【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例(発明例)及び比較例に基づいて説明するが、本発明がこれらにより限定されて解釈されるものではない。実施例及び比較例における各成分の分析はガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製、製品名GC−2014)を用い、分析カラムとしてジーエルサイエンス株式会社製TC―WAX(長さ30m、直径0.53mm、膜厚1.00μm)を用いた。実施例および比較例の結果を表1、表2に示す。
【0026】
THP(東京化成工業株式会社製)を蒸留して得られたTHPを以下、「未精製THP(1)」と呼ぶ。未精製THP(1)では、ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHP成分が209ppm、5HP成分が22ppm検出された。また、DHPを原料・中間体とする従来公知の製造プロセスにより製造された未精製のTHPを想定して、この未精製THP(1)とDHP(東京化成工業株式会社製)を重量比でおよそ99.8:0.2となるように混合して得られたTHPを以下、「未精製THP(2)」と呼ぶ。未精製THP(2)では、ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPが2028ppm、5HPが3ppm検出された。
【0027】
[実施例1]
精製工程1
容量200mLのガラス製四ツ口フラスコに、未精製THP(1)160mLと、4.0%塩酸水溶液40mLを入れ混合した。4.0%塩酸水溶液は、35%塩酸(日本軽金属株式会社製)を希釈することにより調製した。この混合物を40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。
撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。この段階での油層中のDHP量及び5HP量を測定するために、ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは6ppm、5HPは130ppm検出された。
【0028】
精製工程2
前記精製工程1で分離した油層へ4.0%塩酸水溶液40mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは2ppm、5HPは135ppm検出された。
【0029】
精製工程3
前記精製工程2で分離した油層へ4.0%塩酸水溶液40mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは2ppm、5HPは82ppm検出された。
精製工程4
前記精製工程3で分離した油層へ5.0%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。5.0%亜硫酸水素ナトリウム水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬工業)を純水へ溶解させることにより調製した。撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは1ppm、5HPは3ppm検出された。
【0030】
[実施例2]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ0.8%塩酸水溶液40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。0.8%塩酸水溶液は、35%塩酸(日本軽金属株式会社製)を希釈することにより調製した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では13ppm、177ppm、精製工程2では3ppm、47ppm、精製工程3では5ppm、104ppm、精製工程4では1ppm、5ppm検出された。
【0031】
[実施例3]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ0.8%硫酸水溶液40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。0.8%硫酸水溶液は、95%硫酸(和光純薬工業株式会社製)を希釈することにより調製した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では69ppm、116ppm、精製工程2では11ppm、105ppm、精製工程3では3ppm、74ppm、精製工程4では1ppm、3ppm検出された。
【0032】
[実施例4]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2,3で、それぞれ0.8%硝酸水溶液40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。0.8%硝酸水溶液は、69%硝酸(和光純薬工業株式会社製)を希釈することにより調製した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では28ppm、85ppm、精製工程2では7ppm、89ppm、精製工程3では18ppm、130ppm、精製工程4では1ppm未満、5ppm検出された。
【0033】
[実施例5]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれイオン交換樹脂アンバーリスト(Amberlyst(登録商標)15 Hydrogen form)(ALDRICH社製)2.0gを加え、30分後に純水40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では34ppm、50ppm、精製工程2では6ppm、86ppm、精製工程3では7ppm、91ppm、精製工程4では1ppm、8ppm検出された。
【0034】
[実施例6]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ粘土鉱物モンモリロナイトK10(ALDRICH社製)2.0gを加え、30分後に純水40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では22ppm、123ppm、精製工程2では14ppm、87ppm、精製工程3では11ppm、2ppm、精製工程4では8ppm、10ppm検出された。
【0035】
[実施例7]
容量50mLのガラス製摺り付き試験管に、未精製THP(2)5mLと、0.8%塩酸水溶液5mLを入れ混合した。この混合物を40℃から50℃で30分間、攪拌子を用いて1000rpmで撹拌した。その他は実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では85ppm、987ppm、精製工程2では62ppm、626ppm、精製工程3では35ppm、346ppm検出された。
【0036】
[実施例8]
0.8%塩酸水溶液5mLの代わりに、精製工程1、2で塩化アルミニウム(日本軽金属株式会社製)50mgを加え、また、攪拌開始10分後に純水5mLを加えた以外は、実施例7と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では56ppm、48ppm、精製工程2では52ppm、32ppm検出された。
【0037】
[実施例9]
容量1000mLのガラス製四ツ口フラスコに、未精製THP(2)300mLと、0.8%塩酸水溶液300mLを入れ混合した。この混合物を40℃から50℃で30分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では109ppm、1007ppm、精製工程2では46ppm、599ppm、精製工程3では26ppm、336ppm検出された。
引き続いて簡易な蒸留を行ったところ、DHPが51ppm、5HPが1ppm未満である精製THPが91g得られた。
【0038】
[比較例1]
未精製THP(1)140mLへ5.0%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。すなわち精製工程4のみを行った。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程後に209ppm、3ppm検出された。
【0039】
[比較例2]
0.8%塩酸水溶液5mLの代わりに、精製工程1、2で、それぞれ純水5mLを加えた以外は、実施例7と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では2116ppm、5ppm、精製工程2では2262ppm、3ppm検出された。
【0040】
[比較例3]
0.8%塩酸水溶液5mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ0.1%塩酸水溶液5mLを加えた以外は、実施例7と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では966ppm、595ppm、精製工程2では378ppm、717ppm、精製工程3では136ppm、483ppm検出された。
【0041】
実施例1、2及び7により、様々な酸濃度において本発明の効果があることが示された。一方で酸濃度が低い場合、例えば0.1%塩酸ではDHP及び5HPの低減効果が低い(比較例3)。
【0042】
実施例3及び4により、様々な酸によりDHP及び5HPの低減効果があることが明らかとなった。
【0043】
実施例5、6及び8により、固体酸を用いた場合においても同様の不純物DHPの低減効果があった。
【0044】
実施例9により、5HPを多く含む処理後のTHPの蒸留によっても5HPの低減が可能で、請求項1及び2に記載のDHPを製造可能であった。DHP含有量は増加したが、100ppm未満を維持していた。
【0045】
比較例1により、亜硫酸水素ナトリウム水溶液単独による処理ではDHPの低減効果はないことが明らかとなった。
【0046】
比較例2により、水単独による処理ではDHP及び5HPの低減効果はないことが明らかとなった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1の結果を見ると、DHP含有量が1ppm未満の場合もあるが、本発明の1ppm以上、且つ100ppm未満であることを特徴とするテトラヒドロピランが得られたことが確認された。また、同様に、5HP含有量が1ppm以上、且つ100ppm未満であることを特徴とするテトラヒドロピランが得られたことが確認された。