特許第6794922号(P6794922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794922
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】電動過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20201119BHJP
   F02B 39/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F02B39/00 B
   F02B39/00 J
   F02B39/00 G
   F02B39/10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-95239(P2017-95239)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-193858(P2018-193858A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2019年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大下 真貴夫
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0056726(US,A1)
【文献】 特開2006−009685(JP,A)
【文献】 特開2015−017538(JP,A)
【文献】 特開2008−128112(JP,A)
【文献】 特開2008−121477(JP,A)
【文献】 特開2008−095650(JP,A)
【文献】 特開2016−007106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F02B 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに転がり軸受を介して回転可能に支持される回転軸と、
前記回転軸の軸方向の一端側に連結されるインペラと、
前記ハウジングに収容されるとともに前記回転軸を回転させる電動モータと、を備え、
前記電動モータは、コイルが捲回された筒状のステータを備え、
前記ステータは、ステータコアと、前記コイルの一部であるとともに前記ステータコアにおける前記回転軸の軸方向に位置する両端面からそれぞれ突出するコイルエンドと、を有する電動過給機であって、
前記転がり軸受は、前記回転軸に固定される内輪と、前記内輪の外方に配置される外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置される転動体と、を有し、
前記ハウジングには、前記電動モータに対して重力方向の上側に配置されるとともに潤滑油が供給される油供給部が設けられ、該油供給部には、前記回転軸の軸方向における前記電動モータと前記ハウジングとの間に配置される管状の油供給部材が取り付けられており、
前記油供給部材は、前記油供給部に連通するとともに前記油供給部材の内部を前記油供給部材の軸方向に延びる供給路と、前記供給路に連通するとともに前記転がり軸受の前記内輪と前記外輪との間に向けて前記潤滑油を噴出する噴出孔と、を有し、
前記ハウジングは、前記油供給部に連通するとともに前記回転軸の径方向で前記各コイルエンドに重なる位置にそれぞれ形成された油供給孔を有していることを特徴とする電動過給機。
【請求項2】
前記各油供給孔は、前記油供給部から前記各コイルエンドに向かうにつれて孔の大きさが大きくなっていくことを特徴とする請求項1に記載の電動過給機。
【請求項3】
前記ハウジングには、前記油供給部材が取り付けられる取付孔が形成されており、
前記油供給部材は、前記油供給部側の端部が前記取付孔に圧入されることにより、前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動過給機。
【請求項4】
前記噴出孔の流路断面積は、前記供給路の流路断面積よりも小さく形成されており、
前記噴出孔は、前記転がり軸受に対して前記回転軸の軸方向に離間して配置されており、前記転がり軸受の前記内輪と前記外輪との間に向けて前記潤滑油を噴出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電動過給機。
【請求項5】
前記油供給部は、前記ハウジングの外周面に形成された凹部によって区画されており、
前記油供給孔は、前記凹部の底面に形成された貫通孔からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電動過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの駆動に伴う回転軸の回転によりインペラが回転する電動過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動過給機として、例えば、特許文献1に記載されているような、回転軸の端部に軸振動を吸収するダンパ装置を設けた電動過給機が知られている。この電動過給機では、ハウジングに、回転軸が、例えば、転がり軸受を介して回転可能に支持されている。回転軸の軸方向の一端側にはインペラが連結されている。ハウジング内には、回転軸を回転させるための電動モータが収容されている。また、ハウジングには、流体が吸入される吸入口と、吸入口に連通するとともにインペラが収容されたインペラ室と、インペラによって圧縮された流体が吐出される吐出室と、インペラ室と吐出室とを連通するディフューザ流路とが形成されている。
【0003】
そして、電動モータを駆動させて回転軸を回転させるとインペラが回転し、その回転するインペラの遠心力によって吸入口から吸入された流体に速度エネルギーが与えられる。速度エネルギーが与えられて高速となった流体はインペラの出口に設けられたディフューザ流路にて減速され、流体の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換される。そして、高圧となった流体は吐出室より吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−102700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電動過給機の回転軸を支持する転がり軸受は、高速回転する回転軸により高温になり易く、潤滑が不十分であると焼き付きが生じるため、転がり軸受の内輪と外輪との間に潤滑油を供給することで軸受を潤滑し、冷却することが必要である。しかしながら、電動過給機のハウジングを加工して潤滑油の供給経路を設ける特許文献1のような構成では、ハウジングの微細加工に手間がかかり製造コストが増大するという問題があった。つまり、転がり軸受の内輪と外輪との間に潤滑油を効率良く供給することができる潤滑油供給機構が望まれている。また、電動モータのコイルも発熱して高温になり易いため、コイルを効率良く冷却することが望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、転がり軸受の内輪と外輪との間に潤滑油を効率良く供給し、さらには、電動モータのコイルを効率良く冷却することができる電動過給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電動過給機は、ハウジングと、前記ハウジングに転がり軸受を介して回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸の軸方向の一端側に連結されるインペラと、前記ハウジングに収容されるとともに前記回転軸を回転させる電動モータと、を備え、前記電動モータは、コイルが捲回された筒状のステータを備え、前記ステータは、ステータコアと、前記コイルの一部であるとともに前記ステータコアにおける前記回転軸の軸方向に位置する両端面からそれぞれ突出するコイルエンドと、を有する電動過給機であって、前記転がり軸受は、前記回転軸に固定される内輪と、前記内輪の外方に配置される外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置される転動体と、を有し、前記ハウジングには、前記電動モータに対して重力方向の上側に配置されるとともに潤滑油が供給される油供給部が設けられ、該油供給部には、前記回転軸の軸方向における前記電動モータと前記ハウジングとの間に配置される管状の油供給部材が取り付けられており、前記油供給部材は、前記油供給部に連通するとともに前記油供給部材の内部を前記油供給部材の軸方向に延びる供給路と、前記供給路に連通するとともに前記転がり軸受の前記内輪と前記外輪との間に向けて前記潤滑油を噴出する噴出孔と、を有し、前記ハウジングは、前記油供給部に連通するとともに前記回転軸の径方向で前記各コイルエンドに重なる位置にそれぞれ形成された油供給孔を有している。
【0008】
これによれば、油供給部の潤滑油が、供給路を介して噴出孔から内輪と外輪との間に向けて噴出されるため、例えば、潤滑油が、外輪の外周面に供給された後に、外輪の外周面に供給された潤滑油が内輪と外輪との間に流れ込んでいく場合に比べて、内輪と外輪との間に潤滑油を効率良く供給することができる。さらには、油供給部の潤滑油は、各油供給孔を介して各コイルエンドに供給されるため、各コイルエンドが潤滑油によって冷却される。よって、例えば、電動モータのコイルを水冷方式で冷却する場合に比べると、電動モータのコイルを効率良く冷却することができる。
【0009】
上記電動過給機において、前記各油供給孔は、前記油供給部から前記各コイルエンドに向かうにつれて孔の大きさが大きくなっていくとよい。
これによれば、油供給部から各油供給孔を介して各コイルエンドに潤滑油が供給され易くなるため、潤滑油によって各コイルエンドをさらに冷却し易くすることができ、電動モータのコイルをさらに効率良く冷却することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電動過給機において、回転軸を支持する転がり軸受の内輪と外輪との間に潤滑油を効率良く供給し、さらには、電動モータのコイルを効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における電動過給機を示す側断面図。
図2図1における2−2線断面図。
図3図2におけるA矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、電動過給機を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。なお、本実施形態の電動過給機は自動車のエンジンルームに搭載され、エンジンに流体としての空気を圧縮して供給するために用いられる。
【0013】
図1に示すように、電動過給機10のハウジング11は、円板状の底壁12aと、底壁12aから筒状に延設する周壁12bとを有する有底筒状のモータハウジング12を備えている。また、ハウジング11は、モータハウジング12の底壁12aの外面に連結される円板状の第1シールプレート13と、モータハウジング12の周壁12bの開口部に連結される円板状の第2シールプレート14と、第2シールプレート14に取り付けられたカバー14aと、を備えている。さらに、ハウジング11は、第1シールプレート13におけるモータハウジング12とは反対側に連結されるコンプレッサハウジング15を備えている。モータハウジング12、第1シールプレート13、第2シールプレート14、カバー14a、及びコンプレッサハウジング15は、例えばアルミニウム製である。
【0014】
モータハウジング12の底壁12aには、第1貫通孔12hが形成されている。第1貫通孔12hには、筒状の第1軸受ケース16が取り付けられている。第1軸受ケース16は鉄製である。第1軸受ケース16の内周面には、円環状の係合部16aが突出している。
【0015】
第2シールプレート14には、第2貫通孔14hが形成されている。第2貫通孔14hには、筒状の第2軸受ケース17が取り付けられている。第2軸受ケース17は鉄製である。カバー14aは、第2貫通孔14hにおけるモータハウジング12とは反対側の開口を閉塞している。
【0016】
電動過給機10は、ハウジング11に回転可能に支持される回転軸20を備えている。回転軸20は、第2軸受ケース17内からモータハウジング12内、第1軸受ケース16内を通過するとともに第1シールプレート13を貫通してコンプレッサハウジング15内に突出している。回転軸20と第1シールプレート13との間にはラビリンスシールを有するシール部材13aが介在されている。
【0017】
本実施形態では、回転軸20におけるコンプレッサハウジング15内に突出している側が回転軸20の軸方向の一端側に対応し、回転軸20における第2軸受ケース17側が回転軸20の軸方向の他端側に対応する。回転軸20の軸方向の一端側にはインペラ21が連結されている。
【0018】
モータハウジング12内には、回転軸20を回転させる電動モータ22が収容されている。電動モータ22は、モータハウジング12の底壁12a及び周壁12bと第2シールプレート14とで囲まれた空間であるモータ室121に収容されている。
【0019】
電動モータ22は、筒状のステータ23と、ステータ23の内側に配置されたロータ24と、を備えている。ステータ23には、コイル25が捲回されている。ロータ24は、は、コイル25に電流が供給されることにより回転軸20と一体的に回転する。
【0020】
ステータ23は、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されたステータコア23aと、ステータコア23aにおける回転軸20の軸方向に位置する両端面23eからそれぞれ突出するコイルエンド25eと、を有している。コイルエンド25eは、コイル25の一部である。
【0021】
電動過給機10は、回転軸20の軸方向において回転軸20におけるインペラ21に近い部位を回転可能に支持する転がり軸受としての第1転がり軸受31を備えている。第1転がり軸受31は、第1軸受ケース16に収容されている。
【0022】
第1転がり軸受31は、回転軸20に固定される内輪としての第1内輪31aと、第1内輪31aの外方に配置される外輪としての第1外輪31bと、第1内輪31aと第1外輪31bとの間に複数配置される転動体としての第1玉31c(第1ボール)とを有するアンギュラ玉軸受である。第1内輪31aは回転軸20に対して圧入されている。第1外輪31bは第1軸受ケース16の内周面に対して圧入されている。
【0023】
電動過給機10は、回転軸20の軸方向において回転軸20における第1転がり軸受31よりもインペラ21から遠い部位を回転可能に支持する転がり軸受としての第2転がり軸受32を備えている。よって、回転軸20は、第1転がり軸受31及び第2転がり軸受32を介してハウジング11に回転可能に支持されている。第2転がり軸受32は、第2軸受ケース17に収容されるとともに、回転軸20の軸方向において、第2軸受ケース17内におけるカバー14aとは反対側の端部に配置されている。
【0024】
第2転がり軸受32は、回転軸20に固定される内輪としての第2内輪32aと、第2内輪32aの外方に配置される外輪としての第2外輪32bと、第2内輪32aと第2外輪32bとの間に複数配置される転動体としての第2玉32c(第2ボール)とを有するアンギュラ玉軸受である。第2内輪32aは回転軸20に対して圧入されている。第2外輪32bは第2軸受ケース17の内周面に対して隙間嵌めになっている。
【0025】
第2軸受ケース17内において回転軸20の軸方向における第2転がり軸受32とカバー14aとの間には収容室33が設けられている。収容室33には、円環状のワッシャ34及び予圧ばね35が収容されている。
【0026】
予圧ばね35の一端はカバー14aに当接するとともに、予圧ばね35の他端はワッシャ34を介して第2転がり軸受32の第2外輪32bの端面に当接している。予圧ばね35は、回転軸20の軸方向に圧縮された状態でカバー14aとワッシャ34との間に配置されている。よって、カバー14aは、予圧ばね35を保持している。そして、予圧ばね35は、圧縮された予圧ばね35の原形状へ復帰しようとする力によって回転軸20の軸方向において第2転がり軸受32を付勢している。
【0027】
予圧ばね35の付勢力は、ワッシャ34を介して第2外輪32bに伝達されるとともに、第2外輪32bに伝達された付勢力は、第2玉32cを介して第2内輪32aに伝達されて第2内輪32aが回転軸20の軸方向においてインペラ21側に押圧される。そして、予圧ばね35の付勢力が第2内輪32aから回転軸20に伝達され、回転軸20が回転軸20の軸方向においてインペラ21側に向けて移動しようとする。回転軸20は第1転がり軸受31の第1内輪31aに当接しており、第1玉31cは、第1内輪31aによって回転軸20に軸方向においてインペラ21側に押し付けられて、第1外輪31bを押圧する。そして、第1外輪31bは、第1玉31cに押し付けられることにより、第1軸受ケース16の係合部16aに当接している。
【0028】
電動過給機10において、インペラ21の回転時には、インペラ21に、回転軸20の軸方向において第2転がり軸受32から第1転がり軸受31に向かう方向へ回転軸20を引っ張ろうとするスラスト力が発生する。第1転がり軸受31及び第2転がり軸受32は、回転軸20を介してスラスト力を受けながら回転軸20を回転可能に支持している。
【0029】
コンプレッサハウジング15は、空気(新気)が吸入される吸入口15aと、吸入口15aに連通するとともにインペラ21が収容されたインペラ室15bと、インペラ21によって圧縮された空気が吐出される吐出室15cと、インペラ室15bと吐出室15cとを連通するディフューザ流路15dと、を有している。
【0030】
そして、電動モータ22を駆動させて回転軸20を回転させるとインペラ21が回転し、その回転するインペラ21の遠心力によって吸入口15aから吸入された空気に速度エネルギーが与えられる。速度エネルギーが与えられて高速となった空気はインペラ21の出口に設けられたディフューザ流路15dにて減速され、空気の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換される。そして、高圧となった空気は吐出室15cより吐出され、図示しないエンジンに供給される。
【0031】
モータハウジング12の周壁12bの外周面の一部には、凹部12cが形成されている。凹部12cの底面12dは平坦面状である。凹部12cは、回転軸20の軸方向に延びている。凹部12cにおける回転軸20の軸方向の一端縁121cは、回転軸20の径方向において第1転がり軸受31と重なる位置にある。凹部12cにおける回転軸20の軸方向の他端縁122cは、回転軸20の径方向において第2転がり軸受32と重なる位置にある。
【0032】
モータハウジング12の外周面には、凹部12cを閉塞する蓋部材36が取り付けられている。そして、蓋部材36及び凹部12cによって潤滑油が供給される空間である油供給部37が区画されている。よって、本実施形態において、ハウジング11には、潤滑油が供給される油供給部37が設けられている。油供給部37は、電動モータ22に対して重力方向W1の上側に配置されている。
【0033】
凹部12cの底面12dには、第1取付孔38a及び第2取付孔38bが形成されている。第1取付孔38a及び第2取付孔38bは周壁12bを貫通している。第1取付孔38aは、凹部12cの一端縁121c寄りに配置されるとともに第2取付孔38bは、凹部12cの他端縁122c寄りに配置されている。第1取付孔38aは、回転軸20の軸方向における電動モータ22とモータハウジング12の底壁12aとの間の空間と回転軸20の径方向で重なる位置に配置されている。第2取付孔38bは、回転軸20の軸方向における電動モータ22と第2シールプレート14との間の空間と回転軸20の径方向で重なる位置に配置されている。
【0034】
蓋部材36には、油供給部37に潤滑油を供給する供給ポート36aが形成されている。供給ポート36aは、回転軸20の軸方向において第1取付孔38aと第2取付孔38bとの間に位置する凹部12cの底面12dの部位と回転軸20の径方向で重なっている。供給ポート36aには、エンジンオイルの一部が潤滑油として供給される。
【0035】
油供給部37(モータハウジング12)には、管状の油供給部材としての第1油供給部材51が取り付けられている。第1油供給部材51は、直線状に延びている。第1油供給部材51は、油供給部37側の端部が第1取付孔38aに圧入されることにより、モータハウジング12に取り付けられている。第1油供給部材51は、モータ室121内において、回転軸20の軸方向における電動モータ22とモータハウジング12の底壁12aとの間に突出している。よって、第1油供給部材51は、回転軸20の軸方向における電動モータ22とモータハウジング12の底壁12aとの間に配置されている。第1油供給部材51は、回転軸20の径方向に延びている。
【0036】
第1油供給部材51は、第1油供給部材51の内部を第1油供給部材51の軸方向に延びる供給路としての第1供給路51bを有している。第1供給路51bにおける油供給部37側の端部は、油供給部37に連通するとともに、第1供給路51bは、回転軸20の径方向に延びている。また、第1油供給部材51は、第1供給路51bに連通するとともに第1転がり軸受31の第1内輪31aと第1外輪31bとの間に向けて潤滑油を噴出する噴出孔としての第1噴出孔51cを有している。第1噴出孔51cは、回転軸20の軸方向に延びており、第1油供給部材51の軸方向における油供給部37とは反対側の端部の外周面に開口している。第1噴出孔51cは、回転軸20の軸方向で第1内輪31aと第1外輪31bとの間の一部に対向している。第1噴出孔51cの流路断面積は、第1供給路51bの流路断面積よりも小さい。
【0037】
油供給部37(モータハウジング12)には、管状の油供給部材としての第2油供給部材52が取り付けられている。第2油供給部材52は、直線状に延びている。第2油供給部材52は、油供給部37側の端部が第2取付孔38bに圧入されることにより、モータハウジング12に取り付けられている。第2油供給部材52は、モータ室121内において、回転軸20の軸方向における電動モータ22と第2シールプレート14との間に突出している。よって、第2油供給部材52は、回転軸20の軸方向における電動モータ22と第2シールプレート14との間に配置されている。第2油供給部材52は、回転軸20の径方向に延びている。
【0038】
第2油供給部材52は、第2油供給部材52の内部を第2油供給部材52の軸方向に延びる供給路としての第2供給路52bを有している。第2供給路52bにおける油供給部37側の端部は、油供給部37に連通するとともに、第2供給路52bは、回転軸20の径方向に延びている。また、第2油供給部材52は、第2供給路52bに連通するとともに第2転がり軸受32の第2内輪32aと第2外輪32bとの間に向けて潤滑油を噴出する噴出孔としての第2噴出孔52cを有している。第2噴出孔52cは、回転軸20の軸方向に延びており、第2油供給部材52の軸方向における油供給部37とは反対側の端部の外周面に開口している。第2噴出孔52cは、回転軸20の軸方向で第2内輪32aと第2外輪32bとの間の一部に対向している。第2噴出孔52cの流路断面積は、第2供給路52bの流路断面積よりも小さい。
【0039】
モータハウジング12の周壁12bには、油供給部37に連通する二つの油供給孔53が形成されている。各油供給孔53は、凹部12cの底面12dに形成されている。各油供給孔53は周壁12bを貫通している。二つの油供給孔53は、回転軸20の軸方向において、第1取付孔38aと第2取付孔38bとの間に配置されている。各油供給孔53は、回転軸20の径方向で各コイルエンド25eに重なる位置にそれぞれ配置されている。
【0040】
図2及び図3に示すように、各油供給孔53は、油供給部37から各コイルエンド25eに向かうにつれて孔の大きさが大きくなっていく。図2に示すように、各油供給孔53の内面は、回転軸20の軸方向に直交する方向で各油供給孔53を断面視したときに、弧状に湾曲する一対の対向面53aを有している。一対の対向面53aは、コイルエンド25eの周方向(回転軸20の周方向)で互いに対向している。一対の対向面53aは、一対の対向面53aの対向方向X1において凹となるように弧状に湾曲している。一対の対向面53aは、油供給部37からコイルエンド25eに向かうにつれて互いに離れていく。
【0041】
各油供給孔53は、回転軸20の径方向で各コイルエンド25eの頂部251eに重なる位置に配置されている。コイルエンド25eの頂部251eとは、重力方向W1で最も上に位置するコイルエンド25eの部位である。そして、各油供給孔53におけるコイルエンド25e側の開口53eは、各コイルエンド25eの頂部251eに対して、コイルエンド25eの周方向の両側に延びている。
【0042】
図3に示すように、各油供給孔53は、平面視すると、四角孔形状である。一対の対向面53aの対向方向X1と直交する方向に位置する油供給孔53の両内面53bは、平面視すると、互いに平行に延びている。
【0043】
図1に示すように、モータハウジング12の周壁12bにおける重力方向の下側には、モータ室121内の潤滑油をハウジング11外へ排出する排出通路54が形成されている。排出通路54を介してハウジング11外へ排出された潤滑油は、エンジンのオイルパンにエンジンオイルとして回収される。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。
供給ポート36aから油供給部37に供給され、油供給部37に充填された潤滑油は、第1油供給部材51の第1供給路51b及び第2油供給部材52の第2供給路52bにそれぞれ流入する。第1供給路51b及び第2供給路52bにそれぞれ流入した潤滑油は、第1供給路51b及び第2供給路52bをそれぞれ通過する。
【0045】
第1供給路51bを通過した潤滑油は、第1噴出孔51cから第1内輪31aと第1外輪31bとの間に向けて噴出される。このとき、第1噴出孔51cの流路断面積は、第1供給路51bの流路断面積よりも小さいため、第1噴出孔51cを通過する際に絞られて第1内輪31aと第1外輪31bとの間に向けて勢い良く第1噴出孔51cから噴出される。これにより、第1内輪31aと第1外輪31bとの間に潤滑油が効率良く供給され、第1外輪31bと各第1玉31cとの間の摺動性、及び第1内輪31aと各第1玉31cとの間の摺動性が良好なものとなる。
【0046】
第2供給路52bを通過した潤滑油は、第2噴出孔52cから第2内輪32aと第2外輪32bとの間に向けて噴出される。このとき、第2噴出孔52cの流路断面積は、第2供給路52bの流路断面積よりも小さいため、第2噴出孔52cを通過する際に絞られて第2内輪32aと第2外輪32bとの間に向けて勢い良く第2噴出孔52cから噴出される。これにより、第2内輪32aと第2外輪32bとの間に潤滑油が効率良く供給され、第2外輪32bと各第2玉32cとの間の摺動性、及び第2内輪32aと各第2玉32cとの間の摺動性が良好なものとなる。
【0047】
さらには、油供給部37の潤滑油は、各油供給孔53を介してコイルエンド25eに供給される。図2に示すように、コイルエンド25eに供給された潤滑油は、コイルエンド25eの形状に応じて2方向に分岐しつつ、コイルエンド25eの外周部に沿って下方へと流れていく。ここで、各油供給孔53は、油供給部37から各コイルエンド25eに向かうにつれて孔の大きさが大きくなっている。よって、各油供給孔53が、油供給部37から各コイルエンド25eに向かうにつれて同じ孔の大きさである場合に比べると、油供給部37から各油供給孔53を介して各コイルエンド25eに潤滑油が供給され易くなっている。
【0048】
さらに、各油供給孔53におけるコイルエンド25e側の開口53eが、コイルエンド25eの頂部251eに対して、コイルエンド25eの周方向の両側に延びている。このため、各油供給孔53から流出する潤滑油は、コイルエンド25eの頂部251eの周囲に向けて供給された後、図2において矢印R1,R2で示すように、コイルエンド25eの頂部251eに対して、コイルエンド25eの周方向の両側に流れて、コイルエンド25eの外周部に沿って流れ易くなる。よって、潤滑油によって各コイルエンド25e全体が冷却され、電動モータ22のコイル25が冷却される。
【0049】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)油供給部37の潤滑油は、第1供給路51bを介して第1噴出孔51cから第1内輪31aと第1外輪31bとの間に向けて噴出されるとともに、第2供給路52bを介して第2噴出孔52cから第2内輪32aと第2外輪32bとの間に向けて噴出される。例えば、潤滑油が、第1外輪31bの外周面に供給された後に、第1外輪31bの外周面に供給された潤滑油が第1内輪31aと第1外輪31bとの間に流れ込んでいく場合や、潤滑油が、第2外輪32bの外周面に供給された後に、第2外輪32bの外周面に供給された潤滑油が第2内輪32aと第2外輪32bとの間に流れ込んでいく場合を考える。この場合に比べて、第1内輪31aと第1外輪31bとの間、及び第2内輪32aと第2外輪32bとの間に潤滑油を効率良く供給することができる。さらには、油供給部37の潤滑油が、各油供給孔53を介して各コイルエンド25eに供給されるため、各コイルエンド25eが潤滑油によって冷却される。よって、例えば、電動モータ22のコイル25を水冷方式で冷却する場合に比べると、電動モータ22のコイル25を効率良く冷却することができる。
【0050】
(2)各油供給孔53は、油供給部37から各コイルエンド25eに向かうにつれて孔の大きさが大きくなっていく。これによれば、油供給部37から各油供給孔53を介して各コイルエンド25eに潤滑油が供給され易くなるため、潤滑油によって各コイルエンド25eをさらに冷却し易くすることができ、電動モータ22のコイル25をさらに効率良く冷却することができる。
【0051】
(3)第1噴出孔51c及び第2噴出孔52cの流路断面積は、第1供給路51b及び第2供給路52bの流路断面積よりも小さい。これによれば、油供給部37から第1供給路51b及び第2供給路52bを流れた潤滑油が、第1噴出孔51c及び第2噴出孔52cを通過する際に絞られて第1内輪31aと第1外輪31bとの間、及び第2内輪32aと第2外輪32bとの間に向けて勢い良く第1噴出孔51c及び第2噴出孔52cから噴出される。このため、第1内輪31aと第1外輪31bとの間、及び第2内輪32aと第2外輪32bとの間に潤滑油をさらに効率良く供給することができる。
【0052】
(4)各油供給孔53におけるコイルエンド25e側の開口53eが、コイルエンド25eの頂部251eに対して、コイルエンド25eの周方向の両側に延びている。これによれば、油供給部37から各油供給孔53を介して各コイルエンド25eに供給される潤滑油が、コイルエンド25eの頂部251eに対して、コイルエンド25eの周方向の両側に流れて、コイルエンド25eの外周部に沿って流れ易くなる。よって、潤滑油によって各コイルエンド25e全体を効率良く冷却することができ、電動モータ22のコイル25を効率良く冷却することができる。
【0053】
(5)油供給部37は、第1油供給部材51及び第2油供給部材52に流れる潤滑油が供給される空間であり、各油供給孔53に流れる潤滑油が供給される空間でもある。よって、第1油供給部材51及び第2油供給部材52に流れる潤滑油が供給される空間と、各油供給孔53に流れる潤滑油が供給される空間とが、それぞれ別の空間である場合に比べて、ハウジング11の構成を簡素化することができる。
【0054】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、各油供給孔53は、回転軸20の軸方向に直交する方向で各油供給孔53を断面視したときに、一対の対向面53aが、直線状に延びるテーパ面であってもよい。
【0055】
○ 実施形態において、各油供給孔53は、回転軸20の径方向で各コイルエンド25eの頂部251eに重なっていなくてもよい。
○ 実施形態において、各油供給孔53は、油供給部37から各コイルエンド25eに向かうにつれて同じ孔の大きさであってもよい。
【0056】
○ 実施形態において、ハウジング11に、回転軸20の径方向で各コイルエンド25eに重なる位置に、油供給孔53がそれぞれ二つずつ形成されていてもよい。
○ 実施形態において、各油供給孔53は、平面視すると、円孔形状であってもよく、各油供給孔53の形状は特に限定されるものではない。
【0057】
○ 実施形態において、第1油供給部材51及び第2油供給部材52が、回転軸20の軸方向に対して斜交するようにモータハウジング12に取り付けられていてもよい。
○ 実施形態において、第1噴出孔51cが、第1油供給部材51の軸方向における油供給部37とは反対側の端面に開口していてもよい。同様に、第2噴出孔52cが、第2油供給部材52の軸方向における油供給部37とは反対側の端面に開口していてもよい。この場合、第1油供給部材51及び第2油供給部材52が、回転軸20の軸方向に対して斜交するようにモータハウジング12に取り付けられており、第1噴出孔51cが、第1内輪31aと第1外輪31bとの間の一部に対向配置されており、第2噴出孔52cが、第2内輪32aと第2外輪32bとの間の一部に対向配置されている必要がある。
【0058】
○ 実施形態において、第1油供給部材51及び第2油供給部材52が直線状に延びておらず、例えば、湾曲していたり、L字状に屈曲していたりしてもよい。
○ 実施形態において、第1油供給部材51及び第2油供給部材52が、モータハウジング12の周壁12bの内周面に、例えば、ボルト等の締結部材によって取り付けられていてもよい。
【0059】
○ 実施形態において、第1噴出孔51c及び第2噴出孔52cの流路断面積が、第1供給路51b及び第2供給路52bの流路断面積と同じであってもよいし、第1噴出孔51c及び第2噴出孔52cの流路断面積が、第1供給路51b及び第2供給路52bの流路断面積よりも大きくてもよい。
【0060】
○ 実施形態において、第1転がり軸受31及び第2転がり軸受32は、例えば、転動体が円柱であるころ軸受であってもよい。
○ 実施形態において、電動過給機10は、回転軸20の軸方向において回転軸20におけるインペラ21に近い部位を回転可能に支持する第1軸受、又は回転軸20の軸方向において回転軸20における第1軸受よりもインペラ21から遠い部位を回転可能に支持する第2軸受のどちらかが転がり軸受である電動過給機10であってもよい。そして、第1軸受及び第2軸受のうち、転がり軸受であるどちらか一方に対応して油供給部材が設けられており、図1のように油供給部材が二つ設けられておらず、油供給部材が一つだけ設けられている電動過給機10であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…電動過給機、11…ハウジング、20…回転軸、21…インペラ、22…電動モータ、23…ステータ、23a…ステータコア、23e…端面、25…コイル、25e…コイルエンド、31…転がり軸受としての第1転がり軸受、31a…内輪としての第1内輪、31b…外輪としての第1外輪、31c…転動体としての第1玉、32…転がり軸受としての第2転がり軸受、32a…内輪としての第2内輪、32b…外輪としての第2外輪、32c…転動体としての第2玉、37…油供給部、51…油供給部材としての第1油供給部材、51b…供給路としての第1供給路、51c…噴出孔としての第1噴出孔、52…油供給部材としての第2油供給部材、52b…供給路としての第2供給路、52c…噴出孔としての第2噴出孔、53…油供給孔。
図1
図2
図3