(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記汚れ情報は、前記用紙における汚れの位置の情報のほかに、少なくとも、前記用紙における汚れの幅の情報、前記用紙における汚れが複数の場合の間隔の情報、前記用紙における汚れのパターンの情報、のうちの1つが含まれ、
前記ローラの設置情報には、前記ローラの位置の情報、前記ローラの幅の情報、前記ローラが複数の場合の間隔の情報、前記ローラのトレッドパターンの情報が含まれ、
前記制御部は、前記汚れ情報と前記複数の搬送経路における前記ローラの設置情報とを照合して汚損原因ローラの候補を判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の特許文献1では、機械の搬送ローラを、用紙幅方向の互いに異なる位置に設置するようにしておき、搬送経路上に設置したセンサが汚れを検出し、汚れの位置により原因の搬送ローラ位置を特定するようにしている。
ここで、この特許文献1の技術は、検出器により検出した汚れとローラが互いに異なる位置に設置されていることからローラを特定しているものである。
【0007】
この特許文献1の技術では、分岐経路の多い画像形成システムでは、それぞれの汚れ検出経路にセンサを設ける必要があるという問題がある。また、ローラの設置間隔(設置幅)を変えているため、大サイズ用紙を搬送する際にローラの間隔が近い場合には、搬送制御が難しくなるという別の問題が発生してくる。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、センサを増やしたり搬送制御を難しくしたりすることなく、汚損原因ローラを適切に特定することが可能な、画像形成システム及び画像形成制御プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、前記した課題を解決するため、本発明の一側面が反映された画像形成システム及び画像形成制御プログラムは、以下のように構成される。
(1)本発明の一側面が反映された画像形成システムは、用紙に画像形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像形成された用紙に後処理を施す後処理部と、画像形成と後処理の
ために複数のローラにより前記用紙を搬送経路上で搬送する搬送部と、前記用紙に対する画像形成と後処理と搬送とを制御する制御部と、を有する画像形成システムであって、前記制御部は、
画像形成と後処理に関するジョブ設定に基づいて、複数の搬送経路のうち当該ジョブ設定に対応する搬送経路で用紙を搬送するよう前記搬送部を制御し、画像形成された前記用紙における汚れに関する汚れ情報と、
前記ジョブ設定に関するジョブ設定情報と、前記
複数の搬送経路における前記ローラの
設置位置を示す設置情報とを参照し、前記汚れ情報により前記ローラのうちで前記用紙の汚れの原因と予想される
ローラであって、前記ジョブ設定情報に対応する搬送経路に設置されていないローラ以外のローラを汚損原因ローラの候補
と判断する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一側面が反映された画像形成制御プログラムは、用紙に画像形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像形成された用紙に後処理を施す後処理部と、画像形成と後処理の
ために複数のローラにより前記用紙を搬送経路上で搬送する搬送部と、前記用紙に対する画像形成と後処理と搬送とを制御する制御部と、を有する画像形成システムを制御する画像形成制御プログラムであって、
画像形成と後処理に関するジョブ設定に基づいて、複数の搬送経路のうち当該ジョブ設定に対応する搬送経路で用紙を搬送するよう前記搬送部を制御し、画像形成された前記用紙における汚れに関する汚れ情報と、
前記ジョブ設定に関するジョブ設定情報と、前記
複数の搬送経路における前記ローラの
設置位置を示す設置情報とを参照し、前記汚れ情報により前記ローラのうちで前記用紙の汚れの原因と予想される
ローラであって、前記ジョブ設定情報に対応する搬送経路に設置されていないローラ以外のローラを汚損原因ローラの候補
と判断する、ように前記画像形成システムのコンピュータを機能させる、ことを特徴とする。
【0011】
(2)以上の(1)において、前記汚れ情報は、前記用紙における汚れの位置の情報のほかに、少なくとも、前記用紙における汚れの幅の情報、前記用紙における汚れが複数の場合の間隔の情報、前記用紙における汚れのパターンの情報、のうちの1 つが含まれ、前記ローラ設置情報には、前記ローラの位置の情報、前記ローラの幅の情報、前記ローラが複数の場合の間隔の情報、前記ローラのトレッドパターンの情報が含まれ、前記制御部は、前記汚れ情報と
前記複数の搬送経路における前記ローラ設置情報とを照合して汚損原因ローラの候補
を判断する、ことを特徴とする。
【0012】
(3)以上の(1)〜(2)において、前記制御部は、前記ジョブ設定情報を参照
し、前記用紙に汚れが発生しない場合の前記用紙の搬送経路を除外することにより、前記汚損原因ローラ
を判断する、ことを特徴とする。
【0013】
(4)以上の(1)〜(3)において、前記制御部は、前記汚れ情報と前記ジョブ設定情報に含まれる複数の情報を用いて、前記汚損原因ローラの候補
を判断する、ことを特徴とする。
(5)以上の(1)〜(4)において、前記用紙の画像を読み取る読み取り部を備えて構成され、前記制御部は、
前記ジョブ設定情報に対応する搬送経路に設置された前記読み取り部の位置と読み取り結果とを参照して、抽出された前記汚損原因ローラの候補
を判断する、ことを特徴とする。
【0014】
(6)以上の(1)〜(5)において、前記制御部は、複数のジョブについてのそれぞれの前記ジョブ設定情報を用いて、前記汚損原因ローラの候補
を判断する、ことを特徴とする。
(7)以上の(1)〜(6)において、操作により情報が入力される操作部を備えて構成され、前記汚れ情報と前記ジョブ設定情報は、前記操作部から入力される、ことを特徴とする。
【0015】
(8)以上の(1)〜(6)において、前記用紙の画像を読み取る読み取り部を備えて構成され、前記汚れ情報は、前記読み取り部から入力される、ことを特徴とする。
(9)以上の(1)〜(6)において、前記制御部は、実行済みのジョブについての履歴を参照して前記ジョブ設定情報を取得する、ことを特徴とする。
【0016】
(10)以上の(1)〜(8)において、情報を表示する表示部を備えて構成され、前記制御部は、前記汚損原因ローラの候補を前記表示部に表示し、前記汚損原因ローラの候補が複数抽出された場合には前記用紙の搬送方向の上流側の前記汚損原因ローラから前記表示部に表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一側面が反映された画像形成システム及び画像形成制御プログラムによると、以下のような効果が得られる。
(1)本発明の一側面が反映された画像形成システム及び画像形成制御プログラムでは、
画像形成と後処理に関するジョブ設定に基づいて、複数の搬送経路のうち当該ジョブ設定に対応する搬送経路で用紙を搬送するよう搬送部を制御し、画像形成された用紙における汚れに関する汚れ情報と、
ジョブ設定に関するジョブ設定情報と、
複数の搬送経路におけるローラの
設置位置を示す設置情報とを参照し、前記汚れ情報により前記ローラのうちで前記用紙の汚れの原因と予想される
ローラであって、前記ジョブ設定情報に対応する搬送経路に設置されていないローラ以外のローラを汚損原因ローラの候補
と判断する。これにより、分岐経路が多い場合でもセンサを増やす必要がなく、また、全てのローラの間隔を変える必要もないため搬送制御を難しくすることなく、汚損原因ローラを適切に特定することが可能になる。
【0018】
(2)以上の(1)において、用紙における汚れの位置の他に、汚れの幅,間隔,パターンの少なくとも1つが含まれる汚れ情報と、ローラの位置,幅,間隔,トレッドパターンの情報が含まれる
複数の搬送経路におけるローラ設置情報とを照合して、汚損原因ローラの候補
を判断する。これにより、分岐経路が多い場合でもセンサを増やさずに、全てのローラの間隔を変えることなく、汚損原因ローラを適切に抽出し、絞り込むことにより特定することが可能になる。
【0019】
(3)以上の(1)〜(2)において
、用紙に汚れが発生しない場合の用紙の搬送経路を除外することにより、汚損原因ローラ
の候補を判断することで、分岐経路が多い場合でもセンサを増やさずに、全てのローラの間隔を変えることなく、汚損原因ローラを適切に特定することが可能になる。
【0020】
(4)以上の(1)〜(3)において、汚れ情報とジョブ設定情報に含まれる複数の情報を用いて汚損原因ローラの候補
を判断することで、分岐経路が多い場合でもセンサを増やさずに、全てのローラの間隔を変えることなく、汚損原因ローラを適切に特定することが可能になる。
【0021】
(5)以上の(1)〜(4)において、読み取り部を備える場合に、
ジョブ設定情報に対応する搬送経路に設置された読み取り部の位置と読み取り結果とを参照して、抽出された汚損原因ローラの候補
を判断することで、分岐経路が多い場合でもセンサを増やさずに、全てのローラの間隔を変えることなく、汚損原因ローラを適切に特定することが可能になる。
【0022】
(6)以上の(1)〜(5)において、複数のジョブについてのそれぞれのジョブ設定情報を用いて、汚損原因ローラの候補
を判断することで、分岐経路が多い場合でもセンサを増やさずに、全てのローラの間隔を変えることなく、汚損原因ローラを適切に特定することが可能になる。
【0023】
(7)以上の(1)〜(6)において、操作部から汚れ情報とジョブ設定情報が入力されるようにすることで、適切な情報によって汚損原因ローラの候補の抽出と絞り込みが可能になる。
(8)以上の(1)〜(6)において、読み取り部から汚れ情報を入力されるようにすることで、正確な汚れ情報によって汚損原因ローラの候補の抽出と絞り込みが可能になる。
【0024】
(9)以上の(1)〜(6)において、実行済みのジョブについての履歴を参照してジョブ設定情報を取得することで、正確な汚れ情報によって汚損原因ローラの候補の抽出と絞り込みが可能になる。
(10)以上の(1)〜(8)において、汚損原因ローラの候補が複数抽出された場合には用紙の搬送方向の上流側の汚損原因ローラから表示部に表示することで、該当する可能性の高い汚損原因ローラのユーザへの通知が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
〔全体構成〕
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置と、画像形成装置及び後処理装置を備える画像形成システムの構成について説明する。なお、図示していないが、本実施形態の特徴部分の制御を行う画像形成制御装置が、画像形成装置や画像形成システムの外部に存在していても良い。
【0027】
図1では画像形成装置や画像形成システムの各部の構成要素を機能別に図示している。また、
図2では画像形成装置や画像形成システムの各部の概略断面構成を、用紙の搬送状態に合わせて模式的に図示している。
図1及び
図2に示すように、この画像形成システム1は、画像形成装置100と、後処理装置200と、後処理装置300と、後処理装置400と、後処理装置500と、が用紙の搬送方向に沿って配置されている。なお、この画像形成システム1における各装置の接続は一例であって、この接続状態に限定されるものではない。
【0028】
画像形成装置100は、制御部101と、通信部102と、操作表示部103と、記憶部104と、給紙部105と、搬送部110と、読み取り部120と、画像データ記憶部130と、画像処理部140と、画像形成部150と、を備えて構成されている。
ここで、制御部101は、画像形成装置100内の各部を制御すると共に、画像形成装置100と後処理装置とを含む画像形成システム全体を制御する。また、制御部101は、用紙の汚れの原因となる汚損原因ローラを抽出し絞り込むことで特定する制御を行う。通信部102は、接続されている他の装置と通信する。操作表示部103は、操作者による操作入力に応じた操作入力信号を制御部101に通知すると共に画像形成装置100の状態表示とを行う。記憶部104は、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される。給紙部105は、収容されている用紙を給紙する。搬送部110は、給紙され画像形成される用紙を所定速度で搬送する。読み取り部120は、原稿をスキャンして画像データを生成する。画像データ記憶部130は、画像形成する際のイメージデータや各種データを記憶する。画像処理部140は、画像形成に必要な各種画像処理を実行する。画像形成部150は、画像形成命令と画像処理後のイメージデータとに基づいて印刷(以下、「画像形成」と言う)を実行する。
【0029】
後処理装置200は、画像形成装置100の後段に接続されており、制御部201と、通信部202と、記憶部204と、搬送部210と、後処理部250と、を備えて構成される。制御部201は、後処理装置200内の各部を制御する。通信部202は、画像形成装置100と通信する。記憶部204は、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される。搬送部210は、用紙を所定速度で搬送する。後処理部250は、搬送される用紙に各種後処理を施す。
【0030】
後処理装置300は、後処理装置200の後段に接続されており、制御部301と、通信部302と、記憶部304と、搬送部310と、後処理部350と、排出部390と、を備えて構成される。また、排出部390は、メイン排出部390mと、サブ排出部390sとを備えて構成される。制御部301は、後処理装置300内の各部を制御する。通信部302は、画像形成装置100等と通信する。記憶部304は、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される。搬送部310は、用紙を所定速度で搬送する。後処理部350は、搬送される用紙に各種後処理を施す。排出部390は、メイン排出部390mと、サブ排出部390sのいずれかにより、用紙を装置外に排出する。
【0031】
後処理装置400は、後処理装置300の後段に接続されており、制御部401と、通信部402と、記憶部404と、搬送部410と、後処理部450と、排出部490と、を備えて構成される。また、排出部490は、メイン排出部490mと、サブ排出部490sとを備えて構成される。制御部401は、後処理装置400内の各部を制御する。通信部402は、画像形成装置100等と通信する。記憶部404は、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される。搬送部410は、用紙を所定速度で搬送する。後処理部450は、搬送される用紙に各種後処理を施す。排出部490は、メイン排出部490mと、サブ排出部490sのいずれかにより、用紙を装置外に排出する。
【0032】
後処理装置500は、後処理装置400の後段に接続されており、制御部501と、通信部502と、記憶部504と、搬送部510と、後処理部550と、排出部590と、を備えて構成される。また、排出部590は、メイン排出部590mと、サブ排出部590sとを備えて構成される。制御部501は、後処理装置500内の各部を制御する。通信部502は、画像形成装置100等と通信する。記憶部504は、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される。搬送部510は、用紙を所定速度で搬送する。排出部590は、メイン排出部590mと、サブ排出部590sのいずれかにより、用紙を装置外に排出する。
【0033】
なお、以上の画像形成装置100、後処理装置200〜500内の各処理機能や各構成要素は一例であって、これらに限定されるものではない。
〔動作〕
以下、本実施形態の画像形成システム及び画像形成制御プログラムについて、
図3のフローチャート、
図4〜
図6の画面説明図、
図7の動作状態説明図、
図8のフローチャート、
図9〜
図12の動作状態説明図、
を参照して動作手順に従って説明する。
【0034】
画像形成システム1において画像形成された用紙に汚れが生じた場合に、ユーザが操作表示部103の操作表示画面から[汚損原因ローラ特定]等のタブをクリックすることで、制御部101は
図3のフローチャートに従って処理を開始する。また、ユーザがコールセンターに電話をした場合に、コールセンターからのリモート操作により、制御部101は
図3のフローチャートに従って処理を開始する。また、図示されない出力物読み取り部などで用紙の汚れが検知された場合に、制御部101は
図3のフローチャートに従って処理を開始する。
【0035】
なお、画像形成システム1における各装置のローラの位置(主走査方向位置),幅,複数のローラ対の場合のローラ間隔,トレッドパターン(ローラ表面(トレッド)のパターン)などの情報が、ローラ設置情報として、各装置の記憶部(画像形成装置100の記憶部104、後処理装置200の記憶部204、後処理装置300の記憶部304、後処理装置400の記憶部404、後処理装置500の記憶部504)に記憶されている。そして、制御部101は、各装置のローラ設置情報を読み出して、記憶部104に集約して格納する(
図3中のステップS100)。なお、このような各装置のローラ設置情報の読み出しと格納については、画像形成システム1の電源オン時に制御部101が実行しても良い。また、画像形成システム1に新たな装置が接続された際の接続情報生成時にローラ設置情報を制御部101が取得するようにしても良い。
【0036】
制御部101は、画像形成された用紙における汚れに関する汚れ情報を取得する(
図3中のステップS101)。ここで、汚れ情報は、用紙における汚れの位置,汚れの幅,汚れが複数の場合には間隔,汚れのパターンの少なくとも1つが含まれる。
ユーザが用紙の汚れを見て汚れ情報を入力するのであれば、制御部101は、
図4の汚れ位置入力画面103G1を操作表示部103に表示する。この汚れ位置入力画面103G1では、汚れ位置の見本となる汚れ位置見本表示部103G1aと、汚れ位置の入力を行う入力部103G1bと、を含んでいる。ここで、ユーザは、操作表示部103の汚れ位置入力画面103G1を介して、用紙に生じた汚れの位置を、用紙上の場所に応じた数値により容易に入力することができる。
図4では、ユーザが入力部103G1bから数値2を入力したため、制御部101の制御により、汚れ位置見本表示部103G1aにおいて数値2に対応する部分が強調表示された状態になっている。なお、汚れの幅が広い場合には、ユーザは、汚の幅れに相当する複数の数値(例えば、2と3)を入力すれば良い。また、汚れが複数存在する場合には、ユーザは、汚れ位置に相当する複数の数値(例えば、2と15)を入力すれば良い。そして、ユーザは、OKボタン103G1cを押下することで、汚れ情報の入力を確定することができる。
【0037】
また、ローラのトレッドに起因する汚れのパターンが存在している場合には、ユーザは汚れ位置入力画面103G1で[Next]タブを押下することで、制御部101は、操作表示部103に、汚れパターン入力画面103G2(
図5)を操作表示部103に表示する。
【0038】
この汚れパターン入力画面103G2では、汚れパターンの見本となる汚れパターン見本表示部103G2aと、汚れパターンの入力を行う入力部103G2bと、を含んでいる。ここで、ユーザは、操作表示部103の汚れパターン入力画面103G2を介して、用紙に生じた汚れのパターンを、用紙上のパターンに応じた数値により容易に入力することができる。
図5では、ユーザが入力部103G2bから数値2を入力したため、制御部101の制御により、汚れパターン見本表示部103G2aにおいて数値2に対応する部分が強調表示された状態になっている。そして、ユーザは、OKボタン103G2cを押下することで、汚れ情報の入力を確定することができる。
【0039】
なお、以上の
図4と
図5における汚れ位置や汚れパターンについての汚れ情報のユーザによる入力のほかに、汚れが生じた用紙を読み取り部120で読み取ることによっても、汚れ情報(用紙における汚れの位置,汚れの幅,汚れが複数の場合には間隔,汚れのパターン)を取得することもできる。
【0040】
続いて、制御部101は、実行されたジョブについてのジョブ設定情報を取得する(
図3中のステップS102)。ここで、ジョブ設定情報としては、汚損原因ローラの候補を絞り込むために必要な情報、例えば、用紙の搬送経路を特定するのに必要な情報が含まれていれば良い。ユーザがジョブ設定情報を入力するのであれば、制御部101は、
図6のジョブ設定情報入力画面103G3を操作表示部103に表示する。このジョブ設定情報入力画面103G3では、入力する項目についての項目表示部103G3aと、各項目のジョブ設定情報の入力(選択肢の選択)を行う入力部103G3bと、を含んでいる。ここで、ユーザは、操作表示部103のジョブ設定情報入力画面103G3を介して、汚損原因ローラの絞り込みに必要なジョブ設定情報について、選択肢を選択することにより、必要な情報を適確に容易に入力することができる。
【0041】
図6のジョブ設定情報入力画面103G3の具体例では、
実行ジョブ汚れ有無:[汚れ有り/汚れ無し],
印字面:[片面/両面],
排紙面:[フェイスダウン/フェイスアップ/指定無し],
排紙先:[平綴じ機メイン/平綴じ機サブ/中綴じ機メイン/中綴じ機サブ],
後処理:[パンチ/中折り/平綴じ/中綴じ],
カール調整:[有り/無し/指定無し],
がジョブ設定情報として選択可能にされている。なお、後処理については、実際に設定した項目を複数組合せて選択が可能である。また、このジョブ設定情報入力画面103G3では、汚れ有りのジョブについてのジョブ設定情報と、汚れ無しのジョブについてのジョブ設定情報の、少なくとも一方を入力することが可能である。
【0042】
そして、ユーザは、決定ボタン103G3cとOKボタン103G3dを押下することで、ジョブ設定情報の入力を確定することができる。なお、以上の
図6におけるジョブ設定情報のユーザによる入力のほかに、ジョブ履歴から選択ボタン103G3eを押下することによって、制御部101はジョブ設定情報を過去の履歴から取得することもできる。
【0043】
なお、ジョブ設定情報の取得(
図3中のステップS102)については、後述する汚損原因ローラの絞り込み(
図3中のステップS104〜)を実行しつつ、必要に応じて取得するように、制御部101が順序を変更しても構わない。
制御部101は、以上のように汚れ情報を取得した後、取得した汚れ情報と、ローラの設置情報とを参照し、用紙上の汚れの位置に合致して配置されているローラを抽出する(
図3中のステップS103)。後にローラの絞り込みを実行するため、制御部101は、この段階では該当する可能性の高いローラを全て抽出しておく。なお、この段階では、ローラの主走査方向(搬送方向と直交する方向)の位置でローラの抽出を行うため、制御部101は、少ない負荷で高速に抽出の処理を実行することができる。なお、汚損原因ローラの抽出(
図3中のステップS103)については、汚れ情報のうちの汚れ位置情報が取得できた時点で実行するように、制御部101が順序を変更しても構わない。
【0044】
図7は、汚れの位置に合致するローラの抽出結果の具体例(抽出結果は強調表示)であり、ここでは、画像形成装置100の搬送経路末端付近のローラ110R、後処理装置200の搬送経路末端付近のローラ210R、後処理装置300の搬送経路末端付近のローラ310R、後処理装置400の搬送経路末端付近のローラ410R、後処理装置500の搬送経路末端付近のローラ510R、が抽出された状態を示している。
【0045】
以下、抽出されたローラを制御部101が絞り込む処理手順について、
図8のフローチャートと、
図9以降の状態説明図を参照して説明する。
制御部101は、いずれかの後処理装置に出力物読み取り部が設置されている場合には、制御部101は、出力物読み取り部の位置と読み取り結果とを参照して、抽出された汚損原因ローラの候補を絞り込む(
図3中のステップS104)。
【0046】
例えば、
図9と
図10に示すように、後処理装置200において、出力物読み取り部220が搬送経路の途中に配置されているとする。すなわち、いずれかの後処理装置に出力物読み取り部が設置されている場合には(
図8中のステップS1041でYES)、制御部101は、読み取り画像データに汚れが存在していれば(
図8中のステップS1042でYES)、出力物読み取り部220より下流側に存在するローラを汚損原因ローラの候補から除外する(
図8中のステップS1043)。
図9は、出力物読み取り部220より下流側に存在するローラ(ローラ210R,310R,410R,510R)が汚損原因ローラの候補から除外された状態を模式的に示している(
図9中の「X」印)。
【0047】
一方、制御部101は、読み取り画像データに汚れが存在しなければ(
図8中のステップS1042でNO)、出力物読み取り部220より上流側に存在するローラを汚損原因ローラの候補から除外する(
図8中のステップS1044)。
図10は、出力物読み取り部220より上流側に存在するローラ(ローラ110R)が汚損原因ローラの候補から除外された状態を模式的に示している。(
図10中の「X」印)。
【0048】
このような出力物読み取り部220の位置と読み取り結果とによる候補除外の場合、汚れの有無、出力物読み取り部220の位置といった簡単なパラメータで候補の除外を行うため、制御部101は、少ない負荷で高速に抽出の処理を実行することができる。このため、候補除外処理の早い段階で実行し、候補を減らせる効果がある。
【0049】
制御部101は、ジョブ設定情報を参照し、用紙に汚れが発生したジョブの用紙の非搬送経路を除外し、用紙に汚れが発生しないジョブの用紙の搬送経路を除外して、汚損原因ローラの候補を絞り込む(
図3中のステップS105)。すなわち、制御部101は、ジョブ設定情報が取得できている場合に(
図8中のステップS1051でYES)、汚れが発生したジョブについてのジョブ設定情報を参照し、用紙に汚れが発生したジョブにおいて(
図8中のステップS1052でYES)、用紙が通過しなかった経路(非搬送経路)を除外する(
図8中のステップS1053)。また、制御部101は、ジョブ設定情報が取得できている場合に(
図8中のステップS1051でYES)、汚れが発生していないジョブについてのジョブ設定情報を参照し、用紙に汚れが発生していないジョブにおいて(
図8中のステップS1052でNO)、用紙が通過した搬送経路を除外する(
図8中のステップS1054)。
【0050】
例えば、
図11に示すように、給紙部から給紙された用紙が、画像形成装置100で画像形成され、後処理装置200と後処理装置300を通過し、後処理装置400において後処理部450において中綴じされ、サブ排出部490sに排出されるジョブにおいて、用紙に汚れが生じたとする。この場合、ローラ410Rとローラ510は、汚れた用紙が通過しない非搬送経路(
図11中の細線で示される経路)であるため、汚損原因ローラの候補から除外する(
図11中の「X」印)。
【0051】
同様に、
図12に示すように、給紙部から給紙された用紙が、画像形成装置100で画像形成され、後処理装置200と後処理装置300を通過し、後処理装置400においてメイン排出部490mに排出されるジョブにおいて、用紙に汚れが生じていないとする。この場合、ローラ110Rとローラ210とローラ310は、用紙が通過した搬送経路(
図12中の太破線で示される経路)であるが、用紙に汚れが生じないため、汚損原因ローラの候補から除外する(
図12中の「X」印)。
【0052】
このような汚れ有り用紙の非搬送経路と汚れ無し用紙の搬送経路の除外の場合、搬送経路を確実に指定して除外できるため、確実に損原因ローラの候補を減らせる効果がある。また、複数のジョブについてジョブ設定情報を用いて汚損原因ローラの候補の絞り込みを繰り返すことで、汚れに関係のないローラを確実に除外することが可能になる。
【0053】
また、制御部101は、汚れ情報とローラ設置情報とを参照し、汚れ情報に含まれる汚れパターンとローラ設置情報に含まれるローラのトレッドパターンとを照合して、一致しないトレッドパターンを有するローラを、汚損原因ローラの候補から除外する(
図3中のステップS106)。すなわち、制御部101は、汚れパターン情報が取得できている場合に(
図8中のステップS1061でYES)、汚れパターンとローラのトレッドパターンとを照合して、汚れパターンに一致しないトレッドパターンを有するローラを、汚損原因ローラの候補から除外して、汚損原因ローラの候補を絞り込む(
図8中のステップS1062)。
【0054】
このような汚れパターンとローラのトレッドパターンとを比較して汚損原因ローラの候補除外を行う場合、ローラに数種類の異なるトレッドパターンを予め用意しておくことで、候補を(1/トレッドパターン数)に減らすことができ、制御部101は、少ない負荷で高速に抽出の処理を実行することができる。なお、本実施形態では、複数のパラメータで絞り込みを実行するため、ローラのトレッドパターンについては数種類で十分であり、全てのローラのトレッドパターンを異なるものにする必要はない。
【0055】
また、制御部101は、汚れ情報とローラ設置情報とを参照し、汚れ情報に含まれる汚れ幅とローラ設置情報に含まれるローラの幅とを照合して、一致しない幅を有するローラを、汚損原因ローラの候補から除外する(
図3中のステップS107)。すなわち、制御部101は、汚れ幅情報が取得できている場合に(
図8中のステップS1071でYES)、汚れ幅とローラの幅とを照合して、汚れ幅に一致しない幅を有するローラを、汚損原因ローラの候補から除外して、汚損原因ローラの候補を絞り込む(
図8中のステップS1072)。
【0056】
このような汚れ幅とローラの幅とを比較して汚損原因ローラの候補除外を行う場合、ローラに数種類の異なる幅を予め用意しておくことで、候補を(1/ローラ幅の種類)に減らすことができ、制御部101は、少ない負荷で高速に抽出の処理を実行することができる。なお、本実施形態では、複数のパラメータで絞り込みを実行するため、ローラ幅については数種類で十分であり、全てのローラの幅を異なるものにする必要はない。
【0057】
また、制御部101は、汚れ情報とローラ設置情報とを参照し、汚れ情報に含まれる汚れ間隔とローラ設置情報に含まれる複数ローラ(ローラ対)の間隔とを照合して、一致しない間隔を有するローラを、汚損原因ローラの候補から除外する(
図3中のステップS108)。すなわち、制御部101は、汚れ間隔情報が取得できている場合に(
図8中のステップS1081でYES)、汚れ間隔と複数ローラの間隔とを照合して、汚れ間隔に一致しない間隔を有するローラ対を、汚損原因ローラの候補から除外して、汚損原因ローラの候補を絞り込む(
図8中のステップS1082)。なお、ローラ対の間隔については、対になるローラの存在が必要であるため、汚れの幅とローラの幅が判明しているローラ対のみを処理対象とする。
【0058】
このような汚れ間隔とローラ対の間隔とを比較して汚損原因ローラの候補除外を行う場合、ローラ対に数種類の異なる間隔を予め用意しておくことで、候補を(1/ローラ対の間隔の種類)に減らすことができ、制御部101は、少ない負荷で高速に抽出の処理を実行することができる。なお、本実施形態では、複数のパラメータで絞り込みを実行するため、ローラ対の間隔については数種類で十分であり、従来例のように全てのローラ対の間隔を異なるものにする必要はない。
【0059】
そして、制御部101は、汚れ情報を参照して汚損原因ローラの候補を抽出し、更に、汚れ情報とジョブ設定情報とを参照して汚損原因ローラの候補を絞り込むことにより、汚損原因ローラの候補を特定できたかを判断する(
図3中のステップS109)。
ここで、汚損原因ローラの候補が多数存在していて十分に絞り込めていない場合には(
図3中のステップS109で「NO(候補多数)」)、制御部101は、追加情報をユーザに要求する入力画面を操作表示部103に表示し(
図3中のステップS110)、ステップS101に戻り処理を再び繰り返す(
図3中のステップS101〜)。この場合、汚れ情報として入力されておらず存在していない情報があれば、その情報の入力を求めるように制御部101が制御を行っても良い。また、この場合に、制御部101は、更に多くのジョブ設定情報を過去の履歴から取得して、汚れ有無の搬送経路/非搬送経路のローラの除外を行うようにしても良い。
【0060】
また、汚損原因ローラの候補を絞り込むことで、汚損原因ローラの候補を単数又は少数に絞り込めた場合には(
図3中のステップS109で「YES(特定)」)、制御部101は、特定された汚損原因ローラの候補とその清掃手法の表示画面を操作表示部103に表示し(
図3中のステップS111)、処理を終了する。
【0061】
なお、制御部101は、絞り込まれても複数の汚損原因ローラの候補が存在する場合には、未定着のトナーに接触する可能性が高いローラ、すなわち、より上流側に存在する汚損原因ローラの候補を先に表示画面に表示してユーザに通知する。
一方、抽出又は絞り込みによって汚損原因ローラの候補が存在しない場合には(
図3中のステップS109で「NO(特定不可)」)、汚損原因ローラの候補を特定できなかった旨と必要に応じてサービスを呼ぶガイドメッセージの表示画面を操作表示部103に表示し(
図3中のステップS112)、終了する。
【0062】
以上のように汚損原因ローラの候補の抽出と絞り込みとを行うことで、分岐経路が多い場合でもセンサを増やす必要がなく、また、全てのローラの間隔を変える必要もないため搬送制御を難しくすることなく、汚損原因ローラを適切に特定することが可能になる。また、複数のパラメータで絞り込みを行うことで、画像形成システム1内に多数のローラが存在している場合であっても、少ない負荷で高速に汚損原因ローラの候補を絞り込んで特定することが可能になる。