(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の動作周波数の高周波化や、パッケージの小型化(特に低背化)が進んでいる。そのため、高周波化やパッケージの小型化にともなって、水晶振動デバイス(例えば水晶振動子、水晶発振器等)も高周波化やパッケージの小型化への対応が求められている。
【0003】
小型化および低背化に適した水晶振動デバイスとして、いわゆるサンドイッチ構造の水晶振動デバイスが知られている。サンドイッチ構造の水晶振動デバイスは、その筐体が略直方体のパッケージで構成されている。このパッケージは、例えばガラスや水晶からなる第1封止部材および第2封止部材と、両主面に励振電極が形成された水晶振動板とから構成され、第1封止部材と第2封止部材とが水晶振動板を介して積層して接合される。そして、パッケージの内部(内部空間)に配された水晶振動板の振動部が第1封止部材および第2封止部材によって気密封止されている。
【0004】
サンドイッチ構造の水晶振動デバイスにて使用される水晶振動板は、励振電極の形成された振動部と、振動部の周囲に配置された外枠部と、振動部を外枠部に連結して保持する保持部とが、水晶板において一体形成されている。この水晶振動板には、加工が容易であり、且つ周波数温度特性が優れたATカット型の水晶板が最も広く用いられている。
【0005】
振動部と外枠部と保持部とが一体形成された水晶振動板では、振動部で生じた圧電振動が保持部を介して外枠部へ漏れやすいといった振動漏れの問題が生じる。これに対し、特許文献1には、そのような振動漏れを抑制する水晶振動板が開示されている。
【0006】
具体的には、特許文献1には、保持部を振動部からATカットのZ´軸方向に突出させて形成する構成が開示されている。ここでは、人工水晶の結晶軸を、X軸、Y軸、Z軸とし、X軸の周りに35°15´回転させたATカット型の水晶のY軸およびZ軸をそれぞれ、Y´軸、Z´軸とする。
【0007】
ATカット型の水晶振動板では、振動部において、X軸方向に沿った圧電振動の変位がZ´軸方向に沿った圧電振動の変位よりも大きくなることが知られている。特許文献1の構成では、保持部は、圧電振動の変位が小さいZ´軸方向に沿って振動部を保持している。このため、水晶振動板を圧電振動させた場合、この圧電振動は保持部を通って漏れにくくなり、振動部を効率的に圧電振動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に開示された水晶振動板は、振動部からの振動漏れを抑制するのに適した構成である一方、励振電極の引き出し電極において断線等の不具合が生じ易いといった課題が発生する。この課題について以下に説明する。
【0010】
上記水晶振動板は、エッチング工程によって水晶板の外形形状を形成した後、水晶板の両主面に電極および配線を形成することで製造される。上記エッチング工程では、矩形状の水晶板に対し、少なくとも外形形成エッチングおよび周波数調整エッチングの2回のエッチング処理が行われる。また、振動部の中央にメサ構造を形成する場合には、加えてメサ形成エッチングを行ってもよい。
【0011】
外形形成エッチングでは、矩形状の水晶板に切り抜き部を形成し、振動部、保持部および外枠部の外形形状を形成する。周波数調整エッチングでは、水晶振動デバイスの発振振動数を所定の値とするために、振動部および保持部の厚みを調整する。周波数調整エッチングでは、基本的に振動部および保持部の領域がエッチングされる。
【0012】
周波数調整エッチングを振動部および保持部の領域に施した場合、保持部と外枠部との境界には水晶板の厚み差による段差が形成される。振動部からATカットのZ´軸方向に突出させて保持部を形成する場合、保持部と外枠部との境界はX軸に平行な境界となる。したがって、上記段差もX軸に平行な線に沿って形成される。
【0013】
上記段差の断面形状は、水晶板の結晶異方性の影響を受けるものであり、X軸に平行な境界の場合には、少なくとも一方の主面では、主面に対して垂直な断面を有する段差となる。また、上記段差が保持部側にずれて形成された場合には、段差の一部にえぐれ形状の断面が生じる場合もある。尚、ここでのえぐれ形状とは、段差の側面が垂直からさらに傾斜し、段差の側面と主面(保持部の主面または外枠部の主面)とのなす角が鋭角となるような形状を指す。
【0014】
水晶振動板では、振動部に形成される励振電極に接続される引出配線は、保持部を介して外枠部まで形成されるため、該引出配線は、保持部と外枠部との境界における段差部分を越える必要がある。また、引出配線は、スパッタリングによって金属膜を成膜した後、この金属膜をパターニングして形成される。
【0015】
このようにして形成される引出配線は、保持部と外枠部との境界に垂直段差が形成された場合、スパッタリングによる金属膜厚が確保されにくく、引出配線における断線が生じやすいといった問題がある。あるいは、断線とまではいかなくとも、配線の薄膜化により引出配線が高抵抗化する恐れもある。励振電極における引出配線の高抵抗化は、水晶振動デバイスの振動特性に悪影響を与える。また、上記段差にえぐれ形状の断面が生じた場合には、上記問題はより顕著となる。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、振動部からの振動漏れを低減できると同時に、引出配線における断線等を抑制する水晶振動板および水晶振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明の水晶振動板は、一主面に形成された第1励振電極と、他主面に形成された第2励振電極とが備えられた略矩形状の振動部と、前記振動部の角部から、ATカットのZ´軸方向に突出され、当該振動部を保持する保持部と、前記振動部の外周を取り囲むと共に、前記保持部を保持する外枠部とを有してなるATカット型の水晶振動板であって、前記保持部と前記外枠部との境界が、前記外枠部の内周辺のうち、X軸と平行な辺上にあるとした場合、前記振動部と前記保持部との少なくとも一部は、前記外枠部よりも厚みを薄くされたエッチング領域とされており、当該エッチング領域によって前記保持部と前記外枠部との境界付近には段差が形成されており、前記第1励振電極および前記第2励振電極の引出配線が、前記段差と重畳するように前記保持部から前記外枠部に渡って形成されており、前記一主面および前記他主面の少なくとも一方では、前記引出配線と重畳する部分の前記段差の少なくとも一部が、平面視でX軸と平行とならないように形成されていることを特徴としている。
【0018】
保持部の厚みを外枠部よりも薄くするためのエッチング領域では、該エッチング領域の境界に水晶板の厚み差による段差が形成される。この段差には、エッチング領域の境界がX軸と平行となる部分で一主面および他主面の少なくとも一方で垂直断面(場合によってはえぐれ形状の断面)となる。これに対し、上記の構成によれば、引出配線と重畳する部分の段差の少なくとも一部において、平面視でX軸と平行とならない部分が形成される。この部分では、緩やかな段差を形成することができるため、段差上での引出配線の断線等を抑制できる。
【0019】
また、上記水晶振動板では、前記引出配線と重畳する部分の前記段差の少なくとも一部が、平面視でX軸と平行とならない直線部分として形成されている構成とすることができる。
【0020】
上記の構成によれば、引出配線と重畳する段差の少なくとも一部を直線部分とすることで、緩やかな段差部分を長く形成することができ、段差上での引出配線の断線等をより効果的に抑制できる。
【0021】
また、上記水晶振動板では、前記直線部分は、平面視でX軸と直交する構成とすることができる。
【0022】
上記の構成によれば、段差は平面視でX軸と直交する角度に近くなるほど緩やかとなり、段差は平面視でX軸と直交するように形成されている箇所で最も緩やかとなるため、段差上での引出配線の断線等をより効果的に抑制できる。
【0023】
また、上記水晶振動板では、前記直線部分の長さは、前記引出配線の線幅の半分以上である構成とすることができる。あるいは、上記水晶振動板では、前記直線部分の長さは、前記引出配線の線幅以上である構成とすることができる。
【0024】
上記の構成によれば、引出配線の線幅に対して直線部分のより長くすることで、引出配線の断線等をより効果的に抑制することができる。
【0025】
また、上記水晶振動板では、前記段差は、前記保持部と前記外枠部との境界よりも外枠部側に形成されている構成とすることができる。
【0026】
上記の構成によれば、保持部の強度を向上させることができると共に、段差においてえぐれ形状の断面が生じることも防止できる。
【0027】
また、上記水晶振動板では、前記一主面および前記他主面の少なくとも一方では、前記エッチング領域は前記保持部から前記外枠部の一部に入り込んで形成される入り込み部を有しており、当該入り込み部における前記エッチング領域の境界線が前記段差となるものであり、前記段差の−X側の始点は、前記保持部と前記外枠部との接続域の内側に形成されている構成とすることができる。
【0028】
上記の構成によれば、入り込み部の面積が抑制されることで、外枠部における封止部材との接合面積を確保できる。これにより、水晶振動デバイスにおいての接合強度および封止性の低下を抑制できる。
【0029】
また、本発明の水晶振動デバイスは、上記の課題を解決するために、上記記載の水晶振動板と、前記水晶振動板の前記一主面を覆う第1封止部材と、前記水晶振動板の前記他主面を覆う第2封止部材とが備えられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の水晶振動板および水晶振動デバイスは、外枠部と保持部との接続部付近でのエッチング領域の境界に緩やかな段差部分を形成し、その緩やかな段差部分を越えるように励振電極の引出配線を形成することで、エッチング領域の境界に生じる段差上での配線の断線や高抵抗化を防止することができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明を適用する水晶振動デバイスが水晶発振器である場合について説明する。但し、本発明が適用可能な水晶振動デバイスは水晶発振器に限定されるものではなく、水晶振動子に本発明を適用してもよい。
【0033】
−水晶発振器−
本実施の形態にかかる水晶発振器101は、
図1に示すように、水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4、およびICチップ5を備えて構成されている。この水晶発振器101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されることによって、略直方体のサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。また、第1封止部材3における水晶振動板2との接合面と反対側の主面に、ICチップ5が搭載される。電子部品素子としてのICチップ5は、水晶振動板2とともに発振回路を構成する1チップ集積回路素子である。
【0034】
水晶振動板2では、一方の主面である第1主面211に第1励振電極221が形成され、他方の主面である第2主面212に第2励振電極222が形成されている。そして、水晶発振器101においては、水晶振動板2の両主面(第1主面211、第2主面212)のそれぞれに第1封止部材3および第2封止部材4が接合されることで、パッケージ12の内部空間が形成され、内部空間に第1励振電極221および第2励振電極222を含む振動部22(
図4,5参照)が気密封止されている。
【0035】
本実施の形態にかかる水晶発振器101は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージ12では、キャスタレーションを形成せずに、後述する貫通孔を用いて電極の導通を図っている。
【0036】
次に、上記した水晶発振器101における水晶振動板2、第1封止部材3および第2封止部材4の各部材について、
図1〜7を用いて説明する。なお、ここでは、接合されていないそれぞれ単体として構成されている各部材について説明を行う。
【0037】
水晶振動板2は、
図4,5に示すように、水晶からなる圧電基板であって、その両主面(第1主面211,第2主面212)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、水晶振動板2として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。
図4,5に示す水晶振動板2では、水晶振動板2の両主面211,212が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板2の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板2の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、および光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸およびZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸およびZ軸からそれぞれ35°15′傾いた軸に一致する。Y´軸方向およびZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
【0038】
水晶振動板2の両主面211,212には、一対の励振電極(第1励振電極221,第2励振電極222)が形成されている。水晶振動板2は、略矩形に形成された振動部22と、この振動部22の外周を取り囲む外枠部23と、振動部22と外枠部23とを連結することで振動部22を保持する保持部24とを有している。すなわち、水晶振動板2は、振動部22、外枠部23および保持部24が一体的に設けられた構成となっている。
【0039】
本実施の形態では、保持部24は、振動部22と外枠部23との間の1箇所のみに設けられている。また、詳しくは後述するが、振動部22および保持部24は、基本的には外枠部23よりも薄く形成されている。このような外枠部23と保持部24との厚みの違いにより、外枠部23と保持部24の圧電振動の固有振動数が異なることになり、保持部24の圧電振動に外枠部23が共鳴しにくくなる。尚、保持部24の形成箇所は1か所に限定されるものではなく、保持部24は、振動部22と外枠部23との間の2箇所(例えば、−Z´軸方向の両側)に設けられていてもよい。
【0040】
保持部24は、振動部22の+X方向かつ−Z´方向に位置する1つの角部のみから、−Z´方向に向けて外枠部23まで延びている(突出している)。このように、振動部22の外周端部のうち、圧電振動の変位が比較的小さい角部に保持部24が設けられているので、保持部24を角部以外の部分(辺の中央部)に設けた場合に比べて、保持部24を介して圧電振動が外枠部23に漏れることを抑制することができ、より効率的に振動部22を圧電振動させることができる。また、保持部24を2つ以上設けた場合に比べて、振動部22に作用する応力を低減することができ、そのような応力に起因する圧電振動の周波数シフトを低減して圧電振動の安定性を向上させることができる。
【0041】
第1励振電極221は振動部22の第1主面211側に設けられ、第2励振電極222は振動部22の第2主面212側に設けられている。第1励振電極221,第2励振電極222には、これらの励振電極を外部電極端子に接続するための引出配線(第1引出配線223,第2引出配線224)が接続されている。第1引出配線223は、第1励振電極221から引き出され、保持部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン27に繋がっている。第2引出配線224は、第2励振電極222から引き出され、保持部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン28に繋がっている。このように、保持部24の第1主面211側に第1引出配線223が形成され、保持部24の第2主面212側に第2引出配線224が形成されている。
【0042】
水晶振動板2の両主面(第1主面211,第2主面212)には、水晶振動板2を第1封止部材3および第2封止部材4に接合するための振動側封止部がそれぞれ設けられている。第1主面211の振動側封止部としては、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成されている。また、第2主面212の振動側封止部としては、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成されている。振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252は、外枠部23に設けられており、平面視で環状に形成されている。第1励振電極221,第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
【0043】
また、水晶振動板2には、
図4,5に示すように、第1主面211と第2主面212との間を貫通する5つの貫通孔が形成されている。具体的には、4つの第1貫通孔261は、外枠部23の4隅(角部)の領域にそれぞれ設けられている。第2貫通孔262は、外枠部23であって、振動部22のZ´軸方向の一方側(
図4,5では、+Z´方向側)に設けられている。第1貫通孔261の周囲には、それぞれ接続用接合パターン253が形成されている。また、第2貫通孔262の周囲には、第1主面211側では接続用接合パターン254が、第2主面212側では接続用接合パターン28が形成されている。
【0044】
第1貫通孔261および第2貫通孔262には、第1主面211と第2主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、貫通孔それぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第1貫通孔261および第2貫通孔262それぞれの中央部分は、第1主面211と第2主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。
【0045】
水晶振動板2において、第1励振電極221、第2励振電極222、第1引出配線223,第2引出配線224、第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、および接続用接合パターン253,254,27,28は、同一のプロセスで形成することができる。具体的には、これらは、水晶振動板2の両主面211,212上に物理的気相成長させて形成された下地膜と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された接合膜とから形成することができる。なお、本実施の形態では、下地膜には、Ti(もしくはCr)が用いられ、接合膜にはAuが用いられている。
【0046】
第1封止部材3は、
図2,3に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第1封止部材3の第2主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
【0047】
第1封止部材3の第1主面311(ICチップ5を搭載する面)には、
図2に示すように、発振回路素子であるICチップ5を搭載する搭載パッドを含む6つの電極パターン37が形成されている。ICチップ5は、金属バンプ(例えばAuバンプ等)38(
図1参照)を用いて電極パターン37に、FCB(Flip Chip Bonding)法により接合される。
【0048】
第1封止部材3には、
図2,3に示すように、6つの電極パターン37のそれぞれと接続され、第1主面311と第2主面312との間を貫通する6つの貫通孔が形成されている。具体的には、4つの第3貫通孔322が、第1封止部材3の4隅(角部)の領域に設けられている。第4,第5貫通孔323,324は、
図2,3のA2方向およびA1方向にそれぞれ設けられている。なお、
図2,3,6,7のA1およびA2方向は、
図4,5の−Z´方向および+Z´方向にそれぞれ一致し、
図2,3,6,7のB1およびB2方向は、
図4,5の−X方向および+X方向にそれぞれ一致する。
【0049】
第3貫通孔322および第4,第5貫通孔323,324には、第1主面311と第2主面312とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、貫通孔それぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第3貫通孔322および第4,第5貫通孔323,324それぞれの中央部分は、第1主面311と第2主面312との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。
【0050】
第1封止部材3の第2主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部としての封止側第1接合パターン321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、平面視で環状に形成されている。
【0051】
また、第1封止部材3の第2主面312では、第3貫通孔322の周囲には、それぞれ接続用接合パターン34が形成されている。第4貫通孔323の周囲には接続用接合パターン351が、第5貫通孔324の周囲には接続用接合パターン352が形成されている。さらに、接続用接合パターン351に対して第1封止部材3の長軸方向の反対側(A2方向側)には接続用接合パターン353が形成されており、接続用接合パターン351と接続用接合パターン353とは配線パターン33によって接続されている。尚、接続用接合パターン353は、接続用接合パターン352とは接続されていない。
【0052】
第1封止部材3において、封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン34,351〜353、および配線パターン33は、同一のプロセスで形成することができる。具体的には、これらは、第1封止部材3の第2主面312上に物理的気相成長させて形成された下地膜と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された接合膜とから形成することができる。なお、本実施の形態では、下地膜には、Ti(もしくはCr)が用いられ、接合膜にはAuが用いられている。
【0053】
第2封止部材4は、
図6,7に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第2封止部材4の第1主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
【0054】
この第2封止部材4の第1主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部としての封止側第2接合パターン421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、平面視で環状に形成されている。
【0055】
第2封止部材4の第2主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する4つの外部電極端子43が設けられている。外部電極端子43は、第2封止部材4の4隅(角部)にそれぞれ位置する。
【0056】
第2封止部材4には、
図6,7に示すように、第1主面411と第2主面412との間を貫通する4つの貫通孔が形成されている。具体的には、4つの第6貫通孔44は、第2封止部材4の4隅(角部)の領域に設けられている。第6貫通孔44には、第1主面411と第2主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、貫通孔それぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第6貫通孔44それぞれの中央部分は、第1主面411と第2主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。また、第2封止部材4の第1主面411では、第6貫通孔44の周囲には、それぞれ接続用接合パターン45が形成されている。
【0057】
第2封止部材4において、封止側第2接合パターン421、および接続用接合パターン45は、同一のプロセスで形成することができる。具体的には、これらは、第2封止部材4の第1主面411上に物理的気相成長させて形成された下地膜と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された接合膜とから形成することができる。なお、本実施の形態では、下地膜には、Ti(もしくはCr)が用いられ、接合膜にはAuが用いられている。
【0058】
上記の水晶振動板2、第1封止部材3、および第2封止部材4を含む水晶発振器101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251および封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252および封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、
図1に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、パッケージ12の内部空間、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。
【0059】
この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。そして、接続用接合パターン同士の接合により、水晶発振器101では、第1励振電極221、第2励振電極222、ICチップ5および外部電極端子43の電気的導通が得られるようになっている。
【0060】
具体的には、第1励振電極221は、第1引出配線223、接続用接合パターン27と接続用接合パターン353との接合部、配線パターン33、接続用接合パターン351、第4貫通孔323内の貫通電極、および電極パターン37を順に経由して、ICチップ5に接続される。第2励振電極222は、第2引出配線224、接続用接合パターン28、第2貫通孔262内の貫通電極、接続用接合パターン254と接続用接合パターン352との接合部、第5貫通孔324内の貫通電極、および電極パターン37を順に経由して、ICチップ5に接続される。また、ICチップ5は、電極パターン37、第3貫通孔322内の貫通電極、接続用接合パターン34と接続用接合パターン253との接合部、第1貫通孔261内の貫通電極、接続用接合パターン253と接続用接合パターン45との接合部、および第6貫通孔44内の貫通電極を順に経由して、外部電極端子43に接続される。
【0061】
以上が本実施の形態にかかる水晶発振器101の基本構造であるが、本発明における特徴点は、水晶振動板2において、外枠部23と保持部24との厚みの違いにより生じる段差部の形状と、該段差部に形成される引出配線の位置関係とにある。これより、この特徴点について詳細に説明する。
【0062】
図8は、水晶振動板2において、水晶板へのエッチング工程が施された直後(電極や配線が形成される前)の状態を示す図であり、(a)は第1主面211側の平面図、(b)は第2主面212側の平面図である。尚、
図8に示す例では、振動部の中央にメサ構造を形成しない場合を例示しており、矩形状の水晶板に対し、外形形成エッチングおよび周波数調整エッチングの2回のエッチング処理が行われるものとする。
【0063】
外形形成エッチングでは、矩形状の水晶板に切り抜き部を形成し、振動部22、外枠部23および保持部24の外形形状を形成する。また、水晶振動板2における貫通孔も外形形成エッチングにおいて形成される。
【0064】
周波数調整エッチングは、水晶振動デバイスの発振振動数を所定の値とするために、振動部22および保持部24の厚みを調整するエッチング工程である。
図8では、周波数調整エッチングによるエッチング領域Egを斜線ハッチングにて示している。エッチング領域Egは、振動部22と保持部24の少なくとも一部とを含み、外枠部23よりも厚みが薄くなっている。
【0065】
エッチング領域Egの境界には、水晶板の厚み差による段差が形成される。この時、段差となる境界線がX軸に平行であれば、この段差が水晶板の主面に対して垂直な断面を有する段差となったり、場合によっては、段差の側面が垂直からさらに傾斜し、段差の側面と主面(保持部の主面または外枠部の主面)とのなす角が鋭角となるようなえぐれ形状となることは上述した通りである。また、このような垂直断面の段差やえぐれ形状を有する段差を越えるようにして励振電極からの引出配線を形成すると、この引出配線において断線が生じやすくなることも上述した通りである。
【0066】
そして、本実施の形態では、保持部24は、振動部22の+X方向かつ−Z´方向に位置する1つの角部のみから、−Z´方向に向けて外枠部23まで延びている(突出している)。この場合、保持部24と外枠部23との境界は、外枠部の内周辺のうちX軸と平行な辺上に存在する。したがって、エッチング領域Egの境界を保持部24と外枠部23との境界に合わせると(
図9(a)参照)、上述したように、エッチング領域Egの境界に垂直断面の段差が生じたり(
図9(b)参照)、えぐれ形状を有する段差が生じたりする(
図9(c)参照)。但し、このような垂直断面の段差は、水晶板の結晶異方性により、両主面に生じるのではなく、基本的には一方の主面にしか生じない。すなわち、第1主面211側におけるエッチング領域Egの境界が垂直断面の段差になるとすれば、第2主面212側におけるエッチング領域Egの境界は緩やかな段差になる(
図9(d)参照)。尚、ここでの緩やかな段差とは、段差の側面が傾斜し、段差の側面と主面(保持部の主面または外枠部の主面)とのなす角が鈍角となるような形状を指す。
【0067】
本実施の形態に係る水晶振動板2では、励振電極からの引出配線における断線等を抑制するため、エッチング領域Egの境界形状を工夫した点に特徴がある。しかしながら、このような工夫が必要となるのは、水晶板の一方の主面(ここでは第1主面211)のみであるため、他方の主面(ここでは第2主面212)は、従来のように、エッチング領域Egの境界を保持部24と外枠部23との境界に合わせてもよい(
図8(b)参照)。
【0068】
本発明の特徴である断線抑制対策が施される水晶振動板2の第1主面211では、
図10に示すように、エッチング領域Egの境界を保持部24と外枠部23との境界に合わせることはせず、エッチング領域Egの境界の少なくとも一部を、X軸に平行とならない境界線L1とする。この場合、境界線L1において生じる段差は、垂直断面やえぐれ形状を有する段差とはならず、緩やかな段差になる。そして、第1主面211に形成される第1引出配線223は、境界線L1の少なくとも一部を越えるようにして形成される。
【0069】
これにより、第1引出配線223と重畳する部分の段差の少なくとも一部が、平面視でX軸と平行とならないように形成される。第1引出配線223と重畳する段差のうち、X軸と平行とならない部分では、緩やかな段差の上に第1引出配線223が形成されることになるため、この部分では配線膜厚を十分に確保することができ、第1引出配線223の断線や高抵抗化を抑制することができる。
【0070】
尚、エッチング領域Egの境界の形状は、
図10に示す例に限定されるものではなく、他に様々な形状例が考えられる。エッチング領域Egの境界形状のいくつかの変形例を
図11(a),(b)、
図12(a),(b)および
図13に示す。
【0071】
図10に示す例では、エッチング領域Egの境界は、その全てがX軸に平行とならない境界線L1ではなく、一部にX軸に平行となる境界線L2を含んでいる。しかしながら、
図11(a),(b)および
図13に示すように、エッチング領域Egの境界の全てがX軸に平行とならない境界線L1であってもよい。
【0072】
また、X軸に平行とならない境界線L1は、
図11(a)に示すように平面視で曲線(例えば円弧)であってもよく、
図11(b)、
図12(a),(b)および
図13に示すように平面視で直線であってもよい。但し、境界線L1は直線とした方が、緩やかな段差部分を長く形成することができるため、第1引出配線223と重畳する段差の少なくとも一部は、段差上での第1引出配線223の断線等をより効果的に抑制するために直線部分として形成されていることが好ましい。
【0073】
また、直線として形成される境界線L1は、
図12(a),(b)に示すように、平面視でX軸と直交するように形成されていることが好ましい。これは、上記段差は平面視でX軸と直交する角度に近くなるほど段差が緩やかとなり、X軸と直交するように形成されている箇所で最も緩やかとなるためである。すなわち、第1引出配線223と重畳する段差の少なくとも一部をX軸と直交する直線とすることで、第1引出配線223の断線等をより効果的に抑制することができる。
【0074】
尚、第1引出配線223と重畳する段差に直線部分を設ける場合、この直線部分の長さW1は第1引出配線223の線幅W2の半分以上とすることが好ましい(
図12(b)参照)。さらには、第1引出配線223と重畳する段差に直線部分を設ける場合、この直線部分の長さは第1引出配線223の線幅以上とすることが好ましい(
図11(b)、
図12(a)参照)。すなわち、第1引出配線223の線幅に対して、上記直線部分の長さを長くするほど、第1引出配線223の断線等をより効果的に抑制することができる。
【0075】
また、
図10、
図11(a),(b)および
図12(a),(b)の例では、エッチング領域Egの境界(すなわち段差)は、保持部24と外枠部23との境界よりも外枠部23側に形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、
図13に示すように、エッチング領域Egの境界は、保持部24と外枠部23との境界よりも保持部24側に形成されていてもよい。但し、段差が保持部24側に形成される場合には、該段差において+X側の境界に上述したえぐれ形状の断面が生じやすくなるため、これを防止するためには、エッチング領域Egの境界は外枠部23側に形成されることが好ましい。
【0076】
また、エッチング領域Egの境界(すなわち段差)を、保持部24と外枠部23との境界よりも外枠部23側に形成する場合、エッチング領域Egは外枠部23の一部に入り込んで形成される入り込み部を有する。そして、この入り込み部における−X側の始点Pは、
図10に示すように、保持部24と外枠部23との接続域Rの内側に形成される構成とすることができる。この構成では、入り込み部の面積が抑制されることで、外枠部23における封止部材(第1封止部材3、第2封止部材4)との接合面積を確保できる。これにより、水晶振動デバイス(例えば、水晶発振器101)においての接合強度および封止性の低下を抑制できる。
【0077】
また、外枠部23に上記入り込み部が形成される場合、始点Pが、保持部24の−X側の辺の延長線上に形成されていると、周波数調整エッチングの際に保持部24と外枠部23との接続部に窪みが発生することが本願発明者によって見出された。このような窪みが発生すると、保持部24と外枠部23との接続部において該窪みが応力集中点となり、水晶振動デバイスの耐衝撃性が低下する。
図10に示すように、始点Pを保持部24と外枠部23との接続域Rの内側に形成する構成では、上記窪みの発生が回避でき、その結果、水晶振動デバイスにおける耐衝撃性の低下を防止できる。
【0078】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。