特許第6794907号(P6794907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧

<>
  • 特許6794907-係合装置 図000002
  • 特許6794907-係合装置 図000003
  • 特許6794907-係合装置 図000004
  • 特許6794907-係合装置 図000005
  • 特許6794907-係合装置 図000006
  • 特許6794907-係合装置 図000007
  • 特許6794907-係合装置 図000008
  • 特許6794907-係合装置 図000009
  • 特許6794907-係合装置 図000010
  • 特許6794907-係合装置 図000011
  • 特許6794907-係合装置 図000012
  • 特許6794907-係合装置 図000013
  • 特許6794907-係合装置 図000014
  • 特許6794907-係合装置 図000015
  • 特許6794907-係合装置 図000016
  • 特許6794907-係合装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794907
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】係合装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/102 20060101AFI20201119BHJP
   F16D 27/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F16D27/102
   F16D27/10 E
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-76495(P2017-76495)
(22)【出願日】2017年4月7日
(65)【公開番号】特開2018-179076(P2018-179076A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 祥宏
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英滋
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−130106(JP,A)
【文献】 特開2016−217371(JP,A)
【文献】 特開平01−303331(JP,A)
【文献】 特公昭47−026547(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/00−39/00
F16D 48/00−48/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径円柱部と、前記小径円柱部の軸方向両端に設けられた一対の大径円環部とを備えるボビンと、前記小径円柱部の前記一対の大径円環部の間に巻き回されたコイルと、を備える固定体と、
前記一対の大径円環部の一方の外周面とギャップを設けて内周面が対向する円環形状の第1回転体ヨークと、前記一対の大径円環部の他方とギャップを設けて内周面が対向する円環形状の第2回転体ヨークと、を備える第1回転体と、
前記第1及び第2回転体ヨークの外周面とのギャップ幅が周方向に沿って異なるように形成された内周面を備える第2回転体と、
を備え、
前記固定体及び前記第1回転体の少なくとも一方には、第1永久磁石と、前記第1永久磁石よりも着磁し易い第2永久磁石が設けられ、
前記コイルから生じる磁界によって前記第2永久磁石の磁極が反転し、前記第2永久磁石の磁極反転に応じて、前記第1及び第2永久磁石の磁束が前記第2回転体を通過する係合状態と、前記第1及び第2永久磁石の磁束が前記第2回転体を通過しない開放状態とに切り替え可能な、
係合装置であって、
前記一対の大径円環部の外周面と、前記第1及び第2回転体ヨークの内周面とのギャップ幅は、周方向に沿って等しくなるように形成され、
前記一対の大径円環部の一方の外周面と前記第1回転体ヨークの内周面との間、及び、前記一対の大径円環部の他方と前記第2回転体ヨークの内周面との間には、周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過する、
係合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の係合装置であって、
前記第1永久磁石は、前記第1回転体ヨークと前記第2回転体ヨークとを接続するようにして前記第1回転体に設けられる、係合装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の係合装置であって、
前記第2永久磁石は、前記一対の大径円環部に設けられ、相対的に外周側であって周方向に沿って設けられた一方の磁極と、相対的に内周側であって周方向に沿って設けられた他方の磁極とを備える、係合装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の係合装置であって、
前記第2永久磁石は、前記第1及び前記第2回転体ヨークに設けられ、相対的に外周側であって周方向に沿って設けられた一方の磁極と、相対的に内周側であって周方向に沿って設けられた他方の磁極とを備える、係合装置。
【請求項5】
小径円柱部と、前記小径円柱部の軸方向両端に設けられた一対の大径円環部とを備えるボビンと、前記小径円柱部の前記一対の大径円環部の間に巻き回されたコイルと、を備える固定体と、
前記一対の大径円環部の一方の外周面とギャップを設けて内周面が対向する円環形状の第1回転体と、
前記一対の大径円環部の他方の外周面とギャップを設けて内周面が対向する円環形状の第2回転体と、
前記第1及び第2回転体の少なくとも一方を軸方向にガイドするガイド部材と、
を備え、
前記固定体には、第1永久磁石と、前記第1永久磁石よりも着磁し易い第2永久磁石が設けられ、
前記コイルから生じる磁界によって前記第2永久磁石の磁極が反転し、前記第2永久磁石の磁極反転に応じて、前記第1及び第2永久磁石の磁束が前記第1及び第2回転体を通過して両者を係合させる係合状態と、前記第1及び第2永久磁石の磁束が前記第1及び第2回転体を通過しない開放状態とに切り替え可能な、
係合装置であって、
前記一対の大径円環部の外周面と、前記第1及び第2回転体の内周面とのギャップ幅は、周方向に沿って等しくなるように形成され、
前記一対の大径円環部の一方の外周面と前記第1回転体の内周面との間、及び、前記一対の大径円環部の他方と前記第2回転体の内周面との間には、周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過する、
係合装置。
【請求項6】
請求項5に記載の係合装置であって、
前記第1永久磁石は、前記コイルよりも外周側であって前記一対の大径円環部を接続するようにして前記固定体に設けられる、係合装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の係合装置であって、
前記第2永久磁石は、前記一対の大径円環部に設けられ、相対的に外周側であって周方向に沿って設けられた一方の磁極と、相対的に内周側であって周方向に沿って設けられた他方の磁極とを備える、係合装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の係合装置であって、
前記第1回転体及び前記第2回転体のそれぞれの対向面には、互いに噛み合う突起列が形成されている、係合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石の極性反転を用いて係合状態の開放状態との切り替えが可能な、係合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1や2に開示されているように、2種類の永久磁石と電磁石とを用いた係合装置が知られている。例えば特許文献1では、図13に例示するように、相対的に着磁し難い極性固定磁石100、相対的に着磁し易い極性可変磁石102A,102B、及び極性反転させるためのコイル104A,104Bを用いた係合装置(ブレーキ装置)が開示されている。
【0003】
極性可変磁石102A,102Bはそれぞれその外周に、コイル104A,104Bが巻き回されている。極性可変磁石102A,102B及びコイル104A,104Bは固定側ヨーク106とともに固定されている。極性可変磁石102A,102Bとその側面が接するようにして固定リング107が設けられる。固定リング107は円弧状ヨーク108と、隣り合う円弧状ヨーク108A,108Bを連結する極性固定磁石100を備える。固定リング107の内周面は、ギャップ(間隔)を空けて回転リング110が設けられる。
【0004】
図14には開放状態の図が例示されている。極性固定磁石100の磁束と極性可変磁石102A,102Bの磁束とは順方向(直列)であり、両者の合成磁束が極性可変磁石102A→円弧状ヨーク108A→極性固定磁石100→円弧状ヨーク108B→極性可変磁石102B→固定側ヨーク106→極性可変磁石102A→とのループ経路L_OFFを通過する。
【0005】
図15には係合状態の図が例示されている。これはコイル104A,104Bから生じた磁界によって、極性可変磁石102A,102Bの極性が図14の状態から反転されたときの様子が例示されている。このとき、極性可変磁石102A,102Bの磁束は、固定側ヨーク106→極性可変磁石102B→円弧状ヨーク108B→回転リング110→円弧状ヨーク108A→極性可変磁石102Aとのループ経路L_ON1を通過する。また、極性固定磁石100の磁束は、円弧状ヨーク108B→回転リング110→円弧状ヨーク108A→極性固定磁石100とのループ経路L_ON2を通過する。
【0006】
円弧状ヨーク108A,108Bの内周面及び回転リング110の外周面には周方向に沿って凹凸が形成されている。そのため、両者のギャップは周方向に沿って異なるものとなる。ギャップの変動に応じて当該ギャップを通過する磁気抵抗も変化する。例えば円弧状ヨーク108A,108Bの内周面と回転リング110の外周面との凸部同士が対向すると磁気抵抗は最小値を取り、凹部同士が対向すると磁気抵抗は最大値を取る。この状態から円弧状ヨーク108A,108Bと回転リング110とが上記の状態から相対回転移動しようとすると磁束を維持しようとする力が働き、その結果回転リング110は固定リング107と係合状態となり回転リング110の回転移動が止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−217371号公報
【特許文献2】特開平1−303331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、永久磁石の極性反転を用いた係合装置を、回転体同士の係合に適用することが考えられる。例えば図13のブレーキ装置について、固定リング107を回転可能とし(回転リング107’とし)、極性可変磁石102A,102Bとは所定のギャップを介して磁路を形成することが考えられる。
【0009】
しかしながらそのような場合、図16に示すように、極性可変磁石102A,102B間で極性が反転しており、これを受ける回転リング107’も周方向(回転方向)に沿って極性が反転する。この状態で極性可変磁石102A,102Bと回転リング107’とが相対回転移動すると、磁束の変化に伴って渦電流が発生し、回転リング107’の回転を妨げるおそれがある。そこで本発明は、回転に伴う渦電流の発生を従来よりも抑制可能な、係合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は係合装置に関する。当該係合装置は、固定体、第1回転体、及び第2回転体を備える。固定体は、小径円柱部と、小径円柱部の軸方向両端に設けられた一対の大径円環部とを備えるボビンと、小径円柱部の一対の大径円環部の間に巻き回されたコイルと、を備える。第1回転体は、一対の大径円環部の一方の外周面とギャップを設けて内周面が対向する円環形状の第1回転体ヨークと、一対の大径円環部の他方とギャップを設けて内周面が対向する円環形状の第2回転体ヨークと、を備える。第2回転体は、第1及び第2回転体ヨークの外周面とのギャップ幅が周方向に沿って異なるように形成された内周面を備える。固定体及び第1回転体の少なくとも一方には、第1永久磁石と、第1永久磁石よりも着磁し易い第2永久磁石が設けられる。コイルから生じる磁界によって第2永久磁石の磁極が反転し、第2永久磁石の磁極反転に応じて、第1及び第2永久磁石の磁束が第2回転体を通過する係合状態と、第1及び第2永久磁石の磁束が第2回転体を通過しない開放状態とに切り替え可能となる。この構成において、一対の大径円環部の外周面と、第1及び第2回転体ヨークの内周面とのギャップ幅は、周方向に沿って等しくなるように形成される。また、一対の大径円環部の一方の外周面と第1回転体ヨークの内周面との間、及び、一対の大径円環部の他方と第2回転体ヨークの内周面との間には、周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過する。
【0011】
また上記発明において、第1永久磁石は、第1回転体ヨークと第2回転体ヨークとを接続するようにして第1回転体に設けられてもよい。
【0012】
また上記発明において、第2永久磁石は、一対の大径円環部に設けられ、相対的に外周側であって周方向に沿って設けられた一方の磁極と、相対的に内周側であって周方向に沿って設けられた他方の磁極とを備えてもよい。
【0013】
また上記発明において、第2永久磁石は、第1及び第2回転体ヨークに設けられ、相対的に外周側であって周方向に沿って設けられた一方の磁極と、相対的に内周側であって周方向に沿って設けられた他方の磁極とを備えてもよい。
【0014】
本発明の係合装置の別態様では、当該係合装置は、固定体、第1回転体、第2回転体、及びガイド部材を備える。固定体は、小径円柱部と、小径円柱部の軸方向両端に設けられた一対の大径円環部とを備えるボビンと、小径円柱部の一対の大径円環部の間に巻き回されたコイルと、を備える。第1回転体は円環形状であって、一対の大径円環部の一方の外周面とギャップを設けて内周面が対向する。第2回転体は円環形状であって、一対の大径円環部の他方の外周面とギャップを設けて内周面が対向する。ガイド部材は第1及び第2回転体の少なくとも一方を軸方向にガイドする。固定体には、第1永久磁石と、第1永久磁石よりも着磁し易い第2永久磁石が設けられる。コイルから生じる磁界によって第2永久磁石の磁極が反転し、第2永久磁石の磁極反転に応じて、第1及び第2永久磁石の磁束が第1及び第2回転体を通過して両者を係合させる係合状態と、第1及び第2永久磁石の磁束が第1及び第2回転体を通過しない開放状態とに切り替え可能となっている。この構成において、一対の大径円環部の外周面と、第1及び第2回転体の内周面とのギャップ幅は、周方向に沿って等しくなるように形成される。また、一対の大径円環部の一方の外周面と第1回転体の内周面との間、及び、一対の大径円環部の他方と第2回転体の内周面との間には、周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過する。
【0015】
また上記発明において、第1永久磁石は、コイルよりも外周側であって一対の大径円環部を接続するようにして固定体に設けられてもよい。
【0016】
また上記発明において、第2永久磁石は、一対の大径円環部に設けられ、相対的に外周側であって周方向に沿って設けられた一方の磁極と、相対的に内周側であって周方向に沿って設けられた他方の磁極とを備えてもよい。
【0017】
また上記発明において、第1回転体及び第2回転体のそれぞれの対向面には、互いに噛み合う突起列が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固定体の一対の大径円環部の外周面と、第1及び第2回転体ヨークの内周面とのギャップ幅を、周方向に沿って等しくしている。さらに、一対の大径円環部の一方の外周面と前記第1回転体ヨークの内周面との間、及び、前記一対の大径円環部の他方と前記第2回転体ヨークの内周面との間には、周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過するようにしている。その結果、周方向すなわち回転方向に沿った磁束変化を抑制可能となり、渦電流の発生を抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る係合装置の一部切り欠き斜視断面図である。
図2】第1実施形態に係る係合装置の別例を示す一部切り欠き斜視断面図である。
図3】永久磁石の特性について説明するグラフである。
図4】第1実施形態に係る係合装置の開放状態を例示する図である。
図5】第1実施形態に係る係合装置の極性反転時を例示する図である。
図6】第1実施形態に係る係合装置の係合状態を例示する図である。
図7】第1実施形態に係る係合装置の更なる別例を示す一部切り欠き斜視断面図である。
図8】第1実施形態に係る係合装置の更なる別例の開放状態及び係合状態を例示する図である。
図9】第2実施形態に係る係合装置の一部切り欠き斜視断面図である。
図10】第2実施形態に係る係合装置の開放状態を例示する図である。
図11】第2実施形態に係る係合装置の極性反転時を例示する図である。
図12】第2実施形態に係る係合装置の係合状態を例示する図である。
図13】従来技術に係る係合装置の斜視断面図である。
図14】従来技術に係る係合装置の開放状態を例示する図である。
図15】従来技術に係る係合装置の係合状態を例示する図である。
図16】従来技術に係る係合装置の係合状態を回転体同士の係合に適用したときの磁束について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1に、第1実施形態に係る係合装置10を例示する。係合装置10は、固定体12、第1回転体14、及び第2回転体16を備える。係合装置10は、例えば第1回転体14と第2回転体16とを連結させて駆動力を伝達させるクラッチ装置として機能する。なお、図1以降、図面には互いに直交するX軸、Y軸、Z軸が示される。Y軸は回転軸と平行な軸である。X軸、Z軸は回転軸に直交する径方向の軸である。X軸及びZ軸もまた直交関係にある。
【0021】
固定体12は、ボビン18、コイル20、及び極性可変磁石22A,22B(第2永久磁石)を備える。ボビン18は側面視(Z軸方向)H型の部材であり、回転軸方向(Y軸方向)に延設される小径円柱部26と、その両端に設けられる一対の大径円環部24A,24Bを備える。ボビン18の少なくとも一部は高透磁率材料から構成され、例えば低炭素鋼等の軟質磁性材料から構成される。
【0022】
ボビン18の小径円柱部26にはコイル20が巻き回される。コイル20は接続配線28を介して外部の電源(図示せず)に接続される。コイル20の小径円柱部26への巻数は1回でも複数回でもよい。
【0023】
極性可変磁石22A,22Bは、それぞれ大径円環部24A,24Bの少なくとも一部を構成する。例えば、大径円環部24A,24Bのそれぞれ全体が極性可変磁石22A,22Bから構成されてもよい。この場合、小径円柱部26を高透磁率材料から形成してこれをヨークとする。また、極性可変磁石22Aの外周面は、大径円環部24Aの外周面を構成し、極性可変磁石22Bの外周面は、大径円環部24Bの外周面を構成する。
【0024】
極性可変磁石22A,22Bは、周方向に沿って同一の磁極のみが揃うように構成される。例えば極性可変磁石22Aは、図1に破線で示すように、相対的に外周側にはその周方向に沿って一方の磁極23A(例えばS極)が配置され、相対的に内周側にはその周方向に沿って他方の磁極23B(例えばN極)が配置される。このようにすることで、周方向に沿って磁性が同一の磁束のみが通過することになる。
【0025】
極性可変磁石22Bは、極性可変磁石22Aとは磁極が反転するように配置される。すなわち、相対的に外周側にはその周方向に沿って一方の磁極23B(例えばN極)が配置され、相対的に内周側にはその周方向に沿って他方の磁極23A(例えばS極)が配置される。
【0026】
極性可変磁石22A,22Bはともに、円筒形状もよい。また図2に示すように、円弧形状の極性可変磁石22A,22Bを複数組み立てて円筒形状としてもよい。
【0027】
極性可変磁石22A,22Bは、後述する極性固定磁石32(第1永久磁石)よりも着磁し易いという特性を備える。つまり、極性固定磁石32よりも磁極を反転させ易い特性を備える。図3には磁界(横軸)と磁束密度(縦軸)からなる磁石特性グラフが例示されている。
【0028】
一般的に、磁石の動作点はパーミアンス直線(磁石形状や磁気回路などで決まる直線)と減磁曲線の交点で決まる。例えば、図3に示すようなパーミアンス直線を仮定した場合、アルニコ磁石(Alnico5)の動作点は点A,ネオジム磁石は点Bとなる。このグラフから、アルニコ磁石はネオジム磁石の1/3程度の磁束密度しか得られないことが分かる。
【0029】
このことから、アルニコ磁石(Almico5)は着磁が容易だが磁力が弱く,ネオジム磁石(Ne−Fe−B)は着磁が困難だが磁力が強い特性を有していることが導かれる。上記を踏まえて、極性可変磁石22A,22Bは例えばアルニコ磁石から構成され、極性固定磁石32は例えばネオジム磁石から構成される。
【0030】
第1回転体14は、第1回転体ヨーク30A、第2回転体ヨーク30B、及び極性固定磁石32を備える。第1回転体14は、固定体12の外周側に設けられ、かつ、第2回転体16の内周側に設けられる、略円環形状の部材である。第1回転体14は、その周方向に沿って(言い換えるとY軸回りに)回転可能となっている。
【0031】
第1回転体ヨーク30Aは、高透磁率材料から構成され、例えば低炭素鋼等の軟質磁性材料から構成される。第1回転体ヨーク30Aは略円環形状であって、その内周面はギャップ(間隔)を設けて大径円環部24A(極性可変磁石22A)の外周面と対向する。また、第1回転体ヨーク30Aの軸方向長さは大径円環部24A(極性可変磁石22A)の軸方向長さと略等しく形成される。
【0032】
さらに、第1回転体ヨーク30Aの内周面と大径円環部24A(極性可変磁石22A)の外周面のギャップ幅W1は、周方向に沿って等しくなるように形成される。これにより、周方向に沿ってギャップによる磁気抵抗が一様となるので、周方向に沿った磁束変化が抑制され、その結果、渦電流の発生が抑制される。
【0033】
例えば、大径円環部24A(極性可変磁石22A)の外周面と第1回転体ヨーク30Aの内周面は、側面視(Y軸方向視)で同心円となるように形成される。第1回転体14は図示しない軸受け等により、第1回転体ヨーク30Aと大径円環部24A(極性可変磁石22A)の外周面のギャップ幅W1が維持される。
【0034】
第2回転体ヨーク30Bは、高透磁率材料から構成され、例えば低炭素鋼等の軟質磁性材料から構成される。第2回転体ヨーク30Bも第1回転体ヨーク30Aと同様に略円環形状であって、その軸方向長さは大径円環部24B(極性可変磁石22B)の軸方向長さに略等しい。また第2回転体ヨーク30Bの内周面はギャップ(間隔)を設けて大径円環部24B(極性可変磁石22B)の外周面と対向する。
【0035】
さらに、第2回転体ヨーク30Bの内周面と大径円環部24B(極性可変磁石22B)の外周面のギャップ幅W1は、周方向に沿って等しくなるように形成される。これにより、周方向に沿って磁気抵抗が一様となるので、周方向に沿ったギャップによる磁束変化が抑制され、その結果、渦電流の発生が抑制される。
【0036】
例えば、大径円環部24B(極性可変磁石22B)の外周面と第2回転体ヨーク30Bの内周面は、側面視(Y軸方向視)で同心円となるように形成される。第1回転体14は図示しない軸受け等により、第2回転体ヨーク30Bの内周面と大径円環部24B(極性可変磁石22B)の外周面のギャップ幅W1が維持される。
【0037】
一方、第1及び第2回転体ヨーク30A,30Bの外周面と、第2回転体16の内周面とのギャップは、周方向に沿って異なるように形成される。例えば、第1及び第2回転体ヨーク30A,30Bの外周面には、周方向に沿って凹凸部31Aが形成され、第2回転体16の内周面にも周方向に沿って凹凸部31Bが形成される。このような形状とすることで、第1及び第2回転体ヨーク30A,30Bの外周面と、第2回転体16の内周面との間の磁気抵抗が周方向に沿って異なることになる。この結果、第1及び第2回転体ヨーク30A,30Bと、第2回転体16との相対回転が妨げられ、両者は同期して回転可能となる。
【0038】
極性固定磁石32(第1永久磁石)は、上述したように極性可変磁石22A,22Bと比較して着磁し難い特性を備えている。例えば極性固定磁石32はネオジム磁石から構成される。極性固定磁石32は、第1回転体ヨーク30Aと第2回転体ヨーク30Bとの間を接続(連結)するように設けられる。つまり、第1回転体ヨーク30Aと第2回転体ヨーク30Bとのギャップを連絡(接続)する機能を極性固定磁石32が備えている。極性固定磁石32は例えば円環状に形成される。
【0039】
極性固定磁石32は固定体12及び第1回転体14の少なくとも一方に設けられればよい。この点について、極性固定磁石32(第1磁石)が、第1回転体14に設けられることで、第2回転体16との磁束ループを形成する際に乗り越えるギャップの数は2で済むというメリットが得られる。比較例として固定体12に極性固定磁石32を設ける場合、固定体12と第1回転体14との間に形成されたギャップを含んで、第2回転体16との磁束ループを形成する際に乗り越えるギャップの数は4となる。このように、乗り越えるギャップ数が相対的に少ない第1回転体14に極性固定磁石32を設けることで、ギャップを乗り越える際の磁気抵抗による磁力の減少を抑制可能となる。
【0040】
第2回転体16は、第1回転体14の外周側に設けられる、円柱形状の部材である。第2回転体16は高透磁率材料から構成され、例えば低炭素鋼等の軟質磁性材料から構成される。第2回転体16は図示しない軸受等によりその軸(Y軸)回りに回転可能に支持されている。
【0041】
図4図6には、第1実施形態に係る係合装置10の開放状態、磁極反転時、及び係合状態の様子が例示されている。なお図4図6はいずれも、図1または図2の斜視図のZ−Y平面を示している。
【0042】
図4には開放時の例が示されている。開放時には、第1回転体14及び第2回転体16の係合が解かれる。具体的には図4に示すように、極性可変磁石22A,22Bと極性固定磁石32の極性が揃っており(直列状態であり)、これらの磁石の磁束は合成磁束となって破線で示すループ経路L_OFFを通過する。具体的には、極性可変磁石22A,22B及び極性固定磁石32の磁束は、極性固定磁石32→第1回転体ヨーク30A→極性可変磁石22A→ボビン18(小径円柱部26)→極性可変磁石22B→第2回転体ヨーク30B→極性固定磁石32との経路を通過する。
【0043】
図5には極性反転時の様子が例示されている。コイル20に電流を供給して磁界を発生させることで、極性可変磁石22A,22Bの極性を反転させる。例えば図3のグラフより、動作点AとBの中間値を取る磁界をコイル20に発生させて、選択的に極性可変磁石22A,22Bの極性を反転させる。
【0044】
図6には極性反転後の係合時の様子が例示されている。この図の破線で示されているように、極性可変磁石22A,22Bの磁束と極性固定磁石32の磁束とが逆極性となるために、概念上並列に2種類のループ経路L_ON1,L_ON2が発生する。
【0045】
すなわち、極性固定磁石32→第1回転体ヨーク30A→第2回転体16→第2回転体ヨーク30B→極性固定磁石32との経路を通過するループ経路L_ON1が形成される。また、極性可変磁石22A→第1回転体ヨーク30A→第2回転体16→第2回転体ヨーク30B→極性可変磁石22B→ボビン18(小径円柱部26)→極性可変磁石22Aとの経路を通過するループ経路L_ON2が形成される。
【0046】
ループ経路L_ON1,L_ON2は第1回転体14及び第2回転体16を通過(鎖交)することから、両者は磁気的に結合される。さらに上述したように両者の対向面は周方向(回転方向)に沿ってギャップ幅W2が変化するように形成されているため、磁束変化を阻害するように、第1回転体14及び第2回転体16が同期して回転する。すなわち両者が係合される。
【0047】
また、ループ経路L_ON1,L_ON2は固定体12と第1回転体14を通過(鎖交)することから、両者は磁気的に結合される。しかしながら上述したように、ボビン18の大径円環部24A(極性可変磁石22A)の外周面と第1回転体ヨーク30Aの内周面は周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過し、同様にしてボビン18の大径円環部24B(極性可変磁石22B)の外周面と第2回転体ヨーク30Bの内周面も周方向(回転方向)に沿って極性が同一の磁束のみが通過する。
【0048】
その上、ボビン18の大径円環部24A(極性可変磁石22A)の外周面と第1回転体ヨーク30Aの内周面、及び、ボビン18の大径円環部24B(極性可変磁石22B)の外周面と第2回転体ヨーク30Bの内周面とのギャップ幅W1は周方向(回転方向)に沿って一定となるように形成される。その結果、周方向に沿った磁束分布が発生しないため、回転の「引っ掛かり」となるような渦電流の発生が抑制され、第1回転体14及び第2回転体16の円滑な回転が可能となる。
【0049】
<第1実施形態の変形例>
図1に示す例では、固定体12に極性可変磁石22A,22Bを設けていたが、この形態に限らない。例えば図7に例示するように、第1回転体14に極性可変磁石22A,22Bを設けてもよい。
【0050】
図7に示す例では、第1回転体ヨーク30Aの内周側に極性可変磁石22Aが設けられ、第1回転体ヨーク30Aの内周側に極性可変磁石22Bが設けられる。ここで便宜的に、第1回転体ヨーク30Aの一部として極性可変磁石22Aが含まれ、第2回転体ヨーク30Bの一部として極性可変磁石22Bが含まれるものとすると、第1回転体ヨーク30A(極性可変磁石22A)の内周面と大径円環部24Aの外周面のギャップ幅W1は、周方向に沿って等しくなるように形成される。同様にして、第2回転体ヨーク30B(極性可変磁石22B)の内周面と大径円環部24Bの外周面のギャップ幅W1は、周方向に沿って等しくなるように形成される。
【0051】
また図1の例と同様に、極性可変磁石22A,22Bは、周方向に沿って同一の磁極のみが揃うように構成される。例えば極性可変磁石22Aは、図7に破線で示すように、相対的に外周側にはその周方向に沿って一方の磁極23A(例えばS極)が配置され、相対的に内周側にはその周方向に沿って他方の磁極23B(例えばN極)が配置される。
【0052】
極性可変磁石22Bは、極性可変磁石22Aとは磁極が反転するように配置される。すなわち、相対的に外周側にはその周方向に沿って一方の磁極23B(例えばN極)が配置され、相対的に内周側にはその周方向に沿って他方の磁極23A(例えばS極)が配置される。
【0053】
図8の上段には図7の実施形態に係る係合装置10の開放時の例が示されており、図8下段には当該係合装置10の係合時の例が示されている。
【0054】
図8上段では、極性可変磁石22A,22Bと極性固定磁石32の極性が揃っており、これらの磁石の磁束は直列となり合成磁束となって破線で示すループ経路L_OFFを通過する。具体的には、極性可変磁石22A,22B及び極性固定磁石32の磁束は、極性固定磁石32→第1回転体ヨーク30A(極性可変磁石22A)→ボビン18→第2回転体ヨーク30B(極性可変磁石22B)→極性固定磁石32との経路を通過する。
【0055】
図8下段には極性反転後の係合時の様子が例示されている。この図の破線で示されているように、極性可変磁石22A,22Bの磁束と極性固定磁石32の磁束とが逆極性となるために、概念上並列に2種類のループ経路L_ON1,L_ON2が発生する。
【0056】
すなわち、極性固定磁石32→第1回転体ヨーク30A→第2回転体16→第2回転体ヨーク30B→極性固定磁石32との経路を通過するループ経路L_ON1が形成される。また、第1回転体ヨーク30A(極性可変磁石22A)→第2回転体16→第2回転体ヨーク30B(極性可変磁石22B)→ボビン18→第1回転体ヨーク30A(極性可変磁石22A)との経路を通過するループ経路L_ON2が形成される。
【0057】
ループ経路L_ON1,L_ON2は第1回転体14及び第2回転体16を通過(鎖交)することから、両者は磁気的に結合される。さらに上述したように両者の対向面は周方向(回転方向)に沿ってギャップ幅W2が変化するように形成されているため、磁束変化を阻害するように、第1回転体14及び第2回転体16が同期して回転する。すなわち両者が係合される。
【0058】
一方、ループ経路L_ON1,L_ON2は固定体12と第1回転体14を通過(鎖交)することから、両者は磁気的に結合される。しかしながら上述したように、ボビン18の大径円環部24Aの外周面と第1回転体ヨーク30A(極性可変磁石22A)の内周面は周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過し、同様にしてボビン18の大径円環部24Bの外周面と第2回転体ヨーク30B(極性可変磁石22B)の内周面も周方向(回転方向)に沿って極性が同一の磁束のみが通過する。
【0059】
その上、ボビン18の大径円環部24Aの外周面と第1回転体ヨーク30A(極性可変磁石22A)の内周面、及び、ボビン18の大径円環部24Bの外周面と第2回転体ヨーク30B(極性可変磁石22B)の内周面とのギャップ幅W1は周方向(回転方向)に沿って一定となるように形成される。その結果、周方向に沿った磁束分布が発生しないため、回転の「引っ掛かり」となるような渦電流の発生が抑制され、第1回転体14及び第2回転体16の円滑な回転が可能となる。
【0060】
<第2実施形態>
図9には、第2実施形態に係る係合装置50が例示されている。係合装置50は第1回転体52と第2回転体54とを軸方向(Y軸方向)に相対移動可能なアクチュエータ装置として機能する。係合装置50は、固定体56、第1回転体52、第2回転体54、及びガイド部材58を備える。
【0061】
固定体56は、ボビン60、コイル62、極性固定磁石64(第1永久磁石)、及び、極性可変磁石66A,66B(第2永久磁石)を備える。ボビン60は、小径円柱部68とその軸方向(Y軸方向)両端に大径円環部70A,70Bを備える。また大径円環部70Aの一部として極性可変磁石66Aが設けられ、大径円環部70Bの一部として極性可変磁石66Bが設けられる。ボビン60の、極性可変磁石66A,66B以外の部分はヨークとして機能する。すなわち当該部分は高透磁率材料から構成され、例えば低炭素鋼等の軟質磁性材料から構成される。
【0062】
極性可変磁石66A,66Bは、極性固定磁石64よりも着磁し易いという特性を有する。後述するように、極性可変磁石66A,66Bは、コイル62から生じる磁界によってその極性が反転させられる。極性可変磁石66A,66Bは、例えばアルニコ磁石から構成される。
【0063】
また極性可変磁石66A,66Bは、周方向に沿って同一の磁極のみが揃うように構成される。例えば極性可変磁石66Aは、図9に破線で示すように、相対的に外周側にはその周方向に沿って一方の磁極67A(例えばS極)が配置され、相対的に内周側にはその周方向に沿って他方の磁極67B(例えばN極)が配置される。この構成によって、ボビン60の大径円環部70Aの外周面と第1回転体52の内周面は周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過するようになる。
【0064】
極性可変磁石66Bは、極性可変磁石66Aとは磁極が反転するように配置される。すなわち、相対的に外周側にはその周方向に沿って一方の磁極67B(例えばN極)が配置され、相対的に内周側にはその周方向に沿って他方の磁極67A(例えばS極)が配置される。この構成によって、ボビン60の大径円環部70Bの外周面と第2回転体54の内周面は周方向(回転方向)に沿って極性が同一の磁束のみが通過する。
【0065】
コイル62は、ボビン60の小径円柱部68に巻き回される。コイル62は接続配線72を介して外部の電源(図示せず)に接続される。コイル62の小径円柱部68への巻数は1回でも複数回でもよい。
【0066】
極性固定磁石64は、例えばコイル62よりも外周側に設けられる。例えば極性固定磁石64は、大径円環部70Aと大径円環部70Bとの間を軸方向に接続(連結)するように設けられる。つまり、大径円環部70A,70B間のギャップを連絡(接続)する機能を極性固定磁石64が備えている。極性固定磁石64は例えば円環状に形成される。極性固定磁石64は例えばネオジム磁石から構成される。
【0067】
第1回転体52は、ボビン60と同軸(Y軸)の略円環部材である。その内周面はギャップを設けて(介して)固定体56の大径円環部70Aの外周面と対向している。第1回転体52の内周面と大径円環部70Aの外周面とのギャップ幅W1は周方向に沿って一定となる(等しくなる)ように構成される。これにより、周方向に沿って磁気抵抗が一様となるので、周方向に沿ったギャップによる磁束変化が抑制され、その結果、渦電流の発生が抑制される。
【0068】
例えば、大径円環部70Aの外周面と第1回転体52の内周面は、側面視(Y軸方向視)で同心円となるように形成される。第1回転体52は図示しない軸受け等により、その内周面と大径円環部70Aの外周面のギャップ幅W1が維持される。
【0069】
第1回転体52は、軸周り(Y軸周り)に回転可能である他に、軸方向(Y軸方向)に沿って直動可能となっている。例えば第1回転体52は、ガイド部材58にガイドされつつ、軸方向に直動する。第1回転体52はリターンスプリング76によって第2回転体54とは離間する側に付勢される。後述するように、係合装置50の係合時には、この付勢力に抗するように第1回転体52が第2回転体54に向かって直動する。
【0070】
また第1回転体52の、第2回転体54と対向する側面73には、周方向に沿って複数の突起(ドグ)が設けられた突起列74Aが設けられている。突起列74Aにおける突起幅は、第2回転体54の側面(対向面)に設けられた突起列74Bのピッチ(間隔)と同一であり、また突起列74Aにおけるピッチは、突起列74Bの突起幅と同一であることが好適である。このような構成を備えることで、第1回転体52と第2回転体54とが軸方向に沿って近接したときに突起列74A,74B同士が噛み合い、同期した回転駆動が可能となる。
【0071】
ガイド部材58は、第1回転体52の外周面を覆うように設けられる略円筒形の部材である。ガイド部材58の内周面と第1回転体52の外周面とは例えば摺動によって相対移動可能となっている。つまり第1回転体52はガイド部材58によって軸方向にその動きをガイドされる。ガイド部材58のフランジ78にはリターンスプリング76の一端が接続される。リターンスプリング76は周方向に複数設けられていてもよい。またガイド部材58は、第1回転体52と同期して回転可能となっている。
【0072】
第2回転体54は、ボビン60と同軸(Y軸)の略円筒部材である。その内周面はギャップを設けて固定体56の大径円環部70Bの外周面と対向している。第2回転体54の内周面と大径円環部70Bの外周面とのギャップ幅W1は周方向に沿って一定となる(等しくなる)ように構成される。これにより、周方向に沿って磁気抵抗が一様となるので、周方向に沿ったギャップによる磁束変化が抑制され、その結果、渦電流の発生が抑制される。
【0073】
例えば、大径円環部70Bの外周面と第2回転体54の内周面は、側面視(Y軸方向視)で同心円となるように形成される。第2回転体54は図示しない軸受け等により、その内周面と大径円環部70Bの外周面のギャップ幅W1が維持される。
【0074】
第2回転体54は、軸方向(Y軸方向)に第1回転体52と隣接する。また第2回転体54は、軸周り(Y軸周り)に回転可能となっている。一方、第2回転体54は、第1回転体52とは異なり、軸方向の直動は規制される。
【0075】
なおこの形態に限らずに、第2回転体54にもガイド部材58を設けて軸方向に直動可能としてもよい。また、第2回転体54のみにガイド部材58を設けて、第1回転体52の直動を規制してもよい。
【0076】
第2回転体54の第1回転体52と対向する側面(対向面)には、周方向に沿って複数の突起(ドグ)が設けられた突起列74Bが設けられている。上述したように、突起列74Bにおける突起幅は、突起列74Aのピッチ(間隔)と同一であり、また突起列74Bにおけるピッチは、突起列74Aの突起幅と同一であることが好適である。
【0077】
図10図12には、第2実施形態に係る係合装置50の開放状態、磁極反転時、及び係合状態の様子が例示されている。なお図10図12はいずれも、図9の斜視図のZ−Y平面を示している。
【0078】
図10には開放時の例が示されている。開放時には、第1回転体52及び第2回転体54の係合が解かれる。
【0079】
図10に示すように、極性可変磁石66A,66Bと極性固定磁石64の極性が揃っており、これらの磁石の磁束は直列に合成磁束となって破線で示すループ経路L_OFFを通過する。具体的には、極性可変磁石66A,66B及び極性固定磁石64の磁束は、極性固定磁石64→大径円環部70A→極性可変磁石66A→小径円柱部68→極性可変磁石66B→大径円環部70B→極性固定磁石64との経路を通過する。
【0080】
このように、極性可変磁石66A,66B及び極性固定磁石64の磁束は第1回転体52及び第2回転体54を通過(鎖交)しない。このため磁力によって両者は引き合わずに、リターンスプリング76によって第1回転体52は第2回転体54から軸方向(Y軸方向)に離間させられる。
【0081】
図11には極性反転時の様子が例示されている。コイル62に電流を供給して磁界を発生させることで、極性可変磁石66A,66Bの極性を反転させる。例えば図3のグラフより、動作点AとBの中間値を取る磁界をコイル62に発生させて、選択的に極性可変磁石66A,66Bの極性を反転させる。
【0082】
図12には極性反転後の係合時の様子が例示されている。この図の破線で示されているように、極性可変磁石66A,66Bの磁束と極性固定磁石64の磁束とが逆極性となるために、概念上並列に2種類のループ経路L_ON1,L_ON2が発生する。
【0083】
すなわち、極性固定磁石64→大径円環部70A→第1回転体52→第2回転体54→大径円環部70B→極性固定磁石64との経路を通過するループ経路L_ON1が形成される。また、極性可変磁石66A→大径円環部70A→第1回転体52→第2回転体54→大径円環部70B→極性可変磁石66B→小径円柱部68→極性可変磁石66Aとの経路を通過するループ経路L_ON2が形成される。
【0084】
ループ経路L_ON1,L_ON2は第1回転体52及び第2回転体54を通過(鎖交)することから、両者は磁気的に結合され、互いに引き合う。このとき、リターンスプリング76の弾性力に抗して第1回転体52が軸方向(Y軸方向)に直動し、第2回転体54に近づく。さらに第1回転体52の突起列74Aと第2回転体54の突起列74Bとが噛み合い、両者が同期して回転移動する。
【0085】
このとき、ループ経路L_ON1,L_ON2によって、固定体56と第1回転体52及び第2回転体54とが磁気的に結合される。しかしながら上述したように、ボビン60の大径円環部70Aの外周面と第1回転体52の内周面は周方向に沿って極性が同一の磁束のみが通過し、同様にしてボビン60の大径円環部70Bの外周面と第2回転体54の内周面も周方向(回転方向)に沿って極性が同一の磁束のみが通過する。その上、ボビン60の大径円環部70Aの外周面と第1回転体52の内周面、及び、ボビン60の大径円環部70Bの外周面と第2回転体54の内周面とのギャップ幅W1は周方向(回転方向)に沿って一定となるように形成される。その結果、周方向に沿った磁束分布が発生しないため、回転の「引っ掛かり」となるような渦電流の発生が抑制され、第1回転体52及び第2回転体54の円滑な回転が可能となる。
【符号の説明】
【0086】
10,50 係合装置、12,56固定体、14,52 第1回転体、16,54 第2回転体、18,60 ボビン、20,62 コイル、22A,22B,66A,66B 極性可変磁石、24A,24B,70A,70B 大径円環部、26,68 小径円柱部、30A,30B 回転体ヨーク、32,64 極性固定磁石、74A,74B 突起列。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16