(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態を以下に示す。
フード部内には、相手側の雌側ハウジングが嵌合可能とされており、前記長辺部の内面には、前記雌側ハウジングの誤嵌合防止凹部に嵌合される誤嵌合防止凸部が設けられており、前記長辺部は、前記誤嵌合防止凸部と前記凸部とが長辺方向において互いに重なり合う厚肉部を有しているとよい。これによれば、長辺部の強度を高めることができ、長辺部が湾曲変形するのを未然に防止することができる。
【0013】
前記複数の凸部は、一対の前記長辺部のそれぞれに前記長辺方向に関して非対称に配置されているとよい。これによれば、ムービングプレートに方向識別性が付与されるため、ムービングプレートがフード部内に誤った姿勢で組み付けられるのを防止することができる。
【0014】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1を
図1〜
図10に基づいて説明する。本実施例1のコネクタは、互いに嵌合可能な雌側コネクタ70及び雄側コネクタ10によって構成される。雌側コネクタ70は、雌側ハウジング71及び複数の雌側端子金具72を備えている。雄側コネクタ10は、雄側ハウジング11、ムービングプレート12、レバー13及び複数の雄側端子金具14を備えている。なお、以下の説明において前後方向については、両コネクタ10、70が嵌合開始時に互いに向き合う面側を前側とし、上下方向については
図5及び
図10を除く各図を基準とする。
【0015】
雌側ハウジング71は合成樹脂製であって、
図9に示すように、枠部73と、複数の雌側サブハウジング74とを有している。
図7に示すように、枠部73は、上下方向に長い角筒状をなし、上下方向に沿って配置される左右一対の長辺壁部75と、左右方向に沿って配置される上下一対の短辺壁部76とを有している。下側の短辺壁部76における下面の左右一側には、リブ状部77が突出して設けられている。リブ状部77は、前後方向に延びる断面略矩形の形態とされている。
【0016】
枠部73の上下両端部には、ブロック状の雌側端子収容部78が対をなして設けられている。両雌側端子収容部78には、長辺壁部75及び短辺壁部76と一体化し、内部に複数の雌側キャビティ79を有している。また、枠部73の内部には、複数の雌側サブハウジング収容室80が設けられている。各雌側サブハウジング収容室80は、左右方向に長い略矩形の開口形状をなし、両雌側端子収容部78間にて上下方向に並んで配置されている。
【0017】
図9に示すように、各雌側サブハウジング収容室80には、後方から雌側サブハウジング74が挿入されて収容される。各雌側サブハウジング74には、雌側端子収容部78と同様、複数の雌側キャビティ79が設けられている。各雌側サブハウジング74及び両雌側端子収容部78における各雌側キャビティ79には、後方から雌側端子金具72が挿入されて収容される。各雌側端子金具72は、後端部が電線81の端部に接続され、前端部に相手側の雄側端子金具14の雄タブ15を受けて接続可能な箱状(筒状)の接続部82を有している。
【0018】
図7に示すように、各雌側サブハウジング収容室80間及び雌側サブハウジング収容室80と雌側端子収容部78との間は、上下方向に間隔をあけた複数の隔壁83によって区画されている。各隔壁83は、左右方向に延び、左右両端が枠部73の長辺壁部75に一体に連結されている。各雌側サブハウジング収容室80間の隔壁83は、左右方向に沿った平板状の形態になっている。
【0019】
各隔壁83の前端には、断面略矩形に切り欠かれた形態の凹所84が設けられている。各雌側サブハウジング収容室80間の隔壁83に設けられた凹所84は、雌側サブハウジング収容室80と雌側端子収容部78との間の隔壁83に設けられた凹所84よりも前後方向の深さが浅くなっている。また、各隔壁83における凹所84の左右両側には、一対の端壁部85が設けられている。両端壁部85は、それぞれ断面略矩形状をなし、左右方向の内端が凹所84を区画するとともに、左右方向の外端が枠部73の長辺壁部75に一体に連結された形態になっている。
【0020】
両長辺壁部75の外面には、上下方向に間隔をあけて複数の誤嵌合防止凹部86が設けられている。各誤嵌合防止凹部86は、前後方向に延びて長辺壁部75の前端に開口する断面略矩形の溝形状をなし、両長辺壁部75の上下両端部にそれぞれ対をなして配置されている。
【0021】
両長辺壁部75の外面における上下方向略中央部には、一対のカムフォロア87が突出して設けられている。カムフォロア87は、前後方向に長い扁平柱状の形態になっている。
【0022】
雄側ハウジング11は合成樹脂製であって、
図3に示すように、全体として上下方向に長い形状とされている。雄側ハウジング11の両側外面の上下方向略中央部には、一対の支軸16が突出して設けられている。両支軸16には、レバー13が回転可能に支持される。レバー13は合成樹脂製であって詳細は図示しないが門型形状をなし、雄側ハウジング11に跨るように装着される。レバー13が相手側の雌側ハウジング71と係合した状態で支軸16を中心として初期位置から嵌合位置に向けて回動されることにより、両ハウジング11、71の嵌合動作が進行するようになっている。
【0023】
雄側ハウジング11は、雌側ハウジング71と類似する形態の雄側本体部17と、雄側本体部17の外縁から前方に突出するフード部18とを有している。雄側本体部17は、両雌側端子収容部78及び各雌側サブハウジング収容室80と対応する位置に、これらと同様の形態の両雄側端子収容部19及び各雄側サブハウジング収容室20を有している。各雄側サブハウジング収容室20には、後方から雄側サブハウジング21が挿入されて収容される。
図8に示すように、両雄側端子収容部19及び各雄側サブハウジング21に設けられた各雄側キャビティ22には、それぞれ雄側端子金具14が挿入されて収容される。
【0024】
各雄側端子金具14は、各雄側キャビティ22の内壁に係止される筒状の本体部分を有し、本体部分の後方に電線23の端部に接続される部分が連なり、本体部分の前方に雄タブ15が突出する形態になっている。各雄側端子金具14の雄タブ15は、フード部18内に突出して配置されている。両雄側端子収容部19に収容される各雄側端子金具14は、比較的大型の大型雄端子24とされ、各雄側サブハウジング21に収容される各雄側端子金具14は、比較的小型の小型雄端子25とされている。大型雄端子24の雄タブ15は、小型雄端子25の雄タブ15よりもフード部18内への突出量が大きくされている。
【0025】
図3に示すように、フード部18は、上下方向に長い角筒状をなし、上下方向に沿った左右一対の側壁部26と、左右方向に沿った上下一対の上壁部27及び下壁部28とを有している。下壁部28の左右一側には、リブ受部29が設けられている。リブ受部29は、断面略矩形に膨出し、前後方向に延びてフード部18の前端に開口する形態になっている。リブ受部29にリブ状部77が嵌合挿入されることにより、雌側ハウジング71が雄側ハウジング11に正規姿勢で嵌合されるようになっている。
【0026】
両側壁部26の上下方向略中央部には、一対の進入口30が設けられている。両進入口30は、両側壁部26の前端に開口する形態とされ、内部に後述するカム部を受容可能とされている。
【0027】
また、両側壁部26の内面には、複数の凹部31が設けられている。各凹部31は、両側壁部26のそれぞれにおいて、上下方向に間隔をあけて配置され、詳細には、進入口30が設けられた上下方向中央(長辺方向の中央)を挟んだ両側に対をなして配置されている。より詳細には、両側壁部26のうち、一方の側壁部26(
図3の右側の側壁26)に設けられた両凹部31は、上下方向外側の端部寄りの位置に配置され、他方の側壁部26(
図3の左側の側壁26)に設けられた両凹部31は、上下方向外側の端部からやや離れた位置に配置されている。このため、各凹部31は、両側壁部26のそれぞれに左右非対称に配置されることになる。本実施例1の場合、上下で対をなす凹部31は、側壁部26の上下方向中央から互いに等距離の位置に配置される。もっとも、上下で対をなす凹部31は、側壁部26の上下方向中央から互いに異なる距離離れて配置されるものであってもよい。
【0028】
各凹部31は、それぞれ片あり状に形成されている。詳細には、各凹部31は、
図2に示すように、上下方向に沿った奥面32(底面)と、上下方向外側(図中矢印A方向)の端面(側壁部26の上下方向中央から離れた側の端面)であって奥面32と直交する左右方向に沿った水平面33と、側壁部26の上下方向内側(図中矢印B方向)の端面(側壁部26の上下方向中央に近い側の端面)であって奥面32に対して鋭角方向に配置される傾斜面34とで区画されている。言い換えれば、傾斜面34は、側壁部26の内面側から奥面32側に行くにしたがって上下方向中央側へ直線状に傾斜する形態になっている。
【0029】
続いてムービングプレート12について説明する。ムービングプレート12は合成樹脂製であって、
図4及び
図6に示すように、上下方向に沿った略矩形平板状のプレート本体35と、プレート本体35の外周縁から前方に突出する略矩形角筒状の周壁36とを有している。
【0030】
プレート本体35には、複数の挿通孔37が貫通して設けられている。各挿通孔37は、断面略矩形状に開口する形態とされ、内部に、各雄側端子金具14の雄タブ15を位置決め状態で挿通可能とされている。各挿通孔37のうち、各大型雄端子24に対応するものは、幅広の雄タブ15が位置決め挿通可能となるよう左右方向に大きく開口する形態とされている。また、プレート本体35には、各挿通孔37と上下方向で隣接する位置に複数の治具挿通孔38が貫通して設けられている。
図8に示すように、治具挿通孔38は、ランス39と対応する位置に配置され、内部に図示しない治具が挿通される。ランス39は、雄側キャビティ22の内面に突出する形態とされ、雄側端子金具14を弾性的に係止して抜け止めする機能を有し、上記した治具によって雄側端子金具14に対する係止状態が解除される。
図4に示すように、各治具挿通孔38のうち、大径の各挿通孔37に隣接する治具挿通孔38は、幅方向に大きく開口する形態になっている。
【0031】
プレート本体35には、上下二段の各挿通孔37を1つの挿通孔群40とした場合に、上下方向に複数の挿通孔群40が設けられることになる。各挿通孔群40は、相手側の雌側サブハウジング74及び雌側端子収容部78のそれぞれと対応する位置に設けられている。ここで、プレート本体35の前面には、上下方向で隣接する挿通孔群40間を仕切るようにして複数の保護壁41が突出して設けられている。各保護壁41は、左右方向に延びるリブ状の形態とされ、上下方向に一定間隔をあけて互いに平行に配置されている。各保護壁41の左右両端は、周壁36につながらず、周壁36から離間した開放端42とされている。各保護壁41のうち、上端部及び下端部において大径の挿通孔37に隣接する保護壁41は、他の保護壁41(小径の挿通孔37に隣接する保護壁41)よりも突出量が大きく、且つ上下方向の厚みも大きくされている。
【0032】
各保護壁41は、両コネクタ10、70の嵌合時に、雌側ハウジング71の各隔壁83と同じ高さ位置に配置され、各隔壁83と前後方向で連続して配置される。各保護壁41の上下方向の厚みは、対応する隔壁83の上下方向の厚みよりも小さくされている。
【0033】
周壁36は、上下方向に沿って配置される左右一対の長辺部43と、左右方向に沿って配置される上下一対の短辺部44とを有している。下側の短辺部44の左右一側には、リブ逃がし部45が設けられている。
図5に示すように、リブ逃がし部45は、前後方向に延びて短辺部44の前端に開口する形態とされている。雌側ハウジング71のリブ状部77は、リブ逃がし部45を通してフード部18のリブ受部29に嵌合挿入される。
【0034】
両長辺部43の上下方向略中央部には、組み付け時にフード部18の進入口30と連通する一対の導入口46が設けられている。
図4に示すように、両長辺部43の外面には、両導入口46の奥端部と対応する位置にカムピン47が突出して設けられている。両ハウジング11、71の嵌合過程で、雌側ハウジング71のカムフォロア87が導入口46に進入するとともにカムピン47と合体してカム部を構成し、このカム部がフード部18の進入口30を介してレバー13にカム係合することにより、レバー13の回動にムービングプレート12及び雄側ハウジング11が連動するようになっている。
【0035】
両長辺部43の内面には、上下方向に間隔をあけて複数の誤嵌合防止凸部49が設けられている。
図4及び
図6に示すように、各誤嵌合防止凸部49は、前後方向に延びて前端が長辺部43の前端に臨むとともに後端がプレート本体35に連なる断面略矩形のリブ状をなし、両長辺部43の上下両端部にそれぞれ対をなして配置されている。各誤嵌合防止凸部49は、両ハウジング11、71の嵌合時に、雌側ハウジング71の対応する誤嵌合防止凹部86に嵌合挿入される。
【0036】
また、両長辺部43の外面には、複数の凸部50が設けられている。各凸部50は、両長辺部43のそれぞれにおいて、上下方向に間隔をあけて配置され、詳細には、導入口46が設けられた上下方向中央(長辺方向の中央)を挟んだ両側に対をなして配置されている。より詳細には、両長辺部43のうち、一方の長辺部43に設けられた両凸部50は、上下方向外側の端部寄りの位置に配置され、他方の長辺部43に設けられた両凸部50は、上下方向外側の端部からやや離れた位置に配置されている。このため、各凸部50は、両長辺部43のそれぞれに左右非対称に配置されることになる。本実施例1の場合、上下で対をなす凸部50は、長辺部43の上下方向中央から互いに等距離の位置に配置される。もっとも、上下で対をなす凸部50は、長辺部43の上下方向中央から互いに異なる距離離れて配置されるものであってもよい。
【0037】
各凸部50は、それぞれ片あり状に形成されている。詳細には、各凸部50は、
図2に示すように、上下方向に沿った突出端面51(先端面)と、上下方向外側(図中矢印A方向)の端面(長辺部43の上下方向中央から離れた側の端面)であって突出端面51と直交する左右方向に沿った平坦面52と、上下方向内側(図中矢印B方向)の端面(長辺部43の上下方向中央に近い側の端面)であって突出端面51に対して鋭角方向に配置されるオーバーハング面53とで形成されている。言い換えれば、オーバーハング面53は、長辺部43の外面側から突出端面51側に向けて上下方向中央側へ次第に傾斜する形態になっている。
【0038】
図4に示すように、両長辺部43には、上下方向に関して各凸部50と各誤嵌合防止凸部49とが部分的に重なり合うことで厚肉となる厚肉部54が設けられている。厚肉部54は、
図4の左上の凸部50及び誤嵌合防止凸部49を除く3組の凸部50及び誤嵌合防止凸部49と対応する位置に設けられている。
【0039】
次に、本実施例1の作用効果を説明する。
両コネクタ10、70の嵌合に先立ち、雄側ハウジング11のフード部18内にムービングプレート12が組み込まれる。
図8に示すように、ムービングプレート12は、プレート本体35が雄側本体部17の前面から前方に離間する初期位置に配置される。このとき、ムービングプレート12は、フード部18のロック部分に係止されることで初期位置に移動規制状態に保持される。また、各雄側端子金具14の雄タブ15の先端部が、プレート本体35の対応する各挿通孔37に略位置決めされた状態で挿通される。
【0040】
ムービングプレート12が初期位置にあるときに、各雄タブ15の最先端(前端)は、隣接する保護壁41の最先端(前端)より後方に引っ込むように配置される。このため、仮に、両コネクタ10、70の嵌合時に雌側コネクタ70がフード部18に対して傾いた姿勢をとっていても、そのような誤嵌合姿勢の雌側コネクタ70は各保護壁41の最先端と当接することで各雄タブ15の先端と干渉することが実質的になく、各雄タブ15が保護状態に維持される。
【0041】
また、ムービングプレート12が初期位置にあるときには、各雄タブ15の先端部が対応する挿通孔37を貫通してプレート本体35の前方に突出して配置される。このため、ムービングプレート12が初期位置にあるときに、各雄タブ15の先端部の突出部分に、前方から図示しない導通検査用のプローブピンを押し当てて、導通検査を行うことが可能となる。
【0042】
図1に示すように、ムービングプレート12がフード部18内に組み込まれると、周壁36がフード部18の内面に周方向に沿って当接可能(摺接可能)に配置される。詳細には、両長辺部43及び両短辺部44が、それぞれ両側壁部26、上壁部27及び下壁部28に当接可能に配置され、ムービングプレート12がフード部18内で傾くことなく位置決めされた状態になる。
【0043】
また、周壁36の両長辺部43の各凸部50がフード部18の両側壁部26の各凹部31に嵌合状態で挿入される。詳細には、
図2に示すように、凸部50の突出端面51、平坦面52及びオーバーハング面53が、それぞれ各凹部31の奥面32、水平面33及び傾斜面34に対向して当接可能に配置される。
【0044】
ところで、ムービングプレート12は、移動の円滑性を確保するべく軽量化が図られ、全体が薄肉に形成されている。特に、周壁36は上下方向に長い角筒状の形態になっているため、樹脂成形時の冷却過程で、両長辺部43の上下方向中央側が互いに近づくように内向きに湾曲変形し易いという事情がある。しかるに本実施例1の場合、ムービングプレート12がフード部18内に組み込まれ、各凸部50が対応する凹部31に嵌合挿入されることにより、各凸部50のオーバーハング面53が対応する凹部31の傾斜面34に食い込むように当接することになり、両長辺部43の上下方向中央側が内向きに湾曲変形した状態が効果的に矯正される。
【0045】
続いて、両コネクタ10、70の嵌合作業がなされる。嵌合に際し、雌側ハウジング71が、雄側ハウジング11のフード部18内に挿入され、ムービングプレート12のプレート本体35に対面して配置される。すると、
図10に示すように、各隔壁83の凹所84に、対応する保護壁41の略全体が挿入される。保護壁41は、凹所84内において、上下方向に関して雌側サブハウジング74又は雌側端子収容部78との間に少し隙間をあけて配置される一方(
図9を参照)、左右方向に関して開放端42が端壁部85に当接可能に配置されることで位置決めされる。端壁部85は、保護壁41の開放端42と長辺部43との間に左右方向に位置決めされた状態になる。
【0046】
また、各誤嵌合防止凸部49が各誤嵌合防止凹部86に嵌合状態で挿入されるとともに、リブ状部77がリブ逃がし部45を介してリブ受部29に嵌合状態で挿入されることにより、雌側ハウジング71が雄側ハウジング11及びムービングプレート12に対して上下反転した姿勢で誤嵌合される事態が回避される。
【0047】
また、雌側ハウジング71がフード部18内に浅く嵌合されると、カムフォロア87が導入口46及び進入口30を介してカムピン47と合体してカム部を構成するとともに、ムービングプレート12の奥側への移動を規制するロックが解除され、ムービングプレート12が奥側に移動可能な状態になる。
【0048】
次いで、レバー13が回動されると、カム部とレバー13との間にカム機構が発揮され、雌側ハウジング71がムービングプレート12とともにフード部18内の奥側に深く嵌合される。この間、ムービングプレート12の周壁36がフード部18の内面を摺動するとともに、各凸部50が各凹部31の内面を摺動し、ムービングプレート12の移動案内がなされる。こうして両コネクタ10、70が正規に嵌合されると、
図9に示すように、プレート本体35が雄側本体部17にほぼ当接して雄側本体部17と雌側ハウジング71との間に挟まれた状態となり、且つ、各雄側端子金具14の雄タブ15が各雌側端子金具72の接続部82に挿入されて電気的に接続される。
【0049】
以上説明したように、本実施例1によれば、プレート本体35の挿通孔群40間に保護壁41が突出して設けられているため、ムービングプレート12が初期位置にあるときに、各雄タブ15の先端部の突出部分が保護壁41で保護される。その結果、各雄タブ15が異物との干渉に起因して折損、破損されるのを防止することができる。
【0050】
また、保護壁41は、両コネクタ10、70の嵌合時に雌側ハウジング71の隔壁83に設けられた凹所84に進入して逃がされる。この場合に、保護壁41が周壁36の両長辺部43から離間しており、凹所84の両側に、枠部73に連結される端壁部85を残している。このため、隔壁83に保護壁41を受ける凹所84が枠部73の全幅にわたって開口することがなく、隔壁83及び枠部73の強度が必要以上に低下するのを抑えることができる。また、端壁部85の存在によって凹所84に外部異物が入り込みにくくなり、雄タブ15の電気的な信頼性を確保することができる。
【0051】
また、複数の雄タブ15にはタブ幅の大きい大型雄端子24とタブ幅の小さい小型雄端子25とが含まれ、大型雄端子24の先端部に隣接する保護壁41は、小型雄端子25の先端部に隣接する保護壁41より厚肉に形成されているため、大型雄端子24に対応する挿通孔37の開口径が大きくなるという事情があっても、厚肉の保護壁41によってプレート本体35の強度を確保することができる。また、小型雄端子25の先端部に隣接する保護壁41は厚肉になっていないため、プレート本体35の重量が必要以上に重くなることがなく、ムービングプレート12の移動の円滑性を確保することができる。
【0052】
さらに、本実施例1によれば、凸部50がフード部18の長辺部43の上下方向中央側にせり出すが上下方向端部側にはせり出さない片あり状に形成されているため、各凸部50が対応する凹部31に嵌合されることにより、長辺部43の上下方向中央側が湾曲変形する状態を効果的に矯正することができる。また、凸部50が片あり状に形成されるため、両あり状に形成される場合に比べ、凸部50と凹部31との接触面積を小さくすることができ、ムービングプレート12がフード部18内を円滑に移動することができる。
【0053】
また、フード部18の長辺部43の内面には雌側ハウジング71の誤嵌合防止凹部86に嵌合される誤嵌合防止凸部49が設けられており、長辺部43は誤嵌合防止凸部49と凸部50とが上下方向に関して互いに重なり合う厚肉部54を有しているため、長辺部43の強度を高めることができ、長辺部43が湾曲変形するのを未然に防止することができる。
【0054】
また、各凸部50が一対の長辺部43のそれぞれに上下方向に関して非対称に配置されているため、ムービングプレート12に方向識別性が付与され、リブ状部77等と共働してムービングプレート12がフード部18内に誤った姿勢で組み付けられるのを防止することができる。
【0055】
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)凹部の水平面及び凸部の平坦面は、凹部及び凸部の片あり形状が維持される範囲で、左右方向に対して若干の傾斜をもって配置されるものであってもよい。
(2)凹部及び凸部は、それぞれ側壁部及び長辺部において、上下方向に3つ以上並んで設けられるものであってもよい。
(3)雌側サブハウジング収容室に対応する部分が全て雌側端子収容部で構成され、隔壁が隣接する雌側端子収容部間に配置されるものであってもよい。逆に、雌側端子収容部に対応する部分が全て雌側サブハウジング収容室で構成され、隔壁が隣接する雌側サブハウジング収容室間に配置されるものであってもよい。
(4)長辺部の長辺方向(形成方向)が、実施例1と直交する左右方向に設定されるものであってもよい。