特許第6794795号(P6794795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794795
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20201119BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20201119BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20201119BHJP
   G03B 15/02 20060101ALI20201119BHJP
   G03B 15/05 20060101ALI20201119BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20201119BHJP
   H04N 5/235 20060101ALI20201119BHJP
   H04N 5/238 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   H04N5/225 430
   G03B11/00
   G03B15/00 S
   G03B15/02 F
   G03B15/05
   G03B17/02
   H04N5/225 400
   H04N5/225 600
   H04N5/235 400
   H04N5/238
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-224812(P2016-224812)
(22)【出願日】2016年11月18日
(65)【公開番号】特開2018-82376(P2018-82376A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】箱石 和也
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−086266(JP,A)
【文献】 特開2014−157202(JP,A)
【文献】 特開2010−161455(JP,A)
【文献】 特開平11−239356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G03B 11/00
G03B 15/00
G03B 15/02
G03B 15/05
G03B 17/02
H04N 5/235
H04N 5/238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を投光する赤外線投光部と、
映像を撮像する撮像部と、
前記撮像部に入射する赤外線を減少させる赤外線カットフィルタ部と、
前記赤外線投光部による赤外線の投光を制御するとともに、前記赤外線カットフィルタ部の挿入を制御する制御部と、
前記赤外線投光部の状態を判定する際に用いる値を取得する赤外線投光状態判定値取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記赤外線投光状態判定値取得部において取得した値をもとに、前記赤外線投光部に赤外線を非投光にさせながら前記赤外線カットフィルタ部を非挿入にするか、前記赤外線投光部に赤外線を投光させながら前記赤外線カットフィルタ部を挿入するかを決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
ユーザによるユーザ設定情報を取得するユーザ設定情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザ設定情報取得部において取得したユーザ設定情報をもとに、前記赤外線投光状態判定値取得部において取得した値によらず、前記赤外線投光部に赤外線を投光させながら前記赤外線カットフィルタ部を非挿入にすることを決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記赤外線投光状態判定値取得部において取得される値は温度であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
赤外線投光状態判定値を取得するステップと、
ユーザによるユーザ設定情報を取得するステップと、
赤外線投光部が赤外線を投光しながら、撮像部が撮像する状態において、取得した赤外線投光状態判定値とユーザ設定情報をもとに、前記撮像部に入射する赤外線を減少させる赤外線カットフィルタ部を、前記赤外線投光部に赤外線を非投光にさせながら前記赤外線カットフィルタ部を非挿入にするか、前記赤外線投光部に赤外線を投光させながら前記赤外線カットフィルタ部を挿入するかを決定するステップと、
を備えることを特徴とする撮像方法。
【請求項5】
赤外線投光状態判定値を取得するステップと、
ユーザによるユーザ設定情報を取得するステップと、
赤外線投光部が赤外線を投光しながら、撮像部が撮像する状態において、取得した赤外線投光状態判定値とユーザ設定情報をもとに、前記撮像部に入射する赤外線を減少させる赤外線カットフィルタ部を、前記赤外線投光部に赤外線を非投光にさせながら前記赤外線カットフィルタ部を非挿入にするか、前記赤外線投光部に赤外線を投光させながら前記赤外線カットフィルタ部を挿入するかを決定するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像技術に関し、特に赤外線により撮像する撮像装置、撮像方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに内蔵された電池の電圧が低温の状態において低下することによって、カメラが撮影不能になる場合がある。また、カメラに内蔵された液晶表示装置が低温の状態において見えなくなる場合もある。そのため、低温時に機能を発揮できなくなる機構等の各部や電源の近傍に温度センサとヒータが配置され、設定温度よりも各部の温度が低い場合に、ヒータによる加熱がなされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−338025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低温の状態において、レンズおよび撮像素子の機能が発揮されにくくなる。特に、これらの部品は、ハウジングのレンズカバー近傍のような冷えやすい場所に配置されるので、ヒータの設置場所と離れることが多い。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、さまざまな状態における撮像を可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の撮像装置は、赤外線を投光する赤外線投光部と、映像を撮像する撮像部と、撮像部に入射する赤外線を減少させる赤外線カットフィルタ部と、赤外線投光部による赤外線の投光を制御するとともに、赤外線カットフィルタ部の挿入を制御する制御部と、赤外線投光部の状態を判定する際に用いる値を取得する赤外線投光状態判定値取得部と、を備える。制御部は、赤外線投光状態判定値取得部において取得した値をもとに、赤外線投光部に赤外線を非投光にさせながら赤外線カットフィルタ部を非挿入にするか、赤外線投光部に赤外線を投光させながら赤外線カットフィルタ部を挿入するかを決定する。
【0007】
本発明の別の態様は、撮像方法である。この方法は、赤外線投光状態判定値を取得するステップと、ユーザによるユーザ設定情報を取得するステップと、赤外線投光部が赤外線を投光しながら、撮像部が撮像する状態において、取得した赤外線投光状態判定値とユーザ設定情報をもとに、前記撮像部に入射する赤外線を減少させる赤外線カットフィルタ部を、前記赤外線投光部に赤外線を非投光にさせながら前記赤外線カットフィルタ部を非挿入にするか、前記赤外線投光部に赤外線を投光させながら前記赤外線カットフィルタ部を挿入するかを決定するステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、さまざまな状態における撮像を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係る撮像装置の構成を示す図である。
図2図1の制御部に記憶されるテーブルのデータ構造を示す図である。
図3図1の撮像装置による撮像手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、監視カメラ等に使用される撮像装置に関する。屋外用の監視カメラとして使用される撮像装置の動作保証温度は非常に広く、マイナス数十度においても動作を保証するものも存在する。このような寒冷地でも使用可能な撮像装置は、一般的に温度センサを内蔵しており、一定温度より下になるとヒータとなる熱源回路を動作させる。また、熱を拡散するためのファンを動作させる機構も撮像装置に設けられる。前述のごとく、撮像装置のうち、低温での動作が難しいとされる部品は、レンズおよび撮像素子であることが多い。これらの部品は、ハウジングのレンズカバー近傍のような冷えやすい場所に位置するので、一般的に、内蔵されたヒータの設置場所と離れる。そのためヒータおよびファンによる加熱は、これらの部品にとって効率的ではない。一方、これらの部品を暖めるために、ユーザから見えやすいハウジングのレンズカバー近傍にヒータを配置することは、撮像装置の外観を悪くするので、現実的ではない。
【0012】
撮像装置は、夜間のような暗い場合における撮像を可能にするために、赤外線による撮像を実行する機能を有する。赤外線による撮像を実行する場合、一般的に赤外線が投光される。赤外線を投光するための赤外線投光部は、一般的にレンズおよび撮像素子の近傍に配置されるとともに、投光時に発熱によって暖まる。そのため、赤外線投光部をヒータの代わりに使用することが可能である。しかしながら、赤外線を投光すると画質に悪影響を与える場合がある。例えば、豪雪地域の屋外監視の場合、赤外線を投光すると、雪による反射により撮像装置に入る赤外線が強くなりすぎる。この場合、映像が白飛び、もしくは立体感が著しく低減するように、画質が悪化する。つまり、投光した赤外線の発射が強い場合に、画質が悪化する傾向にある。
【0013】
このような状態においても画質の悪化を抑制するために、本実施例に係る画像装置は、ヒータとして赤外線を投光して赤外線による撮像を実行する場合に、赤外線カットフィルタ部を挿入する。つまり、通常、抜去すべき赤外線カットフィルタ部が、反射される赤外線の強度を低減するために挿入される。これによって、赤外線投光によって暖めながら、赤外線カットフィルタ部によって赤外線の影響が低減される。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る撮像装置100の構成を示す。撮像装置100は、撮像状態判定値取得部10、赤外線投光状態判定値取得部12、ユーザ設定情報取得部14、制御部16、撮像部20、赤外線投光部22、赤外線カットフィルタ部24を含む。ここでは、撮像装置100として屋外に設置される監視カメラを想定する。
【0015】
撮像部20は、前述のレンズおよび撮像素子を含むように構成される。このようなレンズおよび撮像素子は、一般的に低温での動作が難しい。撮像部20は、可視光によりカラーの映像を撮像可能であるとともに、赤外線により白黒の映像を撮像可能である。ここで、可視光により映像を撮像するための撮像モードは、可視光撮像モードと呼ばれ、赤外線により映像を撮像するための撮像モードは、赤外線撮像モードと呼ばれる。撮像部20における撮像モードの切替は、制御部16からの制御によってなされる。
【0016】
赤外線投光部22は、撮像部20の撮像方向に対して赤外線を投光する。赤外線投光部22は、撮像装置100のハウジングのレンズカバー近傍、すなわち撮像部20の近傍に配置される。赤外線投光部22における赤外線投光の状態は、投光状態と非投光状態の2状態を含む。赤外線投光部22における赤外線投光の状態の切替は、制御部16からの制御によってなされる。なお、赤外線投光部22は、発熱しやすい部品で構成され、投光の状態において発熱し、周囲を暖める。
【0017】
赤外線カットフィルタ部24は、撮像部20により撮像する赤外線、つまり撮像部20に入射される赤外線を減少させる。赤外線カットフィルタ部24の状態は、撮像部20の手前に挿入されて撮像部20に入射される赤外線を減少させる挿入状態と、撮像部20の手前から抜去され撮像部20に入射される赤外線に対して影響を与えない非挿入状態の2状態を含む。非挿入状態は、抜去状態とも呼ばれる。赤外線カットフィルタ部24における状態の切替は、制御部16からの制御によってなされる。
【0018】
撮像状態判定値取得部10は、撮像部20の撮像状態、つまり撮像部20の撮像モードを判定する際に用いる値を取得する。ここで、撮像状態判定値取得部10において取得される値の一例は明るさの度合いである。その場合、撮像状態判定値取得部10は、明るさセンサに相当する。撮像状態判定値取得部10は、撮像装置100の周辺の明るさを感知する。撮像状態判定値取得部10は、感知した明るさの度合いを制御部16に出力する。
【0019】
赤外線投光状態判定値取得部12は、赤外線投光部22の状態を制御部16が判定する際に用いる値を取得する。ここで、赤外線投光状態判定値取得部12において取得される値の一例は温度である。その場合、赤外線投光状態判定値取得部12は、温度センサに相当する。赤外線投光状態判定値取得部12は、撮像装置100自体あるいは撮像装置100の周辺の温度を感知する。赤外線投光状態判定値取得部12は、感知した温度を制御部16に出力する。
【0020】
ユーザ設定情報取得部14は、ユーザによって操作可能なインターフェイスを介して、赤外線投光部22によって赤外線が投光されると撮像部20による撮像画質に悪影響があるか否かを示す情報(以下、「ユーザ設定情報」という)をユーザから取得する。ユーザ設定情報として、撮像画質に悪影響がある場合の「悪影響あり」と、撮像画質に悪影響がない場合の「悪影響なし」のいずれかが設定される。例えば、赤外線投光部22によって赤外線が投光された状態において、撮像部20が撮像した映像をユーザが視認することによって、悪影響があるか否かが判定される。その判定結果が、ユーザ設定情報に反映される。ユーザ設定情報取得部14は、取得したユーザ設定情報を制御部16に出力する。
【0021】
制御部16は、撮像状態判定値取得部10から入力した明るさの度合い、赤外線投光状態判定値取得部12から入力した温度、ユーザ設定情報取得部14から入力したユーザ設定情報をもとに、撮像部20、赤外線投光部22、赤外線カットフィルタ部24を制御する。この制御を実行するために、制御部16は、図2に示すテーブルを使用する。図2は、制御部16に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。制御部16は、「入力」に記載の内容に応じて、「制御」に記載の制御を実行する。ここで、明るさの度合いに対するしきい値は、撮像部20の撮像モードを可視光撮像モードから赤外線撮像モードに切り替えるべき明るさに応じた固定値である。また、温度に対するしきい値は、赤外線投光部22を投光状態にして周囲を暖めるべき温度に応じた固定値である。
【0022】
明るさの度合いがしきい値以上であり、温度がしきい値以上である場合(ケース1とケース2)、制御部16は、撮像部20を可視光撮像モードにし、赤外線投光部22を非投光にし、赤外線カットフィルタ部24を挿入にする。これらの場合、ユーザ設定情報の設定内容は制御内容に影響を及ぼさない。明るさの度合いがしきい値以上であり、温度がしきい値より下である場合(ケース3とケース4)、制御部16は、撮像部20を可視光撮像モードにし、赤外線投光部22を投光にし、赤外線カットフィルタ部24を挿入にする。これらの場合でも、ユーザ設定情報の設定内容は制御内容に影響を及ぼさない。
【0023】
明るさの度合いがしきい値より下であり、温度がしきい値以上であり、ユーザ設定情報が悪影響なしである場合(ケース5)、制御部16は、撮像部20を赤外線撮像モードにし、赤外線投光部22を投光にし、赤外線カットフィルタ部24を非挿入にする。明るさの度合いがしきい値より下であり、温度がしきい値以上であり、ユーザ設定情報が悪影響ありである場合(ケース6)、制御部16は、撮像部20を赤外線撮像モードにし、赤外線投光部22を非投光にし、赤外線カットフィルタ部24を非挿入にする。
【0024】
明るさの度合いがしきい値より下であり、温度がしきい値より下であり、ユーザ設定情報が悪影響なしである場合(ケース7)、制御部16は、撮像部20を赤外線撮像モードにし、赤外線投光部22を投光にし、赤外線カットフィルタ部24を非挿入にする。明るさの度合いがしきい値より下であり、温度がしきい値より下であり、ユーザ設定情報が悪影響ありである場合(ケース8)、制御部16は、撮像部20を赤外線撮像モードにし、赤外線投光部22を投光にし、赤外線カットフィルタ部24を挿入にする。
【0025】
つまり、ケース8において、制御部16は、赤外線投光部22により赤外線を投光させるとともに、赤外線カットフィルタ部24を挿入する。また、ケース7あるいはケース8において、制御部16は、ユーザ設定情報取得部14において取得したユーザ設定情報をもとに、赤外線カットフィルタ部24を挿入するか否かを決定する。
【0026】
また、ケース6あるいはケース8において、制御部16は、温度をもとに、赤外線投光部22に赤外線を非投光にさせながら赤外線カットフィルタ部24を非挿入にするか、赤外線投光部22に赤外線を投光させながら赤外線カットフィルタ部24を挿入するかを決定する。これにケース5あるいはケース7を含めると、制御部16は、ユーザ設定情報取得部14において取得したユーザ設定情報が悪影響なしであれば、温度によらず、赤外線投光部22に赤外線を投光させながら赤外線カットフィルタ部24を非挿入にすることを決定する。さらに、制御部16は、明るさの程度により、撮像部20を可視光に撮像させる場合、赤外線カットフィルタ部24を挿入する。
【0027】
以下では、撮像装置100における具体的な処理の一例を示す。
(1)撮像装置100をユーザが設置する。
豪雪地域の屋外監視を実行する場合、ユーザは、ユーザ設定情報取得部14に対して、「ユーザ設定情報」を「悪影響あり」に設定する。
(2)ユーザは、図示しない撮像開始ボタンを操作し、撮像装置100による撮像を開始する。撮像が開始されてから、制御部16は定期的に前述の処理を実行する。開始時点では、明るさの度合いはしきい値以上、温度はしきい値以上となっているものとする(ケース2)。この場合、制御部16は、撮像部20を可視光撮像モードにし、赤外線投光部22を非投光にし、赤外線カットフィルタ部24を挿入にするように制御する。
【0028】
(3)時間が経過することによって昼間から夜になると、明るさの度合いがしきい値より下になる(ケース6)。この場合、制御部16は、撮像部20を赤外線撮像モードにし、赤外線投光部22を非投光のままにし、赤外線カットフィルタ部24を非挿入にするように制御する。
(4)さらに時間が経過することによって夜から深夜になると、温度がしきい値より下になる(ケース8)。この場合、制御部16は、赤外線投光部22を赤外線撮像モードのままにし、赤外線投光部22を投光にし、赤外線カットフィルタ部24を挿入にするように制御する。
【0029】
なお、赤外線カットフィルタ部24の挿入により、撮像部20に入射される赤外線の強さが必要以上に減少した場合は、長時間露光や、DSP(Digital Signal Processor)のデジタルゲインなど、一般的には使用を避けがちな処理にて補完がなされてもよい。
【0030】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0031】
以上の構成による撮像装置100の動作を説明する。図3は、撮像装置100による撮像手順を示すフローチャートである。明るさがしきい値以上である場合(S10のY)、制御部16は、撮像部20を可視光撮像モードに設定する(S12)。温度がしきい値以上である場合(S14のY)、制御部16は、赤外線投光部22の非投光を決定する(S16)。温度がしきい値より下である場合(S14のN)、制御部16は、赤外線投光部22の投光を決定する(S18)。制御部16は、赤外線カットフィルタ部24の挿入を決定する(S20)。
【0032】
明るさがしきい値より下である場合(S10のN)、制御部16は、撮像部20を赤外線撮像モードに設定する(S22)。温度がしきい値以上であり(S24のY)、悪影響なしの設定がなされている場合(S26のY)、制御部16は、赤外線投光部22の投光を決定する(S28)。悪影響なしの設定がなされていない場合(S26のN)、制御部16は、赤外線投光部22の非投光を決定する(S30)。制御部16は、赤外線カットフィルタ部24の非挿入を決定する(S36)。
【0033】
温度がしきい値より下である場合(S24のN)、制御部16は、赤外線投光部22の投光を決定する(S32)。悪影響なしの設定がなされている場合(S34のY)、制御部16は、赤外線カットフィルタ部24の非挿入を決定する(S36)。悪影響なしの設定がなされていない場合(S34のN)、制御部16は、赤外線カットフィルタ部24の挿入を決定する(S38)。
【0034】
本実施例によれば、赤外線投光部により赤外線を投光させながら、赤外線カットフィルタ部を挿入するので、冷えた状態において赤外線撮像を実行する場合に、赤外線の反射が強くても画質の悪化を抑制できる。また、赤外線の反射が強くても画質の悪化が抑制されるので、さまざまな状態での撮像においても画質の悪化を抑制できる。また、ユーザ設定情報をもとに赤外線カットフィルタ部を挿入するか否かを決定するので、赤外線の反射が強くて画質が悪化しているか否かを設定できる。
【0035】
また、明るさがしきい値以下であり、温度がしきい値以上の場合、ユーザ設定情報によっては赤外線投光部に赤外線を非投光にさせながら赤外線カットフィルタ部を非挿入にするので、消費電力を低減できる。また、温度がしきい値より下であれば、赤外線投光部に赤外線を投光させ、ユーザ設定の情報に基づき赤外線カットフィルタ部を挿入するか否かを決定するので、赤外線の反射の影響を低減しつつ、撮像部を暖めることができる。また、赤外線の反射の影響が小さければ、ユーザ設定情報をもとに、温度によらず、赤外線投光部に赤外線を投光させながら赤外線カットフィルタ部を非挿入にするので、赤外線撮像を実行できる。また、可視光撮像を実行する場合、赤外線カットフィルタ部を挿入にするので、赤外線の影響を低減できる。
【0036】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0037】
本実施例において、赤外線投光状態判定値取得部12は、赤外線投光部22の状態を制御部16が判定する際に用いる値として、温度を取得している。しかしながらこれに限らず例えば、赤外線投光状態判定値取得部12は、温度以外の値を取得してもよい。その一例は撮像装置100がバッテリによって駆動される場合のバッテリ残量である。制御部16は、バッテリ残量がしきい値以上である場合、温度がしきい値より下である場合の処理を決定し、バッテリ残量がしきい値より下である場合、温度がしきい値以上である場合の処理を決定する。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0038】
本実施例において、ユーザ設定情報取得部14は、ユーザ設定情報として、悪影響ありか悪影響なしかの情報を取得する。しかしながらこれに限らず例えば、ユーザ設定情報取得部14が省略されてもよい。その場合、制御部16は、悪影響ありの場合の処理を決定する。本変形例によれば、構成を簡易にできる。
【0039】
本実施例において、撮像部20は、可視光によりカラーの映像を撮像可能であるとともに、赤外線により白黒の映像を撮像可能である。しかしながらこれに限らず例えば、撮像部20は、赤外線とは別の手段によって撮像を実行してもよい。その場合、赤外線カットフィルタ部24に変わり撮像に用いる光に対応した波長の光学フィルタ部を使用する。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0040】
10 撮像状態判定値取得部、 12 赤外線投光状態判定値取得部、 14 ユーザ設定情報取得部、 16 制御部、 20 撮像部、 22 赤外線投光部、 24 赤外線カットフィルタ部、 100 撮像装置。
図1
図2
図3