(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂膜は、前記外部電極毎に設けられており、対応する前記外部電極の前記第一電極部が含んでいる前記焼結金属層の前記端縁を覆っている、請求項1に記載の電子部品。
前記樹脂膜は、前記第一電極部が含んでいる前記焼結金属層の端縁を全周にわたって覆っており、当該端縁と接している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
図1〜
図5を参照して、本実施形態に係る積層コモンモードフィルタCFの構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コモンモードフィルタを示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る積層コモンモードフィルタを示す平面図である。
図3は、素体の構成を示す分解斜視図である。
図4は、第一外部電極、第二外部電極、及び樹脂層の断面構成を説明するための図である。
図5は、第三外部電極、第四外部電極、及び樹脂層の断面構成を説明するための図である。本実施形態では、電子部品として積層コモンモードフィルタCFを例に説明する。
【0016】
積層コモンモードフィルタCFは、
図1〜
図3に示されるように、素体1と、素体1の外表面に配置される第一外部電極11、第二外部電極12、第三外部電極13、及び第四外部電極14と、を備えている。積層コモンモードフィルタCFは、第一外部電極11、第二外部電極12、第三外部電極13、及び第四外部電極14がそれぞれ信号ラインに接続されるように、電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)にはんだ実装される。
【0017】
素体1は、直方体形状を呈している。素体1は、その外表面として、互いに対向している第一主面1a及び第二主面1bと、互いに対向している第一側面1c及び第二側面1dと、互いに対向している第三側面1e及び第四側面1fと、を有している。第一主面1aと第二主面1bとが対向している方向が第一方向D1であり、第一側面1cと第二側面1dとが対向している方向が第二方向D2であり、第三側面1eと第四側面1fとが対向している方向が第三方向D3である。本実施形態では、第一方向D1は素体1の高さ方向であり、第二方向D2は素体1の長手方向であり、第三方向D3は素体1の幅方向である。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
【0018】
第一側面1c及び第二側面1dは、第一主面1aと第二主面1bとを連結するように第一方向D1に延在している。第一側面1c及び第二側面1dは、第一主面1aと隣り合っていると共に、第二主面1bとも隣り合っている。第一側面1c及び第二側面1dは、第三方向D3(第一主面1a及び第二主面1bの短辺方向)にも延在している。
【0019】
第三側面1e及び第四側面1fは、第一主面1aと第二主面1bとを連結するように第一方向D1に延在している。第一側面1c及び第二側面1dは、第一主面1aと隣り合っていると共に、第二主面1bとも隣り合っている。第三側面1e及び第四側面1fは、第二方向D2(第一主面1a及び第二主面1bの長辺方向)にも延在している。
【0020】
素体1は、非磁性体部3と、第一方向D1で非磁性体部3を挟むように配置されている一対の磁性体部5と、を有している。素体1は、積層されている複数の絶縁体層により構成されている。非磁性体部3では、絶縁体層として、複数の非磁性体層4が積層されている。すなわち、非磁性体部3は、積層された複数の非磁性体層4により構成されている。各磁性体部5では、絶縁体層として、複数の磁性体層6が積層されている。すなわち、磁性体部5は、積層された複数の磁性体層6により構成されている。複数の絶縁体層は、複数の非磁性体層4と複数の磁性体層6とを含んでいる。
【0021】
各非磁性体層4は、たとえば非磁性材料(Cu−Zn系フェライト材料、誘電体材料、又はガラスセラミック材料など)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。各磁性体層6は、たとえば磁性材料(Ni−Cu−Zn系フェライト材料、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト材料、又はNi−Cu系フェライト材料など)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。
【0022】
実際の素体1では、各非磁性体層4及び各磁性体層6は、層間の境界が視認できない程度に一体化されている。第一方向D1、すなわち第一主面1aと第二主面1bとが対抗している方向は、複数の絶縁体層、すなわち、複数の非磁性体層4及び複数の磁性体層6が積層されている方向(以下、単に「積層方向」と称する。)と一致する。
【0023】
積層コモンモードフィルタCFは、
図3に示されるように、第一コイル導体21、第二コイル導体22、第三コイル導体23、及び第四コイル導体24を、非磁性体部3に備えている。各導体21〜24は、導電材(たとえば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各導体21〜24は、導電性材料(たとえば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0024】
第一コイル導体21は、渦巻き状であり、積層方向に隣り合う一対の非磁性体層4の間に配置されている。第一コイル導体21の一端部(外側端部)21aは、第一側面1cに露出している。第一コイル導体21の他端部(内側端部)21bは、第一コイル導体21と同じ層に位置する第一パッド導体41に接続されている。本実施形態では、第一コイル導体21と第一パッド導体41とは、一体的に形成されている。
【0025】
第二コイル導体22は、渦巻き状であり、積層方向に隣り合う一対の非磁性体層4の間に配置されている。第二コイル導体22の一端部(外側端部)22aは、第二側面1dに露出している。第二コイル導体22の他端部(内側端部)22bは、第二コイル導体22と同じ層に位置する第二パッド導体42に接続されている。本実施形態では、第二コイル導体22と第二パッド導体42とは、一体的に形成されている。
【0026】
第三コイル導体23は、渦巻き状であり、積層方向に隣り合う一対の非磁性体層4の間に配置されている。第三コイル導体23の一端部(外側端部)23aは、第一側面1cに露出している。第三コイル導体23の他端部(内側端部)23bは、第三コイル導体23と同じ層に位置する第三パッド導体43に接続されている。本実施形態では、第三コイル導体23と第三パッド導体43とは、一体的に形成されている。
【0027】
第四コイル導体24は、渦巻き状であり、積層方向に隣り合う一対の非磁性体層4の間に配置されている。第四コイル導体24の一端部(外側端部)24aは、第二側面1dに露出している。第四コイル導体24の他端部(内側端部)24bは、第四コイル導体24と同じ層に位置する第四パッド導体44に接続されている。本実施形態では、第四コイル導体24と第四パッド導体44とは、一体的に形成されている。
【0028】
第一コイル導体21と第三コイル導体23とが積層方向で非磁性体層4を介して互いに隣り合い、第二コイル導体22と第四コイル導体24とが非磁性体層4を介して積層方向で互いに隣り合っている。積層方向で第三コイル導体23が第一コイル導体21と第二コイル導体22との間に位置している。すなわち、第一〜第四コイル導体21〜24は、積層方向において、第一コイル導体21、第三コイル導体23、第二コイル導体22、第四コイル導体24の順に配置されている。第一〜第四コイル導体21〜24は、積層方向から見て、同じ方向に巻き回されていると共に互いに重なり合うように位置している。
【0029】
第一パッド導体41と第二パッド導体42とは、積層方向から見て、互いに重なり合うように位置している。第一パッド導体41と第二パッド導体42との間には、第三コイル導体23と同じ層に位置する第五パッド導体45が、積層方向から見て、第一及び第二パッド導体41,42と互いに重なり合うように配置されている。すなわち、第一パッド導体41と第五パッド導体45とが積層方向で非磁性体層4を介して互いに隣り合い、第五パッド導体45と第二パッド導体42とが積層方向で非磁性体層4を介して互いに隣り合っている。
【0030】
第一パッド導体41と第五パッド導体45と第二パッド導体42とは、それぞれ第一スルーホール導体51を介して接続されている。第一スルーホール導体51は、第一パッド導体41と第五パッド導体45との間に位置する非磁性体層4と、第五パッド導体45と第二パッド導体42との間に位置する非磁性体層4と、を貫通している。
【0031】
第三パッド導体43と第四パッド導体44とは、積層方向から見て、互いに重なり合うように位置している。第三パッド導体43と第四パッド導体44との間には、第二コイル導体22と同じ層に位置する第六パッド導体46が、積層方向から見て、第三及び第四パッド導体43,44と互いに重なり合うように配置されている。すなわち、第三パッド導体43と第六パッド導体46とが積層方向で非磁性体層4を介して互いに隣り合い、第六パッド導体46と第四パッド導体44とが積層方向で非磁性体層4を介して互いに隣り合っている。
【0032】
第三パッド導体43と第六パッド導体46と第四パッド導体44とは、それぞれ第二スルーホール導体52を介して接続されている。第二スルーホール導体52は、第三パッド導体43と第六パッド導体46との間に位置する非磁性体層4と、第六パッド導体46と第四パッド導体44との間に位置する非磁性体層4と、を貫通している。
【0033】
第一コイル導体21と第二コイル導体22とは、第一パッド導体41、第五パッド導体45、第二パッド導体42、及び第一スルーホール導体51を通して、電気的に接続されている。第一コイル導体21と第二コイル導体22とは、第一コイルC1を構成している。第三コイル導体23と第四コイル導体24とは、第三パッド導体43、第六パッド導体46、第四パッド導体44、及び第二スルーホール導体52を通して、電気的に接続されている。第三コイル導体23と第四コイル導体24とは、第二コイルC2を構成している。
【0034】
積層コモンモードフィルタCFは、素体1(非磁性体部3)内に、第一コイルC1と第二コイルC2を備える。第一コイルC1と第二コイルC2とは、第一コイル導体21と第三コイル導体23とが積層方向で互いに隣り合い且つ第三コイル導体23と第二コイル導体22とが積層方向で互いに隣り合い且つ第二コイル導体22と第四コイル導体24とが積層方向で互いに隣り合うように、非磁性体部3内に配置されている。第一コイルC1と第二コイルC2とは、互いに磁気結合する。
【0035】
第五及び第六パッド導体45,46並びに第一及び第二スルーホール導体51,52は、導電材(たとえば、Ag又はPdなど)を含んでいる。第五及び第六パッド導体45,46並びに第一及び第二スルーホール導体51,52は、導電性材料(たとえば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一及び第二スルーホール導体51,52は、対応する非磁性体層4を構成することとなるセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0036】
第一外部電極11及び第三外部電極13は、素体1の第一側面1c側に配置されている。すなわち、第一外部電極11及び第三外部電極13は、第二方向D2での素体1の一方の端部に配置されている。第一外部電極11及び第三外部電極13は、第一側面1cの一部を第一方向D1に沿って覆うように形成されていると共に、第一主面1aの一部と第二主面1bの一部とに形成されている。第一外部電極11は、第三側面1e寄りに位置し、第三外部電極13は、第四側面1f寄りに位置している。
【0037】
第二外部電極12及び第四外部電極14は、素体1の第二側面1d側に配置されている。すなわち、第二外部電極12及び第四外部電極14は、第二方向D2での素体1の他方の端部に配置されている。第二外部電極12及び第四外部電極14は、第二側面1dの一部を第一方向D1に沿って覆うように形成されていると共に、第一主面1aの一部と第二主面1bの一部とに形成されている。第二外部電極12は、第三側面1e寄りに位置し、第四外部電極14は、第四側面1f寄りに位置している。
【0038】
第一外部電極11は、
図4に示されるように、第一主面1aに配置されている電極部11a、第二主面1bに配置されている電極部11b、及び第一側面1cに配置されている電極部11cを有している。第一外部電極11は、第二側面1d、第三側面1e、及び第四側面1fには形成されていない。すなわち、第一外部電極11は、三つの面1a,1b,1cのみに配置されている。互いに隣り合う電極部11a,11b,11c同士は、素体1の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
【0039】
電極部11cは、第一コイル導体21の第一側面1cに露出している端部をすべて覆っている。第一コイル導体21は、第一側面1cに露出している端部で電極部11cと接続されている。すなわち、第一外部電極11と第一コイル導体21とは、電気的に接続されている。第一コイル導体21の一端部21aは、第一外部電極11との接続導体として機能する。
【0040】
第二外部電極12は、
図4に示されるように、第一主面1aに配置されている電極部12a、第二主面1bに配置されている電極部12b、及び第二側面1dに配置されている電極部12cを有している。第二外部電極12は、第一側面1c、第三側面1e、及び第四側面1fには形成されていない。すなわち、第一外部電極11は、三つの面1a,1b,1dのみに配置されている。互いに隣り合う電極部12a,12b,12c同士は、素体1の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
【0041】
電極部12cは、第二コイル導体22の第二側面1dに露出している端部をすべて覆っている。第二コイル導体22は、第二側面1dに露出している端部で電極部12cと接続されている。すなわち、第二外部電極12と第二コイル導体22とは、電気的に接続されている。第二コイル導体22の一端部22aは、第二外部電極12との接続導体として機能する。
【0042】
第三外部電極13は、
図5に示されるように、第一主面1aに配置されている電極部13a、第二主面1bに配置されている電極部13b、及び第一側面1cに配置されている電極部13cを有している。第三外部電極13は、第二側面1d、第三側面1e、及び第四側面1fには形成されていない。すなわち、第一外部電極11は、三つの面1a,1b,1cのみに配置されている。互いに隣り合う電極部13a,13b,13c同士は、素体1の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
【0043】
電極部13cは、第三コイル導体23の第一側面1cに露出している端部をすべて覆っている。第三コイル導体23は、第一側面1cに露出している端部で電極部13cと接続されている。すなわち、第三外部電極13と第三コイル導体23とは、電気的に接続されている。第三コイル導体23の一端部23aは、第三外部電極13との接続導体として機能する。
【0044】
第四外部電極14は、
図5に示されるように、第一主面1aに配置されている電極部14a、第二主面1bに配置されている電極部14b、及び第二側面1dに配置されている電極部14cを有している。第四外部電極14は、第一側面1c、第三側面1e、及び第四側面1fには形成されていない。すなわち、第一外部電極11は、三つの面1a,1b,1dのみに配置されている。互いに隣り合う電極部14a,14b,14c同士は、素体1の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
【0045】
電極部14cは、第四コイル導体24の第二側面1dに露出している端部をすべて覆っている。第四コイル導体24は、第二側面1dに露出している端部で電極部14cと接続されている。すなわち、第四外部電極14と第四コイル導体24とは、電気的に接続されている。第四コイル導体24の一端部24aは、第四外部電極14との接続導体として機能する。
【0046】
第一外部電極11、第二外部電極12、第三外部電極13、及び第四外部電極14は、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3を含んでいる。すなわち、各電極部11a〜11c,12a〜12c,13a〜13c,14a〜14cは、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3を含んでいる。第三電極層E3は、第一外部電極11、第二外部電極12、第三外部電極13、及び第四外部電極14の最外層をそれぞれ構成している。
【0047】
第一電極層E1は、導電性ペーストを素体1の表面に付与して焼き付けることにより形成されている。第一電極層E1は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結して形成された焼結金属層である。すなわち、第一電極層E1は、素体1上に配置されている焼結金属層である。本実施形態では、第一電極層E1は、Agからなる焼結金属層である。第一電極層E1は、Pdからなる焼結金属層であってもよい。導電性ペーストには、Ag又はPdからなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。
【0048】
第二電極層E2は、第一電極層E1上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第二電極層E2は、第一電極層E1上にNiめっきにより形成されたNiめっき層である。第二電極層E2は、Cuめっき層であってもよい。
【0049】
第三電極層E3は、第二電極層E2上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層E3は、第二電極層E2上にSnめっきにより形成されたSnめっき層である。第二電極層E2と第三電極層E3は、第一電極層E1上に配置されているめっき層を構成している。すなわち、本実施形態では、第一電極層E1に形成されるめっき層は、二層構造を有している。
【0050】
各電極部11a〜11c,12a〜12c,13a〜13c,14a〜14cが含んでいる第一電極層E1は、一体的に形成されている。各電極部11a〜11c,12a〜12c,13a〜13c,14a〜14cが含んでいる第二電極層E2は、一体的に形成されている。各電極部11a〜11c,12a〜12c,13a〜13c,14a〜14cが含んでいる第三電極層E3も、一体的に形成されている。
【0051】
各電極部11a,12a,13a,14aでは、第一電極層E1における第二方向D2(第一側面1cと第二側面1dとが対向している方向)での端縁、すなわち、第一電極層E1の第二方向D2での端部が、第二電極層E2及び第三電極層E3から露出している。各電極部11a,12a,13a,14aでは、第一電極層E1の一部のみが、第二電極層E2及び第三電極層E3で構成されているめっき層で覆われている。すなわち、各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1は、第二電極層E2及び第三電極層E3で構成されているめっき層で覆われている部分と、当該めっき層から露出している部分とを含んでいる。第一電極層E1におけるめっき層から露出している部分は、第一電極層E1における第二方向D2での端縁(端部)を含んでいる。
【0052】
各電極部11b,11c,12b,12c,13b,13c,14b,14cでは、第一電極層E1の全体が、第二電極層E2及び第三電極層E3で構成されているめっき層で覆われている。
【0053】
積層コモンモードフィルタCFは、電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に、はんだ実装される。積層コモンモードフィルタCFでは、第一主面1aが、電子機器に対向する実装面とされる。
【0054】
積層コモンモードフィルタCFは、
図3〜
図5にも示されるように、樹脂膜Iを備えている。樹脂膜Iは、電気絶縁性を有していると共に、第一主面1aに配置されている。樹脂膜Iは、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1における第二方向D2での端縁(端部)を覆っており、当該端縁(端部)と接している。すなわち、樹脂膜Iは、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1におけるめっき層から露出している部分を覆っており、当該部分と接している。第一電極層E1における樹脂膜Iから露出している領域上に、めっき層(第二電極層E2及び第三電極層E3)が配置されている。
【0055】
樹脂膜Iは、互いに隣り合う四つの第一〜第四外部電極11,12,13,14の各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)を一体的に覆っている。樹脂膜Iは、第一主面1aにおける各電極部11a,12a,13a,14aから露出している領域も覆っており、当該領域に接している。樹脂膜Iは、第三側面1e及び第四側面1fのそれぞれ一部を覆っており、当該一部に接している。すなわち、樹脂膜Iは、第一主面1a上だけでなく、第三側面1e及び第四側面1fそれぞれに回り込むように形成されている。
【0056】
樹脂膜Iは、たとえば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂からなる。樹脂膜Iは、たとえば、絶縁性樹脂コーティング剤を付与して固化させることにより形成される。絶縁性樹脂コーティング剤の付与には、スクリーン印刷法又はスプレーコーティング法などを用いることができる。絶縁性樹脂コーティング剤としては、熱硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤、紫外線硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤、又は、これらの絶縁性樹脂コーティング剤の両者を含むコーティング剤を用いることができる。
【0057】
図6及び
図7に示されるように、積層コモンモードフィルタCFが電子機器EDにはんだ実装される際に、樹脂膜Iははんだレジストとして機能する。電子機器EDは、たとえば、回路基板又は他の電子部品である。
図6及び
図7は、本実施形態に係る積層コモンモードフィルタの実装構造を説明するための図である。
【0058】
樹脂膜Iが、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1における第二方向D2での端縁(端部)を覆っており、当該端縁(端部)上にはめっき層(第二電極層E2及び第三電極層E3)が配置されていないので、はんだフィレットSFが、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1における第二方向D2での端縁(端部)に達することはない。このため、はんだフィレットSFを通して積層コモンモードフィルタCFに外力が作用する場合でも、第一電極層E1における第二方向D2での上記端縁(端部)に応力が集中し難く、当該端縁(端部)がクラックの起点となり難い。したがって、積層コモンモードフィルタCFでは、クラックが素体1に発生するのが抑制される。
【0059】
積層コモンモードフィルタCFでは、樹脂膜Iが、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1における第二方向D2での端縁(端部)を覆っている。このため、特に、電子機器EDが第二方向D2で撓む際に作用する外力(撓み応力)に起因するクラックの発生が抑制される。
【0060】
本実施形態では、電極部11c,12c,13c,14c全体が樹脂膜Iから露出しているので、
図6及び
図7にも示されるように、電極部11c,12c,13c,14cにはんだフィレットSFが形成される。このため、積層コモンモードフィルタCFの実装強度が確保される。
【0061】
電極部11a,12a,13a,14aが含んでいるめっき層(第二電極層E2及び第三電極層E3)は、第一電極層E1における樹脂膜Iから露出している領域上に配置されている。このため、積層コモンモードフィルタCFでは、電極部11c,12c,13c,14cだけでなく、電極部11a,12a,13a,14aも、はんだを介して電子機器EDに接続される。したがって、積層コモンモードフィルタCFでは、電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1全体が樹脂膜Iに覆われ、かつ、電極部11a,12a,13a,14aがめっき層を含んでいない積層コモンモードフィルタCFに比して、実装強度の低下が防止されている。
【0062】
積層コモンモードフィルタCFでは、第一外部電極11及び第三外部電極13が、素体1の第一側面1c側に配置されている。このため、第一外部電極11及び第三外部電極13は、第一側面1c全体を覆うように形成されることはなく、第一外部電極11及び第三外部電極13の各表面積は小さくならざるを得ない。同様に、第二外部電極12及び第四外部電極14が、素体1の第二側面1d側に配置されているので、第二外部電極12及び第四外部電極14の各表面積は小さくならざるを得ない。これに対し、積層コモンモードフィルタCFでは、上述したように、電極部11c,12c,13c,14cだけでなく、電極部11a,12a,13a,14aも、はんだを介して電子機器EDに接続されるので、積層コモンモードフィルタCFの実装強度が確保される。
【0063】
本実施形態では、樹脂膜Iは、互いに隣り合う四つの第一〜第四外部電極11,12,13,14の各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)を一体的に覆っている。このため、積層コモンモードフィルタCFでは、樹脂膜Iの形成が容易である。
【0064】
次に、
図8〜
図11を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コモンモードフィルタCFの構成を説明する。
図8〜
図11は、本変形例に係る積層コモンモードフィルタの平面図である。各変形例では、樹脂膜の形状が上述した積層コモンモードフィルタCFと相違している。
【0065】
図8及び
図9に示された積層コモンモードフィルタCFは、二つの樹脂膜Ia,Ibを備えている。二つの樹脂膜Ia,Ibは、第二方向D2で離間しており、第一主面1aが、樹脂膜Iaと樹脂膜Ibとの間で露出している。樹脂膜Iaは、第三方向D3で互いに隣り合う二つの第一及び第三外部電極11,13の各電極部11a,13aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)を一体的に覆っている。樹脂膜Ibは、第三方向D3で互いに隣り合う二つの第二及び第四外部電極12,14の各電極部12a,14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)を一体的に覆っている。
【0066】
図10に示された積層コモンモードフィルタCFも、二つの樹脂膜Ia,Ibを備えている。二つの樹脂膜Ia,Ibは、第三方向D3で離間しており、第一主面1aが、樹脂膜Iaと樹脂膜Ibとの間で露出している。樹脂膜Iaは、第二方向D2で互いに隣り合う二つの第一及び第二外部電極11,12の各電極部11a,12aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)を一体的に覆っている。樹脂膜Ibは、第二方向D2で互いに隣り合う二つの第三及び第四外部電極13,14の各電極部13a,14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)を一体的に覆っている。
【0067】
図8〜10に示された各変形例の積層コモンモードフィルタCFでは、素体1おけるクラックの発生が抑制され、かつ、実装強度が確保されていると共に、樹脂膜Iの形成が容易である。
【0068】
図11に示された積層コモンモードフィルタCFは、四つの樹脂膜Ic,Id,Ie,Ifを備えている。四つの樹脂膜Ic,Id,Ie,Ifは、第一〜第四外部電極11,12,13,14毎に設けられており、互いに離間している。樹脂膜Icは、第一外部電極11の電極部11aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)のみを覆っている。樹脂膜Idは、第二外部電極12の電極部12aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)のみを覆っている。樹脂膜Ieは、第三外部電極13の電極部13aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)のみを覆っている。樹脂膜Ifは、第四外部電極14の電極部14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)のみを覆っている。
【0069】
図11に示された変形例の積層コモンモードフィルタCFでも、素体1おけるクラックの発生が抑制され、かつ、実装強度が確保されている。本変形例では、樹脂膜Ic,Id,Ie,Ifが、第一〜第四外部電極11,12,13,14毎に設けられており、対応する第一〜第四外部電極11,12,13,14の電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁(端部)を覆っている。このため、樹脂膜Ic,Id,Ie,Ifを形成するために使用される樹脂の量が低減される。
【0070】
次に、
図12〜
図14を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コモンモードフィルタCFの構成を説明する。
図12は、本変形例に係る積層コモンモードフィルタの平面図である。
図13は、第一外部電極、第三外部電極、及び樹脂層の断面構成を説明するための図である。
図14は、第二外部電極、第四外部電極、及び樹脂層の断面構成を説明するための図である。
【0071】
図12に示された積層コモンモードフィルタCFでは、各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1の端縁が、その全周にわたって第二電極層E2及び第三電極層E3から露出している。本変形例でも、各電極部11a,12a,13a,14aでは、第一電極層E1の一部のみが、第二電極層E2及び第三電極層E3で構成されているめっき層で覆われている。すなわち、各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1は、第二電極層E2及び第三電極層E3で構成されているめっき層で覆われている部分と、当該めっき層から露出している部分とを含んでいる。第一電極層E1におけるめっき層から露出している部分は、第一電極層E1の端縁を含んでおり、第一方向D1から見て、めっき層の外側に位置している。
【0072】
本変形例では、
図13及び
図14に示されるように、各電極部11a,12a,13a,14aでは、第一電極層E1における第三方向D3(第三側面1eと第四側面1fとが対向している方向)での端縁、すなわち、第一電極層E1の第三方向D3での両端部が、第二電極層E2及び第三電極層E3から露出している。新たな図示は省略するが、本変形例では、
図4及び
図5に示されたように、各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1における第二方向D2での端縁、すなわち、第一電極層E1の第二方向D2での端部も、第二電極層E2及び第三電極層E3から露出している。
【0073】
樹脂膜Iは、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1の端縁を全周にわたって覆っており、当該端縁と接している。すなわち、樹脂膜Iは、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1におけるめっき層から露出している部分を覆っており、当該部分と接している。第一電極層E1における樹脂膜Iから露出している領域上に、めっき層(第二電極層E2及び第三電極層E3)が配置されている。
【0074】
図12〜
図14に示された変形例の積層コモンモードフィルタCFでは、樹脂膜Iが、各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1の端縁を全周にわたって覆っており、当該端縁と接している。このため、各電極部11a,12a,13a,14aが含んでいる第一電極層E1の端縁の全周にわたって応力が集中し難く、当該端縁は、全周にわたってクラックの起点となり難い。
【0075】
本変形例の積層コモンモードフィルタCFでは、樹脂膜Iが、各電極部11a,12a,13a,14aの第一電極層E1における第二方向D2での端縁を全周にわたって覆っている。このため、電子機器EDが第二方向D2で撓む際に作用する外力だけでなく、電子機器EDが第三方向D3で撓む際に作用する外力(撓み応力)に起因するクラックの発生が抑制される。
【0076】
本変形例でも、電極部11a,12a,13a,14aが含んでいるめっき層(第二電極層E2及び第三電極層E3)は、第一電極層E1における樹脂膜Iから露出している領域上に配置されている。したがって、本変形例でも、上述した実施形態と同様に、積層コモンモードフィルタCFの実装強度が確保される。
【0077】
次に、
図15〜
図17を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コモンモードフィルタCFの構成を説明する。
図15〜
図17は、本変形例に係る積層コモンモードフィルタの平面図である。各変形例では、樹脂膜の形状が、
図12〜
図14に示された変形例の積層コモンモードフィルタCFと相違している。
【0078】
図15に示された積層コモンモードフィルタCFは、四つの樹脂膜Ic,Id,Ie,Ifを備えている。四つの樹脂膜Ic,Id,Ie,Ifは、第一〜第四外部電極11,12,13,14毎に設けられており、互いに離間している。樹脂膜Icは、第一外部電極11の電極部11aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁のみを全周にわたって覆っている。樹脂膜Idは、第二外部電極12の電極部12aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁のみを全周にわたって覆っている。樹脂膜Ieは、第三外部電極13の電極部13aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁のみを全周にわたって覆っている。樹脂膜Ifは、第四外部電極14の電極部14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁のみを全周にわたって覆っている。
【0079】
図16に示された積層コモンモードフィルタCFは、二つの樹脂膜Ia,Ibを備えている。二つの樹脂膜Ia,Ibは、第二方向D2で離間している。樹脂膜Iaは、第三方向D3で互いに隣り合う二つの第一及び第三外部電極11,13の各電極部11a,13aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁を全周にわたり、かつ、一体的に覆っている。樹脂膜Ibは、第三方向D3で互いに隣り合う二つの第二及び第四外部電極12,14の各電極部12a,14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁を全周にわたり、かつ、一体的に覆っている。
【0080】
図17に示された積層コモンモードフィルタCFも、二つの樹脂膜Ia,Ibを備えている。二つの樹脂膜Ia,Ibは、第三方向D3で離間している。樹脂膜Iaは、第二方向D2で互いに隣り合う二つの第一及び第二外部電極11,12の各電極部11a,12aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁を全周にわたり、かつ、一体的に覆っている。樹脂膜Ibは、第二方向D2で互いに隣り合う二つの第三及び第四外部電極13,14の各電極部13a,14aが含んでいる第一電極層E1の上記端縁を全周にわたり、かつ、一体的に覆っている。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0082】
第一外部電極11、第二外部電極12、第三外部電極13、及び第四外部電極14は、必ずしも、電極部11b,12b,13b,14bを有していなくてもよい。すなわち、第一外部電極11及び第三外部電極11,13は、二つの面1a,1cのみに配置されていてもよく、第二外部電極12及び第四外部電極12,14は、二つの面1a,1dのみに配置されていてもよい。
【0083】
第一外部電極11、第二外部電極12、第三外部電極13、及び第四外部電極14は、必ずしも、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3からなる三層構造を有していなくてもよい。たとえば、第一電極層E1と第二電極層E2との間に、導電性樹脂層が配置されていてもよい。すなわち、第二電極層E2が、導電性樹脂層を介して、第一電極層E1上に配置されていてもよい。導電性樹脂層は、第一電極層E1上に付与された導電性樹脂を硬化させることにより形成できる。導電性樹脂には、熱硬化性樹脂に金属粉末及び有機溶媒などを混合したものが用いられる。金属粉末としては、たとえば、Ag粉末などが用いられる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂などが用いられる。
【0084】
第一電極層E1上に配置されるめっき層は、必ずしも、第二電極層E2及び第三電極層E3からなる二層構造を有していなくてもよい。第一電極層E1上に配置されるめっき層は、一層でもよく、また、三層以上の積層構造を有していてもよい。たとえば、第一電極層E1上に配置されるめっき層は、Niめっき層、Niめっき層上に形成されたCuめっき層、及びCuめっき層上に形成されたSnめっき層からなる三層構造、又は、Cuめっき層、Cuめっき層上に形成されたNiめっき層、及びNiめっき層上に形成されたSnめっき層からなる三層構造であってもよい。
【0085】
素体1の第二方向D2での端部にそれぞれ配置されている外部電極の数は、「二つ」に限られない。素体1の第二方向D2での端部にそれぞれ配置されている外部電極の数は、「三つ」以上であってもよい。
【0086】
本実施形態及び変形例では、電子部品として積層コモンモードフィルタCFを例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサ及び積層コモンモードフィルタに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層コンデンサ、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。