(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理部は、前記条件情報が前記撮像装置の撮像に係る明るさが暗い状態であることを示す場合、前記高画質化処理が施された前記低域画像を出力画像として出力する
請求項7に記載の医療用画像処理システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<内視鏡システムの概要>
図1は、本技術を適用した内視鏡システムの概要を説明する図である。
【0017】
この内視鏡システムは、近年、医療現場において従来の開腹手術に代わって行われる腹腔鏡下手術において利用される。
【0018】
すなわち、
図1で示されるように、腹腔鏡下手術では、例えば腹部の手術を行う場合、従来行われていた腹壁1を切って開腹する代わりに、トロッカ2と称される開孔器具が腹壁1に数か所取り付けられ、トロッカ2に設けられている孔から腹腔鏡(以下、内視鏡装置または内視鏡とも称する)11と処置具3が体内に挿入される。そして、内視鏡装置11によってビデオ撮像された患部(腫瘍等)4の画像をリアルタイムに見ながら、処置具3によって患部4を切除するなどの処置が行われる。
【0019】
図1に示されるような直線棒状の内視鏡装置11では、ヘッド部24を術者、助手、スコピスト、またはロボットなどが保持している。
【0020】
<内視鏡システムの構成例>
ここで、
図2を参照して、本技術の実施の形態である内視鏡システムの構成例について説明する。この内視鏡システム10は、内視鏡装置11、画像処理装置12、および表示装置13から構成される。
【0021】
内視鏡装置11と画像処理装置12は、ケーブルを介して接続する他、無線で接続してもよい。また、画像処理装置12を手術室から離れた場所に配置し、構内LANやインターネットなどのネットワークを介して接続するようにしてもよい。画像処理装置12と表示装置13の接続についても同様とする。
【0022】
内視鏡装置11は、直線棒状の鏡筒部21とヘッド部24から構成される。鏡筒部21は、光学視管または硬性管とも称され、その長さが数10センチ程度であり、体内に挿入される側の一端には対物レンズ22が設けられており、他端はヘッド部24に接続されている。鏡筒部21の内部にはリレー光学系の光学レンズ部23が設けられている。なお、鏡筒部21の形状は、直線棒状に限定されるものではない。
【0023】
鏡筒部21には、大きく分類して、
図2の鏡筒軸と光軸が等しい直視鏡と、鏡筒軸と光軸とが所定の角度をなす斜視鏡がある。
図2の鏡筒部21は、このうち直視鏡を例にしたものである。
【0024】
ヘッド部24には、撮像部25が内蔵されている。撮像部25は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を有し、鏡筒部21から入力される患部の光学像を所定のフレームレートで画像信号に変換する。また、内視鏡装置11には、光源装置14が接続されており、撮像に必要とされる光源の供給を受けて、患部4を照射する。この際、光源装置14は、さまざまな波長の光を切り替えて発することができ、通常光に加えて、患部4を特に識別できるような特殊光を発することもできる。したがって、撮像部25により撮像される画像は、通常光による画像信号の他、特殊光による画像信号を撮像することも可能である。
【0025】
内視鏡装置11においては、対物レンズ22により集光される患部4の光学像が光学レンズ部23を介してヘッド部24の撮像部25に入射され、撮像部25によって所定のフレームレートの画像信号に変換されて後段の画像処理装置12に出力される。また、ヘッド部24は、光源装置14により発せられている光の種別、対物レンズ22の口径、光学レンズ部23の口径といった情報を条件情報として、画像処理装置12に供給する構成であるものとする。この条件情報については、ヘッド部24の図示せぬ部位にユーザが予め入力する構成を設けて、この部位から条件情報として画像処理装置12に供給するようにしても良い。また、条件情報は、画像処理装置12において、撮像される画像信号を解析することにより、画像処理装置12が、自ら認識する構成とするようにしてもよい。ここでは、いずれかの方法により画像処理装置12に、条件情報が入力されることを前提として説明を進めるものとする。尚、光源装置14から画像処理装置12に供給される光の種別の情報については、光源装置14から画像処理装置12に直接供給される構成にしてもよい。
【0026】
図3は、内視鏡装置11の他の構成例を示している。同図に示されるように、対物レンズ22の直後に撮像部25を配置し、鏡筒部21の内部の光学レンズ部23を省略するようにしてもよい。
【0027】
<画像処理装置の第1の実施の形態>
次に、
図4のブロック図を参照して、画像処理装置12の第1の実施の形態の構成例について説明する。
【0028】
画像処理装置12は、低域抽出部51、高域抽出部52、縮小部53、ノイズ除去部54、色補正部55、拡大部56、低高域合成部57、構造強調部58、および電子ズーム部59を備えている。
【0029】
低域抽出部51は、入力画像における低域成分を抽出し、高域抽出部52、および縮小部53に出力する。より詳細には、低域抽出部51は、例えば、LPF(Low Pass Filter)より構成されており、入力画像における低域成分を抽出し、低域画像として高域抽出部52、および縮小部53に出力する。
【0030】
高域抽出部52は、入力画像の各画素について、高域成分を抽出し、低高域合成部57に出力する。より詳細には、高域抽出部52は、例えば、入力画像の各画素について、低域抽出部51より供給されてくる低域成分を減算することで、高域成分を抽出して、低高域合成部57に出力する。高域抽出部52は、光源装置14において発せられる光源の種別、並びに対物レンズ22、および光学レンズ部23の口径などからなる条件情報に応じて、高域成分が不要となる場合、高域成分の抽出を停止する。
【0031】
縮小部53は、低域成分からなる画像信号を、低解像度の画像に縮小し、縮小画像としてノイズ除去部54に出力する。より詳細には、縮小部53は、例えば、低域成分からなる画像信号の画素信号を、所定の間隔で間引くなどにより画素解像度を低下させて縮小する。
【0032】
ノイズ除去部54は、縮小画像のノイズ除去処理を施す。より具体的には、ノイズ除去部54は、例えば、縮小画像に対して、2D NR(2Dimension Noise Reduction)処理(2次元ノイズ除去処理)および3D NR(3Dimension Noise Reduction)処理(3次元ノイズ除去処理)を施し、ノイズを除去して拡大部56に出力する。ここでいう2次元ノイズ除去処理とは、縮小画像内における画像内の信号を用いた、いわゆる空間方向ノイズ除去処理であり、3次元ノイズ除去処理とは、時間方向に複数の画像を用いた、いわゆる時間方向ノイズ除去処理である。
【0033】
色補正部55は、ノイズ除去処理が施された縮小画像に色補正を施し、拡大部56に出力する。
【0034】
拡大部56は、縮小部53により縮小処理したときの縮小率に対応した拡大率で、帯域強調が施された縮小画像を拡大し、入力画像のサイズと同一の画像サイズに変換して低域成分の画像信号からなる低域画像として低高域合成部57に出力する。
【0035】
低高域合成部57は、光源装置14からの光源の種別、内視鏡装置11における光学レンズ部23、および、光学レンズ部23の口径サイズといった撮像に係る明るさを特定する条件情報に基づいて、内蔵する加算部57a(
図6)を制御して、高域成分の画像信号と、低域成分の画像信号とを加算した画像信号、または、低域成分のみの画像信号のいずれかを高画質化した画像信号として構造強調部58に出力する。
【0036】
すなわち、条件情報として、光源装置14の発する光が特殊光であることを示す情報、対物レンズ22の口径サイズが所定のサイズより小さいことを示す情報、および、光学レンズ部23の口径サイズが所定のサイズより小さいといった情報のいずれかが含まれているような場合、撮像に係る明るさが比較的暗い状態であることが示されることになる。このような場合、入力画像における、特に高域成分にはノイズ成分が多く含まれることになる。そこで、このような条件情報の場合について、低高域合成部57は、加算部57a(
図6)の動作を停止させて、高画質化された低域成分のみからなる低域画像を、高画質化処理結果として出力する。すなわち、特殊光撮像の場合、高域成分にはノイズ成分が多く含まれることから、低域画像のみを出力することで、低解像度ながらS/N(信号対ノイズ比率)に優れた画像を出力することが可能となる。
【0037】
一方、条件情報として、光源装置14の発する光が白色光からなる通常光であることを示す情報、対物レンズ22の口径サイズが所定のサイズよりも大きいといった情報、および光学レンズ部23の口径サイズが所定のサイズより大きいといった情報がいずれも揃っているような場合、撮像に係る明るさが比較的明るい状態であることが示されることになる。このような場合、高域成分においてもノイズ成分が比較的少ない。そこで、低高域合成部57は、加算部57a(
図6)を制御して、各画素について高画質化された低域成分に高域成分を加算した結果を高画質化処理結果として出力する。このように、撮像時の明るさに係る条件情報に基づいて処理を切り替えるようにすることで、適切に高画質化された画像を、適切な解像度で後段に出力する。すなわち、通常光撮像の場合、高域成分にはノイズ成分が比較的少ないので、高画質化された低域画像に、高域画像を加算することで、高解像度で、かつ、高画質の画像を出力することが可能となる。
【0038】
構造強調部58は、高画質化された画像信号に構造強調処理を施して、電子ズーム部59に出力する。
【0039】
電子ズーム部59は、構造強調部58より供給されてきた、構造強調処理された画像信号を、表示装置13に対して適切なサイズに電子的に拡大し、出力する。
【0040】
<
図4の画像処理装置による画像処理>
次に、
図5のフローチャートを参照して、
図4の画像処理装置12による画像処理について説明する。尚、ここでは画像処理装置12に対して光源装置14から、通常光である白色光を発して通常撮像している状態であるか、または、特殊光を発して特殊光撮像している状態であるかを示す条件情報が供給されることを前提とする。さらに、内視鏡装置11における対物レンズ22、および光学レンズ部23の口径に係る情報についても画像処理装置12に条件情報として供給されることを前提とする。
【0041】
ステップS11において、低域抽出部51は、入力画像の各画素に対して、LPFによる低域成分抽出処理を施して低域成分を抽出して高域抽出部52、および縮小部53に出力する。
【0042】
ステップS12において、高域抽出部52は、光源装置14からの条件情報が通常光撮像や、所定のサイズよりも口径の大きな対物レンズ22および光学レンズ部23が使用されているといった比較的明るい、通常光における撮像状態を示す条件情報であるか否かを判定する。ステップS12において、例えば、条件情報が比較的明るい状態での撮像状態であることを示すものである場合、処理は、ステップS13に進む。
【0043】
ステップS13において、高域抽出部52は、入力画像の各画素について、低域成分を減算することで、高域成分を抽出し、高域成分を低高域合成部57に出力する。尚、ステップS12において、条件情報が比較的暗い状態での撮像状態を示す場合、ステップS13の処理はスキップされる。すなわち、この場合、後述する様に、後段において高域成分は不要となるため、高域成分からなる画像信号の抽出がなされない。結果として、高域成分を抽出するための処理負荷を低減することが可能となる。
【0044】
ステップS14において、縮小部53は、入力画像の低域成分からなる画像信号の画像サイズを縮小し、低域成分からなる縮小画像としてノイズ除去部54に出力する。
【0045】
ステップS15において、ノイズ除去部54は、低域成分からなる縮小画像に対してノイズ除去処理を施して、色補正部55に出力する。
【0046】
ステップS16において、色補正部55は、ノイズ除去処理された、低域成分からなる縮小画像に対して、色補正を施して拡大部56に出力する。
【0047】
ステップS17において、拡大部56は、縮小部53において縮小されたときの縮小率に対応する拡大率で、ノイズ除去された縮小画像を拡大し、入力画像と同一の画像サイズに戻して低高域合成部57に出力する。
【0048】
ステップS18において、低高域合成部57は、条件情報に基づいて、比較的明るい状態での撮像状態であるか否かを判定し、比較的明るい状態での撮像状態であることが示されている場合、処理は、ステップS19に進む。
【0049】
ステップS19において、低高域合成部57は、拡大部56より供給されてくるノイズ除去処理された低域成分の画像信号(低域画像)と、高域抽出部52より供給されてくる高域成分の画像信号(高域画像)とを加算して合成し、高画質化された画像(出力画像)として構造強調部58に出力する。すなわち、低高域合成部57は、
図6の上部で示されるように、その内部における加算部57aを制御して、拡大部56より供給されてくるノイズ除去処理された低域成分の画像信号(低域画像)と、高域抽出部52より供給されてくる高域成分の画像信号(高域画像)とを加算させる。そして、低高域合成部57は、加算結果となる画像信号を高解像度で、かつ、高画質化された画像信号(出力画像)として構造強調部58に出力する。
【0050】
一方、ステップS18において、条件情報に基づいて、比較的暗い状態による撮像状態であることを示す場合、処理は、ステップS20に進む。
【0051】
ステップS20において、低高域合成部57は、拡大部56より供給されてくる低域成分からなる画像信号(低域画像)のみを、そのままノイズ除去処理された画像信号(出力画像)として構造強調部58に出力する。すなわち、低高域合成部57は、
図6の下部で示されるように、内蔵する加算部57aにおける動作を停止させ、拡大部56より供給されてくるノイズ除去処理された低域成分の画像信号(低域画像)のみを高画質化された画像信号(出力画像)として構造強調部58に出力する。
【0052】
ステップS21において、構造強調部58は、低高域合成部57より供給されてくる画像信号に構造強調処理を施して電子ズーム部59に出力する。
【0053】
ステップS22において、電子ズーム部59は、構造強調処理が施された画像信号を表示装置13において適合する、解像度に変換処理し、表示装置13に出力して表示させる。
【0054】
以上の処理により、条件情報に基づいて、白色光からなる通常光における撮像や、大口径の対物レンズ22、および光学レンズ部23からなる条件となる撮像などの明るさが十分な通常撮像の場合(鏡筒部(光学スコープ)21の直径が大きく、太い場合)、撮像される画像信号の高域成分には、ノイズ信号の割合が低いことから高域成分と高画質化された低域成分とを加算した画像をノイズ除去処理された画像として出力するようにした。
【0055】
一方、特殊光における撮像や、小口径の光学レンズ部23など明るさが不足しているような撮像の場合(鏡筒部(光学スコープ)21の直径が小さく、細い場合)、画像信号の高域成分には、ノイズ信号の割合が高いことから、低域成分に高域成分を加算せず、高画質化された低域成分の画像をそのまま出力画像として出力するようにした。
【0056】
これにより、
図7の左側で示されるように、白色光撮像(通常撮像)においては、高域成分においてノイズ成分が少ないため、図中右側で示される特殊光撮像に対して、高画質で、かつ、高解像度の画像を出力することが可能となる。一方、図中右側で示されるように、特殊光撮像においては、高域成分においてノイズ成分が多いため、図中右側で示される白色光撮像(通常撮像)に対して、低解像度ながら、図中の矢印で示される分だけS/N比をより高い状態にすることが可能となる。
【0057】
尚、
図7では、左部に高域成分が加算された画像における解像度とS/N比が示されており、右部に高域成分が加算されていない画像における解像度とS/N比が示されている。
【0058】
すなわち、高域成分にノイズが少ない通常撮像に対しては、
図8の左上部の画像で示されるように、
図8の右上部の画像より高解像度化でき、より鮮明な画像を提供することが可能となる。また、高域成分にノイズが多い特殊光撮像に対しては、
図8の右下部の画像で示されるように、
図8の左下部の画像よりも、S/N比を向上させることで、感度を向上させ、より認識し易い画像を提供することが可能となる。
【0059】
尚、
図8では、左部に高域成分が加算された画像が示されており、右部には高域成分が加算されていない画像が示されている。さらに、
図8においては、それぞれ上段が通常撮像における画像であり、下段が特殊光撮像における画像が示されている。
【0060】
また、低域成分については、画像を縮小して、ノイズ除去、および色補正がなされた後、拡大して、入力画像のサイズに戻すようにしているので、ノイズ除去、および色補正の各処理における処理負荷を低減させることが可能となる。
【0061】
結果として、撮像状態に応じて、適切に、高画質化、または、S/N比の改善を施した画像を表示することが可能となる。
【0062】
また、以上においては、撮像条件がノイズ成分を多く含む比較的暗い環境下の撮像状況の場合については、高域抽出部52における動作を停止させる例について説明してきたが、低高域合成部57において、低域成分と加算されないので、常に高域抽出部52が動作していても、同様の効果を奏することが可能である。
【0063】
<画像処理装置の第2の実施の形態>
以上においては、入力画像の低域成分については、一律のサイズの画像に縮小された後、ノイズ除去、および色補正がなされた後、拡大する例について説明してきた。しかしながら、高域成分に含まれるノイズ成分の割合の高さ、すなわち、S/N比は、暗くなるほど低減し、ノイズの割合が高くなる。そこで、例えば、入力画像や撮像時の明るさといった撮像条件に応じて、縮小サイズを変更させるようにしてもよい。
【0064】
図9は、入力画像や撮像時の明るさといった撮像条件に応じて、縮小サイズを変更させるようにした画像処理装置12の第2の実施の形態の構成例を示している。尚、
図9における画像処理装置12において、
図4における画像処理装置12と異なるのは、縮小部53、および拡大部56に代えて、縮小部81、および拡大部82を設けた点である。
【0065】
縮小部81は、基本的な構成は、縮小部53と同様であるが、さらに、撮像条件に応じて、縮小率を変化させて入力画像を縮小して出力する。すなわち、撮像条件に応じて、より暗く、ノイズ成分が高いS/N比の低い画像については、より高い縮小率に設定し、通常撮像に近い、明るい条件であるほど、縮小率を小さくする。
【0066】
拡大部82は、撮像条件に応じて、縮小部81の縮小率に対応する拡大率で画像信号を拡大して低高域合成部57に出力する。
【0067】
すなわち、このような構成により、撮像条件に応じた縮小率で縮小された画像に対して、ノイズ除去、および色補正を施した後、拡大して低高域合成部57に出力するため、入力画像のノイズレベルに応じた適切な処理を施すことが可能となり、合わせて、適切に処理負荷を低減させることが可能となる。
【0068】
<
図9の画像処理装置における画像処理>
次に、
図10のフローチャートを参照して、
図9の画像処理装置12における画像処理について説明する。尚、
図10のフローチャートにおけるステップS41乃至S43,S45,S46,S48乃至S52の処理は、
図5におけるステップS11乃至S13,S15,S16,S18乃至S22における処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0069】
すなわち、
図10におけるステップS41乃至S43において、低域成分と高域成分の画像信号が抽出された後、ステップS44において、縮小部81は、条件情報に基づいて、通常撮像に近い条件であるほど、縮小率を小さくし、より元画像に近いサイズのままに縮小し、特殊撮像などの高域成分にノイズ成分が多く含まれるような画像については、より小さいサイズにまで縮小する。
【0070】
ステップS45,S46において、ノイズ除去、および色補正がなされると、ステップS47において、拡大部82は、条件情報に基づいて、縮小部81における縮小率に対応した拡大率で画像を拡大して、低高域合成部57に出力する。
【0071】
そして、ステップS48乃至S52において、高低域合成、構造強調、および電子ズーム処理がなされる。
【0072】
結果として、上述した処理と同様に、撮像条件に応じて、解像度と、S/N比とがバランスよく調整されるとともに、さらに、撮像条件に応じて、処理負荷を適切に低減させることが可能となる。
【0073】
<ソフトウェアにより実行させる例>
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0074】
図11は、汎用のパーソナルコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタ-フェイス1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
【0075】
入出力インタ-フェイス1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
【0076】
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブルメディア1011ら読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0077】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0078】
コンピュータ(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0079】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0080】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0081】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0082】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0083】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0084】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0085】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0086】
尚、本技術は、以下のような構成も取ることができる。
<1> 撮像された医療画像に対して、前記医療画像を低域成分からなる低域画像および高域成分からなる高域画像に分割する分割部と、
前記分割部で生成された前記低域画像に高画質化処理を施す高画質化処理部と、
少なくとも、前記高画質化処理部により高画質化された前記低域画像を出力画像として生成する画像処理部と、
前記出力画像を出力する出力部とを含み、
前記画像処理部は、前記医療画像が撮像された際の条件情報に応じて、前記高画質化された前記低域画像、または、前記高画質化された前記低域画像と前記高域画像とを合成した画像を前記出力画像として生成する
医療用画像処理装置。
<2> 前記条件情報は、光源が通常光か特殊光か否か否かを示す情報である
<1>に記載の医療用画像処理装置。
<3> 前記条件情報は、前記医療画像を撮像した撮像部の拡大率を示す情報である
<1>または<2>に記載の医療用画像処理装置。
<4> 撮像された医療画像に対して、前記医療画像を低域成分からなる低域画像および高域成分からなる高域画像に分割し、
前記医療画像が分割されることにより生成された前記低域画像に高画質化処理を施し、
少なくとも、高画質化された前記低域画像を出力画像として生成し、
生成された前記出力画像を出力し、
前記医療画像が撮像された際の条件情報に応じて、前記高画質化された前記低域画像、または、前記高画質化された前記低域画像と前記高域画像とを合成した画像を前記出力画像として生成する
医療用画像処理装置の作動方法。