(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明に係る電子機器、制御システム及びデータ処理方法の実施形態について説明する。
【0023】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る制御システムの一構成例について説明する。
図1は、本実施形態に係る制御システム1の一構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る制御システム1は、端末装置10、制御装置20及びI/Oモジュール30を含んで構成されるプロセス制御システムである。
図1に示す例では、I/Oモジュール30の数は3個である。以下の説明では、一群のI/Oモジュールを総称する場合や区別する必要がない場合には、I/Oモジュール30と呼ぶ。個々のI/Oモジュールを区別する場合には、I/Oモジュール30−1等と、「−1」等の子番号を付して呼ぶ。3個のI/Oモジュール30のうち、I/Oモジュール30−1、30−3が、本発明に係る電子機器の実施形態である。制御装置が制御対象とする被制御系は、プラント設備60である。端末装置10と制御装置20は、制御ネットワークNWを介して接続される。端末装置10と制御装置20との間では、無線又は有線で相互に各種のデータが送受信可能である。なお、端末装置10と制御装置20は、一体化した単一の装置として構成されてもよい。従って、制御ネットワークNWは、必ずしも制御システム1の構成要素にならなくてもよい。また、I/Oモジュール30−1〜30−3は、それぞれ制御装置20と着脱可能な独立した機器として構成されてもよいし、制御装置20と一体化し、制御装置20の一部として構成されてもよい。
【0024】
端末装置10は、制御装置20から制御ネットワークNWを介して時系列データと変化傾向データを逐次に受信する。時系列データは、各時点における観測値を示すデータである。変化傾向データは、その各時点の観測値の時間変化の傾向の指標である傾きを示すデータである。端末装置10は、各時点の観測値を示す表示グラフを生成し、生成した表示グラフを表示部(後述)に表示させる。表示グラフには、現時点における観測値の変化傾向がさらに表されてもよい。
【0025】
端末装置10は、例えば、操作監視端末、機器管理端末として構成される。操作監視端末は、主に運転員が制御装置20の運転、ひいては制御対象であるプラント設備60の状態を制御するための機器である。機器管理端末は、主に保守員が制御装置20、I/Oモジュール30、フィールド機器62自体の動作状態、ひいてはプラント設備60の状態を管理するための機器である。端末装置10は、例えば、操作入力部(後述)が受け付けた操作に応じた操作信号に基づいて各種の指示情報を生成してもよい。指示情報には、例えば、制御の開始、停止、制御パラメータなど、制御装置20の動作状態を操作するための情報が含まれる。端末装置10は、生成した指示情報を制御装置20に送信する。端末装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、業務用携帯端末装置(タブレット)、多機能携帯電話機、などとして構成されてもよい。
【0026】
制御装置20には、I/Oモジュール30から各種の時系列データが入力され、入力される時系列データを端末装置10に送信する。入力される時系列データが示す観測値には、制御対象であるプラント設備60の状態を示す入力値、個々のフィールド機器62自体の状態を示す状態量などがある。状態量は、例えば、フィールド機器62の動力源である電池の電池残量もしくは起電力、構成部品の劣化状態を示す電気抵抗値、電流値、その他、自己診断機能により得られた診断情報などがある。
制御装置20は、例えば、DCS(Distributed Control System:分散型制御システム)、FA(Factory Automation)におけるPLC(Programmable Logic Controller)などとして構成されてもよい。
【0027】
制御装置20は、制御演算部22と通信部24、を含んで構成される。
制御演算部22には、I/Oモジュール30から所定時間毎にプラント設備60の状態を示す入力値が入力される。この入力値は、制御量に相当する。目標値として、端末装置10から入力される指示情報で指示された値が用いられてもよいし、予め制御演算部22に設定された値が用いられてもよい。制御演算部22は、出力値と目標値との偏差が小さくなるように、入力値に所定の制御演算を行ってI/Oモジュール30を介してプラント設備60に出力する出力値を逐次に算出する。算出される出力値が操作量に相当する。制御演算は、例えば、PI制御、PID制御などである。制御演算部22は、算出した出力値をI/Oモジュール30に出力する。入力値の種類、チャネル数、出力値の種類、チャネル数は、制御演算によって異なりうる。
図1に示す例では、制御演算部22には、I/Oモジュール30−1、30−3からそれぞれ入力値が入力され、出力値がI/Oモジュール30−2に出力される。制御演算部22は、各時点の出力値又は偏差を観測値とする時系列データを端末装置10に通信部24を介して送信してもよい。
【0028】
通信部24は、制御ネットワークNWと通信可能に接続され、制御ネットワークNWに接続された機器、例えば、端末装置10との間で各種のデータを無線又は有線で送受信する。通信部24は、例えば、通信インタフェースである。
【0029】
I/Oモジュール30は、制御装置20及びプラント設備60に設置されたフィールド機器62のそれぞれと電気的又は通信可能に接続され、制御装置20とフィールド機器62との間で、各種のデータを中継する入出力装置である。I/Oモジュール30は、入力元として接続された機器から各時点の観測値を示す時系列データを取得するデータ取得部32を備える。データ取得部32は、取得した時系列データを出力先として接続された機器に出力する。
図1に示す例では、データ取得部32−1、32−2は、それぞれフィールド機器62−1、62−2から入力される入力値を取得し、取得した入力値を制御装置20に出力する。データ取得部32−2は、制御装置20から入力される出力値を取得し、取得した出力値をフィールド機器64−1に出力する。
【0030】
I/Oモジュール30は、変化傾向判定部34をさらに備える。変化傾向判定部34は、データ取得部32から入力される時系列データが示す各時点の観測値について、その観測値の時間変化の傾向を示す傾きを算出する。変化傾向判定部34は、算出した傾きを示す変化傾向データを制御装置20に出力する。
図1に示す例では、変化傾向判定部34−1、34−3は、それぞれデータ取得部32−1、32−3から入力される時系列データが示す観測値の傾きを算出する。変化傾向判定部34−1、34−3は、それぞれ算出した傾きを示す変化傾向データを制御装置20に出力する。変化傾向判定部34の構成例については、後述する。なお、必ずしも全てのI/Oモジュール30が変化傾向判定部34を備える必要はない。
図1に示すI/Oモジュール30−2では、変化傾向判定部34が省略されている。変化傾向判定部34を備えるI/Oモジュール30は、フィールド機器62から入力値を取得する入力部として機能すればよく、必ずしも制御装置20から出力値部を取得する機能や、出力値をフィールド機器64に出力する機能を備えていなくてもよい。
【0031】
プラント設備60は、制御装置20からI/Oモジュール30を介して出力された出力値によって運転状態が制御される。また、プラント設備60の運転状態を示す入力値は、I/Oモジュール30を介して制御装置20に入力される。
プラント設備60には、各種のフィールド機器62が設置される。フィールド機器62には、プラント設備60の運転状態を検出するためのセンサと、プラント設備60の運転状態を操作するためのアクチュエータとがある。
【0032】
センサは、プラント設備60の状態を示す物理量を検出する。センサは、例えば、温度を検出する温度センサ、圧力を検出する圧力センサ、流体を検出する流量計、電流を検出する電流計、電圧を検出する電圧計など、である。
アクチュエータは、出力値に応じて動作し、その動作に応じてプラント設備60の状態が変化する。アクチュエータは、例えば、ポンプ、コンプレッサ、バルブ、モータ、モータ駆動装置などである。一般に、出力値が大きいほどアクチュエータの動作量が大きくなる。例えば、アクチュエータの動作量は、出力値に比例する。
図1に示す例では、フィールド機器62−1、62−3は、それぞれセンサであり、フィールド機器64−1は、アクチュエータである。フィールド機器62−1、62−3、制御演算部22及びフィールド機器64−1により1個の制御ループが形成される。
【0033】
なお、
図1に示す例では、制御ループの個数が1個である場合を例にするが、制御ループの個数は複数であってもよい。制御ループの個数が複数である場合には、個々の制御ループに係る処理が並列に実行されればよい。
【0034】
(変化傾向判定部)
次に、本実施形態に係る変化傾向判定部34の一構成例について説明する。
図2は、本実施形態に係る変化傾向判定部34の一構成例を示すブロック図である。
変化傾向判定部34は、時系列データ記憶部342、時系列範囲抽出部344及び変化傾向算出部346を含んで構成される。変化傾向判定部34は、1チップCPU(Central Processing Unit)などの演算デバイスを含んで構成されてもよい。
時系列データ記憶部342は、データ取得部32(
図1)から入力される観測値を逐次に記憶する。時系列データ記憶部342には、その観測値が取得された時刻の順に観測値が累積される。累積された一群の観測値は、各時点の観測値を示す時系列データとして形成される。時系列データ記憶部342は、例えば、FIFO(First−in First−out)型バッファメモリを含んで構成されてもよい。
【0035】
時系列範囲抽出部344は、時系列データ記憶部342から現時点までの所定のデータ取得期間内の各時点における観測値を示す時系列データを取得する。データ取得期間は、基準時点から現時点までの解析範囲が含まれる期間であればよい。基準時点は、現時点から所定時間過去の時点である。現時点は、必ずしもその時点の時刻(現在時刻)に限られず、観測値が取得される最新の時刻であってもよい。変化傾向算出部346が基準時点における移動平均値を算出する場合には、データ取得期間の長さは、少なくとも解析範囲の長さの2倍であればよい。時系列範囲抽出部344は、取得した時系列データを変化傾向算出部346に出力する。
【0036】
変化傾向算出部346には、時系列範囲抽出部344から時系列データが入力される。変化傾向算出部346は、時系列データを用いて解析範囲内の各時点における観測値の変化の傾向を示す一次関数の傾きを目的関数が最小化されるように算出する。目的関数は、各時点における一次関数の関数値と観測値の差分値の重み付き平方和である。各時点の重み係数は、基準時点からの当該時点までの経過時間が大きいほど大きい数値であればよい。
【0037】
なお、変化傾向算出部346は、時系列データを用いて基準時点を中心時刻とする中心化移動平均値を算出してもよい。中心化移動平均値は、移動平均区間内の各時点の関数値の単純平均値である。移動平均区間は、基準時点よりも解析範囲だけ過去の時点から現時点までの区間である。以下、移動平均区間の長さをウィンドウサイズと呼ぶ。また、中心化移動平均値を、単に移動平均値と呼ぶ。変化傾向算出部346は、基準時点における関数値が中心化移動平均値と等しくなるように一次関数の切片を算出してもよい。変化傾向算出部346は、算出した切片と傾きに基づいて、解析範囲内の各時点の関数値を算出してもよい。変化傾向算出部346は、算出した傾きを示す変化傾向データを制御装置20(
図1)に出力する。変化傾向データには、各時点の関数値、移動平均値のいずれか一方又は両方をさらに含めてもよい。
【0038】
変化傾向算出部346は、算出した傾きの値を離散化してその状態値(ステータス)を定めてもよい。変化傾向算出部346は、定めた状態値の情報をさらに変化傾向データに含める。離散化により、所定の段階数の状態値のうち、いずれか1つの状態値に定められる。とりうる状態値の候補は、例えば、次の5段階である。
「急激に上昇」、「緩やかに上昇」、「一定」、「緩やかに下降」、「急激に下降」
「急激に上昇」は、観測値の傾きが所定の閾値1よりも大きい場合に与えられる。「緩やかに上昇」は、観測値の傾きが所定の閾値2よりも大きく、閾値1以下である場合に与えられる。「一定」は、観測値の傾きが所定の閾値3以上であって閾値2以下である場合に与えられる。「緩やかに下降」は、観測値の傾きが所定の閾値4以上であり、閾値3よりも小さい場合に与えられる。「急激に下降」は、観測値の傾きが閾値4よりも小さい場合に与えられる。ここで、閾値1、閾値2は、いずれも0よりも大きい正の値であり、閾値1は閾値2よりも大きい。閾値3、閾値4は、いずれも0よりも小さい負の値であり、閾値4は閾値3よりも小さい。
【0039】
なお、変化傾向算出部346は変化傾向判定部34毎に備えられるため、制御システム1における変化傾向算出部346の数は、一般に複数となる。これら複数の変化傾向算出部346間で、傾きを算出する手法、解析範囲の大きさは、いずれも共通であってもよい。また、解析範囲の大きさは、予め設定された値に固定されていてもよい。これにより、エンジニアリングにおける負担が軽減される。
【0040】
(変化傾向の算出方法)
次に、時系列データの変化傾向の算出方法の具体例について説明する。
ここで、変化傾向算出部346に入力される時系列データを構成する時刻t
iにおける観測値をx
tiと表す。iは、各時点の順序を示す整数である。時刻t
Nは、現時点の時刻を示す。変化傾向算出部346には、ウィンドウサイズWが予め設定されている。ウィンドウサイズWは、移動平均区間内の観測値の数2K+1に相当する。Kは、解析範囲内の観測値の数を示す1以上の整数である。
【0041】
変化傾向算出部346は、現時点t
NからK点過去の時刻である基準時点t
N―Kにおける移動平均値<x
tN―K>を算出する。この段階では、現時点t
Nの観測値が最新の観測値である。現時点t
Nでは、基準時点t
N―Kよりも後の時刻の移動平均値を算出することができないため、変化傾向算出部346は、基準時点t
N―Kよりも後の各時刻における観測値の変化傾向を示す一次関数の関数値を算出する。変化傾向算出部346は、基準時点t
N―Kにおける関数値として、基準時点t
N―Kにおける移動平均値<x
tN―K>を採用する。変化傾向算出部346は、モーメント回帰を用いて各時刻t
N−K+iにおける一次関数<x
tN−K>+a
tN(t
N−K+i‐t
N−K)の傾きa
tNを算出する。モーメント回帰は、例えば、式(1)に示す目的関数Jを最小化して傾きa
tNを算出する手法である。
【0043】
式(1)において、t
N−K+i‐t
N−Kは、時刻t
N−K+iにおける基準時点t
N−Kからの経過時間を示す。また、{…}内で差し引かれる値<x
tN−K>+a
tN(t
N−K+i‐t
N−K)は、一次関数の時刻t
N−K+iの関数値に相当する。従って、式(1)は、時刻t
N−K+iの観測値x
tN−Kから一次関数の関数値を差し引いて得られる差分値の二乗値に、経過時間t
N−K+i‐t
N−Kを乗じて得られる乗算値を、解析範囲内で総和をとって目的関数が得られることを示す。なお、式(1)において、{…}で表される部分は、通常の最小二乗法で用いられる項である。
変化傾向算出部346は、式(1)に示す目的関数Jを最小化する傾きa
tNを算出する際、式(2)で与えられる関係を用いる。
【0045】
式(2)は、目的関数Jを傾きa
tNで微分して得られる導関数が0となる条件から導かれる。
【0046】
上述した例では、目的関数Jを算出する際、差分値の二乗値に経過時間t
N−K+i‐t
N−Kが乗じられる。そのため、新しい観測値ほど、関数値との差分値による目的関数Jに対する寄与が大きくなるので、現時点に近い観測値の時間変動が重視される。従って、観測値の位相に対する関数値の位相の遅れを生じずに、ユーザの直観に近い変化傾向を示す関数値が推定される。
なお、変化傾向算出部346において、現時点t
Nまでの解析範囲が期間をもって設定されていれば、解析範囲の一部に観測値を取得できなかった欠損点が存在していても、式(2)を用いた傾きa
tNの算出が可能である。そのため、フィールド機器62−1、62−3(
図1)からの測定値が一時的に測定できない状況、例えば、I/Oモジュール30−1、30−3の全体あるいは一部の機能の一時的な不具合が生じたときや全体あるいは一部の機能が一時的に停止したとき、または、制御ネットワークNWによる伝送損失がある際などの欠損が生じても安定した関数値の算出が可能である。
【0047】
上述した例では、各時点間の間隔が不定間隔である場合にも適用可能であるが、各時点間の間隔が一定間隔dである場合には、式(1)は、式(3)に示すように変形される。
【0049】
式(3)において、時刻t
iは、t
1+(i‐1)dである。
そして、式(3)に示す目的関数Jを傾きa
tNで微分して得られる導関数が0となる条件として、式(4)に示す関係が得られる。
【0051】
式(4)の分母は、定数となる。この定数の値は、K(K+1)(2K+1)・d
3/6となる。変化傾向算出部346が式(4)に示す関係を用いて傾きa
tNを算出する際、予め設定した定数を用いればよい。逐次に定数を算出するための処理を省略することで計算量がさらに低減される。そのため、演算資源が比較的小さい機器(例えば、組み込み機器)などへの実装が容易になる。
【0052】
なお、式(3)に示す目的関数Jでは、各時点t
N−K+iにおける観測値から関数値の差分の二乗値に対して乗じられる重み係数w
iが、基準時点t
N−Kからの経過時間t
N−K+i‐t
N−Kに比例する場合を例にしたが、これには限られない。重み係数w
iは、経過時間t
N−K+i‐t
N−Kの増加に対して単調に増加する正値に一般化されてもよい。重み係数w
iは、K次元の重み係数ベクトルの要素値として、変化傾向算出部346に予め設定しておけばよい。その場合には、式(3)に示す目的関数Jは、式(5)に示すように一般化される。
【0054】
そして、式(5)に示す目的関数Jを傾きa
tNで微分して得られる導関数が0となる条件として、式(6)に示す関係が得られる。変化傾向算出部346は、式(6)を用いて傾きa
tNを算出してもよい。
【0056】
なお、各時点間の間隔が不定間隔である場合には、変化傾向算出部346は、式(7)を用いて傾きa
tNを算出してもよい。
【0058】
式(7)は、式(2)において基準時点t
N−Kからの経過時間t
N−K+i‐t
N−Kを、重み係数w
iに置き換えたものに相当する。
また、変化傾向算出部346は、式(8)に示すように、重み係数w
iとして、基準時点t
N−Kからの経過時間tに依存する関数w(t)を用いて、傾きa
tNを算出してもよい。
【0060】
なお、上述では、変化傾向算出部346は、各時点における観測値の変化の傾向を示す傾きを、目的関数として各時点における一次関数の関数値と観測値の差分値の重み付き平方和が最小化されるように算出する場合を例にしたが、これには限らない。例えば、変化傾向算出部346は、各時点における観測値の変化の傾向を示す傾きを、目的関数として各時点における一次関数の関数値と観測値の差分値の平方和が最小化されるように算出してもよい。変化傾向算出部346は、観測値に所定の1次微分フィルタを作用して傾きを算出してもよい。1次微分フィルタは、現時点の傾きとして、例えば、次時点の観測値から前時点の観測値の差分を算出するためのフィルタである。
【0061】
なお、I/Oモジュール30において、変化傾向判定部34は着脱可能に構成されてもよい。I/Oモジュール30は、例えば、フィールド機器62が接続される接続端子を有するベースプレートとオプションモジュールを備える。オプションモジュールは、ベースプレートに着脱可能に設けられ、変化傾向判定部34を備える。変化傾向判定部34は、フィールド機器62から接続端子を介して入力された観測値の時間変化の傾向を示す傾きを算出し、算出した傾きを示す変化傾向データを制御装置20に出力する。このオプションモジュールについては、例えば、特許5904190号公報に詳しく記載されている。
【0062】
また、上述では、各I/Oモジュール30が変化傾向判定部34を備える場合を例にしたが、これには限られない。変化傾向判定部34と同様の機能構成を有する変化傾向判定部が、フィールド機器62に設けられてもよい。変化傾向判定部は、自機が測定した観測値の時間変化の傾向を示す傾きを算出する。変化傾向判定部は、算出した傾きを観測値と対応付けて、自機に接続されたI/Oモジュール30に送信する。送信先となるI/Oモジュール30では、変化傾向判定部34が省略されてもよい。
【0063】
(端末装置)
次に、本実施形態に係る端末装置10の一構成例について説明する。
図3は、本実施形態に係る端末装置10の一構成例を示すブロック図である。
端末装置10は、データ取得部12と、データ処理部14と、表示部16と、操作入力部18と、を含んで構成される。
【0064】
データ取得部12は、制御装置20から各時点の観測値を示す時系列データを受信し、受信した時系列データをデータ処理部14に出力する。また、データ取得部12は、制御装置20から時系列データに対応する変化傾向データを受信することがある。その場合には、データ取得部12は、時系列データに変化傾向データを対応付けてデータ処理部14に出力する。データ取得部12は、例えば、通信インタフェースであり、制御ネットワークNWと有線又は無線で接続する。なお、データ取得部12がデータを取得する手段は、必ずしも制御ネットワークNWでなくてもよい。データ取得部12は、着脱可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ)を物理的に装着させておき、その記憶媒体に記憶されたデータを取得してもよい。
【0065】
データ処理部14は、データ取得部12から入力された時系列データに基づいて、各時点の観測値を図示するグラフデータを生成する。データ処理部14は、データ取得部12から時系列データに対応する変化傾向データが入力される。その場合には、データ処理部14は、現時点の傾きをさらに表すグラフデータを生成してもよい。ここで、データ処理部14は、基準時点までの各時点の移動平均値と、基準時点から後の各時点の関数値をさらに表すグラフデータを生成してもよい。グラフデータを生成する際、データ処理部14、各数値、各時点の時刻を、それぞれ垂直方向、水平方向の座標値に変換する。観測値、関数値及び移動平均値間で、それらの値を示す記号、図形の態様(例えば、色、形状、線種、線幅、大きさなどのいずれか、又はそれらの任意の組み合わせ)、文字の態様(太さ、大きさ、フォントタイプ、フォントスタイルなどのいずれか、又はそれらの任意の組み合わせ)が異なっていてもよい。データ処理部14は、生成したグラフデータを表示部16に出力する。
【0066】
入力される変化傾向データに状態値の情報が含まれる場合、データ処理部14は、その状態値の情報を含む通知情報を表示部16に出力してもよい。表示部16には、その状態値の情報が表示される。なお、データ処理部14は、あるチャネルについて取得された最新の状態値の情報が、その直前に取得された状態値の情報から変化したか否かを判定してもよい。データ処理部14は、変化したと判定したとき、変化後の状態値の情報を表示部16に出力し、変更していないと判定したとき、状態値の情報を出力しなくてもよい。これにより、ユーザは、そのチャネルに係る状態の変化、ひいてはその変化による異常の兆候に容易に気づくことができる。
【0067】
なお、データ処理部14は、操作入力部18から入力される操作信号が指示する情報に基づいて、観測値の表示を制御してもよい。例えば、データ処理部14は、変化傾向算出部346に設定される解析範囲を、操作信号で指示される期間に更新してもよい。データ処理部14に複数チャネルの時系列データが入力される場合には、データ処理部14は、処理対象のチャネルの時系列データを、操作信号で指示されるチャネルの時系列データに更新してもよい。その場合、指示されるチャネルの時系列データに係る観測値としてフィールド機器62−1から入力される入力値、フィールド機器64−1に出力される出力値、フィールド機器62−3から入力される入力値、出力値とその目標値との偏差、I/Oモジュール30−1〜30−3それぞれの状態を示す状態量、などが処理対象となりうる。
【0068】
また、データ処理部14は、操作入力部18から入力される操作信号が指示する情報に基づいて、制御装置20の運用に係る処理を行ってもよい。例えば、データ処理部14は、制御の目標値として操作信号が指示する目標値を特定する。データ処理部14は、その目標値を与えるためのパラメータを特定してもよい。データ処理部14は、特定した目標値又はパラメータを示す指示情報を制御装置20に送信する。
【0069】
表示部16は、データ処理部14から入力されるグラフデータが表す各時点の観測値と関数値を図示する。表示部16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、OELD(Organic Electro Luminescence Display:有機発光ディスプレイ)などのディスプレイである。
【0070】
操作入力部18は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた操作信号を生成する。操作入力部18は、生成した操作信号をデータ処理部14に出力する。操作入力部18は、例えば、マウス、キーボード、タッチセンサなどの汎用の部材を含んで構成されてもよいし、ボタン、レバー、つまみ、などの専用の部材を含んで構成されてもよい。
【0071】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図4は、本変形例に係る制御システム2の一構成例を示すブロック図である。
本変形例に係る制御システム2は、端末装置10、制御装置20、I/Oモジュール30及びリモートI/Oノード40を含んで構成される。
リモートI/Oノード40は、制御装置20と無線又は有線で通信可能に接続される。
【0072】
リモートI/Oノード40は、I/Oモジュール41と通信部46を含んで構成される中継装置である。
図4に示す例では、リモートI/Oノード40は、2個のI/Oモジュール41を備える。I/Oモジュール41は、I/Oモジュール30と同様の構成を備える。即ち、リモートI/Oノード40のデータ取得部42、変化傾向判定部44は、それぞれI/Oモジュール30のデータ取得部32、変化傾向判定部34と同様の構成を備える。但し、データ取得部42−1は、フィールド機器62−4から入力される各時点の入力値を観測値とする時系列データを変化傾向判定部44−1と通信部46に出力する。データ取得部42−2は、フィールド機器62−5から入力される各時点の入力値を観測値とする時系列データを変化傾向判定部44−2と通信部46に出力する。
【0073】
通信部46は、I/Oモジュール41から入力される時系列データと、その時系列データに基づいて生成された変化傾向データを制御装置20に送信する。また、通信部46は、制御装置20から受信した時系列データが示す出力値をI/Oモジュール41に出力してもよい(図示せず)。通信部46は、一般には、複数チャネルの入力値を示す時系列データを集約し、複数チャネルの出力値を示す時系列データを分配する。
【0074】
なお、
図4に示す例では、I/Oモジュール41−1、41−2は、それぞれリモートI/Oノード40のその他の部分と一体化し、リモートI/Oノード40の一部として構成されているが、これには限られない。I/Oモジュール41−1、41−2は、それぞれ、リモートI/Oノード40のその他の部分と着脱可能な独立した機器として構成されてもよい。
【0075】
また、通信部46は、ゲートウェイ機能を備えてもよい。即ち、通信部46は、自装置とは異なる他のリモートI/Oノード40から受信したデータを、送信先となる送信先機器に送信してもよい。送信先機器は、制御装置20にも、さらに他のリモートI/Oノード40になりうる。通信部46は、制御装置20から受信したデータを、その送信先となる他のI/Oモジュール41に送信してもよい。従って、リモートI/Oノード40は、全体としてゲートウェイ装置としても機能する。
【0076】
制御装置20は、I/Oモジュール30−3(
図1)に代えて、通信モジュール28を備える。
通信モジュール28は、リモートI/Oノード40と無線又は有線で通信可能に接続される。通信モジュール28は、リモートI/Oノード40から受信した時系列データと変化傾向データを通信部24に出力する。通信モジュール28には、制御演算部22から各時点の出力値を示す時系列データが入力されることがある(図示せず)。その場合には、通信モジュール28は、出力先となるフィールド機器62が接続されたリモートI/Oノード40に入力された時系列データを送信する。
【0077】
また、通信モジュール28は、制御装置20と着脱可能な単一の機器として構成されてもよいし、制御装置20の一部として構成されてもよい。通信モジュール28は、通信部24と独立の機能部として構成されてもよいし、通信部24と一体化した機能部として構成されてもよい。また、通信モジュール28とリモートI/Oノード40とを接続するネットワークは、制御ネットワークNWとは別個のネットワークであってもよいし、制御ネットワークNWの一部であってもよい。
【0078】
なお、上述では、各I/Oモジュール41が変化傾向判定部44を備える場合を例にしたが、これには限られない。リモートI/Oノード40は、I/Oモジュール41とは別個の部位に変化傾向判定部44を備えてもよい。変化傾向判定部44は、I/Oモジュール41から入力される各チャネルの時系列データが示す観測値の時間変化の傾向を示す傾きを算出し、算出した傾きを示す変化傾向データを制御装置20に通信部46を介して送信する。その場合には、I/Oモジュール41において変化傾向判定部44が省略されてもよい。
【0079】
また、制御システム2は、さらにゲートウェイ装置(図示せず)を備えてもよい。ゲートウェイ装置は、変化傾向判定部44と同様の機能構成を有する変化傾向判定部を備える。ここで、ゲートウェイ装置の通信部は、より下位の階層に配置されたリモートI/Oノード40からチャネル毎の時系列データを無線又は有線で受信する。ここで、下位の階層とは、制御システム2の機器構成において、端末装置10よりもプラント設備60に論理的に近い部位を意味する。変化傾向判定部は、通信部が受信した各チャネルの時系列データが示す観測値の時間変化の傾向を示す傾きを算出し、算出した傾きを示す変化傾向データをより上位の階層の機器(上位機器)に無線又は有線で通信部を介して送信する。ここで、上位の階層とは、プラント設備60よりも端末装置10に論理的に近い部位(階層)を意味する。その場合には、より下位の階層に配置されたリモートI/Oノード40において変化傾向判定部44が省略されてもよい。
【0080】
以上に説明したように、本実施形態に係る電子機器(例えば、I/Oモジュール30、41)は、各時点の観測値を示す時系列データを取得する取得部(例えば、データ取得部32、42)と、各時点における観測値の時間による変化傾向を算出する変化傾向算出部(例えば、変化傾向算出部346)と、を備える。
この構成によれば、当該電子機器により取得される時系列データを観察するユーザにおいて、観測値の変化傾向の解釈や将来値の予測に係る負荷が軽減される。そのため、観測値の変化傾向を的確に把握することができ、個々の観測値に対する負荷の軽減により実質的により多くの時系列データを監視することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る電子機器は、第1時点から第2時点までの解析範囲における1又は複数の各時点の観測値を示す時系列データを抽出する時系列範囲抽出部(例えば、時系列範囲抽出部344)を備える。変化傾向算出部は、解析範囲における観測値の変化の傾向を示す一次関数の傾きを、目的関数が最小化されるように算出する。ここで、目的関数は、解析範囲内の各時点の乗算値の総和であり、乗算値は、一次関数の関数値と観測値との差分の二乗値に重み係数を乗じて得られる数値であり、重み係数は、第1時点から各時点までの経過時間が大きいほど大きい数値である。
この構成によれば、現時点に近い時点の観測値ほど重視して一次関数の傾きが算出されるので、観測値の変化の傾向を示す一次関数の関数値の位相が現時点の観測値に対して遅延しない。従って、観測値の傾きとして、乱雑な時間変動が低減又は除去されるとともに、人間の直観に合った観測値の変化の傾向を定量化された値が求められる。よって、ユーザは、監視対象の状態の変化の傾向を容易に判断できるようになる。
【0082】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を援用する。
図5は、本実施形態に係る制御システム3の一構成例を示すブロック図である。
制御システム3は、端末装置10、制御装置20、I/Oモジュール30及びリモートI/Oノード40を含んで構成される。
本実施形態に係る制御装置20は、制御演算部22、通信部24、通知選別部26及び通信モジュール28を含んで構成される。
【0083】
通知選別部26には、I/Oモジュール30及び通信モジュール28のそれぞれからチャネル毎に時系列データと、その時系列データに基づく変化傾向データが入力される。通知選別部26は、変化傾向データが示す傾きに基づいて、対応する時系列データに関する上位機器への通知の要否をチャネル毎に判定する。ここで、通知選別部26に入力される時系列データと変化傾向データについて、
図6を用いて説明する。
図6に示す例では、Nチャネルの時系列データが通知選別部26に入力される。各チャネルの時系列データは、フィールド機器62−1〜62−Nのそれぞれから出力される各時点の入力値を示す。フィールド機器62−1〜62−Nのそれぞれから取得される時系列データに対応する変化傾向データが、変化傾向判定部34−1〜34−Nから入力される。
図6に示す変化傾向判定部34−1〜34−Nのそれぞれは、I/Oモジュール30及び通信モジュール28のいずれかが備える変化傾向判定部、即ち、
図5に示すデータ取得部32−1、42−1、42−2のいずれかに相当する。以下、フィールド機器62−1〜62−Nのそれぞれに係るチャネルをチャネル1〜Nと呼ぶ。
【0084】
通知選別部26は、例えば、所定の傾きの閾値よりも傾きの絶対値が大きいチャネルの時系列データについて通知要と判定する。通知選別部26は、その傾きの閾値以下となる傾きの絶対値を与えるチャネルの時系列データについて通知否と判定する。
図6に示す例では、チャネル1、N−1について通知要(○)と判定され、チャネル2、Nについて通知不要(以下、通知否という)(×)と判定される。そして、通知選別部26は、通知要と判定したチャネルの時系列データと、そのチャネルの変化傾向データを通信部24に出力する。これにより、出力されたチャネルの時系列データと、その時系列データに対応する変化傾向データが端末装置10に送信される。従って、端末装置10の表示部16は、チャネル1、N−1に係る各時点の観測値の時系列とその観測値の傾きを表示し、チャネル2、Nに係る各時点の観測値の時系列とその観測値に係る傾きを表示しない。そのため、表示部16に表示されたユーザ(オペレータ)は、チャネル1、N−1に係る観測値の監視に集中することができる。
【0085】
図7は、観測値の時系列と現時点t
0におけるその観測値の傾きの表示例を示す図である。
図7に示す例では、8チャネルの時系列データY1〜Y8と、それぞれの現時点t
0における観測値の傾きy1〜y8が、それぞれ実線、破線で表されている。8チャネルの時系列データは、通知選別部26を備えていない制御装置20を介して取得される全ての時系列データである。この例では、8チャネルの現時点t
0における観測値が比較的狭い範囲に分布しており、傾きy1〜y8の大きさやその正負がチャネル毎に異なる。そのため、ユーザにとり、個々のチャネルの観測値の変化傾向を直ちに把握することが困難になることがある。
【0086】
図8は、観測値の時系列と現時点t
0におけるその観測値の傾きの他の表示例を示す図である。
図8は、8チャネルの時系列データのうち、通知選別部26において選別された4チャネルの時系列データY1、Y2、Y3、Y7と、それぞれの現時点t
0における観測値の傾きy1、y2、y3、y7を示す。傾きy1、y2、y3、y7は、いずれもその絶対値が所定の傾きの閾値よりも大きい。即ち、現時点t
0における観測値の傾きが顕著な時系列データY1、Y2、Y3、Y7と、傾きy1、y2、y3、y7が表示され、それ以外の時系列データと傾きが表示されない。そのため、ユーザは、現時点t
0における観測値の傾きが顕著なチャネルについて、個々のチャネルの観測値の変化傾向をより容易に把握することができる。
【0087】
なお、上述では、通知選別部26は、所定の傾きの閾値よりも傾きの絶対値が大きいか否かにより、そのチャネルの時系列データについて通知の要否を判定する場合を例にしたが、これには限られない。通知選別部26には、通知要とする時系列データのチャネル数を通知チャネル数として予め定められてもよい。入力される時系列データのチャネル数が通知チャネル数よりも多いとき、通知選別部26は、変化傾向データが示す傾きの絶対値の降順にチャネルをソートし、傾きの絶対値が最大となるチャネルから通知チャネル数のチャネルまでの時系列データについて通知要と判定してもよい。そして、通知選別部26は、それ以外の時系列データについて通知否と判定してもよい。その場合には、通知選別部26に傾きの閾値が設定されていなくてもよい。
【0088】
また、プラント設備60の特性により、ある特定のチャネルの観測値の変化の後に、他のチャネルの観測値の変化が生じる傾向が明らかな場合がある(共連れ)。そのような場合は、プラント設備60において、その特定のチャネルの観測値の測定部位よりも他のチャネルの観測値の測定部位の方が物理的に下流に配置されている場合に生じうる。その場合には、通知選別部26は、共連れになると位置づけられる他のチャネルよりも、その特定のチャネルを優先して通知要と判定してもよい。
ここで、「共連れ」が生ずる場合の一例として、プラントでは、ある箇所の異常によりアラームが発生すると、それをきっかけとして副次的に別の箇所も異常となり、共連れアラーム(a tailgate alarm)が発生することがある。例えば、上流で流量異常が起こった場合には、その影響により下流でも流量異常が起こることになる。
【0089】
通知選別部26は、通知要と判定したチャネルを示す通知チャネル情報を端末装置10に通信部24を介して送信してもよい。端末装置10のデータ処理部14は、制御装置20からデータ取得部12を介して通知チャネル情報を受信するとき、その通知チャネル情報を含む通知情報を表示部16に出力してもよい。表示部16は、データ処理部14から入力された通知情報を、例えば、アラーム情報として表示する。ここで、データ処理部14は、プラント設備60の各構成要素を示す構成図を示すグラフデータを生成し、生成したグラフデータを表示部16に出力してもよい。データ処理部14は、その構成図に、プラント設備60においてフィールド機器62が設置される部位である測定点又は操作点に、通知情報としてそのフィールド機器62を示す図形を含め、その図形の表示態様を他のフィールド機器62を示す図形と異なる表示態様にしてもよい。例えば、フィールド機器62が、プラント設備60を構成する配管を流れる流体の温度を計測するための温度センサである場合には、配管の部位に温度センサを示す図形が構成図に配置され、その図形を点滅させる。ユーザは、観測値の変化が顕著なチャネルを把握できるので、その部位における状態の変化に容易に気づくことができる。
【0090】
なお、通知選別部26は、傾きの絶対値に基づいて、通知の要否をチャネル毎に判定する場合を例にしたが、これには限られない。通知選別部26は、現時点から観測値が所定の閾値を超える時点までの予想時間に基づいて、通知の要否を判定してもよい。より具体的には、通知選別部26には、チャネル毎の観測値の限界値として、その観測値の許容範囲の上限の閾値、下限の閾値の一方又は両方を設定させておく。通知選別部26は、通知選別部26は、閾値から現時点における観測値の差分を算出し、算出した差分をその観測値の傾きで除算して得られる時間を予想時間として算出する。そして、通知選別部26は、算出した予想時間が所定の予想時間の閾値以下であるチャネルを通知要と判定する。また、通知選別部26は、算出した予想時間が所定の予想時間の閾値より大きいチャネルを通知否と判定する。よって、観測値が現時点から予想時間の閾値以内に許容範囲を超える可能性があるチャネルに係る通知情報が、端末装置10の表示部16に表示される。
【0091】
また、予想時間が所定の予想時間の閾値以下となるチャネル数が、所定のチャネル数を超える場合がある。その場合には、通知選別部26は、許容範囲を逸脱するまでの予想時間が短いチャネルほど優先して通知要とするチャネルとして選別してもよい。より具体的には、通知選別部26は、各チャネルについて算出された予想時間を昇順にソートし、予想時間が最も短いチャネルから予想時間の昇順に所定のチャネル数のチャネルを通知要とするチャネルとして選別し、その他のチャネルを通知否とする。その場合には、通知選別部26に予想時間の閾値が設定されていなくてもよい。
【0092】
データ処理部14は、表示させる通知情報を所定の周期(例えば、0.3〜1s)で点滅させてもよいし、その表示態様をランダムに切り替えてもよい。表示態様として、その通知情報を示す文字の態様(例えば、太さ、大きさ、フォントタイプ、フォントスタイルなどのいずれか又はそれらの任意の組み合わせ、その図形の態様(例えば、色、形状、線種、線幅、大きさなどのいずれか又はそれらの任意の組み合わせ)が切り替えの対象となる。これにより、ユーザは、プラントや機器の状態の変化にさらに容易に気づくことができる。
【0093】
通知選別部26は、
図9に示す構成を備えてもよい。
図9に示す例では、通知選別部26は、変化傾向データ取得部261、変化傾向保持部262、判断テーブル記憶部263、比較部264及び通知出力部265を含んで構成される。変化傾向データ取得部261は、チャネル毎に離散化した状態値を変化傾向保持部262に出力する。
【0094】
変化傾向データ取得部261は、I/Oモジュール30及び通信モジュール28のそれぞれからチャネル毎の変化傾向データを取得する。変化傾向データ取得部261は、変化傾向データから、チャネル毎に状態値を抽出し、抽出した状態値を変化傾向保持部262に出力する。
変化傾向保持部262は、変化傾向データ取得部261から入力されたチャネル毎の状態値を一時的に保持する。保持されるチャネル毎の状態値は、最新の観測値の変化傾向を示す。即ち、変化傾向保持部262には、現時点における変化傾向を示す状態値のパターンがチャネル間で集約される。
【0095】
判断テーブル記憶部263には、予め所定の事象毎の判断テーブルを記憶させておく。その事象として、プラント設備60の状態の異常もしくは異常になる可能性がある状態(兆候)が採用される。各事象の判断テーブルは、その事象が発生する際の典型的なチャネル毎の状態値を含んで構成される。つまり、判断テーブルは、事象毎のチャネル間の状態値のパターンを示す。また、判断テーブルには、事象毎に特定のチャネルを示す情報がさらに対応づけられる。特定のチャネルとして、その事象の発生原因に最も近い(例えば、最も上流にある)測定部位に係るチャネルが設定される。判断テーブルの例については、後述する。
【0096】
比較部264は、変化傾向保持部262に保持されたチャネル間の状態値のパターンを読み出し、読み出したパターンと判断テーブル記憶部263に記憶された判断テーブルが示す事象毎のパターンとを比較する。比較部264は、判断テーブルが示す事象毎のパターンのうち、変化傾向保持部262から読み出したパターンと合致するパターンを、その読み出したパターンに対応するパターンとして定める。比較部264は、定めたパターンに対応する特定のチャネルを定める。比較部264は、定めたチャネルを示すチャネル選別情報を通知出力部265に出力する。
【0097】
通知出力部265は、比較部264から入力されるチャネル選別情報が示すチャネルを特定する。通知出力部265は、特定したチャネルを示す通知チャネル情報を端末装置10に通信部24(
図5)を介して送信する。また、通知出力部265は、I/Oモジュール30及び通信モジュール28のそれぞれから取得したチャネル毎の時系列データと変化傾向データから、特定したチャネルに係る時系列データと変化傾向データを選別してもよい。通知出力部265は、選別した時系列データと変化傾向データを端末装置10に通信部24を介して送信する。
【0098】
(観測値の変化傾向のパターン)
次に、観測値の変化傾向のパターンの例について説明する。
図10(a)は、変化傾向保持部262において保持されるチャネル間の変化傾向のパターンの一例を示す。
図10(a)の第1列、第2列、第3列は、チャネル、現時点における観測値の傾き、その傾きの状態値(ステータス)をそれぞれ示す。また、○印で囲まれた右向きの矢印、右上向きの矢印、左下向きの矢印は、それぞれ、状態値が「一定」、「急激に上昇」、「急激に下降」を示す。
図10(a)の第2行に示す例では、チャネル42−aについて、傾き、状態値が、それぞれ「0.01」、「一定」となる。第N+1行に示す例では、チャネル42−Nについて、傾き、状態値が、それぞれ「0.98」、「急激に上昇」となる。チャネル毎に与えられる状態値からなるパターンが、比較部264において判断テーブルが示す事象毎のパターンと比較される。
【0099】
図10(b)に例示される判断テーブルは、事象毎のパターンと特定のチャネルを示す情報として、そのチャネルに係る表示情報とを対応付けて構成される。表示情報として、その観測値の種別もしくは名称、その観測値に係るフィールド機器の名称、その観測値の測定点などの情報が用いられてもよい。
図10(b)の第2列に示す例では、「パターンA」に、チャネル42−1、42−2、42−3、42−Nのそれぞれの状態値として、「急激に上昇」、「急激に上昇」、「一定」、「一定」の値が含まれる。そして、「パターンA」には、表示情報として「温度1」に係るチャネルが対応付けられている。
図10(c)の第3列に示す例では、「パターンB」に、チャネル42−1、42−2、42−3、42−Nのそれぞれの状態値として、「一定」、「急激に下降」、「急激に上昇」、「一定」の値が含まれる。そして、「パターンB」には、表示情報として「流量1」に係るチャネルが対応付けられている。
比較部264は、判断テーブルが示すM個のパターンのそれぞれについて、
図10(a)に示すパターンと比較する。比較部264は、
図10(a)に示すパターンと合致する「パターンM」と、これに対応付けられた「圧力5」に係るチャネルを特定する。そして、通知出力部265は、「圧力5」を示す通知チャネル情報を端末装置10に送信する。端末装置10の表示部16は、「圧力5」を示す通知情報を表示する。ここで、端末装置10のデータ処理部14は、「圧力5」を示す文字列を、上述した構成図上のプラント設備60の該当する測定点に相当する位置に重ねて表すグラフデータを表示部16に出力してもよい。また、データ処理部14は、その測定点の部位を示す図形を他の部位を示す図形と異なる表示態様で表すグラフデータを表示部16に出力してもよい。
【0100】
なお、比較部264は、変化傾向保持部262から読み出したパターンと判断テーブル記憶部263に記憶された判断テーブルが示す事象毎のパターンとを比較する際、必ずしも各パターンに含まれる全チャネルの状態値を比較しなくてもよい。即ち、比較部264は、所定の一部のチャネルの状態値を比較して、それらの比較対象のチャネルの全てについて状態値が一致するとき、両パターンが合致すると判定してもよい。比較対象のチャネルとして、そのパターンに係る事象の発生時に、その事象が発生しない場合と比較して変化傾向が有意に異なる観測値が取得されるチャネルが用いられ、その他のチャネルが用いられなくてもよい。比較対象のチャネルは、一般に事象によって異なりうる。
【0101】
(通知処理)
次に、本実施形態に係る通知処理の例について説明する。
図11は、本実施形態に係る通知処理の一例を示すフローチャートである。
(ステップS102)I/Oモジュール30、41のデータ取得部32、42は、各時点の観測値を示す時系列データをチャネル毎に取得する。チャネル毎の観測値として、フィールド機器62のそれぞれから入力される入力値の他、I/Oモジュール30、41のそれぞれの状態を示す状態量が含まれてもよい。その後、ステップS104の処理に進む。
(ステップS104)I/Oモジュール30、41の変化傾向判定部34、44は、チャネル毎の観測値の変化傾向を示す傾きを算出し、算出した傾きを示す変化傾向データを制御装置20に出力する。その後、ステップS106の処理に進む。
【0102】
(ステップS106)制御装置20の変化傾向データ取得部261は、チャネル毎の変化傾向データを取得し、チャネル毎の状態値を変化傾向保持部262に集約し、チャネル間の状態値のパターンを形成する。その後、ステップS108の処理に進む。
(ステップS108)比較部264は、判断テーブルが示す事象毎のチャネル間の状態値のパターンと、変化傾向保持部262に保持されたチャネル間の状態値のパターンとを比較する。その後、ステップS110の処理に進む。
【0103】
(ステップS110)比較部264は、変化傾向保持部262に保持されたチャネル間の状態値のパターンと合致するパターンが、判断テーブルが示すパターンに存在するか否かを判定する。存在すると判定するとき(ステップS110 YES)、比較部264は、合致するパターンに対応する特定のチャネルを定め、ステップS112の処理に進む。存在しないと判定されるとき(ステップS110 NO)、
図11に示す処理を終了する。
(ステップS112)通知出力部265は、特定したチャネルを示す通知チャネル情報を端末装置10に通信部24(
図5)を介して送信(通知)する。その後、
図11に示す処理を終了する。
【0104】
なお、両パターンが合致するか否かを判定する際、比較部264が一部のチャネルの状態値を比較する場合、合致すると判定されるパターンが複数個特定されることがある。
そこで、
図10(b)に例示されるように、判断テーブルにおいて各パターンについてさらに優先度の情報が対応付けられてもよい。この例では、優先度の情報として、所定の3段階の値「H」、「M」、「L」のうちいずれかの段階の値が設定される。3段階のうち「H」が最も優先度が高く、「L」が最も優先度が低いことを示す。その優先度として、重大な事象に対応するパターンほど高い優先度を設定しておく。また、ある事象が他の事象の原因になる事象である場合には、他の事象よりも原因になる事象に対応するパターンに対応する優先度を高くしてもよい。
図10(b)の第2列の「パターンA」に対応する優先度の値として「H」が設定されている。
比較部264は、特定したパターンの個数が複数個であるとき、判断テーブルを参照して、特定したパターンに対応する優先度が最も高いパターンを選択する。変化傾向保持部262から読み出したパターンに対応するパターンが「パターンA」と「パターンM」であるとき、比較部264は、それぞれに対応する優先度「H」、「L」のうち、所定の優先度の閾値「M」以上の優先度である優先度「H」に対応する「パターンA」を選択する。そして、比較部264は、選択したパターンに対応する表示データに係るチャネルとして「温度1」のチャネルを選択する。
なお、比較部264は、特定したパターンに対応する優先度の降順に、所定のパターンの数以内のパターンを選択し、選択したパターンに対応するチャネルを選択してもよい。
【0105】
なお、上述では、制御装置20が通知選別部26を備える場合を例にしたが、これには限られない。通知選別部26に相当する機能部は、複数チャネルの時系列データと変化傾向データのセットが取得され、これらのセットの少なくとも一部を送信可能な機器に備えられてもよい。例えば、
図12に示すように、リモートI/Oノード40は、さらに通知選別部48を備えてもよい。通知選別部48の機能構成は、制御装置20の通知選別部26と同様である。通知選別部48は、上述した処理を行って、データ取得部42から入力される各チャネルの時系列データと変化傾向判定部44から入力される対応するチャネルの変化傾向データのうち、少なくとも一部のチャネルの時系列データと変化傾向データを選別する。通知選別部48は、選別した時系列データと変化傾向データを上位機器に通信部46を介して送信する。
図5に示す例では、送信先となる上位機器は、制御装置20である。
【0106】
制御システム3は、さらにゲートウェイ装置(図示せず)を備えてもよい。ゲートウェイ装置は、通知選別部26と同様の機能構成を有する通知選別部を備える。ここで、ゲートウェイ装置の通信部は、より下位の階層に配置されたリモートI/Oノード40からチャネル毎の時系列データと変化傾向データを無線又は有線で受信する。通知選別部は、上述した処理を行って、通信部が受信した時系列データと変化傾向データのうち、少なくとも一部の時系列データと変化傾向データを選別する。そして、通知選別部は、選別した時系列データと変化傾向データを上位機器に通信部を介して無線又は有線で送信する。
その場合、より下位の階層に配置されたリモートI/Oノード40において、通知選別部48が省略されてもよい。
【0107】
以上に説明したように、本実施形態に係る電子機器(例えば、制御装置20、リモートI/Oノード40)において、取得部は、複数チャネルの時系列データを取得するものであり、チャネル毎の変化傾向に基づいて、チャネルに関する情報を通知するチャネルを選別する通知選別部(例えば、通知選別部26、48)を備える。
この構成によれば、多くの時系列データを観察するユーザには、変化傾向に基づいて選別されたチャネルに関する情報が通知される。通知対象となるチャネルを観測量が顕著な変化傾向を有する時系列データに係るチャネルに限定し、より緩やかな変化傾向を有する時系列データに係るチャネルを省略することで通知頻度が減少する。そのため、ユーザは、監視に係る作業の負荷が低減する。例えば、ユーザとして通常は表示画面を見続けていない保守員に対して、フィールド機器などの自己診断情報の時系列の変化傾向に対して、その変化傾向に基づいて選別されたチャネルに関する情報が通知される。保守員は、通知される情報として異常の予兆を示す情報を一見して把握できるので、保守に係る作業の必要性の判断や、必要な作業に迅速に対処することできる。また、通知に係る通信量や端末装置10におけるデータ処理に係る負荷、それらの電力量を低減することができる。さらに、従来行われていた変化傾向の検出のためにプロセス制御に係るシミュレーションの実行対象を重点箇所のみに絞り込むことが可能となる。ひいては、シミュレーションのためのモデル化に係る作業の負荷が解消される。
【0108】
また、通知選別部は、チャネル毎の変化傾向を示すパターンと特定のチャネルとが対応づけられた判断テーブルを予め記憶する記憶部(例えば、判断テーブル記憶部263)と、判断テーブルを参照して、取得部が取得したチャネル毎の時系列データが示す観測値の変化傾向と合致するパターンを選択し、前記パターンに対応づけられた特定のチャネルを選別する通知出力部(例えば、通知出力部265)と、を備える。
この構成によれば、異常又はその兆候となる各事象について、そのパターンを対応させておくことで、チャネル毎の時系列データが示す観測値の変化傾向と合致するパターンが特定され、特定されたパターンに対応するチャネルに関する情報が選別される。そのため、時系列データを観察するユーザは、選別された情報に係る異常又はその兆候となる事象を自身の経験や知見に頼ることなく確実に把握できる。また、ユーザは、その事象に関するチャネルに対して注意を集中することができるので、監視に対する負荷が軽減する。
【0109】
また、判断テーブルは、パターンに優先度が割り当てられたものであり、通知出力部は、選別したパターンの個数が複数であるとき、当該パターンに割り当てられた優先度が高いほど、当該パターンに対応づけられた特定のチャネルに関する情報を優先して出力する。
この構成によれば、一度に複数の事象が発生したときに、優先度が高い事象に係るチャネルの情報が選別される。そのため、時系列データを観察するユーザは、自身の経験や知見に頼ることなく監視又はそのチャネルに係るエンジニアリングの優先度を判断することができる。
【0110】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0111】
例えば、制御システム1、2、3における端末装置10、制御装置20、I/Oモジュール30、41、リモートI/Oノード40、フィールド機器62の数は、上述した数に限られず、その数よりも多くても少なくてもよい。通知選別部26、48が取得する時系列データと変化傾向データのセットの数、即ちチャネル数は、2以上であればよい。通知選別部26、48が選別対象とするチャネルの時系列データは、必ずしもフィールド機器62が測定した測定値を観測値とする時系列データに限られず、I/Oモジュール30、41、フィールド機器62、それぞれの状態を示す状態量を観測値とする時系列データであってもよい。
上述した実施形態では、制御装置20は、端末装置10に送信される時系列データと変化傾向データを中継する場合を例にしたが、これには限られない。例えば、I/Oモジュール30、41は、制御装置20の通信部24を介さずに、端末装置10に時系列データと変化傾向データを送信してもよい。また、リモートI/Oノード40の通知選別部48は、制御装置20を介さずに、端末装置10に時系列データと変化傾向データを送信してもよい。
また、
図3に示す例では、端末装置10が表示部16と操作入力部18を備えている場合を例にするが、これには限られない。表示部16と操作入力部18の一部又は両方は、端末装置10のその他の部位との間でデータを送受信できれば、端末装置10に含まれなくてもよい。
【0112】
なお、上述した実施形態における端末装置10、制御装置20、I/Oモジュール30、41及びリモートI/Oノード40の一部、をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPU等の演算処理回路により実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、端末装置10、制御装置20、I/Oモジュール30、41又はリモートI/Oノード40に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上述したコンピュータシステムは、ネットワークを介して相互に各種のデータを送受信可能とするクラウドコンピューティングシステムの構成要素であるコンピューティングリソースとして構成されていてもよい。
また、上述した実施形態における端末装置10、制御装置20、I/Oモジュール30、41及びリモートI/Oノード40の一部、又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。端末装置10、制御装置20、I/Oモジュール30、41及びリモートI/Oノード40の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。