(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、車両開閉体操作装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
【0015】
図1に示すように、車両ボデーの側部に適宜の支持部材(図示略)を介して支持される開閉体としてのスライドドア1は、前後方向への移動に伴って乗降用のドア開口を開閉するように構成されている。
【0016】
スライドドア1内には、リモコン(リモートコントロール)装置2が設置されている。そして、リモコン装置2には、スライドドア1の車内側に露出する状態で、インサイドハンドル3が前後方向に揺動自在に支持されるとともに、該インサイドハンドル3の下方でロック操作ノブ4が前後方向に移動自在に支持されている。インサイドハンドル3は、適宜のスプリングによって第2のハンドル中立位置としてのインサイドハンドル中立位置に付勢・保持されている。そして、インサイドハンドル3は、インサイドハンドル中立位置からスライドドア1の開方向側である後方に揺動させる開操作と、インサイドハンドル中立位置からスライドドア1の閉方向側である前方に揺動させる閉操作とを行うことが可能となっている。ロック操作ノブ4は、前後方向に移動操作することが可能となっており、スライドドア1の施錠状態及び解錠状態を切り替える。
【0017】
一方、スライドドア1の車外側部には、アウトサイドハンドル5が前後方向に揺動自在に支持されている。アウトサイドハンドル5は、適宜のスプリングによってハンドル中立位置及び第1のハンドル中立位置としてのアウトサイドハンドル中立位置に付勢・保持されている。そして、アウトサイドハンドル5は、アウトサイドハンドル中立位置からスライドドア1の開方向側である後方に揺動させる開操作と、アウトサイドハンドル中立位置からスライドドア1の閉方向側である前方に揺動させる閉操作とを行うことが可能となっている。
【0018】
また、スライドドア1内には、その前部及び後部にフロントロック6及びリアロック7がそれぞれ設置されるとともに、下部に全開ロック8が設置されている。フロントロック6及びリアロック7の各々は、車両ボデー側と係合してスライドドア1を閉状態(全閉状態又は半ドア状態)に保持する。なお、フロントロック6及びリアロック7は、リモコン装置2にケーブルC1,C2をそれぞれ介して連結されており、該リモコン装置2からの解除操作力を受けて車両ボデーに対してスライドドア1を開可能状態にする。全開ロック8は、車両ボデー側と係合してスライドドア1を全開状態に保持する。この全開ロック8は、リモコン装置2にケーブルC3を介して連結されており、該リモコン装置2からの解除操作力を受けて車両ボデーに対してスライドドア1を閉可能状態にする。
【0019】
具体的には、
図2に示すように、フロントロック6は、スライドドア1に取着されたベース盤10と、互いに平行な軸線の周りにベース盤10に回動自在に支持されたラッチ11及びポール12とを備えて構成されている。そして、スライドドア1を閉めるとき、車両ボデーに固着されたストライカ13に押圧されるラッチ11が回動しつつストライカ13を噛み込み、同時にポール12がラッチ11を回り止めすることでスライドドア1を閉状態で保持する。また、ポール12には、ポール駆動レバー14が一体回動するように取着されている。ポール12は、ポール駆動レバー14においてケーブルC1の一方の端末部に連結されており、リモコン装置2によりケーブルC1がポール駆動レバー14と共に引っ張られることで、ラッチ11の回り止めを解除するように回動する。このとき、ラッチ11は、復帰スプリング(図示略)に付勢されて戻り回転し、ストライカ13を解放して車両ボデーに対してスライドドア1を開可能状態にする。
【0020】
リアロック7及び全開ロック8の各々も、上記に準じた構造を有して同様に動作する。
ここで、インサイドハンドル3及びアウトサイドハンドル5の各々は、リモコン装置2を介してフロントロック6、リアロック7及び全開ロック8に連携可能である。インサイドハンドル3及びアウトサイドハンドル5は、その動力(操作力)をリモコン装置2等を通じてフロントロック6、リアロック7及び全開ロック8に解除操作力として入力することで前述の態様でスライドドア1を開可能状態又は閉可能状態にする。
【0021】
例えばスライドドア1の閉状態において、乗員によりインサイドハンドル中立位置から後方に揺動するように操作(開操作)されたインサイドハンドル3は、リモコン装置2等を通じてフロントロック6及びリアロック7の各々に解除操作力を入力する。一方、スライドドア1の全開状態において、乗員によりインサイドハンドル中立位置から前方に揺動するように操作(閉操作)されたインサイドハンドル3は、リモコン装置2等を通じて全開ロック8に解除操作力を入力する。
【0022】
同様に、スライドドア1の全開状態において、乗員によりアウトサイドハンドル中立位置から後方に揺動するように操作(開操作)されたアウトサイドハンドル5は、リモコン装置2等を通じてフロントロック6及びリアロック7の各々に解除操作力を入力する。一方、スライドドア1の全開状態において、乗員によりアウトサイドハンドル中立位置から前方に揺動するように操作(閉操作)されたアウトサイドハンドル5は、リモコン装置2等を通じて全開ロック8に解除操作力を入力する。
【0023】
次に、リモコン装置2について更に説明する。
図3及び
図4に示すように、リモコン装置2は、例えば金属板からなるベースプレート20を備える。また、リモコン装置2は、全開ロックオープンレバー30と、エマージェンシ入力レバーとしてのインサイドハンドルレバー40と、リリースレバー50と、入力レバーとしてのアウトサイドハンドルレバー60と、オープンレバー70と、ロッキングレバー80とを備える。これら全開ロックオープンレバー30、インサイドハンドルレバー40、リリースレバー50、アウトサイドハンドルレバー60、オープンレバー70及びロッキングレバー80は、いずれも金属板からなり、その順番でベースプレート20側に近付くように車両の幅方向に重ねられている。そして、全開ロックオープンレバー30等は、ベースプレート20から車内側(
図3において紙面に直交する手前側)に起立してそれらを貫通する共通の支持軸21の周りに回動自在に支持されている。
【0024】
なお、前述のインサイドハンドル3及びロック操作ノブ4は、全開ロックオープンレバー30等の配置側とは反対側でベースプレート20に支持されている。
全開ロックオープンレバー30は、支持軸21を中心する互いに略相反する径方向に張り出した一対のレバーアーム31,32を有している。一方のレバーアーム31は、略S字形状に成形されており、その先端部においてケーブルC3を介して全開ロック8(ポール駆動レバー14)に連結されている。
【0025】
他方のレバーアーム32は、支持軸21から離間する先端部が支持軸21を中心とする第1回動方向D1(
図3における時計回り方向、以下、単に「第1回動方向D1」ともいう)に延出して略L字形状を呈している。そして、レバーアーム32の支持軸21から離間する先端であって、支持軸21を中心とする第1回動方向D1とは逆側の第2回動方向D2(
図3における反時計回り方向、以下、単に「第2回動方向D2」ともいう)に先行する先端には、アウトサイドハンドルレバー60側(
図3において紙面に直交する奥側)に向かって略四角爪状の連動当接片32aが略直角に曲げ起こされている。また、レバーアーム32の先端部には、支持軸21を中心とする略円弧状の長孔32bが貫通形成されている。
【0026】
全開ロックオープンレバー30は、長孔32bにおいてインサイドハンドル3に機械的に連係されている。全開ロックオープンレバー30は、インサイドハンドル3を閉操作すると、長孔32bが押圧されることで第2回動方向D2に回動する。このとき、レバーアーム31に連結されたケーブルC3がリモコン装置2側に引っ張られて、全開ロック8が解除される。一方、全開ロックオープンレバー30は、インサイドハンドル3の開操作を長孔32b内で吸収することで、回動することなく
図3及び
図4に示す原点位置に留まるようになっている。なお、全開ロックオープンレバー30は、適宜の付勢手段によって第1回動方向D1に付勢されている。
【0027】
インサイドハンドルレバー40は、レバーアーム31に略沿う支持軸21を中心する径方向に張り出したレバーアーム41を有するとともに、該レバーアーム41とは異なる径方向(
図3における左方向)に張り出したレバーアーム42を有する。そして、インサイドハンドルレバー40は、レバーアーム41の支持軸21から離間する先端部において、インサイドハンドル3に機械的に連係されている。インサイドハンドルレバー40は、インサイドハンドル3を開操作すると、該インサイドハンドル3側にレバーアーム41が引かれることで第2回動方向D2に回動する。反対に、インサイドハンドルレバー40は、インサイドハンドル3を閉操作すると、レバーアーム41が押圧されることで第1回動方向D1に回動する。また、インサイドハンドルレバー40は、インサイドハンドル3がインサイドハンドル中立位置に保持されることで
図3及び
図4に示すインサイドハンドルレバー初期位置に位置決めされ、あるいはインサイドハンドル3がインサイドハンドル中立位置に復帰することで当該インサイドハンドルレバー初期位置に復帰する。
【0028】
なお、インサイドハンドルレバー40には、レバーアーム42の支持軸21から離間する先端部に設けられたリリースエマージェンシレバー支持軸43によってキャンセルレバーとしての略長尺状のリリースエマージェンシレバー45が回動自在に連結されている。このリリースエマージェンシレバー45には、その延在方向に直線状に延びる略I字状のキャンセル側ガイド孔としてのガイド孔46が貫通形成されている。
【0029】
ロッキングレバー80は、支持軸21の周りに巻回されたトーションコイルスプリング(図示略)を介して支持軸21に連結されており、当該トーションコイルスプリングにより第1回動方向D1に付勢されている。このロッキングレバー80は、支持軸21を中心する互いに異なる径方向(
図3における下方及び左上方)に張り出した一対のレバーアーム81,82を有している。一方のレバーアーム81は、オープンレバー70に重ねて配置されており、レバーアーム81の支持軸21から離間する先端部には、略L字形状の長孔83が貫通形成されている。すなわち、長孔83は、支持軸21を中心する径方向に直線状に延びる係合孔83aと、該係合孔83aの支持軸21に近付く先端から第1回動方向D1に円弧状に延びる非係合孔83bとからなる。
【0030】
なお、レバーアーム81の支持軸21から離間する先端であって、第1回動方向D1に先行する先端には、アウトサイドハンドルレバー60側(
図3において紙面に直交する手前側)に向かって略四角爪状の連動当接片81aが略直角に曲げ起こされている。また、レバーアーム81の支持軸21から離間する先端であって、第2回動方向D2に先行する先端には、オープンレバー70側(
図3において紙面に直交する手前側)に向かって略四角爪状の連動当接片81bが略直角に曲げ起こされている。
【0031】
他方のレバーアーム82は、インサイドハンドルレバー40(レバーアーム41)よりも第2回動方向D2に先行する側に配置されている。そして、レバーアーム82には、支持軸21を中心する径方向に直線状に延びる略I字状のチャイルドロック長孔84が貫通形成されている。このチャイルドロック長孔84には、その延在方向に往復移動可能にチャイルドロックピン91が挿通・支持されている。このチャイルドロックピン91は、チャイルドロック操作部(図示略)に連結されており、該チャイルドロック操作部によってスライドドア1の外部からの移動操作が可能となっている。チャイルドロックピン91は、
図3において実線にて示す支持軸21側寄りのチャイルドアンロック位置と、
図3において2点鎖線にて示す支持軸21から離れたチャイルドロック位置との間で移動する。
【0032】
チャイルドロックピン91がチャイルドアンロック位置にあるとき、該チャイルドロックピン91はインサイドハンドルレバー40(レバーアーム41)の回動領域内に位置するので、該インサイドハンドルレバー40が第2回動方向D2に回動する際に一体でチャイルドロックピン91がロッキングレバー80と共に回動する。すなわち、インサイドハンドル3の開操作による動力を、インサイドハンドルレバー40からロッキングレバー80に伝達することが可能となる。
【0033】
これに対し、チャイルドロックピン91がチャイルドロック位置にあるとき、該チャイルドロックピン91はインサイドハンドルレバー40(レバーアーム41)の回動領域外に位置するので、インサイドハンドルレバー40とロッキングレバー80とが連動不可能に切り離される。すなわち、インサイドハンドル3の開操作による動力を、インサイドハンドルレバー40からロッキングレバー80に伝達することが不可能となる。
【0034】
オープンレバー70は、支持軸21を中心する互いに略相反する径方向に張り出した一対のレバーアーム71,72を有している。インサイドハンドルレバー40(レバーアーム41)と同じ側に張り出した一方のレバーアーム71の先端部には、ケーブルC1,C2を介してフロントロック6及びリアロック7(ポール駆動レバー14)がそれぞれ連結されている。なお、レバーアーム71の支持軸21から離間する先端部であって、第1回動方向D1に先行する先端には、ベースプレート20の所定部位と当接可能なストッパ部71aが形成されている。
【0035】
ロッキングレバー80のレバーアーム81に重ねられた他方のレバーアーム72には、支持軸21を中心する径方向に直線状に延びる略I字状の長孔73が貫通形成されている。この長孔73は、オープンレバー70及びロッキングレバー80が共に
図3及び
図4に示す原点位置にあるときに、長孔83の係合孔83aと重ね合わせ可能となっている。そして、長孔73,83には、共通のロッキングピン92が挿通されている。このロッキングピン92は、長孔73の延在方向に往復移動可能となっている。
【0036】
ここで、オープンレバー70は、レバーアーム72の第2回動方向D2を向いた側縁部において、ロッキングレバー80の連動当接片81bに当接可能となっている。従って、オープンレバー70は、ロッキングレバー80を介して前述のトーションコイルスプリングの付勢力を受けることになり、第1回動方向D1に付勢されている。そして、常には、ストッパ部71aがベースプレート20の所定部位と当接することで第1回動方向D1の回動が規制され、オープンレバー70及びロッキングレバー80が共に
図3及び
図4に示す原点位置に位置決めされている。また、オープンレバー70がトーションコイルスプリングの付勢力に抗して第2回動方向D2に回動すると、レバーアーム71に連結されたケーブルC1,C2がリモコン装置2側に引っ張られて、フロントロック6及びリアロック7が共に解除される。
【0037】
ロッキングピン92は、ロック操作ノブ4に機械的に連係されており、該ロック操作ノブ4によってスライドドア1の外部からの移動操作が可能となっている。ロッキングピン92は、
図3に示す支持軸21から離れるアンロック位置と、支持軸21側寄りのロック位置との間で移動する。
【0038】
ロッキングピン92がアンロック位置にあるとき、該ロッキングピン92は長孔83の係合孔83a内に位置するので、ロッキングレバー80が第2回動方向D2に回動する際に、ロッキングピン92に押されるオープンレバー70の一体回動が可能となる。つまり、ロッキングレバー80からオープンレバー70への動力伝達が可能となる。
【0039】
これに対し、ロッキングピン92がロック位置にあるとき、該ロッキングピン92は長孔83の非係合孔83b内に位置する。このため、ロッキングレバー80が第2回動方向D2に回動しても、ロッキングピン92が非係合孔83bを空走することで、オープンレバー70が回動することはない。つまり、ロッキングレバー80の動力がオープンレバー70に伝達されることはなく、該オープンレバー70は原点位置に留まることになる。
【0040】
なお、リモコン装置2は、アンロック位置とロック位置との間でロッキングピン92を移動操作するロッキングアクチュエータ(図示略)を備えている。このロッキングアクチュエータは、遠隔操作(リモコンキー又は車内の集中ドアロックボタンの操作)により作動する電動モータを主要部とし、その出力軸においてロッキングピン92に機械的に連係されている。ロッキングアクチュエータは、電動モータの出力軸が正逆回転することで、アンロック位置とロック位置との間でロッキングピン92を移動させる。
【0041】
つまり、ロック操作ノブ4が移動操作(施解錠操作)されるか、ロッキングアクチュエータが駆動されることで、ロッキングピン92がアンロック位置とロック位置との間を移動する。ロッキングピン92をロック位置に移動させるロック操作ノブ4の移動操作が施錠操作であり、ロッキングピン92をアンロック位置に移動させるロック操作ノブ4の移動操作が解錠操作であることはいうまでもない。
【0042】
アウトサイドハンドルレバー60は、ロッキングレバー80(レバーアーム81)及びリリースレバー50に略沿う支持軸21を中心する径方向に張り出した入力側レバー部としてのレバー部61を有する。このレバー部61は、支持軸21を中心する径方向に略沿って延びる延出部61aと、該延出部61aの支持軸21から離れる先端から第2回動方向D2に突出する連結部61bとを有して略L字形状を呈する。
【0043】
連結部61b(レバー部61)の支持軸21から離れる先端部には、支持軸21を中心とする略円弧状の長孔62が貫通形成されている。アウトサイドハンドルレバー60は、長孔62においてアウトサイドハンドル5に機械的に連係されている。
【0044】
また、連結部61b(レバー部61)には、長孔62よりも支持軸21側寄りで、切替凹部としての略L字形状の切替孔63が貫通形成されている。すなわち、切替孔63は、支持軸21を中心する径方向に延びる略四角形の規制部63aと、該規制部63aの支持軸21に近付く先端から第2回動方向D2に延びる略扇状の許容部63bとからなる。さらに、連結部61bの支持軸21に近付く先端であって、第2回動方向D2に先行する先端には、全開ロックオープンレバー30側(
図3において紙面に直交する手前側)に向かって連動当接片61cが略直角に曲げ起こされている。この連動当接片61cは、アウトサイドハンドルレバー60の第2回動方向D2で連動当接片32aに対向配置されている。
【0045】
一方、延出部61a(レバー部61)の長手方向中間部であって、第1回動方向D1に先行する先端には、ロッキングレバー80側(
図3において紙面に直交する奥側)に向かって略四角爪状の連動当接片61dが略直角に曲げ起こされている。この連動当接片61dは、アウトサイドハンドルレバー60の第2回動方向D2で連動当接片81aに対向配置されている。
【0046】
ここで、アウトサイドハンドルレバー60は、連動当接片61cにおいて、全開ロックオープンレバー30の連動当接片32aに当接可能となっている。そして、アウトサイドハンドルレバー60は、全開ロックオープンレバー30を介して前述の付勢手段の付勢力を受けるようになっており、第1回動方向D1に付勢されている。そして、常には、レバー部61の第1回動方向D1を向いた側縁部において、ベースプレート20の所定部位と当接することで、
図3及び
図4に示す入力レバー初期位置としてのアウトサイドハンドルレバー初期位置に位置決めされている。また、全開ロックオープンレバー30は、ベースプレート20と当接するアウトサイドハンドルレバー60を介して
図3及び
図4に示す原点位置に位置決めされている。
【0047】
そして、アウトサイドハンドル5を開操作すると、該アウトサイドハンドル5側にレバー部61が引かれてアウトサイドハンドルレバー60が支持軸21の周りをアウトサイドハンドルレバー初期位置から第2回動方向D2に回動する。このとき、連動当接片61cに連動当接片81aの押圧されるロッキングレバー80及び連動当接片61dに連動当接片32aの押圧される全開ロックオープンレバー30が一体で第2回動方向D2に回動する。
【0048】
従って、アウトサイドハンドル5を開操作したとき、ロッキングピン92がアンロック位置にあれば、アウトサイドハンドルレバー60、ロッキングレバー80及びロッキングピン92を介してオープンレバー70が一体で第2回動方向D2に回動する。すると、オープンレバー70のレバーアーム71に連結されたケーブルC1,C2がリモコン装置2側に引っ張られて、フロントロック6及びリアロック7(ポール12によるラッチ11の回動規制)が解除される。つまり、アウトサイドハンドル5の操作力が、アウトサイドハンドルレバー60、ロッキングレバー80及びロッキングピン92を介してオープンレバー70に伝達されることで、フロントロック6及びリアロック7が解除される。
【0049】
あるいは、アウトサイドハンドル5を開操作したとき、ロッキングピン92の位置(アンロック位置、ロック位置)に関係なく、即ちロック操作ノブ4の施解錠操作に関係なくアウトサイドハンドルレバー60を介して全開ロックオープンレバー30が一体で第2回動方向D2に回動する。すると、全開ロックオープンレバー30のレバーアーム31に連結されたケーブルC3がリモコン装置2側に引っ張られて、全開ロック8(ポール12によるラッチ11の回動規制)が解除される。つまり、アウトサイドハンドル5の操作力が、アウトサイドハンドルレバー60を介して全開ロックオープンレバー30に伝達されることで、全開ロック8が解除される。
【0050】
リリースレバー50は、ロッキングレバー80(レバーアーム81)及びアウトサイドハンドルレバー60(レバー部61)に略沿う支持軸21を中心する径方向に張り出したリリース側レバー部としてのレバー部51を有する。このレバー部51は、支持軸21を中心する径方向に略沿って延びる延出部51aと、該延出部51aの支持軸21から離れる先端から第2回動方向D2に突出する連結部51bとを有して略L字形状を呈する。なお、延出部51aの支持軸21から離れる先端には、略フック状のスプリング係止部51cが突設されている。
【0051】
連結部51b(レバー部51)には、支持軸21を中心とする周方向に延在する略円弧状の長孔52が貫通形成されている。リリースレバー50は、長孔52においてリリースモータ9の出力軸に機械的に連係されている。このリリースモータ9は、遠隔操作(リモコンキー又は車内のドア開閉ボタンの操作)により作動するものである。そして、リリースレバー50は、リリースモータ9の出力軸が正逆回転することで、第2回動方向D2及び第1回動方向D1にそれぞれ回動する。
【0052】
一方、延出部61a(レバー部61)の支持軸21から離間する先端部には、該支持軸21を中心とする径方向に延在するリリース側ガイド孔としての略I字状のガイド孔53が貫通形成されている。ガイド孔53がリリースエマージェンシレバー45のガイド孔46の延在方向に交差する方向に延びることはいうまでもない。このガイド孔53には、その延在方向に連結部材及び連結ピンとしてのリリースエマージェンシピン93が往復移動可能に挿通・支持されている。このリリースエマージェンシピン93は、リリースエマージェンシレバー45のガイド孔46にその延在方向に往復移動可能に挿通されているとともに、アウトサイドハンドルレバー60の切替孔63に移動可能に挿通されている。そして、リリースエマージェンシピン93には、一方の脚部がスプリング係止部51cに掛止された付勢部材としてのリリースエマージェンシピン初期復帰スプリング94の他方の脚部が掛止されている。このため、リリースエマージェンシピン93は、リリースエマージェンシピン初期復帰スプリング94によってガイド孔53に沿う支持軸21から離れる方向に向けて付勢されている。
【0053】
リリースエマージェンシピン93が切替孔63の規制部63aに嵌入されているとき、リリースレバー50は、リリースエマージェンシピン93によってアウトサイドハンドルレバー60と一体回動するように連結される。つまり、リリースレバー50とアウトサイドハンドルレバー60との間で相互に動力伝達が可能になる。従って、リリースレバー50は、リリースエマージェンシピン93及びアウトサイドハンドルレバー60等を介して前述の付勢手段の付勢力を受けることになり、第1回動方向D1に付勢されている。そして、リリースレバー50は、常には、アウトサイドハンドルレバー初期位置に位置決めされるアウトサイドハンドルレバー60に合わせて、
図3及び
図4に示すリリースレバー初期位置に位置決めされ、あるいは、アウトサイドハンドルレバー60がアウトサイドハンドルレバー初期位置に復帰することで当該リリースレバー初期位置に復帰する。
【0054】
これに対して、
図6に示すように、リリースエマージェンシピン93が切替孔63の許容部63bに挿入されているとき、該許容部63bの周方向の範囲でリリースレバー50及びアウトサイドハンドルレバー60の相対回動が可能になる。
【0055】
ガイド孔53が形成されたレバー部51と、ガイド孔46が形成されたリリースエマージェンシレバー45と、規制部63a及び許容部63bを有してリリースエマージェンシピン93が挿入される切替孔63が形成されたレバー部61と、リリースエマージェンシピン初期復帰スプリング94とは、キャンセル機構M1を構成する。
【0056】
ここで、リリースレバー50は、リリースモータ9が作動すると、該リリースモータ9側に引かれてリリースレバー初期位置から第2回動方向D2に回動する。このとき、ロッキングピン92がアンロック位置に配置され、且つ、リリースエマージェンシピン93が切替孔63の規制部63aに嵌入されている状態にあれば、
図5への変化で示すように、リリースエマージェンシピン93に規制部63aの押圧されるアウトサイドハンドルレバー60が一体で第2回動方向D2に回動する。そして、連動当接片61cに連動当接片32aの押圧される全開ロックオープンレバー30が前述の付勢手段の付勢力に抗して一体で第2回動方向D2に回動する。このとき、全開ロック8が解除されることは既述のとおりである。また、連動当接片61dに連動当接片81aの押圧されるロッキングレバー80及びロッキングピン92に長孔73の押圧されるオープンレバー70が前述のトーションスプリングの付勢力に抗して一体で第2回動方向D2に回動する。このとき、フロントロック6及びリアロック7が解除されることは既述のとおりである。
【0057】
なお、リリースモータ9が作動しても、ロッキングピン92がロック位置に配置されていれば、連動当接片61dに連動当接片81aの押圧されるロッキングレバー80の回動によってロッキングピン92がオープンレバー70(長孔73)を押圧することはない。従って、オープンレバー70は原点位置のままである。
【0058】
一方、リリースエマージェンシレバー45は、ガイド孔46内でリリースエマージェンシピン93を摺動させつつ、リリースエマージェンシレバー支持軸43の周りを図示反時計回りに回動する。そして、インサイドハンドルレバー40は、リリースエマージェンシピン93がガイド孔46のリリースエマージェンシレバー支持軸43から離れる終端46aに到達しない限り、回動することなくインサイドハンドルレバー初期位置に留まるようになっている。換言すれば、インサイドハンドルレバー40は、リリースエマージェンシピン93がガイド孔46の終端46aに到達すると、リリースエマージェンシピン93にリリースエマージェンシレバー45が引かれることで、インサイドハンドルレバー初期位置から第2回動方向D2に回動する。
【0059】
また、リリースレバー50がリリースレバー初期位置から回動した状態でリリースモータ9に関連する故障によって停止したとする。ここでいう「リリースモータ9に関連する故障」には、リリースモータ9自体の電気的な故障のみならず、リリースモータ9に連結された機素が固着する等の物理的な故障も包含される。この場合、リリースエマージェンシピン93が規制部63aに嵌入するアウトサイドハンドルレバー60が停止する。そして、アウトサイドハンドルレバー60と係合する全開ロックオープンレバー30が停止するとともに、同じくアウトサイドハンドルレバー60と係合するロッキングレバー80がオープンレバー70と共に停止する。つまり、オープンレバー70が原点位置に復帰されないことで、フロントロック6及びリアロック7によるスライドドア1の閉状態での保持ができなくなる。あるいは、全開ロックオープンレバー30が原点位置に復帰されないことで、全開ロック8によるスライドドア1の全開状態での保持ができなくなる。
【0060】
この場合、インサイドハンドル3が閉操作されると、インサイドハンドルレバー40は、リリースエマージェンシレバー45のガイド孔46内でリリースエマージェンシピン93を摺動させつつ、第1回動方向D1に回動する。そして、
図6への変化でに示すように、リリースエマージェンシピン93がガイド孔46の終端46aに到達すると、インサイドハンドルレバー40は、終端46aでリリースエマージェンシピン93をリリースエマージェンシピン初期復帰スプリング94の付勢力に抗して引く。このとき、リリースエマージェンシピン93が規制部63aから許容部63bに移動することで、リリースレバー50に対してアウトサイドハンドルレバー60が回動可能になってアウトサイドハンドルレバー初期位置への復帰が可能となる。そして、アウトサイドハンドルレバー60のアウトサイドハンドルレバー初期位置への復帰に伴い、全開ロックオープンレバー30が原点位置に復帰するとともに、ロッキングレバー80がオープンレバー70と共に原点位置に復帰する。これにより、フロントロック6及びリアロック7によるスライドドア1の閉状態での保持が可能になる。あるいは、全開ロック8によるスライドドア1の全開状態での保持が可能になる。
【0061】
図1に示すように、車両の適宜箇所には、例えばマイコンを主体に構成されたECU(電子制御装置)100が搭載されている。このECU100は、例えばスライドドア1に搭載された各種スイッチ等と電気的に接続されて、該スライドドア1の状態を検出する。すなわち、ECU100は、乗員による遠隔操作(電子キーや車内のドア開閉ボタンの操作)を検出するとともに、フロントロック6等による閉状態でのスライドドア1の保持状態を検出し、更に全開ロック8による全開状態でのスライドドア1の保持状態を検出する。また、ECU100は、車内操作ハンドル用スイッチ(図示略)に電気的に接続されて、乗員によるインサイドハンドル3の開操作又は閉操作を検出する。さらに、ECU100は、車外操作ハンドル用スイッチ(図示略)に電気的に接続されて、乗員によるアウトサイドハンドル5の操作(開操作又は閉操作)を検出する。
【0062】
一方、ECU100は、リリースモータ9に電気的に接続されて、各種スイッチ等の検出結果に応じてリリースモータ9を駆動制御する。また、ECU100は、例えばスライドドア1を電動で開閉作動させる、いわゆるパワースライドドア装置を搭載する場合に当該パワースライドドア装置に電気的に接続されて、各種スイッチ等の検出結果に応じてこれを駆動制御する。
【0063】
具体的には、ECU100は、インサイドハンドル3又はアウトサイドハンドル5の操作に伴いフロントロック6等が解除された場合に、リリースモータ9を駆動する。すなわち、ECU100は、フロントロック6等が解除された場合に、パワースライドドア装置が作動を開始する(スライドドア1が電動による開閉作動を開始する)までの間、リリースレバー50でフロントロック6等による解除状態を維持するべくリリースモータ9を駆動する。あるいは、ECU100は、ロッキングピン92がアンロック位置にあるとき、遠隔操作(リモコンキーや車内のドア開閉ボタンの操作)が行われた場合に、フロントロック6等を解除するべくリリースモータ9を駆動する。
【0064】
次に、本実施形態の作用とともに、その効果について説明する。
(1)本実施形態では、スライドドア1の全開状態でアウトサイドハンドル5をアウトサイドハンドル中立位置から閉操作すると、これに連動してアウトサイドハンドルレバー60がアウトサイドハンドルレバー初期位置から回動することで、解除操作力を出力するべく全開ロックオープンレバー30が原点位置から回動する。これにより、全開ロック8によるスライドドア1の全開状態での保持が解除される。あるいは、リリースモータ9によりリリースレバー50をリリースレバー初期位置から回動させると、連結位置にあるリリースエマージェンシピン93及びアウトサイドハンドルレバー60を介して全開ロックオープンレバー30が解除操作力を出力するべく原点位置から回動する。従って、これらのいずれにおいても、全開ロック8が解除状態になって全開状態にあるスライドドア1を閉めることが可能になる。
【0065】
一方、リリースレバー50が前記リリースレバー初期位置から回動した状態で、リリースモータ9の電気的故障等によってリリースレバー50が停止・保持されたとする。このとき、インサイドハンドルレバー40を回動操作すると、キャンセル機構M1によってリリースエマージェンシピン93が連結位置から連結解除位置へと移動する。このため、アウトサイドハンドルレバー60は、リリースレバー50とは独立で回動可能となり、これに合わせて全開ロックオープンレバー30も原点位置への復帰が可能となる。従って、全開ロック8により全開状態にあるスライドドア1を保持できる。
【0066】
そして、ディーラに修理に出すまでの期間、概ね通常どおりにスライドドア1を使用できる。例えば車両の前方が下向きになる斜面にあっても、全開にしたスライドドア1が自重で閉まってくるといったことを抑制できる。
【0067】
(2)本実施形態では、リリースレバー50がリリースレバー初期位置から回動した状態で停止したとき、インサイドハンドルレバー40の回動に伴いガイド孔46の終端46aが規制部63aにあるリリースエマージェンシピン93に到達するまでは、該リリースエマージェンシピン93を許容部63bに移動させることなくリリースレバー50に対してインサイドハンドルレバー40が回動可能である。換言すれば、リリースレバー50が停止したときのリリースレバー初期位置からの回動量が異なったとしても、インサイドハンドルレバー40の回動量の変化でこれに対応して、リリースエマージェンシピン93を許容部63bに移動させることができる。
【0068】
(3)本実施形態では、リリースレバー50がリリースレバー初期位置から回動した状態で、リリースモータ9の電気的故障等によってリリースレバー50が停止・保持されたとき、インサイドハンドル3をインサイドハンドル中立位置から閉操作することで、リリースエマージェンシピン93を許容部63bに移動させることができる。このように、乗降時の操作対象であるインサイドハンドル3の操作によって、全開ロック8による全開状態にあるスライドドア1の保持が可能な状態に復帰することで、利用者が当該状況の発生時の解決方法に知識がない場合であっても簡単な試行錯誤を経るのみでこれに対応することができる。
【0069】
また、入力レバーとしてアウトサイドハンドル5等に連結されるアウトサイドハンドルレバー60を利用することで、部品点数を削減できる。同様に、エマージェンシ入力レバーとしてインサイドハンドル3に連結されるインサイドハンドルレバー40を利用することで、部品点数を削減できる。
【0070】
(4)本実施形態では、インサイドハンドルレバー40がインサイドハンドルレバー初期位置にあり、且つ、リリースレバー50がリリースレバー初期位置にあるとき、リリースエマージェンシピン93は、リリースエマージェンシレバー45のガイド孔46の長手方向中間部に位置する。従って、インサイドハンドル3の開閉操作に伴いインサイドハンドルレバー40が第1回動方向D1及び第2回動方向D2に回動する際、基本的にリリースエマージェンシピン初期復帰スプリング94の付勢力によって阻害されることがない。このため、インサイドハンドル3の操作フィーリングが損なわれる可能性を低減できる。
【0071】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、切替孔63に代えて、非貫通の穴状の切替凹部を採用してもよい。
【0072】
・前記実施形態においては、入力レバーとしてアウトサイドハンドルレバー60を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば専用部品として入力レバーを別設してもよい。
【0073】
・前記実施形態においては、エマージェンシ入力レバーとしてインサイドハンドルレバー40を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば専用部品としてエマージェンシ入力レバーを別設してもよい。
【0074】
・前記実施形態においては、インサイドハンドル3の閉操作を利用してリリースエマージェンシピン93を連結解除位置に移動させるキャンセル機構M1を採用した。これに対し、インサイドハンドル3の開操作を利用してリリースエマージェンシピン93を連結解除位置に移動させるキャンセル機構を採用してもよい。
【0075】
・前記実施形態においては、インサイドハンドルレバー40に連動するリリースエマージェンシレバー45でリリースエマージェンシピン93を連結解除位置に移動させるキャンセル機構M1を採用した。これに対し、インサイドハンドルレバーで直にリリースエマージェンシピン93を連結解除位置に移動させるキャンセル機構を採用してもよい。