特許第6794940号(P6794940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794940テトラヒドロピランおよびテトラヒドロピランの精製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794940
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】テトラヒドロピランおよびテトラヒドロピランの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 309/04 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   C07D309/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-125266(P2017-125266)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-6724(P2019-6724A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】野島 晋
(72)【発明者】
【氏名】谷川 潤彦
(72)【発明者】
【氏名】杉山 幸宏
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−089694(JP,A)
【文献】 特開平11−209360(JP,A)
【文献】 特開昭61−200979(JP,A)
【文献】 Organic Synthesis,John Wiley & Sons, Inc.,1955年,Coll. Vol. 3,pp. 794-795
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D309/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3,4−ジヒドロ−2H−ピランに水素添加して得られた未精製のテトラヒドロピランに酸触媒、または酸触媒および水を添加して混合溶液を得る工程、
前記混合溶液を静置するか、または攪拌後静置する工程、そして
前記静置後の分離した油層を回収する工程
を有することを特徴とするテトラヒドロピランの精製方法。
【請求項2】
前記酸触媒が、酸水溶液または固体酸であることを特徴とする請求項1に記載のテトラヒドロピランの精製方法。
【請求項3】
前記酸水溶液が、塩酸、硫酸、または硝酸から選ばれる酸水溶液であることを特徴とする請求項2に記載のテトラヒドロピランの精製方法。
【請求項4】
前記固体酸が、金属塩化物、イオン交換樹脂、粘土鉱物またはゼオライトから選ばれることを特徴とする請求項2に記載のテトラヒドロピランの精製方法。
【請求項5】
前記分離した油層に、酸触媒を添加して、混合し、再度分離した油層を回収する一連の工程を複数回繰り返すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラヒドロピランの精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(以下、「DHP」ともいう)含有量の少ないテトラヒドロピラン(以下、「THP」ともいう)の製造方法及び該製造方法で製造されるTHPに関する。本発明により製造されたTHPは、溶剤として有用であり、不純物のDHP及び5−ヒドロキシペンタナール(以下、「5HP」ともいう)が低減されているために、THPを用いる様々な反応において収率向上や不純物低減などの効果が期待される。
【背景技術】
【0002】
THPは、類似溶媒のTHF(テトラヒドロフラン)よりも過酸化物が生成しにくい特長があり、安全面からTHF溶媒の代替溶媒として用いられることが期待される(非特許文献1、2)。またTHPは各種ルイス酸に対する安定性も高い。THPは各種ルイス酸を溶解させることができ、塩化アルミニウムはTHPに溶解して、均一溶液となることが報告されている(非特許文献3)。
【0003】
DHPの水素添加反応によるTHP合成は1940年代には報告がなされている(非特許文献4、5、6)。ラネーニッケル触媒を用いた液相反応で、ほぼ定量的にTHPが得られるとの記載がある。しかしながら、DHPを原料または中間体とするプロセスでは一般的に、得られたTHPに原料や中間体であるDHPが含まれることを避けることが出来ない。DHPの沸点は86℃であり、THPの沸点88℃と近いため、蒸留により分離することは困難である。
【0004】
THFA(テトラヒドロフルフリルアルコール)を原料に用いた、気相反応によるTHP合成法が近年に報告されている(非特許文献7)。パラジウム担持触媒によりTHPが23.0%得られている。DHPを中間体とする反応経路が推定されており、DHPも同時に16.7%得られている。
THPは1,5−ペンタンジオールの脱水縮合反応によっても製造され、酸触媒を用いた液相反応系の報告が多数ある。DHPを経由しない反応経路であるため得られたTHP組成物にDHPが含有されないことが想定される。一方で、原料の1,5−ペンタンジオールが比較的高価であるためにコスト面の問題を有している。(特許文献1)
【0005】
アクロレインとアルキルビニルエーテルにより3,4−ジヒドロ−2−アルコキシ−2H−ピラン化合物あるいはテトラヒドロ−2−アルコキシ−2H−ピランを製造し、THPを製造する経路も報告されている(特許文献2)。
【0006】
DHPがTHP中に不純物成分として存在することは、多くの化学反応において好ましくない。特に目標収率・反応条件に厳しい医薬品・有機機能薬品の製造プロセスにおいては、不純物DHPにより収率低下の懸念がある。DHPは水酸基の保護試薬などに利用されるため、用いた基質のアルコール基と反応してしまう可能性が高い。THPは溶媒として利用されるため、不純物DHPの濃度はより重要となる。これは、溶媒として用いる際には不純物DHPも多量に系中に入ることとなり、DHPと基質が選択的に反応してしまう場合に、より影響が大きくなるためである。
【0007】
5−ヒドロキシペンタナール(5HP)も、THP中に不純物成分として存在する。DHP同様、THP中の5HPの存在は、多くの化学反応において好ましくない。5HPはDHPへの加水反応により生成することが想定され、DHPと同様にアルコールと反応するとされている。5HPは環状ヘミアセタールである2−ヒドロキシテトラヒドロピランと平衡にあり、大半は2−ヒドロキシテトラヒドロピランとして存在していると想定される(以下、本明細書では、環状ヘミアセタールも併せて5HPとして扱う)。5HPは沸点がTHPと比較して高く、蒸留による分離が可能である。しかしながらその場合には、5HPからの脱水反応によるDHP生成反応が一部進行する。そのため、DHP含有量をより小さく維持するためには、蒸留前に5HP含有量を低減しておくことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−209360号公報
【特許文献2】特開2006−188492号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Org. Biomol. Chem. 2015, 13, 4686-4692.
【非特許文献2】Tetrahedron Lett. 2008, 49, 367-370.
【非特許文献3】石油化学討論会(2006)発表要旨 2C10
【非特許文献4】Organic Syntheses, Coll. Vol. 3, p 794 (1955); Vol. 23, p.90 (1943)
【非特許文献5】溶剤ハンドブック、講談社サイエンティフィック
【非特許文献6】J. Chem. Soc. 1928, 1937-1942.
【非特許文献7】Appl. Catal. A 2013, 453, 213-218.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来からあるDHPを原料または中間体とするTHP製造プロセスでは、反応生成物のTHPから未反応のDHP残分を十分に分離できず、高純度なTHPを得ることができていなかった。特許文献1に記載の、1,5−ペンタンジオールの脱水環化反応により製造されるTHPは、原理的にDHPを含まないため不純物DHPの問題は無いが、前述のようにコスト面で課題がある。そこで、本発明者らは、DHPを原料または中間体とするTHP製造プロセスにおいて、本発明の精製方法により、不純物であるDHPの含有量を従来よりも低減したTHPを、安価で簡便に精製できる方法を見出した。
【0011】
すなわち、本発明の方法は、DHPを原料または中間体とするTHP製造プロセスにおける、反応生成物のTHPを、酸触媒、または酸触媒および水を用いて精製処理することにより、THP中のDHPを低減する方法である。これまでにTHP中のDHPに着目し、酸処理によりDHPの低減を試みた報告はなされていない。
【0012】
THPは水に対する溶解度が大きいため、一般的には水溶液との混合を精製工程に含むことは考えない。しかしながら、水溶液と混合して、酸処理後に分離した油層中のTHPは水を含むが、続いて蒸留工程を行うことにより、共沸により容易にTHPから水を留去することが可能である。このように、本発明では、通常は水に対する溶解度の大きい有機溶媒の精製方法としては選択されない水溶液との混合・接触を行うことより、安価に簡便に高品位なTHPを提供可能となった。
【0013】
さらに、本発明においては、脱水反応によりDHPと成る5HPを同時に除去・分離することによって、高品位なTHPを提供可能である。
【0014】
すなわち、本発明の目的は、DHPを原料・中間体とする従来公知の安価で簡便な製造プロセスにより製造されたTHPに存在していた不純物問題を解決し、より付加価値の高いTHPを提供することである。本発明により、安価で高品位なTHPを提供することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明の要旨は、酸触媒、または酸触媒および水とTHPとを接触させることによる、不純物DHP含有量が少ないTHPの精製方法である。
【発明の効果】
【0016】
DHPを原料または中間体とする、従来公知の安価で簡便な製造プロセスにより製造されたTHPには、特に不純物DHPの課題が存在していた。本発明の方法によれば、この課題を解決し、より付加価値の高いTHPを提供することができる。なお、本発明は、酸触媒として、精製したTHPと容易に分離可能である安価な酸水溶液または固体酸を用いるものであり、有機物を用いるような精製手法と比較して、対コンタミネーションやコストの面から好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の具体的内容について詳しく説明する。
本発明は、不純物DHP含有量の少ないTHPの精製方法及び該精製方法で製造されたTHPである。本発明の方法による不純物DHP含有量の少ないTHPの精製は、酸触媒によるTHPの処理により実施される。
【0018】
本発明でのDHP低減時に使用される未精製THPは、従来公知の方法で製造することができる。例えば、THFAの脱水反応により製造されたDHPを用いた液相水素添加反応により製造することができる。DHPを原料または中間体とした製造プロセスを想定しているが、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明の精製方法において使用することができる酸触媒としては、各種ブレンステッド酸及びルイス酸を酸水溶液として用いることができる。特に塩酸、硫酸、硝酸の他、亜硫酸水素ナトリウム、りん酸、アルカンースルホン酸、塩化鉄又はこれらの混合物を酸水溶液として用いることができる。分離の面からTHPに溶解しにくい無機酸であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0020】
また、本発明に用いる酸水溶液は任意の濃度で用いることができる。好ましくは0.1〜35%とすることがよい。0.1%未満では、不純物のDHPの除去に時間がかかることが想定され好ましくない。また、酸濃度が大きい場合、THPと混和するため好ましくない。さらに好ましくは0.1〜5%の範囲である。
【0021】
また酸触媒として、固体酸を用いることも可能である。本発明の精製方法において使用することができる固体酸としては、塩化アルミニウム、イオン交換樹脂、粘土鉱物、ゼオライトが挙げられる。特に好ましい固体酸は、イオン交換樹脂である。固体酸を用いる場合は、水と一緒に用いる。
【0022】
本発明の精製方法を実施する温度範囲には、特に制限はなく、様々な温度で行うことができる。温度により効果が十分に出る反応時間が異なるが、DHP低減反応は室温から50℃の範囲においては十分に進行する。通常室温から50℃程度の範囲で行うのが好ましい。
【0023】
本発明の精製方法を実施する反応時間に特に制限はなく、様々な反応時間で行うことができる。例えば、反応時間は、対象となる未精製THPの量、添加する酸水溶液の濃度及び量に応じて、様々に変わることができる。
【0024】
DHP低減のメカニズムとしては、DHPが酸触媒および水との反応により開環し、5HPなどの、DHPと比較して高沸点及び親水性化合物へと変換されると推定している。変換後の化合物は、その特性から水層へと主に分配し、液液分離によってTHPから除かれる。変換後の化合物とDHPとは本発明の精製方法の系においては平衡にあると考えられ、十分な時間反応を行っても、DHP含有量はそれ以上低減されない。したがって、残存したDHPをさらに低減するためには、精製の程度に応じて精製工程を複数回行うことが必要となる場合がある。5HPは環状ヘミアセタールである2−ヒドロキシテトラヒドロピランと平衡状態にあり、大半は2−ヒドロキシテトラヒドロピランとして存在していると想定されるが、本特許では合わせて5HPとして扱う。5HPは、上記液液分離の他、蒸留や、亜硫酸水素ナトリウムとの反応により除去が可能である。蒸留による分離の場合には、5HPからの脱水反応によりDHPが生成するため、DHP含有量をより小さく維持するためには、蒸留前に5HP含有量を低減しておくことが望ましい。DHP含有量の低減に関する、従来技術において5HP及び平衡状態にある環状ヘミアセタール含有量を低減することに関する文献はない。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例(発明例)及び比較例に基づいて説明するが、本発明がこれらにより限定されて解釈されるものではない。実施例及び比較例における各成分の分析はガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製、製品名GC−2014)を用い、分析カラムとしてジーエルサイエンス株式会社製TC―WAX(長さ30m、直径0.53mm、膜厚1.00μm)を用いた。実施例および比較例の結果を表1、表2に示す。
【0026】
THP(東京化成工業株式会社製)を蒸留して得られたTHPを以下、「未精製THP(1)」と呼ぶ。未精製THP(1)では、ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHP成分が209ppm、5HP成分が22ppm検出された。また、DHPを原料・中間体とする従来公知の製造プロセスにより製造された未精製のTHPを想定して、この未精製THP(1)とDHP(東京化成工業株式会社製)を重量比でおよそ99.8:0.2となるように混合して得られたTHPを以下、「未精製THP(2)」と呼ぶ。未精製THP(2)では、ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPが2028ppm、5HPが3ppm検出された。
【0027】
[実施例1]
精製工程1
容量200mLのガラス製四ツ口フラスコに、未精製THP(1)160mLと、4.0%塩酸水溶液40mLを入れ混合した。4.0%塩酸水溶液は、35%塩酸(日本軽金属株式会社製)を希釈することにより調製した。この混合物を40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。
撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。この段階での油層中のDHP量及び5HP量を測定するために、ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは6ppm、5HPは130ppm検出された。
【0028】
精製工程2
前記精製工程1で分離した油層へ4.0%塩酸水溶液40mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは2ppm、5HPは135ppm検出された。
【0029】
精製工程3
前記精製工程2で分離した油層へ4.0%塩酸水溶液40mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは2ppm、5HPは82ppm検出された。
精製工程4
前記精製工程3で分離した油層へ5.0%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。5.0%亜硫酸水素ナトリウム水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬工業)を純水へ溶解させることにより調製した。撹拌後の混合液を静置し、分層後に、上層の油層と下層の水層とを分離した。ガスクロマトグラフによる油層の分析を行った。ガスクロマトグラム上における面積比率で、DHPは1ppm、5HPは3ppm検出された。
【0030】
[実施例2]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ0.8%塩酸水溶液40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。0.8%塩酸水溶液は、35%塩酸(日本軽金属株式会社製)を希釈することにより調製した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では13ppm、177ppm、精製工程2では3ppm、47ppm、精製工程3では5ppm、104ppm、精製工程4では1ppm、5ppm検出された。
【0031】
[実施例3]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ0.8%硫酸水溶液40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。0.8%硫酸水溶液は、95%硫酸(和光純薬工業株式会社製)を希釈することにより調製した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では69ppm、116ppm、精製工程2では11ppm、105ppm、精製工程3では3ppm、74ppm、精製工程4では1ppm、3ppm検出された。
【0032】
[実施例4]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2,3で、それぞれ0.8%硝酸水溶液40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。0.8%硝酸水溶液は、69%硝酸(和光純薬工業株式会社製)を希釈することにより調製した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では28ppm、85ppm、精製工程2では7ppm、89ppm、精製工程3では18ppm、130ppm、精製工程4では1ppm未満、5ppm検出された。
【0033】
[実施例5]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれイオン交換樹脂アンバーリスト(Amberlyst(登録商標)15 Hydrogen form)(ALDRICH社製)2.0gを加え、30分後に純水40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では34ppm、50ppm、精製工程2では6ppm、86ppm、精製工程3では7ppm、91ppm、精製工程4では1ppm、8ppm検出された。
【0034】
[実施例6]
4.0%塩酸水溶液40mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ粘土鉱物モンモリロナイトK10(ALDRICH社製)2.0gを加え、30分後に純水40mLを加えた以外は、実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では22ppm、123ppm、精製工程2では14ppm、87ppm、精製工程3では11ppm、2ppm、精製工程4では8ppm、10ppm検出された。
【0035】
[実施例7]
容量50mLのガラス製摺り付き試験管に、未精製THP(2)5mLと、0.8%塩酸水溶液5mLを入れ混合した。この混合物を40℃から50℃で30分間、攪拌子を用いて1000rpmで撹拌した。その他は実施例1と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では85ppm、987ppm、精製工程2では62ppm、626ppm、精製工程3では35ppm、346ppm検出された。
【0036】
[実施例8]
0.8%塩酸水溶液5mLの代わりに、精製工程1、2で塩化アルミニウム(日本軽金属株式会社製)50mgを加え、また、攪拌開始10分後に純水5mLを加えた以外は、実施例7と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では56ppm、48ppm、精製工程2では52ppm、32ppm検出された。
【0037】
[実施例9]
容量1000mLのガラス製四ツ口フラスコに、未精製THP(2)300mLと、0.8%塩酸水溶液300mLを入れ混合した。この混合物を40℃から50℃で30分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では109ppm、1007ppm、精製工程2では46ppm、599ppm、精製工程3では26ppm、336ppm検出された。
引き続いて簡易な蒸留を行ったところ、DHPが51ppm、5HPが1ppm未満である精製THPが91g得られた。
【0038】
[比較例1]
未精製THP(1)140mLへ5.0%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20mLを加え、40℃から50℃で60分間、攪拌翼を用いて300rpmで撹拌した。すなわち精製工程4のみを行った。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程後に209ppm、3ppm検出された。
【0039】
[比較例2]
0.8%塩酸水溶液5mLの代わりに、精製工程1、2で、それぞれ純水5mLを加えた以外は、実施例7と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では2116ppm、5ppm、精製工程2では2262ppm、3ppm検出された。
【0040】
[比較例3]
0.8%塩酸水溶液5mLの代わりに、精製工程1、2、3で、それぞれ0.1%塩酸水溶液5mLを加えた以外は、実施例7と同様の操作で各精製工程を実施した。DHP、5HPは、ガスクロマトグラム上における面積比率でそれぞれ、精製工程1では966ppm、595ppm、精製工程2では378ppm、717ppm、精製工程3では136ppm、483ppm検出された。
【0041】
実施例1、2及び7により、様々な酸濃度において本発明の効果があることが示された。一方で酸濃度が低い場合、例えば0.1%塩酸ではDHP及び5HPの低減効果が低い(比較例3)。
【0042】
実施例3及び4により、様々な酸によりDHP及び5HPの低減効果があることが明らかとなった。
【0043】
実施例5、6及び8により、固体酸を用いた場合においても同様の不純物DHPの低減効果があった。
【0044】
実施例9により、5HPを多く含む処理後のTHPの蒸留によっても5HPの低減が可能で、請求項1及び2に記載のDHPを製造可能であった。DHP含有量は増加したが、100ppm未満を維持していた。
【0045】
比較例1により、亜硫酸水素ナトリウム水溶液単独による処理ではDHPの低減効果はないことが明らかとなった。
【0046】
比較例2により、水単独による処理ではDHP及び5HPの低減効果はないことが明らかとなった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1の結果を見ると、DHP含有量が1ppm未満の場合もあるが、本発明の1ppm以上、且つ100ppm未満であることを特徴とするテトラヒドロピランが得られたことが確認された。また、同様に、5HP含有量が1ppm以上、且つ100ppm未満であることを特徴とするテトラヒドロピランが得られたことが確認された。