特許第6794831号(P6794831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794831
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20201119BHJP
【FI】
   H01R24/38
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-257175(P2016-257175)
(22)【出願日】2016年12月29日
(65)【公開番号】特開2018-110068(P2018-110068A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】本田 将博
(72)【発明者】
【氏名】中村 進吾
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 力
(72)【発明者】
【氏名】幸西 克己
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−191341(JP,A)
【文献】 特開2009−140687(JP,A)
【文献】 特開2005−050720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00−12/91
24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外部導体と、センターピンまたはソケットとを備えた第1コネクタと、
第2外部導体と、ソケットまたはセンターピンとを備えた第2コネクタと、を備え、
前記第1外部導体と前記第2外部導体とを接続するとともに、前記第1コネクタの前記センターピンと前記第2コネクタの前記ソケットとを接続するか、または、前記第1コネクタの前記ソケットと前記第2コネクタの前記センターピンとを接続して使用する同軸コネクタであって、
前記第1外部導体は、底面が実装面である外枠部と、前記外枠部の内側に配置され、かつ、前記外枠部と少なくとも2つの梁部によって繋がれた内在部と、を備え、
前記梁部を前記外枠部および前記内在部の双方に対して屈曲させることによって、前記内在部は前記外枠部よりも高い位置に配置され、前記内在部は前記実装面から浮いており、
平面方向に見たとき、前記外枠部と前記内在部との間には、少なくとも2つの前記梁部と、前記梁部同士の間に設けられた少なくとも2つの貫通孔とが存在し、
前記貫通孔部分における前記内在部の縁部は、第1ロック爪を構成し、
前記第2外部導体は、筒状部を備え、
前記筒状部は、少なくとも2つの切欠きによって分断されることによって、少なくとも2つの筒状片を備え、
前記筒状片の内側、かつ、先端または先端近傍に、第2ロック爪が形成され、
前記筒状片を前記貫通孔に挿通させ、前記第1ロック爪と前記第2ロック爪とを係合させることによって、前記第1外部導体と前記第2外部導体とを接続する同軸コネクタ。
【請求項2】
4つの前記梁部と、
4つの前記貫通孔と、
4つの前記筒状片と、を備えた、請求項1に記載された同軸コネクタ。
【請求項3】
前記第1コネクタが、
前記第1コネクタの前記センターピンまたは前記ソケットを固定し、かつ、前記第1外部導体から絶縁する、絶縁体を備え、
当該絶縁体に、少なくとも1つの凸状ガイドが形成された、請求項1または2に記載された同軸コネクタ。
【請求項4】
4つの前記凸状ガイドを備えた、請求項3に記載された同軸コネクタ。
【請求項5】
前記第1コネクタの前記センターピンまたは前記ソケットが、はんだ付け部を備え、
前記第1コネクタの前記絶縁体の外縁、かつ、前記絶縁体と前記内在部との間に、開口部が形成され、
前記センターピンまたは前記ソケットの前記はんだ付け部が、前記開口部に収容された、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された同軸コネクタ。
【請求項6】
前記第2コネクタが、
前記第2コネクタの前記センターピンまたは前記ソケットを固定し、かつ、前記第2外部導体から絶縁する、少なくとも1つのブロックからなる、絶縁体を備え、
当該絶縁体に、切欠き状ガイドが形成された、請求項3または4に記載された同軸コネクタ。
【請求項7】
4つの前記切欠き状ガイドを備えた、請求項6に記載された同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1コネクタと第2コネクタとを備えた同軸コネクタに関し、さらに詳しくは、第1コネクタと第2コネクタとを接続した際の高さ寸法が小さい同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の同軸コネクタが、特許文献1(特開2013-98122号公報)に開示されている。
【0003】
図9(A)、(B)に、特許文献1に開示された同軸コネクタ500を示す。ただし、同軸コネクタ500は、第1コネクタ(同軸コネクタレセプタクル)500Aと、第2コネクタ(同軸コネクタプラグ)500Bとからなり、図9(A)は第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとを接続する前の状態を示し、図9(B)は第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとを接続した後の状態を示す。
【0004】
第1コネクタ500Aは、円筒状の外部導体(外部導体部)101と、センターピン(中心導体部)102とを備える。外部導体101とセンターピン102との間は、絶縁体103によって絶縁されている。外部導体101の外周には、ロック溝104が形成されている。また、第1コネクタ500Aには、平面方向に延びる、はんだ付け部(外部導体)105aとはんだ付け部(中心導体)105bとが形成されている。はんだ付け部105a、105bは、第1コネクタ500Aを基板のランド電極などに実装する際に、はんだ付けするためのものである。なお、はんだ付け部105aは外部導体101と一体的に形成され、はんだ付け部105bはセンターピン102と一体的に形成されている。
【0005】
第2コネクタ500Bは、円筒状の外部導体(外部導体部)106と、ソケット(中心導体)107とを備える。外部導体106とソケット107との間は、絶縁体108によって絶縁されている。外部導体106と一体的に、第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとを接続する際に位置を合せるためのガイドとなるスカート部109が形成されている。また、外部導体106の内周であって、スカート部109の付根部分にロック爪110が形成されている。
【0006】
同軸コネクタ500は、図9(B)に示すように、第1コネクタ500Aの外部導体101と第2コネクタ500Bの外部導体106とを接続するとともに、第1コネクタ500Aのセンターピン102と第2コネクタ500Bのソケット107とを接続して使用する。ことのき、第1コネクタ500Aのロック溝104に、第2コネクタ500Bのロック爪110が係合(ロック)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-98122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
同軸コネクタ500は、第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとを、360度、全ての角度で接続できる構造になっていた。すなわち、接続した状態において、固定された第1コネクタ500Aに対して、第2コネクタ500Bを、360度、回転させることが可能になっていた。
【0009】
そのため、同軸コネクタ500では、第2コネクタ500Bの絶縁体108と、第1コネクタ500Aの円筒状の外部導体101とが、干渉しない構造になっていた。また、第2コネクタ500Bのスカート部109と、第1コネクタ500Aのはんだ付け部105a、105bとが、干渉しない構造になっていた。そのため、同軸コネクタ500は、第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bと接続した際の、同軸コネクタ500の高さ寸法が大きくなってしまうという問題があった。すなわち、固定された第1コネクタ500Aに対して、第2コネクタ500Bを、360度、回転可能にしなければならないため、絶縁体108と外部導体101とに切欠きを設け、両者の切り欠き同士を嵌合させることによって、接続した際の高さ寸法を小さくすることや、スカート部109に切欠きを設け、その切欠きを、はんだ付け部105a、105bと嵌合させることによって、接続した際の高さ寸法を小さくすることができなかった。
【0010】
また、同軸コネクタ500において、第2コネクタ500Bのスカート部109が長いほど、いわゆる誘い込み量が大きくなり、スカート部109が第1コネクタ500Aの外部導体101の上側の開口の縁部に当接しやすくなり、第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとを接続する際の位置合わせが容易になるため好ましい。すなわち、第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとの接続の容易さは、図9(B)に示す、スカート部109の誘い込み量Sと、外部導体101の円筒状部分の縁部に設けたテーパーの誘い込み量Tとの和の大きさに依存するが、外部導体101の厚みを利用して設けられたテーパーの誘い込み量Tを大きくするには限界があるため、スカート部109を長くして誘い込み量Sを大きくすることが好ましい。
【0011】
しかしながら、第2コネクタ500Bのスカート部109を長くすると、スカート部109と、第1コネクタ500Aのはんだ付け部105a、105bとが干渉してしまう(接触してしまう)。そこで、同軸コネクタ500では、第1コネクタ500Aの外部導体101の高さを一定以上大きくし、かつ、ロック溝104の形成位置を上方向にシフトさせることによって、スカート部109の最低限の長さを確保していた。
【0012】
しかしながら、外部導体101の高さを大きくして、ロック溝104の形成位置を上方向にシフトさせると、第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bと接続した際の、同軸コネクタ500の高さ寸法が大きくなってしまうという問題があった。また、外部導体101の高さを大きくして、ロック溝104の形成位置を上方向にシフトしたとしても、スカート部109の長さには限界があり、あまり大きな誘い込み量を確保することができず、第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとを接続する際の位置合わせが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その手段として本発明の同軸コネクタは、第1外部導体と、センターピンまたはソケットとを備えた第1コネクタと、第2外部導体と、ソケットまたはセンターピンとを備えた第2コネクタと、を備え、第1外部導体と第2外部導体とを接続するとともに、第1コネクタの前記センターピンと第2コネクタのソケットとを接続するか、または、第1コネクタのソケットと第2コネクタのセンターピンとを接続して使用するものであって、第1外部導体は、底面が実装面である外枠部と、外枠部の内側に配置され、かつ、外枠部と少なくとも2つの梁部によって繋がれた内在部と、を備え、梁部を外枠部および内在部の双方に対して屈曲させることによって、内在部は外枠部よりも高い位置に配置され、内在部は実装面から浮いており、平面方向に見たとき、外枠部と内在部との間には、少なくとも2つの梁部と、梁部同士の間に設けられた少なくとも2つの貫通孔とが存在し、貫通孔部分における内在部の縁部は、第1ロック爪を構成し、第2外部導体は、筒状部を備え、筒状部は、少なくとも2つの切欠きによって分断されることによって、少なくとも2つの筒状片を備え、筒状片の内側、かつ、先端または先端近傍に、第2ロック爪が形成され、筒状片を貫通孔に挿通させ、第1ロック爪と第2ロック爪とを係合させることによって、第1外部導体と第2外部導体とを接続するようにした。
【0014】
4つの梁部と、4つの貫通孔と、4つの筒状片と、を備えることが好ましい。この場合には、第1コネクタと第2コネクタとを、安定して接続させることができる。また、4つの梁部と、4つの貫通孔と、4つの筒状片とを、それぞれ、90度の角度でずらして形成すれば、第1コネクタと第2コネクタとを、90度ごとに4通りの角度で接続することができる。すなわち、基板などに実装された第1コネクタに対して、同軸ケーブルの接続された第2コネクタを、4通りの方向から接続することが可能になる。
【0015】
第1コネクタが、第1コネクタのセンターピンまたはソケットを固定し、かつ、第1外導体から絶縁する、絶縁体を備え、その絶縁体に、少なくとも1つの凸状ガイドが形成されることが好ましい。この場合には、凸状ガイドの誘い込み量を大きくすることが可能で、容易に第1コネクタと第2コネクタとを接続できるようにすることができる。すなわち、凸状ガイドは、従来のように外部導体を利用して形成したものではなく、絶縁体を利用して形成したものであるため、形状や寸法上の制約がなく、誘い込み量を大きくすることが可能で、容易に第1コネクタと第2コネクタとを接続できるようにすることができる。なお、凸状ガイド同士の間には凹部が形成され、その凹部と、第2コネクタの絶縁体とを嵌合させることができるため、第2コネクタに絶縁体を設けたとしても、第1コネクタと第2コネクタと接続した際の、同軸コネクタの高さ寸法が大きくなってしまうことがない。
【0016】
4つの凸状ガイドを備えることが好ましい。この場合には、第1コネクタと第2コネクタとを、安定して接続させることができる。また、4つの凸状ガイドを、90度の角度でずらして形成すれば、第1コネクタと第2コネクタとを、90度ごとに4通りの角度で接続することができる。
【0017】
第1コネクタのセンターピンまたはソケットが、はんだ付け部を備え、第1コネクタの絶縁体の外縁、かつ、絶縁体と内在部との間に、開口部が形成され、センターピンまたはソケットのはんだ付け部が、開口部に収容されることが好ましい。この場合には、容易に、センターピンまたはソケットと、第1外部導体とが干渉しない構造にすることができる。
【0018】
第2コネクタが、第2コネクタのセンターピンまたはソケットを固定し、かつ、第2外部導体から絶縁する、少なくとも1つのブロックからなる、絶縁体を備え、その絶縁体に、切欠き状ガイドが形成されることが好ましい。この場合には、切欠き状ガイドの誘い込み量を大きくすることが可能であり、容易に第1コネクタと第2コネクタとを接続できるようにすることができる。また、第1コネクタと第2コネクタとを接続した際には、切欠き状ガイドと、第1コネクタの凸状ガイドとが嵌合される。また、第1コネクタの凸状ガイド同士の間に形成された凹部と、第2コネクタの絶縁体とが嵌合される。そのため、第1コネクタの絶縁体に凸状ガイドを設け、第2コネクタに絶縁体を設けているにもかかわらず、第1コネクタと第2コネクタと接続した際の、同軸コネクタの高さ寸法が大きくなってしまうことがない。
【0019】
4つの切欠き状ガイドを備えることが好ましい。この場合には、第1コネクタと第2コネクタとを、安定して接続させることができる。また、4つの切欠き状ガイドを、90度の角度でずらして形成すれば、第1コネクタと第2コネクタとを、90度ごとに4通りの角度で接続することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の同軸コネクタは、第1コネクタの第1ロック爪を、実装面から僅かに浮いただけの第1外部導体の内在部に形成し、第2コネクタの第2ロック爪を、第2外部導体の筒状片の先端または先端近傍に形成しているため、第1コネクタと第2コネクタとを接続した際の高さ寸法を、極めて小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1(A)は、実施形態にかる同軸コネクタ100の第1コネクタ100Aを上側からみた斜視図である。図1(B)は、第1コネクタ100Aを下側からみた斜視図である。
図2】第1コネクタ100Aの断面図であり、図1(A)の一点鎖線X-X部分を示している。
図3】第1コネクタ100Aの分解斜視図である。
図4図4(A)は、実施形態にかる同軸コネクタ100の第2コネクタ100Bを上側からみた斜視図である。図4(B)は、第2コネクタ100Bを下側からみた斜視図である。
図5】第2コネクタ100Bの分解斜視図である。
図6図6(A)、(B)は、それぞれ、第2コネクタ100Bの要部斜視図であり、一体成形されたソケット50と絶縁体70とを示している。
図7】接続する前の第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを示す断面図である。
図8】接続した後の第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを示す断面図である。
図9図9(A)、(B)は、それぞれ、特許文献1に記載された同軸コネクタ500の断面図である。ただし、同軸コネクタ500は第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとで構成され、図9(A)は第1コネクタ500Aと第2コネクタ500Bとを接続する前の状態を示し、図9(B)は接続した後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0023】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、図面は、実施形態の理解を助けるためのものであり、必ずしも厳密に描画されていない場合がある。たとえば、描画された構成要素ないし構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0024】
図1図6に、実施形態にかる同軸コネクタ100を示す。同軸コネクタ100は、相互に接続することが可能な、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとで構成されている。図1(A)は第1コネクタ100Aを上側からみた斜視図、図1(B)は第1コネクタ100Aを下側からみた斜視図である。図2は、第1コネクタ100Aの断面図であり、図1(A)の一点鎖線X-X部分を示している。図3は第1コネクタ100Aの分解斜視図である。図4(A)は第2コネクタ100Bを上側からみた斜視図、図4(B)は第2コネクタ100Bを下側からみた斜視図である。図5は第2コネクタ100Bの分解斜視図である。図6(A)、(B)は、それぞれ、第2コネクタ100Bの要部斜視図であり、一体成形されたソケット50と絶縁体70とを示している。なお、図6(A)が第1コネクタ100Aの接続される側を示し、図6(B)がその裏側を示している。
【0025】
第1コネクタ100Aは、図1(A)、(B)、図2図3に示すように、板状の第1外部導体10と、センターピン20と、絶縁体30とを備えている。第1外部導体10とセンターピン20とは、それぞれ、たとえば、リン青銅などの金属板が加工されて作製されたものであり、表面にNi、Ag、Auなどのめっきが施されている。絶縁体30は、樹脂によって作製されている。第1外部導体10とセンターピン20と絶縁体(樹脂)30とが、一体成形によって一体化されている。
【0026】
第1外部導体10は、底面が実装面である外枠部11と、外枠部11の内側に配置された内在部12とを備えている。外枠部11と内在部12とは、4つの梁部13によって繋がれている。その結果、平面方向に見たとき、外枠部11と内在部12との間には、4つの梁部13と、梁部13同士の間に設けられた4つの貫通孔14とが存在している。
【0027】
図2に示すように、梁部13は、外枠部11および内在部12の双方に対して屈曲している。その結果、内在部12は、外枠部11よりも高い位置に配置され、実装面から浮いている。
【0028】
内在部12の貫通孔14部分における縁部が、第1ロック爪15を構成している。第1ロック爪15は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続する際に、第2コネクタ100Bの後述する第2ロック爪43と係合させるためのものである。
【0029】
センターピン20は、後述するソケットの貫通孔51に挿入するための接続部21と、第1コネクタ100Aを実装する際に使用するピン状のはんだ付け部22とを備えている。
【0030】
絶縁体30に、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとの接続を容易にするための、4つの凸状ガイド31が形成されている。凸状ガイド31には、円形の外周部に、誘い込みのためのテーパーが形成されている。凸状ガイド31は、従来のスカート部ように外導体に形成されたものではなく、絶縁体30に形成されたものであるため、形状および寸法の設計自由度が高く、大きな誘い込み量を備えている。
【0031】
凸状ガイド31同士の間には、それぞれ、凹部32が形成されている。凹部32は、後述する第2コネクタ100Bの絶縁体70の、縦構造体71と横構造体72とを嵌合(収容)し、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続した際の、高さ寸法が大きくならないようにするためのものである。
【0032】
また、絶縁体30の外縁、かつ、絶縁体30と内在部12との間に、開口部33が形成されている。そして、開口部33に、センターピン20のピン状のはんだ付け部22が収容されている。この結果、センターピン20と、第1外部導体10とが干渉しない構造になっている。
【0033】
第2コネクタ100Bは、図4図5図6(A)、(B)に示すように、第2外部導体40と、ソケット50と、2つの絶縁体60、70とを備えている。第2外部導体40とソケット50とは、それぞれ、たとえば、リン青銅などの金属板が加工されて作製されたものであり、表面にNi、Ag、Auなどのめっきが施されている。絶縁体60、70は、樹脂によって作製されている。第2外部導体40と絶縁体60とが、一体成形によって一体化されている。また、ソケット50と絶縁体70とが、一体成形によって一体化されている。そして、後述するように、一体化されたソケット50および絶縁体70が、絶縁体60と一体化された第2外部導体40に固定されている。
【0034】
第2外部導体40には、切り起こしにより、4つの抜け止め41が形成されている。抜け止め41は、一体成形された絶縁体60が、第2外部導体40から離脱するのを防止するためのものである。
【0035】
第2外部導体40は、筒状部42を備えている。筒状部42は、4つの切欠き42aによって分断されることによって、4つの筒状片42bに区分されている。
【0036】
4つの筒状片42bの内側、かつ、先端近傍に、それぞれ、第2ロック爪43が形成されている。第2ロック爪43は、たとえば、筒状部42(筒状片42b)を、外側から、鍛造加工、もしくは、鍛造加工および曲げ加工することによって形成されている。
【0037】
第2外部導体40は、一体化されたソケット50および絶縁体70を、かしめによって固定するための、1対の板状かしめ部44を備えている。
【0038】
絶縁体60は、縦構造体61と、横構造体62とが交差した、十字形状をしている。
【0039】
上述したとおり、一体成形によって、第2外部導体40と絶縁体60とが一体化されている。
【0040】
ソケット50は、図5図6(A)、(B)に示すように、短冊形状をしている。
【0041】
ソケット50には、第1コネクタ100Aのセンターピン20の接続部21が挿入される、貫通孔51が形成されている。
【0042】
ソケット50には、貫通孔51の両側に、センターピン20の接続部21の貫通孔51への挿入をガイドするとともに、センターピン20の接続部21と接触して電気的接続をはかるための、1対の接続部52が形成されている。
【0043】
絶縁体70は、縦構造体71と、横構造体72とが交差した、十字形状をしている。
【0044】
絶縁体70には、縦構造体71と横構造体72との交差部分に、貫通孔73が形成されている。
【0045】
絶縁体70の縦構造体71と横構造体72との交差部分の4つの外側に、テーパーが設けられ、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとの接続を容易にするための、切欠き状ガイド74が形成されている。切欠き状ガイド74は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続する際に、第2コネクタ100Bの凸状ガイド31と当接して、接続を容易にする。切欠き状ガイド74は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続した後には、第1コネクタ100Aの凸状ガイド31と嵌合される。
【0046】
絶縁体70の終端に、第2外部導体40の板状かしめ部44を、かしめて係止するための、1対のフランジ75が形成されている。
【0047】
絶縁体70の裏側(図6(B)に示す側)には、第2外部導体40と一体化された絶縁体60を嵌合させるための凹部76が形成されている。凹部76は、絶縁体60の形状に合わせて、十字形状に形成されている。
【0048】
上述したとおり、一体成形によって、ソケット50と絶縁体70とが一体化されている。一体化されたソケット50および絶縁体70において、ソケット50の貫通孔51および接続部52が、絶縁体70の貫通孔73部分に配置されている。ソケット50は、絶縁体70の貫通孔73部分に両持ち固定されており、貫通孔51および接続部52の位置が、ぐらつくことがない。
【0049】
図示しないが、第2コネクタ100Bには、同軸ケーブルが接続される。より具体的には、同軸ケーブルの中心導体が、ソケット50に接続される。また、同軸ケーブルの外部網状導体が、第2外部導体40に接続される。
【0050】
上述したとおり、一体化されたソケット50および絶縁体70が、絶縁体60と一体化された第2外部導体40に固定されている。
【0051】
固定に際しては、十字形状の絶縁体60に、絶縁体70の十字形状の凹部76が嵌合される。そのため、絶縁体70およびソケット50は、第2外部導体40に対して、極めて高い位置精度で固定されている。
【0052】
固定は、絶縁体70の横構造体72の両端を、予め第2外部導体40を切り欠いて形成された1対の係止片45に係止し、続いて絶縁体70をスライドさせて、絶縁体70の縦構造体71の先端を、予め第2外部導体40を切り欠いて形成された係止片45に係止したうえで、第2外部導体40の1対の板状かしめ部44を折り曲げ、絶縁体70の1対のフランジ75上にかしめることによっておこなわれている。
【0053】
以上のような構造からなる第1コネクタ100A、第2コネクタ100Bは、それぞれ、従来から同軸コネクタを製造するのに広く使用されている製造方法によって製造することができる。簡単に説明すると、次のとおりである。
【0054】
まず、第1コネクタ100Aの第1外部導体10、センターピン20、第2コネクタ100Bの第2外部導体40、ソケット50の、それぞれの材料となる、リン青銅などの金属板を用意する。
【0055】
次に、用意した金属板に対して、打抜き加工、曲げ加工、絞り加工、切削加工、鍛造加工などを、適宜、施して、第1外部導体10、センターピン20、第2外部導体40、ソケット50を作製する。なお、これらの工程は、通常、第1外部導体10、センターピン20、第2外部導体40、ソケット50を、それぞれ、リードフレームに接続した状態でおこなう。
【0056】
次に、第1外部導体10、センターピン20、第2外部導体40、ソケット50の表面に、それぞれ、めっきを施す。
【0057】
次に、金型を用意し、金型の内部に第1外部導体10とセンターピン20とを収容したうえで、金型の内部に樹脂を注入し、硬化させて、所定の形状からなる絶縁体30を成形する。同様に、金型の内部に第2外部導体40を収容したうえで、金型の内部に樹脂を注入し、硬化させて、所定の形状からなる絶縁体60を成形する。同様に、金型の内部にソケット50を収容したうえで、金型の内部に樹脂を注入し、硬化させて、所定の形状からなる絶縁体70を成形する。これらの工程も、通常、第1外部導体10、センターピン20、第2外部導体40、ソケット50を、それぞれ、リードフレームに接続した状態でおこなう。
【0058】
次に、絶縁体30と一体化された、第1外部導体10およびセンターピン20を、それぞれ、リードフレームから切り離す。これにより、第1コネクタ100Aが完成する。
【0059】
同様に、絶縁体60と一体化された第2外部導体40を、リードフレームから切り離す。また、絶縁体70と一体化されたソケット50を、リードフレームから切り離す。次に、一体化されたソケット50および絶縁体70を、絶縁体60と一体化された第2外部導体40に固定し、第2コネクタ100Bを完成させる。そして、完成した第2コネクタ100Bに、同軸ケーブル(図示せず)を接続する。
【0060】
以上により、第1コネクタ100Aおよび第2コネクタ100Bからなる、同軸コネクタ100が完成する。
【0061】
次に、図7(A)、(B)、図8を参照して、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとの接続方法について説明する。なお、図7(A)は、接続する前の第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを示す断面図である。図7(B)は、接続した後の第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを示す断面図である。図8は、図7(B)を部分的に拡大して示した要部断面図である。
【0062】
まず、図7(A)に示すように、第1コネクタ100Aのセンターピン20が形成された側と第2コネクタ100Bのソケット50が形成された側とを対向させて、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを配置する。なお、このとき、第1コネクタ100Aは、既に基板などに実装されている。また、第2コネクタ100Bには、上述したように、同軸ケーブル(図示せず)が接続されている。
【0063】
次に、第1コネクタ100Aに対して、第2コネクタ100Bを接近させてゆく。
【0064】
この結果、まず、第1コネクタ100Aの凸状ガイド31の円形の外周部と、第2コネクタ100Bの第2外部導体40の筒状片42bとが当接する。さらに、第1コネクタ100Aに対して、第2コネクタ100Bを接近させてゆくと、凸状ガイド31の円形の外周部のテーパーにガイドされて第2外部導体40の筒状片42bがスライドし、第1コネクタ100Aの中心軸と第2コネクタ100Bの中心軸とが正確に一致する。
【0065】
そして、さらに、第1コネクタ100Aに対して、第2コネクタ100Bを接近させてゆくと、図7(B)、図8に示すように、4つの凸状ガイド31と、4つの切欠き状ガイド74とが嵌合し、4つの凹部32と、絶縁体70の縦構造体71、横構造体72とが嵌合し、ソケット50の貫通孔51にセンターピン20の接続部21が挿通され、4つの筒状片42bが4つの貫通孔14に挿通され、各第1ロック爪15と各第2ロック爪43とが係合して、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとの接続が完了する。
【0066】
以上説明した、実施形態にかかる同軸コネクタ100は、次のような特長を備えている。
【0067】
同軸コネクタ100は、第1コネクタ100Aの第1ロック爪15を、実装面から僅かに浮いただけの第1外部導体10の内在部12に形成し、第2コネクタ100Bの第2ロック爪43を、第2外部導体40の筒状片42bの先端近傍に形成しているため、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続した際の高さ寸法が、極めて小さい。
【0068】
同軸コネクタ100は、凸状ガイド31が絶縁体30に形成され、切欠き状ガイド74が絶縁体70に形成され、従来のガイドであるスカート部のように外部導体に形成されたものではないため、凸状ガイド31および切欠き状ガイド74それぞれの形状および寸法の設計自由度が高く、凸状ガイド31および切欠き状ガイド74それぞれのテーパーに、十分に大きな誘い込み量を設けることが可能である。したがって、同軸コネクタ100は、第1コネクタと第2コネクタとの接続が容易である。
【0069】
特に、第1コネクタ100Aの絶縁体30に形成された凸状ガイド31は、円形の外周部に非常に大きなテーパーが形成されており、第2コネクタの筒状片42bを小さくしても、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとの接続が容易である。そのため、同軸コネクタ100では、筒状片42bを小さくし、かつ、第1ロック爪15と第2ロック爪43とのロック位置を低くすることによって、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続した際の高さ寸法が、極めて小さくされている。
【0070】
同軸コネクタ100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続した際に、凸状ガイド31と切欠き状ガイド74とが嵌合し、凹部32と絶縁体70の縦構造体71、横構造体72とが嵌合する。そのため、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bとを接続した際に、凸状ガイド31や絶縁体70を形成したことに起因して、高さ寸法が大きくなることがない。
【0071】
同軸コネクタ100においては、第1コネクタ100Aに、4つの凸状ガイド31を90度の角度でずらして形成し、かつ、第2コネクタ100Bに、4つの切欠き状ガイド74を90度の角度でずらして形成しているため、第1コネクタに対して、第2コネクタを、90度ごとに4通りの角度で接続することができる。すなわち、同軸コネクタ100においては、第2コネクタ100Bに接続された同軸ケーブル(図示せず)を、90度ごとに4方向に引き出すことができる。
【0072】
同軸コネクタ100は、第2コネクタ100Bにおいて、ソケット50が絶縁体70に両持ち固定されているため、ソケット50が、ぐらつくことがない。したがって、ソケット50の貫通孔51および接続部52が、常に高い精度で所定の位置に配置されている。
【0073】
以上、実施形態にかかる同軸コネクタ100について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変更を加えることができる。
【0074】
たとえば、同軸コネクタ100では、第1コネクタ100Aにセンターピン20を形成し、第2コネクタ100Bにソケット50を形成したが、これを入れ替えて、第1コネクタ100Aにソケット50を形成し、第2コネクタ100Bにセンターピン20を形成しても良い。
【0075】
また、同軸コネクタ100では、第1コネクタ100Aに、4つの梁部13と、4つの貫通孔14と、4つの凸状ガイド31とを形成し、第2コネクタ100Bに、4つの筒状片42bと、4つの切欠き状ガイド74とを形成したが、これらの数は任意であり、それぞれの数を増減することができる。
【0076】
また、同軸コネクタ100では、第2コネクタ100Bの絶縁体を、絶縁体60と絶縁体70の2つのブロックで構成したが、ブロックの数は任意であり、増減することができる。たとえば、絶縁体60を省略し、絶縁体70のみにしても良い。
【符号の説明】
【0077】
100・・・同軸コネクタ
100A・・・第1コネクタ
10・・・第1外部導体
11・・・外枠部
12・・・内在部
13・・・梁部
14・・・貫通孔
15・・・第1ロック爪
20・・・センターピン
21・・・接続部
22・・・はんだ付け部
30・・・絶縁体(樹脂)
31・・・凸状ガイド
32・・・凹部
33・・・開口部
100B・・・第2コネクタ
40・・・第2外部導体
41・・・抜け止め
42・・・筒状部
42a・・・切欠き
42b・・・筒状片
43・・・第2ロック爪
44・・・板状かしめ部
45・・・係止片
50・・・ソケット
51・・・貫通孔
52・・・接続部
60・・・絶縁体(樹脂)
61・・・縦構造体
62・・・横構造体
70・・・絶縁体(樹脂)
71・・・縦構造体
72・・・横構造体
73・・・貫通孔
74・・・切欠き状ガイド
75・・・フランジ
76・・・凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9