特許第6794890号(P6794890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794890作業ナビゲーションプログラム、作業ナビゲーション方法、及び作業ナビゲーション装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794890
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】作業ナビゲーションプログラム、作業ナビゲーション方法、及び作業ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20201119BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20201119BHJP
【FI】
   G06Q50/04
   G06Q10/00 300
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-55139(P2017-55139)
(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公開番号】特開2018-156613(P2018-156613A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】山田 真史
(72)【発明者】
【氏名】波吉 正敏
(72)【発明者】
【氏名】谷畠 継一
(72)【発明者】
【氏名】澤田石 稔
【審査官】 永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−139244(JP,A)
【文献】 特開2008−192019(JP,A)
【文献】 特開2005−056272(JP,A)
【文献】 特開2016−162385(JP,A)
【文献】 特開2006−244126(JP,A)
【文献】 特開2011−000668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業の開始時刻と前記作業の終了時刻と前記作業の内容とを含む作業履歴により管理されていないイベントを受け付けた場合に、前記イベントを該イベントの発生時刻と関連付けて記憶部に格納し、
前記作業を中断する情報を検出した後に、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記記憶部を参照し、前記作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した前記イベントと、前記作業を中断する情報を検出したときまでの前記作業履歴とを時系列に表示する、
処理をコンピュータに実行させるための作業ナビゲーションプログラム。
【請求項2】
前記処理は、前記イベントを所定の時間範囲内又は所定の作業単位の数として表される作業範囲内で表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項3】
前記処理は、前記作業を再開する情報を検出した場合、再開時の作業画面を表示する前に前記イベントと前記作業履歴とを時系列で表示する画面を表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項4】
前記処理は、一つの作業の開始時刻から終了時刻までの間の時刻に対応付けられた前記イベントを一つの作業の時間帯に検出した情報として表示する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項5】
前記処理は、前記作業を中断する情報を検出した場合に、前記作業を中断した作業者の周囲で作業を行っていた別の作業者の情報を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記別の作業者の情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項6】
前記処理は、前記作業を中断する情報を複数回検出した場合に、前記作業を中断した作業者の周囲で作業を行っていた別の作業者の直近の情報を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記別の作業者の直近の情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項7】
前記処理は、前記作業を中断する情報を検出した場合に、中断直前の作業画面のサムネイル画像を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記サムネイル画像を表示する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項8】
前記処理は、前記イベントの少なくとも一部を、前記作業を行う作業者が携帯する携帯端末から受け付ける、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項9】
前記処理は、前記イベントの少なくとも一部を、作業者が前記作業を行う施設に設けられたセンサから受け付ける、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項10】
前記イベントは、前記作業を行う作業者の行動又は状態に関する第1のイベント、前記作業で使用される作業道具の変化に関する第2のイベント、前記作業者が前記作業で利用する機器の異常に関する第3のイベント、前記作業の計画変更に関する第4のイベント、及び前記作業者が前記作業を行う施設の環境に関する第5のイベントの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
【請求項11】
作業の開始時刻と前記作業の終了時刻と前記作業の内容とを含む作業履歴により管理されていないイベントを受け付けた場合に、前記イベントを該イベントの発生時刻と関連付けて記憶部に格納し、
前記作業を中断する情報を検出した後に、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記記憶部を参照し、前記作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した前記イベントと、前記作業を中断する情報を検出したときまでの前記作業履歴とを時系列に表示する、
処理をコンピュータが実行する作業ナビゲーション方法。
【請求項12】
作業の開始時刻と前記作業の終了時刻と前記作業の内容とを含む作業履歴により管理されていないイベントを受け付けた場合に、前記イベントを該イベントの発生時刻と関連付けて記憶部に格納し、
前記作業を中断する情報を検出した後に、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記記憶部を参照し、前記作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した前記イベントと、前記作業を中断する情報を検出したときまでの前記作業履歴とを時系列に表示する、
処理部を有する作業ナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、作業ナビゲーションプログラム、作業ナビゲーション方法、及び作業ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
整備や組立といった各種作業の履歴を記録し、その情報を有効に活用する技術が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−030013号公報
【特許文献2】特開2012−185685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した作業において、作業者が健康状態の変化などにより作業を長時間中断した後に作業を再開したり、作業者の交代により中断した後の作業を別の作業者が再開したりすることがある。このような場合、作業中断前の状況を作業再開後の作業者が把握できれば、再開後の作業の注意点や通常作業との相違点を認識できるため、再開後の作業効率や作業対象製品の品質が向上する可能性がある。
【0005】
そこで、1つの側面では、作業中断前の状況を作業再開時に表示できる作業ナビゲーションプログラム、作業ナビゲーション方法、及び作業ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様では、作業ナビゲーションプログラムは、作業の開始時刻と前記作業の終了時刻と前記作業の内容とを含む作業履歴により管理されていないイベントを受け付けた場合に、前記イベントを該イベントの発生時刻と関連付けて記憶部に格納し、前記作業を中断する情報を検出した後に、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記記憶部を参照し、前記作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した前記イベントと、前記作業を中断する情報を検出したときまでの前記作業履歴とを時系列に表示する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
作業中断前の状況を作業再開時に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は作業支援システムの一例である。
図2図2は携帯端末のハードウェア構成の一例である。
図3図3はサーバ装置のハードウェア構成の一例である。
図4図4は携帯端末の機能ブロック図の一例である。
図5図5は周辺イベント格納条件の一例である。
図6図6は周辺イベントレコードの一例である。
図7図7はサーバ装置の機能ブロック図の一例である。
図8図8は作業履歴テーブルの一例である。
図9図9は共通イベント格納条件の一例である。
図10図10は共通イベントレコードの一例である。
図11図11は中断イベントレコードの一例である。
図12図12は周辺イベント格納部の動作の一例を示すフローチャートである。
図13図13は共通イベント格納部の動作の一例を示すフローチャートである。
図14図14は周辺イベント書込部の動作の一例を示すフローチャートである。
図15図15は作業中断時の画面例(その1)である。
図16図16は作業中断時の画面例(その2)である。
図17図17は作業中断時の画面例(その3)である。
図18図18は周辺作業者特定部の動作の一例を示すフローチャートである。
図19図19はダイジェスト表示部の動作の一例を示すフローチャートである。
図20図20は作業再開時の画面の一例である。
図21図21はダイジェストページの一例である。
図22図22はダイジェスト生成部の動作の一例を示すフローチャートである。
図23図23は中断イベント受信部の動作の一例を示すフローチャートである。
図24図24は再開確定後の画面例である。
図25図25は中断イベント送信部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本件を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は作業支援システムSの一例である。作業支援システムSは携帯端末100と作業支援装置としてのサーバ装置200を含んでいる。携帯端末100としては例えばスマートフォンといったスマートデバイスや、スマートウォッチといったウェアラブルデバイスなどがある。携帯端末100は例えば作業施設X内で作業を行う作業者M1,M2の腕部や手首などに取り付けられる。腕部や手首への取り付けは例えばベルトやリストバンドなどを介して行われる。携帯端末100は作業者M1,M2への作業の指示として作業マニュアルを表示する。作業者M1,M2はそれぞれ携帯端末100に表示された指示を確認して各種の装置を組み立てる作業を行ったり、切断機といった操作対象機器X1,X2を操作して部品を加工する作業を行ったりする。
【0011】
作業者M1,M2は作業を終えると、携帯端末100を操作して作業の完了を入力する。例えば作業者M1,M2が作業マニュアルを進めると、作業の完了が携帯端末100に入力される。また、作業者M1,M2は各種の作業を始める前に、携帯端末100を操作して作業の開始を入力する。さらに、作業者M1,M2は各種の作業を中断する前に、携帯端末100を操作して作業の中断を入力する。そのほか、作業者M1,M2は種々の指示を入力するが、入力内容の詳細については後述する。携帯端末100は作業の完了や作業の開始、作業の中断などの情報を検出すると、これらの情報をサーバ装置200に向けて送信する。携帯端末100から送信された情報はアクセスポイントAP及び通信ネットワークNWを介してサーバ装置200に到達する。尚、通信ネットワークNWとしてはLocal Area Network(LAN)やインターネットなどがある。
【0012】
一方、サーバ装置200は作業施設X内に設置された環境センサY1,Y2,Y3が検出した環境値や環境音の入力を受け付ける。環境センサY1,Y2,Y3としては例えば温度センサ、照度センサ、マイクなどがある。また、サーバ装置200は操作対象機器X1,X2の異常に関する情報の入力を受け付ける。環境値や環境音の入力、異常に関する情報は通信ネットワークNWを介してサーバ装置200に到達する。サーバ装置200はこれらの入力を受け付けると、携帯端末100から送信された情報と併せて保持し、携帯端末100から作業の再開に関する情報が送信されると、作業中断前の状況を確認できる画面であるダイジェストページを生成して携帯端末100に送信する。携帯端末100はサーバ装置200によって生成されたダイジェストページを表示する。これにより、例えば作業者M1は作業中断前の状況を的確に確認することができる。
【0013】
以下、上述した携帯端末100及びサーバ装置200の構成及び動作の詳細について図面を参照して説明する。
【0014】
図2は携帯端末100のハードウェア構成の一例である。図2に示すように、携帯端末100は、Central Processing Unit(CPU)100A、Random Access Memory(RAM)100B、Read Only Memory(ROM)100C、Electrically Erasable Programmable Read Only Memory(EEPROM)100D及びRadio Frequency(RF)回路100Eを含んでいる。RF回路100Eにはアンテナ100E´が接続されている。RF回路100Eに代えて通信機能を実現するCPUが利用されてもよい。
【0015】
また、携帯端末100は、センサ100F、カメラ100G、タッチパネル100H、ディスプレイ100I、及びマイク100Jを含んでいる。センサ100Fとしては例えばGlobal Positioning System(GPS)センサ及び加速度センサなどがある。また、カメラ100Gは例えばバーコードリーダの機能を備えている。CPU100Aからマイク100Jまでは、内部バス100Kによって互いに接続されている。少なくともCPU100AとRAM100Bとが協働することによってコンピュータが実現される。
【0016】
上述したRAM100Bには、ROM100CやEEPROM100Dに記憶されたプログラムがCPU100Aによって格納される。格納されたプログラムをCPU100Aが実行することにより、後述する各種の機能が実現され、また、各種の処理が実行される。尚、プログラムは後述するフローチャートに応じたものとすればよい。
【0017】
図3はサーバ装置200のハードウェア構成の一例である。図3に示すように、サーバ装置200は、少なくともCPU200A、RAM200B、ROM200C及び通信回路200Dを含んでいる。サーバ装置200は、必要に応じて、Hard Disk Drive(HDD)200E、入力I/F(インタフェース)200F、出力I/F200G、入出力I/F200H、ドライブ装置200Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU200Aからドライブ装置200Iまでは、内部バス200Jによって互いに接続されている。少なくともCPU200AとRAM200Bとが協働することによってコンピュータが実現される。
【0018】
入力I/F200Fには、入力装置710が接続される。入力装置710としては、例えばキーボードやマウスなどがある。
出力I/F200Gには、表示装置720が接続される。表示装置720としては、例えば液晶ディスプレイがある。
入出力I/F200Hには、半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUniversal Serial Bus(USB)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F200Hは、半導体メモリ730に記憶されたプログラムやデータを読み取る。
入力I/F200F及び入出力I/F200Hは、例えばUSBポートを備えている。出力I/F200Gは、例えばディスプレイポートを備えている。
【0019】
ドライブ装置200Iには、可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCompact Disc(CD)−ROM、Digital Versatile Disc(DVD)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置200Iは、可搬型記録媒体740に記録されたプログラムやデータを読み込む。
通信回路200Dは、例えばLANポートを備えている。通信回路200Dは上述した通信ネットワークNWと接続される。
【0020】
上述したRAM200Bには、ROM200CやHDD200Eに記憶されたプログラムがCPU200Aによって格納される。RAM200Bには、可搬型記録媒体740に記録されたプログラムがCPU200Aによって格納される。格納されたプログラムをCPU200Aが実行することにより、後述する各種の機能が実現され、また、後述する各種の処理が実行される。尚、プログラムは後述するフローチャートに応じたものとすればよい。
【0021】
次に、図4から図6を参照して、携帯端末100の機能について説明する。
【0022】
図4は携帯端末100の機能ブロック図の一例である。図5は周辺イベント格納条件の一例である。図6は周辺イベントレコードの一例である。まず、図4に示すように、携帯端末100は作業マニュアル表示部101、及び作業進捗管理部102を含んでいる。また、携帯端末100は格納条件第1記憶部103、周辺イベント格納部104、及び周辺イベント記憶部105を備えている。さらに、携帯端末100は周辺イベント書込部106、ダイジェスト表示部107、及び中断イベント受信部108を含んでいる。尚、図4において、ハードウェアの構成要素については括弧書きで示している。
【0023】
作業マニュアル表示部101はタッチパネル100Hから入力された指示に基づいて、ディスプレイ100Iに作業マニュアルを表示する。作業マニュアルは例えば作業内容を表す図柄や作業時の注意事項などを含んでいる。作業進捗管理部102は例えば作業マニュアルの作業が完了した旨がタッチパネル100Hから入力されると、その作業の完了を表す情報を、RF回路100Eを介してサーバ装置200に出力する。尚、作業を開始する場合や作業を中止する場合などについても同様である。
【0024】
格納条件第1記憶部103は周辺イベント格納部104が後述する周辺イベントを周辺イベント記憶部105に格納する格納条件を記憶する。具体的には、図5に示すように、格納条件第1記憶部103は周辺イベント格納条件テーブルにより格納条件を管理する。周辺イベント格納条件テーブルは種別、格納条件、及びメッセージを構成要素として含んでいる。種別は周辺イベントを検出したデバイスを表している。例えば、種別「マイク」はマイク100Jが周辺イベントを検出したことを表している。例えば、種別「GPS」はセンサ100F(具体的にはGPSセンサ)が周辺イベントを検出したことを表している。例えば、種別「バーコード」はカメラ100G(具体的にはバーコードリーダー)が周辺イベントを検出したことを表している。格納条件は周辺イベント格納部104が周辺イベントを周辺イベント記憶部105に格納する条件を表している。メッセージは周辺イベントの内容を表している。
【0025】
ここで、上述した周辺イベントは、作業を行う作業者の行動又は状態(例えば健康状態)に関して発生した出来事や、作業で使用される作業道具の変化に関して発生した出来事など、携帯端末100の周辺で発生した出来事である。例えば、作業者M1が自身の作業場所を逸脱する行動をとると、センサ100Fがその行動を周辺イベントとして検出する。例えば、作業者M1が頻繁な咳をすると、マイク100Jがその音を周辺イベントとして検出する。例えば、作業者M1が作業で使用する作業道具を変更するために、別の作業道具に付されたバーコードをカメラ100Gにより読み取ると、カメラ100Gは作業道具の変化を周辺イベントとして検出する。
【0026】
周辺イベント格納部104はセンサ100Fが検出した携帯端末100の位置や動き、カメラ100Gが撮像した画像(具体的には2次元バーコード)、マイク100Jが集めた音を周辺イベントとして受け付ける。周辺イベント格納部104は周辺イベントを受け付けると、格納条件第1記憶部103から格納条件を読み込んで、周辺イベント記憶部105に格納する周辺イベントを特定する。周辺イベント格納部104は格納条件を満足する周辺イベントを特定すると、特定した周辺イベントを周辺イベントレコードとして周辺イベント記憶部105に格納する。すなわち、格納条件を満足しない周辺イベントの周辺イベント記憶部105への格納は除外される。これにより、周辺イベント記憶部105は特定の周辺イベントレコードを記憶する。
【0027】
具体的には、図6に示すように、周辺イベント記憶部105は周辺イベントテーブルにより種々の周辺イベントレコードを管理する。周辺イベントテーブルは作業者コード、オーダID、種別、発生日、発生時刻、メッセージ、及び画像データを構成要素として含んでいる。作業者コードは作業者を識別する識別情報である。オーダIDは1つの製品や装置を完成させるプロセスを、工程と作業に分解した作業指示を表すオーダを識別するための識別情報である。発生日及び発生時刻はそれぞれ周辺イベントが発生した日及び時刻である。画像データは携帯端末100に表示された画面(より詳しくは画面内の作業内容などを示す部分)のスクリーンショットを表すバイナリデータである。尚、種別及びメッセージについては既に説明しているため詳細は省略する。
【0028】
周辺イベント書込部106はタッチパネル100Hから入力された中断の指示に基づいて、上述したスクリーンショットのサムネイル画像を生成し、生成したサムネイル画像を、RF回路100Eを介してサーバ装置200に書き込む。また、周辺イベント書込部106は当該指示に基づいて、周辺イベント記憶部105から周辺イベントレコードを取得し、RF回路100Eを介してサーバ装置200に書き込む。
【0029】
ダイジェスト表示部107はタッチパネル100Hから入力された作業の再開を要求する指示に基づいて、上述したダイジェストページをディスプレイ100Iに表示する。より詳しくは、ダイジェスト表示部107は作業の再開を要求する指示を検出すると、RF回路100Eを介してサーバ装置200にダイジェストページの生成を要求する。そして、ダイジェスト表示部107はサーバ装置200が生成したダイジェストページを、RF回路100Eを介して受信して表示する。
【0030】
中断イベント受信部108はタッチパネル100Hから入力された作業の再開を確定する指示に基づいて、サーバ装置200から送信された後述する中断イベントレコードを受信して周辺イベント記憶部105に格納する。より詳しくは、中断イベント受信部108は作業の再開を確定する指示を検出すると、サーバ装置200に作業再開の確定を通知する。サーバ装置200は当該通知に基づいて自身が記憶する中断イベントレコードを中断イベント受信部108に向けて送信する。この結果、中断イベント受信部108はサーバ装置200から送信された中断イベントレコードを受信して周辺イベント記憶部105に格納する。
【0031】
次に、図7から図11を参照して、サーバ装置200の機能について説明する。
【0032】
図7はサーバ装置200の機能ブロック図の一例である。図8は作業履歴テーブルの一例である。図9は共通イベント格納条件の一例である。図10は共通イベントレコードの一例である。図11は中断イベントレコードの一例である。図7に示すように、サーバ装置200は作業履歴記憶部201、格納条件第2記憶部202、処理部としての共通イベント格納部203、及び共通イベント記憶部204を含んでいる。また、サーバ装置200は周辺作業者特定部205、中断イベント記憶部206、処理部としてのダイジェスト生成部207、及び中断イベント送信部208を含んでいる。尚、図7において、ハードウェアの構成要素については括弧書きで示している。
【0033】
作業履歴記憶部201は作業者M1や作業者M2が行った作業の履歴を表す作業履歴レコードを記憶する。具体的には、図8に示すように、作業履歴記憶部201は作業履歴テーブルにより作業履歴レコードを管理する。作業履歴テーブルはオーダID、工程番号、工程名、作業番号、作業内容、作業場所コード、担当者コード、担当者、端末ID、開始時刻、終了時刻、及び状態を構成要素として含んでいる。工程番号及び工程名はそれぞれ工程を識別するための番号及び工程の名称である。作業番号及び作業内容はそれぞれ作業を識別するための番号及び作業の名称である。作業場所コードは作業施設X内における作業場所を識別するための番号である。担当者コード及び担当者はそれぞれオーダの出し先となる担当者を識別する識別情報と担当者の氏名である。端末IDは作業者が作業を実施した時に携帯していた携帯端末100の識別情報である。開始時刻、終了時刻、及び状態はそれぞれ作業を開始した時刻、終了した時刻、作業の状態である。このように、作業履歴記憶部201によってオーダID毎に担当者の作業の進捗状況が管理される。
【0034】
格納条件第2記憶部202は共通イベント格納部203が後述する共通イベントを共通イベント記憶部204に格納する格納条件を記憶する。具体的には、図9に示すように、格納条件第2記憶部202は共通イベント格納条件テーブルにより格納条件を管理する。共通イベント格納条件テーブルは種別、格納条件、及びメッセージを構成要素として含んでいる。種別は共通イベントを検出したデバイスを表している。例えば、種別「室温」は環境センサY1(具体的には温度センサ)が共通イベントを検出したことを表している。例えば、種別「騒音」は環境センサY3(具体的にはマイク)が共通イベントを検出したことを表している。例えば、種別「機器」は操作対象機器X1,X2が共通イベントを検出したことを表している。格納条件は共通イベント格納部203が共通イベント記憶部204に格納する条件を表している。メッセージは共通イベントの内容を表している。
【0035】
ここで、上述した共通イベントは、作業者が作業で利用する操作対象機器X1,X2や計測機器(不図示)で発生した出来事、作業の計画変更といった出来事、及び作業者が作業を行う作業施設Xの環境に関する出来事など、携帯端末100の周辺に関わらずに発生した出来事である。例えば、作業施設Xの室温が高温になると、環境センサY1が高室温を共通イベントとして検出する。例えば、作業施設Xが停電になると、環境センサY2(具体的には照度センサ)が停電を共通イベントとして検出する。例えば、作業施設X内で騒音が発生すると、環境センサY3(具体的にはマイク)がその騒音を共通イベントとして検出する。例えば、作業者M1が作業で使用する操作対象機器X1に異常が発生すると、操作対象機器X1は自身の異常を共通イベントとして検出する。
【0036】
共通イベント格納部203は環境センサY1,Y2,Y3が検出した共通イベント、操作対象機器X1,X2が検出した共通イベントを受け付ける。共通イベント格納部203は共通イベントを受け付けると、格納条件第2記憶部202から格納条件を読み込んで、共通イベント記憶部204に格納するイベントを特定する。共通イベント格納部203は格納条件を満足する共通イベントを特定すると、特定した共通イベントを共通イベントレコードとして共通イベント記憶部204に格納する。すなわち、格納条件を満足しない共通イベントの共通イベント記憶部204への格納は除外される。これにより、共通イベント記憶部204は特定の共通イベントレコードを記憶する。
【0037】
具体的には、図10に示すように、共通イベント記憶部204は共通イベントテーブルにより種々の共通イベントレコードを管理する。共通イベントテーブルは場所コード、オーダID、種別、発生日、発生時刻、及びメッセージを構成要素として含んでいる。場所コードは対象(具体的には、室温や騒音、操作対象機器X1,X2の異常など)の影響範囲を特定するための座標コードである。オーダIDは対象(具体的には、室温や騒音、操作対象機器X1,X2の異常など)の影響範囲を特定するための識別情報である。尚、種別、発生日、発生時刻、及びメッセージの詳細については既に説明しているため省略する。また、場所コード及びオーダIDについてはワイルドカード「*」を使用することができる。
【0038】
周辺作業者特定部205は通信回路200Dを介して携帯端末100から周辺作業者の特定が要求されると、作業履歴記憶部201が記憶する作業履歴レコードに基づいて、作業を中断した作業者(例えば作業者M1)の周辺で作業する別の作業者(例えば作業者M2)を周辺作業者として特定する。より詳しくは、周辺作業者特定部205は作業履歴レコードに基づいて別の作業者が携帯する携帯端末100の位置を問い合わせ、問い合わせた結果の位置と作業を中断した作業者が携帯する携帯端末100の位置の距離を算出することにより、周辺作業者を特定する。周辺作業者特定部205は周辺作業者を特定すると、中断イベント記憶部206に種別「思い出」を含む中断イベントレコードを格納する。
【0039】
中断イベント記憶部206は種々の中断イベントレコードを記憶する。具体的には、図11に示すように、中断イベント記憶部206は中断イベントテーブルにより種々の中断イベントレコードを管理する。中断イベントテーブルは作業者コード、オーダID、種別、発生日、発生時刻、メッセージ、及び画像データを構成要素として含んでいる。上述したように、中断イベント記憶部206は、周辺作業者特定部205によって格納された種別「思い出」の中断イベントレコードのほか、携帯端末100から書き込まれたサムネイル画像に関する種別「思い出画像」の中断イベントレコードを記憶する。また、中断イベント記憶部206は携帯端末100から書き込まれた種々の周辺イベントレコードを中断イベントレコードとして記憶する。尚、中断イベント記憶部206はサムネイル画像をバイナリデータとして記憶する。
【0040】
ダイジェスト生成部207は携帯端末100からダイジェストページが要求されると、作業履歴記憶部201、共通イベント記憶部204及び中断イベント記憶部206からそれぞれ作業履歴レコード、共通イベントレコード及び中断イベントレコードを取得する。ダイジェスト生成部207は取得した作業履歴レコード、共通イベントレコード及び中断イベントレコードに基づいてダイジェストページを生成し、生成したダイジェストページを、通信回路200Dを介して携帯端末100に送信する。
【0041】
中断イベント送信部208は携帯端末100から再開確定が通知されると、中断イベント記憶部206から特定の中断イベントレコードを取得して、通信回路200Dを介して、携帯端末100に送信する。
【0042】
続いて、作業支援システムSの動作について説明する。
【0043】
まず、図12を参照して、携帯端末100の周辺イベント記憶部105に周辺イベントレコードを蓄積する動作について説明する。
【0044】
図12は周辺イベント格納部104の動作の一例を示すフローチャートである。まず、周辺イベント格納部104は周辺イベントを受け付けるまで待機する(ステップS101:NO)。周辺イベント格納部104は周辺イベントを受け付けると(ステップS101:YES)、格納条件第1記憶部103から周辺イベントの格納条件(図5参照)を読み込む(ステップS102)。ステップS102の処理が完了すると、次いで、周辺イベント格納部104は周辺イベントが格納条件を満足するか否かを判断する(ステップS103)。格納条件を満足する場合(ステップS103:YES)、周辺イベント格納部104は格納条件を満足する周辺イベントを周辺イベントレコードとして周辺イベント記憶部105に格納する(ステップS104)。逆に、格納条件を満足しない場合(ステップS103:NO)、周辺イベント格納部104はステップS104の処理をスキップする。これにより、周辺イベント記憶部105には特定の周辺イベントレコードが蓄積される(図6参照)。
【0045】
次に、図13を参照して、サーバ装置200の共通イベント記憶部204に共通イベントレコードを蓄積する動作について説明する。
【0046】
図13は共通イベント格納部203の動作の一例を示すフローチャートである。まず、共通イベント格納部203は共通イベントを受け付けるまで待機する(ステップS201:NO)。共通イベント格納部203は共通イベントを受け付けると(ステップS201:YES)、格納条件第2記憶部202から共通イベントの格納条件(図9参照)を読み込む(ステップS202)。ステップS202の処理が完了すると、次いで、共通イベント格納部203は共通イベントが格納条件を満足するか否かを判断する(ステップS203)。格納条件を満足する場合(ステップS203:YES)、共通イベント格納部203は格納条件を満足する共通イベントを共通イベントレコードとして共通イベント記憶部204に格納する(ステップS204)。逆に、格納条件を満足しない場合(ステップS203:NO)、共通イベント格納部203はステップS204の処理をスキップする。これにより、共通イベント記憶部204には特定の共通イベントレコードが蓄積される(図10参照)。
【0047】
次に、図14から図17を参照して、作業中断時の携帯端末100の動作について説明する。
【0048】
図14は周辺イベント書込部106の動作の一例を示すフローチャートである。図15は作業中断時の画面例(その1)である。図16は作業中断時の画面例(その2)である。図17は作業中断時の画面例(その3)である。
【0049】
まず、図14に示すように、周辺イベント書込部106は中断指示を受け付けるまで待機する(ステップS301:NO)。周辺イベント書込部106は中断指示を受け付けると(ステップS301:YES)、中断指示を受け付けた時の画面のスクリーンショットを取得する(ステップS302)。より詳しくは、図15に示すように、例えば作業者M1が自身の手指FGで携帯端末100に表示された作業マニュアルに含まれる作業中断ボタンBT1を押下すると、周辺イベント書込部106は中断指示を受け付ける。そして、周辺イベント書込部106は中断指示を受け付けると、作業内容を表す図柄や作業時の注意事項を含む画面部分10のスクリーンショットを取得する。尚、図15において、前ページボタンBT2が押下されると、作業マニュアル表示部101は表示されている作業マニュアルの1つ前の作業マニュアルを表示する。逆に、次ページボタンBT3が押下されると、作業マニュアル表示部101は表示されている作業マニュアルの1つ後の作業マニュアルを表示する。
【0050】
ステップS302の処理が完了すると、次いで、周辺イベント書込部106は取得したスクリーンショットのサムネイル画像を生成し(ステップS303)、サーバ装置200の中断イベント記憶部206にサムネイル画像を書き込む(ステップS304)。より詳しくは、周辺イベント書込部106は作業者コード、オーダID、種別「思い出画像」をサムネイル画像と関連付けて、これらを中断イベントレコードとして中断イベント記憶部206に書き込む。尚、発生日及び発生時刻には例えば中断指示を受け付けた日及び時刻が登録される。これにより、中断イベント記憶部206は種別「思い出画像」の中断イベントレコードを記憶する(図11参照)。
【0051】
ステップS304の処理が完了すると、次いで、周辺イベント書込部106は周辺イベント記憶部105の周辺イベントテーブルにアクセスする(ステップS305)。そして、周辺イベント書込部106は周辺イベントレコードがあるか否かを判断する(ステップS306)。周辺イベントレコードがある場合(ステップS306:YES)、サーバ装置200の中断イベント記憶部206に特定の周辺イベントレコードを書き込む(ステップS307)。より詳しくは、周辺イベント書込部106は周辺イベント記憶部105から種別「思い出」を含む周辺イベントレコード以外の周辺イベントレコードを中断イベント記憶部206に書き込む。種別「思い出」を含む周辺イベントレコードの中断イベント記憶部206への書き込みを除外することにより、中断イベント記憶部206は種別「思い出」を含む最新の周辺イベントレコードを中断イベントレコードとして記憶する。そして、この中断イベントレコードをサーバ装置200の中断イベント送信部208が送信し、携帯端末100の中断イベント受信部108が受信して周辺イベント記憶部105に格納する。これにより、複数の中断指示があっても、種別「思い出」を含む最新の周辺イベントレコードにより、作業者M1は中断時の状況を思い出すことができる。
【0052】
ステップS307の処理が完了すると、次いで、周辺イベント書込部106は周辺イベント記憶部105をクリアし(ステップS308)、サーバ装置200の周辺作業者特定部205に周辺作業者の特定を要求する(ステップS309)。より詳しくは、周辺イベント書込部106は作業者コード、オーダID、及び携帯端末100の位置の送信とともに、周辺作業者の特定を要求する。これにより、周辺作業者特定部205は周辺作業者の特定を開始する。
【0053】
尚、ステップS306の処理において、周辺イベントレコードがない場合(ステップS306:NO)、周辺イベント書込部106はステップS307及びS308の処理をスキップして、ステップS309の処理を実行する。
【0054】
また、上述したステップS301の処理において、周辺イベント書込部106が中断指示を受け付けると、作業マニュアル表示部101はステップS302からS309までの処理と並行して、又は、ステップS309の処理の後に、所定の画面をディスプレイ100Iに表示する。より詳しくは、作業中断ボタンBT1が押下されると、図16に示すように、作業マニュアル表示部101は作業の中断を確認する画面を表示する。そして、OKボタンBT4が押下されると、図17に示すように、作業マニュアル表示部101は作業の中断に移行したことを提示する画面を表示する。これにより、作業者は作業を中断して休憩(例えばトイレ休憩や昼食など)に入ることができる。
【0055】
次に、図18を参照して、作業中断時のサーバ装置200の動作について説明する。
【0056】
図18は周辺作業者特定部205の動作の一例を示すフローチャートである。図18に示すように、周辺作業者特定部205は周辺イベント書込部106から周辺作業者の特定が要求されるまで待機する(ステップS401:NO)。周辺作業者特定部205は、上述したように、周辺イベント書込部106から周辺作業者の特定が要求されると(ステップS401:YES)、特定の作業履歴レコードαを抽出する(ステップS402)。より詳しくは、周辺作業者特定部205は作業履歴記憶部201にアクセスし、周辺イベント書込部106から送信された作業者コードに該当しない担当者コードであって、かつ、状態が作業中である作業履歴レコードを作業履歴レコードαとして抽出する。尚、作業中は、開始時刻が登録されているものの、終了時刻が登録されていない状態である。これにより、周辺作業者特定部205は、作業を中断した作業者(例えば作業者M1)以外の別の作業者(例えば作業者M2)であって、作業中である者の作業履歴レコードαを抽出する。
【0057】
ステップS402の処理が完了すると、次いで、周辺作業者特定部205は作業履歴レコードαが存在したか否かを判断する(ステップS403)。周辺作業者特定部205は、作業履歴レコードαを抽出できたことにより、作業履歴レコードαが存在したと判断した場合(ステップS403:YES)、作業履歴レコードα管理下の携帯端末100の位置を問い合わせる(ステップS404)。すなわち、例えば作業者M1が作業を中断した場合、作業者M1の作業者コードと異なる担当者コードの作業者(例えば作業者M2など)が携帯する携帯端末100の位置を問い合わせる。これにより、周辺作業者特定部205は作業者M1以外の作業者が携帯する携帯端末100の位置を表す問い合わせ結果βを得る。
【0058】
ステップS404の処理が完了すると、次いで、周辺作業者特定部205は問い合わせ結果βの位置と作業を中断した携帯端末100の位置から端末間の距離を算出する(ステップS405)。すなわち、周辺作業者特定部205は問い合わせ結果βの位置と周辺イベント書込部106から送信された携帯端末100の位置から端末間の距離を算出する。問い合わせ結果βの位置が複数存在する場合には、周辺作業者特定部205は端末間の距離をそれぞれ算出する。
【0059】
ステップS405の処理が完了すると、周辺作業者特定部205は近傍に携帯端末100があるか否かを判断する(ステップS406)。例えば、周辺作業者特定部205は、算出した距離と所定の閾値とに基づいて、作業者M1の携帯端末100の近傍に別の作業者(例えば作業者M2など)の携帯端末100があるか否かを判断する。
【0060】
近傍に携帯端末100がある場合(ステップS406:YES)、周辺作業者特定部205は中断イベント記憶部206に種別「思い出」の中断イベントレコードを格納する(ステップS407)。より詳しくは、周辺作業者特定部205は、周辺イベント書込部106から送信された作業者コード及びオーダIDをそれぞれ担当者コード及びオーダIDに設定し、距離の短い順に上位3件までの中断イベントレコードを格納する。この際、周辺作業者特定部205は格納する中断イベントレコードに「『作業者名』さんが周辺で『作業内容』作業中でした」といった所定のメッセージを登録する。これにより、例えば図11に示すように、「『佐藤次郎』さんが周辺で『部品組立』作業中でした」といったメッセージを含む中断イベントレコードを中断イベント記憶部206が記憶する。尚、図11において、種別「思い出」以外の中断イベントレコードは周辺イベント書込部106によって中断イベント記憶部206に書き込まれる。
【0061】
次に、図19から図21を参照して、作業再開時の携帯端末100の動作について説明する。
【0062】
図19はダイジェスト表示部107の動作の一例を示すフローチャートである。図20は作業再開時の画面の一例である。図21はダイジェストページの一例である。
【0063】
まず、図19に示すように、ダイジェスト表示部107は再開指示を受け付けるまで待機する(ステップS501:NO)。ダイジェスト表示部107は再開指示を受け付けると(ステップS501:YES)、サーバ装置200のダイジェスト生成部207にオーダIDの送信と併せてダイジェストページを要求する(ステップS502)。例えば、作業を中断した作業者M1が作業を再開する場合、携帯端末100に作業の再開を指示する。携帯端末100の作業マニュアル表示部101は作業の再開が指示されると、図20に示すように、作業再開時のオーダを特定する画面を表示する。作業者M1は作業を再開するオーダIDを特定し、再開要求ボタンBT6を押下すると、ダイジェスト表示部107は再開指示を受け付ける。これにより、ダイジェスト表示部107はダイジェストページを要求する。
【0064】
ステップS502の処理が完了すると、次いで、ダイジェスト表示部107はダイジェスト生成部207から送信されたダイジェストページを受信する(ステップS503)。詳細は後述するが、ダイジェスト生成部207はダイジェスト表示部107からダイジェストページが要求されると、ダイジェストページを生成してダイジェスト表示部107に送信する。この結果、ダイジェスト表示部107はダイジェストページを受信する。
【0065】
ステップS503の処理が完了すると、ダイジェスト表示部107は受信したダイジェストページを表示する(ステップS504)。これにより、図21に示すように、携帯端末100にはダイジェストページが出現する。
【0066】
ダイジェストページは作業の履歴のほか、作業中断前の状況を確認できる種々の情報を含んでいる。例えば、作業者M1が切断作業を行っていた際、頻繁な咳があったことや、作業施設X内が高室温になったこと、作業者M1が作業場所を逸脱したことなどがダイジェストページに含まれる。また、作業者M1が部品組立作業を中断した際、作業者M1の周辺で別の作業者である佐藤次郎さんが近くで組立作業中であったことや、中断時に表示されていた作業マニュアルのサムネイル画像Dがダイジェストページに含まれる。これにより、作業者M1が作業を再開する際、中断時の状況を把握できるほか、作業者M1に代わって作業者M2が残りの作業を行う場合であっても、中断時の状況を把握することができる。
【0067】
次に、図22を参照して、作業再開時のサーバ装置200の動作について説明する。
【0068】
図22はダイジェスト生成部207の動作の一例を示すフローチャートである。図22に示すように、ダイジェスト生成部207はダイジェストページが要求されるまで待機する(ステップS601:NO)。ダイジェスト生成部207はダイジェストページが要求されると(ステップS601:YES)、オーダIDに応じた特定の作業履歴リストAを抽出する(ステップS602)。より詳しくは、ダイジェスト生成部207はオーダIDをキーにして作業履歴テーブルを検索し、状態が完了又は中断である複数の作業履歴レコードを抽出する。さらに、ダイジェスト生成部207は抽出した作業履歴レコードから工程名、作業内容、開始時刻、及び終了時刻を含む作業履歴リストAを抽出する。
【0069】
ステップS602の処理が完了すると、次いで、ダイジェスト生成部207は作業履歴テーブルからオーダIDに応じた作業場所コードと開始時刻を抽出する(ステップS603)。ステップS603の処理が完了すると、次いで、ダイジェスト生成部207は中断イベントテーブルからオーダIDに応じた特定の中断イベントリストBを取得する(ステップS604)。より詳しくは、ダイジェスト生成部207はオーダIDに応じた特定の中断イベントレコードを中断イベントリストBとして取得する
【0070】
ステップS604の処理が完了すると、次いで、ダイジェスト生成部207は共通イベント記憶部204からオーダIDと作業場所コードと開始時刻とに応じた共通イベントリストCを取得する(ステップS605)。より詳しくは、ダイジェスト生成部207は発生時刻がステップS603の処理で抽出した開始時刻以降であって、場所コードがステップS603の処理で抽出した作業場所コードであり、かつ、オーダIDが携帯端末100のダイジェスト表示部107から送信されたオーダIDに合致する共通イベントレコードを共通イベントリストCとして取得する。尚、共通イベントレコードの場所コードとオーダIDにワイルドカードが設定されている場合、ダイジェスト生成部207は検索条件に合致すると判断する。
【0071】
ステップS605の処理が完了すると、次いで、ダイジェスト生成部207は作業履歴リストA、中断イベントリストB、及び共通イベントリストCをマージして、ダイジェストページを生成する(ステップS606)。より詳しくは、ダイジェスト生成部207は、作業履歴リストA、中断イベントリストB、及び共通イベントリストCをマージして、イベントの発生時刻順にソートしたリストαからダイジェストページを生成する。
【0072】
ステップS606の処理が完了すると、次いで、ダイジェスト生成部207は中断イベントテーブルからオーダIDに応じたサムネイル画像Dを取得し(ステップS607)、ダイジェストページの末尾にサムネイル画像Dを追加する(ステップS608)。ステップS608の処理が完了すると、ダイジェスト生成部207はダイジェストページを送信する(ステップS609)。これにより、ダイジェスト表示部107はダイジェストページを受信して表示する(図21参照)。
【0073】
次に、図23及び図24を参照して、再開確定時の携帯端末100の動作について説明する。
【0074】
図23は中断イベント受信部108の動作の一例を示すフローチャートである。図24は再開確定後の画面例である。まず、図23に示すように、中断イベント受信部108は再開確定指示を受け付けるまで待機する(ステップS701:NO)。中断イベント受信部108は再開確定指示を受け付けると(ステップS701:YES)、周辺イベント記憶部105をクリアする(ステップS702)。例えば、ダイジェストページ(図21参照)を確認した作業者M1が再開確定ボタンBT7を押下すると、中断イベント受信部108は再開確定指示を受け付ける。これにより、中断イベント受信部108は周辺イベント記憶部105をクリアする。
【0075】
ステップS702の処理が完了すると、次いで、中断イベント受信部108はサーバ装置200の中断イベント送信部208にオーダIDを含む再開確定を通知する(ステップS703)。ステップS703の処理が完了すると、次いで、中断イベント受信部108は中断イベント送信部208から送信された中断イベントレコードを受信する(ステップS704)。詳細は後述するが、中断イベント送信部208は中断イベント受信部108から再開確定が通知されると、中断イベントレコードを中断イベント受信部108に送信する。この結果、中断イベント受信部108は中断イベントレコードを受信する。
【0076】
ステップS704の処理が完了すると、次いで、中断イベント受信部108は受信した中断イベントレコードを周辺イベント記憶部105に格納する(ステップS705)。尚、上述したステップS701の処理において、中断イベント受信部108が再開確定指示を受け付けると、作業マニュアル表示部101はステップS702からS705までの処理と並行して、又は、ステップS705の処理の後に、作業中断時の作業マニュアルを示す画面をディスプレイ100Iに表示する。より詳しくは、再開確定ボタンBT7(図21参照)が押下されると、図24に示すように、作業マニュアル表示部101は作業中断時の作業マニュアルを示す画面を表示する。これにより、作業者は作業を再開することができる。
【0077】
次に、図25を参照して、再開確定時のサーバ装置200の動作について説明する。
【0078】
図25は中断イベント送信部208の動作の一例を示すフローチャートである。図25に示すように、中断イベント送信部208は再開確定が通知されるまで待機する(ステップS801:NO)。中断イベント送信部208は再開確定が通知されると(ステップS801:YES)、中断イベント記憶部206からオーダIDに応じた中断イベントレコードを取得する(ステップS802)。
【0079】
ステップS802の処理が完了すると、次いで、中断イベント送信部208は中断イベントレコードがあったか否かを判断する(ステップS803)。中断イベント送信部208は、中断イベントレコードを取得できたことにより、中断イベントレコードがあったと判断した場合(ステップS803:YES)、中断イベントレコードを送信する(ステップS804)。ステップS804の処理が完了すると、中断イベント送信部208はオーダIDに応じた中断イベントレコードをクリアする(ステップS805)。これにより、中断イベント受信部108は中断イベントレコードを受信することができる。一方、中断イベント送信部208は、中断イベントレコードを取得できなかったことにより、中断イベントレコードがなかったと判断した場合(ステップS803:NO)、ステップS804及びS805の処理をスキップする。
【0080】
以上、本実施形態によれば、携帯端末100は周辺イベント格納部104を備え、サーバ装置200は共通イベント格納部203を備えている。周辺イベント格納部104及び共通イベント格納部203は作業履歴記憶部201により管理されていない周辺イベントや共通イベントを受け付けた場合に、周辺イベントや共通イベントをこれらの発生時刻と関連付けて周辺イベント記憶部105及び共通イベント記憶部204にそれぞれ格納する。周辺イベント記憶部105に格納された周辺イベントは周辺イベント書込部106によって中断イベント記憶部206に中断イベントとして書き込まれる。
【0081】
また、サーバ装置200はダイジェスト生成部207を備えている。ダイジェスト生成部207は作業を中断する情報を検出した後に、作業を再開する情報を検出した場合、作業履歴記憶部201、共通イベント記憶部204及び中断イベント記憶部206を参照し、作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した共通イベントや中断イベントと、作業を中断する情報を検出したときまでの作業履歴とを時系列に表示するダイジェストページを生成する。ダイジェスト生成部207は生成したダイジェストページをダイジェスト表示部107に送信し、ダイジェスト表示部107がダイジェストページを表示する。このように、ダイジェスト生成部207はダイジェストページを間接的に表示してもよいが、例えば、ダイジェスト生成部207が携帯端末100にダイジェストページを直接的に表示するようにしてもよい。これにより、作業者は作業中断前の状況を作業再開時に確認することができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、ダイジェスト表示部107は周辺イベントや共通イベントを所定の時間範囲内(例えば午前10時から午後5時まで)又は所定の作業単位の数として表される作業範囲内(例えば部品組立から装置組立まで)で表示してもよい。
【0083】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)作業の開始時刻と前記作業の終了時刻と前記作業の内容とを含む作業履歴により管理されていないイベントを受け付けた場合に、前記イベントを該イベントの発生時刻と関連付けて記憶部に格納し、前記作業を中断する情報を検出した後に、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記記憶部を参照し、前記作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した前記イベントと、前記作業を中断する情報を検出したときまでの前記作業履歴とを時系列に表示する、処理をコンピュータに実行させるための作業ナビゲーションプログラム。
(付記2)前記処理は、前記イベントを所定の時間範囲内又は所定の作業単位の数として表される作業範囲内で表示する、ことを特徴とする付記1に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記3)前記処理は、前記作業を再開する情報を検出した場合、再開時の作業画面を表示する前に前記イベントと前記作業履歴とを時系列で表示する画面を表示する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記4)前記処理は、一つの作業の開始時刻から終了時刻までの間の時刻に対応付けられた前記イベントを一つの作業の時間帯に検出した情報として表示する、ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記5)前記処理は、前記作業を中断する情報を検出した場合に、前記作業を中断した作業者の周囲で作業を行っていた別の作業者の情報を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記別の作業者の情報を表示する、ことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記6)前記処理は、前記作業を中断する情報を複数回検出した場合に、前記作業を中断した作業者の周囲で作業を行っていた別の作業者の直近の情報を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記別の作業者の直近の情報を表示する、ことを特徴とする付記1から5のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記7)前記処理は、前記作業を中断する情報を検出した場合に、中断直前の作業画面のサムネイル画像を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記サムネイル画像を表示する、ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記8)前記処理は、前記イベントの少なくとも一部を、前記作業を行う作業者が携帯する携帯端末から受け付ける、ことを特徴とする付記1から7のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記9)前記処理は、前記イベントの少なくとも一部を、作業者が前記作業を行う施設に設けられたセンサから受け付ける、ことを特徴とする付記1から7のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記10)前記イベントは、前記作業を行う作業者の行動又は状態に関する第1のイベント、前記作業で使用される作業道具の変化に関する第2のイベント、前記作業者が前記作業で利用する機器の異常に関する第3のイベント、前記作業の計画変更に関する第4のイベント、及び前記作業者が前記作業を行う施設の環境に関する第5のイベントの少なくとも1つである、ことを特徴とする付記1から9のいずれか1項に記載の作業ナビゲーションプログラム。
(付記11)作業の開始時刻と前記作業の終了時刻と前記作業の内容とを含む作業履歴により管理されていないイベントを受け付けた場合に、前記イベントを該イベントの発生時刻と関連付けて記憶部に格納し、前記作業を中断する情報を検出した後に、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記記憶部を参照し、前記作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した前記イベントと、前記作業を中断する情報を検出したときまでの前記作業履歴とを時系列に表示する、処理をコンピュータが実行する作業ナビゲーション方法。
(付記12)作業の開始時刻と前記作業の終了時刻と前記作業の内容とを含む作業履歴により管理されていないイベントを受け付けた場合に、前記イベントを該イベントの発生時刻と関連付けて記憶部に格納し、前記作業を中断する情報を検出した後に、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記記憶部を参照し、前記作業を再開する情報を検出するよりも前に発生した前記イベントと、前記作業を中断する情報を検出したときまでの前記作業履歴とを時系列に表示する、処理部を有する作業ナビゲーション装置。
(付記13)前記処理部は、前記イベントを所定の時間範囲内又は所定の作業単位の数として表される作業範囲内で表示する、ことを特徴とする付記12に記載の作業ナビゲーション装置。
(付記14)前記処理部は、前記作業を再開する情報を検出した場合、再開時の作業画面を表示する前に前記イベントと前記作業履歴とを時系列で表示する画面を表示する、ことを特徴とする付記12又は13に記載の作業ナビゲーション装置。
(付記15)前記処理部は、一つの作業の開始時刻から終了時刻までの間の時刻に対応付けられた前記イベントを一つの作業の時間帯に検出した情報として表示する、ことを特徴とする付記12から14のいずれか1項に記載の作業ナビゲーション装置。
(付記16)前記処理部は、前記作業を中断する情報を検出した場合に、前記作業を中断した作業者の周囲で作業を行っていた別の作業者の情報を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記別の作業者の情報を表示する、ことを特徴とする付記12から15のいずれか1項に記載の作業ナビゲーション装置。
(付記17)前記処理部は、前記作業を中断する情報を複数回検出した場合に、前記作業を中断した作業者の周囲で作業を行っていた別の作業者の直近の情報を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記別の作業者の直近の情報を表示する、ことを特徴とする付記12から16のいずれか1項に記載の作業ナビゲーション装置。
(付記18)前記処理部は、前記作業を中断する情報を検出した場合に、中断直前の作業画面のサムネイル画像を保持し、前記作業を再開する情報を検出した場合、前記サムネイル画像を表示する、ことを特徴とする付記12から17のいずれか1項に記載の作業ナビゲーション装置。
(付記19)前記処理部は、前記イベントの少なくとも一部を、前記作業を行う作業者が携帯する携帯端末から受け付ける、ことを特徴とする付記12から18のいずれか1項に記載の作業ナビゲーション装置。
(付記20)前記処理部は、前記イベントの少なくとも一部を、作業者が前記作業を行う施設に設けられたセンサから受け付ける、ことを特徴とする付記12から18のいずれか1項に記載の作業ナビゲーション装置。
【符号の説明】
【0084】
100 携帯端末
104 周辺イベント格納部
105 周辺イベント記憶部
107 ダイジェスト表示部
200 サーバ装置
201 作業履歴記憶部
203 共通イベント格納部
204 共通イベント記憶部
206 中断イベント記憶部
207 ダイジェスト生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25