特許第6794826号(P6794826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794826搬送装置、搬送プログラムおよび画像データ生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794826
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】搬送装置、搬送プログラムおよび画像データ生産方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 11/00 20060101AFI20201119BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B65H11/00 G
   B65H11/00 F
   B65H1/00 501A
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-255075(P2016-255075)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-104178(P2018-104178A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】藤井 正雄
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−251056(JP,A)
【文献】 特開2006−256788(JP,A)
【文献】 特開2001−225994(JP,A)
【文献】 特開2014−044263(JP,A)
【文献】 特開平07−156479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 11/00 − 11/02
B65H 1/00 − 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手差しされた搬送対象物を搬送する搬送部と、
搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を計時する計時部と、
計時された前記指示後経過時間が待機時間に達した後に、搬送開始指示が取得された後にセットされた前記搬送対象物の搬送を前記搬送部に開始させる制御部と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記待機時間に対応した待機時間情報を書換え可能に記憶する記憶部、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記指示後経過時間が前記待機時間に達した時点で、前記搬送対象物が手差しされている場合に、前記搬送部に前記搬送対象物の搬送を開始させ、前記搬送対象物が手差しされていない場合に、前記搬送部に前記搬送対象物の搬送を開始させないことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
手差しされた搬送対象物を搬送する搬送部と、
搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を計時する計時部と、
計時された前記指示後経過時間が待機時間に達した後に、前記搬送部に前記搬送対象物の搬送を開始させる制御部と、
を備え
前記制御部は、前記搬送対象物のサイズを特定可能なサイズ情報を取得し、取得された前記サイズ情報に基づいて、前記搬送対象物のサイズが所定のサイズよりも小さいか否かを判断し、前記搬送対象物のサイズが前記所定のサイズよりも小さいと判断した場合に、前記指示後経過時間が前記待機時間に達する前に前記搬送対象物の搬送を開始するように、前記搬送部を制御し、前記搬送対象物のサイズが前記所定のサイズよりも大きいと判断した場合に、前記指示後経過時間が待機時間に達した後に、搬送開始指示が取得された後にセットされた前記搬送対象物の搬送を前記搬送部に開始させることを特徴とする送装置。
【請求項5】
前記制御部は、搬送方向における前記搬送対象物の長さを前記搬送対象物のサイズとし、基準長さを前記所定のサイズとして、前記搬送対象物のサイズが前記所定のサイズよりも小さいか否かの判断を行うことを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記指示後経過時間が前記待機時間に達するまでの残存時間と、前記指示後経過時間と、の少なくとも一方を報知させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記指示後経過時間が前記待機時間に達するまでの間に、延長指示が取得された場合に、前記待機時間を延長することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
手差しされた搬送対象物を搬送する搬送部と、
搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を計時する計時部と、
計時された前記指示後経過時間が待機時間に達した後に、前記搬送部に前記搬送対象物の搬送を開始させる制御部と、
を備え
前記制御部は、前記指示後経過時間が前記待機時間に達するまでの間に、待機中止指示が取得された場合に、前記指示後経過時間が前記待機時間に達するのを待たずに、前記搬送部に前記搬送対象物の搬送を開始させることを特徴とする送装置。
【請求項9】
搬送された前記搬送対象物から画像データを読み取る読取部、をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項10】
搬送装置のプロセッサーに、
搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を、計時部に計時させるステップと、
計時された前記指示後経過時間が待機時間に達した後に、搬送開始指示が取得された後に搬送部に手差しされた搬送対象物の搬送を開始させるステップと、
を実行させることを特徴とする搬送プログラム。
【請求項11】
計時部が、搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を計時するステップと、
搬送部が、計時された前記指示後経過時間が待機時間に達した後に、搬送開始指示が取得された後に手差しされた搬送対象物の搬送を開始するステップと、
読取部が、搬送された前記搬送対象物を読み取って画像データを生産するステップと、
を実行することを特徴とする画像データ生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手差しされた搬送対象物を搬送する搬送装置、搬送プログラムおよび画像データ生産方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手差しされた搬送対象物を搬送する搬送装置として、手差しされた搬送対象物から手を離しても搬送対象物が床に落ちたりしないように、手差しされた搬送対象物を検出した場合に、給紙ローラーにより搬送対象物を保持するようにした搬送装置が知られている(特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−366860号公報
【特許文献2】特開平11−246063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような搬送装置では、ユーザーが搬送対象物を手差ししたことで搬送対象物が保持され、搬送対象物の搬送が開始されるため、ユーザーにより搬送対象物が誤って斜めに差された状態であっても、ユーザーが差し直すことができずに搬送対象物の搬送が開始されることになる。そのため、搬送対象物が搬送方向に対して斜行して搬送されるおそれがある。その結果、搬送対象物にシワ等が生じてしまう。
【0005】
本発明は、搬送対象物を適切に搬送することができる搬送装置、搬送プログラムおよび画像データ生産方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送装置は、手差しされた搬送対象物を搬送する搬送部と、搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を計時する計時部と、計時された指示後経過時間が待機時間に達した後に、搬送部に搬送対象物の搬送を開始させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の搬送プログラムは、搬送装置のプロセッサーに、搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を、計時部に計時させるステップと、計時された指示後経過時間が待機時間に達した後に、搬送部に手差しされた搬送対象物の搬送を開始させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間が待機時間に達した後に、搬送対象物の搬送が開始される。これにより、ユーザーが、搬送開始指示のための操作を行った後、指示後経過時間が待機時間に達するまでの間に、搬送対象物を手差しすることが可能となる。このため、ユーザーにより搬送対象物が保持された状態で、搬送対象物の搬送が開始される。したがって、搬送対象物が斜行して搬送されることが抑制され、搬送対象物を適切に搬送することができる。
【0009】
この場合、待機時間に対応した待機時間情報を書換え可能に記憶する記憶部、をさらに備えたことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、所望の待機時間を設定し、設定された待機時間に対応した待機時間情報を記憶部に記憶させることができる。これにより、所望の待機時間に達した後に、搬送対象物の搬送を開始させることができる。
【0011】
この場合、制御部は、指示後経過時間が待機時間に達した時点で、搬送対象物が手差しされている場合に、搬送部に搬送対象物の搬送を開始させ、搬送対象物が手差しされていない場合に、搬送部に搬送対象物の搬送を開始させないことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、指示後経過時間が待機時間に達した時点で、搬送対象物が手差しされていない場合に、搬送部を無駄に動作させることを抑制することができる。
【0013】
この場合、制御部は、搬送対象物のサイズを特定可能なサイズ情報を取得し、取得されたサイズ情報に基づいて、搬送対象物のサイズが基準サイズよりも小さいか否かを判断し、搬送対象物のサイズが基準サイズよりも小さいと判断した場合に、指示後経過時間が待機時間に達する前に搬送対象物の搬送を開始するように、搬送部を制御することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、搬送対象物のサイズが基準サイズよりも小さい場合には、搬送対象物のサイズが基準サイズ以上である場合に比べ、搬送対象物の搬送が速やかに開始される。このため、ユーザーにより搬送対象物が保持されていない状態で搬送対象物の搬送が開始されても、搬送対象物のサイズが小さくて搬送対象物が斜行して搬送されるおそれが少ない場合には、搬送開始指示から搬送開始までに要する時間を短縮することを優先して、搬送対象物の搬送を行うことができる。
【0015】
この場合、制御部は、搬送方向における搬送対象物の長さを搬送対象物のサイズとし、基準長さを基準サイズとして、搬送対象物のサイズが基準サイズよりも小さいか否かの判断を行うことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、搬送対象物の搬送に影響の大きい搬送対象物の長さに基づいて、搬送対象物のサイズが基準サイズよりも小さいか否かを判断することができる。
【0017】
この場合、制御部は、指示後経過時間が待機時間に達するまでの残存時間と、指示後経過時間と、の少なくとも一方を報知させることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、搬送部により搬送対象物の搬送が開始されるまでに残された時間を、ユーザーに認識させることができる。
【0019】
この場合、制御部は、指示後経過時間が待機時間に達するまでの間に、延長指示が取得された場合に、待機時間を延長することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、搬送対象物の搬送が開始されるタイミングを遅らせることができる。その結果、例えば、指示後経過時間が待機時間に迫った時点で、ユーザーが搬送対象物を手差しできていない場合に、搬送対象物を手差しするための時間を稼ぐことができる。
【0021】
この場合、制御部は、指示後経過時間が待機時間に達するまでの間に、待機中止指示が取得された場合に、指示後経過時間が待機時間に達するのを待たずに、搬送部に搬送対象物の搬送を開始させることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、搬送対象物の搬送が開始されるタイミングを早めることができる。その結果、例えば、指示後経過時間が待機時間に達するまでにかなりの時間がある時点で、ユーザーが搬送対象物を手差しできた場合に、搬送対象物の搬送が開始されるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0023】
この場合、搬送された搬送対象物から画像データを読み取る読取部、をさらに備えたことが好ましい。
【0024】
この構成によれば、搬送対象物が適切に搬送されるため、搬送対象物から画像データを適切に読み取ることができる。
【0025】
本発明の画像データ生産方法は、計時部が、搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間を計時するステップと、搬送部が、計時された指示後経過時間が待機時間に達した後に、手差しされた搬送対象物の搬送を開始するステップと、読取部が、搬送された搬送対象物から画像データを読み取るステップと、を実行することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、搬送対象物が適切に搬送されるため、搬送対象物から画像データを適切に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る複合機の概略構成を示す図である。
図2】複合機の制御構成を示すブロック図である。
図3】スキャンメイン画面を示す図である。
図4】タイマー設定画面を示す図である。
図5】他項目設定画面を示す図である。
図6】スキャン待機中画面を示す図である。
図7】スキャン動作中画面を示す図である。
図8】スキャン処理を示すフローチャートである。
図9】スキャン動作制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に基づいて、本発明の搬送装置の一実施形態である複合機Aの概略構成について説明する。本実施形態の複合機Aは、家庭やオフィス等で一般に用いられる複合機に比べて大型のものであり、例えばA0判やB0判といった大判の原稿Bから画像データを読み取り、また、大判の印刷媒体Cに対して印刷を行うものである。複合機Aは、支持脚1と、操作パネル2と、読取機構3と、印刷機構4とを備えている。なお、複合機Aは、図1では図示省略したが、コントローラー5(図2参照)等をさらに備えている。
【0029】
操作パネル2は、ユーザーに対して情報を出力し、また、ユーザーからの操作を受け付けるユーザーインターフェースとして機能する。
【0030】
読取機構3は、手差しされた原稿Bから画像データを読み取るスキャン動作を行う。読取機構3は、原稿台31と、搬送部32と、読取部33と、原稿検出部34とを備えている。
【0031】
原稿台31には、原稿Bが手差しによりセットされる。原稿Bのサイズ(以下「原稿サイズ」という。)は、特に限定されるものではないが、A0判やB0判のように、かなり大判の原稿Bの場合や、原稿の幅はA4判のように小さくても、原稿の長さがかなり長い長尺紙の場合には、複数のユーザーによって原稿Bの手差し作業が行われる。
【0032】
搬送部32は、原稿台31に手差しされた原稿Bを搬送し、排紙口35から原稿Bを排出する。搬送部32は、給紙ローラー321と、搬送ローラー対322と、搬送モーター323(図2参照)とを備えている。給紙ローラー321は、原稿台31に対して離接可能に設けられている。給紙ローラー321は、スキャン動作が行われていない間は、原稿台31から離れた位置にあるが、スキャン動作が開始されると、原稿台31に向かって移動し、原稿台31との間で原稿Bを挟持して原稿Bを搬送する。搬送ローラー対322は、給紙ローラー321から送られてきた原稿Bを排紙口35に向けて搬送する。搬送モーター323は、給紙ローラー321および搬送ローラー対322を回転させる駆動源である。
【0033】
読取部33は、搬送されてきた原稿Bから画像データを読み取る。読取部33は、光源331およびイメージセンサー332(図2参照)を備えている。光源331は、搬送されてきた原稿Bの読取り面に対し、光を照射する。イメージセンサー332は、原稿Bからの反射光を検出し、検出された光量に応じた電気信号を出力する。読取部33は、出力された電気信号を図示しない変換回路によりデジタル信号に変換することにより、画像データを取得する。読取部33により原稿Bから読み取られた画像データは、コントローラー5を介して外部に出力される。
【0034】
原稿検出部34は、原稿台31に原稿Bが手差しされたか否かを検出する。原稿検出部34としては、例えば、フォトインターラプター或いはマイクロスイッチを用いることができる。原稿検出部34の検出信号は、コントローラー5に出力される。
【0035】
印刷機構4は、ロール・ツー・ロール方式で送られる印刷媒体Cに対して、例えばコンピューターPC(図2参照)からコントローラー5を介して受信した印刷データに基づいて、印刷を行う。印刷機構4は、繰出し部41と、送り部42と、巻取り部43と、印刷部44とを備えている。繰出し部41は、印刷媒体Cがロール状に巻かれたロール体Rから印刷媒体Cを繰り出す。送り部42は、繰出し部41から繰り出された印刷媒体Cを、巻取り部43に向けて送る。巻取り部43は、送られてきた印刷媒体Cをロール状に巻き取る。印刷部44は、繰出し部41から巻取り部43へ送られる印刷媒体Cに対し、例えばインクジェット方式により、印刷を行う。
【0036】
図2に基づいて、複合機Aの制御構成について説明する。複合機Aは、上記の操作パネル2、読取機構3および印刷機構4に加え、コントローラー5と、ストレージ6と、媒体インターフェース7と、通信インターフェース8と、タイマー9とを備えている。なお、図2では、印刷機構4が省略されている。
【0037】
操作パネル2は、タッチパネル21および操作ボタン22を備えている。タッチパネル21は、ユーザーに対し、選択肢、メッセージ等を表示し、また、タッチパネル21に対するタッチ位置を検出する。操作ボタン22には、例えば、複合機Aの電源をON/OFF切替えるための電源ボタン、数字を入力するための数字ボタンなどが含まれる。タッチパネル21の検出信号および操作ボタン22の検出信号は、コントローラー5に出力される。
【0038】
コントローラー5には、タッチパネル21の検出信号、操作ボタン22の検出信号、原稿検出部34の検出信号、イメージセンサー332により読み取られた画像データ等が入力される。また、コントローラー5は、タッチパネル21、搬送モーター323および光源331等を駆動するドライバー回路(図示省略)に対し、制御信号を出力する。さらに、コントローラー5は、コンピューターPCとの間で、各種コマンドおよび印刷データや画像データを含むデータを送受信する。なお、コンピューターPCとしては、例えば、パソコン或いはスマートフォンを用いることができる。コントローラー5は、CPU51(Central Processing Unit)と、ROM52(Read Only Memory)と、RAM53(Random Access Memory)とを備えている。
【0039】
ストレージ6には、プログラムおよびデータが格納される。ストレージ6としては、例えば、ハードディスクドライブを用いることができる。媒体インターフェース7は、外部記憶媒体である記憶媒体Mとのインターフェースである。なお、記憶媒体Mとしては、例えば、USBメモリー等のフラッシュメモリーを用いることができる。通信インターフェース8は、複合機AをコンピューターPCと直接或いはLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続するためのインターフェースである。タイマー9は、時刻を計時する。
【0040】
図3ないし図7に基づいて、スキャン動作に関してタッチパネル21が表示する画面について説明する。タッチパネル21は、それぞれの画面において、1画面で全てのボタンを表示してもよいが、複数画面にわたってボタンが表示され、スクロールされることで、全てのボタンが表示されるようになってもよい。
【0041】
操作パネル2に対して所定の操作が行われ、スキャンモードに入ると、タッチパネル21は、図3に示すように、スキャンメイン画面D1を表示する。スキャンメイン画面D1には、複数の設定ボタンと、スキャン開始ボタンD1dとが表示される。複数の設定ボタンには、スキャン先設定ボタンD1a、タイマー設定ボタンD1bおよび他項目設定ボタンD1cが含まれる。
【0042】
スキャンメイン画面D1に表示されたスキャン先設定ボタンD1aに対するタッチ操作が検出されると、タッチパネル21は、スキャン先設定画面(図示省略)を表示する。スキャン先設定画面は、スキャン先、すなわち、スキャン動作により原稿Bから読み取られた画像データが送信される送信先、を設定するための画面である。スキャン先設定画面には、複数のスキャン先候補が選択可能に表示される。スキャン先候補には、例えば、ストレージ6、記憶媒体M、コンピューターPCなどが含まれる。コントローラー5は、スキャン先候補に対するタッチ操作の検出に基づいて、スキャン先を設定する。スキャン先設定画面において、スキャン先が設定されると、タッチパネル21は、スキャンメイン画面D1を再び表示する。
【0043】
スキャンメイン画面D1に表示されたタイマー設定ボタンD1bに対するタッチ操作が検出されると、タッチパネル21は、図4に示すように、タイマー設定画面D2を表示する。タイマー設定画面D2は、待機時間を設定するための画面である。ここで、待機時間とは、スキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作の検出に基づいてコントローラー5によりスキャン開始指示が取得されてから、読取機構3がスキャン動作を開始するまでの時間、すなわち、搬送部32が原稿Bの搬送を開始するまでの時間、を意味する。タイマー設定画面D2には、一或いは複数の所定時間設定ボタンD2aと、任意時間設定ボタンD2bと、不図示のタイマー設定解除ボタンとが表示される。
【0044】
所定時間設定ボタンD2aは、待機時間を、所定の時間(例えば、10秒間)に設定するためのボタンである。コントローラー5は、タイマー設定画面D2に表示された所定時間設定ボタンD2aに対するタッチ操作の検出に基づいて、待機時間を設定する。
【0045】
任意時間設定ボタンD2bは、待機時間を、任意の時間に設定するためのボタンである。タイマー設定画面D2に表示された任意時間設定ボタンD2bに対するタッチ操作が検出されると、タッチパネル21は、任意の時間の入力を受け付ける時間入力欄(図示省略)を表示する。コントローラー5は、時間入力欄に対する入力に基づいて、待機時間を設定する。タイマー設定解除ボタンは、待機を行わないようにする、或いは、すでに設定された待機時間を0にする、ためのボタンである。
【0046】
このように、ユーザーは、所定時間設定ボタンD2a或いは任意時間設定ボタンD2bに対するタッチ操作を行うことで、所望の待機時間に設定することができる。タイマー設定画面D2において、待機時間が設定されると、タッチパネル21は、スキャンメイン画面D1を再び表示する。スキャンメイン画面D1では、タイマー設定ボタンD1b内に、設定された待機時間が表示される。
【0047】
スキャンメイン画面D1に表示された他項目設定ボタンD1cに対するタッチ操作が検出されると、タッチパネル21は、図5に示すように、他項目設定画面D3を表示する。他項目設定画面D3は、スキャン動作に関し、スキャン先および待機時間以外の設定項目(例えば、原稿サイズ)について設定を行うための画面である。他項目設定画面D3では、原稿サイズタブD3cを含む複数のタブにより表示切替え可能となっている。他項目設定画面D3に表示された原稿サイズタブD3cに対するタッチ操作が検出されると、他項目設定画面D3には、一或いは複数の所定サイズ設定ボタンD3aと、任意サイズ設定ボタンD3bとが表示される。
【0048】
所定サイズ設定ボタンD3aは、スキャン範囲の基礎となる原稿サイズを、所定のサイズ(例えば、「縦1189mm×横841mm」)に設定するためのボタンである。すなわち、コントローラー5は、他項目設定画面D3に表示された所定サイズ設定ボタンD3aに対するタッチ操作の検出に基づいて、サイズ情報(例えば「A0縦」)を取得する。ここで、サイズ情報とは、原稿サイズを特定可能なものである。コントローラー5は、例えばROM52に記憶された原稿サイズテーブルを参照し、取得されたサイズ情報と関連付けられた原稿サイズ(例えば「縦1189mm×横841mm」)を設定する。なお、ここでは、原稿サイズの「縦」の数値が、搬送方向における原稿Bの長さに相当するが、原稿サイズの「横」の数値が、搬送方向における原稿Bの長さに相当する構成であってもよい。
【0049】
任意サイズ設定ボタンD3bは、原稿サイズを、任意のサイズに設定するためのボタンである。他項目設定画面D3に表示された任意サイズ設定ボタンD3bに対するタッチ操作が検出されると、タッチパネル21は、原稿サイズの縦寸法および横寸法の入力を受け付けるサイズ入力欄(図示省略)を表示する。コントローラー5は、サイズ入力欄に対する入力に基づいて、サイズ情報(例えば「縦1500mm×横1000mm」)を取得する。コントローラー5は、取得されたサイズ情報を、そのまま原稿サイズとして設定する。
【0050】
他項目設定画面D3において、原稿サイズが設定されると、タッチパネル21は、スキャンメイン画面D1を再び表示する。
【0051】
スキャン開始ボタンD1dは、スキャン動作を開始するためのボタンである。すなわち、スキャンメイン画面D1に表示されたスキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作に基づいて、タッチパネル21から検出信号が出力されると、コントローラー5は、その検出信号をスキャン開始指示として取得する。そして、タイマー設定がされていない場合には、コントローラー5は、読取機構3にスキャン動作を開始させる。一方、タイマー設定がされている場合には、コントローラー5は、タイマー設定で設定された時間だけ待機を行ってから読取機構3にスキャン動作を開始させる。待機をしているとき、タッチパネル21は、図6に示すように、スキャン待機中画面D4を表示する。スキャン待機中画面D4には、残存時間表示D4aと、待機中メッセージD4bと、時間追加ボタンD4cと、待機中止ボタンD4dとが表示される。
【0052】
残存時間表示D4aは、コントローラー5によりスキャン開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間が、タイマー設定画面D2において設定された待機時間に達するまでの残存時間を、時間の経過と共に減少する数字で示す。
【0053】
待機中メッセージD4bには、原稿台31に原稿Bをセット(手差し)することをユーザーに促す文言と共に、スキャン動作が開始されるまでの時間を示す数字が含まれる。
【0054】
時間追加ボタンD4cは、タイマー設定画面D2において設定された待機時間に、所定の時間(例えば10秒間)を追加するためのボタンである。すなわち、スキャン待機中画面D4に表示された時間追加ボタンD4cに対するタッチ操作に基づいて、タッチパネル21から検出信号が出力されると、コントローラー5は、その検出信号を延長指示として取得する。そして、コントローラー5は、タイマー設定画面D2において設定された待機時間に所定の時間を追加する。これは、スキャン動作が開始されるまでの残り時間に所定の時間を追加すると解釈することもできる。
【0055】
待機中止ボタンD4dは、スキャン動作の待機中にスキャン動作を即座に開始するためのボタンである。すなわち、スキャン待機中画面D4に表示された待機中止ボタンD4dに対するタッチ操作に基づいて、タッチパネル21から検出信号が出力されると、コントローラー5は、その検出信号を待機中止指示として取得する。そして、コントローラー5は、指示後経過時間が待機時間に達するのを待たずに、スキャン動作を開始させる。
【0056】
指示後経過時間が待機時間に達すると、読取機構3は、スキャン動作を開始する。このとき、タッチパネル21は、図7に示すように、スキャン動作中画面D5を表示する。スキャン動作中画面D5には、スキャン動作中メッセージD5aと、停止ボタンD5bとが表示される。停止ボタンD5bは、スキャン動作を停止するためのボタンである。すなわち、スキャン動作中画面D5に表示された停止ボタンD5bに対するタッチ操作が検出されると、コントローラー5は、搬送モーター323等を制御し、スキャン動作を停止させる。
【0057】
スキャン動作が終了すると、複合機Aは、スキャン先設定画面において設定されたスキャン先へ、原稿Bから読み取られた画像データを送信する。
【0058】
図8に基づいて、スキャン動作に関してコントローラー5が実行するスキャン処理について説明する。コントローラー5は、CPU51が、ROM52或いはストレージ6に記憶されたスキャンプログラムをRAM53を用いて実行することにより、スキャン処理を実行する。
【0059】
操作パネル2に対するスキャンモードへの移行を指示する操作が検出されると、コントローラー5は、スキャン処理を開始する。
【0060】
ステップS1では、コントローラー5は、タッチパネル21にスキャンメイン画面D1を表示させる。
【0061】
ステップS2では、コントローラー5は、スキャンメイン画面D1に表示されたスキャン先設定ボタンD1aに対するタッチ操作が検出されたか否かを判断する。コントローラー5が、スキャン先設定ボタンD1aに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合(S2;Yes)、ステップS3に進む。
【0062】
ステップS3では、コントローラー5は、タッチパネル21にスキャン先設定画面を表示させる。
【0063】
ステップS4では、コントローラー5は、スキャン先設定画面に表示されたスキャン先候補に対するタッチ操作の検出に基づいて、スキャン先を設定し、ステップS1に戻る。
【0064】
一方、ステップS2において、コントローラー5が、スキャン先設定ボタンD1aに対するタッチ操作が検出されていないと判断した場合(S2;No)、ステップS5に進む。
【0065】
ステップS5では、コントローラー5は、スキャンメイン画面D1に表示されたタイマー設定ボタンD1bに対するタッチ操作が検出されたか否かを判断する。コントローラー5が、タイマー設定ボタンD1bに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合(S5;Yes)、ステップS6に進む。
【0066】
ステップS6では、コントローラー5は、タッチパネル21にタイマー設定画面D2を表示させる。
【0067】
ステップS7では、コントローラー5は、タイマー設定画面D2に表示された所定時間設定ボタンD2aに対するタッチ操作の検出、タイマー設定画面D2に表示された時間入力欄に対する入力、或いは、タイマー設定解除ボタンに対するタッチ操作の検出、に基づいて、待機時間を設定する。コントローラー5は、設定された待機時間に対応した待機時間情報を、例えばRAM53に記憶させ、ステップS1に戻る。
【0068】
このように、コントローラー5は、ユーザー所望の待機時間を設定し、設定された待機時間に対応した待機時間情報をRAM53に書き換え可能に記憶させることができる。これにより、所望の待機時間に達した後に、原稿Bの搬送を開始させることができる。
【0069】
一方、ステップS5において、コントローラー5が、タイマー設定ボタンD1bに対するタッチ操作が検出されていないと判断した場合(S5;No)、ステップS8に進む。
【0070】
ステップS8では、コントローラー5は、スキャンメイン画面D1に表示された他項目設定ボタンD1cに対するタッチ操作が検出されたか否かを判断する。コントローラー5が、他項目設定ボタンD1cに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合(S8;Yes)、ステップS9に進む。
【0071】
ステップS9では、コントローラー5は、タッチパネル21に他項目設定画面D3を表示させる。
【0072】
ステップS10では、コントローラー5は、例えば、他項目設定画面D3に表示された所定サイズ設定ボタンD3aに対するタッチ操作の検出、或いは、他項目設定画面D3に表示されたサイズ入力欄に対する入力、に基づいて、サイズ情報を取得する。コントローラー5は、取得されたサイズ情報に基づいて原稿サイズを設定し、ステップS1に戻る。
【0073】
一方、ステップS8において、コントローラー5が、他項目設定ボタンD1cに対するタッチ操作が検出されていないと判断した場合(S8;No)、ステップS11に進む。
【0074】
ステップS11では、コントローラー5が、スキャンメイン画面D1に表示されたスキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作が検出されたか否かを判断する。コントローラー5が、スキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合(S11;Yes)、そのタッチ操作の検出信号をスキャン開始指示として取得し、ステップS12に進む。
【0075】
ステップS12では、コントローラー5は、後述するスキャン動作制御処理を実行し、ステップS1に戻る。
【0076】
一方、ステップS11において、コントローラー5が、スキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作が検出されていないと判断した場合(S11;No)、ステップS1に戻る。
【0077】
なお、タイマー設定ボタンD1bに対するタッチ操作が検出されることなく、スキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作が検出された場合、コントローラー5は、待機時間としてデフォルト値(例えば、待機しないことを意味する0秒)を設定してもよい。或いは、タイマー設定ボタンD1bを操作するようにユーザーに促すメッセージをタッチパネル21に表示させてもよい。スキャン先設定ボタンD1a或いは他項目設定ボタンD1cに対するタッチ操作が検出されることなく、スキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作が検出された場合も、同様である。
【0078】
図9に基づいて、コントローラー5がステップS12において実行するスキャン動作制御処理について説明する。コントローラー5は、上記のスキャンプログラムに含まれるスキャン動作制御プログラムを、CPU51がRAM53を用いて実行することにより、スキャン動作制御処理を実行する。
【0079】
ステップS101では、コントローラー5は、指示後経過時間、すなわちスキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作が検出されてから経過した時間、をタイマー9に計時させる。
【0080】
ステップS102では、コントローラー5は、ステップS101と並行して、タッチパネル21にスキャン待機中画面D4を表示させる。スキャン待機中画面D4には、上述したように、残存時間表示D4aが表示される。この残存時間表示D4aは、設定されている待機時間からタイマー9が計時している指示後経過時間を引いた時間を表示している。このため、搬送部32により原稿Bの搬送が開始されるまでに残された時間を、ユーザーに認識させることができる。換言すれば、ユーザーは、残存時間表示D4aを見ることで、残りどれくらいの時間で(残り何秒で)原稿Bを手差ししなければならないかを、把握することができる。
【0081】
ステップS103では、コントローラー5は、ステップS10にて取得されたサイズ情報に基づいて設定された原稿サイズが、基準サイズよりも小さいか否かを判断する。より具体的には、コントローラー5は、原稿サイズの縦寸法、すなわち搬送方向における原稿Bの長さを、原稿サイズとし、基準長さを基準サイズとして、原稿サイズが基準サイズよりも小さいか否かを判断する。この基準長さは、例えば、原稿Bがユーザーにより保持されていない状態で搬送開始された場合にも、原稿台31により原稿Bが安定的に支持される原稿Bの最大長さ、すなわち、原稿Bが斜行するおそれの少ない原稿Bの最大長さ、を予め実験等により求め、ROM52等に記憶したものである。
【0082】
コントローラー5が、原稿サイズが基準サイズよりも小さいと判断した場合(S103;Yes)、ステップS110およびステップS111に進む。
【0083】
一方、ステップS103において、コントローラー5が、原稿サイズが基準サイズよりも小さくないと判断した場合(S103;No)、ステップS104に進む。
【0084】
ステップS104では、コントローラー5は、スキャン待機中画面D4に表示された時間追加ボタンD4cに対するタッチ操作が検出されたか否かを判断する。コントローラー5が、時間追加ボタンD4cに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合(S104;Yes)、そのタッチ操作に基づく検出信号を延長指示として取得し、ステップS105に進む。
【0085】
ステップS105では、コントローラー5は、ステップS7にて設定された待機時間に所定の時間(本実施例では10秒)を追加し、待機時間を延長する。また、コントローラー5は、RAM53に記憶された待機時間情報を書き換え、ステップS106に進む。
【0086】
一方、ステップS104において、コントローラー5が、時間追加ボタンD4cに対するタッチ操作が検出されていないと判断した場合(S104;No)ステップS106に進む。
【0087】
ステップS106では、コントローラー5は、スキャン待機中画面D4に表示された待機中止ボタンD4dに対するタッチ操作が検出されたか否かを判断する。コントローラー5が、待機中止ボタンD4dに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合(S106;Yes)、そのタッチ操作の検出信号を待機中止指示として取得し、ステップS108に進む。
【0088】
一方、ステップS106において、コントローラー5が、待機中止ボタンD4dに対するタッチ操作が検出されていないと判断した場合(S106;No)、ステップS107に進む。
【0089】
ステップS107では、コントローラー5は、ステップS101にてタイマー9により計時開始された指示後経過時間が、待機時間に達したか否かを判断する。コントローラー5が、指示後経時時間が待機時間に達していないと判断した場合(S107;No)、ステップS104に戻る。
【0090】
一方、ステップS107において、コントローラー5が、指示後経過時間が待機時間に達したと判断した場合(S107;Yes)、ステップS108に進む。
【0091】
ステップS108では、コントローラー5は、原稿検出部34の検出信号に基づいて、原稿Bが手差しされたか否かを判断する。コントローラー5が、原稿Bが手差しされていないと判断した場合(S108;No)、ステップS109に進む。
【0092】
ステップS109では、コントローラー5は、タッチパネル21に原稿Bが手差しされていない旨のメッセージを表示させた後、ステップS12を終了し、ステップS1に戻る。
【0093】
一方、ステップS108において、コントローラー5が、原稿Bが手差しされたと判断した場合(S108;Yes)、ステップS110およびステップS111に進む。
【0094】
ステップS110では、コントローラー5は、読取機構3にスキャン動作を開始させる。すなわち、コントローラー5は、給紙ローラー321を原稿台31に向かって移動を開始させ、原稿台31との間で原稿Bを挟持して、原稿Bを搬送させる。そして、読取機構3は搬送されてきた原稿Bを読み取って画像データを生成する。その後、生成した画像データを設定されているスキャン先に出力する。なお、ここでは、給紙ローラー321の移動を開始させてから、生成した画像データの出力が終了するまでをスキャン動作としている。
【0095】
ステップS111では、コントローラー5は、ステップS110と並行して、タッチパネル21にスキャン動作中画面D5を表示させる。
【0096】
ステップS112では、コントローラー5は、スキャン動作中画面D5に表示された停止ボタンD5bに対するタッチ操作が検出されたか否かを判断する。コントローラー5が、停止ボタンD5bに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合(S112;Yes)、ステップS113に進む。
【0097】
ステップS113では、コントローラー5は、スキャン動作を停止させる。
【0098】
一方、ステップS112において、コントローラー5が、停止ボタンD5bに対するタッチ操作が検出されていないと判断した場合(S112;No)、ステップS114に進む。
【0099】
ステップS114では、コントローラー5は、スキャン動作が終了したか否かを判断する。コントローラー5が、スキャン動作が終了していないと判断した場合(S114;No)、ステップS112に戻る。
【0100】
一方、ステップS114において、コントローラー5が、スキャン動作が終了したと判断した場合(S114;Yes)、又は、ステップS113において、スキャン動作を停止させた場合、図8に示したスキャン処理のステップS1に戻る。
【0101】
このように、コントローラー5は、ステップS103において、原稿サイズが基準サイズよりも小さいと判断した場合に、ステップS107をスキップし、指示後経過時間が待機時間に達したか否かの判断を行うことなく、ステップS110において、読取機構3にスキャン動作を開始させる。その結果、指示後経過時間が待機時間に達する前にスキャン動作が開始される。この場合、ユーザーは、スキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作を行う前に、原稿Bを手差ししておくことが好ましい。
【0102】
すなわち、コントローラー5は、原稿サイズを特定可能なサイズ情報を取得し、取得されたサイズ情報に基づいて、原稿サイズが基準サイズよりも小さいか否かを判断する。コントローラー5は、原稿サイズが基準サイズよりも小さいと判断した場合に、指示後経過時間が待機時間に達する前にスキャン動作を開始するように、読取機構3を制御する。これにより、原稿サイズが基準サイズよりも小さい場合には、原稿サイズが基準サイズ以上である場合に比べ、原稿Bの搬送が速やかに開始される。このため、ユーザーにより原稿Bが保持されていない状態で原稿Bの搬送が開始されても、原稿サイズが小さくて原稿Bが斜行して搬送されるおそれが少ない場合には、スキャン開始指示からスキャン開始までに要する時間を短縮することを優先して、原稿Bの搬送を行うことができる。
【0103】
また、コントローラー5は、ステップS104において、時間追加ボタンD4cに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合に、待機時間を延長する。すなわち、コントローラー5は、指示後経過時間が待機時間に達するまでの間に延長指示が取得された場合に、待機時間を延長する。これにより、原稿Bの搬送が開始されるタイミングを遅らせることができる。その結果、例えば、指示後経過時間が待機時間に迫った時点で、ユーザーが原稿Bを手差しできていない場合に、原稿Bを手差しするための時間を稼ぐことができる。
【0104】
また、コントローラー5は、ステップS106において、待機中止ボタンD4dに対するタッチ操作が検出されたと判断した場合に、ステップS107をスキップし、指示後経過時間が待機時間に達したか否かの判断を行うことなく、ステップS110において、読取機構3にスキャン動作を開始させる。その結果、指示後経過時間が待機時間に達する前にスキャン動作が開始される。
【0105】
すなわち、コントローラー5は、指示後経過時間が待機時間に達するまでの間に待機中止指示が取得された場合に、指示後経過時間が待機時間に達するのを待たずに、読取機構3にスキャン動作を開始させる。これにより、原稿Bの搬送が開始されるタイミングを早めることができる。その結果、例えば、指示後経過時間が待機時間に達するまでにかなりの時間がある時点で、ユーザーが原稿Bを手差しできた場合に、原稿Bの搬送が開始されるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0106】
また、コントローラー5は、ステップS108において、原稿Bが手差しされていないと判断した場合に、スキャン動作を開始させることなく、原稿Bの手差しを促すメッセージをタッチパネル21に表示させる。
【0107】
すなわち、コントローラー5は、指示後経過時間が待機時間に達した時点で、原稿Bが手差しされている場合に、読取機構3にスキャン動作を開始させ、原稿Bが手差しされていない場合に、読取機構3にスキャン動作を開始させない。これにより、指示後経過時間が待機時間に達した時点で、原稿Bが手差しされていない場合に、読取機構3を無駄に動作させることを抑制することができる。
【0108】
以上のように、本実施形態の複合機Aは、搬送部32と、タイマー9と、コントローラー5とを備えている。搬送部32は、手差しされた原稿Bを搬送する。タイマー9は、指示後経過時間、すなわち搬送開始指示が取得されてから経過した時間、を計時する。コントローラー5は、計時された指示語経時時間が待機時間に達した後に、読取機構3にスキャン動作を開始させ、搬送部32に原稿Bの搬送を開始させる。
【0109】
また、スキャン動作制御プログラムは、CPU51に、以下のステップを実行させる。
指示後経過時間をタイマー9に計時させるステップ。
計時された指示後経過時間が待機時間に達した後に、読取機構3にスキャン動作を開始させ、搬送部32に手差しされた原稿Bの搬送を開始させるステップ。
【0110】
これらの構成によれば、搬送開始指示が取得されてから経過した指示後経過時間が待機時間に達した後に、原稿Bの搬送が開始される。これにより、ユーザーが、搬送開始指示のための操作、すなわちスキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作、を行った後、指示後経過時間が待機時間に達するまでの間に、原稿Bを手差しすることが可能となる。このため、ユーザーにより原稿Bが保持された状態で、原稿Bの搬送が開始される。換言すれば、ユーザーは、スキャン開始ボタンD1dのタッチ操作等のパネル操作を事前に終えているため、原稿Bを手で保持したまま原稿Bの搬送開始に備えることができる。したがって、原稿Bが斜行して搬送されることが抑制され、原稿Bを適切に搬送することができる。
特に、原稿サイズが大きい場合には、原稿台31だけでは原稿Bが適切に支持されないおそれがあるため、本発明が特に有効である。なお、ユーザーは、原稿Bを手差しした後に、搬送開始指示のための操作を行ってもよく、この場合も、指示後経過時間が待機時間に達するまでの間に、ユーザーにより原稿Bが再び保持される。
【0111】
また、複合機Aによる画像データ生産方法は、以下のステップを実行する。
タイマー9が、指示後経過時間を計時するステップ。
読取機構3が、計時された指示後経過時間が待機時間に達した後に、スキャン動作を開始し、手差しされた原稿Bの搬送を開始するステップ。
読取部33が、搬送された原稿Bから画像データを読み取るステップ。
【0112】
この構成によれば、原稿Bが適切に搬送されるため、原稿Bから画像データを適切に読み取ることができる。
【0113】
なお、コントローラー5は、「制御部」の一例である。タイマー9は、「計時部」の一例である。CPU51は、「プロセッサー」の一例である。RAM53は、「記憶部」の一例である。スキャン動作制御プログラムは、「搬送プログラム」の一例である。スキャン開始指示は、「搬送開始指示」の一例である。
本発明は上記した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。上述した各構成要素を複数の装置で協働して実現していてもよいし、複数の構成要素を1つの回路兼ねていてもよい。例えば、本実施形態は、以下のような形態に変更することができる。
【0114】
コントローラー5は、タッチパネル21に表示されたスキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作の検出信号を、スキャン開始指示として取得する構成に限定されるものではない。例えば、コントローラー5は、コンピューターPCに対するユーザーの操作に基づいて、コンピューターPCから複合機Aに送信されたスキャン開始コマンドを、スキャン開始指示として取得する構成であってもよい。延長指示および待機中止指示についても、同様である。
【0115】
コントローラー5は、タッチパネル21に表示された所定時間設定ボタンD2aに対するタッチ操作の検出等に基づいて待機時間を設定し、これに対応した待機時間情報を記憶する構成に限定されるものではない。例えば、コントローラー5は、コンピューターPCにより設定された待機時間に対応した待機時間情報をコンピューターPCから受信し、これを記憶してもよい。原稿Bのサイズ情報についても、同様である。
【0116】
コントローラー5は、待機時間情報を、RAM53等に書換え可能に記憶する代わりに、予めROM52等に書換え不能に記憶してもよい。すなわち、コントローラー5は、常に同じ待機時間を用いてもよい。
【0117】
コントローラー5は、指示後経過時間が待機時間に達した時点で、原稿Bが手差しされていない場合に、読取機構3にスキャン動作を開始させない、すなわち、搬送部32に原稿Bの搬送を開始させない構成に限定されるものではない。コントローラー5は、原稿Bが手差しされているか否かに拘らず、指示後経過時間が待機時間に達した時点で、搬送部32に原稿Bの搬送を開始させてもよい。
【0118】
コントローラー5は、原稿サイズが基準サイズよりも小さいと判断した場合に、指示後経過時間が待機時間に達する前に原稿Bの搬送を開始する方法として、指示後経過時間が待機時間に達したか否かを判断せずにスキャン動作を開始させるが、これに限定されるものではない。例えば、コントローラー5は、原稿サイズが基準サイズよりも小さいと判断した場合に、指示後経過時間が、待機時間よりも短い短期待機時間に達した後に、スキャン動作を開始させる構成でもよい。また、コントローラー5は、原稿サイズに応じて、待機時間を3段階以上で設定しても良い。
【0119】
コントローラー5は、搬送方向における原稿Bの長さを原稿サイズとして、基準長さを基準サイズとして、原稿サイズが基準サイズよりも小さいか否かの判断を行うが、これに限定されるものではない。例えば、コントローラー5は、搬送方向に交差する幅方向における原稿Bの長さ(原稿Bの幅)を原稿サイズとして、基準幅を基準サイズとして、原稿サイズが基準サイズよりも小さいか否かの判断を行ってもよい。また、コントローラー5は、原稿Bの面積を原稿サイズとして、基準面積を基準サイズとして、原稿サイズが基準サイズよりも小さいか否かの判断を行ってもよい。
【0120】
一方、コントローラー5は、原稿サイズに拘らず、指示後経過時間が待機時間に達した後に、スキャン動作を開始させる構成でもよい。
【0121】
スキャン待機中画面D4に表示される残存時間表示D4aは、時間の経過と共に減少する数字に限定されるものではなく、例えば、時間の経過と共に短くなるバーでもよく、時間の経過と共に一つずつ消去される複数の図形でもよく、これらが併用されてもよい。
【0122】
スキャン待機中画面D4には、指示後経過時間を示す経過時間表示を、残存時間表示D4aに代えて、或いは、残存時間表示D4aと共に、表示してもよい。経過時間表示は、残存時間表示D4aと同様に、時間の経過と共に増加する数字でもよく、時間の経過と共に長くなるバーでもよく、時間の経過と共に一つずつ出現する複数の図形でもよく、これらが併用されてもよい。
【0123】
コントローラー5は、タッチパネル21に残存時間表示D4aを表示させることにより、残存時間を報知させるが、これに限定されるものではない。例えば、コントローラー5は、複合機Aに設けられたタッチパネル21以外の表示部(例えば、液晶ディスプレー)或いはコンピューターPCの表示部に、残存時間表示D4aを表示させてもよい。
【0124】
また、コントローラー5は、音声出力部(例えば、スピーカー)に残存時間を音声出力させることにより、残存時間を報知させてもよい。また、コントローラー5は、複数の点灯部(例えば、LEDランプ)を時間の経過と共に一つずつ消灯させることにより、残存時間を報知させてもよい。指示後経過時間の報知についても同様である。なお、残存時間或いは指示後経過時間を報知する報知部は、上記のタッチパネル21を含め、複合機Aに対して外付けのものであってもよい。
【0125】
コントローラー5は、所定時間設定ボタンD2aの一つとして、待機時間を、「0」(0秒間)に設定可能なボタンを設けてもよい。コントローラー5は、待機時間として「0」が設定された場合は、スキャン動作制御処理のうち、例えば、原稿Bの手差し検出(S108)から開始してもよく、スキャン動作の開始(S110)およびスキャン動作中画面D5の表示(ステップS111)から開始してもよい。
【0126】
コントローラー5は、ステップS103にて原稿サイズが基準サイズよりも小さいと判断した場合に、ステップS108に進み、原稿Bが手差しされたことを検出した場合に、スキャン動作を開始してもよい。この場合、ユーザーは、原稿サイズが大きい場合と同様に、スキャン開始ボタンD1dに対するタッチ操作を行った後、原稿Bを手差しすればよい。
【0127】
搬送部32が原稿Bを搬送する方式は、ローラー搬送方式に限定されるものではなく、例えば、ベルト搬送方式でもよい。
【0128】
本実施形態の複合機Aは、大判の原稿Bに対応したものであるが、対応可能な原稿Bのサイズは、特に限定されるものではなく、例えば、家庭やオフィス等で一般に用いられる、A4判やA3判或いはそれらよりも小さいサイズの原稿Bが上限である複合機に、本発明を適用してもよい。
【0129】
印刷機構4が、手差しされた印刷媒体(カット紙)に対して印刷可能である場合には、本発明を、印刷機構4に適用してもよい。また、本発明は、複合機Aに限らず、手差しされる搬送対象物を搬送するものであれば、あらゆる搬送装置に適用可能であり、例えば、スキャン動作のみを実行可能な装置或いは印刷のみを実行可能な装置に適用可能である。搬送対象物についても、手差しされる搬送装置に応じて、原稿Bのほか、印刷媒体など、種々のものを用いることができ、そのサイズおよび材質は、特に限定されるものではない。
【0130】
スキャン動作制御プログラムを、コンピューターで読取り可能な記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供してもよい。
【符号の説明】
【0131】
2…操作パネル、3…読取機構、5…コントローラー、6…ストレージ、7…媒体インターフェース、8…通信インターフェース、9…タイマー、21…タッチパネル、22…操作ボタン、34…原稿検出部、51…CPU、52…ROM、53…RAM、323…搬送モーター、331…光源、332…イメージセンサー、A…複合機、M…記憶媒体、PC…コンピューター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9