(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0027】
以下の実施の形態では、表示装置が携帯端末である場合について説明する。表示装置は携帯端末である場合の他、携帯電話、タブレットPC(Personal Computer)、または画像形成装置などの機器の操作を受け付ける操作パネルなどであってもよい。
【0029】
始めに、本実施の形態における表示システムの構成について説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施の形態における表示システムの概念的な構成を示す概念図である。
【0031】
図1を参照して、本実施の形態における表示システムは、携帯端末100(表示装置の一例)と、力覚デバイス(力覚提示デバイス)200とを備えている。携帯端末100と力覚デバイス200とは、たとえば近距離無線通信などの無線通信により相互に通信を行う。
【0032】
ユーザーURは、携帯端末100および力覚デバイス200を使用可能なユーザーである。ユーザーURは、一方の手で携帯端末100を持ちながら、力覚デバイス200を手首に装着したもう一方の手で携帯端末100の操作表示部110を操作する。
【0033】
携帯端末100は、ファイルに関連付けられたオブジェクトを操作表示部110に表示し、表示したオブジェクトを選択する操作をユーザーURから受け付ける。携帯端末100は、オブジェクトを選択する操作を受け付けた場合に、選択されたオブジェクトに関連付けられたファイルの属性を抽出する。携帯端末100は、抽出した属性に応じた知覚をユーザーURに与える。
【0034】
本実施の形態では、携帯端末100は、抽出した属性に応じて、強度、方向、およびタイミングのうち少なくとも1つが異なる力覚を与える指示を、ユーザーURが装着している力覚デバイス200に対して送信する。力覚デバイス200は、指示に従って力覚をユーザーURに与える。
【0035】
図2は、本発明の一実施の形態における表示システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0036】
図2を参照して、携帯端末100は、ユーザーURからの操作を受け付ける被操作端末であり、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶装置104と、無線通信部105と、近距離無線通信部106と、座標管理部107と、属性判断部108と、知覚変換部109と、操作表示部110とを含んでいる。CPU101には、ROM102、RAM103、記憶装置104、無線通信部105、近距離無線通信部106、座標管理部107、属性判断部108、知覚変換部109、および操作表示部110の各々がバスを介して接続されている。
【0037】
CPU101は、ROM102に記憶された制御プログラムを実行することにより、携帯端末100全体の制御を行う。
【0038】
ROM102は、たとえばフラッシュROMである。ROM102には、CPU101が実行する各種プログラムと、各種固定データとが格納されている。ROM102は、書換え不可能なものであってもよい。
【0039】
RAM103は、CPU101のメインメモリである。RAM103は、CPU101が各種プログラムを実行するときに必要なデータや画像データを一時的に記憶するためなどに用いられる。
【0040】
記憶装置104は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)よりなっており、力覚デバイス200との連携のためのアプリケーションである知覚通知アプリ151のプログラムと、属性テーブル152と、知覚変換テーブル153、優先順位テーブル154などの各種情報を記憶している。
【0041】
無線通信部105は、CPU101からの指示に従って、TCP/IPなどの通信プロトコルによって、力覚デバイス200などの他の機器との間で無線通信を行う。
【0042】
近距離無線通信部106は、たとえばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に基づいて、力覚デバイス200などの他の機器との間で近距離無線通信を行う。
【0043】
座標管理部107は、属性テーブル152を参照することで、ユーザーURからの操作を受け付けた位置の座標に存在するオブジェクトを特定する。
【0044】
属性判断部108は、属性テーブル152を参照することで、座標管理部107によって特定されたオブジェクトに関連付けられたファイルの属性を抽出する。
【0045】
知覚変換部109は、知覚変換テーブル153を参照することで、属性判断部108にて判断された属性に応じた知覚であって、ユーザーURに与える知覚を決定する。
【0046】
操作表示部110は、タッチパネルディスプレイなどからなる表示部と、タッチパネルディスプレイに表示されたソフトウェアキーなどからなる操作部とを含んでいる。操作表示部110は、各種操作をユーザーから受け付け、オブジェクトを含む画面などの各種情報をユーザーに対して表示する。
【0047】
力覚デバイス200は、装着しているユーザーURに対し、携帯端末100からの指示に従って力覚を与える。力覚デバイス200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、記憶装置204と、無線通信部205と、近距離無線通信部206と、力覚提示部207と、操作表示部208と、位置取得部209とを含んでいる。CPU201には、ROM202、RAM203、記憶装置204、無線通信部205、近距離無線通信部206、力覚提示部207、操作表示部208、および位置取得部209の各々がバスを介して接続されている。
【0048】
CPU201は、力覚デバイス200全体の動作を制御する。CPU201は、制御プログラムに基づいて処理を行う。
【0049】
ROM202は、CPU201が実行する制御プログラムなどを記憶する。
【0050】
RAM203はCPU201の作業用のメモリであり、各種情報を一時的に記憶する。
【0051】
記憶装置204は、力覚デバイス200を装着しているユーザーURに対して力覚を与えるためのアプリケーションである力覚提示アプリ251のプログラムなどの各種情報を記憶している。
【0052】
無線通信部205は、CPU201からの指示に従って、TCP/IPなどの通信プロトコルによって、携帯端末100などの他の機器との間で無線通信を行う。
【0053】
近距離無線通信部206は、たとえばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に基づいて、携帯端末100などの他の機器との間で近距離無線通信を行う。
【0054】
力覚提示部207は、力覚デバイス200を装着しているユーザーURに対して力覚を与える(提示する)。
【0055】
操作表示部208は、各種入力をユーザーURから受け付け、各種情報をユーザーURに対して表示する。
【0056】
位置取得部209は、加速度センサー、地磁気センサー、およびGPS(Global Positioning System)受信機などにより構成されている。位置取得部209は、力覚デバイス200の位置の情報を取得する。また位置取得部206は、装着しているユーザーURによる自機の移動の方向および加速度を検知する。
【0057】
図3は、本発明の一実施の形態において、携帯端末100の操作表示部110に表示される基本画面を模式的に示す図である。
【0058】
図3を参照して、基本画面は、ユーザーの操作対象となるアイテムである複数のオブジェクトOB1、OB2、OB3、およびOB4を含んでいる。オブジェクトOB1は「ファイルA1」のオブジェクトである。オブジェクトOB2は「ファイルA2」のオブジェクトである。オブジェクトOB3は「フォルダB」のオブジェクトであり、フォルダB内には「ファイルB1」および「ファイルB2」が保存されている。オブジェクトOB4は「アプリC」のオブジェクトである。オブジェクトOB1、OB2、およびOB3は、ファイルに関連するオブジェクトである。オブジェクトOB4は、アプリケーションを起動するためのオブジェクトであり、ファイルに関連するオブジェクトではない。
【0059】
図4は、本発明の一実施の形態において、携帯端末100が記憶する属性テーブル152を模式的に示す図である。
【0060】
図4を参照して、属性テーブル152は、操作表示部110に表示される画面に含まれるオブジェクトの座標(x,y)と、オブジェクト名と、オブジェクトに関連するファイルの属性との関係を記載したテーブルである。属性テーブル152は、操作表示部110に表示される画面ごとに予め作成されている。
図4に示す属性テーブル152は、
図2の基本画面に関する属性テーブル152である。なお、オブジェクトの座標の表記の仕方は任意であるが、ここでは、操作表示部110の左上の角が原点とされ、操作表示部110の
図3中右方向がx方向、
図3中下方向がy方向とされている。
【0061】
図4に示す属性テーブル152は、オブジェクトOB1、OB2、OB3、OB4の各々に関する情報を含んでいる。たとえば最上段の情報によれば、(10,30)、(30,30)、(10,70)、および(30,70)で囲まれる領域には、ファイルA1というオブジェクト名のオブジェクト(
図3のオブジェクトOB1に相当)が存在しており、このオブジェクトに関連付けられているファイルは、6MBのサイズを有し、ユーザーUR1によって作成され、コピーが許可されていることが分かる。上から3段目の情報は、2つのファイルが関連付けられたオブジェクトOB3の情報であるため、それぞれのファイルの属性が記載されている。最下段の情報は、ファイルに関連付けられていないオブジェクトOB4に関する情報であるため、ファイル属性の欄は空欄になっている。
【0062】
図5〜
図7は、本発明の一実施の形態における知覚変換テーブル153を模式的に示す図である。
【0063】
図5〜
図7を参照して、知覚変換テーブル153は、ファイルの属性と、ユーザーURに与える知覚との関係が記載されたテーブルである。ファイルの属性とは、たとえばファイルのサイズ、ファイルの数、ファイルの権限、またはファイルの作成者などである。
【0064】
本実施の形態では、ユーザーURに対して力覚を与える。以降の説明において、ユーザーURに与える力覚の具体的な内容(方向、強度、タイミングなど)を、力覚値と記すことがある。
【0065】
携帯端末100は知覚変換テーブル153として、複数の知覚変換テーブル153a、153b、および153cを記憶している。複数の知覚変換テーブル153a、153b、および153cの各々に記載されたファイルの属性の種類は互いに異なっている。なお、携帯端末200は、1つのみの知覚変換テーブル153を記憶していてもよい。
【0066】
図5に示す知覚変換テーブル153aは、ファイルサイズと力覚値との関係が記載された力覚変換テーブルである。知覚変換テーブル153aには、ファイルサイズが10MB以上である場合に、θ=0度の方向に1kgという強い力覚を与えることが記載されている。また、ファイルサイズが5MB以上10MB未満である場合に、θ=0度の方向に0.5kgという弱い力覚を与えることが記載されている。さらに、ファイルサイズが5MB未満である場合に、力覚を与えないことが記載されている。
【0067】
ここで、θは、操作表示部110の表示面に対して垂直な方向に沿って携帯端末100へ向かう方向(端末方向)をθ=0度とし、操作表示部110の表示面に対して垂直な方向に沿って携帯端末100から離れる方向をθ=180度とした角度である。θの基準となる方向(操作表示部110の表示面に対して垂直な方向に沿って携帯端末100へ向かう方向)は、携帯端末100と力覚デバイス200との間の近距離無線通信により特定される。
【0068】
図6に示す知覚変換テーブル153bは、ファイルの権限と力覚値との関係が記載された力覚変換テーブルである。知覚変換テーブル153bには、ファイルのコピーが禁止されている場合に、θ=0度、90度、180度の各々の方向に対して順番に1kgという強い力覚を3秒間与えることが記載されている。また、ファイルのコピーが許可されている場合に、力覚を与えないことが記載されている。
【0069】
知覚変換テーブル153bには、ファイルの読取りや書込みの権限と力覚値との関係がさらに記載されていてもよい。
【0070】
図7に示す知覚変換テーブル153cは、オブジェクトに関連付けられたファイルの数と力覚値との関係が記載された力覚変換テーブルである。知覚変換テーブル153cには、オブジェクトに関連付けられたファイルの数が4個以上である場合に、θ=0度の方向に1kgという強い力覚を与えることが記載されている。また、オブジェクトに関連付けられたファイルの数が1〜3個である場合に、θ=180度の方向に0.5kgという強い力覚を与えることが記載されている。
【0071】
なお、知覚変換テーブル153に記載されている知覚が力覚値である場合、力覚値は、ファイルの属性に応じて、方向、強度、またはタイミングのうち少なくともいずれか1つが異なるものであればよい。また、知覚変換テーブル153に記載されるファイルの属性と知覚との関係については、ユーザーURによる設定が可能である。
【0072】
図8は、本発明の一実施の形態における優先順位テーブル154を模式的に示す図である。
【0073】
図8を参照して、優先順位テーブル154は、知覚変換テーブル153a、153b、および153cの各々と、設定されている優先順位および有効性との関係が記載されたテーブルである。
図8の優先順位テーブル154によれば、ファイルサイズの知覚変換テーブル153aおよびファイル権限の知覚変換テーブル153bが有効にされている一方で、ファイル数の知覚変換テーブル153cは無効にされていることが分かる。また、ファイル権限の知覚変換テーブル153b、ファイルサイズの知覚変換テーブル153a、およびファイル数の知覚変換テーブル153cという優先順序が設定されていることが分かる(無効にされた知覚変換テーブル153cの優先順位は自動的に最も低く設定される)。
【0074】
なお、優先順位テーブル154における知覚変換テーブルの優先順位および有効性については、後述するように、ユーザーURによる設定が可能である。
【0076】
続いて、本実施の形態における表示システムの動作について説明する。
【0077】
図9および
図10は、本発明の一実施の形態における表示システムの動作を示すシーケンス図である。
【0078】
図9を参照して、ユーザーURは、携帯端末100および力覚デバイス200の各々において、力覚提示機能を起動するための所定の操作(たとえば知覚通知アプリ151および力覚提示アプリ251を起動する操作)を行う(S1)。携帯端末100および力覚デバイス200は、ユーザーURからの操作を受け付けると、セキュリティ維持のために互いを認証する作業であるペアリングを行う。具体的には、携帯端末100は、ペアリングのための信号を周囲に送信する(S3)。力覚デバイス200は、携帯端末100からの信号を受信すると、ペアリングのための応答信号を携帯端末100に送信する(S5)。これにより、携帯端末100と力覚デバイス200との間の近距離無線通信が確立される。
【0079】
携帯端末100は、力覚デバイス200との間の近距離無線通信が確立されると、知覚変換テーブルの設定画面(
図11)を操作表示部110に表示することで、ユーザーURに対して知覚変換テーブルの設定を要求する(S7)。ユーザーURは、知覚変換テーブルの設定画面を通じて知覚変換テーブルの設定を行い(S9)、知覚変換テーブルの設定完了を携帯端末100に通知する(S11)。携帯端末100は、ユーザーURからの設定完了の通知を受け付けると、設定された内容を保存する(S12)。
【0080】
ここで、ステップS7〜S12の処理を詳細に説明する。
【0081】
図11は、
図9のステップS7において、携帯端末100の操作表示部110に表示される知覚変換テーブルの設定画面を模式的に示す図である。
【0082】
図9および
図11を参照して、ステップS7で表示される知覚変換テーブルの設定画面は、知覚変換テーブルの設定を要求するメッセージMGと、キーKY1、KY2、KY3、KY4、KY5、KY6、KY7、およびKY8とを含んでいる。設定画面の上部には、メッセージMGが表示されている。設定画面の下部右側には、キーKY1、KY2、KY3、KY4、KY5、KY6、KY7、およびKY8が表示されている。設定画面の下部左側には、「ファイルサイズ」、「ファイル権限」、および「ファイル数」という知覚変換テーブルの各項目が表示されている。キーKY1およびKY2は、ファイルサイズの知覚変換テーブル153aに対応するキーである。キーKY3およびKY4は、ファイル権限の知覚変換テーブル153bに対応するキーである。キーKY5およびおKY6は、ファイル数の知覚変換テーブル153cに対応するキーである。キーKY1、KY3、およびKY5は、知覚変換テーブルの優先順序を設定するためのキーである。キーKY2、KY4、およびKY6は、テーブルの有効性を設定するためのキーである。
【0083】
ステップS9において、ユーザーURは、キーKY1、KY3、およびKY5の各々を任意の順序で押下することで、知覚変換テーブル153a、153b、および153cの優先順序を設定する。またユーザーURは、キーKY2、KY4、およびKY6の各々における「ON」または「OFF」の部分を押下することで、知覚変換テーブル153a、153b、および153cの有効性を設定する。
【0084】
キーKY1、KY3、およびKY5の各々が任意の順序で押下されると、携帯端末100は、押下された順序で、各知覚変換テーブルに「1」、「2」、「3」という優先順序を設定する。ここでは、ファイル権限の知覚変換テーブル153b、ファイルサイズの知覚変換テーブル153a、およびファイル数の知覚変換テーブル153cという順序で知覚変換テーブルの優先順序が設定されている。
【0085】
キーKY2、KY4、またはKY6における「ON」の部分が押下された場合には、携帯端末100は、その知覚変換テーブルを有効にする。ユーザーによってキーKY2、KY4、またはKY6における「OFF」の部分が押下された場合には、携帯端末100は、その知覚変換テーブルを無効にし、知覚を決定する際に使用しない。ここでは、ファイル権限の知覚変換テーブル153aおよびファイルサイズの知覚変換テーブル153bが有効にされており、ファイル数の知覚変換テーブル153cが無効にされている。
【0086】
ステップS11において、ユーザーURは、「OK」キーKY7を押下することで、知覚変換テーブルの設定完了を携帯端末100に通知する。
【0087】
ステップS12において、携帯端末100は、キーKY7が押下されると設定された内容を確定し、設定された内容を優先順位テーブル154に登録する。
【0088】
一方、携帯端末100は、「キャンセル」キーKY8が押下されると、設定された内容をキャンセルする。
【0089】
図9を参照して、ステップS12の処理に続いて、携帯端末100は、自機の動作状態を通常モードから、受け付けた操作に応じた力覚を与える力覚通知モードに変更する(S13)。次に携帯端末100は、自機の動作状態を力覚通知モードに変更した事実を操作表示部110に一定時間表示することによりユーザーURに通知し(S15)、オブジェクトを含む基本画面(
図3)を操作表示部110に表示する(S16)。
【0090】
ステップS16の処理に続いて、ユーザーURは、操作表示部110に表示された基本画面内のオブジェクトをタッチ操作などにより選択する。ここではオブジェクトOB1が選択されたものとする。
【0091】
携帯端末100は、操作表示部110への操作を受け付けると、属性テーブル152(
図4)を参照して、操作を受け付けた座標にオブジェクトが存在するか否かを判別し、操作を受け付けた座標にオブジェクトが存在する場合、そのオブジェクトの選択を受け付ける(S19)。この処理は、座標管理部107を用いて行われる。ここでは、オブジェクトOB1の選択を受け付ける。
【0092】
次に携帯端末100は、属性テーブル152(
図4)を参照して、選択されたオブジェクトに関連付けられたファイルの属性を抽出する(S21)。この処理は、属性判断部108を用いて行われる。ここでは、オブジェクトOB1に関連付けられたファイルA1の属性(サイズ:6MB、作成者:ユーザーUR1、コピー:可)が抽出される。
【0093】
続いて携帯端末100は、優先順位テーブル154を参照し、最も高い優先順位を有する知覚変換テーブル153を取得する(S23)。携帯端末100は、取得した知覚変換テーブル153を用いて、抽出した属性に対応する力覚値を参照する。
【0094】
携帯端末100は、参照した力覚値における強度が0.0kgよりも大きい場合には、参照した力覚値に力覚値を決定し(S25)、決定した力覚値を力覚デバイス200に通知する(S27)。
【0095】
携帯端末100は、参照した力覚値における強度が0である場合には、参照した力覚値を破棄する。そして携帯端末100は、一つだけ低い優先順位を有する知覚変換テーブル153をさらに取得し、取得した知覚変換テーブル153を用いて、抽出した属性に対応する力覚値を参照する。携帯端末100は、全ての有効な知覚変換テーブル153について、参照した力覚値が0である場合には、力覚値を0に決定し(S25)、決定した力覚値を力覚デバイス200に通知する(S27)。
【0096】
ここでは、最も優先順位の高い知覚変換テーブルは知覚変換テーブル153b(
図6)である。しかし、抽出したファイルA1の権限はコピー可であり、参照した力覚値は0である。このため、抽出したファイルA1の6MBというサイズを用いて、二番目に優先順位の高い知覚変換テーブルである知覚変換テーブル153a(
図5)における「方向θ=0、強度0.5kg」という力覚値を参照し、力覚デバイス200に通知する力覚値としてこの力覚値が決定される。
【0097】
図10を参照して、力覚デバイス200は、携帯端末100から力覚値を受信する(S29)。
【0098】
ユーザーURは、選択したオブジェクトOB1に対して所望の操作(たとえば、ファイルA1の保存場所を移動するためのドラッグ操作)を開始する(S31)。
【0099】
力覚デバイス200は、位置取得部209を用いてユーザーURによる所望の操作を受け付けると、力覚値に応じた力覚(負荷)をユーザーURに対して与える(S32)。
【0100】
なお、ステップS32において、力覚デバイス200は、携帯端末100から力覚値を受信した場合に、所望の操作の開始の有無にかかわらず力覚値に応じた力覚を直ちにユーザーに与えてもよい。
【0101】
図12は、
図10のステップS32において、力覚値に応じた負荷を力覚デバイス200がユーザーURに対して印加した状態を模式的に示す図である。
【0102】
図12を参照して、力覚デバイス200は、矢印AR1で示すように「方向θ=0、強度0.5kg」という力覚値に応じた力覚(負荷)をユーザーURに対して与える。θは、操作表示部110の表示面に対して垂直な方向に沿って携帯端末100へ向かう方向(端末方向)であるため、ユーザーURが受ける力覚は、操作表示部110の表示面に対して垂直に携帯端末100へ向かう方向となっている。
【0103】
図10を参照して、ユーザーURは、力覚デバイス200から力覚を受けると(S33)、その力覚からファイルの属性を類推し、類推したファイルの属性に基づいて所望の操作を継続するか否かを判断する(S35)。たとえばユーザーURがファイルA1のサイズが大きいと類推した場合、ユーザーURは、ファイルA1の移動に長い時間を要することを憂慮してファイルA1を移動する操作を中止することが想定される。また、ユーザーURがファイルA1のコピーが禁止されていると類推した場合、ユーザーURは、ファイルA1をコピーする操作を中止することが想定される。
【0104】
次に携帯端末100は、オブジェクトが選択されてからの経過時間が閾値(たとえば3.0秒)を超えたか否かを判断する(S37)。携帯端末100は、経過時間が閾値を超えた場合に、決定した力覚値を0に変更し(S39)、力覚値を0にすることを力覚デバイス200に通知する(S41)。
【0105】
力覚デバイス200は、通知を受信すると、力覚の印加を停止する(S43)。
【0106】
図13は、本発明の一実施の形態における携帯端末100の動作を示すフローチャートである。
【0107】
図13を参照して、携帯端末100のCPU101は、操作表示部110へのタッチ操作を検出したか否かを判別する(S101)。ステップS101において、操作表示部110へのタッチ操作を検出したと判別するまで、CPU101は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0108】
ステップS101において、操作表示部110へのタッチ操作を検出したと判別した場合(S101でYES)、CPU101は、タッチされた座標を操作表示部110から取得する(S103)。次にCPU101は、属性テーブル152を参照し、取得した座標にオブジェクトが存在すればそれを特定する(S105)。続いてCPU101は、オブジェクトを特定したか否かを判別する(S107)。
【0109】
ステップS107において、オブジェクトを特定したと判別した場合(S107でYES)、CPU101は、特定したオブジェクトにファイルが関連付けられているか否かを判別する(S109)。
【0110】
ステップS109において、特定したオブジェクトにファイルが関連付けられていると判別した場合(S109でYES)、CPU101は、知覚変換テーブル153を参照し、ファイルの属性に基づいて力覚値を決定し(S111)、決定した力覚値を力覚デバイス200に通知する(S113)。続いてCPU101は、タッチ操作を検出してからの経過時間を取得し(S115)、経過時間が閾値を超えたか否かを判別する(S117)。経過時間が閾値を超えたと判別するまで、CPU101はステップS117の処理を繰り返す。
【0111】
ステップS117において、経過時間が閾値を超えたと判別した場合(S117でYES)、CPU101は、力覚値を0とすることを力覚デバイス200に通知し(S119)、処理を終了する。
【0112】
ステップS107において、オブジェクトを特定しないと判別した場合(S107でNO)、またはステップS109において、特定したオブジェクトにファイルが関連付けられていないと判別した場合(S109でNO)、CPU101は処理を終了する。
【0113】
本実施の形態によれば、オブジェクトを選択したユーザーは、選択したオブジェクトに関連付けられたファイルの属性に応じた知覚を受けるので、ファイルの属性を感覚的に知ることができる。その結果、選択したファイルを処理する操作が完了する前に、その処理に関する操作が適切であるか否かを容易に判断することができ、利便性を向上することができる。
【0115】
上述の実施の形態では、オブジェクトを選択する操作を受け付けてからの経過時間が閾値を超えた場合に、ユーザーURへの力覚の付与を停止する携帯端末100の動作について説明した。携帯端末100は、この動作に代えて、オブジェクトを選択する操作を受け付けてからの経過時間が閾値を超えた場合に、ユーザーURに付与する力覚の強度を0でない値に緩和してもよい。閾値は複数であってもよい。
【0116】
図14は、本発明の一実施の形態の第1の変形例において、携帯端末100が記憶する知覚変換テーブル153を模式的に示す図である。
【0117】
図14を参照して、本変形例の知覚変換テーブル153には、オブジェクトを選択する操作を受け付けてからの経過時間が閾値(たとえば5.0秒)以下である場合の力覚値Aと、オブジェクトを選択する操作を受け付けてからの経過時間が閾値を超えた場合の力覚値Bとが設定されている。力覚値Aの内容は、
図5の知覚変換テーブル153aの内容と同じである。力覚値Bの各項目の力覚値の強度は、力覚値Aの各項目の力覚値の強度よりも緩和されている。
【0118】
力覚値Bでは、具体的には、ファイルサイズが10MB以上である場合の強度は1kgから0.5kgに緩和されており、ファイルサイズが5MB以上10MB未満である場合の強度は0.5kgから0.0kgに緩和されている。ファイルサイズが5MB未満である場合の強度は、0.0kgのままである。
【0119】
なお、本変形例において、オブジェクトを選択する操作を受け付けてからの経過時間が、上記の閾値よりも長い別の閾値(たとえば10.0秒)を超えた場合に、力覚の付与が停止されてもよい。また、オブジェクトを選択する操作を受け付けてからの経過時間とともに、力覚値の強度が段階的に緩和されてもよい。
【0120】
本変形例によれば、オブジェクトを選択してから時間が経過すると力覚が緩和されるので、ユーザーURに対して不要な力覚を与えることを回避しつつ、オブジェクトに関連付けられたファイルの属性を継続的に知らせることができる。
【0122】
上述の実施の形態では、ユーザーURに対してファイルの属性に応じた力覚を与える場合について示した。ユーザーURに対して与える知覚は力覚の他、視覚、嗅覚、または聴覚などであってもよい。本変形例では、ユーザーURに対してファイルの属性に応じた視覚(視覚的効果)を与える場合について説明する。すなわち、本変形例における携帯端末100は、オブジェクトを選択する操作を受け付けた場合に、選択されたオブジェクトに関連付けられたファイルの属性を抽出し、抽出した属性に応じた視覚をユーザーURに付与する。
【0123】
なお、本変形例の動作は、携帯端末100単独の動作であり、本変形例において力覚デバイス200は不要である。
【0124】
図15は、本発明の一実施の形態の第2の変形例における携帯端末100の動作を模式的に示す図である。なお
図15では、説明の便宜上、基本画面におけるオブジェクトOB2のみが示されている。
図15中の点線は、オブジェクトOB2の初期位置を示している。
【0125】
図15を参照して、携帯端末100の操作表示部110には基本画面が表示されている。基本画面において、オブジェクトOB2は初期位置に存在している。ユーザーURは、オブジェクトOB2を選択し(
図15(a))、操作表示部110上で
図15中下方向にオブジェクトOB2を移動させるドラッグ操作を行う(
図15(b))。
【0126】
携帯端末100は、ドラッグ操作を受け付けると、操作表示部110上において、受け付けたドラッグ操作の方向にオブジェクトを移動させる。携帯端末100は、ドラッグ操作に対するオブジェクトOB2の追従性を、ファイルの属性に応じて変化させる。
【0127】
携帯端末100は、知覚変換テーブルを参照し、ファイルの属性に応じた遅れ時間を決定する。そして、オブジェクトOB2が、ドラッグ操作を行う操作指よりも決定した遅れ時間だけ遅れて追従するように、操作表示部110上でオブジェクトOB2を移動させる。具体的には、オブジェクトOB2は、決定した遅れ時間が経過するまでは初期位置に留まる(
図15(b))。オブジェクトOB2は、決定した遅れ時間が経過した後で、操作表示部110上で操作指の方向に徐々に移動する(
図15(c))。オブジェクトOB2は、最終的に操作指の位置まで移動する(
図15(d))。
【0128】
図16は、本発明の一実施の形態の第2の変形例における視覚変換テーブル153を模式的に示す図である。
【0129】
図16に示す知覚変換テーブル153は、ファイルサイズと遅れ時間との関係が記載されたテーブルである。この知覚変換テーブル153では、ファイルサイズが大きい程長い遅れ時間が設定されている。具体的には、この知覚変換テーブル153には、ファイルサイズが10MB以上である場合には遅れ時間を2秒にすることが記載されている。また、ファイルサイズが5MB以上10MB未満である場合には遅れ時間を1秒にすることが記載されている。さらに、ファイルサイズが5MB未満である場合には遅れ時間を0にすることが記載されている。
【0130】
本変形例によれば、力覚デバイス200を用いなくても、オブジェクトに関連付けられたファイルの属性をユーザーURに対して感覚的に伝えることができる。
【0131】
なお、第1および第2の変形例における表示システムの上述以外の構成および動作は、上述の実施の形態の構成および動作と同様であるため、それらの説明は繰り返さない。
【0133】
上述の実施の形態および変形例は適宜組み合わせることができる。たとえば、第1の変形例と第2の変形例とを組み合わせることにより、ユーザーURに対して与える視覚、嗅覚、または聴覚の視覚を段階的に緩和してもよい。
【0134】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0135】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。