特許第6794801号(P6794801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794801
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】農用作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20201119BHJP
   A01B 63/10 20060101ALI20201119BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20201119BHJP
【FI】
   A01B69/00 303F
   A01B69/00 303J
   A01B63/10 A
   G05D1/02 N
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-231329(P2016-231329)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-85960(P2018-85960A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤家 久定
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘喜
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−000013(JP,A)
【文献】 特開平06−141614(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0208416(US,A1)
【文献】 特開2005−215742(JP,A)
【文献】 実開平05−070205(JP,U)
【文献】 特開平06−149371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場側登り口位置S1から傾斜面を経て農道への出口位置Peへ向かう登坂経路Ltに沿って機体を自律走行する制御装置Cを備えた農用作業機において、登坂途中における機体の左右傾斜角γ1を検出する左右傾斜角度検出手段89を設け、前記制御装置Cは前記機体の左右傾斜角γ1が予め設定した安全限界左右傾斜角γ0を越えると、前記機体を停止制御し、
停止制御後、ステアリング操作して低速後退走行制御し、前記圃場へ復帰すると前記圃場に復帰する点を登り口復帰点Spとし、前記登り口復帰点Spから前記農道への出口位置Peへ向かう登坂経路Ltを新たに設定し、前記新たな登坂経路Ltに沿う前進走行及び傾斜面途中からの後退走行を繰り返す構成とした農用作業機。
【請求項2】
前記機体の前後傾斜角δを検出する前後傾斜角度検出手段89を設け、前記制御装置Cは、前記前後傾斜角δが予め設定した安全前後傾斜角δ0未満で前進走行制御を許容し、前記前後傾斜角δがほぼ水平状態を検知すると前記機体の登坂終了を判定した後、現在位置と前記農道出口位置Peとが比較され一致すると前記機体を停止し、相違するときは現在位置から前記農道出口位置Peまでの距離η分走行して農道出口位置Peに到達させる構成とした請求項1に記載の農用作業機。
【請求項3】
前記圃場は、前記出口位置Peと最短距離で結ぶ線分の圃場側交点を理想登り口位置Snとした場合、その理想登り口位置Snと前記出口位置Peを結ぶ線分である理想登坂経路Lsに沿って登坂走行したとき、前記機体が左右傾斜なく安全に登坂走行できるような、畔の傾斜面を有し、
前記傾斜面で停止し、後退するときのステアリング操作は、登り口に復帰した位置が、予め演算設定した前記理想登り口位置Snに近づくよう操作される構成とした請求項1または2に記載の農用作業機。
【請求項4】
前記制御装置Cは、前記機体の前後傾斜角δが前記安全前後傾斜角δ0を越えると前記機体の前進走行又は後退走行制御を中断し、機体停止するよう構成した請求項2に記載の農用作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、トラクタ、田植機、防除作業機等圃場において走行しながら作業する農用作業機に関し、該農用作業機を安全に斜面走行させる場合の走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一段低い圃場から傾斜面を上がって農道に乗り上げ、この農道において機体を自動的に旋回させる際等に、農道への乗り上げ時点を確実に検出する技術が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−13号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記特許文献1においては、農道への乗り上げ時点を検出するもので、傾斜面を上がる途中の走行性や安全性については配慮がない。特に、自動走行する農用作業機では操縦者の意図が伝わらず、転倒等の恐れがある。
【0005】
本発明は、傾斜面を登坂する場合の安全走行を行うことができる農用作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記に鑑み次の解決手段を講じるものである。
【0007】
請求項1の本発明は、
圃場側登り口位置S1から傾斜面を経て農道への出口位置Peへ向かう登坂経路Ltに沿って機体を自律走行する制御装置Cを備えた農用作業機において、登坂途中における機体の左右傾斜角γ1を検出する左右傾斜角度検出手段89を設け、前記制御装置Cは前記機体の左右傾斜角γ1が予め設定した安全限界左右傾斜角γ0を越えると、前記機体を停止制御し、
停止制御後、ステアリング操作して低速後退走行制御し、前記圃場へ復帰すると前記圃場に復帰する点を登り口復帰点Spとし、前記登り口復帰点Spから前記農道への出口位置Peへ向かう登坂経路Ltを新たに設定し、前記新たな登坂経路Ltに沿う前進走行及び傾斜面途中からの後退走行を繰り返す構成とした農用作業機である。
請求項2の本発明は、
前記機体の前後傾斜角δを検出する前後傾斜角度検出手段89を設け、前記制御装置Cは、前記前後傾斜角δが予め設定した安全前後傾斜角δ0未満で前進走行制御を許容し、前記前後傾斜角δがほぼ水平状態を検知すると前記機体の登坂終了を判定した後、現在位置と前記農道出口位置Peとが比較され一致すると前記機体を停止し、相違するときは現在位置から前記農道出口位置Peまでの距離η分走行して農道出口位置Peに到達させる構成とした、請求項1に記載の本発明の農用作業機である。
請求項3の本発明は、
前記圃場は、前記出口位置Peと最短距離で結ぶ線分の圃場側交点を理想登り口位置Snとした場合、その理想登り口位置Snと前記出口位置Peを結ぶ線分である理想登坂経路Lsに沿って登坂走行したとき、前記機体が左右傾斜なく安全に登坂走行できるような、畔の傾斜面を有し、
前記傾斜面で停止し、後退するときのステアリング操作は、登り口に復帰した位置が、予め演算設定した前記理想登り口位置Snに近づくよう操作される構成とした請求項1または2に記載の本発明の農用作業機である。
請求項4の本発明は、
前記制御装置Cは、前記機体の前後傾斜角δが前記安全前後傾斜角δ0を越えると前記機体の前進走行又は後退走行制御を中断し、機体停止するよう構成した請求項2記載の本発明の農用作業機である。
本発明に関連する第1の発明は、圃場側登り口位置S1から傾斜面を経て農道への出口位置Peへ向かう登坂経路Ltに沿って機体を自律走行する制御装置Cを備えた農用作業機において、登坂途中における機体の左右傾斜角γ1を検出する左右傾斜角度検出手段89を設け、前記制御装置Cは前記機体の左右傾斜角γ1が予め設定した安全限界左右傾斜角γ0を越えると、前記機体を停止制御する構成とした農用作業機とする。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、本発明に関連する第1の発明において、前記農道への出口位置Peに対する理想登り口位置Snを演算設定し、前記制御装置Cは、前記機体停止制御の後、前記理想登り口位置Sn方向に後退走行制御し、圃場へ復帰する構成とした。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、本発明に関連する第2の発明において、前記圃場に復帰する点を登り口復帰点Spとし、前記登り口復帰点Spと前記理想登り口位置Snとのずれ量εを演算し、前記制御装置Cは、このずれ量εが予め設定した基準ずれ量ε0以下であると、前記農道への出口位置Peに向かう理想登坂経路Lsを設定し、前記理想登坂経路Lsに沿って機体を前進走行制御する構成とした。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、本発明に関連する第3の発明において、前記ずれ量εが基準ずれ量ε0以上であるときは、前記制御装置Cは、前記登り口復帰点Spから前記農道への出口位置Peへ向かう登坂経路Ltを新たに設定し、前記新たな登坂経路Ltに沿う前進走行及び傾斜面途中からの後退走行を繰り返して前記機体が前記理想登り口位置Snに近づくよう自律走行制御するよう構成した。
【0011】
本発明に関連する第5の発明は、本発明に関連する第1〜4の発明のいずれか一の発明において、前記機体の前後傾斜角δを検出する前後傾斜角度検出手段89を設け、前記制御装置Cは、前記前後傾斜角δが予め設定した安全前後傾斜角δ0未満で前進走行制御を許容し、前記前後傾斜角δがほぼ水平状態を検知すると前記機体の登坂終了を判定する構成とした。
【0012】
本発明に関連する第6の発明は、本発明に関連する第5の発明において、前記制御装置Cは、前記機体の前後傾斜角δが前記安全前後傾斜角δ0を越えると前記機体の前進走行又は後退走行制御を中断し、機体停止するよう構成した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の本発明によると、農道への走行が容易に行え、また登坂途中における機体の左右傾斜角γ1を監視して、予め設定した安全限界左右傾斜角γ0を越えると、機体を停止制御するので、安全に機体を登坂させることができる。
また、停止後でも新たな登坂経路によって登坂可能となる。
請求項2の本発明によると、登坂完了を確実に行え、登坂終了時に農道出口位置Peから離れていても目標の農道出口位置Peに到達できる。
請求項3の本発明によると、除々に登り口復帰点位置Spを理想登り口位置Snに近づけることができ、安全な登坂走行を実施できる。
請求項4の本発明によると、前後傾斜の危険性も防止できる。
本発明に関連する第1の発明によると、圃場側登り口位置S1から傾斜面を経て農道への出口位置Peへ向かう登坂経路Ltに沿って機体を自律走行することができ、農道への走行が容易に行え、また登坂途中における機体の左右傾斜角γ1を監視して、予め設定した安全限界左右傾斜角γ0を越えると、機体を停止制御するので、安全に機体を登坂させることができる。
【0014】
本発明に関連する第2〜4の発明は、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、
登坂途中で安全停止した機体は、予め設定した理想登り口位置Snに向けて後退走行でき、登り口に復帰すると、登り口復帰点Spと理想登り口位置Snとのずれ量εを演算し、このずれ量εが予め設定した基準ずれ量ε0以下であると、前記農道への出口位置Peに向かう理想登坂経路Lsを設定し、該理想登坂経路Lsに沿って機体を前進走行制御するので、機体を安全確実に走行できる。なお、前記ずれ量εが基準ずれ量ε0以上であるときは、登り口復帰点Spから農道への出口位置Peへの登坂経路Ltに沿っての機体自律走行を繰り返し行えて徐々に登り口復帰点Spを理想登り口位置Snに近づけることができる。
【0015】
本発明に関連する第5,6の発明は、本発明に関連する第1〜4の発明の効果に加え、機体の前後傾斜角δが予め設定した安全前後傾斜角δ0未満で前進走行制御を許容し、この傾斜角δが安全前後傾斜角δ0を越えると走行停止して安全を確保する。また、この前後傾斜角δがほぼ水平状態を検知すると機体の登坂終了を判定するから確実な登坂終了を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例のトラクタの側面図である。
図2】同上実施例のトラクタの動力伝動機構図である。
図3】同上実施例のトラクタの制御ブロック図である。
図4】(A)(B)同上実施例における情報通信制御概要図である。
図5】(A)〜(C)同上実施例のトラクタ登坂状況を示す概要図である。
図6】同上実施例におけるフローチャートである。
図7】同上実施例におけるフローチャートである。
図8】(A)〜(D)同上実施例における自律走行トラクタ及び手動走行トラクタの作業中の位置関係を示す概要図である。
図9】同上実施例におけるフローチャートである。
図10】同上実施例におけるフローチャートである。
図11】(A)(B)同上実施例におけるトラクタ設置カメラによる撮影エリアを示す概要図である。
図12】同上実施例におけるフローチャートである。
図13】同上実施例におけるフローチャートである。
図14】同上実施例におけるフローチャートである。
図15】(A)(B)同上実施例におけるトラクタ設置カメラと距離センサによる障害物確認状況を示す概要図である。
図16】(A)(B)同上実施例におけるトラクタ設置カメラと距離センサによる障害物確認状況を示す他の概要図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例を図面と共に説明する。本実施例の農作業管理システムは、農業機械の一例としてのトラクタ1に採用される。トラクタ1は、主変速8段、副変速3段、併せて24段の変速が可能なトラクタであり、図1にトラクタ1の側面図、図2に動力伝動機構図を示す。
【0018】
このトラクタ1は操舵用の前輪2,2と推進車輪としての後輪3,3を有し、ボンネット4内に搭載したエンジン5の回転動力をミッションケース6内の変速装置によって適宜減速し、その回転動力を後輪3,3に伝達するように構成している。エンジン5の回転動力を後輪3,3のみならず、前輪2,2にも伝えて四輪全部を駆動する構成としても良い。
【0019】
また、ミッションケース6内には機体の進行方向を切り換える前後進切換装置9と8段の変速が可能な主変速装置10,11と3段の変速が可能な副変速装置12が設けられる。
【0020】
図1において、ミッションケース6の上部には油圧シリンダケース14が設けられ、この油圧シリンダケース14の左右両側にはリフトアーム15,15が回動自在に枢着されている。リフトアーム15,15と作業機連結用3点リンクのロワーリンク16,16との間にはリフトロッド17,17が介装連結され、3点リンクを構成するトップリンク18と、該ロワーリンク16,16の後部には作業機であるロータリ耕耘装置19が連結されている。
【0021】
油圧操作レバー20を操作して図外コントロールバルブを作動し前記油圧シリンダケース14内に収容されている油圧シリンダ14aに作動油を供給するとリフトアーム15,15が上昇側に回動され、リフトロッド17、ロワーリンク16等を介して前記ロータリ耕耘装置19が上昇する。反対にこの油圧操作レバー20を下降側に操作すると油圧シリンダ14a内の作動油は油圧タンクを兼ねるミッションケース6内に排出され、リフトアーム15,15を下降させる。
【0022】
なお、前記ロータリ耕耘装置19は耕耘部21と耕耘部21上方を覆う主カバー22と主カバー22の後部に枢着されたリヤカバー23等を有する。
【0023】
また、ステアリングハンドル24を支えるハンドルポスト25の左側上部には前記前後進切換装置9を操作する前後進切換レバー27が設けられ、この前後進切換レバー27を中立位置から前側に倒すと機体は前進し、反対に後側に引くと機体は後進する。
【0024】
次に図2に示す動力線図に基づいて動力伝達系について説明する。
【0025】
エンジン5の後部には主クラッチ30が設けられ、この主クラッチ30の伝動後位に前後進切換装置9が設けられている。前後進切換装置9は多板摩擦式の油圧クラッチ9a,9bからなり、常態では中立位置に保たれ、前後進切換レバー27を前後方向に操作することにより、前進側油圧クラッチ9aが接続され、あるいは後進側油圧クラッチ9bが接続される。
【0026】
前進側油圧クラッチ9aが接続されるときには入力ギヤ31からカウンタ軸32のギヤ33とリバーサ軸34のギヤ35を経由して、前進側油圧クラッチ9aに動力が伝達され、リバーサ軸34が正回転する。
【0027】
また後進側油圧クラッチ9bが接続されるときには、入力ギヤ31からカウンタ軸32のギヤ33とカウンタ軸32のギヤ36とカウンタ軸37のギヤ38を経由して、リバーサ軸34の後進用ギヤ39を経由して、後進側油圧クラッチ9bに動力が伝達され、リバーサ軸34が逆回転する。
【0028】
この前後進切換装置9の後位には4段変速可能なシンクロメッシュ式の第1主変速装置10が設けられ、後述車両制御装置81からの指令を受けてアクチュエータ40,40が伸縮するとシフター41,41が前後に移動させられて変速を行う。図2において前側のシフター41が前後に移動すると4速と3速が得られ、後側のシフター41が前後に動くと2速と1速が得られる。なお、この場合において、主変速が切り換えられるときには、最初に油圧式の前後進切換装置9の油圧クラッチが中立に戻され、変速後に再びこの前後進切換装置9の油圧クラッチが接続されるように構成している。
【0029】
そして、この第1主変速装置10の後部には高低2段に切換可能な油圧式の第2主変速装置11が設けられている。前側の油圧クラッチ11aが高速用のクラッチであり、後側の油圧クラッチ11bが低速用の油圧クラッチである。従って、この実施例における主変速装置10,11では4×2の8段の変速が可能である。
【0030】
更に、この第2主変速装置11の後部には3段の変速が可能で減速比が主変速装置10,11よりも比較的大きな副変速装置12が設けられている。図2に示すように、副変速レバー42を操作して前側のシフター43を前後に移動させると高速(H)と中速(M)が得られ、後側のシフター43を後側に移動させると低速(L)が得られる。
【0031】
副変速装置12を操作するときには主クラッチ30の入切操作を要す。即ち、図1の主クラッチペダル44を踏み込んで、副変速レバー42を前後方向あるいは左右方向に操作し、変速操作後には主クラッチペダル44を離してエンジン回転動力を変速装置側に伝える。
【0032】
なお、主変速装置10,11については副変速レバー42のノブに設けた増速スイッチ45と減速スイッチ46を押し込んで変速を行う(図2参照)。増速スイッチ45または減速スイッチ46を押すと1段ずつ変速が行われ、速度が遅い1速から速度が速い8速までの範囲で主変速装置10,11の変速がなされる。そして、この副変速装置12によって減速された動力をドライブピニオン軸47に伝え、後輪デフ装置48、最終減速装置49を順次介して後輪3,3を駆動する。
【0033】
後輪デフ装置48の手前で後輪駆動系より分岐した動力は前輪駆動系として利用され、前輪駆動系の中には前輪2,2を後輪3,3と等速で駆動させたり、前輪2,2を後輪3,3よりも増速させて回転させたりする前輪増速装置50が設けられている。この前輪増速装置50の前側の油圧クラッチ50aが接続されると前輪増速状態となり、後側の油圧クラッチ50bが接続されると等速四輪駆動状態になり、両方の油圧クラッチ50a,50bがOFFになると後輪3,3のみ駆動される二輪駆動の状態になる。前輪駆動軸には前輪デフ装置51と前輪最終減速装置52が設けられている。
【0034】
なお、図2の動力伝達線図において、副変速装置12が高速(H)速になっているときに限り、副変速レバー42をそのまま横方向に移動操作すると、路上走行速に適した路上速位置(HH)に切り換わる。この場合、主変速は1速から8速までのうち、高速側の5速、6速、7速、8速が選択できる。道路を走行する場合は高速走行を前提としているので高速側のみを優先し、低速側を自動的にカットさせ変速操作が行われても1〜4速には入らないようにして操作性を向上させている。
【0035】
また、この実施例では選択可能な高速側の変速パターンを5速、6速、7速、8速の4段としたが、6速、7速、8速の3段としたり、あるいは7速、8速の2段だけとしたりして変速段数を減らしても良い。
【0036】
PTO出力軸53の駆動は次のようにして行われる。
【0037】
前記入力ギヤ31からカウンタ軸32のギヤ33を介してPTOクラッチ54の駆動用ギヤ55に動力が伝達され、PTOクラッチ54に動力伝達される。PTOクラッチ54が入り状態になると、2つの油圧シリンダ56と57によりスライド制御される4段変速ギヤ機構で選択されている変速段でPTO駆動軸58が駆動される。なお、4段変速ギヤ機構は、3段目のギヤ59aと1段目のギヤ59bと4段目のギヤ59cと2段目のギヤ59dからなる。
【0038】
例えば、油圧シリンダ60によりスライドされる従動軸61上のギヤ62aがPTO変速軸63のギヤ59aと噛合すると、PTO変速軸63から従動軸64の出力ギヤ65を経由してPTO出力軸66の出力ギヤ67に動力伝達されてPTO駆動軸58が駆動する(PTO2速)。同様に油圧シリンダ60によりギヤ62bがギヤ59bに噛合するとPTO4速になる。油圧シリンダ57によりギヤ62cがギヤ59cに噛合するとPTO1速になる。油圧シリンダ57によりギヤ62dがギヤ59dに噛合するとPTO3速になる。
【0039】
また、前記ギヤ62aがギヤ59aに噛んでいない状態であって、逆転軸68上の逆転ギヤ69をスライドさせて前記ギヤ59aに噛み合わせるとともにギヤ62aにも噛んでいる状態になると、PTO駆動軸58は逆転駆動する。逆転の場合はこの1速のみである。
【0040】
トラクタ1は、自律走行トラクタに構成される。すなわち、各種作業機を装着したトラクタ1は、圃場において、その位置をGPS測位情報によって確認しながら、予め設定された自律走行経路に沿って走行制御されるものである。
【0041】
前記の自律走行トラクタ1で使用する情報通信制御他各種制御の使用態様を図3図4に示す。
【0042】
トラクタ1の制御装置Cは、GPSアンテナを内蔵した情報通信制御装置80、操舵アクチュエータや走行駆動装置へ制御出力する車両制御装置81、連結する作業機(図例では耕耘作業機)の作業機制御装置82及びエンジン制御装置83を備え、互いにCAN通信(Controller Area Network)で接続している。84は外部メモリである。
【0043】
前記車両制御装置81について、主にトラクタ1の操舵制御系、変速制御等を備え、入力情報としてはハンドル切れ角センサ85、走行変速センサ86入力があり、出力情報としては、操舵アクチュエータとしてのステアリングモータ87出力、前記変速アクチュエータ41,41作動出力する。
【0044】
そして、情報通信制御装置80には、遠隔操作装置としての携帯端末97を備えて、トラクタ1の外部からも各種設定や走行制御可能に構成している。
【0045】
前記情報通信制御装置80は、トラクタ1の左右傾斜や前後傾斜を検出するジャイロセンサ89、方位センサ90及びトラクタ1の機体前方に照射して障害物Gなどを検知する距離センサとしての超音波センサ91等の検出信号、キャビンフレームを利用して配置される前後左右4箇所の撮像カメラ92f,92r,92L及び92Rからの撮像信号等を入力しうる。また、短距離無線通信手段によって通信可能な携帯端末93を備え、GPS94から測位情報を入力できる構成としている。なお、超音波センサ等からなる距離センサ91は機体前方の圃場端や障害物Gの存否と距離を検出でき、前後左右の撮像カメラ92f,92r,92L,92Rは障害物Gの存否を確認することができる。また、情報通信制御装置80は、自律走行の開始を司る稼動スイッチ95、自律走行を停止させる非常停止スイッチ96の各操作信号を入力する構成とし、さらに、ブザーや警告灯等の警報機97作動や各種効果音等の報知機98作動の各出力を行う構成としている。
【0046】
なお、前記携帯端末93は、基地局99と無線通信可能に構成され、該基地局99はサーバ管理者のサーバ100と通信可能とされ、さらに該サーバ100はトラクタのユーザ、トラクタの製造メーカや販売店等に配置の端末101、101…と通信可能に構成されている。
【0047】
携帯端末93は、基地局99のデータを通信可能に設けられ、例えば、圃場の地図情報、圃場情報、作業計画等の圃場毎データが表示される構成である。
【0048】
また、図4に示すように、トラクタのユーザ、トラクタの製造メーカや販売店等に配置の端末101、101…から基地局99には、圃場F毎に各種情報が出力される。例えば、圃場F,F…における圃場外側情報として指定された四隅の経度・緯度情報、自律走行経路…等である。
【0049】
なお、以下に携帯端末93の機能について説明するが、情報通信制御装置80からの情報であるか、前記基地局99からの通信情報であるかは問わず、適宜に入力できる構成である。
【0050】
前記自律走行トラクタ1の情報通信制御装置80は、GPS受信機からの測位信号によって経度・緯度を演算し、現在位置を取得する。この現在位置情報とあらかじめ設定した所定の圃場経路情報との比較に基づき両者の位置ずれ量を演算し、かつ作業進行方向を方位センサ90からの検出入力によって確認し、ずれ量を解消すべく進行方向を修正しながら作業(例えば耕耘作業)を行う。なお、方向修正に当たっては、操舵アクチュエータとしてのステアリングモータ87の駆動を介してステアリングハンドル軸を回転させることによって行う。また、畦際近くに接近すると、超音波センサ91によってこれを検知し、トラクタ1を旋回動作に移行させる。旋回後は、平行状に設定された走行経路に沿い作業を継続する(図6、ステップ101〜ステップ107参照)。
【0051】
図5に示すように、所定圃場Fの作業が終了すると、農道Rへ出る必要がある。この際、圃場Fと農道Rとの間は低い畦越えで足りる場合や、農道Rが高く比較的長い傾斜面を登坂するなど種々がある。後者の場合について、図6のフローチャートに基づいて、トラクタ1の登坂制御について説明する。圃場F内における自律走行トラクタ1による作業が終了すると(ステップ101〜ステップ107)、トラクタ1を一時停止し、傾斜面を登り切った地点であって農道Rへの出口位置Peを呼び出す(ステップ108)。そして、トラクタ1の現在位置である圃場における現在登り口S1から上記農道出口位置Peに向かう登坂経路Ltに沿って前進できるよう、ステアリングモータ87を制御し(ステップ110)、トラクタ1を登坂前進させる(ステップ111)。
【0052】
なお、ステップ110の前に、前記農道出口位置Peに対する理想登り口位置Snを演算しておく(ステップ109)。ここで、理想登り口位置Snは、農道出口位置Peまでトラクタ1の機体が左右傾斜なく安全に登坂走行できる始端点である。演算方法は種々であるが、単純には農道出口位置Peと最短距離で結ぶ線分の圃場側交点とする方法がある。なお、この最短距離による経路を理想登坂経路Lsとする。
【0053】
登坂するトラクタ1の前後傾斜角と左右傾斜角とは、ジャイロセンサ89で検出されている。このうち、トラクタ機体の前後傾斜角δ1が予め設定した安全限界前後傾斜角δ0を越えるか(ステップ112)、トラクタ機体の左右傾斜角γ1が予め設定した安全限界左右傾斜角γ0を越えると(ステップ113)、警報出力し警報機97を作動する(ステップ114)。警報機97がブザーの場合は吹鳴し、警告灯の場合は点灯する。そしてトラクタ1機体は直ちに停止制御される(ステップ115)。
【0054】
次に、ステアリングモータ87により所定にステアリング操作し、変速位置を低速に切替え(ステップ116)、トラクタ機体を後退させる(ステップ117)。このときのステアリングモータ87によるステアリング操作は、後退によって登り口に戻るが、登り口に復帰した位置が前記理想登り口位置Snに近づくよう操作するものである。また、変速位置を低速側に切替えることによって、後退時のトラクタ1機体の挙動を防止しようとするものである。ステップ117による後退でトラクタ1機体は、圃場側の登り口に復帰する。そして、この登り口復帰点Spと理想登り口位置Snとのずれ量εを演算する(ステップ120)。
【0055】
前記ずれ量εが予め設定した基準ずれ量ε0以下であるとき、すなわち前記理想登り口位置Snまたはその近傍に至ると(ステップ121)、前記農道出口位置Peに向かう前記理想登坂経路Lsを設定し、該理想登坂経路Lsに沿って、即ち前記農道出口位置Peに向けてステアリング操作し、前進走行させる(ステップ122,123)。その登坂途中では機体前後傾斜δを監視し、前記安全限界前後傾斜角δ0を越えなければ(ステップ124)、そのまま登坂を続け、機体前後傾斜角δが略0°の水平状態を検知すると、即ち、トラクタ1は登坂終了し農道高さまで至ったものと判定される(ステップ125)。なお、ステップ124で安全限界前後傾斜角δ0を越えると、直ちに警報出力の後、トラクタ機体停止し、自律走行中断となる。
【0056】
ステップ125で農道高さまで至った場合、現在位置と前記農道出口位置Peとが比較され一致すると(ステップ126)、目的地到達にてトラクタ機体は停止される(ステップ127)。なお、ステップ126で相違するときは、即ち登坂終了したにも関わらず、距離ηを残し目標とする農道出口位置Peに到達していないときは、ステップ122に戻り、農道出口位置Peにステアリング操作されその後の走行によって距離ηを走行することで目標の農道出口位置Peに到達できる(ステップ126,127)(図5(B))。この場合は、傾斜面を形成する畦畔の上面に図5に示すような、トラクタ1が走行できる第2の農道Raを有する必要がある。
【0057】
前記ステップ121で、ずれ量εが基準ずれ量ε0以上である場合は、ステップ110に戻って、このステップ110からステップ120を繰り返すことにより、除々に登り口復帰点位置Spを理想登り口位置Snに近づけることができ、安全な登坂走行を実施できる(図5(A))。
【0058】
なお、ステップ121で、ずれ量εが基準ずれ量ε0以上であって、圃場内畦畔際をトラクタ走行できる場合は、このずれ量εを一挙に解消すべくトラクタ1の畦畔際走行によって前記理想登り口位置Snに接近させる方法もある(図5(C))。
【0059】
次に、前記登坂走行制御のうち、トラクタ停止後の再稼動等における制御について、図7のフローチャートに基づき説明する。前記車両制御装置81には、携帯端末88に設ける非常停止スイッチ95のON・OFF信号、再稼動スイッチ96のON信号を入力でき、走行制御を行う。
【0060】
自律走行モードで走行しながら圃場退去時登坂走行制御を行うが(ステップ201〜203)、ジャイロセンサ89によって機体前後傾斜や左右傾斜が安全域を逸脱すると、警報出力し、トラクタ1を停止させる(ステップ204〜206)。
【0061】
作業員の点検や対策の実行を経て、トラクタ1は前記再稼動スイッチ96操作によって再稼動されるが、前記非常停止スイッチ95がOFFで非常停止を解除する条件下で、トラクタは再稼動して走行可能である(ステップ207,208)。なお、実施例では、ステップ208の再稼動スイッチ96がON操作であると、ステアリング操作及び変速操作を行い、音声による報知機98出力がなされ、かつ現地点登録が実行される(ステップ209〜211)。これらの実行処理の後、トラクタ1は再稼動する(ステップ212)。以下、現在位置が目標の農道出口位置Peに達するか否か判断され、達しておればトラクタは停止する。
【0062】
このように、構成すると、再稼動する際には、報知するので、近傍にいる作業員へ事前報知でき、安全である。
【0063】
前記の実施例においては、圃場から農道へ退出する際の登坂走行を例に説明したが、トラック荷台への農機積み降ろし等、傾斜面の走行において応用できる。
【0064】
また、自律走行するトラクタを例に説明したが、他の移動農機でもよく、また、自律走行以外にオペレータによる走行においても応用できる。
【0065】
次いで、自律走行する第1トラクタ1Aとオペレータ操縦による第2トラクタ1Bを同時に圃場作業する場合の安全運転制御について説明する。
【0066】
第1、第2トラクタ1A、1Bの構成は、図3に示す構成の制御部を備えると共に、第第2トラクタ1Bの運転作業者は、第1トラクタ1Aの走行停止等の遠隔制御装置として、及び第1・第2トラクタ1A,1Bそれぞれの位置情報及びそれらの関係を演算及び表示する携帯端末88Aを具備している。
【0067】
第1トラクタ1Aは、第2トラクタ1Bとの並行作業を予定し予め設定した走行経路に基づいて走行しながら作業を行い、第2トラクタ1Bは、図8図9図10に基づき、安全運転制御される。圃場内において、第1トラクタ1Aが位置情報を取得しながら前記走行経路に基づき走行する。一方第2トラクタ1Bの運転作業者は、第1トラクタ1Aと並走し、あるいは、第1トラクタ1Aの走行経路と重複しない走行運転を維持しながら圃場作業を行う(ステップ301,302)。第1トラクタ1Aと第2トラクタ1Bの位置情報よりそれぞれの位置及び走行方位が演算され、この演算結果により両トラクタの距離算出し、トラクタ機体の前後方向距離αが予め設定した第1の前後規定距離D1(例えば5m)と比較し、α<D1の状況であると第1トラクタ1Aの走行変速段を最低速に切替える(ステップ305,306)。ステップ305でα≧D1の場合、更に機体左右方向の距離βが予め設定した第1の左右規定距離X1(例えば0.5m)と比較し、β<X1の状況であるときも(ステップ307)、ステップ306に移行する。
【0068】
さらに、作業を継続し、前後方向距離αが第1の前後規定距離D1より小さい第2の前後規定距離D0(例えば2m)未満になると(ステップ308)、安全確保のため第1トラクタ1Aの走行を停止制御する(ステップ309)。ステップ308でα≧D0の場合、前記距離βが第1の左右規定距離X1よりも小さい第2の左右規定距離X0(例えば0.2m)未満になると(ステップ310)、ステップ309に至り第1トラクタ1Aは停止される。なお、ステップ306で第1トラクタ1Aが最低速に切替られたり、ステップ309で第1トラクタ1Aが停止制御されると、この状況は携帯端末88Aにアラームとして各種警報表示され、第2トラクタ1Bの運転作業者はこれを確認でき、適宜に第2トラクタ1Bを操向操作しながら衝突回避の行動をとることができる(ステップ311)。そして、前後方向距離αが前記第1の前後規定距離D1を越え、かつ左右方向距離βが第1の左右規定距離X1を越えると(ステップ312,313)、第1トラクタ1Aは元の作業速に復帰操作され、通常作業に復帰する(ステップ314)。
【0069】
次いで、図10に示すように、圃場に作業者が居て補助作業したり、自律走行のトラクタ1を監視する場合の安全制御について、走行経路を演算しトラクタ1を自律走行させる(ステップ401,401)。前記補助作業者Mの携帯端末88Bにて位置情報を取得し、発信する(ステップ403)。当該位置情報とトラクタ1の位置から距離Lを演算する(ステップ404)。この演算距離Lが予め設定した安全距離DM未満となると、トラクタ1側制御部では、危険範囲内として機体作業を減速側に出力し又は機体停止出力される(ステップ405,406)。同時に補助作業者M側携帯端末88Bには警報出力される(ステップ407)。この警報によって補助作業者は安全圏に移動できる。この警報出力は所定時間経過すると停止し(ステップ410)、トラクタ作業継続の場合はトラクタ自律運転に戻り、作業終了の場合は制御終了する(ステップ411)。
【0070】
次いで、トラクタ1に搭載した左右カメラ92L,92R及び前後方カメラ92f,92rの監視カメラ群の撮像によって障害物Gを検出し(図11(A)(B))、自律走行のトラクタ1の安全走行制御について、図12図14に基づき説明する。走行経路を演算し、トラクタ1は自律運転を行う(ステップ501,502)。運転中、上記の監視カメラ群からそれぞれに撮像データを入力し(ステップ503)、併せて機体前方に向けてレーザ光や電磁波を照射することによって障害物Gの距離を検出できる距離センサ91からの距離データを入力する(ステップ504)。障害物Gデータありと判定すると(ステップ505)、機体走行速度と障害物G接近速度を対比し(ステップ506)、衝突の可能性がある場合は、障害物Gの進行方向を判定し(ステップ507,508)、機体前方又は後方における場合は、進行方向危険回避判断とこれに基づく回避出力を行う(ステップ509)。また、ステップ508で機体左又は右方における場合は、左右方向危険回避判断とこれに基づく回避出力を行う(ステップ510)。
【0071】
前記のステップ509における機体の進行方向危険回避判断および回避出力について、その一例を図13に示す。トラクタ1進行方向、即ち前方又は後方に障害物Gを確認すると(ステップ601)、障害物Gがトラクタ1に接近するか否かを判断し(ステップ602)、接近する場合は、障害物Gがトラクタ1機体進行方向に移動しているかあるいは逆方向に移動するかが判定される(ステップ603)。ここで、ステップ603でYESと判断される場合、つまり障害物Gがトラクタ1と同方向に移動するが遅いためトラクタに接近すると判定される場合には、トラクタ1移動速度を減速し、作業を継続する(ステップ604,605)。また、ステップ603でNOと判断される場合、つまり障害物Gがトラクタ1に向かって移動してくる場合には、トラクタ1を緊急停止すべく出力し(ステップ606)、直ちに迂回運転出力して(ステップ607)、衝突を避ける。迂回運転はステップ501の走行経路から外れた迂回経路を予め設定しておくものである。この迂回経路移動中に作業種類等に応じて作業継続の可否を判定するが(ステップ608)、不可の場合には作業中断する(ステップ609)。作業中断しても、障害物Gを回避し元の走行経路に復帰し(ステップ610)、進行方向に障害物Gが無いことを条件に、作業再開する(ステップ611,612)。
【0072】
このように、トラクタ1機体の進行方向に障害物Gを確認した場合には、その接近状況を確認しつつ適正に障害物Gとの衝突を防止できる。
【0073】
一方、前記ステップ510における機体の左右方向危険回避判断および回避出力について、その一例を図14に示している。トラクタ1機体の左右方向に障害物Gを確認すると(ステップ701)、障害物Gがトラクタの走行経路に接近するか否か判断し、さらに障害物Gがトラクタに接近するか否かを判断する(ステップ702,703)。ついで障害物Gの移動速度に基づいて衝突回避速度を演算する(ステップ704)。その演算された速度と作業種類等に従って作業継続の可否を判断する(ステップ705)。ここで作業継続可と判断される場合には、増速、減速又は速度維持の判断に基づいてトラクタ速度変更指令出力され(ステップ706)、増速側制御、減速側制御又は速度維持に変更する(ステップ707,708)。そして、障害物Gが走行経路を通過し、新たな障害物Gも含めて進行方向に障害物G無しを確認すると(ステップ709,710)、変速段を元に戻して作業を継続する(ステップ711)。」前記ステップ705で作業継続不可の判断の場合は、作業を中断し(ステップ712)、トラクタを停止または迂回走行出力する(ステップ713)。
【0074】
このように、障害物Gが左右方向に存在して接近する場合においても、衝突を回避しながら作業を継続することができる。
【0075】
なお、図15(A)、(B)に示す前方カメラ92fと距離センサ91との複合によって障害物G候補の検出と接近状況を検出できる。すなわち、先ず前方カメラ92fの遠方撮像によって障害物G候補を検出し、障害物G候補の所定距離以内検出結果(例えば10m)に基づき、距離センサ91の検出を開始し、距離センサ91の検出によって障害物Gの接近等移動の状況を精度良く検出するものである。
【0076】
また、距離センサ91の検出距離データをカメラ92側で受信することにより、障害物Gの撮像検出精度を向上できる(図16(A)、(B))。要するに、対象物に限らず広範に画像を認識するカメラと反射によって対象物との距離を検出する距離センサ91との組合せによって、撮像精度を向上することができるものである。なお、ここで距離センサ91としては、ミリ波センサ、超音波センサ等種々の構成を採用し得る。
【0077】
撮像手段として、前方カメラ92fを例に挙げたが、無人飛行機に撮像カメラを吊下げて圃場全体を撮像できる構成としてもよい。トラクタ1の前後左右いずれの方向にあっても障害物Gを撮像でき障害物Gの発見が効率的である。なお、障害物Gとして、作業者Mや動物A等移動する障害物のほか、立木、電柱、畦畔等のように固定の障害物Gもある。
【0078】
これらのうち、畦畔を検出する場合は、旋回動作に自動的に移るが、旋回前進して隣接の作業走行経路の始端に到達できるものであるが、畦畔との距離が狭く一回の旋回前進では隣接の作業走行経路始端に達し得ない場合には、前進と後退とを繰り返しながら当該経路始端に達することができる(図8(D))。
【符号の説明】
【0079】
89左右傾斜角度検出手段(ジャイロセンサ)
89前後傾斜角度検出手段(ジャイロセンサ)
C 制御装置
Lt登坂経路
Ls理想登坂経路
Pe農道出口位置
S1圃場側登り口位置
Sp登り口復帰点
Sn理想登り口位置
γ1左右傾斜角
γ0安全限界左右傾斜角
δ 前後傾斜角
δ0安全前後傾斜角
ε ずれ量
ε0基準ずれ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16