してもよい。
【0101】
上記各実施形態では、二つの突出部として第一端部194と第二端部195とを備える構成を例示したが、突出部の数は一つでもよく、三つ以上でもよい。また、この場合、当接部としてユニット筐体10の内面以外にも、ユニット筐体10内に当接部を設ければよい。
【0102】
上記各実施形態では、キャリッジ移動ユニット14によるキャリッジ13の移動に応じて、キャリッジ13の外部に突出した突出部を当接部に当接させることにより、シャッター191を相対移動させる第二移動機構を例示したが、第二移動機構の構成をこれに限らない。例えば、突出部を備えずに、キャリッジ13の位置や移動量等に応じてシャッター191を相対移動させる任意の機構を第二移動機構として用いることができる。例えば、第二移動機構は、シャッター191をX方向に沿って移動させるアクチュエーターやモーター等の駆動装置を備え、キャリッジ13の移動に応じてシャッター191を閉塞位置と開放位置との間で移動可能に構成されてもよい。
【0103】
上記各実施形態では、Home側にメンテナンスユニット20が配置されていたが、Full側に配置してもよい。また、メンテナンスユニット20を設けなくてもよい。
【0104】
上記第一及び第二実施形態では、キャリッジ13がHome側に移動することにより、シャッター191が閉塞位置となっていたが、これに限らず、キャリッジ13がFull側に移動することにより、シャッター191が閉塞位置となるように構成してもよい。なお、この場合、メンテナンスユニット20をFull側に配置することが好ましく、これにより、メンテナンス時にシャッター191を閉塞位置に設定でき、シャッター191の誤作動も抑制できる。
また、上記第三実施形態では、キャリッジ13がFull側に移動することによりシャッター191の位置が変更される構成としたが、Home側に移動することによりシャッター191の位置が変更される構成としてもよい。
【0105】
上記第一及び第二実施形態では、シャッター191の移動量m、つまり第一挿通部192及び第二挿通部193の押し込み量mは、第一通過孔191Aと第一基準部材191Cとの配置間隔である構成を例示したが、これに限定されず、シャッター191によって各開口窓171A,181Aの開閉ができる押込み量mであればよい。
また、シャッター191に3以上の通過光及び基準部材を設け、キャリッジ13に対してシャッター191を一方向に移動させながら、移動量に応じて閉塞位置と開放位置とを変更可能としてもよい。つまり、シャッター191には、Y方向に沿って所定間隔で複数の通過光が設けられ、かつ、同様に複数の白色基準面が設けられる。なお、上記所定間隔は、撮像部17と分光器18の配置間隔である。このような構成では、第一挿通部192や第二挿通部193の押し込み量mに応じて、複数の開放位置及び複数の閉塞位置のいずれかに設定することができる。
また、押込み量mは上記第一及び第二実施形態では第一キャリッジ側面132に第一端部194が当接する位置と第二キャリッジ側面133に第二端部195が当接する位置によってコントロールしていたが、シャッター191に3以上の通過光及び基準部材を設ける場合には、キャリッジの移動量をリニアセンサー等で検出することによって、押込み量mをコントロールすることにより、シャッター191を一方向に移動させながら、移動量に応じて閉塞位置と開放位置とを変更可能とすることができる。このような構成とすればでは、上記第一及び第二実施形態のように、閉塞位置から開放位置にシャッターを移動させる際にキャリッジ13をFullに移動させる必要がなく、HomeとFullの近い方に移動させることで、各開口窓171A,181Aの開閉ができる。したがって、シャッター191によって各開口窓171A,181Aの開閉を行う際のキャリッジの移動量や所要時間を短縮できる。
【0106】
上記各実施形態では、シャッター191の一部に白色基準部材が設けられる構成を例示したが、これに限定されず、シャッター191の全面が白色であってもよく、−Z側の面の全面が白色であってもよい。つまり、各実施形態で、白色基準面191Eに相当する位置が少なくとも白色に形成されている。
【0107】
上記各実施形態では、光学装置の一例として撮像部17及び分光器18を備える構成を例示したが、これに限定されず、入射光に基づく処理を行う他の光学装置を備える構成としてもよい。このような光学装置として、メディアMとの距離やメディアMの先端を検出するための光センサー等が例示できる。
【0108】
キャリッジ13における印刷部16に対する撮像部17の位置としては、印刷部16のFull側に限定されない。例えば、印刷部16のHome側に配置してもよい。
キャリッジ13において印刷部16よりも+Y側に撮像部17及び分光器18が設けられていたが、印刷部16の−Y側に撮像部17及び分光器18が設けられてもよい。
印刷部16が設けられた印刷用キャリッジとは別に、撮像部17及び分光器18が搭載された測定用キャリッジを備え、当該測定用キャリッジが、キャリッジ移動ユニット14と同様の構成の移動機構により移動可能に構成されていてもよい。
【0109】
また、供給ユニット11及び搬送ユニット12によりメディアMをY方向に搬送することで、キャリッジ13をメディアMに対してY方向に相対移動させたが、これに限定されない。例えば、キャリッジ13をY方向に移動可能な構成としてもよい。また、キャリッジ13を、X−Yの双方に沿って移動可能な構成としてもよい。
さらに、キャリッジ移動ユニット14は、キャリッジ13をX方向に移動させたが、メディアMを、X方向に移動させる構成などとしてもよい。
【0110】
上記各実施形態では、キャリッジ13を備え、撮像部17、分光器18、及びシャッター191がキャリッジ13の内部に収納されている構成を例示したが、これに限らない。例えば、撮像部17、分光器18、及びシャッター191が、キャリッジ13の内部に収納されておらず、例えば、キャリッジ13の底面131のようなベース部に配置されている構成でもよい。このような構成でも、インク吐出時には、シャッター191を閉塞位置とすることにより、インクミストによる撮像部17及び分光器18の性能の低下や、白色基準面191Eの汚れを抑制できる。
【0111】
上記各実施形態において、プリンターとして、インクを吐出して画像形成する印刷部16を備える、所謂、インクジェットプリンターを例示したが、これに限定されず、画像形成材料をメディアMに転写して画像形成する印刷部を備えるプリンターに、上記各実施形態の構成を適用することができる。このようなプリンターとしては、例えば、画像形成材料としてのインクリボンを加熱溶融させてメディアMに転写する、所謂、熱転写プリンターや、トナーを用いて潜像画像を現像し、現像された画像をメディアMに転写する、所謂、電子写真プリンターが挙げられる。このように、インクジェット方式以外の他の方式のプリンターに、上記各実施形態の構成を適用した場合でも、飛散した画像形成材料による光学装置の汚れや劣化を好適に抑制することができる。
【0112】
上記各実施形態において、測定装置を備えたプリンター1を例示したが、これに限定されない。例えば、印刷部16を備えず、メディアMの測定のみを実施する測定装置であってもよい。また、例えば工場等において製造された印刷物の品質検査を行う品質検査装置に、本発明の測定装置を組み込んでもよく、その他、如何なる装置に本発明の測定装置を組み込んでもよい。
【0113】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等に適宜変更できる。
【符号の説明】
【0114】
1,1A,1B…プリンター、10…ユニット筐体、11…供給ユニット、12…搬送ユニット、13,13B…キャリッジ、14…キャリッジ移動ユニット、15…制御ユニット、16…印刷部、17…撮像部、18…分光器、19,19A,19B…シャッター機構、20…メンテナンスユニット、102…第一側面部、102A…内面、103…第二側面部、103A…内面、131A…第一開口、131B…第二開口、132A…挿通孔、133A…挿通孔、154…CPU、154A…走査制御手段、154B…印刷制御手段、154C…撮像制御手段、154D…分光測定制御手段、171A…開口窓、181A…開口窓、191…シャッター、191A…第一通過孔、191B…第二通過孔、191C…第一基準部材、191D…第二基準部材、191E…白色基準面、192…第一挿通部、193…第二挿通部、194…第一端部、195…第二端部、196…第一カバー部材、197…第二カバー部材、198…付勢部、198A…連結部、198B…軸部、198C…付勢部材、199…ラッチ機構。
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