特許第6794778号(P6794778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794778
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】基地局及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/18 20090101AFI20201119BHJP
   H04W 36/24 20090101ALI20201119BHJP
【FI】
   H04W36/18
   H04W36/24
【請求項の数】9
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2016-211935(P2016-211935)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2018-74387(P2018-74387A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】村上 優也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 良夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 昇
(72)【発明者】
【氏名】上田 訓
(72)【発明者】
【氏名】小林 一成
【審査官】 吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/002916(WO,A1)
【文献】 特開2013−143671(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0095041(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/099587(WO,A1)
【文献】 特開2009−021722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局であって、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信する受信部と、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求する転送処理部と、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせるハンドオーバ処理部と、
を備え
前記電波強度は、前記移動機が当該基地局から受信する信号の第1の電波強度、及び、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記ハンドオーバ処理部は、前記第2の電波強度から前記第1の電波強度を引いた値が第3の所定値以上である場合に、前記アプリケーションで用いるデータの転送が完了しているか否かにかかわらず、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、基地局
【請求項2】
前記ハンドオーバ処理部は、前記第2の電波強度から前記第1の電波強度を引いた値が第2の所定値以上である場合に、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、
請求項1に記載の基地局
【請求項3】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局であって、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信する受信部と、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求する転送処理部と、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせるハンドオーバ処理部と、
を備え、
前記電波強度は、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記転送処理部は、前記第2の電波強度が前記所定値よりも小さい第4の所定値以下である場合に、前記第2のデータ処理装置に、前記転送された前記アプリケーションで用いるデータの削除を要求する、基地局。
【請求項4】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局であって、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信する受信部と、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求する転送処理部と、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせるハンドオーバ処理部と、
を備え、
前記ハンドオーバ処理部は、前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求した後に当該データが更新された場合に、当該更新の後のデータと当該更新の前のデータとの差分を示す情報について、前記第1のデータ処理装置から前記第2のデータ処理装置への転送が完了した後に、前記ハンドオーバさせる処理開始する、基地局。
【請求項5】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局であって、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信する受信部と、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求する転送処理部と、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせるハンドオーバ処理部と、
を備え、
前記電波強度は、前記移動機が前記第2の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第2の電波強度、及び、前記移動機が前記ハンドオーバの候補である第3の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第3の電波強度を含み、
前記転送処理部は、前記第2の電波強度と前記第3の電波強度との差分の絶対値が第5の所定値以下である場合に、前記第2又は前記第3の電波強度が第2の所定値を超える前に、前記第2のデータ処理装置に加えて、前記第3の無線エリアに前記アプリケーション
で用いるデータを提供する第3のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求する、基地局
【請求項6】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局において、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信し、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求し、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせ
前記電波強度は、前記移動機が当該基地局から受信する信号の第1の電波強度、及び、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記第2の電波強度から前記第1の電波強度を引いた値が第3の所定値以上である場合に、前記アプリケーションで用いるデータの転送が完了しているか否かにかかわらず、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、通信方法。
【請求項7】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局において、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信し、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求し、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせ、
前記電波強度は、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記第2の電波強度が前記所定値よりも小さい第4の所定値以下である場合に、前記第2のデータ処理装置に、前記転送された前記アプリケーションで用いるデータの削除を要求する、通信方法。
【請求項8】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局において、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信し、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求し、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせ、
前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求した後に当該データが更新された場合に、当該更新の後のデータと当該更新の前のデータとの差分を示す情報について、前記第1のデータ処理装置から前記第2のデータ処理装置への転送が完了した後に、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、通信方法。
【請求項9】
第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局において、
他の基地局と移動機との間の電波強度を、前記移動機から受信し、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、前記他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用される前記アプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求し、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせ、
前記電波強度は、前記移動機が前記第2の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第2の電波強度、及び、前記移動機が前記ハンドオーバの候補である第3の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第3の電波強度を含み、
前記第2の電波強度と前記第3の電波強度との差分の絶対値が第5の所定値以下である場合に、前記第2又は前記第3の電波強度が第2の所定値を超える前に、前記第2のデータ処理装置に加えて、前記第3の無線エリアに前記アプリケーションで用いるデータを提供する第3のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求する、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドコンピューティングが中心となるネットワークが構築され、大量のデータを保管・管理するサーバやデータセンタ等のネットワーク機器が活用されている。
【0003】
また、近年では、通信のリアルタイム性を重視するサービスが普及している。例えば、シンクライアントサービスでは、移動機側は最小限の機能を有し、サーバ側はOS(Operating System)にアプリケーションを導入し、クライアント毎に独立した環境が提供される。サーバから移動機へ画面情報を転送し、移動機からサーバへフリック操作等の入力情報を転送するシステムを提供する場合には、システムのリアルタイム性が重視される。
【0004】
システムのリアルタイム性を重視するために、基地局にデータセンタ(「エッジDC(Data Center)」と称されてもよい。)としての機能を持たせ、移動機と基地局との間でサービスを終端させるシステムが提案されている。移動機と基地局との間でサービスが終端されることにより、移動機が基地局を介して上位のインターネット網に備えられたデータセンタとの間でデータの送受信を行なう場合と比べて、より遅延が少ないサービスを提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−096831号公報
【特許文献2】特開2013−201781号公報
【特許文献3】特開2011−082699号公報
【特許文献4】国際公開第2010/035835号
【特許文献5】特開2015−104000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、基地局にエッジDCとしての機能を持たせる場合において、或る移動機が第1の基地局から第2の基地局へハンドオーバを行なおうとすると、サービスの利用不可時間が発生するおそれがある。この利用不可時間は、或る移動機が第1の基地局から第2の基地局へハンドオーバするタイミングで、移動機宛てのデータが第1の基地局に備えられるエッジDCから第2の基地局に備えられるエッジDCへ転送されることによって生じる。
【0007】
1つの側面では、本発明は、ハンドオーバ実行時におけるサービスの継続性を確保することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの側面において、基地局は、第1の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータであって複数の基地局間で転送されるデータとは異なデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する。基地局は、受信部と転送処理部とハンドオーバ処理部とを備えてよい。受信部は、他の基地局と移動機との間の電波強度を、移動機から受信する。転送処理部は、電波強度が所定値よりも大きい場合に、他の基地局に接続し、第2の無線エリアに位置する移動機によって使用されるアプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、アプリケーションで用いるデータを転送することを第1のデータ処理装置に要求する。ハンドオーバ処理部は、転送の完了後、電波強度に基づいて、他の基地局が形成する第2の無線エリアへ、移動機をハンドオーバさせる。電波強度は、移動機が基地局から受信する信号の第1の電波強度、及び、移動機が他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含む。ハンドオーバ処理部は、第2の電波強度から第1の電波強度を引いた値が第3の所定値以上である場合に、アプリケーションで用いるデータの転送が完了しているか否かにかかわらず、ハンドオーバさせる処理を開始する。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面として、ハンドオーバ実行時におけるサービスの継続性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信システムの構成例を、移動機の位置と電波強度との関係を示すグラフと共に示す図である。
図2図1に示された通信システムの構成例を、コアネットワークの構成例を含めて示すシステム構成図である。
図3図2に示された通信システムのプロトコルスタックの一例を示す図である。
図4図1の通信システムにおけるハンドオーバ処理の一例を説明するシーケンス図である。
図5図4に示されたハンドオーバシーケンスの一例を説明するシーケンス図である。
図6】通信システムの構成例を示すシステム構成図である。
図7図6に示された通信システムにおけるハンドオーバ処理の一例を説明するシーケンス図である。
図8図6に示された通信システムにおけるハンドオーバ処理の一例を説明するシーケンス図である。
図9】実施形態の通信システムの構成例を示すシステム構成図である。
図10図9に示された通信システムの機能構成例を示す機能ブロック図である。
図11図10に示された移動機のデータ転送実施領域への移動を、移動機の位置と電波強度との関係を示すグラフと共に示す図である。
図12図11に示されたデータ転送動作についての判定例を示すテーブルである。
図13図10に示された通信システムにおいて、データ転送先の候補として複数のエッジDCがある場合の移動機の移動を示す図である。
図14図13に示した例において移動機の位置と電波強度との関係の第1及び第2の例を示すグラフである。
図15図13及び図14に示されたデータ転送動作についての判定例を示す図である。
図16】データ転送実施領域、ハンドオーバ実施領域及び強制ハンドオーバ実施領域を、移動機の位置と電波強度との関係を示すグラフと共に示す図である。
図17図16に示されたハンドオーバ処理についての判定例を示す図である。
図18図10に示されたeNB(eNode B)のハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
図19図10に示されたエッジDCのハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
図20図10に示された移動機のハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
図21図10に示された通信システムにおけるデータ転送動作例を説明するシーケンス図である。
図22図21に示されたデータ転送動作例の詳細を説明するシーケンス図である。
図23図10に示されたデータ転送元のeNBのデータ転送処理部におけるデータ転送動作例を説明するフローチャートである。
図24図10に示された通信システムにおける更新データ転送動作例を説明するシーケンス図である。
図25図10に示された通信システムにおける更新データ転送動作例を説明するシーケンス図である。
図26図24及び図25に示された更新データ転送動作例の詳細を説明するシーケンス図である。
図27図24及び図25に示された更新データ転送動作例の詳細を説明するシーケンス図である。
図28図10に示されたデータ転送元のエッジDCのデータ処理部における更新データ転送動作例を説明するフローチャートである。
図29図10に示された通信システムにおけるハンドオーバ処理例を説明するシーケンス図である。
図30図29に示されたハンドオーバ処理例の詳細を説明するシーケンス図である。
図31図29に示されたハンドオーバ処理例の詳細を説明するシーケンス図である。
図32図10に示されたハンドオーバ元のeNBのデータ転送処理部におけるハンドオーバ処理例を説明するフローチャートである。
図33図10に示された通信システムにおけるデータ削除動作例を説明するシーケンス図である。
図34図10に示された通信システムのデータ転送先のエッジDCにおけるデータ削除動作例を説明するシーケンス図である。
図35図10に示されたデータ転送元のeNBにおけるデータ転送先のエッジDCについてのデータ削除判断例を説明するフローチャートである。
図36図10に示された通信システムのデータ転送元のエッジDCにおけるデータ削除動作例を説明するシーケンス図である。
図37図10に示されたデータ転送先のeNBにおけるデータ転送元のエッジDCについてのデータ削除判断例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。例えば、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0012】
また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の構成要素を含むことができる。以下、図中において、同一の符号を付した部分は特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を示す。
【0013】
〔A〕関連例
図1の(1)は、移動機9のeNB#1からeNB#2への移動を示す図であり、図1の(2)は、移動機の位置と電波強度との関係を示すグラフである。
【0014】
図1の(1)に示される通信システム600は、例示的に、2つの基地局7(「eNB#1」又は「eNB#2」と称されてもよい。)及び1つの移動機(「移動端末」や「移動局」と称されてもよい。)9を備える。また、通信システム600は、図2等を用いて後述されるように、コアネットワーク6を備えてよい。
【0015】
eNB7は、例示的に、移動機9と無線通信可能に接続される。eNB7は、移動機9が通信可能なサービスエリア(「セル」と称されてもよい。)60を提供してよい。
【0016】
移動機9は、例えばeNB7が提供するセル60において当該eNB7と無線通信が可能な通信機器の一例である。
【0017】
図1の(1)に示される例において、eNB#1はセル#1を提供し、eNB#2はセル#2を提供する。また、図1の(1)に示される例において、セル#1の少なくとも一部の領域とセル#2の少なくとも一部の領域とは、互いに重なり合っている。
【0018】
なお、移動機9が位置しているセル60はServing Cellと称されてよく、Serving Cellと隣り合っているセル60はNeighbor Cellと称されてよい。すなわち、移動機9がセル#1の領域内に位置している場合には、セル#1がServing Cellであり、セル#2がNeighbor Cellである。
【0019】
移動機9が通信中のeNB#1についての無線品質と、移動機9が信号を受信可能な周辺のeNB#2についての無線品質とが測定され、無線品質が良いセル60に移動機9がハンドオーバされてよい。
【0020】
ハンドオーバは、キャリア毎に設定されるMeasurement Controlのevent flagを契機に実施されてよい。event flagは、キャリア毎に設定されてよく、ハンドオーバが実施される度に発生するシグナリングを抑制することを考慮して設定されてよい。
【0021】
図1の(1)に示される例において、移動機9は、eNB#1が提供するセル#1の領域内から、eNB#2が提供するセル#2の領域内へ移動する。移動機9がセル#1とセル#2との重複領域においてeNB#1から距離Tの位置(図1の(1)の一点鎖線を参照)に達すると、eNB#1とeNB#2との間でハンドオーバ処理が実施されてよい。ハンドオーバ処理の完了によって、eNB#1は移動機9との通信を停止し、eNB#2は移動機9との通信を開始する。
【0022】
図1の(2)に示されるグラフにおいて、横軸はeNB#1から移動機9までの距離を示し、縦軸は移動機9によって測定されるeNB7と移動機9との間の電波強度を示す。
【0023】
図1の(2)に示されるように、eNB#1と移動機9との間の距離が大きくなると、eNB#1と移動機9との間の電波強度は小さくなる。一方、eNB#1と移動機9との間の距離が大きくなると、eNB#2と移動機9との間の電波強度は大きくなる。
【0024】
図1の(2)に示される例においては、eNB#1と移動機9との間の距離がTになり、eNB#2についての電波強度とeNB#1についての電波強度との差がα以上になった場合に、eNB#1とeNB#2との間でハンドオーバ処理が実施される。
【0025】
図2は、図1に示された通信システム600の構成例を、コアネットワーク6の構成例を含めて示すシステム構成図である。
【0026】
コアネットワーク6には、図2に例示するように、MME61、PGW62、及び、SGW63が含まれてよい。「MME」は、「Mobility Management Entity」の略称である。「PGW」は、「Packet data network GateWay」の略称であり、「SGW」は、「Serving GateWay」の略称である。
【0027】
コアネットワーク6は、「バックボーンネットワーク6」と称されてもよいし、eNB7に対する「上位ネットワーク6」と称されてもよい。MME61、PGW62、及び、SGW63は、「コアネットワーク」のエレメント(NE)あるいはエンティティに相当すると捉えてよく、「コアノード」と総称してよい。「コアノード」は、eNB7の「上位ノード」に相当すると捉えてもよい。
【0028】
eNB7は、コアネットワーク6に、有線インタフェースの一例であるS1インタフェースによって接続されてよい。具体的には、eNB7は、MME61に、S1−MMEインタフェース602によって接続されてよい。また、eNB7は、SGW63に、S1−U(User plane)インタフェース603によって接続されてよい。ただし、eNB7は、無線インタフェースによってコアネットワーク6と通信可能に接続されても構わない。
【0029】
eNB7とコアネットワーク6とを含むネットワークは、無線アクセスネットワーク(RAN)と称されてもよい。RANの一例は、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network, E-UTRAN」である。
【0030】
SGW63は、S5インタフェース604と称されるインタフェースによってPGW62と通信可能に接続されてよい。PGW62は、インターネットやイントラネット等のパケットデータネットワーク(PDN)と通信可能に接続されてよい。
【0031】
PGW62及びSGW63を介して、移動機9とPDNとの間でユーザパケットの送受信が可能である。ユーザパケットは、ユーザデータの一例であり、ユーザプレーン信号と称してもよい。
【0032】
例示的に、SGW63は、ユーザプレーン信号を処理してよい。制御プレーン信号は、MME61が処理してよい。SGW63は、S11インタフェース605と称されるインタフェースによってMME61と通信可能に接続されてよい。
【0033】
MME61は、例示的に、移動機9の位置情報を管理する。SGW63は、MME61で管理されている位置情報を基に、例えば、移動機9の移動に伴うユーザプレーン信号のパス切り替え等の移動制御を実施してよい。移動制御には、移動機9のハンドオーバに伴う制御が含まれてよい。
【0034】
図2に示される2つのeNB7の間は、例えば、X2インタフェース601と称される基地局間インタフェースによって通信可能に接続されてよい。基地局間インタフェースは、有線インタフェースでもよいし、無線インタフェースでもよい。移動機9のハンドオーバに伴い、移動機9に未到達のパケットや移動機9に関する情報が、このX2インタフェース601を介して、ハンドオーバ元のeNB7からハンドオーバ先のeNB7へ転送されてよい。
【0035】
図3は、図2に示された通信システム600のプロトコルスタックの一例を示す図である。
【0036】
レイヤ1において、移動機9とeNB7とSGW63とPGW62とインターネットとの間では、L1(「物理レイヤ」と称されてもよい。)を用いた通信が行なわれてよい。
【0037】
レイヤ2において、移動機9とeNB7との間は、MAC,RLC(Radio Link Control)及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)を用いた通信が行なわれてよい。また、レイヤ2において、eNB7とSGW63との間及びSGW63とPGW62との間では、L2,UDP IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)及びGTP−U(GPRS Tunneling Protocol for User Plane)を用いた通信が行なわれてよい。なお、「GPRS」は、「General Packet Radio Service」の略称である。更に、レイヤ2において、PGW62とインターネットとの間では、L2を用いた通信が行なわれてよい。
【0038】
レイヤ3において、移動機9とPGW62との間及びPGW62とインターネットとの間では、IP(Internet Protocol)を用いた通信が行なわれてよい。また、レイヤ3において、移動機9とインターネットとの間では、APL(Application)を用いた通信が行なわれてよい。
【0039】
移動機9のハンドオーバに伴い、移動機9に未到達のパケットや移動機9に関する情報は、図3に示されるレイヤ2のPDCPを用い、X2インタフェース601(図2を参照)を介して、ハンドオーバ元のeNB7からハンドオーバ先のeNB7へ転送されてよい。
【0040】
図4は、図1に示されたハンドオーバ処理を説明するシーケンス図である。
【0041】
符号A1及びA2において、eNB#1は、コアネットワーク6と通信するとともに、移動機9と通信してよい。すなわち、移動機9は、eNB#1が提供するセル#1の領域内に位置する。
【0042】
符号A3において、eNB#1は、移動機9に対して、Measurement Control信号を送信してよい。
【0043】
符号A4において、移動機9は、Measurement Control信号を受信すると、eNB#1に対して、Measurement Report信号を送信してよい。符号A4において送信されるMeasurement Report信号は、移動機9によって測定された、移動機9とeNB#1との間の電波強度及び移動機9とeNB#2との間の電波強度を示す情報を含んでよい。また、符号A4において送信されるMeasurement Report信号は、移動機9とeNB#2との間の電波強度から移動機9とeNB#1との間の電波強度を減算した値がα以上であることを示してよい。
【0044】
符号A5において、eNB#1は、受信したMeasurement Report信号に基づき、移動機9をeNB#2が提供するセル#2にハンドオーバさせるハンドオーバシーケンスを実行してよい。符号A5におけるハンドオーバシーケンスの詳細は、図5を用いて後述する。
【0045】
以上の処理により、符号A6及びA7において、eNB#2は、コアネットワーク6と通信を行なうとともに、移動機9と通信を行なってよい。
【0046】
図5は、図4に示されたハンドオーバシーケンスの一例を説明するシーケンス図である。
【0047】
符号A51において、移動機9は、通信先のeNB7を、eNB#1からeNB#2に切り替えてよい。
【0048】
符号A52において、eNB#1は、ハンドオーバを実行することを決定してよい。
【0049】
符号A53において、eNB#1は、eNB#2に対して、ハンドオーバ要求を発行してよい。
【0050】
符号A54において、eNB#1は、移動機9に対して、ハンドオーバ指示を発行してよい。
【0051】
符号A55において、eNB#1は、移動機9へ未到達のパケット、及び、移動機9に関する情報を、X2インタフェース601(図2を参照)を介して、eNB#2へ転送してよい。
【0052】
符号A56において、移動機9とeNB#2とは、同期処理を実行してよい。
【0053】
符号A57において、eNB#2は、MME61に対して、移動機9へのパスをeNB#1経由からeNB#2経由へ切り替える要求を発行してよい。
【0054】
符号A58において、MME61は、SGW63及びPGW62に対して、移動機9のハンドオーバ先のeNB7がeNB#2であることを通知してよい。
【0055】
符号A59において、SGW63及びPGW62は、移動機9へのパスを、eNB#1経由からeNB#2経由へ切り替えてよい。
【0056】
図6は、通信システム600aの構成例を示すシステム構成図である。
【0057】
図6に示される通信システム600aは、例示的に、図1の(1)に示された通信システム600が備える機能構成に加えて、2つのエッジDC8(「エッジDC#1」又は「エッジDC#2」と称されてもよい。)を備える。
【0058】
エッジDC8は、例示的に、移動機9によって使用されるアプリケーションデータ等のユーザデータを記憶する。また、エッジDC#1及び#2は、例えばイーサネット(登録商標)を介して互いに通信可能に接続されてよい。図6に示される例において、エッジDC#1はeNB#1を介して移動機9へデータを提供し、エッジDC#2はeNB#2を介して移動機9へデータを提供する。
【0059】
エッジDC8は、シンクライアントサービスにおけるリアルタイム性を向上するために、eNB7毎に備えられてよい。eNB7でサービスが終端されることにより、eNB7を介して上位のインターネット網に存在するデータセンタと通信する場合と比べ、より遅延が少ないサービスを提供することができる。
【0060】
シンクライアントサービスにおいては、文書作成ソフトウェアや表計算ソフトウェア、動画像のデータ等の個人に紐づけられるデータが、移動機9とeNB7との間で送受信されることが想定される。
【0061】
以下において、シンクライアントサービスを提供する通信システム600aにおけるハンドオーバ処理を説明する。
【0062】
符号B1で示されるように、エッジDC#1は、eNB#1を介して、eNB#1が形成するセル#1の領域内に位置する移動機9にアプリケーションデータを提供してよい。
【0063】
符号B2で示されるように、移動機9がセル#1の領域内からセル#2の領域内へ移動すると、eNB#1とeNB#2との間で移動機9のハンドオーバが実施されてよい。
【0064】
符号B3で示されるように、エッジDC#1は、エッジDC#2に対して、移動機9宛てのアプリケーションデータを転送してよい。
【0065】
符号B4で示されるように、エッジDC#2は、eNB#2を介して、eNB#2が形成するセル#2の領域内に位置する移動機9にデータを提供してよい。
【0066】
図7及び図8は、図6に示された通信システム600aにおけるハンドオーバ処理を説明するシーケンス図である。
【0067】
図7の符号C1で示されるように、移動機9は、セル#1を提供するeNB#1との間で、RRC Connectedが確立してよい。なお、「RRC」は、「Radio Resource Control」の略称である。
【0068】
図7の符号C2において、eNB#1は、移動機9に対して、Measurement Control信号を送信してよい。
【0069】
図7の符号C3において、移動機9は、eNB#1を介して、エッジDC#1に対して、データ更新コマンドを送信してよい。
【0070】
図7の符号C4において、エッジDC#1は、受信したデータ更新コマンドに基づき、データ更新処理を実行してよい。
【0071】
図7の符号C5において、エッジDC#1は、eNB#1を介して、移動機9に対して、更新結果画面を表示するための情報を送信してよい。
【0072】
図7の符号C6において、移動機9は、セル#1の領域内からセル#2の領域内へ移動してよい。
【0073】
図7の符号C7において、移動機9は、eNB#1に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0074】
図7の符号C8において、eNB#1は、受信したMeasurement Report信号に基づき、ハンドオーバを実施するかを判断してよい。図7の符号C8に示される例においては、eNB#1は、ハンドオーバを実施すると判断する。
【0075】
図8の符号C9において、eNB#1は、移動機9をeNB#2が提供するセル#2にハンドオーバさせるハンドオーバシーケンスを実行してよい。
【0076】
図8の符号C10において、移動機9は、セル#2を提供するeNB#2との間で、RRC Connectedを確立してよい。
【0077】
図8の符号C11において、移動機9は、eNB#2を介して、エッジDC#2に対して、データ更新コマンドを送信してよい。
【0078】
図8の符号C12において、エッジDC#2は、移動機9宛てのアプリケーションデータを保持していないため、エッジDC#1に対して、移動機9宛てのアプリケーションデータを要求してよい。
【0079】
図8の符号C13において、エッジDC#1は、エッジDC#2に対して、移動機9のアプリケーションデータを転送してよい。
【0080】
図8の符号C14において、エッジDC#2は、受信した移動機9のアプリケーションデータに基づき、データ更新処理を実行してよい。
【0081】
図8の符号C15において、エッジDC#2は、eNB#2を介して、移動機9に対して、更新結果画面を表示するための情報を送信してよい。
【0082】
図8の符号C16で示されように、移動機9からエッジDC#2へデータ更新コマンドが送信されてから、エッジDC#2から移動機9へ更新結果画面を表示するための情報が送信されるまでの間は、サービス利用不可時間となってしまう。
【0083】
無線通信を行なう通信システム600aにおいては、ハンドオーバ処理は頻繁に行なわれる可能性があるため、サービス利用不可時間も頻繁に発生してしまうおそれがある。例えば、移動機9宛てのアプリケーションデータが32GBで、エッジDC8間のファイル転送速度が1Gbpsである場合に、データ転送時間に限って考慮したとしても、256秒のサービス利用不可時間が発生する。
【0084】
〔B〕実施形態
〔B−1〕ハードウェア構成例
図9は、実施形態の通信システム100の構成例を示すシステム構成図である。
【0085】
通信システム100は、例示的に、複数(図示される例では2つ)の基地局2、複数(図示される例では2つ)のエッジDC3、及び、1つ以上(図示される例では1つ)の移動機4を備える。
【0086】
なお、図9に示される「基地局2」は、「eNB#1」又は「eNB#2」と称されてもよい。また、図9に示される「エッジDC3」は、「データセンタ3」や「データ処理装置3」、「エッジDC#1」又は「エッジDC#2」と称されてもよい。更に、「移動機4」は、「移動局4」や「移動端末4」、「UE(User Equipment)4」と称されてもよい。
【0087】
eNB2は、例示的に、移動機4と無線通信可能に接続される。eNB2は、移動機4が通信可能なサービスエリア(「セル」と称されてもよい。)10を提供してよい。
【0088】
エッジDC3は、例示的に、移動機4によって使用されるアプリケーションデータ等のユーザデータを記憶する。また、エッジDC#1及び#2は、例えばイーサネット(登録商標)を介して互いに通信可能に接続されてよい。図9に示される例において、エッジDC#1はeNB#1を介して移動機4へデータを提供し、エッジDC#2はeNB#2を介して移動機4へデータを提供する。なお、エッジDC3としての機能は、eNB2に組み込まれてもよい。
【0089】
移動機4は、例えばeNB2が提供するセル10において当該eNB2と無線通信が可能な通信機器の一例である。
【0090】
図9に示される例において、eNB#1はセル#1を提供し、eNB#2はセル#2を提供する。また、図1に示される例において、セル#1の少なくとも一部の領域とセル#2の少なくとも一部の領域とは、互いに重なり合っている。
【0091】
セル10は、eNB2毎の送信電力等を設定することによって形成されてもよいし、移動機4から収集されるMeasurement Reportの統計データを用いて形成されてもよい。
【0092】
なお、移動機4が位置しているセル10はServing Cellと称されてよく、Serving Cellと隣り合っているセル10はNeighbor Cellと称されてよい。すなわち、移動機4がセル#1の領域内に位置している場合には、セル#1がServing Cellであり、セル#2がNeighbor Cellである。
【0093】
図9に示されるように、セル#1の領域とセル#2の領域とが重複する領域の少なくとも一部には、データ転送実施領域Z1及びハンドオーバ実施領域Z2が設定されてよい。移動機4がデータ転送実施領域Z1に到達すると、エッジDC#2に記憶されている移動機4宛てのデータは、エッジDC#2へ転送されてよい。また、移動機4がハンドオーバ実施領域Z2に到達すると、eNB#1は、移動機4をセル#1からセル#2へハンドオーバさせてよい。
【0094】
データ転送実施領域Z1の詳細については、図11及び図12等を用いて後述する。また、ハンドオーバ実施領域Z2の詳細については、図16及び図17等を用いて後述する。
【0095】
符号D1で示されるように、エッジDC#1は、eNB#1を介して、eNB#1が展開するセル#1の領域内に位置する移動機4にアプリケーションデータを提供してよい。
【0096】
符号D2で示されるように、移動機4がセル#1の中心付近からデータ転送実施領域Z1へ移動すると、符号D3で示されるように、エッジDC#1は、エッジDC#2に対して、移動機4宛てのアプリケーションデータを転送してよい。アプリケーションデータの転送は、図3に示されたレイヤ3のIPを用いて行なわれてよい。
【0097】
符号D4で示されるように、移動機4がデータ転送実施領域Z1からハンドオーバ実施領域Z2へ移動すると、eNB#1とeNB#2との間で移動機9のハンドオーバが実施されてよい。
【0098】
更に、符号D5で示されるように、移動機4がハンドオーバ実施領域Z2からセル#2の中心付近へ移動してよい。これにより、符号D6で示されるように、エッジDC#2は、eNB#2を介して、eNB#2が形成するセル#2の領域内に位置する移動機4にデータを提供してよい。
【0099】
なお、エッジDC3は、セル10毎に備えられなくてもよく、隣り合う複数のセル10(別言すると、「eNB2」)で共用されてもよい。この場合には、エッジDC3を共用しない2つのeNB2間でハンドオーバ処理が実施される前に、移動機4宛てのアプリケーションデータの転送が実施されてよい。
【0100】
図10は、図9に示された通信システム100の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0101】
移動機4は、例示的に、無線処理部41及びデータ送受信部42としての機能を備える。
【0102】
無線処理部41は、例示的に、eNB2との間で無線信号の送受信を行なう。また、無線処理部41は、各eNB2との間の無線品質を計測し、計測した無線品質を示す情報をServing Area(図10に示される例ではセル#1)のeNB2に報告してよい。無線品質を示す情報は、電波強度やビットエラーレートであってよい。
【0103】
データ送受信部42は、例示的に、無線処理部41及びeNB2を介して、エッジDC3との間で、アプリケーションデータの送受信を行なう。
【0104】
エッジDC3は、例示的に、データ送受信部31及びデータ処理部32としての機能を備える。
【0105】
データ送受信部31は、例示的に、eNB2を介して、移動機4との間で、アプリケーションデータの送受信を行なう。また、データ送受信部31は、データ処理部32を介したeNB2からのデータ転送要求に基づき、データ転送要求に係る移動機4宛てのアプリケーションデータを他のエッジDC3へ転送してよい。例えば、エッジDC#1は、eNB#1から移動機4宛てのアプリケーションデータのデータ転送要求を受信すると、移動機4宛てのアプリケーションデータをエッジDC#2へ転送する。
【0106】
データ処理部32は、例示的に、eNB2からデータ転送要求を受信すると、当該データ転送要求をデータ送受信部31へ転送する。また、データ処理部32は、データ送受信部31が移動機4から受信したアプリケーションデータに基づき種々の処理を行なってよい。
【0107】
データ処理部32は、データ送受信部31によるデータ転送動作の開始後に、移動機4によるアプリケーションデータの送信があった場合に、更新後のデータを他のエッジDC3へ転送するかを判断してよい。例えば、移動機4によるアプリケーションデータが入力された文字情報を示す場合には、データ処理部32は、更新後のデータを他のエッジDC3へ転送すると判断し、データ送受信部31へ転送後のデータの転送を指示してよい。一方、移動機4によるアプリケーションデータがマウスポインタの移動、クリック動作またはファイル保存動作などの場合には、データ処理部32は、更新後のデータを他のエッジDC3へ転送しないと判断してもよい。
【0108】
データ処理部32は、更新後のデータのサイズが閾値よりも大きい場合には、更新後のデータと更新前のデータとの差分を他のエッジDC3へ転送してよい。
【0109】
これにより、データ転送処理中に移動機4宛てのデータが更新された場合においても、ハンドオーバ先のセル10におけるサービス開始までの遅延時間を低減できる。
【0110】
データ処理部32は、他のエッジDC3から、データ削除要求を受信した場合に、補助記憶装置301(図19を用いて後述)に記憶されている、当該削除要求に係る移動機4宛てのアプリケーションデータを削除してよい。例えば、移動機4がハンドオーバ先のセル#2の中心部へ移動し、eNB#1と移動機4との間の電波強度が第4の閾値以下になった場合に、エッジDC#1のデータ処理部32は、データ削除要求を受信してよい。また、例えば、移動機4がハンドオーバ元のセル#1の中心部へ移動し(別言すると、「戻り」)、eNB#2と移動機4との間の電波強度が第4の閾値以下になった場合に、エッジDC#2のデータ処理部32は、データ削除要求を受信してよい。
【0111】
本明細書においては、例えば、以下の閾値が用いられる。
【0112】
第1の閾値:ハンドオーバ先のeNB2と移動機4との間の電波強度が当該閾値よりも大きくなった場合に、データ転送処理が実施される(図11及び図12等を用いて詳述;「所定値」又は「第1の所定値」と称されてもよい。)。
【0113】
第2の閾値:ハンドオーバ先のeNB2と移動機4との間の電波強度が当該閾値よりも大きくなった場合に、ハンドオーバ処理が実施される(図11及び図12等を用いて詳述;「第2の所定値」と称されてもよい。)。
【0114】
第3の閾値:ハンドオーバ先のeNB2についての電波強度からハンドオーバ元のeNB2についての電波強度を引いた値が当該閾値よりも大きくなった場合に、強制ハンドオーバ処理が実施される(図16及び図17等を用いて詳述;「第3の所定値」と称されてもよい。)。
【0115】
第4の閾値:ハンドオーバ元のeNB2と移動機4との間の電波強度が当該閾値以下になった場合に、ハンドオーバ元のエッジDC3においてデータ削除処理が実施される。ハンドオーバ先のeNB2と移動機4との間の電波強度が当該閾値以下になった場合に、ハンドオーバ先のエッジDC3においてデータ削除処理が実施される(「第4の所定値」と称されてもよい。)。
【0116】
第5の閾値:複数のハンドオーバ先候補のeNB2についての電波強度の差の絶対値が当該閾値未満である場合に、複数のハンドオーバ先候補のエッジDC3に対して、データ転送処理が実施される(図13図15等を用いて詳述;「第5の所定値」と称されてもよい。)。
【0117】
データ処理部32は、eNB2から、他のエッジDC3に対する削除要求を受け取った場合に、当該削除要求を他のエッジDC3へ転送してよい。
【0118】
eNB2は、例示的に、無線処理部21、データ転送処理部22及びハンドオーバ処理部23としての機能を備える。
【0119】
無線処理部21は、例示的に、移動機4との間で無線信号の送受信を行なう。また、無線処理部21は、移動機4から報告される無線品質を示す情報を受信する受信部の一例として機能してよい。
【0120】
データ転送処理部22は、例示的に、無線処理部21によって受信された無線品質を示す情報に基づき、移動機4宛てのアプリケーションデータを、他のセル10に属するエッジDC3へ転送するかを判定する。
【0121】
データ転送処理部22は、他のeNB2と移動機4との間の電波強度が第4の閾値以下になった場合に、同じセル10に属するエッジDC3を介して、他のセル10に属するエッジDC3に対して、データ削除要求を発行してよい。
【0122】
これにより、エッジDC3のリソースを有効に利用できる。
【0123】
データ転送処理部22の詳細については、図11図17等を用いて後述する。
【0124】
ハンドオーバ処理部23は、例示的に、無線処理部21によって受信された無線品質を示す情報に基づき、移動機4を他のeNB2へハンドオーバするかを判断する。ハンドオーバ処理部23は、ハンドオーバをすると判断した場合に、他のeNB2のハンドオーバ処理部23と協働して、ハンドオーバシーケンス(「ハンドオーバ処理」と称されてもよい。)を実行してよい。ハンドオーバ処理部23の詳細については、図16及び図17等を用いて後述する。
【0125】
図11の(1)は図10に示された移動機4のデータ転送実施領域Z1への移動を示す図であり、図11の(2)は図11の(1)に示された移動機4の位置と電波強度との関係を示すグラフである。図12は、図11に示されたデータ転送動作についての判定を示すテーブルである。
【0126】
図11の(1)に示されるように、移動機4は、セル#1の中心付近からデータ転送実施領域Z1へ移動する。
【0127】
図11の(2)に示されるグラフにおいて、横軸はeNB#1から移動機4までの距離を示し、縦軸は移動機4によって測定されるeNB2と移動機4との間の電波強度を示す。
【0128】
図11の(2)に示されるように、eNB#1と移動機4との間の距離が大きくなると、eNB#1と移動機4との間の電波強度は小さくなる。一方、eNB#1と移動機4との間の距離が大きくなると、eNB#2と移動機4との間の電波強度は大きくなる。
【0129】
図11の(2)に示される例においては、eNB#1と移動機4との間の距離がT1を超え、eNB#2と移動機4との間の電波強度がβ(「第1の閾値」と称されてもよい。)よりも大きくなった場合に、セル#2に属するエッジDC#2へ移動機4宛てのデータの転送が実施されてよい。
【0130】
すなわち、データ転送処理部22は、図12に示されるように、近隣セル10の電波強度がβを超えた場合に、他のセル10に属するエッジDC3へ移動機4宛てのデータの転送を実施すると判定してよい。
【0131】
別言すると、データ転送処理部22は、電波強度が第1の閾値(「所定値」と称されてもよい。)よりも大きい場合に、エッジDC#2へ、アプリケーションで用いるデータを転送することをエッジDC#1に要求してよい。また、ハンドオーバ処理部23は、転送の完了後、電波強度に基づいて、eNB#2が形成するセル#2へ、移動機4をハンドオーバさせてよい。
【0132】
これにより、ハンドオーバ処理の実施前にハンドオーバ先のeNB#2に対して移動機4宛てのアプリケーションデータが転送されるため、ハンドオーバ実行時におけるサービスの遅延を低減できる。そして、ハンドオーバ実行時におけるサービスの継続性を確保できる。
【0133】
なお、データ転送処理部22は、eNB#1についての電波強度からeNB#2についての電波強度を引いた値が閾値以下になった場合に、エッジDC#2へ移動機4宛てのデータの転送を実施すると判定してもよい。
【0134】
図11の(1)に示されるように、距離T1は、eNB#1からセル#2の端部までの距離に基づいて定められてよい。
【0135】
図13は、図10に示された通信システム100において、データ転送先の候補として複数のエッジDC3がある場合の移動機4の移動を示す図である。図14の(1)は図13に示した例において移動機4の位置と電波強度との関係の第1の例を示すグラフであり、図14の(2)は図13に示した例において移動機4の位置と電波強度との関係の第2の例を示すグラフである。図15は、図13及び図14に示されたデータ転送動作についての判定例を示す図である。
【0136】
図13に示される例においては、3つのセル#1〜#3が形成されている。セル#1の少なくとも一部の領域と、セル#2の少なくとも一部の領域と、セル#3の少なくとも一部の領域とは、互いに重なり合って、領域Z3を形成する。
【0137】
図13に示されるように、移動機4は、セル#1の中心付近から領域Z3へ移動する。
【0138】
図14の(1)及び(2)に示されるグラフにおいて、横軸はeNB#1から移動機4までの距離を示し、縦軸は移動機4によって測定されるeNB2と移動機4との間の電波強度を示す。
【0139】
図14の(1)及び(2)に示されるように、eNB#1と移動機4との間の距離が大きくなると、eNB#1と移動機4との間の電波強度は小さくなる。一方、eNB#1と移動機4との間の距離が大きくなると、eNB#2と移動機4との間の電波強度及びeNB#3と移動機4との間の電波強度は大きくなる。
【0140】
図14の(1)に示される例においては、eNB#1と移動機4との間の距離がT11を超えると、eNB#2と移動機4との間の電波強度及びeNB#3と移動機4との間の電波強度がβよりも大きくなっている。また、図14の(1)に示される例においては、eNB#1と移動機4との間の距離がT11の際の、eNB#2についての電波強度とeNB#3についての電波強度との差は、第5の閾値(例えば、15dBm)未満である。この場合に、セル#2に属するエッジDC#2及びセル#3へ属するエッジDC#3へ移動機4宛てのデータの転送が実施されてよい。
【0141】
すなわち、データ転送処理部22は、図15に示されるように、複数の近隣セル10の電波強度がβを超え、複数の電波強度の差の絶対値が閾値(例えば、15dBm)以下であるかを判定する。そして、データ転送処理部22は、当該判定条件が満たされる場合に、他のセル10に属する複数のエッジDC3(例えば、エッジDC#2及び#3)へ移動機4宛てのデータの転送を実施すると判定してよい。
【0142】
これにより、ハンドオーバ先の候補となるeNB2が複数存在する場合においても、ハンドオーバ実行時におけるサービスの遅延を低減できる。
【0143】
図14の(2)に示される例においては、eNB#1と移動機4との間の距離がT11を超えると、eNB#3と移動機4との間の電波強度がβよりも大きくなっている。また、図14の(2)に示される例においては、eNB#1と移動機4との間の距離がT11の際の、eNB#2についての電波強度とeNB#3についての電波強度との差の絶対値は、第5の閾値(例えば、15dBm)よりも大きい。この場合に、電波強度が最大であるセル#3に属するエッジDC#3へ移動機4宛てのデータの転送が実施されてよい。
【0144】
すなわち、データ転送処理部22は、図15に示されるように、複数の近隣セル10の電波強度がβを超え、複数の電波強度の差の絶対値が閾値(例えば、15dBm)以下であるかを判定する。そして、データ転送処理部22は、当該判定条件が満たされない場合に、電波強度が最大である他のセル10に属するエッジDC3(例えば、エッジDC#3)へ移動機4宛てのデータの転送を実施すると判定してよい。
【0145】
図16の(1)はデータ転送実施領域Z1、ハンドオーバ実施領域Z2及び強制ハンドオーバ実施領域Z4を示す図であり、図16の(2)は図16の(1)に示された移動機4の位置と電波強度との関係を示すグラフである。図17は、図16に示されたハンドオーバ処理についての判定例を示す図である。
【0146】
図16の(1)に示されるように、セル#1とセル#2の重複部分には、データ転送実施領域Z1、ハンドオーバ実施領域Z2及び強制ハンドオーバ実施領域Z4が設定されてよい。
【0147】
移動機4がデータ転送実施領域Z1へ移動すると、セル#1に属するエッジDC#1は、セル#2に属するエッジDC#2へ移動機4宛てのデータを転送してよい。
【0148】
移動機4がハンドオーバ実施領域Z2へ移動し、且つ、移動機4宛てのデータの転送が完了すると、セル#1に属するeNB#1は、移動機4をセル#2に属するeNB#2へハンドオーバしてよい。
【0149】
移動機4が強制ハンドオーバ実施領域Z4へ移動すると、セル#1に属するeNB#1は、移動機4宛てのデータの転送が完了しているか否かにかかわらず、移動機4をセル#2に属するeNB#2へハンドオーバしてよい。
【0150】
図16の(2)に示されるグラフにおいて、横軸はeNB#1から移動機4までの距離を示し、縦軸は移動機4によって測定されるeNB2と移動機4との間の電波強度を示す。
【0151】
図16の(2)に示されるように、eNB#1と移動機4との間の距離が大きくなると、eNB#1と移動機4との間の電波強度は小さくなる。一方、eNB#1と移動機4との間の距離が大きくなると、eNB#2と移動機4との間の電波強度は大きくなる。
【0152】
図16の(2)に示される例において、eNB#1と移動機4との間の距離がT1を超えた場合に、eNB#1のデータ転送処理部22は、エッジDC#1に、セル#2に属するエッジDC#2へ移動機4宛てのデータの転送を要求してよい。図17に示されるように、データ転送実施領域Z1におけるeNB#2についての電波強度は、eNB#1についての電波強度よりも小さい。また、eNB#1の無線処理部21は、図17に示されるように、移動機4から無線品質を示す情報を含むMeasurement Report信号を受信するために、移動機4に対して、Measurement Control信号を送信してよい。
【0153】
図16の(2)に示される例において、eNB#1と移動機4との間の距離がT2を超えた場合に、eNB#1のデータ転送処理部22は、移動機4宛てのデータの転送が完了したか否かを判定してよい。図17に示されるように、ハンドオーバ実施領域Z2におけるeNB#2についての電波強度は、eNB#1についての電波強度以上である。
【0154】
eNB#1と移動機4との間の電波強度が第2の閾値よりも大きくなった場合に、eNB#1のデータ転送処理部22は、移動機4宛てのデータの転送が完了したか否かを判定してもよい。ここで、第2の閾値は、移動機4の移動に伴って移動機4をセル#1からセル#2にハンドオーバさせる処理の開始を示す。
【0155】
移動機4宛てのデータの転送が完了していない場合には、eNB#1の無線処理部21は、図17に示されるように、移動機4から無線品質を示す情報を含むMeasurement Report信号を受信するために、移動機4に対して、Measurement Control信号を送信してよい。
【0156】
一方、移動機4宛てのデータの転送が完了している場合には、eNB#1のハンドオーバ処理部23は、図17に示されるように、移動機4をセル#2を形成するeNB#2にハンドオーバさせる処理を実施する。
【0157】
図16の(2)に示される例において、eNB#1と移動機4との間の距離がTを超えると、eNB#2についての電波強度からeNB#1についての電波強度を引いた値がα(「第3の閾値」と称されてもよい。)以上になる。この強制ハンドオーバ実施領域Z4において、eNB#1のハンドオーバ処理部23は、図17に示されているように、移動機4宛てのデータの転送が完了しているにか否かわらず、移動機4をeNB#2へハンドオーバさせる処理を実施する。
【0158】
これにより、移動機4がeNB#1のサービスエリア外に移動することにより、移動機4が通信可能なeNB2がなくなることを防げる。
【0159】
なお、eNB#2と移動機4との間の電波強度が第3の閾値よりも大きくなった場合に、eNB#1のハンドオーバ処理部23は、移動機4宛てのデータの転送が完了しているにか否かわらず、ハンドオーバ処理を実施してもよい。
【0160】
図16の(1)に示されるように、距離T1は、eNB#1からセル#2の端部までの距離に基づいて定められてよい。また、距離T2は、eNB#1から、セル#1の領域とセル#2の領域との交点を結んだ線分までの距離に基づいて定められてよい。更に、距離Tは、一般的なハンドオーバ処理が実施される際のeNB#1から移動機4までの距離に基づいて定められてよい。
【0161】
図18は、図10に示されたeNB2のハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
【0162】
eNB2は、例示的に、RF回路201、アンテナ202、エッジDC−IF203、ネットワークIF204、CPU205、DSP206及びメモリ207を備える。なお、「RF」は「Radio Frequency」の略称であり、「IF」は「Interface」の略称であり、「CPU」は「Central Processing Unit」の略称であり、「DSP」は「Digital Signal Processor」の略称である。
【0163】
RF回路201は、例示的に、アンテナ202を介して、移動機4との間で無線信号の送受信を行なう。
【0164】
エッジDC−IF203は、例示的に、eNB2をエッジDC3と接続する。エッジDC−IF203としては、eNB2とエッジDC3との間の通信規格に対応する各種インタフェースカードが用いられてよい。
【0165】
ネットワークIF204は、例示的に、x2インタフェースを介して、当該eNB2を他のeNB2と接続する。また、ネットワークIF204は、不図示のコア網と接続されてよい。ネットワークIF204としては、ネットワーク規格に対応する各種インタフェースカードが用いられてよい。
【0166】
CPU205は、例示的に、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ207に格納されたOSやプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0167】
DSP206は、例示的に、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサであり、メモリ207に格納されたOSやプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0168】
メモリ207は、例示的に、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)の少なくとも一方を含む記憶装置である。メモリ207のROMには、BIOS(Basic Input/Output System)等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ207のソフトウェアプログラムは、CPU205又はDSP206に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ207のRAMは、一次記録メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0169】
図10に示された無線処理部21、データ転送処理部22及びハンドオーバ処理部23としての機能は、CPU205又はDSP206によって実現されてよい。
【0170】
図19は、図10に示されたエッジDC3のハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
【0171】
エッジDC3は、例示的に、補助記憶装置301、eNB−IF302、ネットワークIF303、CPU304、DSP305及びメモリ306を備える。
【0172】
補助記憶装置301は、例示的に、データを読み書き可能に記憶する装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、SCM(Storage Class Memory)が用いられてよい。補助記憶装置301は、移動機4宛てのアプリケーションデータを記憶してよい。
【0173】
eNB−IF302は、例示的に、エッジDC3をeNB2と接続する。eNB−IF302としては、エッジDC3とeNB2との間の通信規格に対応する各種インタフェースカードが用いられてよい。
【0174】
ネットワークIF303は、例示的に、イーサネット(登録商標)を介して、当該エッジDC3を他のエッジDC3と接続する。ネットワークIF303としては、ネットワーク規格に対応する各種インタフェースカードが用いられてよい。
【0175】
CPU304は、例示的に、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ306に格納されたOSやプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0176】
DSP305は、例示的に、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサであり、メモリ306に格納されたOSやプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0177】
メモリ306は、例示的に、ROM及びRAMの少なくとも一方を含む記憶装置である。メモリ306のROMには、BIOS等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ306のソフトウェアプログラムは、CPU304又はDSP305に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ306のRAMは、一次記録メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0178】
図10に示されたデータ送受信部31及びデータ処理部32としての機能は、CPU304又はDSP305によって実現されてよい。
【0179】
図20は、図10に示された移動機4のハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
【0180】
移動機4は、例示的に、RF回路401、アンテナ402、CPU403及びメモリ404を備える。
【0181】
RF回路401は、例示的に、アンテナ402を介して、eNB2との間で無線信号の送受信を行なう。
【0182】
CPU403は、例示的に、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ404に格納されたOSやプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0183】
メモリ404は、例示的に、ROM及びRAMの少なくとも一方を含む記憶装置である。メモリ404のROMには、BIOS等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ404のソフトウェアプログラムは、CPU403に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ404のRAMは、一次記憶メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0184】
図10に示された無線処理部41及びデータ送受信部42としての機能は、CPU403によって実現されてよい。
【0185】
〔B−2〕動作例
図10に示された通信システム100におけるデータ転送動作例を、図21に示されるシーケンス図(処理E1〜E5)に従って説明する。
【0186】
処理E1において、移動機4は、eNB#1に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0187】
処理E2において、eNB#1は、移動機4宛てのアプリケーションデータのeNB#2への転送を実施するかを判断してよい。
【0188】
移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏すると、処理E3において、eNB#1は、エッジDC#1に対して、データ転送要求を行なってよい。
【0189】
処理E4において、エッジDC#1は、データ転送要求を受け取ると、エッジDC#2に対して、移動機4宛てのアプリケーションデータを転送してよい。
【0190】
処理E5において、エッジDC#1は、移動機4宛てのアプリケーションデータの転送が完了すると、eNB#1に対して、データ転送完了通知を送信してよい。これにより、データ転送動作が終了する。
【0191】
次に、図21に示されたデータ転送動作例の詳細を、図22に示されるシーケンス図(処理F1〜F9)に従って説明する。
【0192】
処理F1において、移動機4の無線処理部41は、eNB#1の無線処理部41に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0193】
処理F2において、eNB#1の無線処理部41は、受信したMeasurement Reportをデータ転送処理部22へ転送してよい。
【0194】
処理F3において、eNB#1のデータ転送処理部22は、受信したMeasurement Reportに基づき、移動機4宛てのアプリケーションデータの転送を実施するかを判断してよい。
【0195】
移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏すると、処理F4において、データ転送処理部22は、エッジDC#1のデータ処理部32に対して、データ転送要求を送信してよい。
【0196】
処理F5において、エッジDC#1のデータ処理部32は、受信したデータ転送要求をデータ送受信部31に転送してよい。
【0197】
処理F6において、エッジDC#1のデータ送受信部31は、データ転送要求を受信すると、エッジDC#2のデータ送受信部31に対して、移動機4宛てのアプリケーションデータを転送してよい。
【0198】
処理F7において、エッジDC#2のデータ送受信部31は、受信した移動機4宛てのアプリケーションデータをデータ処理部32へ転送してよい。
【0199】
処理F8において、エッジDC#1のデータ送受信部31は、エッジDC#2に対する移動機4宛てのアプリケーションデータの転送が完了すると、eNB#1のデータ転送処理部22に対して、データ転送完了通知を送信してよい。
【0200】
処理F9において、エッジDC#2のデータ処理部32は、受信した移動機4宛てのアプリケーションデータに基づき、補助記憶装置301(図19を参照)に記憶されているデータの更新処理を行なってよい。これにより、データ転送動作が終了する。
【0201】
次に、図10に示されたデータ転送元のeNB#1のデータ転送処理部22におけるデータ転送動作例を、図23に示されるフローチャート(処理G1〜G4)に従って説明する。
【0202】
処理G1において、eNB#1のデータ転送処理部22は、移動機4がデータ転送実施領域Z1に位置しているかを判定してよい。
【0203】
処理G1のNoルートにおいて、移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏していない場合には、処理G2において、データ転送処理部22は、移動機4に対して無線品質の測定を要求してよい。
【0204】
処理G1のYesルートにおいて、移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏している場合には、処理G3において、データ転送処理部22は、エッジDC#1に対して、移動機4宛てのアプリケーションデータのデータ転送を要求してよい。
【0205】
処理G4において、移動機4宛てのアプリケーションデータは、エッジDC#1からエッジDC#2へ転送されてよい。これにより、データ転送元のeNB#1のデータ転送処理部22におけるデータ転送動作が完了する。
【0206】
次に、図10に示された通信システム100における更新データ転送動作を、図24及び図25に示されるシーケンス図(処理H1〜H11)に従って説明する。なお、図24には処理H1〜H10が示され、図25には処理H11が示される。
【0207】
図24の処理H1において、移動機4は、eNB#1に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0208】
図24の処理H2おいて、eNB#1は、受信したMeasurement Report信号に基づき、移動機4宛てのアプリケーションデータの転送を実施するかを判断してよい。
【0209】
移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏すると、図24の処理H3において、eNB#1は、エッジDC#1に対して、データ転送要求を送信してよい。
【0210】
図24の処理H4において、エッジDC#1は、データ転送要求を受信すると、エッジDC#2に対して、移動機4宛てのアプリケーションデータを転送してよい。
【0211】
図24の処理H5において、エッジDC#1は、移動機4宛てのアプリケーションデータの転送が完了すると、eNB#1に対して、データ転送完了通知を送信してよい。
【0212】
図24の処理H6において、ユーザにおける移動機4のアプリケーションデータの更新操作が行なわれてよい。更新操作とは、例えば、マウスの移動操作やクリック操作又はファイルの保存操作である。
【0213】
図24の処理H7において、移動機4は、ユーザによる更新操作に基づき、eNB#1を介して、エッジDC#1に対して、画面操作コマンドを送信してよい。
【0214】
図24の処理H8において、エッジDC#1は、受信した画面操作コマンドに基づき、補助記憶装置301(図19を参照)に記憶されたアプリケーションデータの更新処理を行なってよい。
【0215】
図24の処理H9において、エッジDC#1は、eNB#1を介して、移動機4に対して、更新結果を送信してよい。
【0216】
図24の処理H10において、エッジDC#1は、既にデータ転送を行なっているかを確認してよい。処理H10は、マウスの移動等の画面操作契機で実施されてもよいし、ファイルの保存契機で実施されてもよい。
【0217】
本例では図24の処理H4において既にデータ転送が行なわれているため、図25の処理H11において、エッジDC#1は、エッジDC#2に対して、更新後のデータと更新前のデータとの差分を転送してよい。これにより、更新データ転送動作が完了する。
【0218】
図24の処理H1〜図25の処理H11は、ハンドオーバ処理が実施されるまで、繰り返し行なわれてよい。
【0219】
次に、図24及び図25に示された更新データ転送動作例の詳細を、図26及び図27に示されるシーケンス図(処理I1〜I12)に従って説明する。なお、図26には処理I1〜I6が示され、図27には処理I7〜I12が示される。
【0220】
図26の処理I1において、移動機4の無線処理部41は、eNB#1を介して、エッジDC#1のデータ送受信部31に対して、操作コマンドを送信してよい。
【0221】
図26の処理I2において、エッジDC#1のデータ送受信部31は、受信した操作コマンドに基づき、データ処理部32に対して、操作情報を送信してよい。
【0222】
図26の処理I3において、エッジDC#1のデータ処理部32は、受信した操作情報に基づき、補助記憶装置301(図19を参照)に記憶されたアプリケーションデータの更新処理を行なってよい。
【0223】
図26の処理I4において、エッジDC#1のデータ処理部32は、受信した操作情報に基づいた処理を行ない、データ送受信部31に対して、更新結果を送信してよい。
【0224】
図26の処理I5において、エッジDC#1のデータ送受信部31は、eNB#1を介して、移動機4の無線処理部41に対して、受信した更新結果を送信してよい。
【0225】
図26の処理I6において、エッジDC#1のデータ処理部32は、移動機4宛てのアプリケーションデータの転送が必要であるか判定してよい。
【0226】
データ転送の必要がある場合(別言すると、「データ更新がある場合」)には、図27の処理I7において、エッジDC#1のデータ処理部32は、更新データのサイズを確認してよい。
【0227】
図27の処理I8において、データ処理部32は、確認した更新データのサイズに基づき、データ送受信部31に対して、データ転送要求を送信してよい。
【0228】
図27の処理I9において、エッジDC#1のデータ送受信部31は、受信したデータ転送要求に基づき、エッジDC#2のデータ送受信部31に対して、更新結果を転送してよい。
【0229】
図27の処理I10において、エッジDC#2のデータ送受信部31は、データ送受信部31は、データ処理部32に対して、受信した更新結果を転送してよい。
【0230】
図27の処理I11において、エッジDC#1のデータ送受信部31は、更新結果の転送が完了すると、eNB#1のデータ転送処理部22に対して、データ転送完了通知を送信してよい。
【0231】
図27の処理I12において、エッジDC#2のデータ処理部32は、受信した更新結果に基づき、データ更新処理を行なってよい。これにより、更新データ転送動作が終了する。
【0232】
なお、データ転送の必要がない場合(別言すると、「データ更新がない場合」)には、図26の処理I6が完了すれば、更新データ転送動作が終了してよい。
【0233】
次に、図10に示されたデータ転送元のエッジDC#1のデータ処理部32における更新データ転送動作を、図28に示されるフローチャート(処理J1〜J5)に従って説明する。
【0234】
処理J1において、エッジDC#1のデータ処理部32は、データ更新があるか(別言されれば、「データ転送をする必要があるか」)を判定してよい。
【0235】
処理J1のNoルートにおいて、データ更新がない場合には、データ処理部32における更新データ転送動作は終了してよい。
【0236】
一方、処理JIのYesルートにおいて、データ更新がある場合には、処理J2において、データ処理部32は、更新データ量が閾値を超えているかを判定してよい。
【0237】
処理J2のNoルートにおいて、更新データ量が閾値を超えてない場合には、処理J3において、データ処理部32は、データ送受信部31に対して、更新後データをエッジDC#2へ転送することを要求してよい。
【0238】
一方、処理J2のYesルートにおいて、更新データ量が閾値を超えている場合には、処理J4において、データ処理部32は、更新後データと転送済みデータとの差分を抽出してよい。
【0239】
処理J5において、データ処理部32は、データ送受信部31に対して、抽出した差分をエッジDC#1へ転送することを要求してよい。これにより、データ処理部32における更新データ転送動作は終了してよい。
【0240】
次に、図10に示された通信システム100におけるハンドオーバ処理例を、図29に示されシーケンス図(処理K1〜K5)に従って説明する。
【0241】
処理K1において、移動機4は、eNB#1に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0242】
処理K2において、eNB#1は、受信したMeasurement Report信号に基づき、ハンドオーバを実施するかを判断してよい。
【0243】
移動機4がハンドオーバ実施領域Z2に在圏している場合には、処理K3において、eNB#1は、データ転送が完了したかを判定してよい。
【0244】
データ転送が完了している場合には、処理K4において、eNB#1は、移動機4をeNB#1へハンドオーバするためのハンドオーバシーケンスが実行してよい。これにより、ハンドオーバ処理が完了してよい。
【0245】
一方、データ転送が完了していない場合には、処理K5において、eNB#1は、移動機4に対して、Measurement Control信号を送信してよい。その後、処理K1以降の処理が再び実施されてよい。
【0246】
次に、図29に示されたハンドオーバ処理例の詳細を、図30及び図31に示されるシーケンス図(処理L1〜L12)に従って説明する。なお、図30には処理L1〜L5が示され、図31には処理L6〜L12が示される。
【0247】
図30の処理L1において、移動機4の無線処理部41は、eNB#1の無線処理部21に対して、Measurement Repot信号を送信してよい。
【0248】
図30の処理L2において、eNB#1の無線処理部21は、受信したMeasurement Report信号をデータ転送処理部22へ転送してよい。
【0249】
図30の処理L3において、eNB#1のデータ転送処理部22は、受信したMeasurement Report信号に基づき、ハンドオーバ実施判断を行なってよい。
【0250】
移動機4が強制ハンドオーバ実施領域Z4に在圏している場合には、図30の処理L4において、データ転送処理部22は、データ転送処理が完了しているかにかかわらず、ハンドオーバ処理部23に対して、ハンドオーバ実施要求を送信してよい。
【0251】
図30の処理L5において、eNB#1のハンドオーバ処理部23は、受信したハンドオーバ実施要求に基づき、移動機4をeNB#2へハンドオーバするハンドオーバ処理をeNB#2のハンドオーバ処理部23との間で行なってよい。これにより、ハンドオーバ処理は終了する。
【0252】
移動機4がハンドオーバ実施領域Z2に在圏している場合には、図31の処理L6において、eNB#1のデータ転送処理部22は、データ転送が完了したかを判定してよい。
【0253】
データ転送が完了している場合には、図31の処理L7において、データ転送処理部22は、ハンドオーバ処理部23に対して、ハンドオーバ実施要求を送信してよい。
【0254】
図31の処理L8において、eNB#1のハンドオーバ処理部23は、受信したハンドオーバ実施要求に基づき、移動機4をeNB#2へハンドオーバするハンドオーバ処理をeNB#2のハンドオーバ処理部23との間で行なってよい。これにより、ハンドオーバ処理は終了する。
【0255】
データ転送が完了していない場合には、図31の処理L9において、データ転送処理部22は、無線処理部21に対して、Measurement Control信号を送信してよい。
【0256】
図31の処理L10において、eNB#1の無線処理部21は、受信したMeasurement Control信号を移動機4の無線処理部41へ転送してよい。これにより、ハンドオーバ処理は終了する。
【0257】
移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏している場合には、図31の処理L11において、データ転送処理部22は、無線処理部21に対して、Measurement Control信号を送信してよい。
【0258】
図31の処理L12において、eNB#1の無線処理部21は、受信したMeasurement Control信号を移動機4の無線処理部41へ転送してよい。これにより、ハンドオーバ処理は終了する。
【0259】
次に、図10に示されたハンドオーバ元のeNB#1のデータ転送処理部22におけるハンドオーバ処理例を、図32に示されるフローチャート(処理M1〜M7)に従って説明する。
【0260】
処理M1において、eNB#1のデータ転送処理部22は、移動機4が強制ハンドオーバ実施領域Z4に在圏しているか判定してよい。
【0261】
処理M1のYesルートにおいて、移動機4が強制ハンドオーバ実施領域Z4に在圏している場合には、処理M2において、データ転送処理部22は、ハンドオーバ処理部23に対して、ハンドオーバ実施を要求してよい。
【0262】
処理M3において、ハンドオーバ処理部23により、移動機4のeNB#1からeNB#2へのハンドオーバ処理が実施されてよい。これにより、データ転送処理部22におけるハンドオーバ処理が終了してよい。
【0263】
処理M1のNoルートにおいて、移動機4が強制ハンドオーバ実施領域Z4に在圏していない場合に、処理M4において、データ転送処理部22は、移動機4がハンドオーバ実施領域Z2に在圏しているかを判定してよい。
【0264】
処理M4のNoルートにおいて、移動機4がハンドオーバ実施領域Z2に在圏していない場合には、処理M6へ移行してよい。
【0265】
一方、処理M4のYesルートにおいて、移動機4がハンドオーバ実施領域Z2に在圏している場合には、処理M5において、データ転送処理部22は、データ転送が完了しているかを判定してよい。
【0266】
処理M5のYesルートにおいて、データ転送が完了している場合には、処理M2へ移行してよい。
【0267】
一方、処理M5のNoルートにおいて、データ転送が完了してない場合には、処理M6において、データ転送処理部22は、無線処理部21に対して、Measurement Control信号の送信を要求してよい。
【0268】
処理M7において、eNB#1の無線処理部21により、移動機4に対して、Measurement Control信号が送信されてよい。これにより、データ転送処理部22におけるハンドオーバ処理が終了してよい。
【0269】
次に、図10に示された通信システム100におけるデータ削除動作例を、図33に示されるシーケンス図(処理N1〜N6)に従って説明する。
【0270】
処理N1において、移動機4は、eNB#1に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0271】
処理N2において、eNB#1は、受信したMeasurement Report信号に基づき、データ削除を実施するかを判断してよい。
【0272】
移動機4がセル#1の中心部エリアに在圏している場合には、処理N3において、eNB#1は、エッジDC#1に対して、データ削除要求を送信してよい。
【0273】
処理N4において、エッジDC#1は、エッジDC#2に対して、受信したデータ削除要求を転送してよい。
【0274】
処理N5において、エッジDC#1は、データ転送要求の転送が完了すると、eNB#1に対して、データ削除完了通知を送信してよい。
【0275】
処理N6において、エッジDC#2は、受信したデータ削除要求に基づき、移動機4宛てのアプリケーションデータの削除を実施してよい。これにより、データ削除動作は終了してよい。
【0276】
次に、図10に示された通信システム100のデータ転送先のエッジDC#2におけるデータ削除動作例を、図34に示されるシーケンス図(処理P1〜P6)に従って説明する。
【0277】
処理P1において、移動機4の無線処理部41は、eNB#1の無線処理部21に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0278】
処理P2において、eNB#1の無線処理部21は、データ転送処理部22に対して、受信したMeasurement Report信号を転送してよい。
【0279】
処理P3において、eNB#1のデータ転送処理部22は、データ削除を実施するかを判断してよい。
【0280】
移動機4がセル#1の中心部エリアに在圏している場合には、処理P4において、データ転送処理部22は、エッジDC#1のデータ処理部32に対して、データ削除要求を送信してよい。
【0281】
処理P5において、エッジDC#1のデータ処理部32は、エッジDC#2のデータ処理部32に対して、受信したデータ削除要求を転送してよい。
【0282】
処理P6において、エッジDC#2のデータ処理部32は、受信したデータ削除要求に基づき、移動機4宛てのアプリケーションデータを削除してよい。これにより、エッジDC#2におけるデータ削除動作が完了してよい。
【0283】
移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏している場合には、処理P3の後、エッジDC#2におけるデータ削除動作が行なわれなくてよい。
【0284】
次に、図10に示されたデータ転送元のeNB#1におけるデータ転送先のエッジDC#2についてのデータ削除判断例を、図35に示されるフローチャート(処理Q1〜Q3)に従って説明する。
【0285】
処理Q1において、eNB#1のデータ転送処理部22は、移動機4とeNB#2との間の電波強度が閾値を下回っているか(別言すると、「移動機4がセル#1の中心部エリアに在圏しているか」)を判定してよい。
【0286】
処理Q1のNoルートにおいて、電波強度が閾値を下回っていない場合には、エッジDC#2についてのデータ削除判断は終了してよい。
【0287】
一方、処理Q1のYesルートにおいて、電波強度が閾値を下回っている場合には、処理Q2において、データ転送処理部22は、エッジDC#1を介して、エッジDC#2に移動機4宛てのアプリケーションデータの削除を要求してよい。
【0288】
処理Q3において、エッジDC#2における該当する移動機4宛てのアプリケーションデータが削除されてよい。これにより、エッジDC#2についてのデータ削除判断は終了してよい。
【0289】
次に、図10に示された通信システム100のデータ転送元のエッジDC#1におけるデータ削除動作を、図36に示されるシーケンス図(処理R1〜R6)に従って説明する。
【0290】
処理R1において、移動機4の無線処理部41は、eNB#2の無線処理部21に対して、Measurement Report信号を送信してよい。
【0291】
処理R2において、eNB#2の無線処理部21は、データ転送処理部22に対して、受信したMeasurement Report信号を転送してよい。
【0292】
処理R3において、eNB#2のデータ転送処理部22は、データ削除を実施するかを判断してよい。
【0293】
移動機4がセル#2の中心部エリアに在圏している場合には、処理R4において、データ転送処理部22は、エッジDC#2のデータ処理部32に対して、データ削除要求を送信してよい。
【0294】
処理R5において、エッジDC#2のデータ処理部32は、エッジDC#1のデータ処理部32に対して、受信したデータ削除要求を転送してよい。
【0295】
処理R6において、エッジDC#1のデータ処理部32は、受信したデータ削除要求に基づき、移動機4宛てのアプリケーションデータを削除してよい。これにより、エッジDC#1におけるデータ削除動作が完了してよい。
【0296】
移動機4がデータ転送実施領域Z1に在圏している場合には、処理R3の後、エッジDC#1におけるデータ削除動作が行なわれなくてよい。
【0297】
次に、図10に示されたデータ転送先のeNB#2におけるデータ転送元のエッジDC#1についてのデータ削除判断例を、図37に示されるフローチャート(処理S1〜S3)に従って説明する。
【0298】
処理S1において、eNB#2のデータ転送処理部22は、移動機4とeNB#1との間の電波強度が閾値を下回っているか(別言すると、「移動機4がセル#2の中心部エリアに在圏しているか」)を判定してよい。
【0299】
処理S1のNoルートにおいて、電波強度が閾値を下回っていない場合には、エッジDC#1についてのデータ削除判断は終了してよい。
【0300】
一方、処理S1のYesルートにおいて、電波強度が閾値を下回っている場合には、処理S2において、データ転送処理部22は、エッジDC#2を介して、エッジDC#1に移動機4宛てのアプリケーションデータの削除を要求してよい。
【0301】
処理S3において、エッジDC#1における該当する移動機4宛てのアプリケーションデータが削除されてよい。これにより、エッジDC#1についてのデータ削除判断は終了してよい。
【0302】
〔C〕その他
開示の技術は上述した各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。各実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0303】
〔D〕付記
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0304】
(付記1)
複数の基地局間で転送されるデータとは異なり、第1の無線エリア宛ての、アプリケーションで用いるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局であって、
移動機から報告される電波強度を受信する受信部と、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリア宛てのアプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求する転送処理部と、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせるハンドオーバ処理部と、
を備えた、基地局。
【0305】
(付記2)
前記所定値は、前記移動機が前記第2の無線エリアの端部に位置する際の電波強度に基づいて定められる、
付記1に記載の基地局。
【0306】
(付記3)
前記電波強度は、前記移動機が当該基地局から受信する信号の第1の電波強度、及び、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記ハンドオーバ処理部は、前記第2の電波強度から前記第1の電波強度を引いた値が第2の所定値以上である場合に、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、
付記1又は2に記載の基地局。
【0307】
(付記4)
前記電波強度は、前記移動機が当該基地局から受信する信号の第1の電波強度、及び、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記ハンドオーバ処理部は、前記第2の電波強度から前記第1の電波強度を引いた値が第3の所定値以上である場合に、前記アプリケーションで用いるデータの転送が完了しているか否かにかかわらず、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、
付記1〜3のいずれか1項に記載の基地局。
【0308】
(付記5)
前記電波強度は、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記転送処理部は、前記第2の電波強度が前記所定値よりも小さい第4の所定値以下である場合に、前記第2のデータ処理装置に、前記転送された前記アプリケーションで用いるデータの削除を要求する、
付記1〜4のいずれか1項に記載の基地局。
【0309】
(付記6)
前記ハンドオーバ処理部は、前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求した後に当該データが更新された場合に、当該更新の後のデータと当該更新の前のデータとの差分を示す情報について、前記第1のデータ処理装置から前記第2のデータ処理装置への転送が完了した後に、前記ハンドオーバさせる処理の開始する、
付記1〜5のいずれか1項に記載の基地局。
【0310】
(付記7)
前記電波強度は、前記移動機が前記第2の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第2の電波強度、及び、前記移動機が前記ハンドオーバの候補である第3の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第3の電波強度を含み、
前記転送処理部は、前記第2の電波強度と前記第3の電波強度との差分の絶対値が第5の所定値以下である場合に、前記第2又は前記第3の電波強度が第2の所定値を超える前に、前記第2のデータ処理装置に加えて、前記第3の無線エリアに前記アプリケーションで用いるデータを提供する第3のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求する、
付記1〜6のいずれか1項に記載の基地局。
【0311】
(付記8)
前記データ処理装置は、前記移動機宛てである、前記アプリケーションで用いるデータを記憶する記憶装置を有し、前記複数の基地局毎に備えられる、
付記1〜7のいずれか1項に記載の基地局。
【0312】
(付記9)
複数の基地局間で転送されるデータとは異なり、第1の無線エリア宛ての、アプリケーションで用いるデータを提供する第1のデータ処理装置と接続され、前記第1の無線エリアを形成する基地局において、
移動機から報告される電波強度を受信し、
前記電波強度が所定値よりも大きい場合に、他の基地局に接続され、且つ、第2の無線エリア宛てのアプリケーションで用いるデータを提供する第2のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータを転送することを前記第1のデータ処理装置に要求し、
前記転送の完了後、前記電波強度に基づいて、前記他の基地局が形成する前記第2の無線エリアへ、前記移動機をハンドオーバさせる、通信方法。
【0313】
(付記10)
前記所定値は、前記移動機が前記第2の無線エリアの端部に位置する際の電波強度に基づいて定められる、
付記9に記載の通信方法。
【0314】
(付記11)
前記電波強度は、前記移動機が当該基地局から受信する信号の第1の電波強度、及び、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記第2の電波強度から前記第1の電波強度を引いた値が第2の所定値以上である場合に、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、
付記9又は10に記載の通信方法。
【0315】
(付記12)
前記電波強度は、前記移動機が当該基地局から受信する信号の第1の電波強度、及び、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記第2の電波強度から前記第1の電波強度を引いた値が第3の所定値以上である場合に、前記アプリケーションで用いるデータの転送が完了しているか否かにかかわらず、前記ハンドオーバさせる処理を開始する、
付記9〜11のいずれか1項に記載の通信方法。
【0316】
(付記13)
前記電波強度は、前記移動機が前記他の基地局から受信する信号の第2の電波強度を含み、
前記第2の電波強度が前記所定値よりも小さい第4の所定値以下である場合に、前記第2のデータ処理装置に、前記転送された前記アプリケーションで用いるデータの削除を要求する、
付記9〜12のいずれか1項に記載の通信方法。
【0317】
(付記14)
前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求した後に当該データが更新された場合に、当該更新の後のデータと当該更新の前のデータとの差分を示す情報について、前記第1のデータ処理装置から前記第2のデータ処理装置への転送が完了した後に、前記ハンドオーバさせる処理の開始する、
付記9〜13のいずれか1項に記載の通信方法。
【0318】
(付記15)
前記電波強度は、前記移動機が前記第2の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第2の電波強度、及び、前記移動機が前記ハンドオーバの候補である第3の無線エリアを提供する他の基地局から受信する信号の第3の電波強度を含み、
前記第2の電波強度と前記第3の電波強度との差分の絶対値が第5の所定値以下である場合に、前記第2又は前記第3の電波強度が第2の所定値を超える前に、前記第2のデータ処理装置に加えて、前記第3の無線エリアに前記アプリケーションで用いるデータを提供する第3のデータ処理装置へ、前記アプリケーションで用いるデータの転送を要求する、
付記9〜14のいずれか1項に記載の通信方法。
【0319】
(付記16)
前記データ処理装置は、前記移動機宛てである、前記アプリケーションで用いるデータを記憶する記憶装置を有し、前記複数の基地局毎に備えられる、
付記9〜15のいずれか1項に記載の通信方法。
【符号の説明】
【0320】
100,600,600a:通信システム
10,60 :セル
2,7 :基地局
21 :無線処理部
22 :データ転送処理部
23 :ハンドオーバ処理部
201,401 :RF回路
202,402 :アンテナ
203 :エッジDC−IF
204,303 :ネットワークIF
205,304,403 :CPU
206,305 :DSP
207,306,404 :メモリ
3,8 :エッジDC
31 :データ送受信部
32 :データ処理部
301 :補助記憶装置
302 :eNB−IF
4,9 :移動機
41 :無線処理部
42 :データ送受信部
6 :コアネットワーク
601 :X2インタフェース
602 :S1−MMEインタフェース
603 :S1−Uインタフェース
604 :S5インタフェース
605 :S11インタフェース
61 :MME
62 :PGW
63 :SGW
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37