特許第6794898号(P6794898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許6794898-収納棚 図000002
  • 特許6794898-収納棚 図000003
  • 特許6794898-収納棚 図000004
  • 特許6794898-収納棚 図000005
  • 特許6794898-収納棚 図000006
  • 特許6794898-収納棚 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794898
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】収納棚
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20201119BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B65G1/00 521Z
   H01L21/68 T
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-65323(P2017-65323)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-167941(P2018-167941A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年2月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安部 健史
(72)【発明者】
【氏名】吉本 忠浩
(72)【発明者】
【氏名】吉川 尚幸
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−219537(JP,A)
【文献】 特開2017−050518(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/045583(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/022330(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0360531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133,1/14−1/20
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を収納する収納部を複数備えた収納棚であって、
前記容器は、その底面に被支持部と前記容器の内部に気体を供給するための給気部とを備えると共に、上下方向に見て前記被支持部と前記給気部との間に前記容器の重心が位置し、
複数の前記収納部の夫々は、前記容器の前記被支持部を下方から支持する支持面を形成する容器支持体と、前記給気部に下方から接触して気体を前記給気部から前記容器の内部に供給するノズルと、前記収納部に収納された前記容器の側面に接触して前記容器の水平方向への移動を規制する規制体と、を備え、
前記ノズルが、前記支持面から上方に突出する状態で前記容器支持体に固定され、
前記容器が、前記支持面と前記ノズルとのみで支持され
前記ノズルにおける前記給気部に接触する先端部が、弾性変形可能に構成され、
前記ノズルは、筒状の前記先端部と、前記先端部より下方に位置する筒状の基部と、を備え、
前記支持面における前記容器の前記被支持部に接触する部分を支持部とし、
水平方向における前記支持部と前記ノズルとが並ぶ方向を並び方向とし、前記支持部に対して前記ノズルが存在する方向を第一方向、その反対方向を第二方向とし、
鉛直方向における、前記支持面から、自然状態の前記ノズルの上端までの距離を、第一鉛直距離H1とし、
鉛直方向における、前記支持面から、前記容器を支持した支持状態の前記ノズルの上端までの距離を、第二鉛直距離H2とし、
前記並び方向における、前記支持部から、前記先端部における前記容器に接触している接触領域の前記第一方向側の端部である第一端部までの距離を、第一水平距離L1とし、
前記並び方向における、前記第一端部から、前記接触領域の第二方向側の端部である第二端部までの距離を、第二水平距離L2とし、
鉛直方向における、自然状態の前記先端部の上端から下端までの距離を、第三鉛直距離H3とし、
前記第三鉛直距離H3は、
H4=(L2/L1)×H2+(H1−H2)
で表される第四鉛直距離H4より大きい収納棚。
【請求項2】
記先端部の径方向厚さが、前記基部の径方向厚さよりも小さい請求項に記載の収納棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を収納する収納部を複数備えた収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる収納棚の従来例が、特開2013−133193号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の収納棚における収納部の夫々には、容器を支持する3個の位置決め突起10bを有する載置支持部10aと、容器の内部に気体を供給するための吐出ノズル10iと、を備えている。また、3個の位置決め突起30bは、容器の底部に形成された被係合部に係合することで、容器を支持すると共に容器の水平方向への移動を規制している。また、収納部に収納された容器の給気口51iに吐出ノズルが接触しており、吐出ノズルから噴出された気体が給気口51iから容器の内部に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−133193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の収納棚では、載置支持部10aの歪み等により、3個の位置決め突起10bの高さに誤差が生じたために、収納部に収納された容器が給気口51iに対して傾き、容器の給気口51iが吐出ノズル10iに適切に接触しなくなることで、吐出ノズル10iから噴出した気体が給気口51iから容器の内部に適切に供給されない可能性がある。
【0005】
そこで、容器の内部に気体を適切に供給し易い収納棚の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、収納棚の特徴構成は、容器を収納する収納部を複数備え、
前記容器は、その底面に被支持部と前記容器の内部に気体を供給するための給気部とを備えると共に、上下方向に見て前記被支持部と前記給気部との間に前記容器の重心が位置し、複数の前記収納部の夫々は、前記容器の前記被支持部を下方から支持する支持面を形成する容器支持体と、前記給気部に下方から接触して気体を前記給気部から前記容器の内部に供給するノズルと、前記収納部に収納された前記容器の側面に接触して前記容器の水平方向への移動を規制する規制体と、を備え、前記ノズルが、前記支持面から上方に突出する状態で前記容器支持体に固定され、前記容器が、前記支持面と前記ノズルとのみで支持され、前記ノズルにおける前記給気部に接触する先端部が、弾性変形可能に構成され、前記ノズルは、筒状の前記先端部と、前記先端部より下方に位置する筒状の基部と、を備え、前記支持面における前記容器の前記被支持部に接触する部分を支持部とし、水平方向における前記支持部と前記ノズルとが並ぶ方向を並び方向とし、前記支持部に対して前記ノズルが存在する方向を第一方向、その反対方向を第二方向とし、鉛直方向における、前記支持面から、自然状態の前記ノズルの上端までの距離を、第一鉛直距離H1とし、鉛直方向における、前記支持面から、前記容器を支持した支持状態の前記ノズルの上端までの距離を、第二鉛直距離H2とし、前記並び方向における、前記支持部から、前記先端部における前記容器に接触している接触領域の前記第一方向側の端部である第一端部までの距離を、第一水平距離L1とし、前記並び方向における、前記第一端部から、前記接触領域の第二方向側の端部である第二端部までの距離を、第二水平距離L2とし、鉛直方向における、自然状態の前記先端部の上端から下端までの距離を、第三鉛直距離H3とし、前記第三鉛直距離H3は、H4=(L2/L1)×H2+(H1−H2)で表される第四鉛直距離H4より大きい点にある。
【0007】
これらの特徴構成によれば、収納部に収納された容器の給気部にはノズルが接触するため、ノズルから噴出された気体を給気部から容器の内部に供給することができる。また、収納部に収納された容器は、規制体に接触することで水平方向への移動が規制されている。
そして、収納部に収納された容器は、容器支持体の支持面とノズルとのみで支持されており、容器の重心は、容器支持体の支持面とノズルとの間に位置している。そのため、容器の荷重により容器の給気部がノズルに押し付けられ、給気部がノズルに密着するため、ノズルから噴出される気体を給気部から容器の内部に適切に供給し易くなっている。
また、上記の特徴構成によれば、容器の荷重により容器の給気部がノズルに押し付けられることにより、ノズルの先端部が弾性変形する。そのため、ノズルの先端部の形状が給気部に密着する形状になり易く、ノズルから噴出される気体を給気部から容器の内部に適切に供給し易い。
また、上記の特徴構成によれば、容器を支持したノズルの先端部は、鉛直方向に圧縮されるように弾性変形する。そして、ノズルが弾性変形することで、ノズルが弾性変形していない場合に比べて、容器は、第一方向の端部が下降するように傾いた姿勢となる。そのため、容器を支持したノズルは、その第一端部が、第二端部に比べて大きく下降する。このノズルの第一端部の下降量とノズルの第二端部の下降量との差である下降量差は、(L2/L1)×H2により求められる。また、第一端部の下降量は、H1−H2で表され、この第一端部の下降量に、上述の下降量差を加えることで、ノズルの自然状態からの第二端部の下降量が求められる。
そして、自然状態の先端部の上端から下端までの距離である第三鉛直距離H3が、ノズルの最も下降する部分となる第二端部の下降量より大きい。このようにすることで、容器を支持したときにノズルが鉛直方向に圧縮されるように弾性変形するが、このノズルの弾性変形を先端部のみで吸収でき、ノズルの基部を変形させることなく容器を支持できるため、ノズルの先端部を給気部に密着させ易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】物品収納設備の側面図
図2】収納部の平面図
図3】収納部の側面図
図4】容器支持体及びノズルの側面図
図5】自然状態のノズルを示す図
図6】容器を支持した状態のノズルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
収納棚を備えた容器収納設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、容器収納設備は、容器Wを収納する収納部1Aを複数備えた収納棚1と、容器Wを搬送するスタッカークレーン2と、収納棚1やスタッカークレーン2が設置される空間の側周囲を覆う壁体Kと、を備えている。
【0010】
また、図2及び図3に示すように、容器収納設備には、気体供給装置3が備えられている。気体供給装置3は、収納部1Aに収納されている容器Wの内部に、気体としてのクリーンドライエアー(以下、ドライエアーと略称する)を供給するように構成されている。つまり、気体供給装置3により容器Wの内部に供給される気体は、収納部1Aの気体に比べて湿度が低い気体となっている。
容器Wは、1枚の基板を収容可能に構成されている。本実施形態では、基板をレチクルとし、容器Wを、レチクルを収納する容器Wとしている。
【0011】
図1に示すように、物品収納設備は、天井部Cから床部Fに向かって気体が流動するダウンフロー式のクリーンルームS内に設置されている。
クリーンルームSの床部Fは、下床部F1と、下床部F1よりも上方に設置された上床部F2とを備えている。下床部F1は、通気孔を有さない通気不能な床であり、上床部F2は、通気孔を有する鉛直方向Zに通気可能な床である。
クリーンルームSの天井部Cは、上天井部C1と、上天井部C1よりも下方に設置された下天井部C2とにより構成されている。上天井部C1は、通気孔を有さない通気不能な天井であり、下天井部C2は、鉛直方向Zに通気可能な天井である。
そして、図外の送風装置の作動により、下床部F1と上床部F2との間に空気を噴出することで、下天井部C2のフィルタにより浄化された空気(清浄空気)が、クリーンルームSに排出されて、クリーンルームSを天井部Cから床部Fに向けて下方に流動し、その後、上床部F2を通って下床部F1と上床部F2との間の空間に流動する。
【0012】
以下、容器W、及び、物品収納設備の各構成について説明するが、鉛直方向Zに見て、収納棚1とスタッカークレーン2とが並ぶ方向を前後方向Xとし、前後方向Xに対して直交する方向を幅方向Yとして説明する。また、前後方向Xにおいて、収納棚1に対してスタッカークレーン2が存在する方向を前方X1とし、その反対方向を後方X2として説明する。また、容器Wについては、容器Wを収納部1Aに収納した状態に基づいて前後方向X及び幅方向Yを定義して説明する。
尚、前後方向Xが、水平方向における支持部25Bとノズル16とが並ぶ方向である並び方向に相当する。また、前方X1が、支持部25Bに対してノズル16が存在する方向である第一方向に相当し、後方X2が、第一方向の反対方向である第二方向に相当する。
【0013】
〔容器〕
図4に示すように、容器Wの底面には、給気部6と排気部7と被支持部8とが備えられている。
給気部6は、気体供給装置3のノズル16から噴出されたドライエアーを容器Wの内部に供給するための部分である。給気部6には、給気用開閉弁(図示せず)が備えられている。給気部6は、幅方向Yに並ぶ状態で一対備えられており、一対の給気部6は、前後方向Xで同じ位置に備えられている。
排気部7は、容器Wの内部の気体を容器Wの外部に排気するための部分である。排気部7には、排気用開閉弁(図示せず)が備えられている。給気部6は、幅方向Yに並ぶ状態で一対備えられており、一対の給気部6は、前後方向Xで同じ位置に備えられている。
【0014】
前後方向Xにおいて、一対の給気部6の双方は容器Wの重心より前方X1に位置し、一対の排気部7の双方は容器Wの重心より後方X2に位置しており、給気部6と排気部7との間に容器Wの重心が位置している。また、幅方向Yにおいて、一対の給気部6の間に容器Wの重心が位置し、一対の排気部7の間に容器Wの重心が位置している。尚、容器Wの重心は、容器Wに基板を収納しているか否かに関わらず、給気部6と排気部7との間に位置している。
【0015】
給気部6の給気用開閉弁は、スプリング等の付勢体によって閉じ状態に付勢されており、給気部6に気体供給装置3のノズル16が下方から接触した状態で、そのノズル16からドライエアーが噴出されると、その噴出したドライエアーの圧力により給気用開閉弁が開き、ドライエアーが給気部6から容器Wの内部に供給される。また、排気部7の排気用開閉弁は、スプリング等の付勢体によって閉じ状態に付勢されており、気体供給装置3によるドライエアーの供給により容器Wの内部の圧力が高まるとその圧力により排気用開閉弁が開き、容器Wの内部の気体が排気部7から排気される。
【0016】
被支持部8は、容器Wが収納部1Aに収納された場合に、収納部1Aの容器支持体25の支持面25Aにより下方から支持される部分である。そして、被支持部8は、容器Wの底面における後端に位置しており、前後方向Xにおいて、被支持部8は容器Wの重心より後方X2に位置している。また、幅方向Yにおいて、被支持部8は容器Wの重心と同じ位置に位置している。
そのため、前後方向Xにおいて、一対の給気部6と被支持部8との間に容器Wの重心が位置しており、幅方向Yにおいて、被支持部8の少なくとも一部が、一対の給気部6の間に位置している。
【0017】
〔スタッカークレーン〕
図1に示すように、スタッカークレーン2は、収納棚1の前方を走行方向(幅方向Y)に走行する走行台車9と、走行台車9に立設されたマスト10と、マスト10に沿って昇降する昇降体11と、昇降体11に支持されている移載装置12と、を備えている。
移載装置12は、走行台車9が走行することで幅方向Yに沿って移動し、昇降体11が昇降することでマスト10に沿って鉛直方向Zに移動する。また、詳細な説明は省略するが、移載装置12には、容器Wを支持する支持台と、当該支持台を前後方向Xに沿って移動させるリンク機構と、を備えており、移載装置12は、自己と収納部1Aとの間で容器Wを移載可能に構成されている。
【0018】
〔気体供給装置〕
図2及び図3に示すように、気体供給装置3は、気体供給源(図示せず)に接続された基幹配管(図示せず)と、この基幹配管から分岐する複数の縦配管14と、それぞれの縦配管14から分岐する複数の分岐配管15と、を備えている。気体供給源からのドライエアーは、基幹配管、縦配管14、分岐配管15の順に流通して、各収納部1Aに備えられたノズル16から噴出する。
基幹配管は、例えば最下段の収納部1Aよりも下方において、幅方向Yに沿って配設されている。複数の縦配管14のそれぞれは、基幹配管から上方に向かって延びるように配設されている。複数の分岐配管15のそれぞれは、縦配管14から幅方向Y及び前後方向Xに延びるように配設されている。分岐配管15の先端には、ノズル16が接続されている。
【0019】
図5に示すように、ノズル16は、筒状の先端部18と、先端部18より下方に位置する筒状の基部19と、を備えている。基部19は、収納部1Aの容器支持体25に固定されており、先端部18は、収納部1Aに収納された容器Wの給気部6に下方から接触する。
基部19は、先端部18に連なる第一基部20と、最も下方に位置する第二基部21と、で構成されている。
先端部18と基部19とは、弾性変形可能な材質(例えば合成ゴム)により構成されており、先端部18と基部19との夫々は、弾性変形可能に構成されている。また、先端部18と基部19とは一体形成されており、先端部18と基部19とは同じ材質で構成されている。
【0020】
先端部18と第一基部20とは、外径が同じであり、第二基部21は、先端部18及び第一基部20より外形が大きい。また、第一基部20と第二基部21とは、内径が同じであり、先端部18は、第一基部20及び第二基部21より内径が大きい。そのため、先端部18の径方向厚さは、基部19(第一基部20及び第二基部21)の径方向厚さより小さくなっている。そして、先端部18の径方向厚さが、基部19より径方向厚さが小さいため、先端部18は、基部19に比べて弾性変形し易く構成されている。また、先端部18は、上方側ほど径方向厚さが小さくなる形状に形成されている。
【0021】
〔収納棚〕
図1に示すように、収納棚1は、互いに対向する状態で一対設置されている。一対の収納棚1の夫々には、鉛直方向Z及び幅方向Yに並ぶ状態で収納部1Aが配置されている。一対の収納棚1は、設置されている向きが異なる以外は同様に構成されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、収納棚1は、収納部1Aに収納した容器Wを下方から支持する複数の棚板23と、複数の棚板23を片持ち状に支持する棚枠24と、を備えている。
棚板23は、鉛直方向Z及び幅方向Yに並ぶ状態で収納棚1に複数備えられている。棚板23は、幅方向Yに隣接する2つの収納部1Aに対して1つ設置されており、棚板23の幅方向Yの大きさは、幅方向Yに並ぶ2つの容器Wを支持可能な大きさに形成されており、1つの棚板23により、2つの容器支持体25が形成されている。
【0023】
容器支持体25は、収納部1Aに収納されている容器Wを下方から支持する支持板26と、棚枠24に連結される連結部27と、を備えている。支持板26は、前後方向X及び幅方向Yに延びる平板状に形成されており、支持板26における上方を向く面により、容器Wの被支持部8を下方から支持する支持面25Aが形成されている。
【0024】
容器支持体25には、複数の規制体28と一対のノズル16とが支持されている。
複数の規制体28は、容器支持体25の支持面25Aから上方に突出する状態で容器支持体25に固定されている。また、複数の規制体28は、収納された容器Wに対して前後方向Xの両側及び幅方向Yの両側に位置するように、鉛直方向Zにみて収納部1Aに収納された容器Wと重ならないように設置されている。収納された容器Wは、その側面が規制体28に接触することで前後方向Xや幅方向Yに移動することが規制されている。
【0025】
一対のノズル16は、容器支持体25の支持面25Aから上方に突出する状態で容器支持体25に固定されている。ノズル16は、収納部1Aに収納された容器Wにおける給気部6に対して鉛直方向Zに見て重なる位置に設置されている。つまり、容器Wが収納部1Aに収納されると、当該容器Wは、給気部6にノズル16が下方から接触し、ノズル16と給気部6とが接続される。そして、給気部6にノズル16が接触した状態でノズル16からドライエアーが噴出されることにより、給気部6から容器Wの内部にドライエアーが供給されるとともに、容器Wの内部の気体が排気部7から排気される。
【0026】
ノズル16の容器支持体25への固定について説明を加えると、容器支持体25には、分岐配管15の先端を容器支持体25に固定するための固定体29が備えられており、この固定体29は、支持板26の下面に連結される。そして、ノズル16は、容器支持体25と固定体29との間に第二基部21が鉛直方向Zに挟まれる状態で、容器支持体25に固定されている。ノズル16は、先端部18の全体及び第一基部20の一部が支持面25Aより上方に位置している。
図5に示すように、先端部18における容器Wに接触している接触領域の前方X1側の端部を第一端部18Aとし、接触領域の後方X2側の端部を第二端部18Bとして、ノズル16が自然状態では、第一端部18Aと第二端部18Bとは同じ高さに位置している。
【0027】
このように、複数の容器支持体25の夫々にノズル16及び規制体28を支持することで、複数の収納部1Aの夫々には、容器Wの被支持部8を下方から支持する支持面25Aを形成する容器支持体25と、給気部6に下方から接触してドライエアーを給気部6から容器Wの内部に供給するノズル16と、収納部1Aに収納された容器Wの側面に接触して容器Wの水平方向への移動を規制する規制体28と、が備えられている。
そして、収納部1Aに収納された容器Wは、被支持部8のみが支持面25Aに接触している。つまり、収納部1Aに収納された容器Wは、被支持部8が支持面25Aの支持部25Bに接触し、給気部6がノズル16に接触することで支持されており、当該容器Wは、支持面25Aとノズル16とのみで支持されている。
【0028】
図5及び図6に示すように、収納部1Aに容器Wを収納して当該容器Wを支持面25Aとノズル16とのみで支持した状態では、容器Wの荷重によって、ノズル16は下方に圧縮されて鉛直方向の長さが短くなる。そのため、鉛直方向Zにおける、支持面25Aから、自然状態の先端部18の上端までの距離を、第一鉛直距離H1とし、鉛直方向Zにおける、支持面25Aから、容器Wを支持した支持状態のノズル16の上端までの距離を、第二鉛直距離H2とした場合、第二鉛直距離H2は、第一鉛直距離H1より短くなる。
【0029】
そして、容器Wは、水平な面上に支持させたときの姿勢を基準姿勢とした場合、支持面25Aとノズル16とのみで支持されている容器Wは、基準姿勢に比べて前方X1側の部分が持ち上げられた傾斜姿勢となっている。そして、ノズル16の第一端部18Aが、容器Wを支持した支持状態のノズル16の上端となっている。つまり、第二鉛直距離H2は、鉛直方向Zにおける、支持面25Aから、支持状態のノズル16における第一端部18Aまでの距離となる。
また、容器Wは、上述の如く傾斜姿勢となるため、ノズル16は、第一端部18A側に比べて第二端部18B側が大きく下方に圧縮される。そのため、鉛直方向Zにおける、支持面25Aから、支持状態のノズル16における第二端部18Bまでの距離を、第五鉛直距離H5とした場合、第五鉛直距離H5は、第二鉛直距離H2より短くなる。
【0030】
前後方向Xにおける、支持部25Bから第一端部18Aまでの距離を、第一水平距離L1とし、前後方向Xにおける、第一端部18Aから第二端部18Bまでの距離を、第二水平距離L2とし、鉛直方向Zにおける、自然状態の先端部18の上端から下端までの距離を、第三鉛直距離H3とする。
この場合は、第三鉛直距離H3は、H4=(L2/L1)×H2+(H1−H2)で表される第四鉛直距離H4より大きくなるように、ノズル16の形状やノズルを構成する材質の弾性係数が設定されている。そのため、第三鉛直距離H3が、ノズル16における容器Wを支持したときの第二端部18Bの下降量より大きく、容器Wを支持したときのノズル16の弾性変形を先端部18のみで吸収できるようになっている。
【0031】
2.その他の実施形態
次に、収納棚のその他の実施形態について説明する。
【0032】
(1)上記実施形態では、ノズル16の先端部18と基部19とを一体に構成したが、ノズル16の先端部18と基部19とを別体に構成してもよい。そして、ノズル16の先端部18と基部19とを別体に構成した場合は、基部19をアルミニウム等の金属により構成して、ノズル16の先端部18と基部19とのうち先端部18のみを弾性変形可能に構成してもよい。
【0033】
(2)上記実施形態では、ノズル16の先端部18及び基部19の双方を筒状に形成し、先端部18の径方向厚さを基部19の径方向厚さよりも小さくしたが、ノズル16の形状は適宜変更してもよく、例えば、先端部18の径方向厚さと基部19の径方向厚さとを同じにしてもよい。
【0034】
(3)上記実施形態では、第三鉛直距離H3を、第四鉛直距離H4より大きくしたが、例えば、基部19を弾性変形し易くする等により、第三鉛直距離H3を、第四鉛直距離H4と同じ、又は小さくしてもよい。
【0035】
(4)上記実施形態では、容器Wを、レチクルを収納する容器としたが、容器Wは、半導体ウェハを収容するFOUP等の他の容器としてもよい。また、容器Wの内部に供給する気体を、ドライエアーとしたが、容器Wの内部に供給する気体は、ドライエアー以外、例えば、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性気体でもよい。
【0036】
(5)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0037】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した収納棚の概要について説明する。
【0038】
収納棚は、容器を収納する収納部を複数備え、
前記容器は、その底面に被支持部と前記容器の内部に気体を供給するための給気部とを備えると共に、上下方向に見て前記被支持部と前記給気部との間に前記容器の重心が位置し、複数の前記収納部の夫々は、前記容器の前記被支持部を下方から支持する支持面を形成する容器支持体と、前記給気部に下方から接触して気体を前記給気部から前記容器の内部に供給するノズルと、前記収納部に収納された前記容器の側面に接触して前記容器の水平方向への移動を規制する規制体と、を備え、前記ノズルが、前記支持面から上方に突出する状態で前記容器支持体に固定され、前記容器が、前記支持面と前記ノズルとのみで支持され、前記ノズルにおける前記給気部に接触する先端部が、弾性変形可能に構成され、前記ノズルは、筒状の前記先端部と、前記先端部より下方に位置する筒状の基部と、を備え、前記支持面における前記容器の前記被支持部に接触する部分を支持部とし、水平方向における前記支持部と前記ノズルとが並ぶ方向を並び方向とし、前記支持部に対して前記ノズルが存在する方向を第一方向、その反対方向を第二方向とし、鉛直方向における、前記支持面から、自然状態の前記ノズルの上端までの距離を、第一鉛直距離H1とし、鉛直方向における、前記支持面から、前記容器を支持した支持状態の前記ノズルの上端までの距離を、第二鉛直距離H2とし、前記並び方向における、前記支持部から、前記先端部における前記容器に接触している接触領域の前記第一方向側の端部である第一端部までの距離を、第一水平距離L1とし、前記並び方向における、前記第一端部から、前記接触領域の第二方向側の端部である第二端部までの距離を、第二水平距離L2とし、鉛直方向における、自然状態の前記先端部の上端から下端までの距離を、第三鉛直距離H3とし、前記第三鉛直距離H3は、H4=(L2/L1)×H2+(H1−H2)で表される第四鉛直距離H4より大きい。
【0039】
この構成によれば、収納部に収納された容器の給気部にはノズルが接触するため、ノズルから噴出された気体を給気部から容器の内部に供給することができる。また、収納部に収納された容器は、規制体に接触することで水平方向への移動が規制されている。
そして、収納部に収納された容器は、容器支持体の支持面とノズルとのみで支持されており、容器の重心は、容器支持体の支持面とノズルとの間に位置している。そのため、容器の荷重により容器の給気部がノズルに押し付けられ、給気部がノズルに密着するため、ノズルから噴出される気体を給気部から容器の内部に適切に供給し易くなっている。
また、上記の構成によれば、容器の荷重により容器の給気部がノズルに押し付けられることにより、ノズルの先端部が弾性変形する。そのため、ノズルの先端部の形状が給気部に密着する形状になり易く、ノズルから噴出される気体を給気部から容器の内部に適切に供給し易い。
また、上記の構成によれば、容器を支持したノズルの先端部は、鉛直方向に圧縮されるように弾性変形する。そして、ノズルが弾性変形することで、ノズルが弾性変形していない場合に比べて、容器は、第一方向の端部が下降するように傾いた姿勢となる。そのため、容器を支持したノズルは、その第一端部が、第二端部に比べて大きく下降する。このノズルの第一端部の下降量とノズルの第二端部の下降量との差である下降量差は、(L2/L1)×H2により求められる。また、第一端部の下降量は、H1−H2で表され、この第一端部の下降量に、上述の下降量差を加えることで、ノズルの自然状態からの第二端部の下降量が求められる。
そして、自然状態の先端部の上端から下端までの距離である第三鉛直距離H3が、ノズルの最も下降する部分となる第二端部の下降量より大きい。このようにすることで、容器を支持したときにノズルが鉛直方向に圧縮されるように弾性変形するが、このノズルの弾性変形を先端部のみで吸収でき、ノズルの基部を変形させることなく容器を支持できるため、ノズルの先端部を給気部に密着させ易い。
【0042】
また、前記先端部の径方向厚さが、前記基部の径方向厚さよりも小さいと好適である。
【0043】
この構成によれば、先端部の径方向厚さが、基部の径方向厚さよりも小さいため、先端部と基部とを同じ材質で構成した場合に先端部を基部に比べて弾性変形し易くできる。つまり、先端部は、比較的弾性変形し易い為、ノズルの先端部の形状が給気部に密着する形状になり易い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示に係る技術は、容器を収納する収納部を複数備えた収納棚に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:収納棚
1A:収納部
6:給気部
8:被支持部
16:ノズル
18:先端部
18A:第一端部
18B:第二端部
19:基部
25:容器支持体
25A:支持面
25B:支持部
28:規制体
H1:第一鉛直距離
H2:第二鉛直距離
H3:第三鉛直距離
H4:第四鉛直距離
L1:第一水平距離
L2:第二水平距離
W:容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6