(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、
図1と
図2とを用いて、作業車両の一実施形態に係るクレーン1について説明する。なお、本実施形態においては、作業車両として移動式クレーン(ラフテレーンクレーン)について説明を行うが、乗用型の作業車両であればよい。
【0018】
図1と
図2とに示すように、作業車両であるクレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーン1である。クレーン1は、車両2、クレーン装置6、人物検知システム18(
図3参照)を有する。
【0019】
車両2は、クレーン装置6を搬送するものである。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン4を動力源として走行する。車両2には、アウトリガ5が設けられている。アウトリガ5は、車両2の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
【0020】
クレーン装置6は、搬送物をワイヤロープによって吊り上げるものである。クレーン装置6は、旋回台7、伸縮ブーム8、ジブ9、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16、キャビン17等を具備する。
【0021】
旋回台7は、クレーン装置6を旋回可能に構成するものである。旋回台7は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム上に設けられる。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として図示しない油圧式の旋回モータによって一方向と他方向とに回転自在に構成されている。
【0022】
伸縮ブーム8は、搬送物を吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持するものである。伸縮ブーム8は、複数のブーム部材から構成されている。伸縮ブーム8は、各ブーム部材を図示しない伸縮シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。伸縮ブーム8は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。伸縮ブーム8は、先端が車両2の前方に向かって倒伏した状態で格納されている。伸縮ブーム8の、車両2の前方に向かって左側(以下、単に「左側」と記す)には、伸縮ブーム8の図示しないブームサポートが設けられている。図示しないブームサポートは、ブームサポートカバー8aにより覆われている。これにより、伸縮ブーム8は、車両2のフレーム上で水平回転可能かつ揺動自在に構成されている。
【0023】
ジブ9は、クレーン装置6の揚程や作業半径を拡大するものである。ジブ9は、伸縮ブーム8のベースブーム部材に設けられたジブ支持部によってベースブーム部材に沿った姿勢で保持されている。ジブ9の基端は、トップブーム部材のジブ支持部に連結可能に構成されている。
【0024】
メインフックブロック10は、搬送物を吊るものである。メインフックブロック10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、搬送物を吊るメインフックとが設けられている。サブフックブロック11は、搬送物を吊るものである。サブフックブロック11には、搬送物を吊るサブフックが設けられている。
【0025】
起伏シリンダ12は、伸縮ブーム8を起立および倒伏させ、伸縮ブーム8の姿勢を保持するものである。起伏シリンダ12はシリンダ部とロッド部とからなる油圧シリンダから構成されている。起伏シリンダ12は、シリンダ部の端部が旋回台7に揺動自在に連結され、ロッド部の端部が伸縮ブーム8のベースブーム部材に揺動自在に連結されている。
【0026】
油圧ウインチであるメインウインチ13とサブウインチ15とは、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16との繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行うものである。メインウインチ13は、メインワイヤロープ14が巻きつけられるメインドラムがメイン用油圧モータによって回転され、サブウインチ15は、サブワイヤロープ16が巻きつけられるメインドラムがメイン用油圧モータによって回転されるように構成されている。
【0027】
キャビン17は、操縦席を覆うものである。キャビン17は、旋回台7に搭載されている。キャビン17は、車両2の前方に向かって伸縮ブーム8の右側(以下、単に「右側」と記す)に並んで配置されている。キャビン17の内部には、図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両2を走行操作するための操作具やクレーン装置6を操作するための各種操作具等が設けられている。
【0028】
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏シリンダ12で伸縮ブーム8を任意の起伏角度に起立させて、伸縮ブーム8を任意の伸縮ブーム8長さに延伸させたりジブ9を連結させたりすることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。
【0029】
以下に、
図1から
図9を用いて、クレーン1に設けられている人物検知システム18について説明する。本実施形態において、クレーン1は、キャビン17の左側に伸縮ブーム8が配置されているため、キャビン17内の操縦席から見て左側が伸縮ブーム8によって視認することができない。つまり、クレーン1は、キャビン17内の操縦席からみて車両2の左側が伸縮ブーム8の死角になっている。なお、本実施形態において、人物検知システム18は、作業車両である移動式クレーン1に設けられているが、乗用型の作業車両に設けられていればよい。
【0030】
図3に示すように、人物検知システム18は、検知領域D内の人物を検知するものである。人物検知システム18は、画像データ取得手段であるカメラ19と、画像表示手段であるモニタ20と、報知手段(報知部21d)と、制御装置21とを備える(
図3参照)。
【0031】
画像データ取得手段であるカメラ19は、画像データを取得するものである。カメラ19は、例えば、複数のレンズからなる光学系にCCDやCOMOS等の撮像素子を有し、可変のシャッター速度で動画や静止画を取得可能に構成されている。カメラ19は、旋回台7に搭載されている。カメラ19は、伸縮ブーム8の左側のブームサポートカバー8aに配置されている。カメラ19は、ブームサポートカバー8aから車両2の前方に向けて配置されている。また、カメラ19は、車両2の前後方向に対して所定の角度だけ左方に向けられ、旋回台7の旋回面に対して所定の角度だけ下方に向けられている。このように構成することにより、カメラ19は、車両2の前方左側部分とその周辺部分を撮影領域として、その領域の画像データを取得可能に取り付けられている。つまり、カメラ19は、撮影領域である車両2の前方左側部分とその周辺部分が人物検知を行う検知領域Dになるように設定されている。
【0032】
画像表示手段であるモニタ20は、画像データを表示するものである。モニタ20は、キャビン17内の図示しない操縦席に設けられている。モニタ20は、カメラ19が取得した画像データや報知手段の信号に基づいた報知情報を表示することができる。また、モニタ20は、制御装置21から信号に基づいた基準図形Gsや補助図形Ga(
図9参照)を表示することができる。
【0033】
報知手段は、検知範囲で人物を検知した場合やカメラ19にずれが生じている場合に、操縦者にその旨を報知するものである。報知手段は、モニタ20に報知情報を表示させたり、ブザー音等で報知したりする。本実施形態において、報知手段は、制御装置21の一部である報知部21dとして制御装置21と一体に構成されている(
図3参照)。
【0034】
図3に示すように、制御装置21は、人物検知システム18を制御するものである。制御装置21は、表示制御部21aと、人物検知部21bと、ずれ判定部21cと、報知手段である報知部21dと、を具備する。制御装置21は、キャビン17内に設けられている。制御装置21は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置21は、カメラ19、モニタ20、人物検知部21b、ずれ判定部21c、報知部21dおよび表示制御部21aの動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0035】
表示制御部21aは、制御装置21の一部であり、カメラ19が取得した画像データを制御するものである。表示制御部21aは、カメラ19から画像データを取得し、モニタ20にリアルタイムで表示させる。また、表示制御部21aは、人物検知部21bとずれ判定部21cとに画像データを伝達する。
【0036】
人物検知部21bは、制御装置21の一部であり、検知領域D内の人物を検知するものである。人物検知部21bは、制御装置21と一体に構成されている。人物検知部21bは、任意のアルゴリズムを用いてカメラ19の撮影領域である検知領域D(
図1と
図2参照)の検知画像データDdから、検知領域D内の人物を検知する(
図4参照)。
【0037】
ずれ判定部21cは、制御装置21の一部であり、検知領域Dが、基準位置にあるカメラ19による撮影領域(以下、単に「基準領域S」(
図7参照)と記す)と比較してずれているか否か判定するものである。ずれ判定部21cは、制御装置21と一体に構成されている。ずれ判定部21cは、任意のアルゴリズムを用いて、予め定められた基準領域Sである車両2の前方左側部分とその周辺部分をカメラ19が検知領域Dとして撮影しているか否か判定する。本実施形態において、ずれ判定部21cは、後述するHOG特徴量とSVM学習のアルゴリズムを利用して、特定範囲の画像データのエッジ(外形線)の角度のヒストグラムと基準領域Sにおける特定範囲のヒストグラムとの比較によってカメラ19のずれを判定する。
【0038】
制御装置21は、表示制御部21aがカメラ19に接続され、カメラ19が撮影する画像データを制御装置21の人物検知部21bとずれ判定部21cとが取得することができる。
【0039】
制御装置21は、モニタ20に接続され、モニタ20に取得した画像データ、警告表示、図形等を表示することができる。
【0040】
制御装置21は、カメラ19から取得した画像データから人物検知部21bによって画像データのHOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量を算出する。さらに、制御装置21の人物検知部21bは、算出したHOG特徴量に基づいてSVM(support vector machine)学習によって人物を検知する。
【0041】
制御装置21は、カメラ19から取得した画像データからずれ判定部21cによって検知画像データDdと基準画像データSdとのヒストグラムを算出する。さらに制御装置21のずれ判定部21cは、算出したヒストグラムに基づいて検知画像データDdと基準画像データSdとにおける所定の領域の座標をそれぞれ特定し、検知画像データDdと基準画像データSdのずれの有無を判定する。
【0042】
図4に示すように、HOG特徴量とは、局所領域(セル)の輝度の勾配方向を輝度の勾配強度に基づいてヒストグラム化したものに基づいて算出される特徴量である。
図4(a)に示すように、人物検知部21bは、検知領域D内の検知画像データDdを局所領域に分割し、局所領域内の輝度の勾配方向と勾配強度を算出する。
図4(b)に示すように、人物検知部21bは、算出した局所領域内の輝度の勾配方向を輝度の勾配強度に基づいてヒストグラム化する。さらに、人物検知部21bは、複数の局所領域におけるヒストグラムを正規化してHOG特徴量を算出する。
【0043】
図5に示すように、SVM学習とは、複数のグループを構成するサンプル毎のHOG特徴量から、各グループに属するサンプルのHOG特徴量とのユークリッド距離が最大となるマージン最大化超平面からなる識別境界を算出し、入力データをパターン認識する方法である。人物検知部21bは、予め歩行者グループ、自転車グループ、バイクグループとそれ以外のグループとを識別するための人物識別境界B1を算出している。
【0044】
具体的には、人物検知部21bは、予め検出対象となる歩行者グループ、自転車グループ、バイクグループ等とそれ以外のグループを構成する複数のサンプル毎のHOG特徴量を算出する。人物検知部21bは、各グループのHOG特徴量の集合において、各グループのHOG特徴量の中で最も他のグループに近い位置にあるものを各グループからそれぞれ抽出し,抽出した各HOG特徴量からのユークリッド距離が最も大きくなる人物識別境界B1を算出する。
【0045】
人物検知制御において、人物検知部21bは、カメラ19が取得した検知領域Dの検知画像データDdを表示制御部21aから取得する。人物検知部21bは、取得した検知画像データDdからHOG特徴量を算出する。人物検知部21bは、SVM学習から予め算出した識別すべきグループ毎の人物識別境界B1に照らし合わせて、取得した画像データのHOG特徴量がいずれかのグループに属するか否か判定する。人物検知部21bは、取得した画像データのHOG特徴量がいずれかのグループに属する場合、検知領域D内に人物を検知したとして報知部21dにその旨の信号を伝達する。
【0046】
図6に示すように、ずれ判定部21cは、HOG特徴量とSVM学習のアルゴリズムを利用して、任意のある時点でのカメラ19の撮影領域である検知領域D内の予め定めた特定範囲の画像データのエッジ(外形線)の角度のヒストグラムと、基準領域Sにおける特定範囲の画像データのヒストグラムと、の比較によってカメラ19のずれを判定する。
【0047】
ずれ判定部21cは、所定の大きさの形状からなる特定範囲の基準ヒストグラムh(n)を予め取得している基準領域Sの基準画像データSdの全範囲において算出する。具体的には、ずれ判定部21cは、基準画像データSdを局所領域に分割し、局所領域内のエッジの角度とその度数を算出する。ずれ判定部21cは、算出した局所領域内のエッジの角度をその度数に基づいてヒストグラム化する。さらに、ずれ判定部21cは、基準画像データSdの全範囲において、最少単位ずつ特定範囲の位置をずらしながら特定範囲に含まれる複数の局所領域におけるヒストグラムを正規化した基準ヒストグラムh(n)を、特定範囲の位置毎に算出する。
【0048】
また、ずれ判定部21cは、予め、基準画像データSdにおいて一の特定範囲の基準ヒストグラムh(k)に対する他の複数の特定範囲の基準ヒストグラムh(s)・h(s+1)・h(s+2)・・の類似度に基づいて、それぞれの類似度からのユークリッド距離が最も大きくなる画像識別境界B2を算出する。具体的には、ずれ判定部21cは、基準画像データSdにおいて複数の基準ヒストグラムh(s)・h(s+1)・h(s+2)・・を算出する。ずれ判定部21cは、基準ヒストグラムh(k)を算出した一の特定範囲を中心として基準画像データSdにおけるスキャニング範囲を定める。ずれ判定部21cは、スキャニング範囲を基準ヒストグラムh(k)でそれぞれスキャニングし、基準ヒストグラムh(s)・h(s+1)・h(s+2)・・毎に各スキャニング位置における基準ヒストグラムh(k)に対する類似度を算出する。ずれ判定部21cは、類似度が1に近い類似度のグループ(高類似度グループ)と、それ以外のグループ(低類似度グループ)との中で最も他のグループに近い位置にあるものをそれぞれ抽出し,抽出した各類似度からのユークリッド距離が最も大きくなる画像識別境界B2を算出する(
図5参照)。
【0049】
ずれ判定制御において、ずれ判定部21cは、任意の状態で配置されているカメラ19が任意の時点で取得した検知領域Dの検知画像データDdを表示制御部21aから取得する(
図3参照)。ずれ判定部21cは、取得した検知領域Dの検知画像データDdにおいて、類似判定を行う所定の範囲である判定範囲Edの画像データを検知画像データDdから切り出す。ずれ判定部21cは、判定範囲Edの画像データを局所領域に分割し、局所領域内のエッジの角度とその度数を算出する。
図6(b)に示すように、ずれ判定部21cは、算出した局所領域内のエッジの角度をその度数に基づいてヒストグラム化する。さらに、ずれ判定部21cは、判定範囲Edの局所領域におけるヒストグラムを正規化した判定ヒストグラムhdを算出する。
【0050】
図7(a)に示すように、ずれ判定部21cは、基準画像データSdにおいて、算出した判定範囲Edの判定ヒストグラムhdに対する基準ヒストグラムh(n)の類似度を算出する。算出した類似度のうち、最も類似度が高い(類似度が1に近い)基準ヒストグラムh(r)を持つ類似範囲Esを特定する。
図7(b)に示すように、ずれ判定部21cは、画像識別境界B2に照らし合わせて、最も高い類似度が高類似度グループと低類似度グループとのうち、いずれのグループに属するか否か判定する。ずれ判定部21cは、最も高い類似度が高類似度グループに属する場合、すなわち、判定ヒストグラムhdと基準ヒストグラムh(r)との類似度が高い場合、判定範囲Edの画像データと類似範囲Esの画像データとが一致していると判定する。
【0051】
図8に示すように、ずれ判定部21cは、検知画像データDdにおける判定範囲Edの所定の座標Pdと基準画像データSdにおける特定した類似範囲Esの所定の座標Psとを比較する。ずれ判定部21cは、座標Pdと座標Psとのユークリッド距離Lが許容値Tを超えている場合、基準領域Sに対して検知領域Dがずれていると判定する。ずれ判定部21cは、判定範囲Edに対する類似範囲Esの特定、および座標のユークリッド距離Lによるずれ判定を複数回行い、連続して所定回数Nだけ基準領域Sに対して検知領域Dがずれている旨の判定をした場合、基準領域Sに対して検知領域Dがずれている旨の判定を確定させる。すなわち、ずれ判定部21cは、カメラ19の取付角度や取付位置などを含むカメラ19の位置がカメラ19の基準位置に対してずれが生じていると判定する。
【0052】
図9に示すように、ずれ判定部21cは、カメラ19の位置調整が必要である位置ずれ信号を報知部21dに伝達するとともに、表示制御部21aを介して基準図形Gsや補助図形Gaを検知画像データDdに重畳表示させる。報知部21dは、位置ずれ信号を取得すると、モニタ20にその旨を示すマークMや文字情報を表示したりブザー音を発したりする。
【0053】
基準図形Gsは、カメラ19の位置を調整する際の基準となる図形である。基準図形Gsには、基準領域Sにおいて、常に基準画像データSdに含まれている車両2の左側面や左側バックミラーの外形線から構成されている(
図9(b)における太い実線)。補助図形Gaは、カメラ19の位置を調整する際の調整幅を示す図形である(
図9(b)における細い二点鎖線)。補助図形Gaは、カメラ19の位置の許容ずれ幅を示す図形から構成されている。つまり、補助図形Gaは、基準図形Gsを中心としてカメラ19の位置がずれていないとみなされる調整幅を表示している。
【0054】
ずれ判定部21cは、ずれ判定制御において検知領域Dと基準領域Sとがずれていないと判定した場合、表示制御部21aを介して基準図形Gsと補助図形Gaとの表示を消去するとともに、位置ずれ無し信号を報知部21dに伝達する。報知部21dは、位置ずれ信号を取得すると、モニタ20に表示している位置ずれが有る旨を示すマークや文字情報を消去したりブザー音を停止させたりする。
【0055】
以下に、
図10から
図12を用いて、クレーン1の人物検知システム18におけるカメラ19の位置ずれ判定制御について具体的に説明する。本実施形態において、クレーン1は、電源がオン状態にされた直後であるものとする。また、制御装置21の人物検知部21bは、予め人物を検知するためのHOG特徴量の人物識別境界B1を算出している。さらに、制御装置21のずれ判定部21cは、予め基準画像データSdを取得し、その全範囲において特定範囲毎の基準ヒストグラムh(n)を算出し、基準ヒストグラムh(n)と判定範囲Edの判定ヒストグラムhdとの類似度を判定するための類似度の画像識別境界B2を算出しているものとする。
【0056】
人物検知システム18は、クレーン1の電源がオン状態にされると制御を開始する。人物検知システム18の制御装置21は、まず人物検知部21bによって人物検知制御を開始する。人物検知部21bは、表示制御部21aを介してカメラ19から検知領域Dの検知画像データDdを取得し、HOG特徴量を算出する。人物検知部21bは、HOG特徴量から検知領域D内に人物が存在するか否かを判定する。次に、制御装置21は、ずれ判定部21cによってずれ判定制御を開始する。
【0057】
ずれ判定部21cは、表示制御部21aを介してカメラ19から取得した検知領域Dの検知画像データDdから判定範囲Edの判定ヒストグラムhdを算出する。ずれ判定部21cは、基準画像データSdにおいて、算出した判定範囲Edに対する類似範囲Esを特定する。ずれ判定部21cは、検知画像データDdにおける判定範囲Edの座標Pdと基準画像データSdにおける特定した類似範囲Esの座標Psとのユークリッド距離Lが許容値Tを超えている場合、基準領域Sに対して検知領域Dがずれていると判定し、表示制御部21aを介して基準図形Gsと補助図形Gaを検知画像データDdに重畳表示させる。
【0058】
図10に示すように、ステップS110において、制御装置21は、カメラ19から検知領域Dの検知画像データDdを取得し、ステップをステップS200に移行させる。
【0059】
ステップS200において、制御装置21は、人物検知制御Aを開始し、ステップをステップS210に移行させる(
図11参照)。そして、人物検知制御Aが終了するとステップをステップS300に移行させる(
図10参照)。
【0060】
ステップS300において、制御装置21は、ずれ判定制御Bを開始し、ステップをステップS310に移行させる(
図12参照)。そして、ずれ判定制御Bが終了するとステップをステップS110に移行させる(
図10参照)。
【0061】
図11に示すように、ステップS210において、制御装置21は、人物検知制御Aを開始し、取得した検知画像データDdからHOG特徴量を算出し、ステップをステップS220に移行させる。
【0062】
ステップS220において、制御装置21は、算出したHOG特徴量を人物識別境界B1に照らし合わせて、歩行者グループ、自転車グループおよびバイクグループからなる人物を含むHOG特徴量を持つ人物グループのいずれかに属するか否か判定する。
その結果、算出したHOG特徴量が歩行者グループ、自転車グループおよびバイクグループのいずれかに属する場合、制御装置21はステップをステップS230に移行させる。
一方、算出したHOG特徴量が歩行者グループ、自転車グループおよびバイクグループのいずれかに属さない場合、すなわち、算出したHOG特徴量が人物のものではない場合、制御装置21はステップをステップS240に移行させる。
【0063】
ステップS230において、制御装置21は、検知領域D内に人物を検知したとして報知部21dに人物有り信号を伝達し、人物検知制御Aを終了し、ステップをステップS300に移行させる(
図10参照)。
【0064】
ステップS240において、制御装置21は、検知領域D内に人物を検知しないとして報知部21dに人物無し信号を伝達し、人物検知制御Aを終了し、ステップをステップS300に移行させる(
図10参照)。
【0065】
図12に示すように、ステップS310において、制御装置21は、ずれ判定制御Bを開始し、カメラ19から取得した画像データを検知領域Dの検知画像データDdとし、検知画像データDdにおいて類似判定を行う所定の範囲である判定範囲Edの位置を決定し、ステップをステップS320に移行させる。
【0066】
ステップS320において、制御装置21は、決定した判定範囲Edの位置の画像データから判定ヒストグラムhdを算出し、ステップをステップS330に移行させる。
【0067】
ステップS330において、制御装置21は、基準画像データSdにおいて、算出した判定ヒストグラムhdと類似度が最も高い基準ヒストグラムh(r)を持つ所定の範囲である類似範囲Esの位置を特定し、ステップをステップS340に移行させる。
【0068】
ステップS340において、制御装置21は、算出した判定ヒストグラムhdと特定した基準ヒストグラムh(r)との類似度を画像識別境界B2に照らし合わせて、高類似度グループと低類似度グループとのいずれかのグループに属するか否か判定する。
その結果、算出した判定ヒストグラムhdと特定した基準ヒストグラムh(r)との類似度が高類似度グループに属している場合、制御装置21はステップをステップS350に移行させる。
一方、算出した判定ヒストグラムhdと特定した基準ヒストグラムh(r)との類似度が低類似度グループに属している場合、制御装置21はステップをステップS310に移行させる。
【0069】
ステップS350において、制御装置21は、決定した判定範囲Edの所定の座標Pdと特定した類似範囲Esの所定の座標Psとのユークリッド距離Lを算出し、ステップをステップS360に移行させる。
【0070】
ステップS360において、制御装置21は、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きいか否か判断する。
その結果、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きい場合、制御装置21はステップをステップS370に移行させる。
一方、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きくない場合、制御装置21はステップをステップS390に移行させる。
【0071】
ステップS370において、制御装置21は、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きいと判定された累積回数がN回か否か判定する。
その結果、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きいと判定された累積回数がN回である場合、制御装置21はステップをステップS380に移行させる。
一方、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きいと判定された累積回数がN回未満である場合、制御装置21はステップをステップS410に移行させる。
【0072】
ステップS380において、制御装置21は、基準領域Sに対して検知領域Dがずれている旨の判定を確定させ、カメラ19の位置調整が必要である旨の位置ずれ有り信号を報知部21dに伝達し、表示制御部21aを介してモニタ20に基準図形Gsと補助図形Gaとを表示させ、ずれ判定制御Bを終了させて、ステップをステップS110に移行させる(
図10参照)。
【0073】
ステップS390において、制御装置21は、カメラ19の位置調整が必要でない旨の位置ずれ無し信号を報知部21dに伝達し、モニタ20に表示させている基準図形Gsと補助図形Gaとを消去し、ステップをステップS400に移行させる。
【0074】
ステップS400において、制御装置21は、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きいと判定された累積回数Nをリセットし、ずれ判定制御Bを終了させて、ステップをステップS110に移行させる(
図10参照)。
【0075】
ステップS410において、制御装置21は、算出したユークリッド距離Lが許容値Tよりも大きいと判定された累積回数をN=N+1とし、ずれ判定制御Bを終了させて、ステップをステップS110に移行させる(
図10参照)。
【0076】
このように構成することで、人物検知システム18およびそれを備えたクレーン1は、電源がオン状態である間は、検知領域Dにおける画像データのHOG特徴量を利用して、SVM学習から予め算出した人物識別境界B1に照らし合わせることで人物の有無が容易に判断される。また、人物検知システム18およびそれを備えたクレーン1は、基準領域Sの特定範囲の画像データにおけるエッジ角度の基準ヒストグラムh(n)と検知領域Dの特定範囲の画像データにおけるエッジ角度の判定ヒストグラムhdとの類似度を利用して、基準画像データSdに対する検知画像データDdの重ね合わせが容易に行われる。さらに、重ね合わせた各画像データの座標のユークリッド距離Lから基準領域Sに対する検知領域Dのずれの有無が容易に判断される。また、基準領域Sに対して検知領域Dがずれている場合、基準図形Gsを検知領域Dに重畳的に表示させることでカメラ19の位置合わせを容易に実施することができる。これにより、人物検知システム18およびそれを備えたクレーン1は、カメラ19によって検知画像データDdを取得する検知領域Dが、基準領域Sに対してずれているか否かの判断を補助することができる。
【0077】
なお、本実施形態において、人物検知システム18およびそれを備えたクレーン1は、検知範囲Dがクレーン1の前方左側になるようにカメラ19を配置しているが、クレーン1の後方左側や後方右側等の死角が検知範囲Dに含まれるように複数のカメラ19を設けてもよい。また、人物検知システム18およびそれを備えたクレーン1は、モニタ20に基準図形Gsと補助図形Gaとを表示させているが基準図形Gsだけ表示させてもよい。また、基準図形Gsと補助図形Gaとは、表示スイッチ等によって任意のタイミングでモニタ20に表示させてもよい。また、
図13に示すように、基準図形Gsは、外形線の幅をカメラ19の位置の許容ずれ幅の線幅で構成してもよい。
【0078】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。